第 2 部 東京都発達障害教育推進計画の 具体的な展開 第 1 章小 中学校における取組 第 2 章高等学校における取組 第 3 章教員の専門性向上 第 4 章総合支援体制の充実 13

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P5 26 行目 なお 農村部は 地理的状況や通学時 間等の関係から なお 農村部は 地理的状況や通学時 間等から P5 27 行目 複式学級は 小規模化による学習面 生活面のデメリットがより顕著となる 複式学級は 教育上の課題が大きいことから ことが懸念されるなど 教育上の課題が大きいことから P

 

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13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

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第 2 部 東京都発達障害教育推進計画の 具体的な展開 第 1 章小 中学校における取組 第 2 章高等学校における取組 第 3 章教員の専門性向上 第 4 章総合支援体制の充実 13

小 中学校における取組第 1 章 小 中学校における取組 第1 発達障害教育環境の整備 2 指導内容の充実と組織的な対応 3 支援体制の充実 1章15

第1章小 中学校における取組16 1 発達障害教育環境の整備 現状と課題 現在 都内の公立小 中学校では 発達障害の児童 生徒が特別な指導を受け る場として 情緒障害等通級指導学級 *7 ( 以下 通級指導学級 という ) と自 閉症 情緒障害特別支援学級 *8 ( 以下 固定学級 という ) が設置されていま す 都内公立小 中学校における発達障害教育に関する学級の種別 都の発達障害教育は これまで通級指導学級における指導を中心に行われてき ましたが 通級指導学級の指導では 対象の児童 生徒の多くが在籍校を離れて他校に設置された通級指導学級に通うため 在籍校の授業に参加できないことから生じる学習の遅れへの不安 通学の負担 保護者の付添いの負担など様々な課題があります このような課題に対応するとともに 指導内容 方法の充実を図るため 都教育委員会では 東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画において 全ての公立小 中学校に特別支援教室 *9 を設置することとし 小学校において 特別支援教室モデル事業 を行い 発達障害の児童 生徒が在籍校で適切な指導を受けられる体制を検討してきました *7 情緒障害等通級指導学級通常の学級での学習におおむね参加でき 一部特別な指導を必要とする自閉症児 情緒障害児 学習障害児 注意欠陥多動性障害児を対象とする 指導時間数は 障害の状態に応じて 週 1 単位時間から週 8 単位時間まで ( 学習障害及び注意欠陥多動性障害については月 1 単位時間から可能 ) としている *8 自閉症 情緒障害特別支援学級学校教育法の規定に基づき 通常の学級における学習では 十分その効果を上げることが困難な児童 生徒のために特別に編制された学級であり 自閉症児 情緒障害児を対象とする *9 特別支援教室小 中学校に 特別支援教室 を設置し 教員が巡回指導することによって これまで通常の学級に在籍する発達障害の児童 生徒に対して通級指導学級で行ってきた特別な指導を 在籍校で受けられるようにする仕組み 指導上の必要により在籍校以外で指導を受ける方が効果的な児童 生徒は他校に設置されている特別支援教室で指導を受けることも可能である

実態調査によると 通常の学級に在籍する発達障害と考えられる児童 生徒のる取組在籍率は小学校で6.1% 中学校で5.0% であり そのうち 小学校で48.9% 中学校で28.3% の児童 生徒は 通級指導学級相当の指導が必要であると推測され ます 第 発達障害の児童 生徒の在籍状況 区市町村では 通級指導学級及び固定学級の設置数を増やしているものの 実際に通級指導学級又は固定学級で指導を受けている児童 生徒は 特別な指導 支援が必要と考えられる児童 生徒の一部にとどまっているため より多くの発達障害の児童 生徒が障害の状態に応じた特別な指導 支援を受けられるよう区市町村を支援する必要があります 公立中学校に在籍する発達障害の生徒の多くは 高校に進学すると考えられますが この中には 入学者選抜における筆記試験等で 障害特性に応じた配慮が必要な生徒がいます 都立高校の入学者選抜では 必要に応じて障害特性に応じた配慮を行っていますが それらを適切に活用するためには 生徒一人一人の障害特性に応じた適切な進学指導等の支援が一層必要になります 17 1章小 中学校におけ

