ドクターヘリの安全に関する研究と提言

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2011年度 九州航空株式会社 「安全報告書」

に建築物やその他の障害物ができた場合は ヘリポートが運用できなくなる場合があります 消防 警察 新聞社 ヘリコプター製造会社などが設置する例が多く 一般のヘリコプターもその設置者の了解を得る事で利用する事ができます 現在 陸上 屋上共に全国で多数運用されています 場外離着陸場臨時のヘリコプター離着陸

( 様式 1) 無人航空機の飛行に関する許可 承認申請書 平成 29 年 5 月 29 日 新規 更新 変更 東京航空局長殿 代行申請 ( 本人申請以外 ) 氏名 TAKA 本人申請及び住所印 ( 連絡先 ) Mail: 航空法 ( 昭和 27 年法律第 231 号 ) 第 132 条ただし書の規定

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IBEX

安全報告書 ( 平成 28 年度 ) Bell407 Shin-Nihon Helicopter Co.,Ltd. Photo Koji Nakano Tokyo,Japan 新日本ヘリコプター株式会社 本報告書は 航空法第 111 条の 6 並びに航空法施行規則 第 221 条の 5 及び第 22

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航空界のCRM

資料の一部を省略することが出来る無人航空機 No. 製造者名称 ( 型式 ) 最大 離陸重量 確認した飛行形態の区分 ( 申請書の飛行形態区分 ) 確認日 1 PHANTOM 1 1.2kg A/B/C 注 1 /D 2016/5/24 2 PHANTOM 2 1.3kg A/B/C 注 1 /D

( 活動基地及び活動区域 ) 第 5 条 航空隊の活動基地は 西八代郡市川三郷町黒沢 5375 番地に設置する山梨県警察航空基地 ( 以下 航空基地 という ) とする 2 航空隊の活動区域は 県内全域とする ( 編成 ) 第 6 条 航空隊の編成は 別表第 1 のとおりとする ( 業務 ) 第 7

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山梨県消防防災航空隊山岳救助活動ガイドライン

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CV-22 オスプレイの横田飛行場への配備について CV-22 の配備について 平成 30 年 9 月 19 日北関東防衛局 スケジュール 米側からは 5 機のCV-22を本年 10 月 1 日に配備し 残り5 機については 具体的な配備の計画は未定ですが 2024 年頃までに10 機の配備を行う予

つがる市小形風力発電 (20kW 未満 ) 設備建設に関するガイドライン 平成 29 年 11 月 15 日公表 1 目的本ガイドラインは つがる市 ( 以下 市 という ) において小形風力発電 (20kW 未満 ) 設備及び設備建設に伴う送電線等の付帯設備 ( 以下 小形風力発電設備等 という

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2017年度 安全報告書

文書管理番号

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JCROA自主ガイドライン第4版案 GCP監査WG改訂案及び意見

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第三者による品質証明制度について 参考資料 Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism

ヘリ搬送チームの活動

5) 輸送の安全に関する教育及び研修に関する具体的な計画を策定し これを適確に実施する こと ( 輸送の安全に関する目標 ) 第 5 条前条に掲げる方針に基づき 目標を策定する ( 輸送の安全に関する計画 ) 第 6 条前条に掲げる目標を達成し 輸送の安全に関する重点施策に応じて 輸送の安全を確 保

( 内部規程 ) 第 5 条当社は 番号法 個人情報保護法 これらの法律に関する政省令及びこれらの法令に関して所管官庁が策定するガイドライン等を遵守し 特定個人情報等を適正に取り扱うため この規程を定める 2 当社は 特定個人情報等の取扱いにかかる事務フロー及び各種安全管理措置等を明確にするため 特

JISQ 原案(本体)

1 航空重大インシデントの概要 (1.1) ANAウイングス株式会社所属ボンバルディア式 DHC 型 JA461Aは 平成 29 年 1 月 19 日 ( 木 ) 運送の共同引受をしていた全日本空輸株式会社の定期 1831 便として秋田空港を離陸し 新千歳空港滑走路 01Rに着陸した際

