平成 20 年 9 月 29 日 平成 21 年度介護報酬改定に向けた提言 社会福祉法人東京都社会福祉協議会 はじめに センター部会長代行今裕司 東京都社会福祉協議会センター部会は 東京都内の地域包括支援センター 在宅介護支援センター デイサービスセンターの 664 箇所が加入している団体です 平成

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周南市版地域ケア会議 運用マニュアル 1 地域ケア会議の定義 地域ケア会議は 地域包括支援センターまたは市町村が主催し 設置 運営する 行政職員をはじめ 地域の関係者から構成される会議体 と定義されています 地域ケア会議の構成員は 会議の目的に応じ 行政職員 センター職員 介護支援専門員 介護サービ

資料 目 次 事業方針 実施計画 みんなで福祉の風土を広げよう 住民 関係機関 団体のネットワークで身近な福祉活動を進めよう 一人ひとりの安全で安心な暮らしを守ろう Ⅳ 推進基盤の強化 主な年間行事等

平成 31 年度 地域ケア会議開催計画 魚津市地域包括支援センター 平成 31 年 4 月

Microsoft PowerPoint - (参考資料1)介護保険サービスに関する消費税の取扱い等について

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利用者満足の向上センターのチラシの配布など センターのPRのために具体的な取り組みを行っている 苦情対応体制を整備している 特記事項 名刺 サービス情報誌 広報での PR イベントでのパネル設置など実施 相談の際のプライバシーの確保を図っている 公平性 中立性の確保 業務改善への取り組み 相談室の整

, 地域包括支援センターの組織と人材 2. 1 福祉専門職の歴史と特性

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区分

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まちの新しい介護保険について 1. 制度のしくみについて 東温市 ( 保険者 ) 制度を運営し 介護サービスを整備します 要介護認定を行います 保険料を徴収し 保険証を交付します 東温市地域包括支援センター ( 東温市社会福祉協議会内 ) ~ 高齢者への総合的な支援 ( 包括的支援事業 )~ 介護予

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計画の今後の方向性


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2 経口移行加算の充実 経口移行加算については 経管栄養により食事を摂取している入所者の摂食 嚥 下機能を踏まえた経口移行支援を充実させる 経口移行加算 (1 日につき ) 28 単位 (1 日につき ) 28 単位 算定要件等 ( 変更点のみ ) 経口移行計画に従い 医師の指示を受けた管理栄養士又

下の図は 平成 25 年 8 月 28 日の社会保障審議会介護保険部会資料であるが 平成 27 年度以降 在宅医療連携拠点事業は 介護保険法の中での恒久的な制度として位置づけられる計画である 在宅医療 介護の連携推進についてのイメージでは 介護の中心的機関である地域包括支援センターと医療サイドから医

緊急連載!! あとわずか! 最終回制度 報酬改定に対する予測と提案 NPO 法人日本介護福祉教育研修機構理事長日本通所ケア研究会会長妹尾弘幸 あくまでも 私見による予測 提案であり 決定事項ではないことにご注意ください 0 総論 項 目 訪問 通所 短期入所 小規模多機能 入所 基本機能 訪問介護

目 次

介護予防ケアマネジメントについて

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第28回介護福祉士国家試験 試験問題「社会の理解」

改定事項 基本報酬 1 入居者の医療ニーズへの対応 2 生活機能向上連携加算の創設 3 機能訓練指導員の確保の促進 4 若年性認知症入居者受入加算の創設 5 口腔衛生管理の充実 6 栄養改善の取組の推進 7 短期利用特定施設入居者生活介護の利用者数の上限の見直し 8 身体的拘束等の適正化 9 運営推

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別紙2

第3節 重点的な取り組み

平成20年度春の家居宅介護支援事業所事業計画

地域支援事業交付金の算定方法について


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地域包括ケアシステム

このような現状を踏まえると これからの介護予防は 機能回復訓練などの高齢者本人へのアプローチだけではなく 生活環境の調整や 地域の中に生きがい 役割を持って生活できるような居場所と出番づくりなど 高齢者本人を取り巻く環境へのアプローチも含めた バランスのとれたアプローチが重要である このような効果的

総合事業に係る Q&A 国 注意事項 備考欄には厚生労働省が作成した Q&A の参照先を記載しています 1 介護予防 日常生活支援総合事業ガイドライン案についての Q&A 9 月 30 日版 2 総合事業ガイドライン案に係る追加質問項目について ( 平成 26 年 11 月 10 日全国介護保険担当