第1章小 中学校における取組18 具体的な取組 特別支援教室の導入 全ての公立小 中学校に特別支援教室を設置し 発達障害教育を担当する教員 が各校の特別支援教室を巡回して指導することにより 通級指導学級で行ってきた 特別な指導 ( 個別指導と小集団を活用した指導による教科の補充と自立活動 ) を 児童 生徒が在籍校で受けられるようにします このことにより これまでより多くの発達障害の児童 生徒が特別な指導を受けられるようになります また 巡回指導を担当する教員 ( 以下 巡回指導教員 という ) と在籍学級担任との連携が密になることにより 児童 生徒一人一人が抱える学習面 行動面での困難をより効果的に改善 克服することができ 学力や集団適応能力が伸長されます さらに 特別支援教室の導入により 発達障害の児童 生徒に対する周囲の理解が進むとともに 巡回指導教員が在籍学級担任に対して助言等を行うことによって 在籍学級における学級運営の安定化が図られます (1) 小学校における特別支援教室の設置促進平成 28 年度以降 準備の整った区市町村から小学校に特別支援教室を順次導入し 全ての小学校での設置を実現します そのため 都教育委員会は 特別支援教室専門員 *10 の配置及び臨床発達心理士等 *11 の巡回を実施し 各校の特別支援教室の円滑な運営と指導 支援の充実を促進します あわせて 特別支援教室を設置する学校における物品購入及び簡易工事費相当の経費補助を行い 区市町村を支援します また 平成 28 年度から配置していく特別支援教室専門員を効果的に活用するため 特別支援教室専門員に対して採用時に講習会を実施します *10 特別支援教室専門員巡回指導教員や臨床発達心理士等の巡回日の連絡 調整 児童の行動観察や指導の記録の作成など 巡回指導教員等と連携して特別支援教室の円滑な運営に必要な業務を行う *11 臨床発達心理士等児童 生徒が抱える学習面 行動面での困難について的確に把握し 巡回指導教員や在籍学級担任に専門的立場から助言する 本事業における臨床発達心理士等は 臨床発達心理士 特別支援教育士及び学校心理士を指す

る取組 第 (2) 中学校における特別支援教室の設置促進中学校に特別支援教室を導入するに当たり 教科の学習や複雑化する人間関係 将来の進路への不安など 中学校特有の課題について対応する必要があります このため 中学校における巡回指導体制や 生徒一人一人の障害特性に応じた進学指導を含めた相談機能の在り方等について検討を行うモデル事業を 平成 28 年度から実施します モデル事業での成果と課題を踏まえ 準備の整った区市町村から特別支援教室を導入し 全ての中学校での設置を目指します 更に検討を要する取組 (3) 区市町村における自閉症 情緒障害特別支援学級 ( 固定学級 ) の設置 に向けた支援通常の学級で指導を受けることが困難な発達障害の児童 生徒に対し 障害の状態に応じた適切な指導を行うため 区市町村が必要に応じて固定学級を設置できるよう 方策を検討します 19 1章小 中学校におけ

第1章小 中学校における取組20 2 指導内容の充実と組織的な対応 現状と課題 発達障害と考えられる児童 生徒は 実態調査の結果から ほとんどの通常の学級に在籍していることが推測されます 一方 平成 25 年度に都教育委員会が実施した教員の意識調査 ( 以下 意識調査 という ) によると 小学校で54.9% 中学校で60.2% の教員が 発達障害に関する知識はあるが具体的にどう対処すれば良いか分からない 又は 発達障害に関する知識がなく対処できていない と回答しており 通常の学級における発達障害の児童 生徒に関する正しい理解に基づく指導 支援の充実が急務となっています 発達障害の児童 生徒への対処 [ 学級担任回答 ] 0% 25% 50% 75% 100% 45.1% 39.7% 48.0% 48.8% 6.9% 11.4% 発達障害の児童 生徒は 一人一人の学習面 生活面の困難が異なり その特性が周囲の児童 生徒から理解されにくいことから いじめの対象や不登校等につながる場合もあります 今後は 教員一人一人の発達障害教育に関する理解を促進するとともに 学校において組織的に対応することにより 通常の学級における発達障害の児童 生徒に対する指導 支援を充実していくことが必要です

