気候変動政策の動向とエネルギー転換・低炭素社会への移行の挑戦

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参考資料 1 約束草案関連資料 中央環境審議会地球環境部会 2020 年以降の地球温暖化対策検討小委員会 産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会約束草案検討ワーキンググループ合同会合事務局 平成 27 年 4 月 30 日

平成 21 年度資源エネルギー関連概算要求について 21 年度概算要求の考え方 1. 資源 エネルギー政策の重要性の加速度的高まり 2. 歳出 歳入一体改革の推進 予算の効率化と重点化の徹底 エネルギー安全保障の強化 資源の安定供給確保 低炭素社会の実現 Cool Earth -1-

宮下第三章

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人ほどコメントを出すモチベーションを持っており 意見の分布がある一方に偏る可能性が高い 討論型世論調査討論型世論調査は 最初の電話調査段階では 全国の縮図に近い母集団となるが 討論への参加の段階で縮図が歪む可能性がある また 討議の過程で 意見の強い人に議論が引きずられたり 世の中全体に望ましいとい

IPCC1.5度特別報告書

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問題意識 民生部門 ( 業務部門と家庭部門 ) の温室効果ガス排出量削減が喫緊の課題 民生部門対策が進まなければ 他部門の対策強化や 海外からの排出クレジット取得に頼らざるを得ない 民生部門対策において IT の重要性が増大 ( 利用拡大に伴う排出量増加と省エネポテンシャル ) IT を有効に活用し

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社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

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間を検討する 締約国が提出した 貢献 は 公的な登録簿に記録される 締約国は 貢献 ( による排出 吸収量 ) を計算する また 計算においては 環境の保全 透明性 正確性 完全性 比較可能性及び整合性を促進し 並びに二重計上の回避を確保する 締約国は 各国の異なる事情に照らしたそれぞれ共通に有して

低炭素経済ロードマップ 2050 の概要 ブリュッセル事務所 欧州ロシア CIS 課 Report 3 欧州委員会は2011 年 3 月 8 日 EUが2050 年までに低炭素経済に移行する道筋を描いた 低炭素経済ロードマップ2050 を提案した 2050 年までに温室効果ガス (GHG) を199

MARKALモデルによる2050年の水素エネルギーの導入量の推計

緒論 : 電気事業者による地球温暖化対策への考え方 産業界における地球温暖化対策については 事業実態を把握している事業者自身が 技術動向その他の経営判断の要素を総合的に勘案して 費用対効果の高い対策を自ら立案 実施する自主的取り組みが最も有効であると考えており 電気事業者としても 平成 28 年 2


本日の説明内容 1. グリーン購入法の概要 2. プレミアム基準策定ガイドライン

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IPCC 第 5 次評価報告書に向けた将来シナリオの検討日本からの貢献とその意義環境研究総合推進費 A 1103 統合評価モデルを用いた世界の温暖化対策を考慮したわが国の温暖化政策の効果と影響 藤森真一郎 国立環境研究所 社会環境システム研究センター 環境研究総合推進費戦略的研究プロジェクト一般公開

これは 平成 27 年 12 月現在の清掃一組の清掃工場等の施設配置図です 建替え中の杉並清掃工場を除く 20 工場でごみ焼却による熱エネルギーを利用した発電を行っています 施設全体の焼却能力の規模としては 1 日当たり 11,700 トンとなります また 全工場の発電能力規模の合計は約 28 万キ

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れまでの交渉経緯という一連のCOP/CMP 決定が採択された こQ1. 今年のカタール ドーハでの COP18 の焦点は何ですか? 今年のカタール ドーハでの COP18 では, 昨年の COP17 で合意されたダーバン合意を着実に前に進めることが重要であり,1 ダーバンプラットフォーム特別作業部会

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政策体系における政策目的の位置付け エネルギー基本計画 ( 平成 22 年 6 月 18 日閣議決定 ) において 一次エネルギー供給に占める再生可能エネルギーの割合を 2020 年までに 10% とすることを目指す と記載 地球温暖化対策基本法案 ( 平成 22 年 10 月 8 日閣議決定 )

平成20年度税制改正(地方税)要望事項

参考資料3(第1回検討会資料3)

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日本市場における 2020/2030 年に向けた太陽光発電導入量予測 のポイント 2020 年までの短 中期の太陽光発電システム導入量を予測 FIT 制度や電力事業をめぐる動き等を高精度に分析して導入量予測を提示しました 2030 年までの長期の太陽光発電システム導入量を予測省エネルギー スマート社

