希望するみんなが保育園に入れる社会をめざす会 潜在待機児童数に関する考察 1. はじめに希望するみんなが保育園に入れる社会をめざす会 ( 以降 本会 と記す ) では 待機児童が概ねゼロになる状況をめざす上で 保育園を増やしても待機児童問題が解消されない原因を把握し その原因を

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2. 子ども人口の推計について 人口推計は 今後の教育 保育の量の見込みを算出する上で非常に重要であるため 改めて平成 30 年度及び平成 31 年度の人口推計値を算出しました 当初計画値と実績値を比較すると 人口は計画値ほど減少しないことから平成 30 年度以降も人口減少は緩やかなものとして見直し

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平成28年度企業主導型保育事業の助成決定について(第1回)


1 計画改訂の趣旨 (1) 趣旨 1 (2) 見直しのための考え方 2 (3) 対象期間 2 (4) 対象事業 2 2 教育 保育の 量の見込み 及び 確保方策 について (1) 就学前の推計児童数 3 (2) 教育 保育の 量の見込み 3 (3) 量の見込み に対する 確保方策 4 (4) 見直し

教育 保育の量の見込み及びその提供体制 1 号認定及び 2 号認定 (3~5 歳児 ) について 利用児童数は 1 号及び 2 号認定の利用児童数と私学助成を受ける私立幼稚園の園児数より算出 1 号認定の利用児童数は 施設型給付費等の基礎資料に関する調査 による ( 時点は各年 4 月 1 日 )

茨木市待機児童解消保育所等整備計画 ( 平成 30~32(2020) 年度 ) 平成 30 年 12 月 茨木市

教育 保育提供体制 平成 27 年度 見込量 確 ( 提保供方量策 ) 子ども 子育て支援事業の確保方策について 市全域 認定こども園 保育所 地域型保育 1 号認定 2 号認定 3 号認定 3 歳以上教育希望 3 歳以上教育希望 3 歳以上保育必要 1~2 歳保育必要 0 歳保育必要

居宅介護支援費Ⅰの算定上限(40件)の範囲

3. 量の見込み 算出の手順 (1) 量の見込みの算出方法量の見込みの算出にあたっては 利用希望把握調査の結果を基礎データとして用います 算出方法は 国が平成 26 年 1 月に提示した 市町村子ども 子育て支援事業計画における 量の見込み の算出等のための手引き を基本としつつ 子育て安心プラン

流山市子ども・子育て会議

平成 26 年 8 月 仙台市 認可保育所利用申請者数 15,077 人 14,340 人 13,826 人 認可保育所入所者数 13,994 人 13,401 人 13,069 人 市の保育施策で対応している児童数 人 174 人 157 人 待機児童数 人 533 人 4

もうすぐ市長選 # 子育て政策聞いてみた 候補者政策アンケート 市長選挙に際し 待機児童解をはじめとする子育て政策について ご意見をお聞かせくださ い いただいたご回答は 1) 回答全文 2) 候補者回答一覧まとめ * 各項目に目安文字数を記載しています 各回答文頭から目安文字数分を抜粋し ま とめ

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子ども・子育て支援新制度の解説資料 1.制度概要 その1

1 計画見直しの趣旨 中央区では 平成 27 年 4 月の子ども 子育て支援新制度実施に伴い 幼児期の教育 保育および地域子ども 子育て支援事業の提供体制の確保を円滑に行うため 子ども 子育て支援施策を中心に 母子保健 教育 ワーク ライフ バランス等の取組を総合的に推進する ( 以下 本計画 とい

幼児教育無償化による家計への影響試算

草津市 ( 幼保一体化 ) 集計表 資料 4 幼児教育と保育の一体的提供のための現況調査 ( 施設アンケート ) 速報 平成 25 年 7 月草津市 1

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2 市町村別 保育所等利用待機児童数の推移 市町村名 22 年度 23 年度 24 年度 25 年度 26 年度 27 年度 28 年度 29 年度 (A) 30 年度 (B) ( 各年 4 月 1 日現在 単位 : 人 ) 対前年比 (B-A) 保留児童数 横浜市 1,