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目 次 第 1 はじめに 2 1 ガイドライン策定の目的 2 2 ガイドラインの対象となる防犯カメラ 2 3 防犯カメラで撮影された個人の画像の性格 2 第 2 防犯カメラの設置及び運用に当たって配慮すべき事項 3 1 設置目的の設定と目的外利用の禁止 3 2 設置場所 撮影範囲 照明設備 3 3

平成 27 年改正の概要 ( サマリー ) 一般労働者派遣事業 ( 許可制 ) 特定労働者派遣事業 ( 届出制 ) 26 業務 期間制限なし 26 業務以外 原則 1 年 意見聴取により最長 3 年まで 規定なし 規定なし 1. 許可制への統一 2. 派遣契約の期間制限について すべての労働者派遣事

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特定個人情報の取扱いの対応について

目次 4. 組織 4.1 組織及びその状況の理解 利害関係者のニーズ 適用範囲 環境活動の仕組み 3 5. リーダーシップ 5.1 経営者の責務 環境方針 役割 責任及び権限 5 6. 計画 6.1 リスクへの取り組み 環境目標

JAXA航空マガジンFlight Path No.4/2014 SPRING

本報告書の調査は 本件航空重大インシデントに関し 運輸安全委員会設置 法及び国際民間航空条約第 13 附属書に従い 運輸安全委員会により 航空事 故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり 本事案の責任を 問うために行われたものではない 運輸安全委員会 委員長後藤昇弘

特定個人情報の取扱いの対応について

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ジェット飛行実験機の導入と今後の活用について

【資料1-2】脳神経外科手術用ナビゲーションユニット基準案あ

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1 趣旨このガイドラインは 日本国内の公道 ( 道路交通法 ( 昭和 35 年法律第 105 号 ) 第 2 条第 1 項第 1 号に規定する 道路 をいう 以下同じ ) において 自動走行システム ( 加速 操舵 制動のうち複数の操作を一度に行い 又はその全てを行うシステムをいう 以下同じ ) を

中央建設業審議会による提言について ( 平成 24 年 3 月 14 日 ) 建設産業における社会保険の徹底について ( 提言 ) 建設産業においては 下請企業を中心に 雇用 医療 年金保険について 法定福利費を適正に負担しない企業 ( すなわち保険未企業 ) が存在し 技能労働者の医療 年金など

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業界で躍進する 工事現場 の 要 登録基幹 技能者 登録基幹技能者制度推進協議会 一財 建設業振興基金

事業継続計画(BCP)作成用調査ワークシート

1 監督 検査の意義監督 検査は 会計法 に基づき 契約の適正な履行を確保するための手段です 監督は 通常 製造又は役務の請負契約の履行過程において 必要な立会 工程管理 材料 部品等の審査又は試験 細部設計書の審査 承認等の方法により 検査では確認できない部分について 契約物品に対する要求事項が確

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事務ガイドライン ( 第三分冊 )13 指定信用情報機関関係新旧対照表 Ⅰ-2 業務の適切性 現行改正後 ( 案 ) Ⅰ-2 業務の適切性 Ⅰ-2-4 信用情報提供等業務の委託業務の効率化の観点から 内閣総理大臣 ( 金融庁長官 ) の承認を受けて信用情報提供等業務の一部を委託することが可能とされて

2 安全衛生教育の実施等 () 6 派遣労働者を雇い入れたときに雇入れ時の安全衛生教育を行 はい いいえ っています () 7 派遣労働者の派遣先事業場を変更するなど 作業内容を変更 はい いいえ したときは 当該派遣労働者に対し 作業内容変更時の安全 衛生教育を行っています ()() 8 6 及び

Microsoft Word - 21教育訓練の考え方について(更新)_

4 研修について考慮する事項 1. 研修の対象者 a. 職種横断的な研修か 限定した職種への研修か b. 部署 部門を横断する研修か 部署及び部門別か c. 職種別の研修か 2. 研修内容とプログラム a. 研修の企画においては 対象者や研修内容に応じて開催時刻を考慮する b. 全員への周知が必要な

