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仮設焼却施設の運転状況(11月4日~12月26日)

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CT1-3 除去土壌の再生利用に対する理解醸成等について

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参考資料 1 中間貯蔵施設の安全確保について 1. 安全確保対策の基本的な考え方 中間貯蔵施設については 万全な安全確保対策を講じ 放射性物質の影響 地震や津波といった災害発生リスクを勘案することとします そのためには まずは 施設の構造上の対策や建設から運営までの過程の中での対策について 中間貯蔵施設全体としてどのような安全確保対策を講ずべきであるかを網羅的に明らかにすることが必要です 今後 次のような点に留意しつつ 有識者による検討行い 必要な安全確保対策を整理していく予定です 既存の基準等が適用される場合は これを遵守した対策を講ずることが不可欠 中間貯蔵施設の安全確保のための構造や維持管理については 類似する施設の例を参考にしつつ 現地の実情を踏まえ 中間貯蔵施設の構造及び維持管理に係る指針を作成し 当該指針に則した対策を講ずることが不可欠 2. 関連する既存の基準等 作業従事者等に対する労働安全衛生上の基準 電離放射線障害防止規則 ( 電離則 ) 労働安全衛生法に基づき定められたもの 具体的には 労働者が電離放射線を受けることをできるだけ少なくするように努めなければならないことを基本原則とした上で 特定の施設内に係る被ばく限度量を明らかにするとともに 放射線測定器を用いて労働者の被ばく線量を測定し 結果を確認 記録すること 適切な保護具の使用による外部への汚染の拡大防止措置等について定められている 東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係る電離放射線障害防止規則 ( 除染電離則 ) 労働安全衛生法に基づき定められたもの 除染特別地域等において 労働者が電離放射線を受けることをできるだけ少なくするように努め 参考資料 1-1

なければならないことを基本原則とした上で 除染等の業務を行う際の労働者の被ばく限度量を明らかにするとともに 電離則と同様の線量測定 外部への汚染拡大防止措置等について定められている 周辺住民 周辺環境に対する放射性物質の影響の低減を図る除去土壌等の運搬等に係る放射性物質汚染対処特措法施行規則 除染関係ガイドライン放射性物質汚染対処特措法に基づき定められたもの 除去土壌等の収集 運搬に当たっては 運搬容器への収納による飛散防止や雨水浸入防止のための遮水シートの設置による流出 漏れ出し防止等 必要な措置を講ずることとしている 公害防止関連法令に基づく基準大気汚染防止法 騒音規制法 振動規制法等に基づき 必要な措置を講ずることが求められる 等 3. 中間貯蔵施設の構造及び維持管理に係る指針 中間貯蔵施設の構造及び維持管理に係る指針については 類似する施設の例を参考に現地調査の結果を踏まえ検討し お示しします なお 類似する施設としては 廃棄物処理施設等が想定されます 一例として 廃棄物処理施設については 廃棄物処理法に基づき 構造基準と維持管理基準が定められています ( 参考 ) 一般廃棄物処理施設の構造基準 ( 抄 ) 自重 積載荷重その他の荷重 地震力及び温度応力に対して構造耐力上安全であること ごみ ごみの処理に伴い生ずる排ガス及び排水等による腐食を防止するために必要な措置が講じられていること ごみの飛散及び悪臭の発散を防止するために必要な構造のものであり 又は必要な設備が設けられていること 著しい騒音及び振動を発生し 周囲の生活環境を損なわないものであること等 参考資料 1-2

