生理検査部門 ( 日 ) 富山市民病院検査科浅井泰代

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を示しています これを 2:1 房室ブロックと言います 設問 3 正解 :1 ブルガダ型心電図正解率 96% この心電図の所見は 心拍数 56/ 分 P-P 間隔 R-R 間隔一定の洞調律 電気軸正常です 異常 Q 波は認めません ST 部分をみると特に V1 V2 誘導で正常では基線上にあるべき

大学教職員の心臓検診の現状 * 和井内由充子 大学保健管理センターの主要業務のひとつに 健康診断とそれに基づく健康管理がある 突然 死にもつながる心疾患の早期発見と管理は重要 である 大学生の心疾患管理に関しては以前報 告 1-6) した 大学のもうひとつの主要構成員で ある教職員の管理の現状を今回

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A B V1 Ⅱ Ⅲ 45 V1 Ⅱ V3 Ⅲ V3 avr V4 avr avl avl V4 V5 V5 V6 V6 図 1 体表面12誘導心電図 A 発作時 心拍数220bpm 右軸偏位のregularなwide QRS頻拍を認めた B 非発作時 ベラパミル投与後 洞調律に服した 心拍数112

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第5章 体液

188-189

4. 虚血性心臓病 5 5. 肥大型心筋症 (HCM) 6 6. 心肥大を伴うその他の心疾患 7 7. 拡張型心筋症 (DCM) 7 8. 催不整脈性右室心筋症 (ARVC) 7 9. その他の心筋疾患 8 10.Brugada 症候群 先天性 QT 延長症候群 (LQTS) 8 12.

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生理検査部門 2015.11.29( 日 ) 富山市民病院検査科浅井泰代

血液ガス分析 サーベイ

調査内容 * 北陸三県合同サーベイ 1. 実施期間試料配布 平成 27 年 7 月 22 日試料測定 平成 27 年 7 月 22~24 日結果報告締切日 平成 27 年 7 月 31 日入力方法 石川県臨床衛生検査技師会のホームページ北陸三県合同報告会 平成 27 年 8 月 22 日 2. 調査項目 ph PCO2 PO2 アンケート 3. 調査試料内容試料 A B C [ 一般社団法人検査医学標準物質 (ReCCS) 製品 ]

調査内容 4. 試料配布方法 宅配業者による冷蔵配布 (7 月 22 日 8 時 30 分発送 当日 16 時迄に着 ) 5. 参加施設数 ( 富山県 ) 35 施設 6. 参加機器 (35 施設 ) ラジオメーター社製 18 施設シーメンス社製 11 施設テクノメディカ社製 6 施設

ph (n=35 施設 ) A : 青 B : 緑 C : 赤平均値 7.212 7.363 7.492 変動係数 (CV) 0.217 0.218 0.248 ph( 基準範囲内データ ) A : 青 B : 緑 C : 赤 n 35 34 33 データ残率 (%) 100 97 94 平均値 7.212 7.362 7.495 変動係数 (CV) 0.217 0.205 0.214

過去 10 年間の変動係数 (CV) の推移 ( 富山県 ) ph 全体 0.400 0.350 0.300 0.250 0.200 試料 A 試料 B 試料 C 0.150 0.100 0.050 0.000 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

PCO2 (n=35 施設 ) A : 青 B : 緑 C : 赤平均値 (mmhg) 61.1 35.2 22.7 変動係数 (CV) 3.11 3.19 5.10 PCO2( 基準範囲内データ ) A : 青 B : 緑 C : 赤 n 33 33 30 データ残率 (%) 94 94 86 平均値 (mmhg) 61.3 35.4 23.0 変動係数 (CV) 2.79 2.40 3.39

過去 10 年間の変動係数 (CV) の推移 ( 富山県 ) PCO2 全体 9.00 8.00 7.00 6.00 5.00 4.00 試料 A 試料 B 試料 C 3.00 2.00 1.00 0.00 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

PO2 (n=35 施設 ) A : 青 B : 緑 C : 赤平均値 (mmhg) 47.1 76.4 110.0 変動係数 (CV) 8.58 5.90 5.68 PO2( 基準範囲内データ ) A : 青 B : 緑 C : 赤 n 27 25 21 データ残率 (%) 77 71 60 平均値 (mmhg) 46.0 75.6 107.7 変動係数 (CV) 3.24 2.41 1.96

過去 10 年間の変動係数 (CV) の推移 ( 富山県 ) PO2 全体 9.00 8.00 7.00 6.00 5.00 4.00 試料 A 試料 B 試料 C 3.00 2.00 1.00 0.00 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

血液ガス分析サーベイの まとめ 過去 10 年間の変動係数 (CV) の推移については 試料 A の PO2 以外は例年並みの結果となった 試料 A の PO2 については 例年よりもバラツキがあり 変動係数 (CV) も大きくなった PO2 の値については 特定の機種で高値の傾向があり 原因を特定中である

