汚水処理施設管理マニュアル 編2j

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平成28年度家畜ふん尿処理利用研究会資料

活性汚泥の固液分離を促進するバクテリアの分離とその利用 宇都宮大学院工学研究科  物質環境化学専攻  教授  柿井 一男

記載例[成果情報名]○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○[要約]・・・・・・・・・・・・・・・・

搾乳関連排水 ( パーラー排水 ) 処理施設管理のポイント 栃木県農政部畜産振興課 環境飼料担当技師加藤大幾 掲載されている情報は平成 30 年 7 月 19 日現在のものです

国土技術政策総合研究所 研究資料

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施設名施設住所項目一般埋め立てた廃棄物廃棄物 (ton) 擁壁の点検 遮水効果低下するおそれが認められた場合の措置 遮水工の点検 遮水効果低下するおそれが認められた場合の措置 周縁地下水の水質検査結果 斜里町清掃センター最終処分場斜里町以久科北 破砕ごみ 内容 生ごみ残差 合計 点検を行った年月日

Taro-12)年報5章貯留汚泥からリン

参考資料

田辺市役所環境白書 < 平成 9 年度版 > より抜粋 背戸川水質検査結果まとめ 背戸川排水路水質浄化対策事業水質検査結果を平成 3 年 10 月より平成 8 年 7 月まで の水質検査結果をまとめた (1) 背戸川排水路の水質結果 BOD 除去率 61% BOD の除去率を単純に平均してみると 浄

埋立てた一般廃棄物の種類及び数量の記録 ( 平成 30 年度 ) 最終処分場名 : 第二処分場 単位 : トン 種 類 数量 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 搬入量一般廃棄物焼却灰 1, , , 合計

埋立てた一般廃棄物の種類及び数量の記録 ( 平成 30 年度 ) 最終処分場名 : 第二処分場 単位 : トン 種 類 数量 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 搬入量一般廃棄物焼却灰 1, , , 合計

平成 24 年度維持管理記録 ( 更新日平成 25 年 4 月 26 日 ) 1. ごみ焼却処理施設 (1) 可燃ごみ焼却量項目単位年度合計 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 A B 炉合計焼却量 t 33, ,972

畜産環境情報 < 第 63 号 > 1. 畜産の汚水から窒素を除去するということはどういうことか 2. 家畜排せつ物のエネルギー高度利用 南国興産を例に 3. 岡山県の畜産と畜産環境対策 4. 兵庫県の畜産と畜産環境対策について

大栄環境 ( 株 ) 和泉リサイクルセンター平井 5 工区管理型最終処分場 / 処理実績平成 26 年度契約処理 : 管理型埋立区分品目 平成 26 年 平成 27 年 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 燃え殻

排水の処理方法と日常の維持管理(1)

<4D F736F F F696E74202D C A834C838C815B83678DDC CC434F D4E C F88979

No. QCVN 08: 2008/BTNMT 地表水質基準に関する国家技術基準 No. QCVN 08: 2008/BTNMT National Technical Regulation on Surface Water Quality 1. 総則 1.1 規定範囲 本規定は 地表水質

土壌含有量試験(簡易分析)

様式処 3 号 最終処分場水質検査の記録 最終処分場名 : 船見処分場 測定対象 : 放流水 試料採取場所 : 放流水槽 試料採取年月日 H H H H H 測定結果の得られた年月日 H H H30.6.6

平成 29 年度 一般廃棄物最終処分場の維持管理記録 施設の名称 : 弘前市埋立処分場第 2 次 ( 第 1 区画 第 2 区画 ) 施設の位置 : 弘前市大字十腰内字猿沢 埋立廃棄物の種類及び数量 ( 単位 :kg) 区分 種類 平成 29 年平成 30 年 4 月 5 月 6 月

様式処 3 号 最終処分場水質検査の記録 最終処分場名 : 守山南部処分場 測定対象 : 放流水 試料採取場所 : 調整槽放流水試料採取口 試料採取年月日 H H H H H H 測定結果の得られた年月日 H30.5.7

