教員としてのキャリア形成について考えてみましょう

Similar documents
1. 研究主題 学び方を身につけ, 見通しをもって意欲的に学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における算数科授業づくりを通して ~ 2. 主題設定の理由 本校では, 平成 22 年度から平成 24 年度までの3 年間, 生き生きと学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における授業づくり通して~ を研究主題に意欲的

教育調査 ( 教職員用 ) 1 教育計画の作成にあたって 教職員でよく話し合っていますか 度数 相対度数 (%) 累積度数累積相対度数 (%) はい どちらかといえばはい どちらかといえばいいえ いいえ 0

< F2D318BB388E789DB92F682CC8AC7979D F >

Ⅲ 目指すべき姿 特別支援教育推進の基本方針を受けて 小中学校 高等学校 特別支援学校などそれぞれの場面で 具体的な取組において目指すべき姿のイメージを示します 1 小中学校普通学級 1 小中学校普通学級の目指すべき姿 支援体制 多様な学びの場 特別支援教室の有効活用 1チームによる支援校内委員会を

3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

農山漁村での宿泊体験活動の教育効果について

授業の構成要素 学び合う授業で育つ 3 つの力 資料 2 基礎 基本の力知識 理解 技能 問題解決力思考力 判断力 表現力 想像力 学ぼうとする力学習意欲 自己有用感 身に付けた知識 技能を活用したり その成果を踏まえた探究活動を行う中で学び合う授業を展開する 教師の役割 < 問題提示の工夫 > 多

平成 年度佐賀県教育センタープロジェクト研究小 中学校校内研究の在り方研究委員会 2 研究の実際 (4) 校内研究の推進 充実のための方策の実施 実践 3 教科の枠を越えた協議を目指した授業研究会 C 中学校における実践 C 中学校は 昨年度までの付箋を用いた協議の場においては 意見を出

愛媛県学力向上5か年計画

年間指導計画の作成道徳資料の価値の捉え方 道徳の時間 以外の時間に授業の進め方 指導計画の見直しと評価の方法と指導の改善発問の工夫徳教育の基礎的理解課題整理おける道徳教育評価と課題整理年間指導計画の作成 学習活動に応じた課題のもたせ方テーマの選定や支援の在り方合的な学習の時間の単元構想学級活動の内容

ICTを軸にした小中連携

県立学校職員 ( 趣旨 ) 第 1 条この要綱は 地方公務員法 ( 昭和 25 年法律第 261 号 ) 第 15 条の2 第 1 項第 5 号の規定に基づき 山形県教育委員会における職員 ( 学校教育法 ( 昭和 22 年法律第 26 号 ) 第 7 条に規定する校長及び教員等 ) の標準職務遂行

平成 29 年度 全国学力 学習状況調査結果と対策 1 全国学力調査の結果 ( 校種 検査項目ごとの平均正答率の比較から ) (1) 小学校の結果 会津若松市 国語 A は 全国平均を上回る 国語 B はやや上回る 算数は A B ともに全国平均を上回る 昨年度の国語 A はほぼ同じ 他科目はやや下

7 本時の指導構想 (1) 本時のねらい本時は, 前時までの活動を受けて, 単元テーマ なぜ働くのだろう について, さらに考えを深めるための自己課題を設定させる () 論理の意識化を図る学習活動 に関わって 考えがいのある課題設定 学習課題を 職業調べの自己課題を設定する と設定する ( 学習課題

看護部 : 教育理念 目標 目的 理念 看護部理念に基づき組織の中での自分の位置づけを明らかにし 主体的によりよい看護実践ができる看護職員を育成する 目標 看護職員の個々の学習ニーズを尊重し 専門職業人として成長 発達を支援するための教育環境を提供する 目的 1 看護専門職として 質の高いケアを提供

No_05_A4.ai

<4D F736F F D A8D CA48F43834B C E FCD817A E

3 第 3 学年及び第 4 学年の評価規準 集団活動や生活への関心 意欲態度 集団の一員としての思考 判断 実践 学級の生活上の問題に関心 楽しい学級をつくるために を持ち 他の児童と協力して意 話し合い 自己の役割や集団と 欲的に集団活動に取り組もう してよりよい方法について考 としている え 判