幼児教育 保育の無償化の実施について 1 子ども 子育て支援新制度の趣旨に沿った無償化の実施を! 子ども 子育て支援新制度 では 一人ひとりの子どもが健やかに成長することができる社会 子どもの最善の利益が実現される社会を目指しています まずこの目指すべき姿に沿った幼児教育 保育の無償化を図るべきです

仙台市基礎データ

( 事業所税の課税標準の特例 ) 第三十三条 ( 略 ) 2~5 ( 略 ) 6 平成二十九年四月一日から平成三十一年三月三十一日までの期間 ( 以下この項において 補助開始対象期間 という ) に政府の補助で総務省令で定めるものを受けた者が児童福祉法第六条の三第十二項に規定する業務を目的とする同法

1 需給計画策定に関する基本方針等 教育 保育提供区域の設定 教育 保育提供区域 とは 地域の実情に応じて 保護者や子どもが居宅より容易に移動することが可能な区域として市町村が定める区域のことですが 札幌市においては原則として 行政区単位の設定 とし 一部の事業についてのみ 札幌市全域 とします 量

3 今後の取組み 本県では 認可保育所等に対する潜在的ニーズも根強いことから 引き続き市町村と連携して 保育所等の整備を進め 定員の拡充に努めてまいります あわせて保育所の整備に伴って顕在化している保育士不足への対応として 潜在保育士の職場復帰支援や 全国共通の保育士試験の年 2 回実施などによる保

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3 保育の必要性の認定の対象とはならない場合 ( 例 : 専業主婦家庭等 ) どのような施設の利用が無償化の対象になりますか 3 歳から5 歳までの子供について 幼稚園 認定こども園 (4 時間相当分 ) は無償化の対象となります なお この場合 預かり保育は無償化の対象となりません このほか 就学

 

Taro-平成27年度の取り組み(資料:1)

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希望をかなえるまちづくり 結婚 出産 子育て 結婚 出産 子育ての希望実現 1 結婚や出産に対する支援の充実 一人ひとりが結婚や出産について諦めることなく取 り組める環境をつくることによって まちに家族を持つこ との幸せをもたらします 結婚を希望する人の未婚率の改善 結婚や妊娠 出産に関するライフプ

意見聴取の目的 教育 保育施設 地域型保育事業 の運営開始の申請がなされた場合 佐賀市は 佐賀市子ども 子育て会議 で意見を聴取し を設定しなければなりません 新規設定のみ意見聴取 定員の変更については 会議の意見聴取は不要 事業開始までの流れ 1 都道府県 市町村による施設の認可 2 市町村による

物価指数研究会(第2回) 2015年基準 モデル式の検討「授業料」・「保育料」

平成 27 年 3 月 田川市

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1 子ども 子育て支援新制度がはじまります 子ども 子育て支援法 等の成立により すべての子どもと子育て家庭を総合的に支援していく 子ども 子育て支援新制度 が平成 27 年 4 月から全国的にスタートします 子ども 子育て支援新制度 では 幼稚園や保育所 地域の子育て支援の充実を図るとともに 認定

2 平成 27 年度の需要量見込みを記載 ( 平成 3 年度までの各年度の需要量見込みについては 別紙を参照 ) 平成 27 年度推計児童数 ( 人 ) 年齢 平成 27 年度推計児童数 参考 平成 26 年 月現在人口 0-2 歳人口 3,68 2, 歳人口 2,278 2,323

 

平成17年度予算案事業本部・局別記者発表日程表(案)


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2 就学前の教育 保育施設の認可について旧制度では 保育所 幼稚園等の設置について 各根拠法令に基づき 県知事による認可等の手続きがありましたが 新制度においては 地域型保育事業 ( 小規模保育事業 家庭的保育事業等 ) について 新たに認可制度が設けられ 市が定める設備および運営の基準 ( 彦根市

