研究課題 副題 学校名 特別支援学校におけるタブレット端末の活用 ~ 学習支援を横糸に 自立支援を縦糸に織り込む多面的な活用 ~ 兵庫県立西はりま特別支援学校 所在地 兵庫県たつの市新宮町光都 ホームページアドレス

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(2) 学習指導要領の領域別の平均正答率 1 小学校国語 A (%) 学習指導要領の領域 領 域 話すこと 聞くこと 66.6(69.2) 77.0(79.2) 書くこと 61.8(60.6) 69.3(72.8) 読むこと 69.9(70.2) 77.4(78.5) 伝統的な言語文化等 78.3(

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Microsoft Word - 研究の概要他(西小) 最終

平成 年度佐賀県教育センタープロジェクト研究小 中学校校内研究の在り方研究委員会 2 研究の実際 (4) 校内研究の推進 充実のための方策の実施 実践 3 教科の枠を越えた協議を目指した授業研究会 C 中学校における実践 C 中学校は 昨年度までの付箋を用いた協議の場においては 意見を出

学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

実践 報告書テンプレート

(3) 生活習慣を改善するために

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2 教科に関する調査の結果 (1) 平均正答率 % 小学校 中学校 4 年生 5 年生 6 年生 1 年生 2 年生 3 年生 国語算数 数学英語 狭山市 埼玉県 狭山市 61.4

1. 調査結果の概況 (1) の児童 ( 小学校 ) の状況 < 国語 A> 今年度より, ( 公立 ) と市町村立の平均正答率は整数値で表示となりました < 国語 B> 4 国語 A 平均正答率 5 国語 B 平均正答率 ( 公立 ) 74.8 ( 公立 ) 57.5 ( 公立 ) 74 ( 公立

詳細に伝えるためにインタビューやアンケートを実施して情報を収集したりする活動を設定することにする 整理する 場面では,CM のテーマをもとに集めた情報の中から伝えたいことが受け手にしっかりと伝えることができる情報を選択する また, 選択肢した情報を加工しながら, 伝えたいことが伝わりやすい CM の

領域別正答率 Zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz んんんんんんんんんんんんん 小学校 中学校ともに 国語 A B 算数( 数学 )A B のほとんどの領域において 奈良県 全国を上回っています 小学校国語 書く B において 奈良県 全国を大きく上回っています しかし 質問紙調査では 自分

❷ 学校の宿題をする時間 宿題に取り組む時間は すべての学年で増加した 第 1 回調査と比較すると すべての学年で宿題をする時間は増えている 宿題に取り組むはおよ そ 40~50 分で学年による変化は小さいが 宿題を しない 割合はになると増加し 学年が上がるに つれて宿題を長時間する生徒としない生

平成 22 年度全国学力 学習状況調査結果の概要と分析及び改善計画 調査実施期日 平成 22 年 4 月 20 日 ( 火 )AM8:50~11:50 平成 22 年 9 月 14 日 ( 火 ) 研究主任山口嘉子 調査実施学級数等 三次市立十日市小学校第 6 学年い ろ は に組 (105 名 )

H26関ブロ美術プレ大会学習指導案(完成版)

1 ねらい教科指導における ICT の活用は 学習内容を分かりやすく説明したり 子どもたちの学習への興味関心を高めたりすることに有効である 本研究では 次のような 学力の 3 要素 の向上を目指し ICT を活用した授業の工夫と改善に取り組む 基礎的 基本的な知識 技能の習得 これらを活用して課題を

単元構造図の簡素化とその活用 ~ 九州体育 保健体育ネットワーク研究会 2016 ファイナル in 福岡 ~ 佐賀県伊万里市立伊万里中学校教頭福井宏和 1 はじめに伊万里市立伊万里中学校は, 平成 20 年度から平成 22 年度までの3 年間, 文部科学省 国立教育政策研究所 学力の把握に関する研究

2 教科に関する調査の結果 ( 各教科での % ) (1) 小学校 国語 4 年生 5 年生 6 年生 狭山市埼玉県狭山市埼玉県狭山市埼玉県 平領均域正等答別率 話すこと 聞くこと 書くこと