No_05_A4.ai

(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

41 仲間との学び合い を通した クラス全員が学習に参加できる 授業づくり自分の考えを伝え 友達の考えを聞くことができる子どもの育成 42 ~ペア グループ学習を通して~ 体育における 主体的 対話的で深い学び を実現する授業づくり 43 ~ 子どもたちが意欲をもって取り組める場の設定の工夫 ~ 4

<4D F736F F D B993BF8BB388E782C98AD682B782E98D5A93E08CA48F432E646F63>

<4D F736F F D20906C8CA08BB388E E646F63>

2 研究の歩みから 本校では平成 4 年度より道徳教育の研究を学校経営の基盤にすえ, 継続的に研究を進めてきた しかし, 児童を取り巻く社会状況の変化や, 規範意識の低下, 生命を尊重する心情を育てる必要 性などから, 自己の生き方を見つめ, 他者との関わりを深めながらたくましく生きる児童を育てる


課題研究の進め方 これは,10 年経験者研修講座の各教科の課題研究の研修で使っている資料をまとめたものです 課題研究の進め方 と 課題研究報告書の書き方 について, 教科を限定せずに一般的に紹介してありますので, 校内研修などにご活用ください

生徒指導の役割連携_四.indd

「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて

Microsoft PowerPoint - 中学校学習評価.pptx

Taro-小学校第5学年国語科「ゆる

解答類型

3 特別支援学級における学習指導案 特別支援学級においても 学習指導案は授業の設計図としての働きに変わりはありません しかし 特別支援学級では 児童生徒の実態から指導の内容や計画を考えることに大きな意味があります 通常の学級の学習指導案では 例えば 単元について は学習指導要領に沿った指導計画に基づ

市中学校の状況及び体力向上策 ( 学校数 : 校 生徒数 :13,836 名 ) を とした時の数値 (T 得点 ) をレーダーチャートで表示 [ ] [ ] ハンドボール ハンドボール投げ投げ H29 市中学校 H29 m 走 m 走 表中の 網掛け 数値は 平均と同等または上回っているもの 付き

(2) 国語 B 算数数学 B 知識 技能等を実生活の様々な場面に活用する力や 様々な課題解決のための構想を立て実践し 評価 改善する力などに関わる主として 活用 に関する問題です (3) 児童生徒質問紙児童生徒の生活習慣や意識等に関する調査です 3 平成 20 年度全国学力 学習状況調査の結果 (

鎌倉市関谷小学校いじめ防止基本方針 平成 26 年 4 月 鎌倉市立関谷小学校

領域別正答率 Zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz んんんんんんんんんんんんん 小学校 中学校ともに 国語 A B 算数( 数学 )A B のほとんどの領域において 奈良県 全国を上回っています 小学校国語 書く B において 奈良県 全国を大きく上回っています しかし 質問紙調査では 自分

資料3 道徳科における「主体的・対話的で深い学び」を実現する学習・指導改善について

13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

求められる整理編

新学習指導要領の理念と カリキュラム マネジメント 2019( 平成 31) 年 1 月 16 日 文部科学省 3 階講堂 天笠茂 ( 千葉大学特任教授 )

< A778D5A8EBF96E28E A778D5A817A5F E786C73>

2 学校は 防災や防犯についての体制作りや情報収集を適切に行っている 十分 おおむね十分 やや十分 不十分 分からない 不明 計 学校は 防災や防犯についての体制作りや情報収

第4章 道徳

Microsoft PowerPoint - syogaku [互換モード]

学校評価保護者アンケート集計結果 2 学校は 防災や防犯についての体制作りや情報収集を適切に行っている 十分 おおむね十分 やや十分 不十分 分からない 不明

系統的で一貫性のあ評価指標 評価指標による達成度 総合評価 るキャリア教育の推進に向けて 小 中 1 卒業後の生活につながる客観的 < 評定 > 学部段階での客観的アセスメントに基づいた指導計画 指標に基づいた卒業を立案することができる A B C 後の生活を見据えた教育活動につながる 2 立案され