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事業者が行うべき措置については 匿名加工情報の作成に携わる者 ( 以下 作成従事者 という ) を限定するなどの社内規定の策定 作成従事者等の監督体制の整備 個人情報から削除した事項及び加工方法に関する情報へのアクセス制御 不正アクセス対策等を行うことが考えられるが 規定ぶりについて今後具体的に検討

プレゼンテーションタイトル

A4 経営事項審査の受審状況により確認方法が異なります なお 適用除外は 労働者の就業形態等によって適用除外とならない場合もあることから 元請負人は 年金事務所等に適用除外となる要件を確認した上で判断してください 経営事項審査を受審している場合 有効期間にある経営規模等評価結果通知書総合評定値通知書

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1

第 2 章職階および等級 ( 職 階 ) 第 7 条 職階は 職務遂行に要求される能力の範囲と程度に基づき 一般職 監督職 管理職およ ( 等級 ) 第 8 条等級は 各々の職階における職務遂行能力の成熟度の差に応じ 次の9 等級に区分するものとする 2. 前項の職階および等級の職能資格基準は 別表

社長必見≪ここがポイント≫マイナンバーガイドライン(事業者編)

本院における「医療にかかる安全管理のための指針」(以後指針と記載する)を周知していただくために下記の質問への回答をお願い致します

MR通信H22年1月号

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スライド 1

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監査に関する品質管理基準の設定に係る意見書

お客様への約束 1. 安全の確保を最優先とします - 安全確保を最優先に 全てにおいて万全のコンディションでお客様をお迎えします 2. お客様の時間を大切にします - 欠航 遅延は最小限にします - やむを得ない場合は代替の移動手段の確保に努め お客様にご迷惑をおかけしないよう全力を尽くします -

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一般社団法人送電線建設技術研究会関西支部社会保険等の加入促進計画 1. はじめに 平成 27 年 4 月 24 日制定 建設産業においては 健康保険 厚生年金保険及び雇用保険 ( 以下 社会保険等 という ) の 1 法定福利費を適正に負担しない企業が存在し 技能労働者の医療 年金など いざというと

ドローンの安全運航と運用について

ただし マルチコプターやラジコン機等であっても 重量 ( 機体本体の重 量とバッテリーの重量の合計 )200 グラム未満のものは 無人航空機では なく 模型航空機 に分類されます また 航空機から改造されたもの等 無人機であっても航空機に近い構造 性能 能力を有している場合 航空法上の航空機に該当す

( 管理責任者 ) 第 6 条航空隊に管理責任者を置き 地域部地域運用課長をもって充てる 2 管理責任者は 航空隊の効率的な管理 運営並びに航空機の効果的な運用を図るものとする ( 航空隊長 ) 第 7 条地域部地域運用課航空隊長 ( 以下 航空隊長 という ) は 規則第 4 条第 3 項に規定す

航空機操縦士養成連絡協議会 航空機整備士 製造技術者養成連絡協議会 裾野拡大ワーキンググループ 平成 29 年度とりまとめ 1. ワーキンググループ構成員 別紙のとおり 2. 平成 29 年度における取組み (1) 航空に係る共通ウェブサイトskyworksについて今年度についてはコンテンツ内容の更

平成 23 年航空輸送統計 ( 暦年 ) の概況について 平成 2 4 年 3 月 2 8 日国土交通省総合政策局情報政策本部情報政策課交通統計室担当 : 川口 (28742) ( 要旨 ) 1. 国内定期航空輸送実績 平成 23 年 (1 月 ~12 月 ) における国内定期航空輸送の旅客数は 7

Q5. 工事担任者資格が必要な工事とは どのようなものですか A5. 利用者が電気通信サービスを利用するための端末設備等の接続に係る工事であり 具体的には 事業用ネットワークへの接続及びこれに伴う調整並びに屋内配線工事など端末設備等の接続により通信が可能となる一切の工事です この工事には 事業用ネッ

