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第 1 章総則第 1 教育課程編成の一般方針 1( 前略 ) 学校の教育活動を進めるに当たっては 各学校において 児童に生きる力をはぐくむことを目指し 創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で 基礎的 基本的な知識及び技能を確実に習得させ これらを活用して課題を解決するために必要な思考力 判

課題研究の進め方 これは,10 年経験者研修講座の各教科の課題研究の研修で使っている資料をまとめたものです 課題研究の進め方 と 課題研究報告書の書き方 について, 教科を限定せずに一般的に紹介してありますので, 校内研修などにご活用ください

Ⅰ 評価の基本的な考え方 1 学力のとらえ方 学力については 知識や技能だけでなく 自ら学ぶ意欲や思考力 判断力 表現力などの資質や能力などを含めて基礎 基本ととらえ その基礎 基本の確実な定着を前提に 自ら学び 自ら考える力などの 生きる力 がはぐくまれているかどうかを含めて学力ととらえる必要があ

平成23年度全国学力・学習状況調査問題を活用した結果の分析   資料

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123


(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

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「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて

学習意欲の向上 学習習慣の確立 改訂の趣旨 今回の学習指導要領改訂に当たって 基本的な考え方の一つに学習 意欲の向上 学習習慣の確立が明示された これは 教育基本法第 6 条第 2 項 あるいは学校教育法第 30 条第 2 項の条文にある 自ら進んで学習する意欲の重視にかかわる文言を受けるものである

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平成 28 年度全国学力 学習状況調査の結果伊達市教育委員会〇平成 28 年 4 月 19 日 ( 火 ) に実施した平成 28 年度全国学力 学習状況調査の北海道における参加状況は 下記のとおりである 北海道 伊達市 ( 星の丘小 中学校を除く ) 学校数 児童生徒数 学校数 児童生徒数 小学校

1. 研究主題 学び方を身につけ, 見通しをもって意欲的に学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における算数科授業づくりを通して ~ 2. 主題設定の理由 本校では, 平成 22 年度から平成 24 年度までの3 年間, 生き生きと学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における授業づくり通して~ を研究主題に意欲的

平成 29 年度 全国学力 学習状況調査結果と対策 1 全国学力調査の結果 ( 校種 検査項目ごとの平均正答率の比較から ) (1) 小学校の結果 会津若松市 国語 A は 全国平均を上回る 国語 B はやや上回る 算数は A B ともに全国平均を上回る 昨年度の国語 A はほぼ同じ 他科目はやや下

学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

2 教科に関する調査の結果 ( 各教科での % ) (1) 小学校 国語 4 年生 5 年生 6 年生 狭山市埼玉県狭山市埼玉県狭山市埼玉県 平領均域正等答別率 話すこと 聞くこと 書くこと

(2) 国語 B 算数数学 B 知識 技能等を実生活の様々な場面に活用する力や 様々な課題解決のための構想を立て実践し 評価 改善する力などに関わる主として 活用 に関する問題です (3) 児童生徒質問紙児童生徒の生活習慣や意識等に関する調査です 3 平成 20 年度全国学力 学習状況調査の結果 (

「標準的な研修プログラム《

国語の授業で目的に応じて資料を読み, 自分の考えを 話したり, 書いたりしている

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平成 年度佐賀県教育センタープロジェクト研究小 中学校校内研究の在り方研究委員会 2 研究の実際 (4) 校内研究の推進 充実のための方策の実施 実践 3 教科の枠を越えた協議を目指した授業研究会 C 中学校における実践 C 中学校は 昨年度までの付箋を用いた協議の場においては 意見を出

第4章 道徳

3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

回数テーマ学習内容学びのポイント 2 過去に行われた自閉症児の教育 2 感覚統合法によるアプローチ 認知発達を重視したアプローチ 感覚統合法における指導段階について学ぶ 自閉症児に対する感覚統合法の実際を学ぶ 感覚統合法の問題点について学ぶ 言語 認知障害説について学ぶ 自閉症児における認知障害につ

平成29年度 小学校教育課程講習会 総合的な学習の時間

領域別正答率 Zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz んんんんんんんんんんんんん 小学校 中学校ともに 国語 A B 算数( 数学 )A B のほとんどの領域において 奈良県 全国を上回っています 小学校国語 書く B において 奈良県 全国を大きく上回っています しかし 質問紙調査では 自分

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解禁日時新聞平成 30 年 8 月 1 日朝刊テレビ ラジオ インターネット平成 30 年 7 月 31 日午後 5 時以降 報道資料 年月日 平成 30 年 7 月 31 日 ( 火 ) 担当課 学校教育課 担当者 義務教育係 垣内 宏志 富倉 勇 TEL 直通 内線 5

Ⅲ 目指すべき姿 特別支援教育推進の基本方針を受けて 小中学校 高等学校 特別支援学校などそれぞれの場面で 具体的な取組において目指すべき姿のイメージを示します 1 小中学校普通学級 1 小中学校普通学級の目指すべき姿 支援体制 多様な学びの場 特別支援教室の有効活用 1チームによる支援校内委員会を

必要性 学習指導要領の改訂により総則において情報モラルを身に付けるよう指導することを明示 背 景 ひぼう インターネット上での誹謗中傷やいじめ, 犯罪や違法 有害情報などの問題が発生している現状 情報社会に積極的に参画する態度を育てることは今後ますます重要 目 情報モラル教育とは 標 情報手段をいか

各教科 道徳科 外国語活動 総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成するものとする 各教科 道徳科 総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成するものとする

主語と述語に気を付けながら場面に合ったことばを使おう 学年 小学校 2 年生 教科 ( 授業内容 ) 国語 ( 主語と述語 ) 情報提供者 品川区立台場小学校 学習活動の分類 B. 学習指導要領に例示されてはいないが 学習指導要領に示される各教科 等の内容を指導する中で実施するもの 教材タイプ ビジ

フトを用いて 質問項目間の相関関係に着目し 分析することにした 2 研究目的 全国学力 学習状況調査結果の分析を通して 本県の児童生徒の国語及び算数 数学の学習 に対する関心 意欲の傾向を考察する 3 研究方法平成 25 年度全国学力 学習状況調査の児童生徒質問紙のうち 国語及び算数 数学の学習に対

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考え 主体的な学び 対話的な学び 問題意識を持つ 多面的 多角的思考 自分自身との関わりで考える 協働 対話 自らを振り返る 学級経営の充実 議論する 主体的に自分との関わりで考え 自分の感じ方 考え方を 明確にする 多様な感じ方 考え方と出会い 交流し 自分の感じ方 考え方を より明確にする 教師

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平成 25 年度学力定着状況確認問題の結果について 概要版 山口県教育庁義務教育課 平成 2 6 年 1 月 1 実施概要 (1) 目 的 児童生徒の客観的な学力状況の経年的な把握と分析を通して 課題解決に向けた 指導の工夫改善等の取組の充実を図る全県的な検証改善サイクルを確立し 県内す べての児童

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41 仲間との学び合い を通した クラス全員が学習に参加できる 授業づくり自分の考えを伝え 友達の考えを聞くことができる子どもの育成 42 ~ペア グループ学習を通して~ 体育における 主体的 対話的で深い学び を実現する授業づくり 43 ~ 子どもたちが意欲をもって取り組める場の設定の工夫 ~ 4

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2 生活習慣や学習環境等に関する質問紙調査 児童生徒に対する調査 学校意欲 学習方法 学習環境 生活の諸側面等に関する調査 学校に対する調査 指導方法に関する取組や人的 物的な教育条件の整備の状況等に関する調査 2