る取組具体的な取組 (1) 学習の つまずき を把握するアセスメント *12 方法の確立 発達障害の児童 生徒に対して 適切な指導 支援を実施するためには 児 第童 生徒一人一人の学習の つまずき を把握することが不可欠です 21 このことから 読み書きや行動 社会性に関する以下のアセスメント方法を 開発します あわせて アセスメントの実施方法や分析の仕方 保護者との連 携の在り方を示したアセスメントマニュアル及びDVDを作成 活用すること により 特別支援教室を含めた小 中学校における発達障害の児童 生徒の指 導 支援を充実します 1 特別支援教室の指導で活用する 読み書きに関するアセスメント 2 通常の学級の指導で活用する 読み書きに関するスクリーニング *13 用のア セスメント 3 特別支援教室の指導で活用する 行動 社会性に関するアセスメント 4 通常の学級の指導で活用する 行動 社会性に関するアセスメント *12 アセスメント 標準化された発達検査等を用いて 幼児 児童 生徒の障害の状態や発達の段階 技能水準等を把握 すること *13 スクリーニング 発達検査等を実施するのに先立ち 検査を要するものと要しないものとを判断したり 潜在的な発達遅滞や発 達障害の可能性を早期に発見したりする 自治体により 1 歳 6か月健康診査 3 歳児健康診査などの場で 活用される場合がある 1章小 中学校におけ

第1章小 中学校における取組22 (2) 発達障害の児童 生徒の指導の充実 *14 *15 ア通常の学級における個別指導の充実 ( ア ) 通常の学級における個別指導の内容 方法に関する指導資料の作成 都教育委員会はこれまで 通級指導学級や固定学級における発達障害の児 童 生徒に対し 読み書きに関する指導や適切な行動を促すための指導 固 *14 定学級の教育課程等の研究 開発を進めてきました これらの研究の成果を踏まえ 通常の学級と特別支援教室との連携を前提とした 児童 生徒のアセスメントに基づく個別指導の内容 方法に関する指導資料を作成し 発達障害の児童 生徒への指導を充実します ( イ ) 発達障害の児童 生徒用の 東京ベーシック ドリル *15 の作成 発達障害の児童 生徒一人一人の学習の つまずき に対応した指導を計 画的かつ効果的に実施するため 発達障害の児童 生徒が 障害の状態や自らの つまずき に応じて教材を選び 繰り返し学習することができる 東京ベーシック ドリル を作成するとともに 具体的な活用方法を掲載した指導事例集を作成し 発達障害の児童 生徒の学力の向上を図ります 教育課程法令に基づき 各教科 道徳 総合的な学習の時間 特別活動及び自立活動等について それらの目標やねらいを実現するよう教育の内容を学年に応じ 授業時数との関連において総合的に組織した学校の基本計画東京ベーシック ドリル小学校の国語 社会 算数 理科における4 年生までの基礎的 基本的な学習内容について 児童が確実に身に付けることを目的として 平成 25 年度に都が独自に開発したドリル 都内全公立小学校に配布するとともに 都教育委員会 HPに掲載し その活用の推進を図っている

る取組 第 ( ウ )ICT 機器 *16 の活用事例集の作成発達障害の児童 生徒は 学習においてICT 機器を活用することにより 認知処理の偏り等を補ったり 注意や集中を高めたりすることが可能となります このため 大学や研究機関が開発した発達障害の児童 生徒のための ICT 機器を活用した学習支援システムについて 研究指定校において実践検証した上で活用事例集を作成し 発達障害の児童 生徒の学習における困難の改善を図ります *16 ICT 機器 Information and Communications Technologyの略 発達障害においては タブレットPCや電子黒板等を活用し 発達障害の児童 生徒の様々な困難を取り除いたり減らしたりすることにより 子供たちの可能性を広げることが期待できる 23 1章小 中学校におけ

第1章小 中学校における取組24 イ障害のない児童 生徒を含めた学級全体での指導の充実 ( ア ) ユニバーサルデザインの考え方に基づく指導と学級づくりのための ガイドラインの作成通常の学級に在籍する発達障害の児童 生徒にとって分かりやすい授業を実施するとともに 落ち着いて生活できる教室環境の整備や 周囲の児童 生徒の理解を深めるなどの学級づくりを行うことで 全ての児童 生徒が安心して学ぶことができます このため 次の内容を含むユニバーサルデザインの考え方に基づく指導と学級づくりのためのガイドラインを作成し 通常の学級における発達障害教育を充実するとともに 特別支援教育に関する校内委員会を活性化するなど 学校全体で取り組む発達障害教育を推進します 1 発達障害の児童 生徒が在籍する学級の経営の改善 充実方法 2 通常の学級におけるユニバーサルデザインの考え方に基づく環境設定 授業 行動支援 3 発達障害のない児童 生徒への理解促進の在り方 Topics