問 2 次の文中のの部分を選択肢の中の適切な語句で埋め 完全な文章とせよ なお 本問は平成 28 年厚生労働白書を参照している A とは 地域の事情に応じて高齢者が 可能な限り 住み慣れた地域で B に応じ自立した日常生活を営むことができるよう 医療 介護 介護予防 C 及び自立した日常生活の支援が

高齢者を取り巻く状況 将来人口 本市の総人口は 今後も減少傾向で推移し 平成32年 2020年 には41,191人程度にまで減少し 高齢 者人口については 平成31年 2019年 をピークに減少に転じ 平成32年 2020年 には15,554人程度 になるものと見込まれます 人 第6期 第7期 第8

サービス共通.xls サービス共通 介護予防 日常生活支援総合事業 の質問への回答 サービス共通項目 質問等回答作成月 1 定款に追加する事業名については 介護予防 日常生活支援総合事業 でよいか? 訪問型サービスを実施する場合は 介護保険法に規定する第 1 号訪問事業 若しくは帯広市独自のサービス

06 参考資料1 平成30年度介護報酬改定における各サービス毎の改定事項について

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平成17年度社会福祉法人多花楽会事業計画(案)

地域包括ケア構築に向けた実態調査の実施 ひとり暮らし高齢者 高齢者のみ世帯 の全てを訪問形式で調査 地域全体で生活支援等必要なサービス内容を検討 H24 年度 H24.7 月 ~ひとり暮らし実態調査 ( 訪問 ) 集計 解析 ( 名古屋大学 )1 H 福祉を考える集会 ( 住民 関係者

居宅介護支援事業者向け説明会

2 保険者協議会からの意見 ( 医療法第 30 条の 4 第 14 項の規定に基づく意見聴取 ) (1) 照会日平成 28 年 3 月 3 日 ( 同日開催の保険者協議会において説明も実施 ) (2) 期限平成 28 年 3 月 30 日 (3) 意見数 25 件 ( 総論 3 件 各論 22 件

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Q7: 判定様式には80% を超えるサービスのみ記載するのですか? それとも 80% を超える超えないに関わらず 居宅サービス計画に位置づけたサービスはすべて記載するのですか? A7: 80% を超える超えないに関わらず 居宅サービス計画に位置づけたサービスについて すべて記載してください Q8:

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平成 28 年 2 月以降に認定更新等により要支援認定を受けた方が介護予防訪問介護 介護予防通所介護を利用される場合 これまでの予防給付サービスから総合事業のサービスに変わります 要支援者の認定有効期間は現在最長 12か月ですので 大川市は平成 28 年 2 月から1 年かけて移行します 更新の場合

広島県における『地域ケア会議』

基本理念 第 6 期計画では 高齢者が住み慣れた地域で健康でいきいきと充実した生活を送ることができる地域社会の構築をめざしてきました 第 7 期計画においても 第 6 期計画の基本理念を継承し 総合計画における高齢者福祉の施策の実現をめざして 住んでよかった亀岡 老後も楽しい亀岡 を本計画の基本理念

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生活援助通所サービス 一体型 1 単位の中で要介護者と要支援者とで一緒にサービスを提供する場合 サービス区分 通所型サービス Ⅰ A 型 通所型サービス Ⅱ A 型 通所型サービス Ⅰ B 型 通所型サービス Ⅱ B 型 サービス提供時間 3 時間以上 5 時間未満 / 回 1,400 単位 / 月

平成30年度介護報酬改定における各サービス毎の改定事項について


子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案要綱

地域包括ケアシステムの構築について 団塊の世代が 75 歳以上となる 2025 年を目途に 重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう 医療 介護 予防 住まい 生活支援が包括的に確保される体制 ( 地域包括ケアシステム ) の構築を実現 今後

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特別養護老人ホーム 優雅 社会福祉法人 桜寿会 ( 特別養護老人ホーム優雅 ) 福島県南会津郡南会津町田島字北下原 111 番 TEL: FAX: ( 郡山オフィス ) 福島県郡山市菜根一丁目 22 番 10 号 T

☆表紙・目次 (国会議員説明会用:案なし)

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01 【北海道】

(頭紙)公布通知

○○○の課題と検討

加算 栄養改善加算 ( 月 2 回を限度 ) 栄養スクリーニング加算 口腔機能向上加算 ( 月 2 回を限度 ) 5 円 重度療養管理加算 要介護 であって 別に厚生労働大が定める状態である者に対して 医学的管理のもと 通所リハビリテーションを行った場合 100 円 中重度者ケア体制加算