反応槽 1m 3 あたりの余剰汚泥発生量 (kg/m 3 / 日 ) 2-(3)-2 高負荷運転による水質改善および省エネルギー効果について 流域下水道本部技術部北多摩二号水再生センター葛西孝司 須川伊津代 渡瀬誠司 松下勝一 1. はじめに 21 年度の制限曝気 A2O 法の調査 1 ) の過程で

ト ( 酢酸 ) を用いた ( 図 1) 各試薬がすでに調合されており操作性が良い また この分析方法は有害な試薬は使用しないため食品工場などでの採用が多く ISO などの国際機関も公定法として採用している F-キット ( 酢酸 ) での測定は 図 1の試薬類と試料を 1cm 角石英セル に添加し

31608 要旨 ルミノール発光 3513 後藤唯花 3612 熊﨑なつみ 3617 新野彩乃 3619 鈴木梨那 私たちは ルミノール反応で起こる化学発光が強い光で長時間続く条件について興味をもち 研究を行った まず触媒の濃度に着目し 1~9% の値で実験を行ったところ触媒濃度が低いほど強い光で長

様式第 1 ( 裏面 ) 第 5 条第 3 項関係 有害物質使用特定施設又は有害物質貯蔵指定施設の別 有害物質使用特定施設又は有害物質貯蔵指定施設の構造 有害物質使用特定施設又は有害物質貯蔵指定施設の設備 有害物質使用特定施設又は有害物質貯蔵指定施設の使用の方法 施設において製造され 使用され 若し

Water Circulation (Water in Japan is circulated as follows)

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Microsoft Word - ⑨田辺臭気同時処理(P45-50)

目次 1 研究の動機 1 2 研究を始める前に 1 (1) インターネットで調べる (2) 水中シャボン玉をつくってみる 3 研究の目的 3 4 研究の内容 3 追究 1 水中シャボン玉をつくってみよう 3 追究 2 水中シャボン玉が確実にできる組み合わせを見つけよう 5 追究 3 洗剤の種類で水中

PowerPoint プレゼンテーション

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土壌溶出量試験(簡易分析)

北清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7 4

練馬清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

[ 廃棄物の最終処分場 ( 管理型 )] 平成 29(2017) 年度 1 施設名称 1 号管理型処分場 (1) 埋立てた廃棄物の各月ごとの種類及び数量 規則第 12 条の 7 の 2 第 8 項イ 種類汚泥燃え殻紙くずばいじん 合計 単位 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月

品川清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

site_17(日本語版).xls

下水道計画に用いる諸元は 原則として計画策定時点の諸元とする 計画人口については 近年の人口減少傾向を踏まえ適切に考慮する なお 確定した開発計画等がある場合は それを考慮する (4) 小規模下水道の特性や地域特性 一般に流入水の水量 水質の年間変動 日間変動が大きい 維持管理が大中規模の処理場に比

( 速報 ) ~ 騒音 振動調査 ( 騒音 )~ 騒音レベル (db) 騒音レベル (db) 各地点の騒音調査結果 騒音調査結果まとめ (L のみ表示 ) NVR-2 NVR-3 L L L9 LAeq L L L9 LAeq 騒音レベル (db) 9 8 7

平成27年度 前期日程 化学 解答例

品目 1 四アルキル鉛及びこれを含有する製剤 (1) 酸化隔離法多量の次亜塩素酸塩水溶液を加えて分解させたのち 消石灰 ソーダ灰等を加えて処理し 沈殿濾過し更にセメントを加えて固化し 溶出試験を行い 溶出量が判定基準以下であることを確認して埋立処分する (2) 燃焼隔離法アフターバーナー及びスクラバ