2、協同的探究学習について

(2) 国語科 国語 A 国語 A においては 平均正答率が平均を上回っている 国語 A の正答数の分布では 平均に比べ 中位層が薄く 上位層 下位層が厚い傾向が見られる 漢字を読む 漢字を書く 設問において 平均正答率が平均を下回っている 国語 B 国語 B においては 平均正答率が平均を上回って

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平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果の概要 ( 和歌山県海草地方 ) 1 調査の概要 (1) 調査日平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 ) (2) 調査の目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し

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ホームページ掲載資料 平成 30 年度 全国学力 学習状況調査結果 ( 上尾市立小 中学校概要 ) 平成 30 年 4 月 17 日実施 上尾市教育委員会

目次 教員養成 研修外国語 ( 英語 ) コア カリキュラム ダイジェスト版 について p. 1 教員養成 研修外国語 ( 英語 ) コア カリキュラムの位置付けについて p. 1 小学校教員養成課程外国語 ( 英語 ) コア カリキュラム構造図 p. 2 学習項目と到達目標 p. 3 中 高等学校

1 高等学校学習指導要領との整合性 高等学校学習指導要領との整合性 ( 試験名 : 実用英語技能検定 ( 英検 )2 級 ) ⅰ) 試験の目的 出題方針について < 目的 > 英検 2 級は 4 技能における英語運用能力 (CEFR の B1 レベル ) を測定するテストである テスト課題においては

教育 学びのイノベーション事業 ( 平成 23~25 年度 ) 総務省と連携し 一人一台の情報端末や電子黒板 無線 LAN 等が整備された環境の下で 教科指導や特別支援教育において ICT を効果的に活用して 子供たちが主体的に学習する 新たな学び を創造する実証研究を実施 小学校 (10 校 )

英語科学習指導案 京都教育大学附属桃山中学校 指導者 : 津田優子 1. 指導日時平成 30 年 2 月 2 日 ( 金 ) 公開授業 Ⅱ(10:45~11:35) 2. 指導学級 ( 場所 ) 第 2 学年 3 組 ( 男子 20 名女子 17 名計 37 名 ) 3. 場所京都教育大学附属桃山中

4 学習指導案 第 5 学年 1 組図工科学習指導案 1 題材名 4 コマで考えて交流しよう 平成 21 年 10 月 15 日 在籍児童数 32 名 2 題材について (1) 児童の実態本学級の児童は図工が大好きである ほとんどの子が夢中になって作品づくりに取り組んでいる しかし どんどん進められ

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2 研究の歩みから 本校では平成 4 年度より道徳教育の研究を学校経営の基盤にすえ, 継続的に研究を進めてきた しかし, 児童を取り巻く社会状況の変化や, 規範意識の低下, 生命を尊重する心情を育てる必要 性などから, 自己の生き方を見つめ, 他者との関わりを深めながらたくましく生きる児童を育てる

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国語 B では 話すこと 聞くこと 領域において 全国及び県平均を上回っているが 他の三つの領域においては 全国及び県平均を下回っている 活用する力を育成する取組のさらなる充実が必要である 設問 1 の目的に応じて 話し合いの観点を整理する力は身についてきている 設問 3 の二つの詩を比べて読み 自

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p.1~2◇◇Ⅰ調査の概要、Ⅱ公表について、Ⅲ_1教科に対する調査の結果_0821_2改訂

知識・技能を活用して、考えさせる授業モデルの研究

(6) 調査結果の取扱いに関する配慮事項調査結果については 調査の目的を達成するため 自らの教育及び教育施策の改善 各児童生徒の全般的な学習状況の改善等につなげることが重要であることに留意し 適切に取り扱うものとする 調査結果の公表に関しては 教育委員会や学校が 保護者や地域住民に対して説明責任を果

(2) 学習指導要領の領域別の平均正答率 1 小学校国語 A (%) 学習指導要領の領域 領 域 話すこと 聞くこと 66.6(69.2) 77.0(79.2) 書くこと 61.8(60.6) 69.3(72.8) 読むこと 69.9(70.2) 77.4(78.5) 伝統的な言語文化等 78.3(

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2 教科に関する調査の結果 (1) 平均正答率 % 小学校 中学校 4 年生 5 年生 6 年生 1 年生 2 年生 3 年生 国語算数 数学英語 狭山市 埼玉県 狭山市 61.4

第 2 章 知 徳 体 のバランスのとれた基礎 基本の徹底 基礎 基本 の定着 教育基本法 学校教育法の改正により, 教育の目標 義務教育の目標が定められるとともに, 学力の重要な三つの要素が規定された 本県では, 基礎 基本 定着状況調査や高等学校学力調査を実施することにより, 児童生徒の学力や学

福祉科の指導法 単位数履修方法配当年次 4 R 2 年以上 科目コード EC3704 担当教員佐藤暢芳 ( 上 ) 赤塚俊治 ( 下 ) 2017 年 11 月 20 日までに履修登録し,2019 年 3 月までに単位修得してください 2014 年度までの入学者が履修登録可能です 科目の内容 福祉科

平成 30 年度なごや小学校努力点推進計画 1 研究主題なかまとともに感性輝くなごやっ子 (1 年次 ) 2 研究主題について本校では 昨年度までの努力点研究において 道徳や特別活動の時間を中心に 子ども一人一人の成長と互いの認め合いをめざすことで 子ども自らが なごや小でよかった と感じられるよう

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資料3 道徳科における「主体的・対話的で深い学び」を実現する学習・指導改善について

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平成 30 年度全国学力 学習状況調査 北見市の結果等の概要 Ⅰ 調査の概要 1 調査の目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析するとともに教育施策の成果と課題を検証し その改善を図り 学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等

成績評価を「学習のための評価」に

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北九州市学力向上ステップアップ事業第Ⅱ期推進指定校 実施計画

単元構造図の簡素化とその活用 ~ 九州体育 保健体育ネットワーク研究会 2016 ファイナル in 福岡 ~ 佐賀県伊万里市立伊万里中学校教頭福井宏和 1 はじめに伊万里市立伊万里中学校は, 平成 20 年度から平成 22 年度までの3 年間, 文部科学省 国立教育政策研究所 学力の把握に関する研究

彩の国埼玉県 埼玉県のマスコット コバトン 科学的な見方や考え方を養う理科の授業 小学校理科の観察 実験で大切なことは? 県立総合教育センターでの 学校間の接続に関する調査研究 の意識調査では 埼玉県内の児童生徒の多くは 理科が好きな理由として 観察 実験などの活動があること を一番にあげています

平成 21 年度全国学力 学習状況調査結果の概要と分析及び改善計画 調査実施期日 平成 21 年 10 月 2 日 ( 金 ) 教務部 平成 21 年 4 月 21 日 ( 火 )AM8:50~11:50 調査実施学級数等 三次市立十日市小学校第 6 学年い ろ は に組 (95 名 ) 教科に関す

ている それらを取り入れたルーブリックを生徒に提示することにより 前回の反省点を改善し より具体的な目標を持って今回のパフォーマンスに取り組むことができると考える 同に そのような流れを繰り返すことにより 次回のパフォーマンス評価へとつながっていくものと考えている () 本単元で重点的に育成をめざす

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調査の概要 1 目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し その改善を図るとともに そのような取組を通じて 教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する また 学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の

平成 30 年 1 月平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果と改善の方向 青森市立大野小学校 1 調査実施日平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 ) 2 実施児童数第 6 学年 92 人 3 平均正答率 (%) 調 査 教 科 本 校 本 県 全 国 全国との差 国語 A( 主として知識

2 各教科の領域別結果および状況 小学校 国語 A 書くこと 伝統的言語文化と国語の特質に関する事項 の2 領域は おおむね満足できると考えられる 話すこと 聞くこと 読むこと の2 領域は 一部課題がある 国語 B 書くこと 読むこと の領域は 一定身についているがさらに伸ばしたい 短答式はおおむ

