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2. アウトライン (1) 過去の回顧 (1~4 章 ) (2) 律法の解説 (5~26 章 ) (3) 未来の展望 (27~30 章 ) (4) 指導者の交代 (31~34 章 ) 3. 結論 (1) 律法の本質 (2) イスラエルの将来 (3) 申命記とイエスの教え 申命記を通して イエスの教え

2011 年 10 月 16 日 ( 日 ) 17 日 ( 月 )42 ローマ人への手紙 11:25~36 拒否の解決 (3) イスラエルの救い 1. はじめに (1)10 月 13 日 ( 木 ) の日没から仮庵の祭りが始まった 1 第 7 の月の 15 日 満月 2 満月を眺めながら イスラエル

2017 年 10 月 8 日 ( 日 ) 9 日 ( 月 ) 15 回さらにすぐれた契約 さらにすぐれた契約 ヘブル 8:1~13 1. はじめに (1) この手紙が書かれた理由を再確認する 1 信仰が後退しつつあった第 2 世代のメシアニック ジューたちへの励まし (2) ユダヤ教の 3 つの柱

2013 年 3 月 10 日 ( 日 ) 11 日 ( 月 ) 51 回目 Ⅵ-054 山上の垂訓 山上の垂訓 054 マタ 5:1~2 ルカ 6:17~19 1. はじめに (1) 呼び名について 1マタ 5:1~8:1 は 通常 山上の垂訓 ( 説教 ) と呼ばれる 2しかし この名称は 説教

2011 年 07 月 17 日 ( 日 ) 18 日 ( 月 )29 ローマ人への手紙 8:12~17 聖化の力 ( 聖霊 )(3) 養子の霊 1. はじめに (1) 聖化 に関する 8 回目の学びである 最終回 1 最大の悲劇は 律法を行うことによって聖化を達成しようとすること 2この理解は ク

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2012 年 1 月 22 日 ( 日 ) 23 日 ( 月 )54 ローマ人への手紙 15:4~13 希望から希望へ 1. はじめに (1) 文脈の確認 11~8 章が教理 29~11 章がイスラエルの救い 312~16 章が適用 (2)14:1~15:13 は 雑多な問題を扱っている 1 超道徳

2018 年 5 月 27 日 ( 日 ) 28 日 ( 月 ) 14 回 ペテロの第 2 のメッセージ (2) ペテロの第 2 のメッセージ (2) 使徒 3:17~26 1. はじめに (1) ペンテコステの日に教会が誕生した 1ペテロの第 1 回目のメッセージにより 3,000 人ほどの人たち

2010 年 4 月 18 日 ( 日 ) 19 日 ( 月 ) ハーベストフォーラム東京出エジプト記 19 出エジ 19 出エジプト記 14 章 15 節 ~15 章 21 節 紅海を渡る 1. 文脈の確認 (1) イスラエルの民は 430 年後にエジプトを脱出した (2) エジプト脱出の記録は

2017 年 8 月 13 日 ( 日 ) 14 日 ( 月 ) 7 回 第 2 の警告 (2) 第 2 の警告 (2) ヘブル 4:1~13 1. はじめに (1) この手紙が書かれた理由を再確認する 1 信仰が後退しつつあった第 2 世代のメシアニック ジューたちへの励まし 2 彼らは 迫害と誤

* ダニエル書 3 捕囚期後 (3) * ハガイ書 * ゼカリヤ書 * マラキ書 (5) 預言者たちが語ったメッセージの要約 1 神の主権と聖なるご性質 2 契約の民イスラエルの不従順の罪 3 悔い改めへの招き 4 迫り来る神の裁きと捕囚 5イスラエルの民を攻撃する周辺国への裁き 6 捕囚からのレム

創世記5 創世記2章4節b~25

創世記5 創世記2章4節b~25

2014 年 10 月 7 日 ( 火 ) 60 分で分かる創世記 60 分で分かる創世記 1. はじめに (1) 60 分で分かる〇〇 のシリーズを開始する 11 節 1 節の解説も重要であるが 鳥瞰図的な理解も必要である 2その場合重要なのは センス オブ プロポーション である (2) 創世記

* ユダヤ人の歴史家ヨセフスもまた同じような書き方をしている 5 テオピロは ルカの執筆活動を支援するパトロンであった可能性が高い 6 もしそうなら テオピロはローマ人クリスチャンであったと思われる (2)1~2 節は ルカの福音書の要約である 1 前の書 というのは ルカの福音書 のことである 2

2011 年 06 月 26 日 ( 日 ) 27 日 ( 月 )26 ローマ人への手紙 7:14~25 律法からの解放 (3) ロマ書 7 章クリスチャン 1. はじめに (1) 聖化 に関する 5 回目の学びである 1 最大の悲劇は 律法を行うことによって聖化を達成しようとすること 2この理解は

このメッセージは メシアの義とパリサイ人の義について学ぼうとするものである Ⅰ. 真の信仰者の特徴 (5:13~16) 1. 地の塩 (13 節 ) あなたがたは 地の塩です もし塩が塩けをなくしたら 何によって塩けをつけるのでしょう もう何の役にも立たず 外に捨てられて 人々に踏みつけられるだけで

2 奇跡 3 父 4 聖書 4. メッセージのゴール (1) イエスを誰だと言うか (2) イエスを信じる者の幸いとは何か このメッセージは イエスの業と主張について考えようとするものである Ⅰ. イエスと父は一体である (19~29 節 ) 1. 行動において まことに まことに あなたがたに告げ

Rev 7:1 この後 私は見た 四人の御使いが地の四隅に立って 地の四方の風を堅く押さえ 地にも海にもどんな木にも 吹きつけないようにしていた (1) この後 私は見た 1 物事の時間的流れではなく ヨハネが見た幻の順番を示している 2この幻は 神の裁きが迫っていることを示唆している 3 地の四方