足立清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

PC農法研究会

有明清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

2. 水管理に関連する障害 Q 軟化装置管理上の留意点ついて, 具体的な管理方法を教えてください イオン交換樹脂は球状で粒径は mm 程度, 複雑な網目状の三次元骨格構造を呈しており, 軟水採水量はイオン交換樹脂量と原水の硬度によって決まります イオン交換樹脂は一般的に1 年

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7. 点検等の概要 (1) 点検等にあたっては ポートビルについては別紙により実施するものとする 千歳事務所及び千歳庁舎については国土交通省官房官庁営繕部監修 建築保全業務共通仕様書 平成 25 年度第 2 編第 4 章第 8 節浄化槽に従い実施するものとする (2) 小修繕点検等の結果 甲乙協議に

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株式会社 T 百貨店東京支店 様 社員食堂厨房グリーストラップ消臭試験報告書 平成 27 年 2 月 0

維持管理要領書 合併処理浄化槽 BMM 型 (15~335 人槽 ) 株式会社アールエコ ver

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接触材特長 触面積流量計接材合併 産排 農集合併 産排 農集浄化槽用部材浄化槽用部材ダクト関連商品ダクト関連商品膜ユニット関連商114 物処理水処理関連商品ロハス関連商品サクションホース トヨックス 面積流量計 サクションホース D2 D1 バキューム OK トヨリング F バキューム OK トヨシ

形状 処理状況 表 1 各系列の反応タンクの形状と処理状況 ( 平成 27 年度 ) 深槽東系 深槽西系 浅槽系 西系 東系 有効容積 (m 3 ) 寸法 ( 長さ 幅 水深 : m)

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処分した廃棄物 ( 平成 23 年 5 月分 ) 種類焼却灰破砕不燃物合計重量 (t) 塩化物イオン 月 1 回平成 23 年 5 月 17 日 μs/cm 月 1 回平成 23 年 5 月 17 日 アルキル水銀 検出されないこと 0.00

消化汚泥 ( 脱水機棟汚泥貯留タンクへ ) φ150 DCIP DCIP VP φ150 φ150 φ150 DCIP 重力濃縮汚泥 (No.1 消化タンク ( 既設 ) へ ) 消化汚泥 ( 脱水機棟汚泥貯留タンクへ ) φ150 DCIP( 将来 ) φ150 φ150 φ150 DCIP( 将

[ 法第十五条の二の三 法第十五条の二の四 ] 会社名株式会社倉敷環境 産業廃棄物処理施設維持管理記録簿 ( 管理型埋立区域 2) 平成 26 年度 対象期間 : 平成 26 年 4 月 1 日 ~ 平成 27 年 3 月 31 日 1. 埋め立てた産業廃棄物の種類及び数量 [ 規十二条の七の二八イ

イオン交換樹脂の試験方法 1 原液の調製 イオン交換樹脂に接触させる原液は できるだけ懸濁物 油分 酸化剤を除去すること 2 樹脂銘柄の選定 樹脂銘柄の選定や吸着挙動を大まかに確認するための方法としては バッチ法 カラム 法の二通りの方法がある 以下にそれぞれの方法について示す 2.1 バッチ法バッ

渋谷清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 不燃物 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰 ( 含有試験 ) 6 4 周辺大気環境調査結果 7 5 試料採取日一覧 8 (

チャレンシ<3099>生こ<3099>みタ<3099>イエット2013.indd

JASIS 2016 新技術説明会

国土技術政策総合研究所 研究資料

練馬清掃工場 平成 29 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

2009年度業績発表会(南陽)

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中央清掃工場 平成 29 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

散気管アクアブラスターを使用してビルピットの硫化水素をゼロに

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世田谷清掃工場 平成 27 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 不燃物 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) スラグ ( ガス化溶融 )( 含

た回分試験の開始から終了までの間 N 2 O 連続測定計 (FT-IR) を用いてガス態 N 2 O 濃度の連続測定を行った また 条件 1 3( 表 1) について 東京工業大学との共同研究により アイソトポマー技術を用いて N 2 O の生成機構の解明も合わせて行った (4) 活性汚泥採取場所本

