- 1 - 国語科学習指導案(古典)指導者澤松義人一対象第二学年二使用教科書精選古典(東京書籍)三単元名 教材名日記 更級日記 門出四指導観(1)教材観 更級日記 は作者 菅原孝標女が 晩年になって回想的に書いた作品と言われている その書き出しにあたる 門出 は 源氏物語 など物語に憧憬の念を抱いた少女時代の作者が 薬師如来の仏像を作り祈願し その願いが叶って 京都に出立するまでを描いている 文章としては 登場人物が比較的少なく 基本的な敬語も含まれているため 敬語を習得途中である二年生二学期の教材には適切であると考えている 作者の 源氏物語 をはじめとする物語への憧憬を通して 日本文学史における 源氏物語 の影響の大きさ あるいは 印刷技術のない時代の文学作品のあり方についても垣間見ることができる また 作者の心情表現が多く 文章も平明であるため 心情を比較的つかみやすいと思われる 古文における小説の読解方法を生徒に提示するにも適当な教材であると考える (2)生徒観国公立大学などの比較的偏差値の高い大学への進学を希望する生徒が多く 授業に対しても真剣に取り組む ただし 本校の特徴として 予習復習などの家庭学習時間を生徒が充分に確保できないため 重要文法事項などは繰り返し授業 補習を通して定着させていくほかない状況にある 用言の活用や助動詞は一年次に既習であり 二年生一学期の復習を通して 定着をしてきた生徒も増えている が 習得できている生徒と そうでない生徒との差は 未だ大きい状態である また 敬語についても 二学期前半に習ったものの まだまだ充分に使いこなせない生徒も多い 小説における心情把握の基本構図は既習である (3)指導観古典作品を深く理解していくためには 基礎的な文法事項を土台として 文の構造や時代背景などに留意しつつ 心情 思想を読み解いていく必要がある 言い換えれば 各文の構成要素を文法事項を通して把握する能力と それらの文で構成される文章全体を踏まえながら読み進めていく能力が同時に必要とされる 一年生から二年生にかけての古典文法の習得期においては 生徒は文法的な問題に意識を奪われやすく 文章全体を観る視点は なおざりにされがちである 現代文での小説の読解方法を利用することで 文章全体の構造や心情の背景となる事象などを意識させること また そうした意識を育てることで 古典作品の世界をより深く味わうことができることを生徒に自覚させたいと思う 五単元の目標1作者の心情や行動に注目し 時代背景を踏まえて 場面を想像しながら読む 2文や文章の構造を意識しながら文意を把握する 3助動詞や係り結びなど 重要古典文法を通して 正確に文脈を読みとる 4敬意を含む基本的な単語について理解し 文章の中で判別する 5小説の読解方法を ストーリー性のある古典作品にも応用し 作者の心情を適切に理解し 表現する
- 2 - 六単元の評価規準関心 意欲 態度書く能力読む能力知識 理解 古典作品を読み 作者 心情をその背景まで 作者の心情や行動に 作品の書かれた時代の心情や行動を 小説含め 読み手を意識注目し 場面を想像の状況について理解の読解方法を使って認して適切な語句 順しながら読んでいしている 識し 説明しようとし序によって 論理的る 文中の助動詞を正確ている に表現している 文や文章の構造を意に判別している 識して 作者の心情 基本的な敬語を知を直接的な原因だけり 判別している でなく その背景ま 係り結びや主要な助で踏まえて考えてい詞などを理解している る 七単元の指導計画(全四時間)時間主な学習内容指導上の留意点評価規準評価方法1 更級日記 と作者 菅 日記文学と漢文日記の 作品 作者など文 発表原孝標女について また違いを認識させる 学史に関する事項 机間指導に日記文学についての概要や作品の書かれたよる観察を知る 時代の状況を充分 門出 冒頭部を読み 中流貴族の生活状況にに把握している 作者の置かれていた立場ついて生徒の理解を促 知 や時代背景を理解する す 2 門出 前半部を読解 印刷技術のない時代の 文の構造を意識 指名によるし 作者の物語への憧憬文学作品の受容状況をし その中から作発表を理解する 生徒が理解できるよう者の物語への憧憬留意する や現在の状況を読み取っている 読 基本的な敬語の考え方や 敬語や助動詞を習得し 敬語や助動詞 係 指名による助動詞 係り結びについきれていない生徒も理り結びなどを的確発表て再確認する 解できるよう 図示をに理解している 交えつつ解説する 知 3 門出 後半部を読解 住み慣れた場所を 指名によるし 作者の願いが叶い京離れる作者の心情発表に出立するまでの状況とをその行動を通しその心情を読み取る て的確に理解している 読 基本的な敬語や助動詞を 基本単語や敬語 助動 助動詞や敬語など 指名による再確認する 詞の主要なものを強調を正確に理解し 発表する 判別している 知