< 目的 > 専ら被保険者の利益 にはそぐわない目的で運用が行われるとの懸念を払拭し 運用に対する国民の信頼を高める 運用の多様化 高度化が進む中で 適切にリスクを管理しつつ 機動的な対応を可能に GPIF ガバナンス強化のイメージ ( 案 ) < 方向性 > 1 独任制から合議制への転換基本ポート

ください 5 画像の保存 取扱い防犯カメラの画像が外部に漏れることのないよう 一定のルールに基づき慎重な管理を行ってください (1) 取扱担当者の指定防犯カメラの設置者は 必要と認める場合は 防犯カメラ モニター 録画装置等の操作を行う取扱担当者を指定してください この場合 管理責任者及び取扱担当者

働き方改革 魅力ある建設業の構築に向けて 特集 域によっても大きな差があり, 北陸地方や北海道 など一部の地方では平成 28 年 10 月調査の加入率が 80% を超えているのに対し, 大都市部のある関東 地方 (55%) や近畿地方 (60%) は低い加入率に 留まっている ( ) 建設マネジメン

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Ⅵ 運航会社における安全確保の施策と訓練 朝日航洋 ( 株 ) 安全推進室長望月清光 はじめに 2010 年 3 月現在 全国 17 道府県でドクターヘリ事業が行なわれ 21 機のドクターヘリが運航されている ドクターヘリ運航は その全てがヘリコプター事業者に委託され航空運送事業として運航されているが ここでは ヘリコプター事業者の一つである朝日航洋 ( 以下 当社 という ) を取上げて 運航会社における安全確保の施策と訓練 を検証する 1. ドクターヘリ運航会社の選定平成 13 年 9 月 6 日に厚生労働省医政局指導課から ドクターヘリ運航委託契約に係る運航会社の選定指針について が公表され ドクターヘリ運航会社は航空運送事業許可を有し ヘリコプターによる人員搬送飛行の実績を有するとともに 救急患者搬送飛行 救難救助飛行 山岳飛行及び洋上飛行などの特殊飛行実績を有することが望ましいとの指針が示された また平成 12 年度厚生科学研究医療技術評価総合研究 災害時における医療搬送のシステム作りに関する研究 ( ドクターヘリ ) でもドクターヘリ運航会社の資格として ( 社 ) 全日本航空事業連合会 ( 以下 全航連 という ) 加盟の運航会社であり航空運送事業許可を取得していること 患者搬送可能な双発タービンヘリコプターを保有していること等が示されている これらを受けて 全航連ヘリコプター部会ドクターヘリ分科会では平成 15 年 5 月 2 日 運航会社及び運航従事者の経験資格等の詳細ガイドライン を発行し ドクターヘリ運航の安全を確保するために ヘリコプター事業者が備えるべき要件を具体化した 2. 航空運送事業航空法には航空機を運航して営む事業として次の二つがあり いずれも国土交通大臣の許可を必要とする 航空運送事業: 他人の需要に応じ 航空機を使用して有償で旅客又は貨物を運送する事業 航空機使用事業: 他人の需要に応じ 航空機を使用して有償で旅客又は貨物の運送以外の行為の請負を行なう事業をいう 航空運送事業には旅客輸送 遊覧飛行 救急医療 ( ドクターヘリ ) 運航等があり 空中撮影 調査視察 送電線パトロール 操縦訓練 薬剤散布 緑化作業 物資輸送 報道取材等は航空機使用事業に分類される 航空運送事業を経営するものは 国土交通大臣の許可を受けることが必要である 更に 使用する航空機の運航及び整備に関する事項についても 運航規程及び整備規程を定めて国土交通大臣の認可を受けなければならない このように航空運送事業では 航空法により航空機使用事業よりも高