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3歳未満児3歳以上児教育標準時間 2 保育の必要量の認定 の導入 新制度では パートタイマーなど短時間就労の保護者のお子さんも 公的保育が利用できるように 保育の必要量の認定 が導入されます 保護者の就労状況等に応じて 保育標準時間 保育短時間 の認定がされます 保育短時間 保育標準時間 3 号認定

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2 保育所等数 定員数の状況 7,300 人超の保育所等定員増 平成 29 年 4 月 1 日現在の県内の保育所等数 定員数は 安心こども基金の活用等による保育所等 ( 保育所 認定こども園 小規模保育事業等 ) の整備により 2,072 か所 ( 前年比 168 か所増 +8.8%) 146,07

資料 1 子ども 子育て支援新制度における利用者負担について 1 設定が必要な利用者負担額 1 号認定 認定区分対象該当施設 事業 3 歳以上保育が必要ない 2 号認定 ( 標準時間 ) 3 歳以上 2 号認定 ( 短時間 ) 保育が必要 3 号認定 ( 標準時間 ) 0~2 歳 3 号認定 ( 短


資料2:修正一覧

2. 小規模保育等改修費支援 ( 一部推進枠 ) 18,540 百万円 (19,952 百万円 ) 保育対策総合支援事業費補助金 待機児童解消加速化プランに基づき 意欲のある自治体の取組を強力に支援するため 補助率の嵩上げ (1/2 2/3)( ) による小規模保育等の設置を促進する 賃貸物件による

目 次 Ⅰ 方針の策定にあたって 1. 趣旨 1 Ⅱ 保育園の現状と課題 1. 保育園の現状 1) 認可保育園の設置状況 2 2) 保育需要 2 3) 町立保育園の児童数 4 4) 保育施設の状況 4 5) 保育園の運営費 4 6) 保育サービス 5 2. 保育園の課題 1) 保育 子育て支援サービ

ポイント 〇等価尺度法を用いた日本の子育て費用の計測〇 1993 年 年までの期間から 2003 年 年までの期間にかけて,2 歳以下の子育て費用が大幅に上昇していることを発見〇就学前の子供を持つ世帯に対する手当てを優先的に拡充するべきであるという政策的含意 研究背景 日本に

第2節 茨木市の現況

子育て支援事業要件事業例就学前の子どもに関する教育 保育等の総合的な提供の推進に関する法律施行規則(内閣府 文部科学省 厚生労働省令)第2条第1号に掲げる事業第2号に掲げる事業第3号に掲げる事業第4号に掲げる事業第5号に掲げる事業取扱基準別表 ( 第 7 条関係 ) 地域の子ども及びその保護者が相互

2 時間外保育 ( 延長保育 ) 事業 < 幼保運営課 > 単位 : 人 実施年度 平成 27 年度平成 28 年度平成 29 年度平成 30 年度平成 31 年度 平成 27 年度 施設数 166 か所延利用児童数 55,983 人 ( 参考平成 26 年度 ) 施設数 129 か所延利用児童数

目次 第 1 章再編計画策定の趣旨 2 第 2 章就学前の子育てを取り巻く状況の変化 3 第 3 章再編計画の基本的な考え方 7 第 4 章公立幼稚園再編 ( 認定こども園整備 ) 計画 9 2

保育ニーズ等に対応した量の確保と 豊岡の子どもたちがより豊かに育っていけるための教育 保育のさらなる質の向上を図ることを第一とし 施設の再編整備の視点を踏まえつつ めざすべき基本方向とその方向を実現するための方策等を定めるという本計画の趣旨に基づいた素案を作成すること また 幼児教育無償化が実施され

平成 28 年度施策評価シート 基本目標 1 みんなで支え合い 未来につなぐまちづくり 基本施策 3 多世代連携による子育て支援の充実 単位施策名称 1 子育て世代への重点支援所管部 施策の方向性 結婚 妊娠 出産 育児 ( 未就園児 ) の切れ目のない支援を行う仕組みづくりを構築し 結婚支援を含め