秩父広域市町村圏組合 浄水課 浄水

秩父広域市町村圏組合 浄水課 浄水

条例施行規則様式第 26 号 ( 第 46 条関係 ) ( 第 1 面 ) 産業廃棄物処理計画書 平成 30 年 6 月日 長野県知事 様 提出者 住 所 東御市下之城畔 ( 法人にあっては 主たる事業所の所在地 ) 氏 名 川西保健衛生施設組合長花岡利夫 ( 法人にあっては 名称及び代

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フォルハルト法 NH SCN の標準液または KSCN の標準液を用い,Ag または Hg を直接沈殿滴定する方法 および Cl, Br, I, CN, 試料溶液に Fe SCN, S 2 を指示薬として加える 例 : Cl の逆滴定による定量 などを逆滴定する方法をいう Fe を加えた試料液に硝酸

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第26号 技術報告集

(2) 現況水質等 A ポンプ場から圧送される汚水の水質分析及び硫化水素濃度測定結果を表 -2 図 -2 に示す 表 -2 水質分析 計量項目 単位 計量場所ピット吐出口 BOD mg/l CODcr mg/l 硫酸イオン濃度 mg/l 全硫化物 mg/l

図 -1 汚泥減量設備外観 4. 技術の概要 4.1 原理本技術は, 酸化力を持つ薬剤 ( 酸化剤 ) を用いて, 余剰汚泥中の微生物の細胞を破壊し, 微生物の可溶化処理を行う この時の可溶化率 ( 可溶化による汚泥の固形物 (SS) の減少率 (%)) は, 処理前汚泥の固形物に対して 25% を

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める製品でトリブチルスズ化合物が使用されているものの環境汚染防止措置に関し公表する技術上の指針本指針は 第二種特定化学物質であるトリブチルスズ=メタクリラート ビス ( トリブチルスズ ) =フマラート トリブチルスズ=フルオリド ビス ( トリブチルスズ )=2,3 ジブロモスクシナート トリブチ

表 活性汚泥法の運転条件 項目 BOD 負荷空気量 MLSS 濃度 (m 3 /m 3 滞留時返送汚泥 BOD 除去容積負荷汚泥負荷 排 (mg/l) 間 (h) 率 (%) 率 (%) (BOD-kg/m 3 日 ) (BOD-kg/kg-SS) 水量 ) 標準活性汚泥法

0702分

Ⅰ 目的この要領は 公共用水域の水質測定結果を報告する上で必要な数値の取扱い 水質測定結果報告書である 北海道公共用水域水質測定結果入力票 ( 平成 28 年度 ) ( 以下 入力票 という ) への記載方法等に関し定めたものである Ⅱ 数値の取扱い等について 1 報告下限値等 (1) 報告下限値に

性能評価型.xls

ISOSPIN Blood & Plasma DNA

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キレート滴定

基礎化学 Ⅰ 第 5 講原子量とモル数 第 5 講原子量とモル数 1 原子量 (1) 相対質量 まず, 大きさの復習から 原子 ピンポン玉 原子の直径は, 約 1 億分の 1cm ( 第 1 講 ) 原子とピンポン玉の関係は, ピンポン玉と地球の関係と同じくらいの大きさです 地球 では, 原子 1

群馬県衛生環境研究所年報第45号p.43~47資料(高坂ら)

名 称 最上川流域下水道置賜浄化センター 位 置 山形県南陽市宮崎地内他 処理方式 標準活性汚泥法 処理能力 全体 20.2 千立方メートル / 日 今回 20.2 千立方メートル / 日 土木工事 ( 耐震 ) 流入渠施設 土木工事 ( 更新 ) 沈砂池施設 土木工事 ( 更新 ) 最初沈殿池施設