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各教科における言語活動の充実に関する研究 - 各教科の目標実現に効果的な言語活動を求めて : 言語活動グループ研究の概要 - 研究の概要 本研究では, 各教科の目標を実現するためにどのように言語活動を充実させればよいかを具体的に明らかにすることを目指した 外国語科や国語科のように言語活動と教科の目標とが密接な関係にある教科と言語活動を教科の目標実現のための手段としてとらえるべき教科があるが, 教科によって目標実現に有効な言語活動を明らかにし, 授業の中にどのように取り入れるかという観点から,4 名の研修主事がそれぞれの専門教科に応じて, 小学校音楽科, 小学校図画工作科, 高等学校国語科及び高等学校外国語科において研究を行った 併せて, 学校全体で言語活動の充実に向けて取り組む際に重要な要素である言語環境について検討した キーワード 言語活動の充実各教科 科目の目標言語環境学校全体の取組 Ⅰ 主題設定の理由 平成 21 年 3 月に高等学校学習指導要領が告示され, 小学校から高等学校までの学習指導要領がそろった 今回の改訂は平成 20 年 1 月 17 日の中央教育審議会答申 幼稚園, 小学校, 中学校, 高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について を踏まえて行われたものである この答申では, 教育に関する主な改善事項として1 言語活動の充実,2 理数教育の充実,3 伝統や文化に関する教育の充実,4 道徳教育の充実,5 体験活動の充実,6 小学校段階における外国語活動及び7 社会の変化への対応の観点から教科等を横断して改善すべき事項の7 点を挙げている ( 注 1) これらは6の小学校段階における外国語活動を除いて, すべての校種において推進すべきものである 特に言語活動の充実に関しては, 各教科等における言語活動の充実は, 今回の学習指導要領の改訂において各教科等を貫く重要な改善の視点である ( 注 2) と述べて, その重要性を指摘している 本センターではこれまで, 平成 16 年度から18 年度の3 年間にわたって 国語力向上 を, 平成 19 年度には PISA 型読解力の育成 を, 平成 20 年度は 言語力の向上 をテーマに研究に取り組んできた 平成 16 年度から3 年間は, 国語力向上 について特に論理的思考力及び相互コミュニケーション能力の育成をテーマにしてきた 平成 20 年度の研究 言語力の向上 はこの流れの中に位置づけられるもので, 過去の研究成果を踏まえ更に多くの実際的効果をねらったものであった ( 注 3) これまでの5 年間は, 国語力 言語力の育成という観点から言語活動をどのように展開するかという研究を続け, 成果をあげてきた こうした成果を踏まえて, 本年度の研究について考えたとき, 高等学校までの学習指導要領が出そろい, 新学習指導要領への移行措置が本格的に始まるこのときに, 実際の各教科の授業展開における - 1 -

言語活動の充実に向けた実践について研究を進める必要性があるのではないかと判断した そこで本年度の研究においては, これまでの研究とは視点を変えて, 教科の指導の目標実現に有効な言語活動という観点から研究を進めることにした 言語活動といった場合具体的にどのような活動が想定されるか, 教科の目標と関連して言語活動をどのように位置づけたらよいか, それぞれの教科の特性から教科の目標実現に向けてどのような言語活動が有効か, 言語活動を充実させることによって児童生徒の学習意欲は高まるのかなどについて明らかにしたいと考え主題を設定した Ⅱ グループ研究の目的 (1) 実際に想定される言語活動を具体化する (2) 各教科の特性を踏まえて, 教科の目標と言語活動の関係を明確にし, 教科の目標実現に有効な言語活動を明らかにする (3) 言語活動の充実と児童生徒の学習意欲との関係を明らかにする Ⅲ 研究の基本的な考え方 本研究は言語活動に焦点化して進められるものであるが, ここでは, その前提となる事項について本センターのこれまでの研究成果を踏まえながら簡単にまとめておきたい 併せて, 今回, 県内全日制高等学校の教諭を対象に言語活動に関するアンケート調査を行ったので, その結果から言語活動にかかわる課題を明らかにし, 活動充実のための方策について考えたい 1 国語力 国語力については, 本センターのこれまでの研究では, 伝達, 思考 及び 文化 の三つの機能を重視する言語機能, 話す力, 聞く力, 読む力 及び 書く力 の 4 点でとらえる言語活動を 旧来の 国語力 の範疇で捉えられる内容 とし, 平成 16 年 2 月 3 日の文化審議会答申 これからの時代に求められる国語力について に述べられている国語力を 生きる力 や 確かな学力 にもかかわる 新たな概念 としている ( 注 4) この新たな概念については次のように述べている 国語力を 生きる力 確かな学力 の見地から, 生涯学習や豊かな心とのかかわりで捉えようとする動きが昨今目立っている 例えば, 人間関係形成の観点からの コミュニケーション能力 や 生きる力 ( 特に豊かな心 ) の観点からの 想像力 情緒力 ( 例えば, 相手の立場で感じる心 ) がこれまで以上に国語力として強調されることになる あるいは, 生涯学習の理念を踏まえた 確かな学力 の観点からは, 関心 意欲 態度 教養 価値観 などまでも含めて幅広く国語力として捉えようとしている その動きを最も象徴するものが, 前掲の平成 16 年 2 月の これからの時代に求められる国語力について の文化審議会答申に他ならない ( 注 5) では文化審議会答申では国語力をどのようにとらえているのだろうか 答申の Ⅰ これからの時代に求められる国語力について第 2 これからの時代に求められる国語力 2 国語力を構成する能力等 で次のように定義している - 2 -

(1) 国語力のとらえ方について審議会では, 以下に示すように, これからの時代に求められる国語力 を大きく二つの領域に分けてとらえることとした ただし, ここでの目的は, 国語力一般の 全体像 を詳細に描くことではなく, 飽くまでも これからの時代に求められる国語力 として, 何が必要なのかを明確にすることである したがって, 以下に示すものは, これからの時代に求められる国語力の構造 を模式的に表したものである 1 考える力, 感じる力, 想像する力, 表す力から成る, 言語を中心とした情報を処理 操作する領域 2 考える力や, 表す力などを支え, その基盤となる 国語の知識 や 教養 価値観 感性等 の領域 1は国語力の中核であり, 言語を中心とした情報を 処理 操作する能力 としての 考える力 感じる力 想像する力 表す力 の統合体として, とらえることができるものである 2は, 1の諸能力 の基盤となる国語の知識等の領域である この二つの領域は, 相互に影響し合いながら, 各人の国語力を構成しており, 生涯にわたって発展していくものと考えられる なお, 読書は,1の 考える力 感じる力 想像する力 表す力 のいずれにも関連しており,2の国語の知識等の領域とも密接に関連している 国語力を高める上で, 読書が極めて重要であることは, この点からも明らかである ( 注 6) 1を中核とし2をその基盤とする構造を提示している また, 言語機能や言語活動という 旧来の範疇 を拡大したものになっている さらに答申では, 国語力の向上に 国語教育 と 読書活動 が最も有効な手段であ るとしてその推進を提言し, 国語教育 については, なお, 答申の 国語教育 とは, 学校教育における教科 国語 で扱う 国語科教育 をその中に含み込んだ 国語 ( 言葉 ) にかかわる教育の全体, すなわち, 学校, 家庭, 社会において行われる 国語の教育全般 を指すものである ( 注 7) と定義づけ学校教育においては国語科だけで行うものではないことを指摘している 2 言語力 上述のとおり, 文化審議会答申でいう 国語教育 は学校, 家庭, 社会において行われる 国語の教育全般 をさすものであった これは文化審議会への諮問理由に 近年, 日本人の国語力をめぐっては, 種々の問題点を指摘する声もあるが, 今後予想される急激な社会の変化に対応していくためには, これからの時代にふさわしい国語にかかわる知識 素養 能力など, 国語力を生涯を通じて身に付けていくことが求められる ( 注 8) とあることからも分かるように, 学校教育だけに焦点化したものでなく生涯教育という観点からこの問題をとらえていたことによるものである 学校教育に焦点化して 国語教育 をとらえた場合, 国語 という言葉を使っているだけに国語科中心に考えられ他教科からの関心はそれほど大きなものではなかった 学習指導要領改訂のための諮問を受けた中央教育審議会では, 言語力育成協力者会議を設けた 同 - 3 -