度な安全基準を要求されている 3. 安全確保の施策 1991 年から 2005 年に米国で発生した救急医療ヘリコプター事故 127 件のうち 85.5% にヒューマン ファクターが関係していたとの報告 1がある そこで 航空業界においてヒューマン ファクターの要因分析に用いられる SHELL モデルを使用して当社の安全施策を検証してみる ( 参考 )SHELL モデルヒューマン ファクターは 人間が発揮する能力が周囲の状況によって大きな影響を受けることを考え そのことを人間の活動に有効に反映させる手段 と定義 2され 人間の能力は 周囲の条件から大きな影響を受けるため その影響要因を概念的に表したものが SHELL モデルである ヒューマン エラーを減少させるためには 中心となる L ( 人間 ) と周りの要素 S( ソフトウェア ) H( ハードウェア ) E( 環境 ), L( 他の人間 ) との関係 ( 接点 ) を注意深く整合させることが重要であるといわれている SHEL モデルの SHEL は 下記要素の頭文字をとったものである ; S: Software( ソフトウェア ) 例 : 手順 マニュアル 規則 コンピューター ソフト等 H: Hardware( ハードウェア ) 例 : 工具 器材 航空機等 E: Environment( 環境 ) 例 : 作業場の広さ 騒音 照明 職場の雰囲気 会社文化等 L: Liveware( 人間 ) 例 : 中心の L は作業者 周りの L は同僚 監督者 管理者等 1) S( ソフトウェアー ) 当社では航空運送事業者として 航空機の運航の方法を定めた 運航規程 ( 付属 書として運航業務の詳細を定めた 運航業務実施規則 航空機の操作方法を定めた 航 1 HAI( 国際ヘリコプター協会 )2005 年発行の白書 救急飛行の安全性向上 2 ICAO( 国際民間航空機関 )1998 年発行 ヒューマン ファクター訓練マニュアル

空機運用規程 操縦士及び運航管理従事者の資格 訓練等を定めた QUALIFICATIONS MANUAL 等がある) 航空機の整備方法及び整備士の資格 訓練等を定めた 整備規程 を作成し 航空局の認可を得ている 更に運航規程附属書の一つとして AOM(Asahi Operation Manual) 及び AOP(Asahi Operation Procedure) を 救急医療輸送 (EMS ドクターヘリ) を始めとして遊覧飛行 旅客輸送 物資輸送等各種業務飛行毎に定めている また ドクターヘリ運航においては 担当基地病院毎に AOP 付属書を作成し 飛行基準と制限事項の他 出動要請から離陸 離陸から救急現場着陸まで 等運航フェーズ毎の運航クルーの業務分担を詳細に定めている 2) H( ハードウェアー ) ドクターヘリ運航に使用する当社のヘリコプター 3 には 前述の平成 12 年度厚生科学研究医療技術評価総合研究 災害時における医療搬送のシステム作りに関する研究 ( ドクターヘリ ) に定められた患者搬送が可能な救急仕様を施すほかに シングル パイロット IFR( 計器飛行 ) を可能とする装備品( 自動操縦装置 電波高度計他 ) 消防 医療用業務無線機 可動式着陸灯 サーチライト ワイヤー プロテクション システム エアコン 300 箇所以上のランデブー ポイント ( 場外離着陸場 ) を表示させる GPS MAP( 地図 ) 等を装備している 加えて 将来的には夜間運航や IFR( 計器飛行 ) 運航を考慮して 米国 NTSB( 運輸安全委員会 ) が救急ヘリコプター事故減少のために勧告している TCAS( 空中衝突防止装置 ) EGPWS( 強化型地上近接警報装置 ) NVG( 夜間暗視装置 ) FDM ( 飛行状況モニター 記録装置 ) や 線状障害物探知装置 等の装備に関する導入の検討が必要になると思われ また導入に際しての費用負担については関係方面の配慮も必要になると思われる 更に 風雪雤を避けてヘリコプターを良好な状態に維持し 夜間も含め的確に整備作業ができる環境を確保するため 基地病院へリポートには格納庫併設を必須とする検討も必要である 3) E( 環境 ) 航空法では大型航空機 ( 客席数が 30 又は最大離陸重量が 15,000kg 以上の航空機 ) を用いる航空運送事業者には 安全管理規程 の策定 届出を義務付けている そのような大型航空機を運航しないヘリコプター事業者には 安全管理規程 の策定 届出義務はないが 全航連ヘリコプター部会では 2006-2007 年のヘリコプター事故の反省に立ち 2008 年 4 月に 安全管理規程ガイドライン を加盟会社に作成 配布し 各社に自主的な 安全管理規程 の策定を要請した これを受けて当社では 2009 年 3 月から 安全管理規程 の運用を開始した 安全管理規程 の主眼は 経営トップが安全にコミットすると共に社員一人一人に安全確保の自覚 責任を持たせ 安全情報を共有してリスク管理を行い 安全管理の PDCA サイクルを回し 社内に安全文化を醸成することにある 3 JA6914(MD902) を事例とした