Synoptic Problem 1

神学総合演習・聖霊降臨後最終主日                  2005/11/16

2012 年 2 月 26 日 ( 日 ) 27 日 ( 月 )59 ローマ人への手紙総まとめ 総まとめ 1. はじめに (1) 執筆の意図 1 使徒としての使命 * 所々 かなり大胆に書いた (15:15) 2 使徒としての奉仕の原則 * 他人の土台の上に建てない (15:20) * これまで ロ

6ユダヤ人は 人種的 宗教的理由によって サマリヤ人を軽蔑した * ユダヤの格言 私の目が サマリヤ人を見ることがないように 7サマリヤ人も ユダヤ人を軽蔑し 敵対した * ユダヤ人がエルサレムから下ることは許したが 上ることは許さなかった 8 現代もサマリヤ人の子孫たちが存在している ( 千名以下

2 イエスの戒めを守るなら イエスの愛に留まることになる (2) その教えを話した理由は 弟子たちが喜びに満たされるためである 1イエスは 自分が経験している喜びを弟子たちに与えようとしている 2イエスの喜びは 父なる神への従順 ( 喜ばせること ) によって生まれる 3ヘブ 12:2 Heb 12

Heb 11:7 信仰によって ノアは まだ見ていない事がらについて神から警告を受けたとき 恐れかしこんで その家族の救いのために箱舟を造り その箱舟によって 世の罪を定め 信仰による義を相続する者となりました (1) ノアは 神から警告を受けた 1 創 6:17 Gen 6:17 わたしは今 いの

2012 年 1 月 15 日 ( 日 ) 16 日 ( 月 )53 ローマ人への手紙 14:13~15:3 キリスト者の自由 1. はじめに (1) 文脈の確認 11~8 章が教理 29~11 章がイスラエルの救い 312~16 章が適用 (2)12 章は 基本的には教会内の行動についての勧めであ

牧会の祈り

2010 年 2 月 21 日 ( 日 ) 22 日 ( 月 ) ハーベストフォーラム東京出エジプト記 13 出エジ 13 出エジプト記 9 章 13 節 ~10 章 29 節 最後の 3 つの災い 1. 文脈の確認 (1) エジプトに主からの 10 の災いが下る (2)10 の災いの記述は 考え抜

牧会の祈り

2017 年 7 月 2 日 ( 日 ) 3 日 ( 月 ) 1 回 ヘブル人への手紙のテーマ ヘブル人への手紙のテーマ ヘブル 1:1~3 1. はじめに (1) 著者 1いくつかの名が上げられてきた * パウロ * ルカ ( パウロがヘブル語で書いたものを ルカがギリシア語に翻訳した ) * バ

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2019 年 7 月 28 日 ( 日 ) 29 日 ( 月 ) 70 回 12 人の弟子たちの救い 12 人の弟子たちの救い 使徒 19:1~7 1. はじめに (1) 第三次伝道旅行が始まった 1 使 18:23~21:17( 紀元 53 年の春から 56 年の春 ) 2パウロは ひとりで出かけ

束の地カナンに入ることが許されなかった 9 死を前にして ヨシュアを後継者に任命し 120 歳でモアブのネボ山で死んだ 10 モーセという人は 地上のだれにもまさって非常に謙遜であった ( 民数記 12:3) 11 自分を しもべとして神の家全体のために忠実でした ( ヘフ ル 3:5) 新約聖書に

(1) イゼベル 彼にとっては ネバテの子ヤロブアムの罪のうちを歩むことは軽いことであった それどころか彼は シドン人の王エテバアルの娘イゼベルを妻にめとり 行ってバアルに仕え それを拝んだ (1 列 16:31) 1オムリの子アハブは イゼベルと結婚し バアル礼拝をイスラエルに導入した 2 預言者

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2017 年 7 月 16 日 ( 日 ) 17 日 ( 月 ) 3 回 御使いに勝る御子 (2) 御使いに勝る御子 (2) ヘブル 2:1~9 1. はじめに (1) この手紙が書かれた理由を再確認する 1 信仰が後退しつつあった第 2 世代のメシアニック ジューたちへの励まし 2 彼らは 迫害と

2017 年 2 月 5 日 ( 日 ) 6 日 ( 月 ) 22 回 イスラエルに対する戦い (2) イスラエルに対する戦い (2) 黙 12:7~17 1. はじめに (1) キリストの再臨の前に何が起こるかを見ている 110 章 ~14 章は 挿入箇所である * 物語の進展はなく 状況の説明が

2017 年 6 月 11 日 ( 日 ) 12 日 ( 月 ) 39 回 新しいエルサレムの特徴 ( 後半 ) 新しいエルサレムの特徴 ( 後半 ) 黙 22:1~5 1. はじめに (1) 旧約聖書の預言のハイライトは メシア的王国である 1 黙示 20 章は メシア的王国が千年で終わることを啓

3 仲介者としての祭司たちが存在していた (2) 新約時代の状態 1すべての信者が まことの聖所に入ることができる * 天の聖所で 神の臨在の前に出ることができる 2これは 万人祭司の教えである 3 訳文の比較 こういうわけですから 兄弟たち 私たちは イエスの血によって 大胆にまことの聖所に入るこ

は歯が痛くなるとズキンズキンとして何をしていても繰り返し襲って来る痛みに悩まされますが そのように 絶えず痛みがある と言わずにいられないような痛みを感じ続けていた 一体それはどんな悲しみ 痛みだったのでしょうか それが同胞ユダヤ人の不信仰に関することでした パウロがどんなに同胞 同国人のことを思っ

(1) 千年王国の最後に サタンが底知れぬ所から再び解き放たれる 1 その理由は 再び人類を試すためである 2 神は 人類がいかに堕落しているかを証明される (2) 千年王国にも罪は存在する 1 千年王国が始まった時点では 未信者は存在しない 2 千年王国では ほぼ理想に近いような生活環境が実現する

ダニエル書は終末についてどのように語っているか No.2 御使いガブリエルが告げた 七十週 の預言 聖書箇所 9 章 20 節 ~27 節 はじめに 前回はダニエル書 2 章から バビロンの王ネブカデネザルの見た正夢に ついて学びました その正夢は終わりの日に起こることを示されたものでした ダニエル