会議では 言語力の育成方策について ( 報告書案 ) をまとめ平成 18 年 8 月に公にした この報告書 案では, 言語力 という言葉を用いた上で, 次のように定義している (1) 言語力についてこの報告書では, 言語力は, 知識と経験, 論理的思考, 感性 情緒等を基盤として, 自らの考えを深め, 他者とコミュニケーションを行うために言語を運用するのに必要な能力を意味するものとする ( 中略 ) 言語は, 文化審議会答申 ( 平成 16 年 2 月 ) が国語力について指摘するように, 知的活動, 感性 情緒等, コミュニケーション能力の基盤として, 生涯を通じて個人の自己形成にかかわるとともに, 文化の継承や創造に寄与する役割を果たすものである ( 注 9) 後段から明らかなように, この定義は文化審議会答申の 国語力 の定義を拡大 深化させたもの であり, 文化審議会答申に示された国語力の構造を引き継いでいる この 国語力 から 言語力 への変遷について, 高木展郎は次のように述べている まず,1 社会全体で 国語力 を育成することが求められ, 文化審議会答申 これからの時代に求められる国語力について ( 平成 16 年 2 月 ) によって 国語力 の育成が提言された 2 平成 18 年 6 月から8 回にわたって言語力育成協力者会議が開催された この会議から 言語力の育成方策について ( 報告書案 ) 修正版 反映版 ( 平成 18 年 8 月 16 日 ) が出され, 言語力育成 の基本的な方向性が示された このことにより, 国語力の育成が教育課程の中で, 重要な役割を担うことが位置づけられた この言語力の育成は,PISA 型 読解力 の内容と同じ方向性を有しており,3 学校教育においては, このPISA 型 読解力 を基盤として, 言語力の育成を図る方向性が示された さらに,4 中央教育審議会 審議のまとめ ( 平成 19 年 11 月 7 日 ) で, それまで国語力としてきた内容を, 各教科等における言語活動の充実 として示すこととした それは, 国語力というと, それまでは教科国語の時間で育成するものと, とらえられたためでもある ( 注 10) ここには, 当初の国語力に,PISA 型 読解力 の要素を加えて言語力とし, さらに教科国語だ けでなく全教科で育成することを明確にするために, 審議のまとめ では 各教科等における言語 活動の充実 としてきた過程が明らかにされている 3 言語に関する能力 平成 20 年 1 月 17 日の中央教育審議会答申では, 国語力, 言語力という言葉にかえて, 言語に関する能力 という言葉を用いている ここでは思考力 判断力 表現力等をはぐくむための学習活動の基盤となるものとして 数式などを含む広い意味での言語 ( 注 11) とし,PISA 型読解力等を参考にして言語の概念を拡大すると同時に, 国語をはじめとする言語は, 知的活動 ( 論理や思考 ) だけでなく, コミュニケーションや感性 情緒の基盤でもある ( 注 12) として 言語力 の定義によっており, 新学習指導要領の言語観はここにあると言える - 4 -

これを踏まえて, 同答申では, 知的活動の基盤という言語の役割の観点から考えられる言語活動の 例, コミュニケーションや感性 情緒の基盤という言語の役割の観点から考えられる言語活動の例を 示している 4 言語環境 新学習指導要領では言語環境について, 小学校 中学校 高等学校それぞれの総則に共通して次の ように記述されている 以下は小学校のものである 各教科等の指導に当たっては, 児童の思考力, 判断力, 表現力等をはぐくむ観点から, 基礎的 基本的な知識及び技能の活用を図る学習活動を重視するとともに, 言語に対する関心や理解を深め, 言語に関する能力の育成を図る上で必要な言語環境を整え, 児童の言語活動を充実すること ( 注 13) 答申の文言を踏まえて 言語に関する能力 という言葉が用いられその育成を図ることとしている そのために 言語環境を整え ることと 言語活動 を充実することが求められている ここでは 言語環境 について明らかにしておきたい 文化審議会答申においても 言語環境 という言葉は見られるが, 国語教育を社会全体の課題としてとらえているので, 家族や地域社会における言語環境 ( 注 14) と幅広い意味でこの語を用いている これに対して学習指導要領は学校教育に焦点化しているので, 言語環境 の定義も限定的なものになっている また小学校, 中学校及び高等学校に共通した内容が解説には例示されている 小学校のものは次のとおりである 学校生活全体における言語環境の整備としては, 例えば,1 教師は正しい言語で話し, 黒板などに正確で丁寧な文字を書くこと,2 校内の掲示板やポスター, 児童に配布する印刷物において用語や文字を適正に使用すること,3 校内放送において, 適切な言葉を使って簡潔に分かりやすく話すこと,4 適切な話し言葉や文字が用いられている教材を使用すること,5 教師と児童, 児童相互の話し言葉が適切に行われるような状況をつくること,6 児童が集団の中で安心して話ができるような教師と児童, 児童相互の好ましい人間関係を築くことなどに留意する必要がある なお, 言語環境をはじめ学校教育活動を通じ, 色のみによる識別に頼った表示方法をしないなどの配慮も必要である ( 注 15) 特に1から5の例では, 教師自身が言語に対する意識と関心をもって, 児童が正しく美しい国語を用いるように指導することの重要性を指摘している また6の例に示された人間関係や雰囲気は言語活動や学習活動を行うために重要なことである こうした雰囲気があってこそ, お互いに認め合い信頼し合う人間関係を育てていくことができるし, コミュニケーションの楽しさや有用感を感じることができる そうした体験をとおしてコミュニケーションへの意欲が一層高まると考えられる 言語活動を適切に進めていくためにもこうした言語環境を整えていく必要がある 各校種に共通してこの内容が記述されているが, これは校種を問わず基本的で重要なことだからである - 5 -