31阿賀野全:方針実践のための行動計画

平成18年度標準調査票

基本方針1 小・中学校で、子どもたちの学力を最大限に伸ばします

Microsoft Word - 社会科

untitled

平成18年度標準調査票

Microsoft Word - 0表紙みどり1.doc

2 政治的教養を育むためのポイント 学級活動として行う集会活動は 休み時間の遊びとは異なります 単に楽しいことをやればよいのではなく めざす学級像の具体化など 目的意識をもてるようにします 何を目標として行うのか 準備から実行 振り返りまでの活動全体を見通して 提案理由 や めあて を考えることがで

人間関係を深めるとともに, 児童が自己の生き方についての考えを深め, 家庭や地域社会との連携を図りながら, 集団宿泊活動やボランティア活動, 自然体験活動などの豊かな体験を通して児童の内面に根ざした道徳性の育成が図られるよう配慮しなければならない その際, 特に児童が基本的な生活習慣, 社会生活上の

西ブロック学校関係者評価委員会 Ⅰ 活動の記録 1 6 月 17 日 ( 火 ) 第 1 回学校関係者評価委員会 15:30~ 栗沢中学校 2 7 月 16 日 ( 水 ) 学校視察 上幌向中学校 授業参観日 非行防止教室 3 9 月 5 日 ( 金 ) 学校視察 豊中学校 学校祭 1 日目 4 9

考え 主体的な学び 対話的な学び 問題意識を持つ 多面的 多角的思考 自分自身との関わりで考える 協働 対話 自らを振り返る 学級経営の充実 議論する 主体的に自分との関わりで考え 自分の感じ方 考え方を 明確にする 多様な感じ方 考え方と出会い 交流し 自分の感じ方 考え方を より明確にする 教師

平成 26 年度努力点 1 研究主題 作って食べて食への思いを高める常安の子 - 広げよう! 食育の輪 - 2 研究主題設定の理由本校では 平成 24~25 年度の2 年間に渡り できたよ自分で というテーマの基 やてみたい できるようになりたい 分かるようになりたい と 自分の意思で意欲的に学ぶ子

京都府教員等の資質能力の向上に関する指標 京都府教育委員会

平成27年度公立小・中学校における教育課程の編成実施状況調査結果について

2 各教科の領域別結果および状況 小学校 国語 A 書くこと 伝統的言語文化と国語の特質に関する事項 の2 領域は おおむね満足できると考えられる 話すこと 聞くこと 読むこと の2 領域は 一部課題がある 国語 B 書くこと 読むこと の領域は 一定身についているがさらに伸ばしたい 短答式はおおむ

2 教科に関する調査の結果 (1) 平均正答率 % 小学校 中学校 4 年生 5 年生 6 年生 1 年生 2 年生 3 年生 国語算数 数学英語 狭山市 埼玉県 狭山市 61.4

学校課題HP用

H30全国HP

Ⅰ 評価の基本的な考え方 1 学力のとらえ方 学力については 知識や技能だけでなく 自ら学ぶ意欲や思考力 判断力 表現力などの資質や能力などを含めて基礎 基本ととらえ その基礎 基本の確実な定着を前提に 自ら学び 自ら考える力などの 生きる力 がはぐくまれているかどうかを含めて学力ととらえる必要があ

資料4-4 新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について 審議のまとめ(参考資料)

コラム授業力の向上について食育では 生涯にわたって健全な心と身体を培い豊かな人間性を育んでいきます そのためには 教師の授業力が一つの鍵になることはいうまでもありません そこで どのような授業を行えば 子どもたちに望ましい生活習慣等が定着するのか 小学校 中学校授業評価システムガイドライン ( 平成

Microsoft Word - 朕絇ï¼ıH30人暒臲拒å�ºæœ¬æŒ¹é⁄šï¼‹ 盋;.docx

61.8%

管理職等育成プログラム(完成版8月28日)

学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

チェック式自己評価組織マネジメント分析シート カテゴリー 1 リーダーシップと意思決定 サブカテゴリー 1 事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている 事業所が目指していること ( 理念 ビジョン 基本方針など ) を明示している 事業所が目指していること ( 理念 基本方針