( イ ) ソーシャルスキルトレーニングの事例集の作成る取組発達障害の児童 生徒は その障害特性から対人関係やコミュニケーションに課題があることが多いと考えられます このため 通級指導学級におけ る実践例を参考に 大学等の研究機関と連携して 通常の学級における道徳第の時間や学級活動で活用するソーシャルスキルトレーニングの事例集を作成します あわせて 教員向けの指導資料及びDVDを作成し 学校における活用を通して発達障害の児童 生徒の社会性の向上を図ります Topics 25 1章小 中学校におけ

第1章小 中学校における取組26 3 支援体制の充実 現状と課題 通級指導学級で指導を受けている児童 生徒は 多くの時間を 在籍する通常の学級で指導を受けています 通級指導学級における週当たりの指導時間ごとの児童 生徒数 [ 校長回答 ] また 通常の学級には 通級指導学級での指導を受けないまでも 教員による 指導の工夫や配慮 支援員による支援等が必要な発達障害の児童 生徒が在籍しています 通常の学級における発達障害の児童 生徒の状況 国は 発達障害を含めた障害のある児童 生徒に対し 日常生活動作の介助や 学習活動上のサポートを行う 特別支援教育支援員 を配置するために必要な経費を地方財政措置しています 支援員は必要に応じて区市町村が配置していますが その役割や専門性はそれぞれ異なっています

都教育委員会は 発達障害の児童 生徒を指導 支援する小 中学校の教員のる取組専門性を向上させるため 特別支援学校のセンター的機能を活用した小 中学校への支援や教員に対する研修等を行ってきました また 都教育委員会は 平成 26 27 年度に文部科学省の 特別支援学校機能第強化モデル事業 ( センター的機能充実事業 ) を受託し 特別支援学校と専門家とが連携した小 中学校への相談の実施を通して特別支援教育コーディネーター等の専門性を向上させることで 特別支援学校の相談機能を充実させる取組を行ってきました 今後 通常の学級における指導 支援を更に充実させるためには 指導の工夫や配慮等をより適切に行う必要があります また 児童 生徒の学校生活上の課題を的確に分析した上で 児童 生徒一人一人の障害の状態に応じた指導 支援を行えるよう 外部専門家等を一層活用することが必要です 具体的な取組 (1) 支援員の活用と資質向上発達障害の児童 生徒に対する 支援員による適切かつ効果的な支援の在り方や 円滑な学級経営への関わり方など 支援員の効果的な活用についての研究と併せて 区市町村が配置する支援員の資質向上のための研修用 DVDを 全ての公立小 中学校で活用していきます 27 1章小 中学校におけ

第1章小 中学校における取組28 (2) 外部専門家の活用児童 生徒一人一人の障害の状態に応じた指導 支援を行うため 次の外部専門家の活用について研究し 各校等にその成果を普及していきます ア医師発達障害と考えられる児童 生徒等と面談を行い 学級担任等に対して 専門的な立場から効果的な支援の在り方について助言を行うとともに 障害についての理解促進や 必要に応じて医療との接続を図ります イ心理の専門家特別支援教室を利用する児童 生徒が抱える学習面 行動面での困難についての的確な把握とそれに基づく指導 支援について 臨床発達心理士等が専門的立場から教員や本人 保護者に対して助言を行います また 特別支援教育に関する校内委員会で 特別支援教室での指導の対象となる児童 生徒について検討する際に 専門的な立場から助言を行います ウスクールソーシャルワーカー発達障害の児童 生徒へのいじめや不登校等の生活指導上の課題に対応するため 当該児童 生徒の障害の状態を踏まえ 学校と保健 医療 福祉等の関係機関との連携を図ります

(3) 特別支援学校のセンター的機能の活用る取組エリア ネットワーク *17 のセンター校 *18 の役割を担う特別支援学校が エリ ア内の区市町村教育委員会と一層連携し 各教育委員会が行う研修会に その 第要請に応じて講師の派遣等を行うとともに 企画段階から参画します また 特別支援学校間の連携強化等により 特別支援教育コーディネーター 29 の専門性の向上を図るとともに 小 中学校からの要請に応じて 特別支援学 校の特別支援教育コーディネーター等が指導に立ち会い 助言を行うことで 小 中学校の発達障害教育を担う教員等に対する支援を充実します *17 エリア ネットワーク 各区市町村を基礎的な単位として教育 福祉 医療 保健 労働等の関係機関等が相互に密接な連携 を図り 互いの機能を有効に活用できるネットワーク *18 センター校 エリア ネットワークの拠点となる特別支援学校 1章小 中学校におけ