4. 安全確保対策の具体的なイメージ 今後 既存の基準等がカバーしている範囲の整理や新たな基準の内容の検討を行い その結果を踏まえて具体的な安全確保対策を講ずることになりますが 現時点において考えられる具体的な対策のイメージは 次のとおりです (1) 施設の構造に係る対策のイメージ 1 放射線の遮へい 覆土やコンクリートによる遮へい ( ) 覆土等による放射線の遮へい効果 厚さ 30cm の土やコンクリートは 放射線量を 98~99% 減少させることができるため 十分な覆土等により 中間貯蔵施設近傍での放射線量は低減 保管する除去土壌等の濃度や量 施設の構造等に応じて 最適な厚さとする予定 ( 参考 ) 覆土等の厚さと遮へい効果の例 厚さ (cm) 覆土による遮へい効果 コンクリートによる遮へい効果 5cm 51% 減 57% 減 10cm 74% 減 79% 減 15cm 86% 減 89% 減 30cm 98% 減 99% 減 2 放射性物質の流出防止 鉄筋コンクリート製の人工構築物外周仕切設備や遮水工の設置 参考資料 1-3

3 モニタリング施設 貯蔵施設周辺での放射線を監視する設備の設置 4 大規模地震 津波 風水害等に対する施設の安全対策 地震に伴い地盤の液状化が予測される場合 地盤改良など必要な液状化対策の実施 ( 下図参照 ) 津波対策については 堤防高を適切に設定するとともに洗堀防止のための対策工事の実施 ( 下図参照 ) 風水害等に対し サイレン スピーカ 警報表示装置 CCTV の配置など 周辺住民等に異常を早期に伝えることができる施設の設置 出典 : 災害復旧の基本的事項とスケジュール (2012 年 東北地方整備局河川部宮城県河川課 ) 参考資料 1-4

(2) 設置から運営に当たっての対策のイメージ 中間貯蔵施設の設置から運営に当たっては 1 施設の建設段階 2 施設の建設後の除去土壌等の搬入段階 3 施設の維持管理段階のそれぞれについての対策のイメージは 以下のとおりです 1 施設建設中放射線対策災害対策施設従事者等周辺エリアの住民地震津波 原則として除染電離則に基づく被ばく管理を実施します 建設作業にあたり 必要な場合には敷地及び周辺エリアの除染を行い 作業環境の放射線量の低減を図ります 粉じんが発生する作業では 防塵ネットを設置するなどの対策により 放射性物質の周辺への飛散を防止します 作業エリア内で発生した水は回収し 排水する場合には 周辺の生活環境に影響がないことを確認します 日常 防災体制の確立 作業中止基準の作成 教育 訓練の実施 マニュアル作成 発生 ラジオ 携帯等による情報収集 迅速な周知 被害状況の把握 安否確認 自治体との連携 日常 防災体制の確立 津波警報発令時の対応マニュアル作成 教育 訓練の実施 発生 ラジオ 携帯等による情報収集 迅速な周知 ( 避難誘導 ) 被害状況の確認 安否確認 自治体との連携 警報解除の確認 参考資料 1-5

2 施設建設後の搬入 a. 施設外での除去土壌等の運搬 放射線対策 災害対策 施設従事者等周辺エリアの住民地震津波 原則として除染電離則に基づく被ばく管理を実施します 除去土壌等の収集 運搬の基準に関する環境省令及びガイドラインに準じた対策 管理を実施します GPS 等による車両の位置確認 除去土壌等の収集 運搬の基準に関する環境省令及びガイドラインに準じた対策 管理を実施します 搬入道路の車両集中箇所において 空間線量のモニタリングを行います フレキシブルコンテナ等の容器 ( 図 1) や梱包材 水密性を有する運搬車両等により 放射性物質の飛散 流出 漏れ出し防止や遮へい対策を講じます 日常 防災体制の確立 定期的な安全研修 訓練の実施 効率的な運搬計画の立案 発生 車両即時停車 安全確保 安全確認 被害状況の把握 安否確認 日常 防災体制の確立 定期的な安全研修 訓練の実施 効率的な運搬計画の立案 発生 車両即時停車 安全確保 ( 避難 ) 警戒解除 安全確認 被害状況の把握 安否確認 参考資料 1-6