図表 1 人口と高齢化率の推移と見通し ( 億人 ) 歳以上人口 推計 高齢化率 ( 右目盛 ) ~64 歳人口 ~14 歳人口 212 年推計 217 年推計

平成30年度 子ども家庭局 保育課 予算概算要求の概要

待機児童問題と 待機児童解消に向けた取り組み 4 年 10 組 11 番小林明日香

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私立幼稚園の新制度への円滑移行について

を中心に待機児童が生じている 待機児童数は 平成 22 年度以降減少傾向にあったが 女性の就業が更に進んだことや 子ども 子育て支援新制度 の施行等により 保育所等の利用申込者数が増加したことから 平成 29 年 4 月 1 日時点の待機児童数は約 2 万 6 千人となった 政府は 待機児童の解消に

第2節 茨木市の現況

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広域利用の実態が異なる場合の考え方 保育整備計画との関係項目内容 6) 広域利用の実態が異なる場地域型保育事業の認可の際に行われる需給調整の判合の考え方断基準となること等から 学校就学前子どもの区分 ( 認定区分 ) ごと 地域子ども 子育て支援事業の事業ごとに教育 保育施設等及び地域子ども 子育て

1 一時預かりの形態について Q: 一時預かり事業にはどのような形態があるのか A: 千葉市では 一般型 ( 基幹型 ) 余裕活用型 幼稚園型の3 形態に分かれます (1) 一般型通常保育の定員数とは別に 一時預かり専用の定員を設けて頂くものであり 例えば 通常保育が定員 50 人であれば その50

平成17年度予算案事業本部・局別記者発表日程表(案)

目次 1. 研究背景 2. 研究目的 3. 使用データ概要 4. 分析概要 5. クラスター分析 6. 主成分分析 7. 結果 8. 改善策 9. まとめ参考文献 APPENDIX 2017 年 S-PLUS&VISUAL R PLATFORM 学生研究奨励賞 2

第 2 章 子どもと子育てを取り巻く現状

1 幼稚園教育の意義と成果幼稚園教育は 生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児期における重要な教育であり 小学校以後の発達に少なからぬ影響を及ぼすものである 特にも よりよい教育環境の中で 教師との信頼関係に基づき 幼児期の特性を踏まえて展開される活動や指導が その後の学力や意欲 勤勉性や協調性などに

平成 30 年度子ども未来部の主な取り組みの概略について 重点的な取り組み 新規 拡充要素 妊娠 出産 子育ての切れ目のない支援 ( 少子化対策 ) 次期未来プラン策定開始 取り組みの内容 妊娠 出産 子育ての切れ目のない支援 ( 少子化対策 ) 佐世保市まち ひと しごと創生総合戦略が後半戦を迎え

はじめに子ども 子育て支援法第 61 条において 市町村は 国が示す基本指針 ( 教育 保育及び地域子ども 子育て支援事業の提供体制の整備並びに子ども 子育て支援給付並びに地域子ども 子育て支援事業及び仕事 子育て両立支援事業の円滑な実施を確保するための基本的な指針 ( 平成 26 年内閣府告示第

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23 歳までの育児のための短時間勤務制度の制度普及率について 2012 年度実績の 58.4% に対し 2013 年度は 57.7% と普及率は 0.7 ポイント低下し 目標の 65% を達成することができなかった 事業所規模別では 30 人以上規模では8 割を超える措置率となっているものの 5~2

はじめに 平成 29 年 12 月 8 日に閣議決定された 新しい経済政策パッケージ では 広く国民が利用している3 歳から5 歳までの全ての子供たちの幼稚園 保育所 認定こども園の費用を無償化することとし 幼稚園 保育所 認定こども園以外の無償化措置の対象範囲等については 専門家の声も反映する検討

幼保無償化PJ参考資料

齢別人口等の推移と結婚等に対する住民意識 ( 人 ) 齢 ( 3 区分 ) 別人口の推移 2,000,000 推計値 1,800,000 1,600,000 1,400,000 1,200,000 1,000, , , , ,