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平成25~27年度間

2 調査結果 (1) 教科に関する調査結果 全体の平均正答率では, 小 5, 中 2の全ての教科で 全国的期待値 ( 参考値 ) ( 以下 全国値 という ) との5ポイント以上の有意差は見られなかった 基礎 基本 については,5ポイント以上の有意差は見られなかったものの, 小 5 中 2ともに,

Ⅲ 調査対象および回答数 調査対象 学校数 有効回答数児童生徒保護者 (4~6 年 ) 12 校 1, 校 1, 校 1,621 1,238 合計 41 校 3,917 ( 有効回答率 96.3%) 3,098 ( 有効回答率 77.7%) Ⅳ 調査の実施時期

Taro-① 平成30年度全国学力・学習状況調査の結果の概要について

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< 評価 感想 反省 > ゲームも入力も生徒の取り組みは良好であった ipad でのデータの入力も生徒はそれほど困難なく行っていた 自分が行った各グループのデータを集約して相関関係を調べる作業について 十分に操作を確認してあったのでスムーズな操作ができたが それでも生徒を多少待たせることになってしま

平成 21 年度全国学力 学習状況調査結果の概要と分析及び改善計画 調査実施期日 平成 21 年 10 月 2 日 ( 金 ) 教務部 平成 21 年 4 月 21 日 ( 火 )AM8:50~11:50 調査実施学級数等 三次市立十日市小学校第 6 学年い ろ は に組 (95 名 ) 教科に関す

平成27年度公立小・中学校における教育課程の編成実施状況調査結果について

Microsoft Word - ④「図形の拡大と縮小」指導案

国語 B 柏原 埼玉県 全国 話すこと 聞くこと 書くこと 読むこと 算数 A 柏原 埼玉県 全国 数と計算 量と測定 図形 数量関係 算数 B 柏原 埼玉県 全国

タイトル(MSゴシック太字16pt)

今年度の校内研究について.HP

目次 1. フラッシュ型スライド教材を作ってみよう 2 2. 文字が順に消えていくスライド教材を作ってみよう 5 3. 文字が順に現れるスライド教材を作ってみよう 8 4. 音声とともに文字の色が変わるスライド教材を作ってみよう スライド教材を種類別にまとめてみよう 14 * 実践事例集

5 単元の評価規準と学習活動における具体の評価規準 単元の評価規準 学習活動における具体の評価規準 ア関心 意欲 態度イ読む能力ウ知識 理解 本文の読解を通じて 科学 について改めて問い直し 新たな視点で考えようとすることができる 学習指導要領 国語総合 3- (6)- ウ -( オ ) 1 科学

2 経年変化 ( 岡山平均との差の推移 ) (1) 中学校 1 年生で比較 ( 昨年度まで中学校 1 年生のみの実施のため ) 平成 26 年度平成 27 年度平成 28 年度平成 29 年度 国 数 語 学 基 礎 活 用 基 礎

実践 報告書テンプレート

4 展開計画 ( 全 5 時間 ) 時テーマ ねらい活動 内容使用教材 1 タンザニアを知ろう! No.1 アフリカの途上国 タンザニア という国について知る 興味を持ち どんな文化なのかどんな生活をしているのかを自ら調べようとする タンザニアについての基本的な情報を聞く ワークシートパワーポイント

(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

(3) 将来の夢や目標を持っていますか 平成 29 年度 平成 28 年度 平成

英語科学習指導案 京都教育大学附属桃山中学校 指導者 : 津田優子 1. 指導日時平成 30 年 2 月 2 日 ( 金 ) 公開授業 Ⅱ(10:45~11:35) 2. 指導学級 ( 場所 ) 第 2 学年 3 組 ( 男子 20 名女子 17 名計 37 名 ) 3. 場所京都教育大学附属桃山中