(2) ロマ 7:1~6 の要約 1 律法の大原則 * 律法は 人に対して権限を持つ * 律法は 死んだ人には権限を持たない 2 結婚関係の例話 * 夫が生きている間は 結婚の律法によって制約されている * それを破れば 姦淫の女と呼ばれる * 夫が死ねば 結婚の律法から解放される * 再婚しても

2017 年 2 月 21 日 ( 火 ) 60 分でわかる旧約聖書 (24) エレミヤ書 60 分でわかる旧約聖書 (24) エレミヤ書 1. はじめに (1) 預言者たちの中でのエレミヤの位置づけ 1 預言書を書いた預言者 (the writing prophet) * 王国が南北に分裂して以降

としたこと それに対してイエスは 今は 止めないでほしい 正しい ことをすべて行うのは 我々にふさわしいことです ( マタイ 3 15) と 言って ヨハネから洗礼をお受けになったと伝えています しかしマルコ福音書は そういうことは何も伝えていません イエス は ユダヤの全地方から集まって来た大勢の

1 パンの家 という意味 農業生産の豊かな地 ダビデの町とも呼ばれた 2ガリラヤのベツレヘムと区別するために ユダヤのベツレヘムと書かれている 年代 200 軒の家 クリスチャンとイスラム教徒が平和に住んでいる 4 今日 パレスチナ自治区 2 万 2 千人 クリスチャンは迫害に会っている

聖書 : ピリピ 3:1~3 説教題 : 神の御霊による礼拝 日時 :2017 年 2 月 26 日 ( 朝拝 ) ピリピ人への手紙第 3 章に入ります この手紙は全部で 4 章からなっていますので 今日から後半部に入ることになります パウロは 最後に 私の兄弟たち と始めます この手紙はまだ半分ま

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1 それは キリストにのみ適用される御名である (2) 旧約聖書では 御使いたちは 神の子たち と呼ばれた Job 38:7 そのとき 明けの星々が共に喜び歌い / 神の子たちはみな喜び叫んだ 1 新約聖書では 信者が 神の子たち と呼ばれる ( ヨハ 11:52) 2しかし 御子 ( ヒュイオス

2016 年 10 月 2 日 ( 日 ) 3 日 ( 月 ) 7 回 フィラデルフィアの教会 フィラデルフィアにある教会 黙 3:7~13 1. はじめに (1) 黙示録の 3 区分 1 黙 1:19 は 黙示録を 3 区分している Rev 1:19 そこで あなたの見た事 今ある事 この後に起こ

1イエスがバプテスマを受けたとき 天が開かれて聖霊が鳩のように下った 2ここでは 天が開かれて再臨のメシアが地に下ってこられる 3 黙 4:1 では ヨハネを招くために天が開かれた 4ここでは キリストが地に下るために天が開いた (2) 白い馬に乗った方 1ローマ軍の将軍は 白い馬に乗った 2 再臨

2000 年は二日です ですからこちらも 遅い! と言えるほど 時は経っていないと言えます もちろん 1000 年イコール一日と言われているのではなく 一日のようだと言われていますので 単純計算できる話ではないのですが 先ほど引用した詩篇 90 篇 4 節では 私たちの時間のはかなさ 些細さという側

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1.1 節 Rev 14:1 また私は見た 見よ 小羊がシオンの山の上に立っていた また小羊とともに十四万四千人の人たちがいて その額には小羊の名と 小羊の父の名とがしるしてあった (1) ヨハネは キリストの再臨後の状況を見ている 1 実際にキリストの再臨が起こるのは 19 章になってからである

2013 年 3 月 24 日 ( 日 ) 25 日 ( 月 ) 52 回目 Ⅵ-054 八福の教え 八福の教え 054 マタ 5:3~12 ルカ 6:20~26 1. はじめに (1) 文脈の重要性 1 文脈を無視して 山上の垂訓のある言葉を取り出すことが余りにも多い 2イエスは 神の国の福音をも

* オバデヤがヨエルやエレミヤよりも前の預言者であることを考えると 前者の可能性が高いと思われる * オバデヤ書は 前 845 年前後に執筆されたと考えてよいだろう 4オバデヤは 小預言書の 12 人の預言者の中で最初に登場する預言者である (4) オバデヤ書のテーマ 1イスラエルに敵対する不信仰な

(1) 神殿の聖所と至聖所を分ける幕である 1 長さが約 18 メートル 厚さが約 10 センチ 2この幕の内側に入れたのは 大祭司だけである それも年に一度だけ 3 大祭司 アロンの家系 ケハテ氏族 レビ族 イスラエルの民 全人類 (2) この幕が 上から下まで真っ二つに裂けた 1 神の御手がこれ

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Irenaeus Domitian Dionysius - 1 -

2008 年 7 月 27 日 ( 日 ) 28 日 ( 月 ) ハーベストフォーラム東京創世記 8 創世記 8 創世記 3 章 14 節 ~24 節 アダム契約 イントロ : 1. 前回までの復習 (1) 創世記には 11 の区分 ( トルドット ) がある (2) 第 1のトルドットには 人類の

牧会の祈り

に知恵と英知と知識とあらゆる仕事において 神の霊を満たした (2~3 節 ) (1) ユダ部族のフル その子ウリ その子ベツァルエル 1フルとはモーセの手を両側から支えた 2 人のうちのひとり ( 出 17 章 ) 2フルの孫がベツァルエルである (2) 神の霊を満たした 1 知恵 (wisdom)

4きょう取り上げる 3~5のパターンは ユダヤ的に解釈する必要がある 5イエス時代のユダヤ教のラビたちの旧約聖書引用法 * 直接引用とその成就 * その箇所の解釈ではなく 適用である * きょうの3~5 のパターンは すべて適用である 6マタイは 5 つの引用によってイエスのメシア性を証明しようとし