除去土壌の収集 運搬に係るガイドラインに掲げられた対策例 ( 参考 ) 飛散 流出 漏れ出しの防止 フレキシブルコンテナ等の容器に入れること シート等で梱包すること 有蓋車で運搬すること等による飛散防止措置を講ずる 水分を多く含んでいる除去土壌の場合 水切りを行い 水を通さない容器を用いること 防水性シートを敷く等による流出 漏れ出し防止措置を講ずる 運搬車に土壌が付着している場合 出発前に運搬車の表面やタイヤを洗浄すること等による飛散 流出防止措置を講ずる 遮へい 運搬車の表面から 1m 離れた位置での最大の線量率が 100μSv/h を超えないことを確認する これを超える場合 遮へい材を施す又は運搬する除去土壌の量を減らす等による遮へい措置を講ずる その他 運搬ルートの設定に当たっては 可能な限り住宅街 商店街 通学路 狭い道路を避ける等 地域住民に対する影響を低減するよう努める 除去土壌の積み込みに当たっては 低騒音型の重機等を選択し 騒音を低減する 図 1 運搬時や貯蔵時に用いる廃棄物 除去土壌を収納する容器等の例 参考資料 1-7

b. 施設内での分別 減容等の処理及び貯蔵設備への搬入放射線対策災害対策施設従事者周辺エリアの住民地震津波 原則として電離則に基づく対策 管理を実施します 除去土壌等は覆土等 ( 図 3) により遮へいを確保し 施設内の空間線量の低減を図ります 廃棄物等を容器 ( 図 1) 梱包材や貯蔵設備 ( 図 2) に収納したり 上部に覆土を行うことで 放射性物質の飛散や漏出を防止します 必要な場合には 適切な保護具 ( ) を装着して作業を行います 除去土壌等は覆土等 ( 図 3) により遮へいを行い 施設周辺の空間線量の低減を図るとともに 施設近傍への立ち入りを制限します 粉じん等の飛散の可能性がある作業は屋内で実施するなど 放射性物質の飛散防止対策を講じます 施設内で発生した水は回収し 排水する場合には 周辺の生活環境に影響がないことを確認します 施設周辺の空間線量や地下水の放射能濃度のモニタリングを行い 中間貯蔵施設が健全であることを監視します 日常 防災体制の確立 定期的な安全研修 訓練の実施 効率的な運搬計画の立案 発生 車両即時停車 安全確保 安全確認 被害状況の把握 安否確認 日常 防災体制の確立 定期的な安全研修 訓練の実施 効率的な運搬計画の立案 発生 車両即時停車 安全確保 ( 避難 ) 警戒解除 安全確認 被害状況の把握 安否確認 参考資料 1-8

中間貯蔵施設における除去土壌等の分別などの作業では 除去土壌等をフレキシブルコンテナから取り出して取り扱うケースも想定され 高濃度粉じん作業をする場合などには 防塵マスクなどの保護具の装着が作業員の被ばく防止対策の一つになると考えています ( コンクリートを用いた対策例 ) ( 遮水シートを用いた対策例 ) 図 2 中間貯蔵施設における流出防止対策の例 図 3 中間貯蔵施設における遮へい対策の例 参考資料 1-9