第26号 技術報告集


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2 活性汚泥とは 汚水処理施設のばっ気槽には様々な微生物 小さな掃除屋さん が棲んでおり 活性汚 泥と呼ばれています この活性汚泥は 正常な状態のとき 汚水中の汚濁物質を食べたり吸着したりして 水をきれいにする力 浄化力 微生物同士が集まる力 凝集力 があります 4 執筆 監修者 小川雄比古 長峰孝文

3 活性汚泥はバランスだ 活性汚泥を正常に保つためには ばっ気槽の容積にあった活性汚泥量 活性汚泥量にあった汚濁物質量 汚濁物質量にあった酸素量 が重要です ばっ気槽の容積が 処理できる汚濁物質の量を決めていることを忘れてはな りません 5 執筆 監修者 小川雄比古 長峰孝文

重 要 6 汚水処理の大切な要点 活性汚泥を正常な状態に保つことが大切です ポイントは 次の3つです 十分なばっ気量 汚濁物質量にあった酸素量を供給していること 回分式や間欠ばっ気の場合は 送気量に加えて送気時間も ばっ気槽内が十分にかく拌されていること 適切な汚濁物質の量と質 汚水量や汚水濃度が過剰となっても不足してもダメ 一次処理がきちんと行われていること 分解できない汚濁物質を少なく 家畜の飼養頭数の大きな増減をしないこと ふん尿分離機 バーンクリーナーやスクレーパーなど を機能させること 汚水を長期間溜めたり 汚泥が沈殿したままにしたりして腐らせないこと 適切な活性汚泥量 過剰となっても不足してもダメ 余剰汚泥をキチンと排出すること いろいろと項目を並べましたが ポイントは 下記の図に集約されています この図を しっかりと頭に入れてください 8 執筆 監修者 小川雄比古 長峰孝文

活性汚泥に異常をきたしていたり 通常よりも汚水が多かったり濃かったりしている ばっ気槽は 激しく発泡したり 悪臭があったりします 泡が溢れているばっ気槽 ばっ気槽からの泡で水面が 覆われている沈殿槽 通常よりも濃い汚水の流入による大量発泡 活性汚泥が多すぎることによるばっ気槽の発泡 13 執筆 監修者 小川雄比古 長峰孝文

2 SV30の観察 1リットルのメスシリンダーに ばっ気槽混合液 ばっ気中のよくかく拌されている 液 を入れ 30分間静置した時に 底部に沈降する汚泥量を百分率で表したのがSV30で す 例えば 汚泥界面が320mlであれば 32 となります SV30を毎日測定すれば ばっ気槽の中の活性汚泥の量を把握できるようになります ただし 膜分離式活性汚泥法 の場合 SV30が参考にならないことが多いです メスシリンダーは多少高価でも 透明度の高いプラスチック製のものにします ばっ気槽に落ちると 自力で脱出することは不可能です ばっ気中の水は 大量の泡を 含んで比重が軽くなっているため 泳いで浮かぶことはできません ばっ気槽の近くにい るときには ばっ気槽に落下しないように十分に気をつけてください 静置 0分後 10分後 SV30 32 30分後 ばっ気槽からの活性汚泥の採取とメスシリンダーによるSV測定 14 執筆 監修者 小川雄比古 長峰孝文

SV30は 汚泥と上澄の分離の良さも判断材料にします 活性汚泥の状態がよい場合に は 上澄み液に浮遊物がなく透明感があり 上澄み液と沈降した活性汚泥との境目がはっ きりしていて平坦になります 沈降性の悪い活性汚泥 上澄に汚泥が浮遊し 汚泥界面が波打っている 凝集性の悪い活性汚泥 SV30が高く 沈降した汚泥に大きな隙間ができている 凝集性が悪く汚泥の一部が溶解している活性汚泥 汚泥がふわふわしており 上澄が激しく濁っている 15 執筆 監修者 小川雄比古 長峰孝文