一 マリヤへの恵みある教会に 何かというと 恵まれた女よ おめでとう と言う人がいました 女性のための聖書のクラスで 誰かが正しい答えを言ったら 恵まれた女よ おめでとう 感謝なことの証しをしたら 恵まれた女よ おめでとう 誰かが牧師に祈ってもらっている姿を見たら 恵まれた女よ おめでとう 彼女はい

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Ⅱ. 信仰生活の再建 : エズラの指導 (7~10 章 ) 1. エルサレムに到着するエズラ (7~8 章 ) 2. 民の罪を告白するエズラ (9 章 ) 3. 国を清めるエズラ (10 章 ) 結論 : 私たちへの適用 1. 悔い改めの力 2. みことばの力 エズラ記を通して リバイバルの原則につ

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ヨハネの手紙講解 神のあかし ヨハネの手紙第一 5:1~21 1. 油注がれた者 新改訳改訂第 3 版 Ⅰヨハネ 5:1 イエスがキリストであると信じる者はだれでも 神によって生まれたのです 生んでくださった方を愛する者はだれでも その方によって生まれた者をも愛します イエスがキリストであると信じる

ヘブル人への手紙1章

ヨハネの福音書講解 ヨハネの福音 ヨハネの福音書 21:15~25 1. 愛する 新改訳改訂第 3 版 ヨハネ 21:15 彼らが食事を済ませたとき イエスはシモン ペテロに言われた ヨハネの子シモン あなたは この人たち以上に わたしを愛しますか ペテロはイエスに言った はい 主よ 私があなたを愛

比喩:その他

新約聖書の学び

英語の女神 No.21 不定詞 3 学習 POINT 1 次の 2 文を見てください 1 I want this bike. ワント ほっ want ほしい 欲する 2 I want to use this bike. 1は 私はこの自転車がほしい という英文です 2は I want のあとに to

Rev 17:2 地の王たちは この女と不品行を行い 地に住む人々も この女の不品行のぶどう酒に酔ったのです (1) 大淫婦と不品行 1 旧約聖書では 淫婦 は 偽の宗教 を象徴する言葉である 2 淫行 は 偶像礼拝を象徴する言葉である 霊的姦淫である * 通常は 真の神を信じると告白しながら 偶像

2012 年 7 月 1 日 ( 日 ) 2 日 ( 月 ) 17 回目 Ⅴ-020~021 バプテスマのヨハネの登場 バプテスマのヨハネの登場 ルカ 3:1~2 マコ 1:2~6 1. はじめに (1) 文脈の確認 1バプテスマのヨハネの誕生 2イエスの誕生 3イエスの幼少期 (2) 今日の箇所は

5. 章節は後代に付加せられたもので 聖書記述者の考えや霊感は反映されていな いので注意が必要 Ⅰ イエスによる預言 (42~46) 1. マタイ 21:42 は詩篇 118:22 預言からの引用 家を建てる者たちの見捨てた石 それが礎の石になった これは主のなさったことだ 私たちの目には 不思議な

た 義認 の祝福を述べたものでしょうか しかしこの 1 節は 2 節の頭に なぜなら という言葉があるように 2 節と密接に関連しています ですから 2 節を見て行くことによって 1 節の意味を確かめることができます 2 節が述べていることは何でしょうか それは罪と死の原理からの解放です 私たちが

聖書に聞く会 ( 第 2 回 ) マルコによる福音書 1 章 1-8 節 2014 年 5 月 8 日 古本靖久 1 聖歌 60 番 ヨルダンのほとりヨハネはさけべり 2 お祈り 3 テキストの位置 今日の箇所はマルコ福音書のはじめの部分であり この福音書は何について書くのか決定づける所です 特に

* ペリシテ人の古代都市ガザは 前 93 年に破壊され 前 57 年に再建された * この道路は ガザの遺跡を通過し 新ガザに至る荒野の道である 5 ピリポは その命令に従順に従った 2.27b~28 節 Act 8:27b すると そこに エチオピヤ人の女王カンダケの高官で 女王の財産全部を管理し

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ヘブル人への手紙 11 章 1-16 節 信仰とは 1A 信仰のあかし 1-7 1B 信仰の説明 1-3 1C 望んでいることがらの実体 1 2C 称賛 2 3C 神の創造 3 2B 信仰の足跡 4-7 1C アベル - 良いささげ物 4 2C エノク - 神を喜ばす歩み 5-6 3C ノア - 神

(2) ダビデの最後の言葉 (23:1~7) サムエル記第二を通して ダビデの生涯の意味について考える Ⅰ. 権威ある座に上るダビデ (1~10 章 ) 1. サウルとヨナタンの死 (1:1~27) (1) 主によって開かれた扉 1 試練の中にありながら ダビデはすべての状況を主に委ねていた 2 彼

A B C A B C

このメッセージは 父なる神について考えようとするものである Ⅰ. 聖書が使用する比喩的言葉 1. 神という言葉について (1) ヘブル語でエロヒム ( エル ) ギリシア語でセオス 1 普通名詞 神々を指す言葉である 2 日本語の神も 多くの神々を指す言葉である 3 聖書の神は どういう神かを示す必

いでしょう (1)2 重の質問 1 弟子たちは いくつかのたとえ話とその解き明かしを聞いてきた 2ここでイエスは 弟子たちに考えるチャンスを与えている 3 弟子たちは 奥義としての王国 の性質について考え始める (2) イエスのたとえ話は 弟子たちが想像したものとは大いに異なる 1 種のたとえでは

癒しの業と宣教 ( ルカ 4:38~44) 1) ルカ福音書講義 (23) 章 38 イエス 2) は会堂から立ちあがり シモンの家 3) に入った シモンのしゅうとめが 高熱 4) で苦しめられており 彼らは 5) 彼女のことをイエス 6) に願った 39 彼は彼女の枕

2018 年 2 月 4 日 ( 日 ) 5 日 ( 月 ) 29 回 善行の勧めと信仰上の勧め 善行の勧めと信仰上の勧め ヘブル 13:1~17 1. はじめに (1) この手紙は ユダヤ教への回帰を考えていた第 2 世代のメシアニック ジューたちを励ますために書かれた 1 教理的学び 2 学んだ