Microsoft Word - 研究の概要他(西小) 最終

Taro-研究集録H25.jtd

PowerPoint プレゼンテーション

< 先生方へ > 長崎県学力向上推進協議会では 子どもに確かな学力をつけていくためには 何 が大切か また 学力の向上を阻害している要因は何かなどについて 検討を重ね ています その中から次のようなことが指摘されました 1 家庭で毎日決まった時間に学習をする習慣をつけることが大切である 2 食事や睡

4 本単元と情報リテラシーの関わり 課題設定担任による 説明会におけるデモンストレーションを見ることを通して 本単元を貫く言語活動としての これぞ和の文化! おすすめの 和の文化 を調べて説明会を開こう を知り 見通しを持たせ学校司書による関連図書紹介を通して 和の文化への関心を高め 進んで調べよう

基本施策情報活用能力の育成を図ります 幼児教育の推進 にあたっては 幼児期が生涯の人格形成の基礎を培う大切な時期であるとの認識のもと 子どもたちの心身の発達に資する質の高い幼児教育を推進します 2 人との絆や自然との関わりの中で伸びゆく豊かな心の育成 子どもたちが生命を大切にする心や思いやりの心 感

2、協同的探究学習について

教育 学びのイノベーション事業 ( 平成 23~25 年度 ) 総務省と連携し 一人一台の情報端末や電子黒板 無線 LAN 等が整備された環境の下で 教科指導や特別支援教育において ICT を効果的に活用して 子供たちが主体的に学習する 新たな学び を創造する実証研究を実施 小学校 (10 校 )

中学校第 3 学年社会科 ( 公民的分野 ) 単元名 よりよい社会をめざして 1 本単元で人権教育を進めるにあたって 本単元は 持続可能な社会を形成するという観点から 私たちがよりよい社会を築いていくために解決すべき課題を設けて探究し 自分の考えをまとめさせ これらの課題を考え続けていく態度を育てる

h1

北九州市学力向上ステップアップ事業第Ⅱ期推進指定校 実施計画

平成 28 年度学校評価最終報告 教職員 :20 人生徒 :309 人保護者 :233 人 [ とてもよい 青ややよい 赤やや不十分 黄緑不十分 紫 ] < 教職員 保護者共通項目アンケート > 評価項目教職員保護者 1 学校は 様々な機会を活用して 学校の様子や学習内容を地域や保護者に伝えている

5 教5-1 教員の勤務時間と意識表 5 1 ( 平均時間 経年比較 教員年齢別 ) 中学校教員 調査年 25 歳以下 26 ~ 30 歳 31 ~ 40 歳 41 ~ 50 歳 51 ~ 60 歳 7:22 7:25 7:31 7:30 7:33 7:16 7:15 7:23 7:27 7:25

平成18年度標準調査票

<838A815B835F815B834A838A834C C42E786C73>

2年生学級活動(性に関する指導)指導案

児童発達支援又は放課後等デイサービス事業に係る自己評価結果公表用(あかしゆらんこクラブ)

Ⅰ いじめ問題に関する基本的な考え方 はじめにいじめは, 決して許されてはならない行為です しかし, いじめはどの学校のどの児童にも起こりうる問題であり, 本校についても例外ではありません これまでも, 各学級において生徒指導上の問題として担任をはじめ学校全体で問題の解決に取り組んできました そのよ

必要性 学習指導要領の改訂により総則において情報モラルを身に付けるよう指導することを明示 背 景 ひぼう インターネット上での誹謗中傷やいじめ, 犯罪や違法 有害情報などの問題が発生している現状 情報社会に積極的に参画する態度を育てることは今後ますます重要 目 情報モラル教育とは 標 情報手段をいか

国語の授業で目的に応じて資料を読み, 自分の考えを 話したり, 書いたりしている

H26研究レポート一覧(6年研)変更2017.3.22

17 石川県 事業計画書

平成15年度 家庭科 年間指導・評価計画

自己決定の場を設定する 自己存在感を持たせる 共感的な人間関係を育成する準備活動のどの場面で どの子どもを生かすのか 見通しを持って授業に臨む 導入の場面する 深める場面り返りの場面2 確かな学力の育成 複雑で変化の激しい現代社会に子どもたちが主体的に関わり よりよい社会を創造していくためには 一人