【1117修正原稿】説明会資料


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消費税 5% 引上げによる社会保障制度の安定財源確保 消費税率 ( 国 地方 ) を 2014 年 4 月より 8% へ 2017 年 4 月より 10% へ段階的に引上げ 消費税収の使い途は 国分については これまで高齢者 3 経費 ( 基礎年金 老人医療 介護 ) となっていたが 今回 社会保障

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01 表紙 雛形(都道府県、市町村、関係団体)介護保険計画課

( 選定提案 ) は 利用者に貸与しようと福祉用具の種目の候補が決まった後で 具体的な提案品目 ( 商品名 ) を検討する際に用いる つまり ( 選定提案 ) に記載されるのは 候補となる福祉用具を利用者に対して提案 説明を行う内容である 平成 30 年度の制度改正では 提案する種目 ( 付属品含む

平成 23 年度東村山市西部地域包括支援センター事業計画 現状 1 過去一年間の事業実績 ( 平成 22 年 1 月 ~12 月 ) (1) 予防給付実績 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 委託新規

地方消費者行政強化作戦 への対応どこに住んでいても質の高い相談 救済を受けられる地域体制を整備し 消費者の安全 安心を確保するため 平成 29 年度までに 地方消費者行政強化作戦 の完全達成を目指す < 政策目標 1> 相談体制の空白地域の解消 全ての市町村に消費生活相談窓口が設置されており 目標を

02 H30 å°‡éŒ•â–€ï¼„â–¡ã…»æł´æŒ°â–€ï¼„â–¡ï¼‹ç‘¾ä»»ï¼›ã‡«ã…ªã‡�ㅥㅩㅀ.xlsx

介護予防 日常生活支援総合事業単位数サービスコード表 ( 平成 29 年 4 月施行版 ) 1 介護予防訪問サービス ( みなし指定事業者用 ) 2 介護予防訪問サービス ( 平成 27 年 4 月 1 日以降の指定事業者用 ) 3 家事援助訪問サービス 4 介護予防通所サービス ( みなし指定事業

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資料 3 ~ 鳥栖市高齢者福祉計画策定資料 ~ 鳥栖市高齢者福祉計画施策評価報告書 平成 29 年 7 月

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地域総合支援協議会

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平成 20 年 9 月 29 日 平成 21 年度介護報酬改定に向けた提言 社会福祉法人東京都社会福祉協議会 はじめに センター部会長代行今裕司 東京都社会福祉協議会センター部会は 東京都内の地域包括支援センター 在宅介護支援センター デイサービスセンターの 664 箇所が加入している団体です 平成 21 年度介護報酬改定に際し 現場事業所が抱える課題を解決すべく 以下の点について提言としてまとめさせていただきました 最重点項目 大都市東京での安定したサービス提供体制の構築のために 現状 東京都においては 慢性的な人材不足が深刻であり 利用者のニーズに応えることが出来ないばかりか 現在のサービス提供体制を維持することも危うい事業所が多い 現状のままでは 保険あってサービスなし という状態に陥る危険性もある その理由には様々なものが考えられるが 以下の点が大きな課題となっている 事業の経営環境が非常に厳しく 十分な人件費が確保できない 制度で求められている事務的な作業の負担が大きく 職員にとってやりがいを見出 しにくくなっている 提言内容 ➀ 地域係数を国家公務員の地域手当と連動させるよう見直すなど 大都市東京のサービス提供者が安定した事業運営を行なえる経済的環境を整えること 2 平成 20 年 8 月 1 日及び 9 月 1 日より実施された事務負担の軽減に対する取り組みを継続 充実させ 効率的なサービス提供体制を構築するよう努めること 以上の対策を講じて 大都市東京での安定したサービス提供が構築できるよう努 めること

デイサービス部門 Ⅰ ( 介護予防 ) 通所介護の送迎について 現状 次期介護保険制度改正に向けた緊急アンケートデイサービス版 では 送迎 ( 予防給付の ) 入浴が基本単価へ包括化されたこと が課題の筆頭にあげられた 通所サービスの送迎については 介護保険制度開始時より 送迎加算 として報酬上の評価がなされてきたが 前回の報酬改定において基本単価に包含するものとして改められた 一方で 通所サービスの提供時間の算定は 事業所内でサービス提供を行っている時間 とされており 送迎にかかる時間は サービス提供時間には含まれないものとなっている 送迎は事業所の責任のもとに提供しているサービスとして 安全の確保に留まらず 様々な利用者の状況やニーズに応じるために 人的 物的な負担は金銭的にも時間的にも大きなものとなっている 提言内容 ( 介護予防 ) 通所介護サービスにおける送迎を 以下のような手段を講じて 事業者が提供するサービスとして評価すること 送迎加算の創設 ( 前回改定により包括化された送迎加算の再設定 ) 送迎時間をサービス提供時間に含める