5 言語活動と教科の目標 中央教育審議会答申では, 知識 技能の活用など思考力 判断力 表現力等をはぐくむためには, 例えば, 以下のような学習活動が重要であると考えた として 1 体験から感じ取ったことを表現する など六つの具体例を例示している ( 注 16) これらの活動は言語で行うことを前提としており, 知識 活用などの思考力 判断力 表現力等は言語活動とその充実をとおして育成されると考えている したがって, 言語活動はそれ自体を目的とするよりも, 思考力 判断力, 表現力等を伸張させるための手段ととらえるべきものと考えられる 言語活動の自己目的化は避けなければならない この点に関して, 高木展郎は次のように述べている 言語活動の充実は, 到達すべき能力を措定して, その能力を獲得することが目的となるような 活動を意図していない 言語活動を行うプロセスそのものに意味があり, その活動を対象化する ことによって, メタ言語能力の育成を図ることが重要である ( 注 17) この視点に立つと, 外国語科や国語科のような言語系の教科とそれ以外の教科とには, 教科の目標と言語活動の関係に違いがあると考えられる 言語系の教科は, 言語活動を行えるようになることが教科の目標に含まれており, 目標と言語活動とが不即不離ともいうべき関係にある 高等学校外国語科においては, 教科の目標は, 外国語を通じて, 言語や文化に対する理解を深め, 積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り, 情報や考えなどを的確に理解したり適切に伝えたりするコミュニケーション能力を養う であり, 各科目の内容については, 次のような言語活動を英語で行う としている ( 注 19) 教科の目標, 指導内容と言語活動の関連性は強く, 表裏一体の関係にあるとも考えられる 高等学校国語科においては, 教科の目標として 国語を適切に表現し的確に理解する能力を育成し, 伝え合う力を高めるとともに, 思考力や想像力を伸ばし, 心情を豊かにし, 言語感覚を磨き, 言語文化に対する関心を深め, 国語を尊重してその向上を図る態度を育てる を掲げているが特に前段においては言語活動をそのものと重なるものと考えられる さらに, 各科目の内容を見ると, 指導すべき事項を示した上でそれらを 次のような言語活動を通して指導するものとする ( 注 18) としている 教科の目標, 指導内容と言語活動は密接に関連していると考えることができる これに対して, 例えば, 高等学校数学科の目標は, 数学的活動を通して, 数学における基本的な概念や原理 法則の体系的な理解を深め, 事象を数学的に考察し表現する能力を高め, 創造性の基礎を培うとともに, 数学のよさを理解し, それらを積極的に活用して数学的に論拠に基づいて判断する態度を育てる ( 注 20) であり, 言語活動は教科の目標というよりは目標を実現するための手段として, また, 教科にかかわる 知識 技能の活用など思考力 判断力 表現力等 をはぐくむための手段としてとらえられたということができる このように言語活動については, 教科によってその位置づけに違いが出てくる したがって各教科の目標実現に当たってどのような言語活動が有効かを明確にして展開する必要がある 中学校学習指導要領国語には, 報告, 紹介, 対話, 討論, 説明, 発表, 鑑賞, 案内, 詩歌や物語の創作, 意見を述べる文章, 手紙, 批評, 編集, 記録, 引用, 新聞 インターネット等の活用, 批評等の活動が示されている ( 注 21) - 6 -

こうした活動は中学校段階でのみ行うものではなく, それぞれの校種で生徒の発達段階に応じて行 われるべきものである したがって教員は担当する教科の目標実現にどの言語活動が最も有効かを生 徒の発達段階と照らし合わせながら決定して活動を展開していく必要がある 6 アンケート調査の結果 実際に言語活動を行う場合の課題等を明らかにするために, 平成 21 年 8 月から9 月にかけて, 全日制高等学校の教諭を対象にアンケート調査を行った 言語活動については上記の具体例を提示した 以下はその概要である ( 表 1) 生徒の言語能力については次のような回答状況である ( 上段が人数,( ) 内は %) 十分高いある程度高い少し低いかなり低い合計 24 284 574 187 1069 (2.2%) (26.6%) (53.7%) (17.5%) 否定的な回答が70.9% となっており, 生徒の言語能力については懐疑的な認識をもっていることが分かる ( 表 2) 例示したような言語活動を実際の授業に取り入れているか ( 数値は人数,( ) 内は %) 教科 かなり入れている ある程度入れている あまり入れてない 入れていない 合 計 国語 17(12.8) 92(69.2) 24(18.0) 0( 0.0) 133 地歴 3( 2.5) 62(51.7) 52(43.3) 3( 2.5) 120 数学 1( 0.6) 65(41.4) 71(45.2) 20(12.7) 157 理科 3( 2.5) 64(54.2) 45(38.1) 6( 5.1) 118 保体 10( 9.9) 59(58.4) 29(28.7) 3( 3.0) 101 芸術 2( 6.9) 22(75.9) 5(17.2) 0( 0.0) 29 英語 8( 4.5) 104(58.4) 58(32.6) 8( 4.5) 178 家庭 4(10.0) 30(75.0) 5(12.5) 1( 2.5) 40 情報 1( 6.7) 12(80.0) 1( 6.7) 1( 6.7) 15 農業 2( 5.4) 16(43.2) 16(43.2) 3( 8.1) 37 工業 5( 4.8) 55(52.9) 37(35.6) 7( 6.7) 104 商業 2( 4.7) 15(34.9) 23(53.5) 3( 7.0) 43 合計 56( 5.2) 596(55.4) 366(34.0) 55( 5.1) 1075 全体としては60% を超える先生方が実際の授業に例示したような言語活動を既に取り入れていると 回答している 教科によるばらつきも見られる, 数学, 農業及び商業では半数以上の先生方が否定的 な回答を寄せている また, 情報, 家庭, 芸術及び国語では肯定的な回答が80% を超えている 学校 全体で言語活動に取り組む際の課題と言える - 7 -

( 表 3) 例示したような言語活動は教科の目標実現に有効と思うか ( 数値は人数,( ) 内は %) 教科 非常に有効 ある程度有効 あまり有効でない 有効でない 合 計 国語 67(50.0) 64(47.8) 2( 1.5) 1( 0.7) 134 地歴 29(24.2) 87(72.5) 4( 3.3) 0( 0.0) 120 数学 21(13.4) 110(70.1) 21(13.4) 5( 3.2) 157 理科 22(18.8) 83(70.9) 10( 8.5) 2( 1.7) 117 保体 25(24.8) 71(70.3) 5( 5.0) 0( 0.0) 101 芸術 7(24.1) 21(72.4) 1( 3.4) 0( 0.0) 29 英語 81(46.0) 90(51.1) 4( 2.3) 1( 0.6) 176 家庭 12(30.0) 25(62.5) 3( 7.5) 0( 0.0) 40 情報 6(40.0) 9(60.0) 0( 0.0) 0( 0.0) 15 農業 12(32.4) 20(54.1) 4(10.8) 1( 2.7) 37 工業 18(17.3) 70(67.3) 12(11.5) 4( 3.8) 104 商業 7(16.3) 32(74.4) 4( 9.3) 0( 0.0) 43 合計 307(28.6) 682(63.6) 70( 6.5) 14( 1.3) 1073 全体としては90% を超える先生方が目標実現に言語活動は有効であると回答している 教科による 大きなばらつきもなくこの点については共通認識が得られているようだ ( 表 4) 言語活動は授業のどの場面で有効か ( 複数回答可 ) ( 数値は人数,( ) 内は %) 教科 導入部 展開部 まとめ 発展的な学習 合 計 国語 49(20.5) 51(21.3) 73(30.5) 66(27.6) 239 地歴 38(18.1) 45(21.4) 61(29.0) 66(31.4) 210 数学 50(17.9) 65(23.3) 65(23.3) 99(35.5) 279 理科 26(13.9) 42(22.5) 69(36.9) 50(26.7) 187 保体 32(19.8) 52(32.1) 27(16.7) 51(31.5) 162 芸術 9(19.1) 11(23.4) 11(23.4) 16(34.0) 47 英語 50(18.1) 48(17.4) 85(30.8) 93(33.7) 276 家庭 9(15.5) 21(36.2) 12(20.7) 16(27.6) 58 情報 4(18.2) 5(22.7) 8(36.4) 5(22.7) 22 農業 6(11.3) 14(26.4) 17(32.1) 16(30.2) 53 工業 29(18.7) 42(27.1) 39(25.2) 45(29.0) 155 商業 11(19.6) 11(19.6) 15(26.8) 19(33.9) 56 合計 313(17.9) 407(23.3) 482(27.6) 542(31.1) 1744 全体としては発展的な学習の部分という回答が最も多く, 続いてまとめ, 展開部, 導入部の順であ った 特に数学は発展的な学習と回答した者の割合が最も高く, 展開部とまとめは同じだった 家庭 科や保体科は展開部が最も高かった - 8 -