症例サーベイ

1. 実施期間 平成 27 年 6 月 22 日 ~ 平成 27 年 7 月 31 日 2. 調査項目心電図 (2 問 ) 呼吸機能 (1 問 ) 超音波 ( 心臓 :1 問 腹部 :2 問 ) アンケート 3. 問題配布および入力 日本臨床衛生検査技師会ホームページにて

心電図問題 1 症例 :53 歳男性健診にて得られた心電図である この波形の原因となる疾患として 当てはまるものはどれか a. 大動脈弁閉鎖不全症 b. 肺高血圧症 c. 高血圧症 d. 心房中隔欠損症 e. 拡張型心筋症 1 a.c.e 2 a.b.e 3 b. c. d 4 d のみ 5 a ~ e のすべて

正解 1 a.c.e 正解 32 正解率 94% 不正解 2 ( 小数点以下は四捨五入 ) 合計 34 解説 本症例は 完全左脚ブロックである 左脚ブロックは 左脚の伝導障害があるために左脚が遅れて興奮することに起因し 心筋の障害が広範囲に及ぶ虚血性心疾患や心筋症 左室肥大を伴う高血圧性心疾患 弁膜症などで認められることが多い 一方 右脚ブロックの原因疾患としては 肺高血圧症 心房中隔欠損症等があり 心房中隔欠損症は右室の拡張期性負荷疾患の代表的な疾患である

心電図問題 2 症例 :35 才男性主訴 : 特になし病歴 : 多発性硬化症 ( イムセラ内服中 ) にて入院 加療中 過去に動悸 失神の既往あり この心電図を見て 間違っているものの組み合わせを 2 つ選べ a. 完全左脚ブロックであり 心室内の伝導障害が疑われる b. WPW 症候群であり 副伝導路の存在が疑われる c. 心エコーやホルター心電図などの精密検査を行う必要がある d. 上室性頻拍より心室頻拍を合併する頻度が高い e. 発作が頻発する場合はアブレーションの適応となる 1a.d 2 b.d 3 a.e 4 c.d 5 c.e

正解 1 a.d 正解 33 正解率 97% 不正解 1 ( 小数点以下は四捨五入 ) 合計 34 解説 WPW 症候群の心電図波形である WPW 症候群は心房 心室間に副伝導路 ( ケント束 ) を伴う疾患であり 心電図上 デルタ波を伴うのが大きな特徴である 本症例は C 型 WPW 症候群であり 心電図では V1 誘導で陰性のデルタ波を認め Qs ないし Qr パターンを示し 陳旧性心筋梗塞や左脚ブロックと鑑別を要する WPW 症候群は普段は無症状であるが ケント束の存在により房室リエントリー性頻拍を引き起こし 動悸 失神の原因となり 心不全へ進展する可能性もあり 心エコーやホルター心電図などの精査が必要となる また 心房細動を合併した場合は 心室性不整脈 ( 心室頻拍 心室細動 ) の危険性が高まる 根治術として アブレーションが非常に有効である

呼吸機能問題 症例 :64 歳 女性病歴 :2011 年より咳喘息で通院中喫煙歴 : なしこの患者に対して内科より呼吸機能検査の依頼があり 実施した 下記レポートのうち 報告に最も適する結果の組み合わせはどれか a. b.

c. d. 77.44 EtrapV 0.19L Etrap% 7.30% EtrapV 0.15L Etrap% 5.74% e. 79.1 7 1 a. c 2 a. d 3 a. e 4 b. c 5 b. e EtrapV 0.11L Etrap% 4.06%

正解 3a.e 呼吸機能問題 1 2 3 4 5 0 0 27 0 7 34 正解 27 正解率 79% 不正解 7 ( 小数点以下は四捨五入 ) 合計 34 解説 呼吸機能検査は 患者の理解と努力が必要な検査であるとともに 技師の働きかけも重要である 肺活量 (VC) 測定の妥当性は 1 安静呼気位 (FRC レベル ) が安定している 2 最大呼気位と最大吸気位のプラトーが確認できる 3 吸気肺活量 呼気肺活量である 努力性肺活量 (FVC) 測定の妥当性は 1 検査全般に十分な努力が得られており アーチファクトがないこと 2 呼気開始が良好であること ( 外挿気量が FVC の 5% あるいは 0.15L のうちいずれか大きい方の値より少ないこと )3 十分な呼気 (6 秒以上 ) が出来ていること ( 呼吸機能検査ガイドライン より ) a:1 回換気量 (TV) はほぼ安定し 最大呼気位と最大吸気位のプラトーが確認でき 吸気肺活量 呼気肺活量であるため妥当である b:1 回換気量 (TV) は安定しているが 吸気肺活量 (IVC) > 呼気肺活量 (EVC) のため努力不足と考えられる c: 最大吸気後に少量の呼気の後に最大呼気をしており 呼気のタイミングが悪い また 外挿気量 (Etrap) が 0.19L と 7.30% であり 呼気開始が不良であるため妥当な結果ではない d: 呼気が弱くピークが出ていない 外挿気量 (Etrap) が 5.74% であり呼気開始が不良であるため妥当な結果ではない e: 十分な努力が得られており 外挿気量 (Etrap) が 0.11L 4.06% と良好であるため妥当である