スライド 1

平成 27 年度 おきぎんふるさと振興基金 活動報告書 沖縄県立森川特別支援学校 教諭野口智徳

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4. タブレット端末の利用状況 ( 利用機材の内容と利用のねらい ) ハードウェア機材名 :ipad ねらい : 水が流れる様子や地形が変化した様子を確認できるよう 動画で撮影し記録する 上流 中流 下流それぞれの様子が撮影できるよう ipadは3 台準備する 機材名 :ENVY110( 複合印刷機

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平成 29 年度 全国学力 学習状況調査結果と対策 1 全国学力調査の結果 ( 校種 検査項目ごとの平均正答率の比較から ) (1) 小学校の結果 会津若松市 国語 A は 全国平均を上回る 国語 B はやや上回る 算数は A B ともに全国平均を上回る 昨年度の国語 A はほぼ同じ 他科目はやや下

2、協同的探究学習について

平成23年度全国学力・学習状況調査問題を活用した結果の分析   資料

目次 1. ひまわり先生の基本設定は, かんたん3ステップ 3 <ステップ1> 先生の登録 3 <ステップ2> 児童の登録 4 <ステップ 3> テストの登録 6 (1) テストの登録の手順 6 (2) 自作のテストやプリントの追加 7 (3) 評価基準の設定 8 (4) 単元の移動, 単元の保留

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[ 中学校男子 ] 1 運動やスポーツをすることが好き 中学校を卒業した後 自主的に運動やスポーツをする時間を持ちたい 自分の体力 運動能力に自信がある 部活動やスポーツクラブに所属している 3 運動やスポーツは大切 [ 中学校女子

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17 石川県 事業計画書

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< 先生方へ > 長崎県学力向上推進協議会では 子どもに確かな学力をつけていくためには 何 が大切か また 学力の向上を阻害している要因は何かなどについて 検討を重ね ています その中から次のようなことが指摘されました 1 家庭で毎日決まった時間に学習をする習慣をつけることが大切である 2 食事や睡

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問 3 問 1 で複数種目を回答した場合 指導形態について該当するものを選んでください ( 問 1 で複数種目回答していない場合は回答不要 ) 1 学校が選択した複数種目をすべての生徒に履修させている 2 学校が提示した複数種目から生徒が選択して履修できるようにしている 3 その他 ( 具体的な指導

1. 研究主題 学び方を身につけ, 見通しをもって意欲的に学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における算数科授業づくりを通して ~ 2. 主題設定の理由 本校では, 平成 22 年度から平成 24 年度までの3 年間, 生き生きと学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における授業づくり通して~ を研究主題に意欲的

目 次 機能概要 4 A ボイスパネル 5 削除 5 追加 6 B メッセージボード 7 文章の作成方法 7 文章作成を間違えた場合 8 C スケジュール 9 スケジュール一覧 9 作成 10 編集 10 スケジュール名の変更 11 並び替え 11 削除 12 各スケジュール 13~14 スケジュー

実践 報告書テンプレート

演習:キャップハンディ ~言葉のわからない人の疑似体験~

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1

(4) ものごとを最後までやりとげて, うれしかったことがありますか (5) 自分には, よいところがあると思いますか

実践例の特徴 傾向分析 本誌の作成にあたり, 北村山地区内の小 中学校の多くの先生方からご協力をいただき, 小学校から8 事例, 中学校から14 事例, 合計 22の実践事例を掲載することができた それらの実践事例について, 北村山視聴覚教育センター学校教育専門部会で実践事例の特徴と傾向の分析を行っ

単元名 ボッチャ 1( 導入 - 試合 ) 領域 A B 体つくり運動器械体操 年度月日平成 29 年度 5 月 ~ 5 月 C D 陸上競技水泳 場 所 体育館 E 球技 ( ゴール型 ) その他 球技 ( ネット型 ) 球技 ( ベースボール型 ) 学 部 小学部 ( 4 ) 年 球技 ( ボッ