ホームページ掲載資料 平成 30 年度 全国学力 学習状況調査結果 ( 上尾市立小 中学校概要 ) 平成 30 年 4 月 17 日実施 上尾市教育委員会

徳教育推進部(道徳部道徳の指導計画には, 道徳教育の全体計画 道徳の時間の年間指導計画 学級における指導計画 学習指導案 がある いずれも道徳教育を推進させる重要な指導計画であるが, ここでは前三者の作成ポイントを取り上げる ( 学習指導案 については, 別ファイル 道徳の指導案作成のポイント を参

2 経年変化 ( 岡山平均との差の推移 ) (1) 中学校 1 年生で比較 ( 昨年度まで中学校 1 年生のみの実施のため ) 平成 26 年度平成 27 年度平成 28 年度平成 29 年度 国 数 語 学 基 礎 活 用 基 礎

H27 国語

Transcription:

第 6 章 OJT の評価 第 1 節 OJT を効果的に進めるために 1. OJT を始めるにあたってここでは OJT を進めるための流れについて整理してみましょう OJT を有効に機能させ 成果を挙げるためには 個々の教員が 今 自分にとってこの OJT が確かに必要であると自覚することが最も重要です そして 教える側 教えられる側の双方が OJT に関わることで共に自身の力量や職能の向上が図れるということを共通に認識することが その成果を左右するということを忘れてはなりません まずは今の自分を振り返り 将来のあるべき姿をイメージしてみます それを基に OJT についての自身の目標と計画を立てていきます < 資料 1>は そのための計画表の一例です 教員としてのあゆみを振り返るとともに これからの教員生活に向けた目標を自分なりにできるだけ具体化していきます この作業によって 今の自分が より明確にとらえられるようになり 今後 自分が取り組むべき課題についての優先順位を明らかにすることができます また < 資料 2> のようなシートを活用して 自身の課題をより客観的 具体的に把握するのも良い方法です 年度末にも再度 このシートを用いて自己評価を行い OJT の成果を測る資料として活用します 年代 < 資料 1> ライフプランと自己の研修計画の例 活動の状況 初任 0 児童とたくさんふれあ う 学校行事やクラブに 取り組む 中堅 15 専門分野の力をつけ る 後輩教員の育成を支 希望する主な分掌など学級担任学年世話係 ( 総務 ) 学習指導部長 指導力に関する視点 1 授業づくり 2 人間性 社会性の育成 3 学級 学校 づくり 4 協働 連携 5 向上心 教材研究を通して授 業技術を学ぶ 児童の行動や様子を 見取る力 児童の実態把握と集 団の中における個へ の支援 積極的に会話を交わ し 連絡帳などで理 解を深める 教育書や先輩教員 の実践に学ぶ 少人数指導の効果 的な指導法の工夫 発達段階に応じた基 本的なルールやマナ ーの指導 学級通信による家庭 との連携 情報の発 信 ICT 機器を活用した 授業実践の工夫 地域人材の積極的な 活用 教育界の動向につい て学び 実践する 軽度発達障害等のあ る児童の学習指導の 工夫 集団のモラルと個々 の役割の組織化 援する 児童自ら学び 互い に学び合える授業 専門教科の指導力の 向上 人間的な良さや生き 方について児童と分 かち合える指導 集団活動を通した自 己成長 自己指導能 力の育成 ベテラン 30-66 -