当社においては 発生情報システム という自発的報告制度を運用して不安全情報を収集し 不具合発生時には要因分析を行なって原因を探求して再発防止策を採る (Reactive 活動 ) と共にリスクを除去 回避 低減する未然防止活動 (Proactive 活動 ) を行なっている 更に経営幹部は 業務を現場任せにせず 定期的に 安全パトロール を実施し 現場に密着して常に現地現物での確認指示を迅速に行なっている 4) L( 人間 ) a) 操縦士 ( 機長 ) 航空局が定めた 運航規程 認可の基準である運航規程審査要領細則には 路線を定めて旅客の輸送を行なわないヘリコプター運航の場合 機長には 5 時間以上の夜間飛行及び 500 時間以上の総飛行時間 (100 時間以上の野外飛行を含む ) 並びに当該型式機による 30 時間以上の飛行時間を要求している 当社の場合 ドクターヘリ運航に従事する機長には 前述の全航連ドクターヘリ分科会 運航会社及び運航従事者の経験資格等の詳細ガイドライン に則り 2000 時間以上のヘリコプター飛行時間経験並びに当該型式について 50 時間以上の飛行経験を有しているなど より厳しい資格要件を設定している また 屋上へリポート離着陸経験 管轄区域の現地調査及び調査飛行の完了 救急医療に関する研修修了等の条件も課している ( 参考 ) ヘリコプター事業者の操縦士のキャリアアップ航空運送事業許可を取得しているヘリコプター事業者は 同時に航空機使用事業許可も保有し航空機使用事業も行なっている 2008 年全航連ヘリコプター部会加盟会社の飛行時間統計でみると 航空運送事業 :15% 航空機使用事業:85% の割合である 当社に就職した操縦士は事業用操縦士技能証明を取得した後 高高度飛行訓練 低高度飛行訓練 及び 不整生地 4 離着陸 ( 屋上へリポート離着陸 山頂及び狭隘地離着陸 送電線付近の飛行等 ) 訓練 を修了し 審査を経て使用事業機長に昇格する その後 使用事業基礎訓練 ( 農薬散布業務 ) 送電線巡視業務訓練 散布スリング ( 緑化作業 ) 訓練 空撮取材訓練 物資輸送業務訓練 等を経てキャリアを延ばし 旅客輸送業務訓練 ( 単発機 遊覧 陸上 ) 旅客輸送業務訓練( 多発機 陸上 海上 ) 等修了後 審査を経て航空運送事業機長資格を得ている ( 問題点 ) 当社においては 農薬散布 報道取材 送電線パトロール等の業務飛行経験はドクターヘリ機長にとって重要であると評価されているが 下表に見る如くヘリコプター事業界全体の飛行時間は毎年減少しており 特に 2000 年以降は新人操縦士を育てていた農薬散布 送電線パトロールや物資輸送の業務が減少している 次世代のドクターヘリ機長育成に 新たな対応が求められている 4 不整生地離着陸 : 不整地とは 認可された飛行場以外の離着陸場で離着陸帯が整地されていない場所を指し 生地とは 当該操縦士にとって初めて離着陸を行う場所を指す 従って 不整生地離着陸とは 飛行場以外の整地されていない場所に初めて離着陸を行う場合に用いられる