自己紹介をしよう

H30全国HP

資料5 親の会が主体となって構築した発達障害児のための教材・教具データベース

平成 30 年 6 月 8 日 ( 金 ) 第 5 校時 尾道市立日比崎小学校第 4 学年 2 組外国語活動 指導者 HRT 東森 千晶 JTE 片山 奈弥津 単元名 好きな曜日は何かな? ~I like Mondays.~ 本単元で育成する資質 能力 コミュニケーション能力 主体性 本時のポイント

第 2 学年 * 組保健体育科 ( 保健分野 ) 学習指導案 1 単元名生涯の各段階における健康 ( イ ) 結婚生活と健康 指導者間中大介 2 単元の目標 生涯の各段階における健康について, 課題の解決に向けての話し合いや模擬授業, ディベート形式のディスカッションなどの学習活動に意欲的に取り組む

調査結果の概要

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目 次 1 学力調査の概要 1 2 内容別調査結果の概要 (1) 内容別正答率 2 (2) 分類 区分別正答率 小学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 3 小学校算数 A( 知識 ) 算数 B( 活用 ) 5 中学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 7 中学校数学 A( 知識 )

事例 1 意思表出の代替ツールとしての利用報告者黒川杏樹 1 ねらい 車いすやウォーカーの写真を選択して 発語のない生徒の意思表出の手段にする 2 使用したアプリなどと使用理由 (iworknote!) 選択肢を写真で提示でき 表示サイズも設定できる 上肢の欠損がある本生徒でも 触れること で操作す

難聴児童の伝える力を 高めるための指導の工夫 -iPadを活用した取り組みを通して-

調査の概要 1 目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し その改善を図るとともに そのような取組を通じて 教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する また 学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の

3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

児童の実態に応じた取り組みであり, 学ぶ意欲や思考力を高める上からも意義深い (4) これまでの研究の経過から本校は平成 23 年度から, 算数科を研究領域とした研究に取り組み, 子どもの主体的な学びと算数的活動を重視した学び合いを通して, わかる できる 喜びを味わう子どもの育成に取り組んできた

国語の授業で目的に応じて資料を読み, 自分の考えを 話したり, 書いたりしている

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Taro-自立活動とは

(4) 学校の規則を守っていますか (5) いじめは, どんな理由があってもいけないことだと思いますか

インターネットについてのアンケート 1 学期の PTA 講演会でも 不審者やネット犯罪から子どもを守るために と題して講演会を行いましたが 下條小学校の子どもたち 保護者のみなさんが インターネットとどのように関わっているのか 高学年の児童 保護者を対象にアンケートを行いました 全県的な調査と比較し

2 全国 埼玉県 狭山市の平均正答率 ( 教科に関する調査の結果 ) ( 単位 %) (1) 小学校第 6 学年 教科ごとの区分 教科 狭山市 埼玉県 全国 国語 A 国語 B 算数 A 算数 B 学習指導要領の

町全体の状況を把握 分析するとともに 平均正答率については 全国 全道との比較を数値以外の文言で表現します また 質問紙調査の結果や 課題解決に向けた学力向上の取組を示します (3) 学校ごとの公表小規模校において個人が特定される恐れのあることから 学校ごとの結果公表はしません (4) 北海道版結果

p.1~2◇◇Ⅰ調査の概要、Ⅱ公表について、Ⅲ_1教科に対する調査の結果_0821_2改訂

1 寿台養護学校 松ろうキャンパス 院内教室対象生教育相談 学校見学申込書 H30 年度より形式 方法が変わりました 1 別紙 教育相談カード 保護者記入用 学校記入用 と一緒に 寿台養護学校教育相談担当 までお申し込みください 2 個人情報保護のため 郵送にてお送りください 3 宛先

2013年1月25日

PowerPoint プレゼンテーション

■新聞記事

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山口大学教育学部附属特別支援学校通級指導教室におけるICT 活用研修プログラム開発プロジェクト 通級指導教室における ICT 活用に関するアンケート タブレット端末の活用事例 本校では 地域の特別支援教育の充実に貢献することを目的に 山口県教育委員会 山口大学と連携を図りながら