2008 年 7 月 13 日 ( 日 ) 14 日 ( 月 ) ハーベストフォーラム東京創世記 6 創世記 6 創世記 2 章 4 節 b~25 エデンの園に置かれた人 イントロ : 1. 前回の復習 : ここまでで創造の 7 日間について学んだ (1) カオスからの創造であった (2) 神は 6

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聖 書 へブル12:11,12 (第41講)

(1) 獣の形状 (1~2 節 ) (2) 獣の復活 (3~4 節 ) (3) 獣の支配 (5~8 節 ) (4) 励ましのことば (9~10 節 ) 3. 結論 : 反キリストはキリストの真似をする 反キリストの働きについて学ぶ Ⅰ. 獣の形状 (1~2 節 ) 1.1 節 Rev 13:1 また

ミドラーシュ(4月27日)

出してくれます 私たちの間 その周りでは平和は保たれているでしょうか パウロは あなたがたは 自分に関する限り すべての人と平和を保ちなさい ( ローマ 12:18) と教えました しかし現実は そうでないことがあります ある事をされて 酷い目にあったのであれば その人とは会いたくないと思います あ

晩まであなたの裁きを待って並んでいるのか モーセは答えました 民は神に 問うためにわたしの所に来るのです わたしはそれぞれの間を裁き また 神の掟と指示を知らせるのです エテロは申しました あなたのやり方はよくない あなた自身も あなたを訪ねて来る民も きっと疲れ果ててしまうだろう このやり方ではあ

目 次 目 次 イサクに 対 する 神 の 計 画... 3 I.イサクに 対 する 神 の 計 画 過 去... 3 アブラハム 契 約 ( 創 世 記 12:1~3)... 3 A. 創 12:1 土 地 の 約 束... 3 B. 創 12:2~3 子 孫 の 約 束... 4 C. 創 12

次に なぜ私がこんなことを言うのかというと それは ジョン ケリーが イスラエルとアメリカがどれほど親しいか とか オバマ政権は歴史上最もイスラエルと親しい政権です と言ったからです それについて ご説明しましょう 友達というのは 友に隠れてコソコソとこんな風に恥をかかすようなことはしないものです

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土地の契約 聖書箇所 : 申命記 30 章 1 10 節 30:1 私があなたの前に置いた祝福とのろい これらすべてのことが あなたに臨み あなたの神 主があなたをそこへ追い散らしたすべての国々の中で あなたがこれらのことを心に留め 30:2 あなたの神 主に立ち返り きょう 私があなたに命じるとおりに あなたも あなたの子どもたちも 心を尽くし 精神を尽くして御声に聞き従うなら 30:3 あなたの神 主は あなたを捕われの身から帰らせ あなたをあわれみ あなたの神 主がそこへ散らしたすべての国々の民の中から あなたを再び 集める 30:4 たとい あなたが 天の果てに追いやられていても あなたの神 主は そこからあなたを集め そこからあなたを連れ戻す 30:5 あなたの神 主は あなたの先祖たちが所有していた地にあなたを連れて行き あなたはそれを所有する 主は あなたを栄えさせ あなたの先祖たちよりもその数を多くされる 30:6 あなたの神 主は あなたの心と あなたの子孫の心を包む皮を切り捨てて あなたが心を尽くし 精神を尽くし あなたの神 主を愛し それであなたが生きるようにされる 30:7 あなたの神 主は あなたを迫害したあなたの敵や あなたの仇に これらすべてののろいを下される 30:8 あなたは 再び 主の御声に聞き従い 私が きょう あなたに命じる主のすべての命令を 行なうようになる 30:9 あなたの神 主は あなたのすべての手のわざや あなたの身から生まれる者や 家畜の産むもの 地の産物を豊かに与えて あなたを栄えさせよう まことに 主は あなたの先祖たちを喜ばれたように 再び あなたを栄えさせて喜ばれる 30:10 これは あなたが あなたの神 主の御声に聞き従い このみおしえの書にしるされている主の命令とおきてとを守り 心を尽くし 精神を尽くして あなたの神 主に立ち返るからである 1 イントロダクション 1. 前回の復習 : モーセ契約 (1) 神はエジプトとカナンの地の間にあるシナイ山でイスラエルと モーセ契約 ( シナイ契約 ) を結ばれた (2) モーセ契約は モーセの律法を守れば祝福が 違反すれば裁きが下るという条件付契約 ( 片務契約 ) であった (3) モーセ契約が与えられた究極的な目的は イスラエルの民をメシアへと導くことであった 2. 神がイスラエルに与えられた土地の約束 (1) 神はアブラハム イサク ヤコブに カナンの地 を与えることを約束された ( 創 13:14 17; 1