( 表 5) 自分の教科の目標実現のために有効な言語活動はどれか ( 数値は教科内の選択者の %) 教科 最も重視する活動 2 番目に重視する活動 3 番目に重視する活動 第 1 報告 22.8 国語 第 2 話合い, 発表 15.2 説明 22.0 発表 15.8 第 3 対話 14.1 第 1 話合い 22.8 地歴 第 2 対話 16.8 発表 22.5 発表 23.1 第 3 報告 17.8 第 1 対話 25.0 数学 第 2 発表 12.8 発表 26.6 意見を述べる 第 3 意見を述べる 11.5 20.7 第 1 対話 23.9 理科 第 2 発表 16.5 発表 23.4 発表 18.3 第 3 報告 11.2 第 1 発表 23.5 保体 第 2 話合い 14.1 発表 26.4 新聞インターネット 第 3 討論, 説明 9.4 20.2 第 1 対話 17.4 芸術 第 2 報告, 意見を述べる 13.0 発表 44.4 記録 17.4 第 3 紹介, 話合い 8.7 第 1 発表 18.5 英語 第 2 意見を述べる 15.1 発表 23.6 新聞インターネット 第 3 対話 11.6 22.3 第 1 発表 21.2 家庭 第 2 対話 15.2 話合い, 討論, 発表 発表 20.0 第 3 報告, 討論, 説明 12.1 18.4 第 1 報告 45.5 情報 第 2 発表 18.2 発表 53.3 意見を述べる 第 3 対話 討論, 説明, 意見 9.1 26.7 第 1 話合い, 討論, 説明, 発表 15.8 農業 第 2 報告, 意見 10.5 発表 34.3 発表 34.4 第 3 対話, 手紙 5.3 第 1 話合い 23.0 工業 第 2 対話, 発表 11.5 発表 29.5 発表 19.3 第 3 報告, 討論, 説明 9.8 第 1 話合い 33.3 商業 第 2 討論, 説明, 発表 18.2 発表 38.9 発表 29.7 第 3 報告 9.1 第 1 対話 15.9 全体 第 2 発表 15.4 発表 27.0 発表 18.4 第 3 話合い 14.0-9 -

この質問事項については, 重視する順に三つ回答することになっている 上の集計では各教科ごと に, 最も重視する活動, 2 番目に重視する活動, 3 番目に重視する活動 それぞれへの回答の うち, 最も数の多いものを挙げた 特に, 最も重視するものについては更に回答者の多い順に第 1 位 から第 3 位までを挙げた 二つ以上の活動があるものについてはそれぞれの活動への回答状況である 最も重視する活動 として挙げられたものは, 次のようになっている 全体で回答者が最も多か った活動は 対話 であった 報告 は国語と情報で多く, 話合い については地歴, 農業, 工 業, 商業, 対話 は数学, 理科, 芸術, 発表 は保体, 英語, 家庭, 農業, 討論 は農業, 説 明 は農業であった 話合い, 対話, 討論 は双方向的なコミュニケーション活動を内包しているが, 一方で, 報 告, 発表, 説明 は一方的な活動になる可能性がある 教科の目標実現という観点からの問い なので, 話合い などの双方向的言語活動によって実現されると考える教科と, 報告, 発表 のような一方的言語活動によって実現されると考えられる教科があることが分かる また, 2 番目に重視する活動, 3 番目に重視する活動 をみると, ある程度集約されている 特に 発表 に集中し, その他には 意見を述べる, 新聞インターネット, 説明 がある 発 表 が教科目標実現に向けて重要と考えていることがうかがわれる 2 番目に重視する活動 で最も回答者数が多かった活動は次のとおりである 全体では 発表 が最も多かった 説明 は国語のみであり, ほかの教科はすべて 発表 を挙げていた 3 番目に重視する活動 で最も回答者数が多かった活動は, 全体では 発表 であった 発表 は, 国語, 地歴, 理科, 家庭, 農業, 工業, 商業で挙げている 意見を述べる については数学, 情報で挙げており, 新聞インターネット は保体, 英語が挙げている ( 表 6) 言語活動を取り入れるときの課題は何ですか ( 数値は人数,( ) 内は %) 教科 時間がかかる 生徒が分からない 教員が分からない その他 合 計 国語 73(54.5) 33(24.6) 21(15.7) 7( 5.2) 134 地歴 68(58.1) 20(17.1) 22(18.8) 7( 6.0) 117 数学 96(63.2) 28(18.4) 18(11.8) 10( 6.6) 152 理科 82(71.3) 16(13.9) 14(12.2) 3( 2.6) 115 保体 63(62.4) 14(13.9) 21(20.8) 3(3.0) 101 芸術 20(69.0) 5(17.2) 1( 3.4) 3(10.3) 29 英語 118(67.0) 29(16.5) 22(12.5) 7(4.0) 176 家庭 25(62.5) 9(22.5) 6(15.0) 0( 0.0) 40 情報 10(71.4) 3(21.4) 1( 7.1) 0( 0.0) 14 農業 16(43.2) 7(18.9) 11(29.7) 3( 8.1) 37 工業 60(61.9) 18(18.6) 9( 9.3) 10(10.3) 97 商業 23(54.8) 8(19.0) 8(19.0) 3( 7.1) 42 合計 658(62.0) 190(18.0) 154(14.6) 56( 5.3) 1054 回答の選択肢は1 活動に時間がかかる,2 生徒が活動の仕方を知らない,3 活動をどう指導したら よいのか分からない,4その他, であった 活動に時間がかかる という回答が最も多かったが, それに比べれば生徒や教師の側の課題を指 摘する回答は少ない 言語活動を特別なものとしてではなく, 教科の目標を実現する有効な手段とし て位置づけた単元計画を作成していく必要があろう - 10 -

( 表 7) 今後取り組むべき言語活動はどれか ( 数値は教科内の選択者の %) 教科 最も重視する活動 2 番目に重視する活動 3 番目に重視する活動 第 1 対話 17.7 国語 第 2 発表 13.8 発表 20.8 意見を述べる 第 3 意見を述べる 13.1 22.2 第 1 対話, 説明 18.6 地歴 第 2 発表 15.0 発表 25.0 意見を述べる 第 3 討論 13.3 17.8 第 1 対話 18.9 数学 第 2 説明 18.2 発表 16.7 発表 23.8 第 3 話合い 12.2 第 1 対話 19.3 理科 第 2 話合い 16.7 説明, 発表 21.1 意見を述べる 第 3 発表 14.0 22.5 第 1 対話 19.8 保体 第 2 討論, 意見を述べる 12.5 発表 21.9 発表 23.7 第 3 話合い, 発表 11.5 第 1 対話, 発表, 意見を述べる 14.3 芸術 第 2 紹介, 話合い, 討論 10.7 話合い, 討論, 説明 討論, 発表 25.9 第 3 報告, 説明 7.1 18.5 第 1 発表 19.3 英語 第 2 対話 18.0 意見を述べる 20.3 発表 21.6 第 3 話合い, 意見を述べる 12.4 第 1 話合い, 討論, 説明, 発表, 意見 15.0 家庭 第 2 報告 10.0 発表 25.0 発表 22.5 第 3 対話 7.5 第 1 討論, 説明 26.7 情報 第 2 対話 20.0 発表 46.7 意見を述べる 第 3 話合い, 意見を述べる, 編集, 引用 6.7 53.0 第 1 報告, 発表 17.6 農業 第 2 意見 14.7 発表 21.2 意見を述べる 第 3 報告, 話合い, 討論 8.8 18.8 第 1 対話 21.2 工業 第 2 発表 17.2 発表 26.8 発表 18.1 第 3 報告 14.1 第 1 討論 22.0 商業 第 2 対話 19.5 発表 37.5 発表, 意見を述べる 第 3 話合い 12.2 21.1 第 1 対話 18.5 全体 第 2 発表 13.7 発表 21.6 発表 19.7 第 3 話合い 12.2-11 -