Ⅱ ( 介護予防 ) 通所介護の入浴について 現状 前述のとおり 送迎サービスとともに介護予防通所介護の入浴が加算項目から外れたことは 多くの会員から課題としてあげている 予防給付対象者の中でも 様々な理由により 入浴サービスの提供を必要としている利用者が存在している また 入浴の実施にあたっては適切な介助を行うために 職員の配置などの対応を行うため サービス提供側の負担となっている 一方で 通所介護の入浴加算は 特別入浴介助加算 と 入浴介助加算 の 2 種類が一本化され 入浴介助加算 ( 50 単位 ) と改められたが とくに 従前の特別入浴介助加算の対象に相当する部分は 人的配置だけではなく設備にかかる経費も大きく 十分な評価とはなっていない 提言内容 介護予防通所介護においても 入浴サービスの提供を加算対象とするなど適切な評価を行うこと 通所介護サービスの入浴については 設備 人的配置などのサービス提供体制に応じた評価を行うこと

地域包括支援センター部門 Ⅰ 一般高齢者施策 特定高齢者施策 現状 一般高齢者施策 特定高齢者施策については 地域住民への普及 啓発が不十分であるとともに 把握 ~ 選定 ~ 利用者へのアプローチ等の流れが円滑に行われておらず タイムラグが生じている 結果として十分機能していない また 介護予防事業そのものの実施機関が少なく 利用者が必要なサービスを受けられないという実態がある さらに 地域の関係団体との連携が不十分である 提言内容介護予防に関して その意義 制度 知識についての普及 啓発を十分に図るとともに 具体的な実施方法について自治体が明確なビジョンを示し 地域包括支援センターの果たす役割も含めて 地域の実態に即した流れを確立する必要がある また 介護予防事業者の確保や育成に関して 積極的な取り組み ( 参入しやすい条件設定をするなど ) を行う必要がある さらに 広い意味での予防の取組みについては 特定高齢者施策から一般高齢者施策への円滑な移行を図る視点が重要であることから 個別対応のみではなく 地域全体での住民活動の取り組みの促進や場づくりが有効である また 社会福祉協議会が進める小地域福祉活動や ふれあい いきいきサロン 活動との連携 自治会や老人クラブなどの住民活動との連携の促進が必要である

Ⅱ 予防給付に関するマネジメント 現状 予防給付のマネジメントに多大な時間が取られ 本来地域包括支援センターで取り組むべき他の業務への時間配分が圧迫されている また 予防給付と介護給付でケアマネジメントの担当者が変わることで ケアマネジメントの継続性が担保出来ていない さらに 緊急に支援が必要な場合の暫定プラン作成について 要支援になるか要介護になるかによって大きく給付額が異なるため 暫定プランが作りづらい状況が生じている 提言内容地域包括支援センターの業務実態の把握 及び利用者の立場に立った介護予防ケアマネジメント業務のあり方について ケアマネジメントの継続性の観点からも十分に検討すること 制度の見直しにあたっては 各地域包括支援センター単位の担当件数を制限する 担当者一人あたりの標準件数を明示する 予防プランが一定数を越えたセンターについては 自治体の責任で 人員配置を厚くするための財政支援を行う などの所要の措置を講ずることが必要である また 予防プラン作成に伴う事務負担の軽減 関連書式の簡素化 について検討し 業務量に照らした適正な介護報酬を設定すること さらに 緊急対応が必要な利用者についての暫定プラン作成について 柔軟な制度運用を行うこと

Ⅲ 権利擁護業務 現状 少子高齢化の進行 家族構成の変化 社会環境の変化のなか 高齢者虐待への対応 判断能力の低下した利用者への支援 悪質商法被害者防止 複雑な生活課題を抱える利用者 家族への対応等 基本的な権利擁護に関するニーズは ますます増加していくことが予想される 各自治体で地域特性に合わせた権利擁護システムの構築が行われつつあるが 課題解決への地域支援基盤を強化していく必要がある 提言内容自治体が責任を持って地域での権利擁護システム構築ついての仕組み作りを行い その中での地域包括支援センターの役割の明確化や広報を行っていく必要がある また 社会福祉協議会の 日常生活自立支援事業 ( 地域福祉権利擁護事業 ) や 成年後見制度利用支援の取組みと地域包括支援センターとの連携の促進が必要である さらに 在宅介護支援センターにおいて実施されていた地域ケア会議のような関係機関 団体の連携の促進の取組みや 複雑な生活課題を持つ利用者の課題解決に対して実践的取組みを行なう場の設置を行うことともに 地域の高齢者の生活実態把握機能を強化し 地域のニーズを的確に把握する体制を作ること