第17回税制調査会 資料1-3

平成 29 年 4 月 1 日時点での待機児童の状況 ( 暫定値 ) について 全市区町村のうち 回答の提出があった市区町村数 H 待機児童数 全市区町村のうち 回答の提出があった市区町村数 H 待機児童数 北海道 176 か所 / 179 か所約 100 人滋賀県 19 か

を中心に待機児童が生じている 待機児童数は 平成 22 年度以降減少傾向にあったが 女性の就業が更に進んだことや 子ども 子育て支援新制度 の施行等により 保育所等の利用申込者数が増加したことから 平成 27 年 4 月 1 日時点の待機児童数は約 2 万 3 千人となった 政府は 待機児童の解消に

(1) 家庭的保育事業 項目 国基準 区分 保育業者 家庭的保育者 市町村長が行う研修を修了した保育士 保育士と同等以上の知識及び経験を有すると市町村長が認める者 家庭的保育補助者 市町村長が行う研修を修了した者 数 0~2 歳児 3:1( 家庭的保育補助者を置く場合 5:2) 保育を行う専用居室

1 認可保育所への入所と費用の流れ ( 日本保育協会 HP より抜粋 ) 保育所への入所と費用の流れの全体像 6 徴収 7 負担金 補助金 保護者 1 入所申し込み 市区町村 国 2 入所決定 保育に欠ける児童 4 保育 2 保育委託 5 保育費用の支払い 7 負担金 補助金 3 入所 保育所 都道

シンポジウムプレゼン

データで見る保育園待機児童問題-潜在待機児童や地域差を考慮した政策を

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第 3 章 保護者との関わり 子育て支援 に来園する親子の平均組数は 国公立で 14.1 組 私立で 19.2 組だった ( 図 表 3-3-1) では どのようなことを親子は体験しているのだろうか 実施内容について複数回答で聞いたところ 私立幼稚園と国公立幼稚園で違いがみられた (

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1. 推計の概要 ブログ SNS 市場の市場規模の現状や将来動向について 推計を実施 具体的には ブログ SNS 市場及び関連市場の定義を行い それぞれについて 28 年度の市場規模を推計した また 21 年度の市場規模予測も行った (P3~4 参照 ) 推計に当たり 利用者数や閲覧数といった ブロ

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第 1 子出産前後の女性の継続就業率 及び出産 育児と女性の就業状況について 平成 30 年 11 月 内閣府男女共同参画局

保育課PR版(29予算案)

Transcription:

潜在待機児童数に関する考察 1. はじめに ( 以降 本会 と記す ) では 待機児童が概ねゼロになる状況をめざす上で 保育園を増やしても待機児童問題が解消されない原因を把握し その原因を解消するための対策が講じられるよう 当事者の声を集め伝えていくことが必要であると考えています また 政府の政策において 幼児教育無償化と並んで 保育の受け皿 32 万人分の整備による待機児童解消 が示されていますが 一方で 32 万人分の整備では待機児童が解消されない可能性も懸念されます 待機児童が未解消の状況 つまり希望する人が保育園に入れない状況で 保育園に入ることができた人を対象とした無償化が行われると 入れた人と入れない人の格差が拡がってしまうのではないかと危惧しています これらの背景から 逸散しがちである待機児童問題に関する現時点での公的データや記事を整理し 本会のめざすべき姿を明確にすることと 32 万人分の整備の是非を検討するに資する資料を得ることを目的として 潜在待機児童数に関して考察いたしました 2. 政府による過去 / 将来のプラン平成 25 年度 ~ 平成 29 年度の 5 年で 59 万人分の保育の受け皿を増やす予定で政府は対策を進められており 実際にはその人数を上回る拡大量が整備されつつある状況と理解しています さらに 今年 6 月に発表された 子育て安心プラン では この先 3 年で 22 万人分の枠を増やして待機児童ゼロを達成し さらにその先 2 年で 10 万人の枠を増やすことで 待機児童ゼロをキープするとしています 一方 図 1 に示すように 保育の受け皿が確実に拡大しているものの 待機児童数および隠れ待機児童数は減少していません 加速度的に進む女性の社会進出や 保育の受け皿拡大が新たな潜在ニーズを顕在化している現象が背景にあると考えられることから 私たちは潜在待機児童を把握した上で あとどれだけ受け皿を増やせば良いのかを検討することが重要であると考えています 図 2 に 私どもの方で調べた待機児童に関する政策 調査の年表を示します 潜在待機児童数に 1 関しては 厚生労働省が実施した平成 20 年の調査結果により 当時 85 万人いたと推計されていますが その後 同様の調査は行われておりません また 平成 26 年に市町村子ども 子育て支援事業計画による調査が各自治体で行われましたが 収集した需要に対して自治体ごとに圧縮率を掛けた人数で厚生労働省への報告がなされたという事実が 議事録等に残されております この点について厚生労働省に確認し 圧縮した事実があることは把握しているが 自治体ごとの圧縮率などは把握していない という回答を得ています 以上より 潜在待機児童数について 正確に現状が把握されない状況で 32 万人 という整備量が示されている状況にあると私たちは理解しています 1:http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/09/dl/s0911-3d_0006.pdf