3 施設の維持管理 ( 貯蔵中 ) 放射線対策災害対策施設従事者等周辺エリアの住民地震津波 原則として電離則に基づく対策 管理を実施します 除去土壌等は覆土や鉄筋コンクリート ( 図 3) により遮へいを確保し 施設内の空間線量の低減を図ります 廃棄物等を容器 ( 図 1) 梱包材や貯蔵設備 ( 図 2) に収納したり 上部に覆土を行うことで 放射性物質の飛散や漏出を防止します 除去土壌等は覆土や鉄筋コンクリート ( 図 3) 等により遮へいを行い 施設周辺の空間線量の低減を図ります 廃棄物等を容器 ( 図 1) 梱包材や貯蔵設備 ( 図 2) に収納したり 上部に覆土を行うことで 放射性物質の飛散や漏出を防止します 施設内で発生した水は回収し 排水する場合には 周辺の生活環境に影響がないことを確認します 日常 防災体制の確立 教育 訓練の実施 マニュアル作成 発生 ラジオ 携帯等による情報収集 迅速な周知 被害状況の把握 安否確認 自治体との連携 モニタリングによる施設の安全確認 日常 防災体制の確立 津波警報発令時の対応マニュアル作成 教育 訓練の実施 発生 ラジオ 携帯等による情報収集 迅速な周知 ( 避難誘導 ) 被害状況の把握 安否確認 自治体との連携 警報解除の確認 モニタリングによる施設の安全確認 施設周辺の空間線量や地下水の放射能濃度のモニタリングを行い 中間貯蔵施設が健全であることを監視します 参考資料 1-10

参考資料 2-1 放射線量 (msv/y) 放射線量 (msv/y) 中間貯蔵施設の敷地における放射線量の推定 ( 敷地外の年間被ばく線量が 100mSv/y の場合 ) 参考資料 2 JAEA が実施した 汚染土壌の除染領域と線量低減効果の検討 を参考に 中間貯蔵施設設置後の敷地内における放射線量について検討を行いました 搬入した除去土壌等から受ける放射線量は 覆土無しの場合で 20mSv/y 覆土 30cm を行うことで 0.2mSv/y 程度まで低減されると推定されます 敷地外から受ける放射線の影響は 敷地中心付近で 10mSv/y 敷地境界近傍で 20~50mSv/y 程度と推定されます 貯蔵範囲 100 80 上方に放出された放射線のうち 大気により散乱され地上に戻ってくるもの 60 搬入される土壌の濃度 4 万 Bq/kg ( ) 4 万 Bq/kg 土壌の放射線量 20mSv/y 覆土 (30cm) の遮へい効果 99% 200 40 20 150 100 50 0 50 100 150 200 中央からの距離 (m) 覆土厚 30cm 覆土厚さと線量率低減比の関係 ( 出典 汚染土壌の除染領域と線量低減効果の検討 (2011 年 日本原子力研究開発機構 )) ここでは 年間追加被ばく線量が約 20mSv/y の地域で除染により生じる土壌を搬入すると仮定し 搬入土壌の平均濃度を 4 万 Bq/kg としています 敷地中心からの距離と放射線量の関係 : 除去土壌等 放射線の発生源 搬入した除去土壌等 敷地外からの影響 敷地内の放射線量 0.2mSv/y 10~50mSv/y 貯蔵範囲 100mSv/y 100mSv/y 100mSv/y ( ハ ックク ラウント :BK) 中間貯蔵施設設置前 除染及び施設の設置 施設設置後の放射線量分布 ( 推定 )

参考資料 2-2 放射線量 (msv/y) 中間貯蔵施設の敷地における放射線量の推定 ( 敷地外の年間被ばく線量が 10mSv/y の場合 ) 敷地外の年間被ばく線量が 10mSv/y の場合の中間貯蔵施設設置後の敷地内における放射線量についても検討を行いました 搬入した除去土壌等から受ける放射線量は 覆土無しの場合で 20mSv/y 覆土 30cm を行うことで 0.2mSv/y 程度まで低減されると推定されます 敷地外から受ける放射線の影響は 敷地中心付近で 1mSv/y 敷地境界近傍で 2 ~5mSv/y 程度と推定されます 貯蔵範囲 10 8 上方に放出された放射線のうち 大気により散乱され地上に戻ってくるもの 6 搬入される土壌の濃度 4 万 Bq/kg( ) 4 万 Bq/kg 土壌の放射線量 20mSv/y 覆土 (30cm) の遮へい効果 99% 4 2 200 150 100 50 0 50 100 150 200 中央からの距離 (m) 覆土厚 30cm 覆土厚さと線量率低減比の関係 ( 出典 汚染土壌の除染領域と線量低減効果の検討 (2011 年 日本原子力研究開発機構 )) ここでは前頁との比較のため 搬入土壌の平均濃度を 4 万 Bq/kg としています 敷地中心からの距離と放射線量の関係 : 除去土壌等 放射線の発生源 搬入した除去土壌等 敷地外からの影響 敷地内の放射線量 0.2mSv/y 1~5mSv/y 10mSv/y 10mSv/y 10mSv/y 10mSv/y 10mSv/y ( ハ ックク ラウント :BK) 中間貯蔵施設設置前除染及び施設の設置施設設置後の空間線量分布 ( 推定 )