15:18 21) (2) カナンの地 は 現代のパレスチナ( ユダヤ人やクリスチャンは イスラエル ( の地 ) と呼ぶこともある ) を含んでいる ここではその地を指して 約束の地 と呼ぶ (3) 創世記 15:18 21 でアブラハムとその子孫に約束された土地は エジプトの川から ユーフラテス川まで であり 今のエジプト レバノン シリア イラクそれぞれの一部をも含む 現在のイスラエル国の領土よりも非常に広範囲である (4) 歴史上 ユダヤ人たちはこの範囲を全て領土としたことはない 1 3. 土地の約束を学ぶことは重要である (1) これは聖書に書いてある約束である 聖書に書かれていることは 信者にとって全て重要である (2) ユダヤ人と中東の関わりについて 信者は聖書的視点を持つ必要がある 信者は世界のためにとりなしをするが その中には中東地域も含まれている 中東問題の大きなテーマはイスラエルという国家の存在である ユダヤ人と約束の地の歴史的繋がりを聖書から学ぶことは 重要である (3) この約束は終末論に大きく関わる 土地の約束を知り その成就を信じることは イエスの再臨への確信を深めることに繋がる 2 土地の契約について 1. 土地の契約 2 は 神がイスラエルと結ばれた 無条件契約 のひとつである (1) 2016 年 9 月 24 日の天笠長老のメッセージでは 申命記 29:1 30:20 に記されている 土地の契約 は神がイスラエルと結ばれた 無条件契約 の一つであると教えられた (2) 引用 : この契約では イスラエル民族は不信仰の故に 世界中へ散らされる離散の民となることが預言されている しかし やがて不信仰を悔い改め メシアが戻ってこられると 再び集められて約束の地を所有するようになると約束されている 1 Arnold G. Fruchtenbaum, The Footsteps of the Messiah: A Study of the Sequence of Prophetic Events, revised ed. (San Antonio, TX: Ariel Ministries, 2003) 420 23; Michael Rydelnik, Understanding the Arab-Israeli Conflict: What the Headlines haven t Told You, revised ed. (Chicago, IL: Moody Publishers, 2007) 154 55; Gregory H. Harris, Did God Fulfill Every Good Promise?: Toward a Biblical Understanding of Joshua 21:43 45, The Master s Seminary Journal, 23(1) (Spring 2012) 63 64. 2 土地の契約 を神がイスラエルと結ばれた無条件契約のひとつと考える人々の間では この契約の呼び方に相違がある 広く見られる呼称は パレスチナ契約 the Palestinian Covenant (Lewis Sperry Chafer, Major Bible Themes, revised ed., John F. Walvoord, rev. [Grand Rapids, MI: Zondervan, 1974] 144 45) や 申命記契約 the Deuteronomic Covenant (Ronald E. Showers, There Really is a Difference: A Comparison of Covenant and Dispensational Theology [Bellmawr, NJ: The Friends of Israel Gospel Ministry, Inc., 1990] 77 83; William D. Barrick, The Mosaic Covenant, The Master s Seminary Journal, 10[2] [Fall 1999] 214) などである 土地の契約 the Land Covenant という呼称は Fruchtenbaum によって提唱されている (Israelology: The Missing Link in Systematic Theology, revised ed. [Tustin, CA: Ariel Ministries, 1993] 581) 2

(3) 今回はこの 土地の契約 を詳しく学び イスラエルと約束の地の関係について考える 2. 申命記の概要 (1) 創世記 申命記をひとまとめにして モーセ五書 Pentateuch という 伝統的に これらの 5 つの書の著者はモーセだとされており 元々は一つの書物であった (2) イスラエルの民は神の恵みによりエジプトから脱出した ( 出エジプト記 ) (3) 荒野を通って約束の地へ向かう間 神の恵みを体験し 詳しいみおしえ ( 律法 ) が与えられてきた ( レビ記 ) (4) しかし 民は約束の地に入ることを恐れ 拒否した その結果 約束の地に入ることを拒否した世代が死に絶えるまでの 40 年間 荒野を放浪することになった ( 民数記 ) (5) 申命記は 新しい世代が遂に約束の地に入ろうとする直前に モーセによって語られたメッセージを収めたものである (6) 新しい世代は 出エジプトを体験していない モーセは これまでの歴史を新しい世代に教え シナイ山で与えられた律法について改めて教えている (7) 申命記 29 30 章は それまで歴史の回顧や律法の解説が述べられた後 イスラエル民族の将来についてモーセが語っている箇所である 3. 土地の契約 は 1 つの契約と考えて良いのか? (1) この点については 神学者の間で見解の相違が生じている 私は これは 1 つの契約だと考えている (2) 申命記 29:1 3 これは モアブの地で 主がモーセに命じて イスラエル人と結ばせた契約のことばである ホレブで彼らと結ばれた契約とは別である (3) モアブの地 とは 今モーセたちがいる ヨルダン川の東側の地である( 申 1:5) ホレブ とは 前回学んだモーセ契約が結ばれたシナイ山の別名である (4) これをふまえて日本語訳で 29:1 を素直に読めば モアブの地で結ばれたこの契約は モーセ契約とは別である という風に読める (5) 29:1 は 28 章までの内容にかかっているのか それとも 29:2 以降にかかっているのかという議論がある もし 28 章までにかかっているのなら それまではモーセの律法の再確認がされてきたのだから 29:2 30:20 の内容もモーセの律法への 付け加え だということになる (6) しかし 申命記では 29:1 のような言い回しが出てくるときは 次の話題に移る時である (4:45 および 5:1 参照 ) 4 3 マソラ本文や七十人訳聖書では 28:69 である ( 日本語訳では 新共同訳において 28:69 となっている ) 4 Fruchtenbaum, The Land Covenant, Progressive Dispensationalism: An Analysis of the Movement and Defense of Traditional Dispensationalism, Ron J. Bigalke Jr., ed. (Lanham, MD: University Press of America, 2008) 89. Cf. C. F. Keil and F. Delitzsch, Biblical Commentary on the Old Testament, Vol. III, trans., James Martin (Edinburgh: T&T Clark, n.d.) 446. 3