2 生活習慣や学習環境等に関する質問紙調査 児童生徒に対する調査 学校意欲 学習方法 学習環境 生活の諸側面等に関する調査 学校に対する調査 指導方法に関する取組や人的 物的な教育条件の整備の状況等に関する調査 2

Transcription:

研究課題 副題 学校名 特別支援学校におけるタブレット端末の活用 ~ 学習支援を横糸に 自立支援を縦糸に織り込む多面的な活用 ~ 兵庫県立西はりま特別支援学校 所在地 679-5165 兵庫県たつの市新宮町光都 1-3-1 ホームページアドレス http://www.hyogo-c.ed.jp/~nisiharima-sn/index.html 1 研究の背景本校は 平成 23 年度より 兵庫県立福祉のまちづくり研究所研究第 1グループと連携して ipod touch や ipad 等の携帯型情報端末機器 ( 以下タブレット端末 ) を活用した学習支援や自立支援への試みを重ねてきた 過去 2 年間の実践により 自発言語の増加や 精神面での安定など コミュニケーション能力や生活自立の面において一定の効果が見られた しかし 学習支援においては国語 数学の個別学習で 集中力の向上や読み書き能力の向上が見られたが ipad や ipod touch 単体での使用がほとんどで 周辺機器を有効に使った授業への広がりはあまり見られず タブレット端末の有用性を十分に活用されていないという課題が示された 2 研究の目的及び研究方法そこで 本年度は 校内研究を授業場面に限定し 教師が授業でタブレット端末を使い 教師力 専門性を高める ことを第 1の目標に据え 全職員で研究に望んだ 校内研究体制としては 高等部 中学部は学年ごとに 小学部は低学年 高学年に分かれてグループを編成し 授業研究に取り組んだ 月に1 回グループごとに研究会を開いて 授業内容や指導方法 指導案の内容等についての検討を重ねた 研究研修部員がそれぞれのグループ代表として各グループの研究推進や ipad 等の機器管理を行うと共に 毎月行われる研究研修部会において グループの状況報告を行い活動内容の確認をした また 2 月に全職員を対象に実践発表会を開き 研究成果を報告した 生活自立支援については 生徒がタブレット端末を使い コミュニケーション能力や自己の管理能力を向上させる ことを目標とし 各担任が児童生徒の実態に即して 必要に応じて

取り組む体制をとった 実践について は主に ipod touch を使用し常時携帯できるようにし た 3 研究の内容 経過 1) 授業の取り組み 実践例 1 水族館へ行こう 小学部低学年 (1,2,3 年生 )( 生活単元学習 ) 水族館へ行く校外学習の事前学習として本学習を実施した 事前に教師が水族館へ行き ipad に実際の魚の様子を動画で撮影したものを テレビの大画面で見たり ipad を使って手元で好きな映像を見たりできるように設定した 水族館の模擬体験授業では 集団で TV の映像を見るブース 個人で ipad の映像を見るブース 魚すくいゲームをするブース 疑似物や本物のカニに触るブース と4つのブースを設定して視覚と触覚へのアプローチを行い 活動に変化を持たせた 事前学習の1 週間後に 姫路水族館へ校外学習に出かけところ ほとんどの児童は驚いたり怖がったりすることなく 落ち着いて魚や水草の生き物を観察することができた 本学習に対して 児童は意欲的に学習に取り組むことができた 初めは ipad に触りたいだけだった児童も 少しずつ魚の動きを集中して見ることができるようになった また 車椅子の児童や画面を注視することが難しい児童に対し 手元まで映像を近づけたり 視線の先に映像を置いたりすることにより 個別に対応した学習ができたと考える 実践例 2 ipad で描こう 中学部 1 年 ( 美術 ) 本授業では 学年を4グループ ( 生徒 4~5 人 教師 2 人 ) に分け 各グループに ipad を1 台ずつ配置し ipad で絵を描く学習をした 教材として アプリケーションソフト 音 DE ぬりえ マイスタンプ を使用し 背景の色塗り 具体物を描く 配置を考えて組み合わせる 等 生徒の能力に応じて ipad を使う順番や役割を決め 協力して作品を完成させるように設定した 本学習を通して 多くの生徒が意欲的に学習に参加することができた 自分から絵を描くことがほとんどなかった生徒も 自分から ipad に手を伸ばして絵を描くことができた 大型テレビに映された画像を見ながら 集中して説明を聞いたり学習を振り返ったりすることもできた また 指で自由に描く生徒 操作を覚え一人で画面を編集する生徒等 各自の能力に応じた学習をすることができた 実践例 3 修学旅行で出会う音を知ろう 高等部 3 年生 ( 音楽 ) 本授業では修学旅行に関する内容を授業に取り入れた 修学旅行先で実際に聞くことができる音 ( 音楽 ) を教材として選び イメージを深めることを目標に掲げた 授業にあたっては パワーポイントのアニメーション機能を使って 場