特集 IPCC 第 5 次評価報告書 (AR5) 第 3 作業部会 (WG3) 報告書について RITE Today 2015 IPCC 第 5 次評価報告書 (AR5) 第 3 作業部会 (WG3) 報告書について システム研究グループリーダー秋元圭吾 1. はじめに 気候変動に関する政府間パネル

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電解水素製造の経済性 再エネからの水素製造 - 余剰電力の特定 - 再エネの水素製造への利用方法 エネルギー貯蔵としての再エネ水素 まとめ Copyright 215, IEEJ, All rights reserved 2

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新旧対照表

RIETI Highlight Vol.66

資料2:地球温暖化対策に係る中長期ロードマップ(議論のたたき台)(案)

PDF目次

NEWS 2020 速報 の一部を改正する法律案 REPORT 総会の様子 2025 GDP 3 02 vol

弱な他の国々が 強靱で完全に競争的なエネルギー システムを追及することに対しても 支援する 6. 我々は 国連気候変動枠組条約 (UNFCCC) の締約国が第 21 回締約国会議 (COP21) において 産業革命以前と比べ 世界の平均気温上昇を 2 よりも十分低く保持すること 及び世界の平均気温上

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資料2 紙類の判断の基準等の設定に係る検討経緯について

などの極端現象も含め 気候変動による影響を評価している さらに AR4 は 長期的な展望として 適応策と緩和策のどちらも その一方だけではすべての気候変動の影響を防ぐことができないが 両者は互いに補完し合い 気候変動のリスクを大きく低減することが可能であることは 確信度が高い とし 最も厳しい緩和努

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IT 人材需給に関する調査 ( 概要 ) 平成 31 年 4 月経済産業省情報技術利用促進課 1. 調査の目的 実施体制 未来投資戦略 2017 ( 平成 29 年 6 月 9 日閣議決定 ) に基づき 第四次産業革命下で求められる人材の必要性やミスマッチの状況を明確化するため 経済産業省 厚生労働

Rodrigo Domingues UNDP Borja Santos Porras/UNDP Ecuador UNDP Kazakhstan 2

御意見の内容 御意見に対する電力 ガス取引監視等委員会事務局の考え方ることは可能です このような訴求は 小売電気事業者が行うことを想定したものですが 消費者においても そのような訴求を行っている小売電気事業者から電気の小売供給を受け 自らが実質的に再生可能エネルギーに由来する電気を消費していることを

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(別紙1)気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書統合報告書 政策決定者向け要約(SPM)の概要(速報版)

目次 1. 策定の趣旨 2 2. 水素利活用による効果 3 3. 能代市で水素エネルギーに取り組む意義 5 4. 基本方針 7 5. 水素利活用に向けた取り組みの方向性 8 6. のしろ水素プロジェクト 10 1

地球温暖化対策のための税の効果について 1. 平成 20 年 11 月中央環境審議会グリーン税制専門委員会 環境税等のグリーン税制に係るこれまでの議論の整理 より 税収を温暖化対策の費用に充てる 又は温暖化対策に係る減税に活用する場合 CO 2 削減に関し大きな効果が見込める ( 前略 ) 環境利用

揮発油税等の当分の間税率とその環境効果 揮発油税の概要 揮発油税及び地方揮発油税の税率は 昭和 49 年度税制改正において税率引上げが行われた際に 暫定的な措置として 租税特別措置法により税率の特例措置が講じられて以来 平成 20 年度改正において平成 30 年 3 月末までの 10 年間の措置とし

NEWS 特定非営利活動法人環境エネルギーネットワーク 21 No 年 9 月 IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change) の概要 環境エネルギーネットワーク 21 主任研究員大崎歌奈子 今年の夏は世界各国で猛暑や洪水 干ばつ

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部員各位

気候変動と森林 IPCC 第 5 次評価報告書 (AR5) から 2014 年 8 月 29 日 東京 第 3 回森林分野における国際的な動向等に関する報告会 林野庁森林利用課 佐藤雄一

第2回ADPを前に これまでの温暖化の国際交渉について

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とを目指す必要がある このためには以下の10 領域における政策課題に取組む必要がある また 分類 Ⅳに分類される意見に基づく場合であっても 原子力施設の廃止措置やこれまで原子力発電の利用に伴い発生した放射性廃棄物の処分の取組に関するこれらの領域における政策課題に取組まなければならない (1) 福島第