加速度的に進む女性の社会進出 ( 万人 ) 70 2 隠れ待機児童数 1 待機児童数保育拡大量 (H25 年度からの累計 ) 60 50 40 30 20 10 0 増える 6.9 増える 2.6 6.7 増やす 2.4 59.3 5.9 増やす 2.3 42.8 31.4 22.0 2.1 7.2 2.3 H25.4 H26.4 H27.4 H28.4 H29.4 H30.4 図 1 待機児童が減らない仕組み 保育所等関連状況取りまとめ ( 平成 29 年 4 月 1 日 ) 及び 待機児童解消加速化プラン 集計結果 ( 厚生労働省 ) の数値を参考に本会が作成 受け皿 2001 (H29) 2008 2012 2013 2014 2017 2018 2019 212 万 224 万 229 万 274 万 290 万 298~301 万 62 万 24~27 万 2019.4.1まで TOTAL 86~89 万の枠拡充の予定 政策 待機児童ゼロ作戦 2004 年度までに 15 万人拡充 新待機児童ゼロ作戦 <2018 年の目標 > 保育サービス(3 歳未満児 ) の提供割合 38%( 当時 20%) 利用児童数(0~5 歳児 )100 万人増 放課後児童クラブ( 小学 1 年 ~3 年 ) の提供割合 60%( 現行 19%) 登録児童数 145 万人増 待機児童解消加速化プラン 2013~2017 の 5 年間で 53 万の枠拡充を行い待機児童ゼロとする ( 見込 :59 万の枠拡充 ) 子育て安心プラン 2018~2019 で 22 万 の枠拡充で待機児童ゼロとする 2020 で 10 万 で待機児童ゼロを維持 2017.6 2017 末待機児童ゼロを先送り 調査 新待機児童ゼロ作戦に基づくニーズ調査 推定潜在待機児童 85 万人 H29 年度の推定保育ニーズ予測 3 歳未満 :46.8% 3~6 歳 :52.8% 幼稚園預かり保育含めると約 80% 市町村子ども 子育て支援事業計画による調査 H29 年度末の推定保育ニーズ予測 0 歳児 23.2 万人 1 2 歳児 91.5 万人 3~6 歳児 (2 号認定の その他 ) 142.7 万人合計 254.7 万人 潜在待機児童の調査ではなく 支給認定の申請があった人数に ある割合で圧縮率をかけたもの 総務省統計局 H24 年就業構造基本調査 就業を希望しているが 出産 育児のため 求職活動をしていない女性は 113 万 4 千人 図 2 待機児童問題に関する政策 調査の年表