心エコー問題 症例 :23 歳女性病歴 : 意識消失の既往 胸痛あり画像は傍胸骨左室長軸像 短軸像 僧帽弁レベルの M モードである 左室流出路の最高流速は約 5.7m/sec であった もっとも考えられる組み合わせはどれか 左室長軸像 ( 拡張期 ) 左室長軸像 ( 収縮期 ) 短軸像 ( 拡張期 収縮期 ) 僧帽弁レベル M モード a. 左室拡大による僧帽弁逆流が見られることが多い b. 非対称性中隔肥厚 (ASH:asymmetric septal hypertrophy) が見られないため 肥大型心筋症 (HCM:hypertrophic cardiomyopathy) は否定できる c. 心電図で V5 V6 でストレイン型 ST-T 変化を認めることが多い d. 左室流出路の圧較差は約 130mmHg であるため 左室流出路狭窄を疑う e. 左室内腔のスペードフォームが特徴的である 1 a.b 2 b.c 3 c.d 4 d.e 5 a.e

正解 3c.d 正解 28 正解率 93% 不正解 2 ( 小数点以下は四捨五入 ) 合計 30 解説 肥大型心筋症の症例である 一般に肥大型心筋症の肥大様式の特徴は 左室内腔は正常または狭くなっていて 左室心筋の不均等な肥大である ASH( 非対称性中隔肥厚 ) を呈することが多い ( この症例では 左室が全周性に肥厚していた ) 僧帽弁前尖の収縮期前方運動 (SAM:systolic anterior motion) が認められ 左室流出路の圧較差は 4 5.7 5.7=130mmHg より左室流出路狭窄が生じている SAM を有する症例によっては 中等度以上の僧帽弁逆流を合併することがある また 大動脈弁の収縮中期半閉鎖も 左室流出路狭窄の存在を示唆する所見として重要である 心尖部に限局して肥大が見られる心尖部肥大型心筋症 (APH:apical hypertrophic cardiomyopathy) では 心尖部四腔像での拡張末期のスペードフォームが特徴的である

腹部エコー問題 1 症例 :33 歳男性主訴 : 腹痛救急に受診された時の超音波像ある 正しいのはどれか a. 胆嚢は腫大している b. 胆嚢壁は肥厚している c. 無石症で起こることもある d. 胆泥を認める e. Sonographic Murphy sign を認めることがある 1 a.b.c のみ 2 b.c.d のみ 3 a.d.e のみ 4 a.c.d のみ 5 a~e すべて

答え 5. a~e すべて 正解 27 正解率 100% 不正解 0 ( 小数点以下は四捨五入 ) 合計 27 解説 症例は 急性胆嚢炎の患者の超音波像である 胆嚢腫大 胆嚢壁肥厚 頸部に嵌頓した結石を認める 超音波施行時 右季肋下で肝縁の下にプローブを当てると胆嚢の痛みのために息を深く吸うことができない Sonographic Murphy sign を認めた 後日 腹腔鏡下胆嚢摘出術が施行された 胆嚢の病理結果は 悪性所見は認められなかった

腹部エコー問題 2 右肋骨弓下走査で以下の画像が得られた 適切な画像調整は何か 1 周波数を上げる 2 ズーム画像で観察する 3 ハーモニックイメージで観察する 4 ゲインを上げる 5 深部の STC を上げる

正解 5 深部の STC を上げる 正解 26 正解率 96% 不正解 1 ( 小数点以下は四捨五入 ) 合計 27 解説 この症例は脂肪肝であり 深部減衰が起こっている この場合の画像調整としてはズーム画像で観察しても何の意味もない ゲインを上げれば確かに深部も明るくなるが 浅部まで明るくなってしまい適切な画像調整とはいえない ハーモニックイメージは最近の装置では深部も暗くならずに観察できるものが大半であるが 深部減衰を解消はできない 解消法としては周波数を下げること 深部の STC を上げること フォーカスポイントを深部にすることである 周波数は高いと解像度が良くなるが 周波数に依存して減衰が大きくなることから深部まで届きにくい 低いと解像度は悪くなるが深部まで届きやすいという性質がある この症例の場合 深部まで届いていないので周波数を下げることが有効である STC はエコー探触子に近い生体の浅い部位が最も強く 深い部位は途中で超音波が減衰するため浅い部位に比べて弱くなる この深さによるエコーの強弱を深さごとに調節できる機構が STC である この場合は深部減衰がおきているため 深部の STC を上げることが有効である

症例サーベイの まとめ 富山県臨床検査技師会会員の年齢層が若くなってきている傾向にあるため 今年度は基本問題を中心に出題した 正解率は 呼吸機能問題は 79% であったがその他 4 問は 90% 以上 腹部エコー 1 問は 100% であった アンケートを基に 来年度の問題を作成する

ご清聴 ありがとうございました