ここでは今後取り組むべき言語活動を尋ねている この質問事項についても5と同じように, 重視する順に三つ回答することになっている 上の集計では, 各教科ごとに, 最も重視する活動, 2 番目に重視する活動, 3 番目に重視する活動 それぞれへの回答のうち, 最も数の多いものを挙げた 特に, 最も重視する活動 についてはさらに回答者の多い順に第 1 位から第 3 位までを挙げた 二つ以上の活動があるものについてはそれぞれの活動への回答状況である 最上位に挙げられた活動は全体では 対話 であり, 教科別にみれば, 国語, 地歴, 数学, 理科, 保体, 芸術, 工業が挙げている 説明 は地歴, 家庭, 情報, 発表 は芸術, 英語, 家庭, 農業で挙げている ほかには, 意見を述べる ( 芸術, 家庭 ), 話合い や 討論 ( 家庭, 情報, 商業 ) がある 5の質問事項でも 対話 と答えた回答が最も多かったが, 双方向的な活動である 対話 については教科の目標実現にために有効で今後取り組むべき活動としてとらえていることが分かる 2 番目,3 番目に挙げられた活動も5の結果と同じように, 発表 及び 意見を述べる が最も多くなっている 教科の目標実現に有効な言語活動を今後行っていこうと考えていると言える 2 番目に 発表 を挙げた教科は10 教科, 意見を述べる は 6 教科が3 番目に挙げている 重視する言語活動は, 対話, 発表, 意見を述べる, 説明 などに集中していると言える 7 アンケート調査の結果の考察 生徒の言語能力に関しては70% 程度の教員が課題を感じている 全体では60% を超える教員が実際の指導に言語活動を取り入れているが, 情報, 家庭, 芸術及び国語では肯定的な回答が80% を超えるなど教科によるばらつきがみられる 言語活動が教科の目標実現に有効であると考えている教員は90% を超えていて, 教科によるばらつきもみられない 言語活動を行う場面としては発展的な学習の部分という回答が全体では最も多く, 続いてまとめ, 展開部, 導入部の順であった 教科によるばらつきが若干見られた 目標実現に有効な言語活動, 今後取り組むべき言語活動については, 教科による違いはあるものの, 全体としてみれば, 対話, 報告, 話合い, 討論, 発表, 意見を述べる などに集約される ただし, 数値をみれば明らかだが, 突出して高い数値を示すものがないということは, より多くの言語活動に取り組む必要があることを認識していることの表れとも言える 前述したとおり新中学校学習指導要領では国語科において具体的な言語活動が挙げられているが, 発達段階に応じて求められる内容や深度に違いがある 対話 や 討論 を例にとると, 中学校第 1 学年では 日常生活の中の話題について対話や討論などを行うこと, 第 2 学年では 社会生活の中の話題について, 司会や提案者などを立てて討論を行うこと, 第 3 学年では 社会生活の中の話題について, 相手を説得するために意見を述べ合うこと ( 注 22) と段階的に深まっている このことから例示された言語活動は児童生徒の発達段階に応じて, 活動の程度を適切に設定する必要があることが分かる したがって高等学校段階でも生徒の発達段階にふさわしい言語活動を行う必要があり, 同時に教科の専門性にふさわしい言語活動を行うという視点も忘れてはならない 目標の実現に有効な言語活動という視点からすれば, 言語活動は実際に行う活動であるのでそのパフォーマンスを評価することによって目標の実現状況を知ることができる その際, 言語活動そのものを評価するのではなく, 言語活動をとおして見られる教科の学力に焦点化して評価することが必要であり, そのためには, 単元設計の段階で, 学習の過程であるいは学習の成果としてどのようなことができればよいのかを明らかにしておく必要がある - 12 -

Ⅳ グループ研究の仮説 先に述べたとおり, 言語活動と教科の目標との関係を考えたとき, 言語活動を教科の目標を実現するための手段としてとらえる教科と, 言語活動を行うことが教科の目標と重なっている教科とがある また, アンケート調査結果からは, 対話, 報告 などを有効な言語活動として考えながら, どのように単元の中に位置づけ, 授業の中で実践していくかについてとまどいがあることが分かる このような視点から, 次のような仮説を立てた 1 児童生徒の発達段階と教科の特性に応じて, 教科の目標を実現する上で有効な言語活動を明確にしそれを授業に取り入れることによって, 教科の目標の実現状況は改善される この仮説に関しては, 特に小学校音楽科及び図画工作科で主に取り組む 2 生徒の苦手意識と教員の達成意識の確認から, 生徒の現実に沿った言語活動の指導が可能になる この仮説に関しては高等学校国語科で取り組む 3 言語活動を授業に取り入れることによって生徒の学習意欲が高まる この仮説に関しては, 高等学校外国語科で取り組む V グループ研究の構想 1 グループメンバーと研究主題 氏 名 研究主題 橘田美喜恵 音楽のよさを感じ取り, 思いや意図をもって表現する力の育成を目指した指導方法 の研究 - 小学校表現領域 音楽づくり の授業における言語活動を通して- 志村 伸 豊かに感じ表現する図画工作科の指導方法の在り方 - 表現 鑑賞における言語活動の充実を通して- 中込 富夫 高等学校国語科における言語能力の基盤の育成 - 技術と心の一体化を目指す活動を通して- 阿部 邦彦 学習意欲を高める言語活動の在り方 - 高等学校外国語科におけるプロジェクト型学習を通して- 2 研究の概要 小学校音楽科では, 言語活動の充実に向け, 音楽科という教科としては何ができるか, 音楽科教育が児童にはぐくもうとしている資質 能力と言語活動の充実という視点との共通部分から, そのかかわりを探るとともに, 小学校表現領域の一つである 音楽づくり の学習活動を通して, その指導方法を研究する小学校図画工作科においては, 豊かに感じ, 表現する図画工作科の学習指導の方法を探る2 年目の研究である 授業では, 表現領域の 工作に表す活動 を中心に, 鑑賞領域とかかわらせながら言語活動を充実させ, 豊かな感性や表現力を培う指導法の改善を目指す 高等学校国語科では, 伝え合う力 をはぐくむ観点から, 話す技術 聞く技術 に焦点を当てつつ, 思考 判断等から技術に至る過程を体験させる中で, 言語能力の育成はいかにあるべきかを考察する 高等学校外国語科においては, 調査研究したことを外国語でプレゼンテーションするという言語活動を目標としたプロジェクト型の学習を行う学校設定科目 科学英語 の実践を対象とする 科学 - 13 -