3. 潜在待機児童数の推計調査結果が網羅的に把握, 理解できていない状況と認識しつつも 現時点で把握している既往のデータや調査から一応の待機児童数の推計を行いたいと考え 以下 (1) および (2) に示す 2 通りの方法で検討を行いました また 参考資料として シンクタンクによる潜在待機児童数の推計結果を (3) に提示します (1) 保育サービスを受けていない児童数からの推計 保育所の入所申込みをしたが 未だ入所できていない児童 だけでなく 何らかの保育サービスを必要とする待機児童 を潜在待機児童と捉え 以下の記事を参考に推計しました < 潜在待機児童数 171 326 万人 > 厚労省の試算 5 万人とはケタ違い? http://www.excite.co.jp/news/society_clm/20160324/mediagong_16031.html","http://w ww.excite.co.jp/news/society_clm/20160324/mediagong_16031.html 保育サービスを受けていない児童数 =(a) 就学前児童数 -((b) 保育所利用児童数 +(c) 認可外保育施設入所児童数 +(d) 事業所内保育施設入所児童数 +(e) 幼稚園児 ) =(a)6,009,000 人 -((b)2,546,669 人 +(c)177,877 人 +(d)73,660 人 +(e)1,402,448 人 ) =1,808,346 人 未就学児がいる世帯の平均未就学児童数は 1.33 人であることを考えると 上記の 180.8 万人を抱える母親の数は 135.9 万人となります 平成 26 年度子育て世帯全国調査によると 保育の手段があれば働きたい未就学児ありの既婚女性の割合は 31% なので 135.9 万人 0.31=42.1 万人の母親が保育の手段があれば働く希望を持っているという計算になります この 42.1 万人の母親が 1 人あたり 1.33 人の未就学児を抱えていると仮定すると 潜在待機児童数は 56.0 万人いるという計算になります いかなる保育サービスにも繋がっていない児童の中で 可能であれば保育園に入ることを希望している児童数であり 少なく見積もった形の推計値でも 56 万人の潜在大機児童が存在していると考えられます

(2) ツイッターアンケートからの推計私たちで 2017 年 2 月 15 日にとったアンケートでは 図 3 のような結果が得られました 保育園に入ることができた人に対する申請していない人の割合は 34% (36%+17%)= 64% となります 今年 4 月に保育園に入園できた人は 255 万人であることから 255 万人 0.64=163 万人の規模の人が 当初から認可保育園に入ることを諦めて申請していない可能性があります この人数に 待機児童 +いわゆる隠れ待機児童の合計 9 万人を足すと 172 万人となります このうち 申請せずに認可外保育園に入園できた人も一定数いると考えられることから 前頁の (c)+(d) の約 25 万人を 172 万人から引くと 147 万人が潜在待機児童として存在している可能性があると考えることができます ツイッターでのアンケートであるため 母集団の属性などが不明なデータとなっており 正確性に乏しいと認識しつつも 一つの試みとして推計を行ってみた次第です 図 3 ツイッターアンケート結果画面 (3) 野村総合研究所の推計 2017 年 5 月 29 日に開催された第 253 回 NRI メディアフォーラム 政府の女性就業率目標を達成するためにはどの程度の保育の受け皿が必要か において示された株式会社野村総合研究所の推計では 2020 年までに新たな整備が必要な保育の受け皿は 88.6 万人分であると試算しています 詳細については 下記サイトの資料を参照ください https://www.nri.com/jp/event/mediaforum/2017/pdf/forum253.pdf

4. まとめ本会のめざすべき姿を明確にすることと 32 万人分の整備の是非を検討するに資する資料を得ることを目的として 調査結果が網羅的に把握, 理解できていない状況と認識しつつも 現時点で把握している既往のデータや調査から 一応の待機児童数の推計を行いました また 民間調査機関による推計結果も併せて紹介しました 今回または今後の情報交換等を通じて 待機児童, 潜在待機児童に関するより確かな情報や 真の意味での待機児童問題の解消までに必要な予算などに関する知識を身につけた上で の活動を展開していきたいと考えております 以上