Ⅳ 包括的 継続的ケアマネジメント支援業務 現状 ケアマネジメント支援に関するセンターや 主任介護支援専門員の業務内容が明確でなく 地域の介護支援専門員や関係機関との間での連携 支援体制構築が進展していない地域がある また 主任介護支援専門員のスキルアップを図る場やサポート体制の構築が望まれている 提言内容包括的 継続的ケアマネジメント支援業務は 地域の介護支援専門員への個別支援や指導助言のみならず 地域での介護支援専門員の横の連携体制構築や 研修体制の構築 ケアマネジメントの基盤となる関係機関間の連携の促進が大きな柱となる 地域包括支援センター 自治体 地域の介護支援専門員の間で 包括的 継続的ケアマネジメント支援に関して その業務内容や具体的な実施方法について明確にしていく必要がある また 中心となって取り組む主任介護支援専門員のための 区市町村内の横の連絡体制の構築 サポート体制の確立 スキルアップのための現任者研修 情報交換の場つくり等の位置づけを行う必要がある Ⅴ 総合相談支援業務 現状 地域包括支援センター全体の業務量や 個人情報の取り扱い基準の曖昧さ等により 地域包括ケア体制構築の基礎となる高齢者の生活実態把握が十分に実施されていない 提言内容それぞれの地域特性を反映した地域包括ケア体制を実現するにあたり 高齢者の生活実態の把握 ならびに課題の整理 ( ニーズの抽出 ) は最も基礎となる業務である これらの業務を円滑に遂行するために 自治体はその実施方法を明確にした上で 必要な実施体制等を整備するとともに 個人情報の取り扱い基準についても一定の考え方を示すこと

Ⅵ 共通的支援基盤構築 現状 地域包括支援センターの各業務の基盤となる共通的支援基盤の構築について 地域のネットワーク構築は 各地域共通の課題であり 今後も取り組みを強化していく必要がある 提言内容地域包括ケア体制の整備に関して 関係機関 団体 地域住民等との協力のもと 地域全体での取り組みが不可欠であることから その整備については自治体の全面的なバックアップが必要である この点に関して 区市町村の責任を明確にするとともに 社会福祉協議会等の地域福祉推進団体 住民団体 専門職団体等との横の連携体制の強化に努めること また 生活圏域の設定に関して 他の施策 住民団体の地区割り等との整合性を図ること Ⅶ 業務体制の確保 現状 地域包括支援センターの業務範囲が不明確であるとともに 業務量に応じたマンパワーが確保されていない 結果として センターの 5 つの基本機能への関わりが不十分になってしまう地域がある 提言内容それぞれの地域特性に応じた地域包括支援センターの役割の明確化と 地域包括支援センターごとの業務量に応じたマンパワーの確保が必要である これらの課題を解決するためには 自治体と地域包括支援センターが業務体制の確保等に関して十分協議すること また 地域包括支援センター運営協議会が本来求められている役割を確実に果たせるようにしていくことが必要である

Ⅷ 公的な生活支援サービスの必要量の確保 現状 家族構成や社会環境の変化のなか 一人暮らし高齢者や家族介護者への負担軽減のためには 行政機関 地域包括支援センターをはじめとした関係機関 団体 及び地域住民自身の取り組みとともに 介護保険制度等の公的制度の生活支援サービスの充実が不可欠である 介護保険制度改正や保険者の解釈に伴うサービス量の削減 制限により 必要となる世帯への通院介助や生活援助サービスが受けにくい状況が生じている また 世帯の所得の高低により 生活に必要となる介護保険外の民間サービスを購入できるか否かといった状況が一部生じており 公的介護保険制度の充実 強化に努める必要がある 課題となる一号被保険者の保険料負担についても とくに低所得者に対する負担軽減のための政策が求められている 提言内容訪問介護等の生活援助をはじめとした生活支援サービスは 支援が必要な一人暮らし高齢者や 介護負担が重い世帯への支援において必要不可欠なサービスであり 利用者の生活環境整備や高齢者虐待防止において重要となる また 世帯の所得の高低によって受けられるサービスに差が生じることのないよう 介護の社会化 という介護保険制度の目的に照らし 必要となるサービスの確保 充実に努めること