ベトナム社会主義共和国 Socialist Republic of Vietnam

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Monitoring National Greenhouse Gases

参考 :SWITCH モデルの概要 SW ITCH モデル は既存の発電所 系統 需要データを基にして 各地域における将来の自然エネルギーの普及 ( 設備容量 ) をシミュレーションし 発電コストや CO 排出量などを計算するモデルです このモデルでは さらに需要と気象の時間変動データから 自然エネ

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目次 1. 奈良市域の温室効果ガス排出量 温室効果ガス排出量の推移 年度 2010 年度の温室効果ガス排出状況 部門別温室効果ガス排出状況 温室効果ガス排出量の増減要因 産業部門 民生家庭部門

内の他の国を見てみよう 他の国の発電の特徴は何だろうか ロシアでは火力発電が カナダでは水力発電が フランスでは原子力発電が多い それぞれの国の特徴を簡単に説明 いったいどうして日本では火力発電がさかんなのだろうか 水力発電の特徴は何だろうか 水力発電所はどこに位置しているだろうか ダムを作り 水を

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報告書の主な内容 2012 年度冬季の電力需給の結果分析 2012 年度冬季電力需給の事前想定と実績とを比較 検証 2013 年度夏季の電力需給の見通し 需要面と供給面の精査を行い 各電力会社の需給バランスについて安定供給が可能であるかを検証 電力需給検証小委員会としての要請 2013 年度夏季の電

(1) どうすれば低炭素社会を描けるか温室効果ガス排出量の 60-80% 削減と人々が住みたいと思う社会とが両立する 2050 年の日本低炭素社会をまず描き それを実現する対策を考える バックキャスティング の手法を採用した 具体的には以下の手順を採用した 1CO2 削減の目標である 2050 年の

現代資本主義論

主な論点 資料 4 1. ワーク ライフ バランスの推進 生産性向上等の観点から 働き方とともに休み方を見直すことの必要性 重要性 (1) 有給休暇取得状況と長時間労働の国際比較 (2) 休暇取得と生産性との関係 (3) 仕事と仕事以外の生活の充実 2. 秋の連休の大型化等を実現する上での課題 (1

インドネシア共和国 Republic of Indonesia

COP15 日本政府の交渉とこれからの課題

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エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律の制定の背景及び概要 ( 平成 22 年 11 月 ) 資源エネルギー庁総合政策課編

Transcription:

エネルギー持続性フォーラムシンポジウム 気候変動政策の動向とエネルギー転換 低炭素社会への移行の挑戦 2013 年 2 月 20 日浜中裕徳地球環境戦略研究機関理事長 慶應義塾大学大学院政策 メディア研究科特任教授

アウトライン 気候変動問題への国際的取組動向と排出ギャップを埋める削減野心度向上の要求 日本のエネルギー 環境をめぐる変化 民主党政権時代のエネルギー 環境に関する国民的議論を振り返る 節電行動の定着 地域からの行動 長期的意味合い 将来社会のビジョンと未来への投資 : エネルギー転換と低炭素社会への移行の挑戦 気候安定化への貢献

気候変動は現実の脅威 極端な気象現象 : 頻発 強度を増す 熱波 酷暑 干ばつ 台風 洪水 極寒など 気象災害被害額 保険支払額が急増 環境が急激に変化 ヒマラヤ アルプスなどの氷河後退 北極海の海氷縮小 生物界の異常 : 動植物生息域の移動 開花 産卵の早期化 サンゴ礁の白化 など

気候変動は現実の脅威 極端な気象現象 : 頻発 強度を増す 熱波 酷暑 干ばつ 台風 洪水 極寒など 気象災害被害額 保険支払額が急増 環境が急激に変化 ヒマラヤ アルプスなどの氷河後退 北極海の海氷縮小 生物界の異常 : 動植物生息域の移動 開花 産卵の早期化 サンゴ礁の白化 など

気候変動問題への国際的取組動向と 排出削減野心度向上の要求 バリ行動計画 (2007) 先進国 途上国の緩和 適応 技術 資金に関する行動強化のための包括的なプロセスの開始に合意 カンクン合意 (2010) ダーバン合意 (2011) ダーバンプラットフォーム (DP) プロセス立ち上げの決定 カンクン合意を具体化する一連の決定 ( 緑の気候基金の設計など ) ドーハ クライメートゲートウェイ (2012) 京都議定書第 2 約束期間設定に関する改正案を採択 2015 年合意に向け DP プロセスの作業計画を採択