3 水温の測定 活性汚泥は生き物なので 水温が低くなると処理能力も低下します 水温の測定は ばっ気中の液を長ヒシャクに採り これに温度計を入れて行います 4 phの測定 ばっ気槽のpHは ばっ気槽の後に沈殿槽があるならばその上澄 回分式ならばばっ気 停止の汚泥沈降時の上澄 膜分離式ならば分離水を測定します phは6.5 7.5がよい状 態です これよりも高いときは ばっ気が不十分 低いときは ばっ気が多すぎると判断 します 熱帯魚の販売店にあるような簡易なpH計やpH試験紙が 安価で使いやすいで す 簡易なpH計 左 やpH試験紙 右 での測定 16 執筆 監修者 小川雄比古 長峰孝文

(a) (b) (d) (c) (e) 透視度の測定方法 (a) ガラス管に処理水を静かに入れる ガラス管は外れやすく 落とすと割れるので注意 (b) 水中の粒子の動きが止まるまで 1分間ほど待つ (c) 上から覗きながら底の二重線がはっきり見えるまで排水する 直射日光のあたらない 明るい場所でやる (d) 深さ cm を読み取る 2 業者に依頼して測定する項目 1 生物化学的酸素要求量 BOD BODは微生物により分解されやすい有機物の量を表しています BODが高いほど 汚濁 成分が多くなります 処理水のBODが高い場合 活性汚泥での処理が不十分 ばっ気槽に 過剰な汚濁物質が流入している あるいは活性汚泥の一部が処理水に流出しているなどの 原因が考えられます 19 執筆 監修者 小川雄比古 長峰孝文

2 浮遊物質 SS SSは濁り物質の量です 汚水のSSは大部分が有機性であるため SSが高い汚水はBOD も高いのが普通です 処理水のSSが高い場合も BODと同じ原因が考えられます 3 全窒素 T-N 窒素の総量です 処理水のT-Nが高い場合 BODが高いときと同じ原因の他に 浄化処 理施設そのものが除去できる機能を持っていないことも考えられます 4 アンモニア性窒素 NH4-N アンモニアの状態になっている窒素です 尿汚水に含まれる窒素の多くがこの状態で す 処理水のNH4-Nが高いときは 活性汚泥による処理が不十分です 5 硝酸性窒素 NO3-N 硝酸の状態になっている窒素です 活性汚泥での処理が進むと 汚水中に含まれていた 窒素の多くが この状態に変換されます 6 亜硝酸性窒素 NO2-N アンモニアが活性汚泥で硝酸になる途中の状態の窒素です 処理水のNO2-Nが NH4-N やNO3-Nよりも高いことは稀です 7 アンモニア アンモニウム化合物 亜硝酸化合物及び硝酸性化合物 硝酸性窒素等 水質汚濁防止法の健康項目で規制されている項目で 以下の式により算出されます 硝酸性窒素等 NH4-N 0.4 NO3-N NO2-N 一定の濃度 環境基準 を超えると 人の健康に害を与える可能性があります 8 全リン T-P リンの総量です 3 法律による排水規制について 処理水を河川など 公共用水域に排出する場合には 水質汚濁防止法に基づく排水基準 健康項目と生活環境項目 が適用されます 全国の基準 一律基準 を以下に示します が 都道府県によって 適用対象の拡大やより厳しい許容限度が設けられていることがあ りますので 市町村の担当者に問合せてください 20 執筆 監修者 小川雄比古 長峰孝文

3 施設管理のポイント 第2章 3 汚水処理の大切な要点 に示した項目 十分なばっ気量 適切な汚濁物質の量と質 適切な活性汚泥量 を維持することが施設管理のポイントです このため 以下の作業が必須となります 毎日施設を見回る SV30 phおよび透視度の測定 毎日記録を付ける 管理日誌の記入 故障箇所はすぐに修理する 家畜を飼うときも 家畜の健康状態を毎日観察したり 畜舎やローダーが壊れた時はす ぐに修繕しなくてはならなの同じように 汚水処理施設も 毎日の管理 日常管理 が重 要なのです 4 農家に必須な日常管理の準備 1 どのような処理をしているか把握する まず 汚水処理施設がどのような処理を行っているのかを把握します 施設の設計書 に 図のようなフローシートがある場合は これを参考にします 23 執筆 監修者 小川雄比古 長峰孝文