全航連ヘリコプター部会加盟会社の年間飛行時間推移 b) 整備士航空運送事業者に求められる 整備規程 では 整備士技能証明を取得した整備士に必要な教育を行なった後 確認整備士 の発令をすることを求めているが 当社においては 確認整備士 資格を有して運航整備業務に従事する者を対象に 機付長 審査及び発令を行なっている これは 当社の整備士は整備業務に従事するだけではなく 運航業務にも従事するからである 例えば ドクターヘリ運航に従事する整備士は 離陸前に搭乗するメディカル クルーの安全確認 離陸後は機長の航法支援及び無線送受信 着陸後には地上安全確認 ストレッチャー搬送等の業務を行なう 機付長 訓練には 運航業務の形態により 物輸作業 架線作業 薬剤散布作業 送電線パトロール作業 報道取材スポット作業 人員輸送 救急医療輸送(EMS ドクターヘリ) 等の訓練がある また 当社においてドクターヘリ運航に従事する整備士には 機付長 資格の他 前述の全航連ドクターヘリ分科会 運航会社及び運航従事者の経験資格等の詳細ガイドライン に則り有資格航空整備士として5 年以上の実務経験を有し 3 年以上の当該航空機又は同等以上の航空機を含む整備実務経験を有すること 航空特殊無線技士以上の無線従事者資格を有すること 救急医療に関する研修を修了している等の条件を課している ( 問題点 ) 当社においては ドクターヘリ運航に従事する整備士には 報道取材及び物資輸送の機付長経験が重要であると評価されているが 操縦士と同様 これらの業務減少に伴い次世代ドクターヘリ整備士の育成に新たな対応が求められている c) 運航管理担当者 (CS: コミュニケーション スペシャリスト ) CS と呼ばれる運航管理担当者には 航空無線通信士又は航空特殊無線技士の資格を有した 2 年以上の実務経験者で 救急医療に関して所定の研修及び任用訓練を修了した者を充てている 前述の全航連ドクターヘリ分科会 運航会社及び運航

従事者の経験資格等の詳細ガイドライン に則っている CS は ドクターヘリ運航の 要 として情報の一元管理と飛行指示を行うほか 出動要請に対する可否を消防機関や医療機関に回答する役割を担い 運航要請のプレッシャーに対する運航クルー ( 特に機長 ) のバッファーとしても機能している よって CS には 瞬時の情報処理能力 決断力が求められると共に 病院 消防 警察関係者と良好な人間関係を築く能力も要求される 4. 訓練 1) 操縦士 2005 年に米国で始まった IHST 5 活動の一環で 2000 年の米国におけるヘリコプター事故 197 件の分析を行なったところ 事故操縦士のヘリコプター平均飛行時間は 4600 時間だが 飛行時間分布でみると 下表の如く事故操縦士の約 50% が 1000 時間未満のヘリコプター飛行時間であった しかし 1000 時間以上では 飛行時間による事故発生度に差が少ない結果が報告された (US JHSAT Year 2000 Report) 米国 2000 年ヘリコプター事故の操縦士ヘリコプター飛行時間分布 また この報告書の救急飛行に限定してみると 米国における救急飛行の事故は 12 件あり 12 人の機長全員が事業用操縦士と IFR( 計器飛行 ) の両資格保有者であった 更にその内 3 人は ATP( 定期運送用操縦士 ) 資格保有者であった 事故操縦士の中で一番操縦経験の浅い者で 2500 時間の飛行経験を持ち 最長は 10379 時間 平均飛行経験は 4873 時間であった また 事故機と同型式のヘリコプター飛行経験が 100 時間以下の操縦士は 3 人であった 5 IHST( 国際ヘリコプター安全チーム ):2016 年までに世界中のヘリコプター事故率を 80% 減らすことを目標に安全活動を続けている 傘下に JHSAT( 安全分析チーム ) と JHSIT ( 安全実行チーム ) を持つ