- 3-4 現代文の小説における心 心情把握の方法を的確 小説の読解方法を 指名による(本時)情把握方法を再確認すに理解し それを読解 更級日記 の読発表る 時 表現時に利用でき解に応用し 作者 机間指導に 心情把握方法を古典作品るよう留意する の心情を正確に把よる観察の読解に応用し 作品を握しようとしていより深く味わう る 関 作者の心情とその原因を論理的に表 プリント点現している 検 書 八本時の指導(1)目標ア作者の心情や行動に注目するとともに 時代背景や作者の生い立ちなど背景となる事項を踏まえ 作品世界を深く味わう イ作者の心情を表現するために 心情を動かした直接的な原因(近因)だけでなく 時代状況や作者と他者との関係など背景(遠因)まで含めて的確に表現する (2)資料等平成十九年度センター試験(第2問小説問題文)プリント心情把握用プリント(裏面に 平成十九年度センター試験小説問3掲載)心情記述 授業評価アンケートプリント 学習指導案の後に添付 (3)展開時間学習内容学習活動指導上の留意点評価規準評価方法導入 前時の確 前回までの学習内容を(二分)認確認し 本時の目的と流れを理解する 展開Ⅰ 小説の読1小説における心情の変 心情把握方法を忘れて(二五解方法の化の流れと 心情把握いる生徒も理解できる分)再確認の方法 説明の仕方をよう 例を挙げ 図示確認する しながら解説する 三分 実際の問2配付された 平成十九 スピードを意識しなが題を通し年度センター試験第らも 精読を心がけるた小説の2問小説(堀江敏幸よう呼びかける 読解方法 送り火 ) の問題 センター試験であるこの再確認文のプリントについてとはまだ明かさない 解説を聞き 四分間で読む 七分 3センター試験問3の 裏はまだ見ないよう注 小説の読解 指名に傍線部についての心情意を促す 方法を使い よる発把握用プリント(裏面 その要素がなければ 登場人物の心表にセンター試験問3心情の説明として不十情を把握しよ 机間指
- 4 - 掲載)に 心情やその分となる箇所が遠因とうとしてい導によ原因を記入し 解説をして必要となる箇所でる 関 る観察聞く あることを強調する 八分 4裏面のセンター試験 的確な読解とそれを論問3を解く 理的に表現すること 二分 が 他者との共通理解に繋がることを確認する 5解説を聞き 小説の心 心情の背景となる遠因情読解と表現方法を確を正確に理解すること認する が読解の正確さに繋が 五分 ることを指摘する これから古文に応用していくことを再度把握させる 展開Ⅱ 古典読解6 更級日記 の作者の 展開Ⅰで確認した方法 小説の読解 机間指(二〇への応用心情とその原因を 配で読み取ることができ方法を 更級導によ分)付されたプリントに書ているか確認する 日記 に応用る観察き込み 説明の順序をし 作者の心理解する 情を把握しよ 七分 うとしている 関 読解した7心情とその原因を文章 古典作品を読む際に 心情やその 机間指ことの表化し 確認する も 心情を動かす直接原因を流れに導によ現 八分 的な原因(近因)と そって正しくる観察時代状況や作者と他者接続し 説得 プリンとの関係など背景(遠力のある文をト点検因)との双方の理解が書けている 必要となることを指摘 書 する 応用方法8古文や漢文にも スト 両者を組み合わせた随の確認ーリーをもった小説系想系の文章もあることの文章と 作者の思想にも触れておく を述べた評論系の文章があることを理解し 読み方を意識することで古典もより深く味わえることを理解する 五分 まとめ 授業の振 本時の授業内容を振り(三分)り返り返り 授業アンケートに記入する
年 H 番氏名 人知れずうち泣かれぬ とあるが この時の作者の心情を説明せよ 心情と原因 心情 近因 遠因 答え 授業アンケート多少あまりほとんどできたできないできない 一年次の状況 できた1小説の読み方(心情把握方法)について意識できていましたか 2評論の読み方 答え方を意識できていましたか 3古典(古文 漢文)を読む時に人物の心情を意識できていましたか ある程度できそうにたぶんできそうできないない これから できそう4これから小説で登場人物の心情把握の流れを意識できそうですか 5これから評論で読み方や解き方を意識できそうですか 6これから古典を読む時に登場人物の心情を意識できそうですか 7その他 気になった点や説明してほしい授業内容があれば記述してください 考える流れ答える流れ