2010 年代の気候変動行動の強化と 将来気候変動枠組み構築の工程表

主要国の排出削減目標 ( 各国から提出されカンクン合意に位置づけられたもの ) 注 : すべての主要国による 公平かつ実効性のある国際枠組みの構築と意欲的な目標への合意が条件 同様に EU 米国などもそれぞれ目標 j に条件を付している 現在政府において見直し中

BAU 国際協議 国内政策検討を通じここまでの削減が国際公約 各国の削減公約 国際交渉 各国政策行動により更なる削減が必要 気温上昇 2 未満実現に必要な削減 出典 :www.climateactiontracker.org, Ecofys / Climate Analytics / PIK

排出ギャップ 2 目標実現に必要な排出削減と誓約目標の実施の間にある大きな排出ギャップ : 8-13 GtCO 2 e これは世界全体で 12-21%(2020 年断面 ) の削減強化に相当 排出ギャップを埋める野心度向上に向け検討 (ADP) Source: The Emissions Gap Report 2012, UNEP, 2012

2050 低炭素経済移行ロードマップ (EC) 2030 年マイルストーン 2040 年マイルストーン 2050 年目標 出典 : A Roadmap for moving to a competitive low carbon economy in 2050, European Commission, 2011

気候変動に関する国際的な共同の 取組みにおける日本の課題 2013 年以降の削減目標決定と削減行動の具体化 気温上昇 2 目標を実現する排出削減とのギャップを埋める野心度向上 アジア等の途上国の低炭素発展への協力強化 ダーバンプラットフォームプロセスにおける 2020 年以降の枠組み構築への貢献 異なる発展段階にある国々の排出削減行動の強化と低炭素発展への移行をサポート

エネルギー 環境に関する選択肢 : 政府国家戦略室 ( 民主党政権 2012 年 7 月 )

エネルギー 環境に関する選択肢 : 政府国家戦略室 ( 民主党政権 2012 年 7 月 ) 国内排出量の削減率 (2030 年 )

エネルギー 環境に関する選択肢国民的議論 :11 の論点 (2012 年 7 月 ) 安全対策強化で事故再発は防げるのか 原子力は割高になるのではないか ( 健康被害 除染等のコスト ) 使用済核燃料の処理法をどうするのか 国の責任は何か 処理の目途を立てずに原子力を増加させるべきではない 安全を担う技術 人材をどう確保するのか ( 廃炉事業等 ) 再生可能エネルギー 省エネルギー 急速な普及の方策は 安定的供給源になるのか コストは低減するのか その実現はいつか 電力コスト上昇 供給不安が産業 雇用に影響する 再生可能エネルギー開発を新産業 雇用創出の好機とすべき 2030 年以降をどうするのか どのように国民参加の場を確保し 信頼の回復を図るのか 出典 : 前出スライドに同じ

エネルギー 環境戦略策定に向けて選択肢支持率集計結果の含意と検討事項 原発依存度に関する大きな方向性 ゼロシナリオと 15% シナリオの支持率 ( 合計値 ) は討論型世論調査で 7 割 各種世論調査で 7~8 割 少なくとも過半の国民は 原発に依存しない社会にしたいという方向性を共有 原発をゼロとする場合の課題 核燃料サイクル 電力需給 コスト増 温室効果ガス排出増 化石燃料調達の面の課題 再生可能エネルギー導入の大幅拡大 省エネの抜本的強化 : いずれの選択肢でも重要な課題 出典 : 前出スライドに同じ

東日本大震災後の節電の現状 関東及び関西地方で節電が大きく進展 出典 : 科学技術振興機構低炭素社会戦略センター (JST/LCS) プレス発表資料 エネルギー 環境に関する選択肢 の国民生活への経済影響を解析 - 家庭における省エネ対策の推進 所得階層間の格差是正がカギ 2012 年 7 月 25 日 http://www.jst-lcs.jp/activity/saveelect/item/20120711kousatu.pdf

重要性を増す自治体の役割 東京都総量削減義務と排出量取引制度 制度開始 2 年目 (H23) で 23% 削減 削減実現の理由 : 1 東日本大震災後の節電 2 この制度に対応するための取組推進体制 省エネ機器リスト等の整備 注 : 他人から供給された電気の排出係数は 削減計画期間の間 固定することとされている 出典 : 東京都環境局 http://www.metro.tokyo.jp/inet/oshirase/2013/01/20n1l400.htm