さらに この事故調査分析レポートでは 救急飛行は 1 操縦者は常に不案内で整備されていない急造の着陸地帯に 多くの場合夜間に着陸することを要求される 2 現場から病院への距離及び遠隔地での気象通報サービスの欠如のため 操縦者は自分の活動空域で得た経験を基に気象予報をする必要がある 3 飛行リスク ( 気象 着陸地帯の適正 ホバリング必要出力 必要燃料の計算等 ) を評価し 飛行が安全に遂行されるかを判断したのは操縦者自身であった 等の指摘もされている また 1977 年の運航開始後 33 年間 23 万時間 死亡事故 0 件の記録を持つカナダの救急飛行においては 機長に12000~3000 時間の飛行経験 2ATP( 定期運送用操縦士資格 3IFR 資格 4 機長として 1000 時間の多発動機ヘリコプター飛行経験 5 救急飛行で搭乗する機体と同型式機の飛行経験 100 時間等を求めており これが前述の記録に貢献しているといわれている 我国におけるドクターヘリ運航は 航空運送事業として行われているが 定期エアラインの如く空港から航空路を目的地空港へ飛行するという運航ではなく 航空法第 81 条の 2 6 の適用を受けた運航に代表されるように 運航リスクの評価と判断 実行を操縦士に委ねる運航である 従って 前述の事故分析結果と我国のドクターヘリ運航の現状から考えると 一定の資格保有と飛行経験を求めるとともに ドクターヘリ操縦士育成に際しては 航空法の適用除外を受けていることを考慮し 不整生地での離着陸訓練及びシミュレーターを使用した非常操作訓練 天候悪化時のサバイバル操作としての低速飛行訓練 ( バックサイドの運航 7) 等の充実を検討すべきと思われる また 天候悪化時の対応や将来の夜間飛行への対応を考慮すると 機長は管轄区域の地勢や気象等に精通していることが望ましい 翻ってドクターヘリ運航会社選定に際しては 入札制度といった経済原理のみではなく 安全品質を担保することも必要である 2) 操縦士 整備士 CS 及びメディカル クルー ドクターヘリ運航は 航空運送事業とは言え 現実にはフライトドクター及びフ ライトナース等のメディカル クルーも運航クルーと一体となって安全運航に努力 している チームの一体感を高めてチームパフォーマンスを発揮するために ヘリ コプター事業者では運航クルーに CRM(Crew Resource Management) 訓練を受講 させ始めているが 今後はメディカル クルーも参加した AMRM(Air Medical Resource Management) 訓練を運航クルーとメディカル クルーが一緒にかつ定期 6 航空法第 81 条の 2: 航空機は航空法 79 条で飛行場以外の場所での離着陸を禁止 法 80 条で危険を生ずる恐れのある区域上空を飛行禁止 法 81 条で最低安全高度飛行以下の飛行を禁止しているが ドクターヘリは法 81 条の 2 の 捜索又は救助のための特例 に該当し 前 3 条の規定が適用除外となる 7 バックサイドの運航ヘリコプターの必要馬力曲線は Vy( 最良上昇率速度 ) をボトムにした V 字型曲線を描く 一般的常識では速度を増すには必要馬力が増え 速度を減らせば必要馬力も減少するが ヘリコプターの場合は Vy 以下に速度を低下させると必要馬力が増える この領域をバックサイドと呼んでいる

的に受講することが望ましい 更には シナリオを作って実際の運航をシミュレートした LOFT(Line Oriented Flight Training) 訓練も行なうことが望ましいと考えられる 以上 参考文献 1. ドクターヘリ運航委託契約に係る運航会社の選定指針 H13/9/6 厚生労働省医政局指導課長 2. 災害時における医療搬送のシステム作りに関する研究( ドクターヘリ ) 平成 12 年度厚生科学研究医療技術評価総合研究 3. 運航会社及び運航従事者の経験資格等の詳細ガイドライン H15/5/2 全航連ヘリコプター部会ドクターヘリ分科会 4. 救急飛行の安全性向上 2005 年白書 HAI 5. ヒューマン ファクター訓練マニュアル 1998 年 ICAO 6. US JHSAT Year 2000 Report 2007 年 IHST 7. Preliminary Results 2008 年 EHEST