国語科学習指導案 平成 25 年 6 月 25 日 ( 火 ) 5 校時 第 3 学年 A 組 ( 男子 12 名, 女子 15 名計 27 名 ) 授業教室 3A 教室 指導者相田健太郎 (T1) 柿内香予 (T2) 1 単元の学習指導について (1) 単元名 近現代の短歌 俳句 読もう 詠もう短歌と俳句 (2) 単元について 1 生徒観本学級は, 明るく活発で, 国語の授業にも意欲的に取り組む生徒が多い ペアや班でのグループ学習にも意欲的に参加できる 教科学力面においては,2 年生時の県 基礎 基本 定着状況調査の平均通過率が 84.8%( 県平均 81.0%), 今年度の全国学力 学習状況調査 ( 自校採点 ) では, 国語 Aの平均正答率が 79.3%, 国語 Bは 67.5% であった 基礎的な知識 技能は概ね定着しているものの, それらを活用する力には課題があるといえる また, 国語を極端に苦手にしている生徒も複数おり, 学級内の学力差は大きい 短歌や俳句といった日本の伝統的な定型詩については, 小学校でも学習している また, 折に触れて 百人一首 のカルタを楽しんだり, 自分で俳句や川柳等を作ったりしてきており, 定型のリズムにはよく親しんでいるといえる 一方, 短歌 俳句に特有の修辞等の表現を的確にとらえ, 短く抽象性の高い語から, そこに込められた情景や作者の心情をとらえる力は十分とはいえない 本時で扱う正岡子規, 与謝野晶子, 石川啄木の3 人の歌人については,2 年生時に代表歌各 1 首 ( 本時とは別の歌 ) を取り上げ, 学習している また, ジグソー法の学習については, 数学, 理科では体験しているものの, 国語科での本格的な実施は初めてとなる 2 教材観本単元は, 中学校学習指導要領 国語科第 3 学年の次の内容を受けて設定するものである C 読むこと (1) ア文脈の中における語句の効果的な使い方など, 表現上の工夫に注意して読むこと ウ文章を読み比べるなどして, 構成や展開, 表現の仕方について評価すること ここで取り上げるのは近現代の短歌と俳句である これら古くから日本で親しまれてきた伝統的な詩形である短歌や俳句は, 現代の生活にも根付いており, 特に五 七 五等の定型のリズムは日常的に目や耳にするものである 一方, 字数 ( 音数 ) が限られているため, 表現の抽象性が高く, 中学生には, 情景や心情がイメージしにくい場合も多い また, 逐語訳的な理解では, 表面的な解釈に終わってしまうおそれもある つまり, 短歌 俳句を十分に味わうためには, 季語や切れ字, 枕詞といった特有の表現を的確にとらえるとともに, 歌が詠まれた背景をふまえることが重要である また, こ
れらの詩形は, ごく短い定型の枠の中で表現されるものでありながら, その作者ならではの 歌風 が厳然と表れるものでもある したがって, 表現上の工夫に注意して読む 文章を読み比べて, 表現の仕方について評価する といった本単元で身につけさせたい力を指導するためには好適な題材であると考えられる 3 指導観本単元では, 学習指導要領 に示された言語活動例から, (2) ア物語や小説などを読んで批評すること を取り上げる 第一次では, 協調学習の手法であるジグソー法を用いて, 複数の資料から短歌の作者を推理させる学習課題を設定する エキスパート活動では,3つの資料から, それぞれの歌人がどのような人物であったのか, またどのような特徴の歌を残したのかを読み取らせる ジグソー活動では, 答えが そうである理由 だけでなく, そうでない理由 にも着目させ, 話し合わせたい これらの学習によって, それらに込められた情景や心情をより豊かに想像し, 短歌をより深く味わうことができると考える また, ここでは, 近代の短歌と俳句の両方に大きな足跡を残した正岡子規を取り上げることで, 短歌から俳句へのつながりに気づかせることも意図している 指導に当たっては, 人権教育の視点を持ち, 生徒指導の三機能 が発揮される学習場面を意識して設定したい 第二次では, 自分の好きな短歌を取り上げて鑑賞文 ( 批評文 ) を書かせる学習活動を設定し, 紹介し合わせる活動を設定する 単元のまとめとなる第三次では, 一人一人に俳句を詠ませ, 相互評価させる 句会 を行う 自分で 詠む ことが, 詩歌をより深く味わって 読む ことにつながると考えている (3) 単元の目標 短歌や俳句に関心を持ち, 詩歌の中の言葉を手掛かりに想像を働かせながら読み味わおうとする 国語への関心 意欲 態度 短歌や俳句を読み, 特有の表現に注意しながら, 具体的な言葉や表現に即して情景や心情を想像する C 読むことア さまざまな詩歌を読み, 作品の特徴や好きな理由等を文章にまとめ, 作品を評価する C 読むことウ 短歌や俳句の学習を通して情景や心情を表現するための語彙を増やし, 語感を磨く 伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項イ ( イ )