< 資料 2> 教師力 自己評価表 (4: とても思う 3: やや思う 2: あまり思わない 1: まったく思わない ) 実践 自己評価 力の項目視点 年度当初 年度末 1 教材研究を深め 教科の専門性を高める取組を普段から行っている 1 教科の専門性授業目指す児童生徒の姿や 学校教育目標 各教科の題材構成をふまえづ 2 教育課程くりて教育課程を編成している児童生徒の実態や教材の系統性をふまえて授業を組み立てている 3 授業の組立て 2 人児間童性生 徒社の会性の育成 3 学級 学校づくり 4 協働 連携 5 向上心 4 指導の工夫 5 内容の定着 6 学習過程 7 基本的生活習慣 8 生活状況 9 特別支援 10 道徳的な実践力 11 キャリア教育 12 生徒指導 13 個人目標の設定 14 学級集団 15 児童生徒把握 16 PDCA サイクル 17 リーダーシップ 18 同僚との関係 19 同僚との会話 20 協働性 21 PTA 22 保護者 23 地域 関係機関 24 ふりかえり 25 研修 26 社会変化への対応 27 同僚性 28 業務の効率化 普段から板書や発問 ノート指導などを工夫している 児童生徒に学習内容の定着を図るために 教材の工夫や家庭学習の習慣化などの工夫をしている児童生徒に学習の必要性 目的を理解させながら 学習意欲が継続するように学習過程を工夫している様々な機会をとらえて 児童生徒に基本的生活習慣の確立を図るための取組をしている普段から児童生徒の生活環境や交友関係など 学校外での生活状況の把握に努めている LD ADHA 不登校児童生徒などの理解に努め 状況に応じた支援をしている授業や学校生活全般を通じて 児童生徒の道徳的な実践力の育成に努めている学級活動やホームルームの時間などを活用して 児童生徒のキャリア形成に積極的に努めている予防的対応とともに 児童生徒に問題行動が見られたときには 機会を逃さずその場における指導を心がけ 早期の問題解決に努めている校長の 学校経営 運営ビジョン をふまえたうえで それに沿った個人目標を設定し授業づくりや学級 学年づくりに取り組んでいる望ましい学級集団となるよう ふだんから児童生徒に仲間意識の育成やリーダーづくりなどの働きかけをしている個々の児童生徒の人間関係や興味 関心等を考慮し どの子にも責任を持たせ活躍の場を持たせるよう努めている分掌や各種行事などにおいて 計画 実践 評価 改善の PDCA サイクルをふまえて取り組んでいる各種行事や校務分掌の運営において 担当の事項についてはリーダーシップを発揮し 責任を果たすよう取り組んでいる同僚へのあいさつや言葉かけにより 望ましい人間関係づくりに努めている休み時間や放課後などの機会を見つけて 同僚と学校の課題や実践 取組などについて話し合っている分掌や行事において 同僚の個性を生かしたり 補ったりするなど互いに協力して取り組んでいる PTA 各種委員会や学級の保護者会など PTA 組織の活動において 関係者と連携 協力しながら取り組んでいる児童生徒の学校生活について 保護者へのこまめな連絡を心がけ 連携して指導するようにしている授業や学校行事などの目的に応じて 保護者や地域住民 関係機関と連携して教育活動にあたるようにしているふだんから日々の実践を振り返り 自身のよさや課題を適切に把握し 具体的な取組における工夫改善に努めている自身のライフプランに基づいて 計画的に学校内外の研修に取り組んでいる社会の教育に対する期待や教育界の動向を常に意識し 学習指導や生徒指導の改善に生かしている主任や同僚へ常に相談するよう心がけ 支援や助言を受けながら授業や学級づくりなど様々な力量の向上に努めている担当する分掌事務の効率化のために 工夫改善を心がけて取り組んでいる - 67 -

2. OJT の計画を立てる これらのシートによる自己分析の結果をもとに OJT に関する計画を立ててみましょう < 資料 3>OJT による研修計画書の例 OJT 研修計画書 OJT 実践者 A 小学校教員名 O JT の実施概要 O JT 支援計画 OJT 1 OJT 2 OJT 3 実践力の視点 1 授業づくり 4 協働 連携 5 向上心 内 容 教科の専門性を高める教材 保護者との連携 実践の振り返り研究 明確なねらいのもとでの授業 児童の学校生活について 的 自己の実践を振り返り 常に創 目 標 実践に取組 児童に考える力確に実態を把握し 保護者と連意工夫を生かし改善に努めるを育てる携して児童の指導にあたることことができる ができる 手立て 学習課題を明確にし 児童の学習実態を的確に把握し 授業の組立てを工夫する 児童の思考を助ける板書の工夫をする 学習に有効な教材 教具を提供できるようにする 児童の頑張りを記録し 積極的に保護者に知らせるようにする 課題のある児童の保護者と連絡帳などで 密に連絡を取り合い 児童の指導に生かせるようにする 学期単位で実践を振り返る場を設定する 他者 ( 支援者 管理職 児童 ) からの自己実践に対する評価を取り入れる 研修計画の点検と修正を行う OJT 支援者 研修係 生徒指導係 学年世話係 単元構想の共同作成と助言 日々の事例報告と助言 OJT 計画の共同作成 OJT の方法 事例や参考図書の紹介と助 生徒指導委員会 毎学期の評価や反省言 家庭訪問 授業の参観と協議 関連の組織 校内若手教員勉強会生徒指導委員会学年会校内研修 ( 授業研究会 ) 管理職の指導 助言 評 価 改 善 ( 年度末 ) 自己評価 成果 課題 OJT 担当者 ( 支援者 ) の評価 管理職の評価 次年度 OJT への改善事項 - 68 -