主な処理を掲載したチェックシートを下記に示しますので どの設備があるのか に チェックしてください よく分からないときは 施設を設計した業者に問い合わせてくだ さい 一次処理 前処理 バーンクリーナやスクレーパーなどの畜舎のふん尿分離設備 沈砂槽 汚水貯留槽 ばっ気やかく拌していない槽です 前ばっ気槽 活性汚泥の返送がない槽です 嫌気槽 ばっ気はしていないが かく拌されている槽です スクリーン ふるい 最初沈殿槽 スクリュープレスなどの固液分離機 凝集分離処理装置 凝集剤を添加して固液分離するもの 希釈水配管 その他 二次処理 本処理 第2章 4 二次処理にはいろんなタイプがある を参照してください ばっ気槽 全てのタイプに当てはまります 沈殿槽 連続式活性汚泥法の場合当てはまります 嫌気槽 嫌気ゾーン 嫌気好気活性汚泥法の場合当てはまります 膜分離装置 膜分離式活性汚泥法の場合当てはまります 三次処理 高度処理 凝集分離処理装置 凝集剤を添加して固液分離する 脱窒設備 その他 消毒処理 最終希釈処理 汚泥処理 凝集分離処理装置 凝集剤を添加して固液分離するもの 砂ろ床 その他 24 執筆 監修者 小川雄比古 長峰孝文

3 管理日誌を作る 管理の記録はとても重要です 日々の管理記録の蓄積が貴重な財産になります 問題が起きたときに 原因と解決方法を知るための参考となります 季節の変わり目など 制御盤の設定を変更するときの参考になります 汚水処理施設のカベなどに 筆記用具と一緒にヒモで吊るしておき 現場でいつでも記 入できるようにしておきます ばっ気槽 沈殿槽 SV30などに異常が見られたとき デジタルカメラで写真をとって おくと 後でとてもよい参考になります 管理日誌の例 実際にはノートに手書きで十分です 回分式活性汚泥法の場合はばっ気や汚水の投入などの時間設定の欄も設ける 30 執筆 監修者 小川雄比古 長峰孝文

4 管理手順書と連絡先表を作る 管理作業は あらかじめ順番を決めておくと 作業もれを防ぐとともに 作業時間の短 縮になります 例にしたがって 管理手順書を作成します また 施設を設計した会社や 機械の修理依頼先など 汚水処理施設に関係する連絡先の表を作ります これらを 処理 施設のカベや 管理日誌に貼り付けておき いつでも見られるようにしておくと良いで しょう ばっ気槽の水面 泡 水流の早さ 水位 ばっ気槽混合液をメスシリンダーに入れる SV30測定開始 ばっ気槽混合液の水温とpHを測る 沈殿槽 浮遊汚泥の有無 処理水 透視度測定 色 濁り 消毒薬の有無 希釈水量 汚水貯留槽 水位 スクリーン 目詰まり 凝集剤のフロック状態を確認 調整 SV30 値の読み取り 汚泥界面の状態 汚泥の圧密性 施設の運転設定の調整 管理手順書の例 これで管理作業の準備ができました 管理作業は できるだけ毎日行い きれいな処理 水を維持しましょう 31 執筆 監修者 小川雄比古 長峰孝文