(7) また 古代中東の 契約 の形式から見ると 29:1 が契約の冒頭の言葉と捉えた方がよく当てはまる 5 (8) つまり 29:2 からの内容が モアブの地で 主がモーセに命じて イスラエル人と結ばせた契約のことば であり ホレブで彼らと結ばれた契約とは別 なのである 6 4. 契約の特徴 : 呪いと祝福 (1) 土地の契約の特徴のひとつは 呪い である 29:12 あなたが あなたの神 主の契約と あなたの神 主が きょう あなたと結ばれるのろいの誓いとに 入るためである (2) この 呪い とは イスラエルがモーセの律法を守らなければ呪われるということである 29:24 すべての国々は言おう なぜ 主はこの地に このようなことをしたのか この激しい燃える怒りは なぜなのだ 29:25 人々は言おう それは 彼らの父祖の神 主が彼らをエジプトの地から連れ出して 彼らと結ばれた契約を 彼らが捨て 29:26 彼らの知らぬ また彼らに当てたのでもない ほかの神々に行って仕え それを拝んだからである 29:27 それで 主の怒りは この地に向かって燃え上がり この書にしるされたすべてののろいが この地にもたらされた 29:28 主は 怒りと 憤激と 激怒とをもって 彼らをこの地から根こぎにし ほかの地に投げ捨てた 今日あるとおりに (3) モーセは これを預言として語っている つまり イスラエルがモーセの律法を捨て 不従順の故に裁かれるということは 確実なことなのである (4) もうひとつの特徴は 祝福 である 聖書朗読で読んだ 30:1 10 では イスラエルが神に立ち返り 祝福されることが語られている (5) モーセの律法に従わなかったから呪われる それに聞き従うときに祝福される ということ 5 K A キッチン 古代オリエントと旧約聖書 津村俊夫訳 ( いのちのことば社 1979 年 )122 34 頁 ;Fruchtenbaum, The Land Covenant, 90. 6 学者によっては 別 という言葉を 付け加えられた という意味として捉えている者もいる (John H. Sailhamer, The Pentateuch as Narrative: A Biblical-Theological Commentary [Grand Rapids, MI: Zondervan, 1992] 471) 七十人訳聖書では 別 には plēn という副詞が訳語として当てられており これには 前の語を制限する もしくは発展 拡張させる役割 がある (Joseph H. Thayer, Thayer s Greek-English Lexicon of the New Testament: Coded with Strong s Concordance Numbers, 11 th Printing [Peabody, MA: Hendrickson Publishers, 2014(1986)] G4133) すなわち 七十人訳の訳者は 別 という表現を 付け加えられた という意味で捉えているものと考えられる 原文では 別 という言葉はヘブライ語の前置詞 min と副詞 ( あるいは名詞 )bad によって表現されている 前者の min には分離 離脱という概念がある (F. Brown, S. Driver, C. Briggs, The Brown-Driver-Briggs Hebrew and English Lexicon: Coded with Strong s Concordance Numbers, 15 th Printing [Peabody, MA: Hendrickson Publishers, 2014(1906)] H4480) また bad には 何かから延長された ; 拡張された という概念もあるが 第一義的には分離 独立といった概念を持った単語である (Brown-Driver-Briggs, H905) したがって この表現を日本語で 別 と訳されている通りに受け取ることは十分に可能であるものと考えられる 4

では 土地の契約はモーセ契約とよく似ている (6) しかし この契約では むしろ イスラエルの民は律法に不従順なために呪われるが 最後は神に従順になり 祝福される という約束が与えられているのである その点では 土地の契約はモーセ契約とはかなり異なっていることがわかる 3 契約の内容 1. メッセージの大きく関係する契約の内容だけを確認していきたい より詳しくは 申命記 29 30 章を読んでいただきたい 2. 契約の内容は以下の通りである (1) イスラエルはモーセの律法を守らず それ故に裁きを受ける そして 彼らは約束の地から世界中に散らされてしまう 29:28 主は 怒りと 憤激と 激怒とをもって 彼らをこの地から根こぎにし ほかの地に投げ捨てた 今日あるとおりに 30:1 私があなたの前に置いた祝福とのろい これらすべてのことが あなたに臨み あなたの神 主があなたをそこへ追い散らしたすべての国々の中で あなたがこれらのことを心に留め (2) しかし イスラエルは将来悔い改める (30:1 2) 彼らは主によって散らされた国々の中で悔い改め 心を尽くし 精神を尽くして御声に聞き従う ようになる 7 (3) イスラエルは霊的に新しくされた後で約束の地に集められ その地を所有するようになる (30:5 6) 彼らが霊的に回復するのは 努力によるものではなく 神の恵みが働かれることによるものである 3. 契約の内容はどのようになっているのか? (1) バビロン捕囚を経験した預言者エゼキエルは 世界に散らされたイスラエルが将来再び集められることを預言している エゼ 11:17 それゆえ言え 神である主はこう仰せられる わたしはあなたがたを 国々の民のうちから集め あなたがたが散らされていた国々からあなたがたを連れ戻し イスラエルの地をあなたがたに与える 7 新改訳第三版や新共同訳では この祝福には 私があなたに命じるとおりに あなたも あなたの子どもたちも 心を尽くし 精神を尽くして御声に聞き従うなら と 条件が課せられているように読める しかし NASB NIV ESV などの多くの英語訳では条件 仮定が見出されていない Sailhamer は この箇所を条件 仮定ではなく将来のある時点で起こる出来事として捉えている (The Pentateuch as Narrative, 473) Cf. Fruchtenbaum, Israelology, 582; Michael J. Vlach, Has the Church Replaced Israel?: A Theological Evaluation (Nashville, TN: B&H Publishing Group) 177 78. 5

さらに イスラエルの民が約束の地に集められるときには 彼らが霊的に新しくされ それによって神に従順な民とされることも預言されている エゼ 11:19 20 わたしは彼らに一つの心を与える すなわち わたしはあなたがたのうちに新しい霊を与える わたしは彼らのからだから石の心を取り除き 彼らに肉の心を与える それは 彼らがわたしのおきてに従って歩み わたしの定めを守り行なうためである こうして 彼らはわたしの民となり わたしは彼らの神となる (2) イエスご自身は イスラエルの民の最終的な帰還がご自身の再臨のときに成就するのだと預言された マコ 13:26 27 そのとき 人々は 人の子が偉大な力と栄光を帯びて雲に乗って来るのを見るのです そのとき 人の子は 御使いたちを送り 地の果てから天の果てまで 四方からその選びの民を集めます 8 (3) イスラエルは必ずアブラハム イサク ヤコブに与えられた約束の地を受け継ぎ 神の祭司 という役割を果たす僕として霊的にも回復される 4 私たちは土地の契約から何を学ぶのか 1. 神の契約は確かである (1) 土地の契約の中でモーセが語った通り イスラエルは不従順に陥った (2) モーセの時代から数百年経ったとき 彼らは神の裁きを受け 当時の大国であるアッシリヤやバビロンによって民族の多くが国外へ散らされた (3) イエス時代の数百年前 国外へ散らされたユダヤ人の一部は約束の地へ帰還する しかし 帰還した人々もまた律法に背き 律法が指し示していたメシアを拒否した (4) その結果 さらなる裁きが下り エルサレムは崩壊し ほとんどのユダヤ人が文字通り世界中へ散らされた (5) 土地の契約の 呪い は成就した 神の契約は確かなものである 2. 神はイスラエルを約束の地で回復される (1) 神の契約が確かなものであるから ユダヤ人が約束の地に集められ 霊的に新しくされるということも確かである (2) 神はイスラエルが約束の地に入る前から ( そしてアブラハム契約において既に ) 彼らがその地を相続するという契約を与えられた (3) さらに 土地の契約では イスラエルの最終的な帰還のときに 彼らが霊的に回復されるということも約束されている 8 以下の文献では このイエスの教えが申命記 30:4 たとい あなたが 天の果てに追いやられていても あなたの神 主は そこからあなたを集め そこからあなたを連れ戻す をふまえたものであるということが指摘されている Fruchtenbaum, The Land Covenant, 96; Rikk E. Watts, Mark, Commentary on the New Testament Use of the Old Testament, G. K. Beale and D. A. Carson, eds. (Grand Rapids, MI: Baker Academic, 2007) 227 29. 6