< 資料 3>は OJT による指導を受ける側の教員が 自身の課題をふまえて立てた計画書の例です この例では < 資料 2: 自己評価表 >の 実践力の視点 5つの中から 3つをテーマに選び OJT に取り組むよう計画しています あまり欲張らず ある程度内容を絞って取り組むことが大切です 計画の立案にあたっては 目標 ( 目指す教員像 ) を明確に設定し その達成のための手立て ( 取組や実践 ) をできるだけ具体的に示すようにします なぜなら この具体化の内容がOJT での指導内容でもあるため 場当たり的な指導となることを回避することができ 指導の時期や場面についての計画が立てやすくなるからです ( 資料は 福島県教育委員会開発 OJT ツール を参考に一部改定 ) 第 2 節組織で取り組む OJT へ 私たちが 学び続ける教員であり続けるためにも 学校は OJT を意図的 計画的 継続的に進めることのできるシステムを整える必要があります 一人ひとりの教員は 経験や年齢とともに学校における立場や求められる役割も変わっていくことになります 場合によっては これまでだれも経験したことのない課題や全く新しいプロジェクトを担当しなければならないといった状況に遭遇することもあるでしょうが ほとんどの職務は これまでに先輩教員が体得した専門知識やノウハウを学ぶことで対応できるものです つまり 個々の教員の職能開発に効果を挙げた OJT のプログラムを 学校組織全体の財産として有効に活用するシステムを築き 全員が共有できるようにすることで 今後の OJT をより効果的に機能させることができるのです 個々の教員が主体的に自身の職能開発に取り組むことは 結果として学校組織の活性化と機能の充実につながります 更に そうした組織に身を置くことは 個々の教員にとっても 必要に応じて教員としての力量を高めるための機会と手段を保障された 恵まれた環境を与えられることになるのです 1. OJT のための体制づくり (1) 指導者 ( メンター ) の選定 OJT を始めるにあたって大切なことは だれがだれを指導するのかを明確にすることです OJT の良さは 日常的な業務を通じて学ぶことにあるので 特別な場を設定することなく 適宜会話が交わせるように 同じ学年や同じ分掌 同じ教科の教員どうしのように できるだけ身近な関係にあるペアやチームで進めることが望ましいと思われます ただし 自主性を尊重するあまり 独りよがりの OJT に陥らぬよう 客観的 専門的に評価 指導できる指導者 ( メンター ) に付いてもらうことが必要です - 69 -