英語 を学習した生徒たちにアンケート調査を行い, 科学英語 と 科学英語 以外の科目とを比 較回答してもらい, どちらの学習形態の方がより生徒の学習意欲を喚起するかを明らかにする Ⅵ 研究のまとめと今後の課題 1 研究の成果 各研究の成果を要約すると以下のとおりである 小学校音楽科においては, 音楽科の目標を達成する中で, 言語活動の充実も図られ, 言語活動が目標達成の一助となることが明らかになった 特に, 聴き取ったり感じ取ったことを表現につなげていく場面において, 言語活動として, 聴き取ったり感じ取ったりしたことを伝え合い話し合う活動を取り入れることで有効に働くことがわかった そして, 音楽科の目標を達成するための基となる意欲にも大きく作用することがわかった 小学校図画工作科においては学習過程の 発想, 構想, つくる, 振り返り共感する 段階に, 色, 形, 組合せ, イメージを視点とした言語活動 ( 話す, 聞く, 話し合う, 見る, 見合う ) を表現や鑑賞の学習活動に位置づけることで, 発想が広がり, イメージを具体的に表現するための材料や, 技法についての工夫が見られた 言語活動の充実が, 感性を磨き合い, 豊かに表現し, 資質や能力を高める上で有効であることが明らかになった 高等学校国語科においては, 新学習指導要領の 話すこと 聞くこと 領域において, 生徒は教員の意識以上に苦手意識を持っていること, また, 学年進行に従って苦手意識が高くなることが確認された この解決に当たって, 対人関係体験学習 も有効な手段の一つであることが確認された 高等学校外国語科においては, 外国語による言語活動を目標とした 科学英語 の方が生徒の学習意欲を喚起していることが明らかになった 同時に, メタ認知力, 達成感, グループ活動による学び合い, 英語力の伸びの自覚という点においても高い実現状況になっていることも明らかになった グループとしては, 言語活動を行うことが児童や生徒の学習意欲を高めることを明らかにするとともに, どのような言語活動を授業過程のどこに入れれば有効かを明らかにすることができた 2 今後の課題 今後の指導上の課題としては以下の点があげられる 音楽科においての言語活動は, 言語活動そのものが目標ではなく, 教科の目標を達成させるためのひとつの方法として言語活動を取り入れている その点から考えると, 今回 音楽づくり の授業は, 音楽科の領域のひとつにすぎない どの領域で, どんな題材で, どんな教材を使い, どのように言語活動を取り入れながら授業を進めることが, 音楽科の目標達成につながるかは, 今後も継続した研究が必要である 小学校図画工作科においては, 発想する場面での, 個々の考えがより生かされる言語活動 ( 話合い活動 ) の在り方が, 今後の課題となった 今後も, 表現 鑑賞における言語活動の充実を図り, 豊かに感じ表現する図画工作科の指導方法の在り方について探っていきたい 高等学校国語科においては, 年間指導計画作成の前提に, 各校独自の生徒実態把握を位置付ける必要がある 次に, 話すこと 聞くこと 領域に関しては, まず, 聞く力 をつける指導を行い, その上で, 言語技術全般の育成を図ってく必要があると考えられる これらの点について, 言語活動の充実 の観点からの具体的な指導について, 国語科内の意思の疎通及び各教科との連携の構築が - 14 -

今後の課題である 高等学校外国語科においては, 次の2 点を授業の中に取り入れていくことが求められる 1 点目は, 日常の授業の中に, 学んだことを活用する外国語による言語活動 ( コミュニケーション活動 ) を積極的に取り入れていくことである そのことにより生徒が学習したことを活用できるという成功体験を積み重ねることができるように単元設計を行う必要がある 使うことができれば学習した内容は一層確実に定着するのである 2 点目は, 学習後に生徒がどういう学力を付けてどういうことができるようになっているのかという指導の目標 (learning outcome) を明確にし, それを生徒と共有することである このことによって生徒は自分の学習を目標に照らして管理することができたり, 自分の学力の到達状況を認識することができたりして, メタ認知力が高まるのである 以上, 言語活動グループの各研究の概要を見た その詳細についてはそれぞれの報告を参照してほしいが, 最後に, 個々の教科の枠を越えて, 学校全体で言語活動に取り組む際に意を用いるべきことについて検討しておきたい 学校全体で取り組む場合, 最も大切なことは, 学校としての全体計画を作成し生徒にどのような言語力を育成したいのか, どのような言語活動ができるようにさせたいのかを明確にし, 共通理解を得ることである これは生徒の実態を把握することと目標とする生徒の姿を共有することでもある 言語力育成の基幹教科としての国語科は, 生徒の実態にもとづいて生徒にどのような言語活動ができるように指導しているのかを他教科に対して発信し, その成果を活用するよう促す必要がある 小学校では, 学級担任がすべての教科の指導に当たっているので, 児童の実態に即した目指すべき言語力や取り入れるべき言語活動について明確にして言語活動を取り入れた指導を全教科で行うことは比較的しやすい状況であると考えられる 中学校や高等学校では, 教科担任制であるため, 教科の専門性という壁が教員間のコミュニケーションを阻害する場合があると考えられる 先に述べたとおり, 国語科が言語力育成の基幹教科として生徒の実態に即した言語活動などについて発信していく必要があろう また, 各教科は, 理科における実験レポートなど, それぞれの教科の専門性を追求する中で必要となってくる言語活動を明らかにし, そうした言語活動を積極的に進めていくことが重要である なお, 教員の専門性という場合いわゆる最先端の科学的な成果に習熟することとその内容を児童生徒に理解できるように説明できることという二つの側面があることを確認しておきたい 最後に, 言語環境を整えることの重要性について改めてふれておきたい 言語環境にかかわる学習指導要領解説の中に, 6 児童が集団の中で安心して話ができるような教師と児童, 児童相互の好ましい人間関係を築くことなどに留意する必要がある ( 注 23) があることには既にふれたが, これは学習規律に含まれるべきものとも言える 久保齋は学習規律を 5つのステップに分け, 例えば, ステップ3 教師の発問に一人一人が答えを用意し, 友達の意見に反応しながら授業が受けられる ステップ 4 その場その場の学習課題を理解し, 教師の発問や友達の意見と響き合った発言ができ, 自分の活躍について自己評価できる ( 注 24) としている ここに述べられた教師と児童, 児童同士の関係は学習指導要領解説の6に述べられた姿の具体化の一例と言えよう 教師と児童, 児童同士が互いに認め合い尊重し合い学び合う関係にあるのである クラスの学習規律が低い間は, 子どもたちは自分の間違いをさらされると傷ついたり, 萎縮したりする ( 注 25) のであるならば, クラスの学習規律を高める必要がある こうした観点から見る時, 言語環境を整えることは学習規律を高めることであり, そのことが上質な学習につながるのである - 15 -

引用文献 ( 注 1) 中央教育審議会 幼稚園, 小学校, 中学校, 高等学校及び特別支援学校の学習指導要領の改善について ( 答申 ) (2008) ( 注 2) 同上 ( 注 3) 山梨県総合教育センター 平成 20 年度研究紀要 (2009) ( 注 4) 山梨県総合教育センター 平成 18 年度研究紀要 (2007) ( 注 5) 山梨県総合教育センター 平成 18 年度研究紀要 (2007) ( 注 6) 文化審議会答申 これからの時代に求められる国語力について (2004) ( 注 8) 同上参考資料 ( 注 9) 言語力の育成方策について ( 報告書案 )(2006) ( 注 10) 高木展郎編 各教科等における言語活動の充実 教育開発研究所 (2008) ( 注 11) 中央教育審議会 幼稚園, 小学校, 中学校, 高等学校及び特別支援学校の学習指導要領の改善について ( 答申 ) (2008) ( 注 12) 同上 ( 注 13) 小学校学習指導要領総則 (2008) ( 注 14) 文化審議会答申 これからの時代に求められる国語力について (2004) ( 注 15) 小学校学習指導要領解説総則編 (2008) ( 注 16) 中央教育審議会 幼稚園, 小学校, 中学校, 高等学校及び特別支援学校の学習指導要領の改善について ( 答申 ) (2008) ( 注 17) 高木展郎編 各教科等における言語活動の充実 教育開発研究所 (2008) ( 注 18) 高等学校学習指導要領国語 (2009) ( 注 19) 高等学校学習指導要領外国語 (2009) ( 注 20) 高等学校学習指導要領数学 (2009) ( 注 21) 中学校学習指導要領国語 (2008) ( 注 22) 同上 ( 注 23) 小学校学習指導要領解説総則編 (2008) ( 注 24) 久保齋 一斉授業の復権 子どもの未来社 (2006) ( 注 25) 久保齋 一斉授業で子どもが変わる! 小学館(2009) 平成 21 年度 山梨県総合教育センター 執筆者 主幹 研修主事 中込 富夫 主幹 研修主事 阿部 邦彦 研修主事 橘田喜美恵 研修主事 志村 伸 - 16 -