長期的意味合い 将来社会のビジョンと未来への投資 国民の価値観の変化 生活 産業 住宅 建築 都市 交通 エネルギーの各分野で新たな技術 システム 制度の開発 導入普及 省エネの抜本的強化 再生可能エネルギーの本格普及のために必要な投資額は大きい しかしそれはグリーン成長の源泉 生活の質の向上にも貢献 気候安定化 : 世界平均地上気温上昇抑制目標実現に必要な排出バジェットへの貢献 2020/2030 年における温室効果ガス削減 2050 年までの削減経路

省エネルギー対策による 家庭のエネルギー需要低減効果 注 : 前出 JST/LCS 資料を一部編集

家庭部門のエネルギー需要削減可能性 エネルギー需要石油換算百万トン ~2050 年までに約 50%~ 電力 断熱強化 ガス 石油 省エネ強化 水素 太陽光 バイオ 出典 : 藤野純一 Japan and Asian Low Carbon Society Scenarios and Actions, 2010 年 9 月

温室効果ガス排出と GDP のデカップリング : グリーン成長による低炭素社会の実現 出典 : 西岡修三 低炭素社会への日本の選択 2012 年 7 月 3 日

省エネルギー 再生可能エネルギー普及 のための追加投資額と省エネメリット 出典 : 国立環境研究所 AIM プロジェクトチーム資料 ( 中央環境審議会地球環境部会 2013 年以降の対策 施策に関する検討小委員会配布 2012 年 4 月 13 日 ) より抜粋

長期エネルギー供給モデル分析 (IGES 2012 年 6 月 ) 分析を行ったシナリオ 日本の電力供給 : 下記の 2 つのシナリオを想定 各シナリオでコスト最小となるよう電源構成および国全体のエネルギー供給システムコストを検証 両シナリオの CO 2 排出量 :1990 年水準比 2020 年 17% 減 2030 年 40% 減 2050 年 80% 減と想定 1 レファレンス (REF-LC) シナリオ 福島原発事故以前のエネルギー政策を維持 2 段階的原子力依存低減 (NPO-LC) シナリオ 40 年廃炉 新設なし 2050 年まで段階的低減を想定 出典 :Anindya Bhattacharya et al., Balancing Japan s Energy and Climate Goals: Exploring Post-Fukushima Supply Options, July 2012, IGES ( 以下のスライドも同じ ) 22

長期エネルギー供給モデル分析 (NPO-LC シナリオ ) 部門別最終エネルギー消費 エネルギーキャリア別最終エネルギー消費 23

長期エネルギー供給モデル分析 ( 各シナリオにおける電源構成 ) 24

長期エネルギー供給モデル分析 (2050 年における CO2 排出量の内訳 ) 注 :2005 年排出量のモデル推計も参考として表示 25

長期エネルギー供給モデル分析 (2010-50 年におけるエネルギーシステム総コスト ) 注 : NPO-LC の各費用要素を REF-LC のそれと比較しているため 各費用要素の変化の和は総コスト ( 合計 ) の変化とは一致しないことに留意 26

長期エネルギー供給モデル分析 : 主要な結論 原子力への依存を段階的に低減させても CO 2 排出量を 2050 年までに 1990 年比 80% という大幅削減を図ることは合理的な選択肢 年間平均のコスト増加は 長期的には GDP の 0.13% 程度と限定的 再生可能エネルギー促進のための規制改革 電力インフラの技術的 制度的改革及び産業育成のための更なる財政的支援が必要 CCS 技術の早期商業化のための技術開発 投資が必要 2030 年頃まで ) の新たな天然ガス調達先の確保が必要 原子力依存度低減と CO 2 大幅削減を同時に実現するためには ライフスタイル及び経済構造の変化を通じた一層のエネルギー需要抑制が重要

エネルギー転換 低炭素社会への 移行の挑戦 原子力発電依存度低減 再生可能エネルギー大幅拡大 省エネ抜本強化と CO 2 排出量大幅削減を実現するための課題に取り組む必要 日本の温室効果ガス排出削減が世界的な気候安定化のための排出バジェット実現に長期的にどのように貢献するかを明らかにする必要 専門家 研究者と市民 NGO NPO の連携 協力が重要な役割を果たす