第6章 汚水処理施設の管理Q A Q1 活性汚泥の沈殿が悪い 活性汚泥の沈殿が悪いため処理水に混ざってしまいます 施工業者に相談したとこ ろ 活性汚泥がバルキング状態になっていると言われました バルキングの治療法 を教えてください バルキングとは 沈殿槽で活性汚泥が沈殿しにくくなる現象です ひどくなると汚泥が 処理水に流出するようになります バルキングを起こす原因は様々なので 特定すること が難しいです 以下に該当する項目がある場合は その部分について以前の状態に戻し 1週間ほど様子を見ます ①以前よりばっ気槽に入る汚水の量や濃度が上がっていないか確認します 増頭していませんか 畜舎内ふん尿分離は励行されていますか 除ふんスクレーパーが腐食 破損していませんか 給水器からの漏れ水はありませんか 漏れ水がふんを溶かして流入します ペレット飼料を使っていませんか ふんが尿汚水に溶ける率が多くなります 雨水がふんを溶かして流入していませんか 尿溜に沈殿して腐敗した黒い汚泥混じりの汚水が流入していませんか スクリーンや固液分離を通らない汚水が流入していませんか 最初沈殿槽の沈殿汚泥が流入していませんか ②ばっ気が不足していないか確認します 泡の量が以前より少なくないですか 空気ポンプ 吸引口のフィルター清掃 オイルやベルトの確認 ディフューザー 散気管 散気板 清掃または交換 水中ばっ気レーター 業者にオーバーホールを依頼 回分式や間欠ばっ気の場合は 配管の詰りも疑います 回分式や間欠ばっ気の場合 ばっ気時間が短くなっていませんか 短いときは 徐々に日数をかけて長くします ③余剰汚泥の排出が少なくないか確認します 以前よりも余剰汚泥の排出量が少なくなっていませんか 少なくしているときは SV30を確認しながら 日数をかけて増やします 以上の項目で 当てはまるものがない もしくは修復しても状況が変わらないといった 場合には 自治体の担当者や施工業者に相談し できるだけ汚水処理施設管理の専門家に 32 執筆 監修者 小川雄比古 長峰孝文

見てもらうようにします その際は 管理日誌に詳細に記録しておけば 同じ状態になっ たときに 自分で修復できる可能性が高くなります Q2 ばっ気槽の泡が多い ばっ気槽からの泡の発生がひどく 風に吹かれて近隣に泡が飛んでいくこともありま す 泡の発生を抑える方法はないものでしょうか ばっ気槽底部からは常に気泡が出ていますが 正常な状態では次々と泡が消えていくの で泡が貯まることはありません つまり 泡が発生するのではなく泡が消えない状態に なっています 応急的な泡対策としては 消泡剤をまいたり かなり費用がかかります 消泡シャ ワーの設置があります 根本的な解決方法は Q1の①以降を試みてください Q3 処理水の色が濃い 処理水のBODやSSなどは放流基準値をクリアーしているのですが 処理水の着色が 濃いため近隣住民から抗議が寄せられて困っています 以下に示す方法のうち 実施可能な脱色法を検討してみて下さい ①希釈 水が確保できるならば 希釈による方法が もっとも確実です ばっ気槽に入る前に希 釈すると 処理が安定しやすいので お勧めします ②活性汚泥量の適正化 ばっ気槽の活性汚泥が過剰な状態で処理すると 活性汚泥が溶解して着色の原因となり ます 余剰汚泥をキチンと排出すると 着色が少なくなります ③凝集分離処理 二次処理水を凝集剤で処理することにより 濁り成分を除いて着色を減らすことができ ます 経済的負担が大きいですが 利用している養豚経営があります 導入にあたって は 処理水を透明なベットボトルに入れ 凝集剤の添加量を変えて撹拌して沈殿させ 凝 集剤の消費量 費用 と脱色効果を確認します ④膜分離活性汚泥 活性汚泥を沈殿分離するかわりに 膜で分離する方式に変えると 濁り成分がない処理 水になります 膜のメンテナンス費用がかかり 管理方法も変わるので 導入にあたって は 自治体の担当者や業者とよく相談してください 33 執筆 監修者 小川雄比古 長峰孝文