参考資料 3 現地における調査の概要 1. 各調査項目の目的と方法 調査項目 目的 アウトプット 方法 施設概要の具体化 ボーリング調査等の調査の実施地点の特定 ため池や井戸等の 調査候補地周辺を調査員が歩き 観察等を実施 現地踏査 水源 ( 水みち ) の把握 地表に露出している地質の観察を通じた地質分布状況の把握 ボーリング調査 除去土壌等の保管施設等の安全性確保 構造等を検討するための地質や地下水位等の把握 地盤の硬さ等の把握 現地踏査や文献調査等から調査ポイントを選定し 地面を削孔するなどして得た試料等を分析し 地質や地下水位等の把握 地盤の硬さなどを把握 調査作業員の健康管理 施設設 各調査の実施に先立ち 調査場 計や安全性評価のための基礎的 所の空間線量を計測する また 線量測定 データの取得 併せて 環境影響評価を行うための補完的なデ 施設設計や安全性評価等ができるよう 代表的な地域 地点に ータの取得 おいて空間線量を計測 盛土の締め固めに必要となる重 調査候補地周辺で代表性のある 盛土試験 機の転圧回数等を把握 土を掘削 採取し その土を試験場所に運搬し 盛土を形成し 重機での締め固めを実施 環境保全 環境への影響を評価するために 大気 水質 騒音 振動 動植 策の策定 必要な動植物等の現況の把握 物 景観等の一般的な環境調査 環境調査 併せて 放射性物質による人や野生生物への影響の評価のため に加え 線量測定でカバーできていない地域における空間線量 のデータの取得 を計測 交通量調 査 道路 状況調査 搬入計画 の策定 除去土壌等の搬入計画策定のた めに必要な交通量や道路状況の 把握 現地踏査の結果等を踏まえ 調査候補地周辺において 交通量の調査及び道路の被災状況の調査を実施 参考資料 3-1

現段階での調査工程表 ( 案 ) 調査期間 ( 月 ) 調査目的調査項目アウトプット 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 調査地点等の確定 ( 調査計画の立案 ) 現地踏査 水みち等の把握 地質分布状況の把握 1 地質 地下水位などの把握 施設概要の具体化 ボーリング調査 地盤の硬さなどの把握 試験のための試料採取及び土質試験 調査事前線量把握 ( 作業員管理 ) 各調査地点にて都度実施 線量測定 施設設計 安全性評価用データの取得 2 盛土試験 重機転圧回数など施工方法の検討 環境保全のため配慮すべき事項の抽出 環境保全対策の策定 環境調査 動植物等の現況の把握 道路状況の把握 搬入計画の策定 交通量調査 道路状況調査 交通量の把握 ( 準備 ) 3 交通流シミュレーション とりまとめ レビュー 各調査項目については 該当する調査候補地において順次実施することとなります とりまとめ レビューの結果を踏まえ その後も調査を実施することがあります 表中の矢印について 1 現地踏査の結果を踏まえ ボーリング調査を行う地点を選定 2 試験のための試料採取後 盛土試験に適した調査候補地を選定 3 必要な交通量データを得た後 交通流シミュレーションを実施 4 調査結果が集まり次第とりまとめる 4 報告 参考資料 3-4