(4) これらのことは イエス キリストが再臨されるときに完全に成就する (5) イスラエルの民と約束の地とが深い繋がりにあるということは 過去の視点からも 未来の 視点からも明らかである 3. 信者の 希望 の土台はイエス キリストの再臨である (1) 今の私たちにも 神の御心通りの 理想的な世界が実現すれば良いのにという思いがある (2) 聖書は世界がそのように変えられることを約束しているが それもまたイエスの再臨によって実現される (3) 聖書に約束されているあらゆる 希望 の土台は イエスの再臨にある 5 今月の祈り課題 ハーベスト タイム ミニストリーズ 月刊ハーベスト タイム 2016 年 12 月号 6 頁より国連教育科学文化機関 ( ユネスコ ) の加盟国 58 か国は パレスチナが理事会に提出した エルサレム旧市街の西壁と神殿の丘はユダヤ教と歴史的な結びつきはない とする決議案を承認するため 投票を行った 投票は 24 か国が賛成 6 か国が反対で可決されたが 26 か国という前例のない数の国が棄権した 外交の専門家は この決議はパレスチナにとって中身のない勝利であり イスラエルにとって悲劇ではないと話しているが 史実を否定する暴挙であることは確かである イスラエルに敵対する人々の目が聖書の真理に対して開かれるように祈ろう (ICJE) 1. これは具体的には パレスチナ自治政府が提出した エルサレムをイスラムの名称のみで明記し イスラムの聖地を 占領 政策を続けるイスラエルが 妨害している という内容の報告書が ユネスコで承認されたというニュースである 事実としては ユネスコの事務総長や 理事長 国連のパン事務総長も 神殿の丘は イスラムだけでなく ユダヤ教 キリスト教 皆に重要な地と認識すべきであるとして この報告に反対する意見を表明していた 9 2. 国連では 1967 年の六日戦争以降 イスラエルの支配下に入ったとされる西岸地区にあるユダヤ 人入植地を違法とする安保理決議 2334 号が 2016 年 12 月 23 日に採択される 10 など 反イスラ エル国家的な姿勢がますます強くなっている 11 9 石堂ゆみ UNESCO: イスラムのエルサレム 報告書を正式承認へ オリーブ山便り (2016 年 10 月 19 日 http://mtolive.blog.fc2.com/blog-entry-1480.html)( 2017 年 1 月 22 日閲覧 ) 10 United Nations Security Council, Resolution 2334 (2016), http://www.un.org/en/ga/search/view_doc.asp?symbol=s/res/2334(2016) (accessed 2017-01-22) 11 明石清正 国連安保理 イスラエル非難決議を採択米国棄権 3 ロゴス ミニストリーのブログ (2016 年 12 月 29 日 http://www.logos-ministries.org/blog/?p=7763)( 2017 年 1 月 22 日閲覧 ) 7

この背後には ユダヤ人とイスラエルの地の歴史的結びつきの否定が見え隠れしている 3. 私たちクリスチャンは ユダヤ人とイスラエルの地 に関する議論について 世の人々が持つものとは別の視点を持っていなければならない それは 聖書はどう語っているか という視点である (1) 申命記 29 30 章によれば ユダヤ人と約束の地との関係は明らかである (2) 彼らは今 全世界に散らされている状況にある しかし 現状がそうだからといって 彼らと約束の地の結びつきを否定することは 聖書の教えとは言い難い 4. このことについて 祈っていく必要を覚えさせられている (1) 私たちは 世界中のあらゆる人々が福音を受け入れるよう祈り 伝道していかなければならない ( マタ 28:18 20) (2) その中でも イスラエルは私たち異邦人の 隣人 である 神が愛しておられるイスラエルが離散という裁きの中にあるからこそ ひとりでも多くのユダヤ人が神に立ち返るよう祈っていきたい イエスの再臨にこそ民族の希望があると ひとりでも多くのユダヤ人に気づいてほしい (3) そして ユダヤ人やイスラエル国に敵対する人々にもまた 神がユダヤ人を愛しておられ イエス キリストが来られるときにイスラエル民族を回復されるのだということに目が開かれてほしい (4) そのためには 彼らがイエスを受け入れることを祈っていく必要がある 5. 全ての問題を包み込むイエス キリストの愛 (1) ユダヤ人の不従順の問題 また異邦人による反ユダヤ主義の問題が最終的に解決するのは イエスが再臨されるときである (2) 私たちは再臨の時を待ち望むと同時に この地上においてイエスの愛がユダヤ人の不従順と反ユダヤ主義とを包み込むことを願ってやまない (3) そして 私たちは ユダヤ人信者と異邦人信者から成る教会が この世においてイエスの愛の証人となることができるよう 祈り実践していくよう招かれているのではないだろうか (4) ユダヤ人も ユダヤ人を敵視する人々も ひとりでも多くの者がキリスト イエスに立ち返るよう 祈ろうではないか 8