(4) 単元の評価規準ア国語への関心 意欲 態度 1 短歌や俳句に関心を持ち, 詩歌の中の言葉を手掛かりに想像を働かせながら読み味わったり, 学習したことを生かして自分の作品を詠もうとしたりしている イ読む能力 1 短歌や俳句を読み, 特有の表現に注意しながら, 具体的な言葉や表現に即して情景や心情を想像している 2 さまざまな詩歌を読み, 作品の特徴や好きな理由等を文章にまとめている ウ言語についての知識 理解 技能 1 短歌や俳句の学習を通して, 情景や心情を表現するための語彙を増やし, 語感を磨いている (5) 単元の指導計画 ( 全 7 時間 ) 次 学習内容 時数 評価の観点関読言 評価規準 評価方法 1 単元の学習計画を知り, 一 ア 1 短歌や俳句に関心をもち, 詩歌の 次の学習課題をつかむ 短歌 中の言葉を手掛かりに想像を働 や俳句についての既習事項 かせながら読み味わおうとして 一 を振り返る 2 作者の生き方や表現の特 2 いる 観察 イ1 短歌の表現上の特徴や歌の詠ま 徴をもとに短歌を解釈する れた背景をふまえ, 歌に込められ ( ジグソー法 ) た情景や心情を想像している 本時 (2/2) 観察 ワークシート 1 教科書の俳句を音読し, 大 イ 1 俳句に特有の表現に注意しなが まかな歌意をとらえる ら, 具体的な言葉や表現に即して 2 好きな俳句を選び, 鑑賞文 情景や心情を想像している 観 二 を作る 3 鑑賞文を交流する 3 察 ワークシート イ2さまざまな詩歌を読み, 作品の特 徴や好きな理由等を鑑賞文にま とめている 観察 ワークシー ト 1 俳句を創作し, 評価し合 ア 1 短歌や俳句に関心をもち, 学習し う ( 句会 ) たことを生かして作品を詠もう としている 観察 三 2 ウ 1 短歌や俳句の学習を通して, 情景 や心情を表現するための語彙を 増やし, 語感を磨いている 観 察 ワークシート
2 本時の学習指導について (1) 題材名 作者はだれ? 近代短歌の学習 (2) 本時の目標 作者の人物像や表現の特徴から, 短歌に込められた情景や作者の心情を想像し, 短歌を味わう (3) 本時の評価基準 資料から作者の人物像や表現の特徴を読み取り, グループや学級での話し合いを通して, 作品の 特徴に気づき, 短歌に込められた情景や作者の心情を想像している (4) 本時の授業仮説と検証授業仮説 検証場面 検証方法 ジグソー法の手法を用い, 詠まれた背景や表現上の特色に留意して短歌を読ませ, 読み取った情報をもとにグループでの話し合いを通して課題を追究させれば, 歌に込められた情景や心情をより豊かに想像し, 短歌をより深く味わえるであろう ジグソー活動におけるグループでの課題追究の場面 クロストークにおける全体交流の場面 授業後のワークシート分析 ワークシートの記述内容の分析 (5) 人権教育の視点 グループの中で, 自分の考えを説明させることを通して, 適切な自己表現を可能とするコミュニケーション技能を高める < 技能的側面 > (6) 本時の展開 過程 学習活動 評価方法 13:30 1 既習内容を確認する 2 本時のねらいと学習課題を確認する 導入指導上の留意点 ( 支援を必要とする生徒への手立て ) 短歌の定義, 表現技法, 知っている歌人などを出し合わせる 前時の学習を想起させる 評価規準 目 ) 作者の人物像や 作風 から, 短歌に込められた情景や作者の心情を想像しよう 課 ) 作者をさがせ! この短歌は誰の作品でしょうか また, それはなぜですか 説 明しよう 瓶にさす藤の花ぶさみじかければたたみの上にとどかざりけり
展開まとめ13:40 3 エキスパート活動を行う 13:52 4 ジグソー活動を行う 14:08 5 クロストークを行う 14:20 6 本時のまとめを行う 7 振り返りと次時の予告を行う 近代を代表する 3 人の歌人に関する資料を読み取り, ワークシートにまとめさせる ( 人物像や作品の特徴等について 別紙参照 ) 資料 1 正岡子規についての資料資料 2 与謝野晶子についての資料資料 3 石川啄木についての資料 課題追究のために必要な情報は何かを意識しながら読ませる ( どのような人生を送った人か? どのような歌をつくった人か?) エキスパート活動での自分の読み取りが, 課題解決に必要不可欠な情報であることを自覚させる 自己存在感の場を与える T1 と T2 は, 机間指導を行い, 必要に応じて支援を行う 観察 ワーク それぞれの資料から読み取ったことをシート 交流させた上で, まず自分なりに推測させ, 答えと理由を説明させる 自己決定の場を与える 仲間の考えをしっかり聞かせた上で, なぜこの歌なのか なぜこの歌ではないのか 両面から, 話し合うようにさせる 共感的な人間関係を形成する グループや学 T1とT2は, 机間指導を行い, 必要に応じて支援を行う 級での話し合いを通して, 作 グループの答えとその理由をホワイトボードにまとめさせる 答えを, 共通点をもとにグルーピングする 互いの答えの良さや課題を出し合う中で, 学級としてのベストアンサーをまとめていく 資料から作者 の人物像や表 現の特徴を適 切に読み取っ ている 品の特徴に気 づき, 短歌に込 められた情景 や作者の心情 を想像して, 文 章で適切にま もう一度自分の言葉で説明を書かせる とめている 観察 ワーク シート