(2) 校長との目標の共有そのためにも 自身の OJT 実施計画については 必ず校長との相談 協議の機会をもつようにして 指導者の人選や依頼にも協力が得られるようにしなければなりません また これまで経験していない行事や校務分掌などの業務を担当し 経験や幅を広げたいと思う場合も そうした希望や意向を まずは校長に伝え理解してもらうことが必要です すでに 多くの学校では 評価 育成システムにおいて 個々の教員と校長との面談が行われています この機会を OJT の視点でとらえ より積極的に活用することが効率的だと言えます (3) OJT 担当者 OJT 責任者 OJT において 指導する立場の教員が OJT 担当者です OJT をより組織的に進めるためには OJT 担当者の相談に乗ったり OJT の進捗状況や課題について教頭や校長に報告や相談を行ったりする立場の者を置くのが効果的です OJT 責任者などと呼ばれ 教員には主任が 主任には主幹教諭等が 主幹教諭には教頭がその立場にあたるのが一般的です そして 校長は OJT の全体責任者であり 教頭は OJT の実施を総括する推進責任者にあたります (4) OJT 成功の土壌 OJT は 指導する側の教員にとっても成長のための絶好の機会です OJT 担当者となる中堅教員や経験豊かな教員が 自分は認められている と感じ 一肌脱ごう と意気に感じて意欲的に OJT に関われるような雰囲気づくりが大切です また 例えば授業力に関わる OJT では 直接の OJT 担当者だけでなく 他の教員の授業を参観したりアドバイスを受けたりする機会も当然考えられるため 学校全体で取り組もうという意識が教員全員に共有されることが必要です 2. 報告 連絡 相談授業は言うまでもなく 日々 たくさんの仕事に追われる教員にとって 限られた時間のなかでOJTを効率的 効果的に進めるために 報告 連絡 相談を欠かさないようにすることが大切です 関係者への協力依頼や時間の調整 研修内容の修正 再検討など OJT を進める中で必ず生じる様々な課題は その都度 OJT 責任者を通じて管理職にも報告 連絡 相談がなされ 適切な助言や協力が得られる体制を整えておく必要があります そのために 関係者で組織する OJT 推進委員会 等を設置し 進捗状況などについての情報交換や協議を目的とした定期的な協議の場をもつようにします できれば OJT 責任者どうしの連絡会等も随時 開催できるようにしたいものです また だれもが自分も OJT の当事者であるという自覚を持ち 学校全体で取り組んでいるという意識を醸成するために 授業参観や行事 校務分掌の会議や打合せなど OJT に関するちょっとした情報もできるだけ全教員に知らせるようにすることが大切です - 70 -

第 3 節今後に生かす OJT 評価 1. OJT を振り返る 1 年を通じて取り組む OJT はもちろん 行事など短期で終わる OJT に関しても OJT の成果や課題についてしっかりと振り返り 次年度に生かすようにします 本章第 1 節での OJT 研修計画表 ( 資料 3) 立案の際に行った自己評価表 ( 資料 2) を用いて OJT 実施後の自分の姿を客観的に再評価してみましょう この自己評価を基に 改善された点 より専門性や長所を伸ばすことができた点 努力が成果として十分に結果に現れなかった点 新たに課題として認識された点などを具体的に整理しながら 年度当初の研修計画表を作成します このように OJT に取り組んだ教員自身が振り返りをすることで 自身の OJT に対する意識や理解が深まり その後の OJT の成果へとつながっていくことになります また 指導を行った OJT 担当者や管理職は各教員が行った自己評価について 必ず話合いの場をもち 次年度も意欲的に OJT に取り組めるようアドバイスを行うことが必要です そのためには 目標に対する結果の評価だけでなく OJT の過程における教員のやる気や創意工夫 周囲の教員の理解や支援の態勢なども評価の観点にすると良いでしょう 2. 今後の OJT に生かすために個々の教員の OJT への取組を学校全体のシステムとして定着させるためには 個々の OJT 評価の結果を学校全体で共有し 次年度の OJT 計画に生かせるようにすることが必要です そのためには 結果の良し悪しに関わらず 結果をもたらした原因を分析することが必要です OJT の目標や実施時期 方法等は適切だったか 途中経過も含め 何が良い結果に結びついたのか どこに改善の必要性があるのか などを明らかにしていきます そして 改善や変更の必要性があるものについては 具体的にどう手立てを行っていくのかを決めていきます これらを 教えられる側 教える側双方の視点から行うことで 組織として取り組む OJT の内実を実りあるものとしていくことができるのです < 表 4> OJT 評価における分析の視点 OJT を受ける側の分析の観点 OJT の目標の設定レベルは 自分にとって適切だったか OJT を自分に必要な課題として取り組めたか OJT の方法は自分にとって適切だったか OJT を行う側の分析の観点 OJT の目標と方法は OJT を行う側と受ける側で共通理解がなされていたか 指導や助言は適切なタイミングで行えたか OJT の実施状況について十分に把握し 必要な評価 改善に努めていたか - 71 -