面や場所にあった2つの音を聞き比べ 一方を選ぶ2 択クイズを ipad の画面をタッチすることで解答できるようにした ipad の画面は大型テレビに映し出し 生徒全員で問題を考え正解を確認した 本学習では 2 択クイズの画面に触れるだけで解答できたので 多くの生徒が積極的に授業に参加することができた また 視覚に障害のある生徒には別の ipad にテレビと同じ画面を映して手元で見られるようにし 聴覚に障害のある生徒には ipad にイヤホンを装着して 確実に音を聞くことができるようにした このように 機器の提示方法を工夫することにより 様々な障害の生徒が学習に参加することが可能となった 2) 自立活動の取組 実践例 4 体重 運動管理に取り組もう 高等部 3 年生女子対象生徒は肥満傾向にあり 毎日運動後に体重計測の結果を記録していた しかし 数値のみでは軽重の変化を把握し難く 体重を減らすことへの意識が高まりにくかったため 体重を入力すると自動的に本人が所持している ipod touch にグラフ化される Simple Diet と 端末を靴に装着しながら移動すると ランニングの距離と時間 時速が記録される Running を利用し ゲーム感覚で取り組むこととした その後 日々の体重測定や運動はほぼ欠かさずできるようになったが 体重の変化は見られなかった そこで 前日よりも体重が減少していたら シールを1 枚 という特典を加えたところ 生徒の体重減少への意識が高まり 10 日間で 0.9 kgの減少が見られた その後も体重は増えることなく 僅かずつではあるがグラフは減少してきている 実践例 5 明日の持ち物を確認しよう 中学部 1 年生女子対象生徒は 持ち物の管理が不十分なため 物をなくしたり忘れ物をしたりすることが多かった そこで ipod touch を持たせ 自分の持ち物を確認させることとした 実施においては リマインダー という機能に担任が翌日の持参物を記入し 下校前に本人に画面を確認させ家に持ち帰らせた 生徒は家で持ち物を確認し 翌日の朝担任と一緒に確認するという方法をとった 生徒が機器を紛失しないよう 透明な袋に入れ毎日持参するカバンに紐で取り付け 操作は透明な袋に入れたままできるように設定した 約 3ヶ月取り組みを続けるうちに 徐々に忘れ物が減り 身辺処理能力も向上してきた 実践例 6 落ち着いてバスに乗ろう 小学部 2 年生男子対象児童は 入学時よりこだわりが強く 登下校のスクールバスに落ち着いて乗車し続けることが難しかったため ipod touch に好きなキャラクターやアイドルの写真を保存し 乗車中に見せるようにした 1 下校時に担任がバスの介助員に ipod touch を渡し 児童が落ち着かない時のみ持たせる 2 降車時に保護者に ipod touch を渡し持ち帰ってもらい 翌日の登校時に保護者から介助員が受け取る 3 登校時に介助員から担任が機器を受け取って

車内での様子を聞く というシステムをとった この取り組みにより 1 学期にほぼ毎日画面を見ていた児童は 3 学期にはほとんど画面を見なくなった また ipod touch の使用状況やバスの介助員からの連絡を通して 児童の様子を担任と保護者が確認し合うことができた 3) 実践例数の比較

4 研究の成果

5 今後の課題 展望 6 おわりに