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初めに:

別紙2

図 3 世界の GDP 成長率の実績と見通し ( 出所 ) Capital in the 21st century by Thomas Piketty ホームページ 図 4 世界の資本所得比率の実績と見通し ( 出所 ) Capital in the 21st century by Thomas P

現代資本主義論

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短期均衡(2) IS-LMモデル

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極地研 no174.indd

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28 GCC UAE GCC (2) 大きく上昇した食料価格と住居費 GCC GCC GCC 図表 2 湾岸協力会議 (GCC) 諸国の消費者物価上昇率 (28 年 ) 図表 3 湾岸協力会議 (GCC) 諸国の消費者物価指数に占める食料品と住居費の割合


社会保障給付の規模 伸びと経済との関係 (2) 年金 平成 16 年年金制度改革において 少子化 高齢化の進展や平均寿命の伸び等に応じて給付水準を調整する マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びはの伸びとほぼ同程度に収まる ( ) マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びは 1.6

contents

1. 世界における日 経済 人口 (216 年 ) GDP(216 年 ) 貿易 ( 輸出 + 輸入 )(216 年 ) +=8.6% +=28.4% +=36.8% 1.7% 6.9% 6.6% 4.% 68.6% 中国 18.5% 米国 4.3% 32.1% 中国 14.9% 米国 24.7%

第33回 ESRI-経済政策フォーラム

鳩山政権の経済政策の効果

2017年上半期の為替相場展望


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1

目 次 Ⅰ. 総括編 1. 世界各地域の人口, 面積, 人口密度の推移と予測およびGDP( 名目 ) の状況 ( 1) 2. 世界の自動車保有状況と予測 ( 5) 3. 世界の自動車販売状況と予測 ( 9) 4. 世界の自動車生産状況と予測 ( 12) 5. 自動車産業にとって将来魅力のある国々 (

1 概 況

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先進国化する中国 東南アジアの大都市 ~ メガシティ ( 大都市 ) からメガリージョン ( 大都市圏 ) へ ~ 要 旨 調査部環太平洋戦略研究センター 主任研究員 大泉啓一郎 GDP 8,000 10,00

1.ASEAN 概要 (1) 現在の ASEAN(217 年 ) 加盟国 (1カ国: ブルネイ カンボジア インドネシア ラオス マレーシア ミャンマー フィリピン シンガポール タイ ベトナム ) 面積 449 万 km2 日本 (37.8 万 km2 ) の11.9 倍 世界 (1 億 3,43

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1.ASEAN 概要 (1) 現在の ASEAN(216 年 ) 加盟国 (1カ国: ブルネイ カンボジア インドネシア ラオス マレーシア ミャンマー フィリピン シンガポール タイ ベトナム ) 面積 449 万 km2 日本 (37.8 万 km2 ) の11.9 倍 世界 (1 億 3,43

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参考資料 1 約束草案関連資料 中央環境審議会地球環境部会 2020 年以降の地球温暖化対策検討小委員会 産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会約束草案検討ワーキンググループ合同会合事務局 平成 27 年 4 月 30 日

経済変動論 0

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おカネはどこから来てどこに行くのか―資金循環統計の読み方― 第4回 表情が変わる保険会社のお金

つのシナリオにおける社会保障給付費の超長期見通し ( マクロ ) (GDP 比 %) 年金 医療 介護の社会保障給付費合計 現行制度に即して社会保障給付の将来を推計 生産性 ( 実質賃金 ) 人口の規模や構成によって将来像 (1 人当たりや GDP 比 ) が違ってくる

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( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 2, 15, 1. 金 16, 額 12, 12, 9, 営業利益率 経常利益率 当期純利益率 , 6, 4. 4, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 1 社 ( 単位 : 億円 ) 215 年度 216 年度前年度差前年度

我が国中小企業の課題と対応策

Economic Trends    マクロ経済分析レポート

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有明海・八代海総合調査評価委員会 委員会報告書 別添資料

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< 目次 > Ⅰ. 基準シナリオ : 経済成長持続ケース 1. 中間所得層 + 高所得層の推移 2. 中間所得層の推移 3. 高所得層の推移 Ⅱ. シナリオ2: 中国とインド経済が急激にダウンしたら? 1. 中間所得層 + 高所得層の推移 2. 中間所得層の推移 3. 高所得層の推移 Ⅲ. シナリオ

経済学でわかる金融・証券市場の話③

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【ロシア最新経済金融週報】

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財政政策の考え方 不況 = モノが売れない仕事がない ( 失業増加 ) が代わりにモノを買う! 仕事をつくる ( 発注する )! = 財政支出拡大 ( がお金を使う ) さらに乗数効果で効果増幅!! 3 近年の経済対策の財政規模 名 称 内閣 事業規模 公共投資 減税 財政規模 日本経

( 無断転用禁止 ) BRICs 経済研究所レポート 中長期で上昇が期待されるブラジル株 ~2030 年のボベスパ指数は 2005 年実績の 8.4 倍まで上昇する見込み ~ ~ 要 旨 ~ 2006 年 9 月 2 日 ( 土 ) BRI Cs 経済研究所代表門倉貴史 postbr

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2019年度はマクロ経済スライド実施見込み

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部品メーカーの状況 自動車部品メーカー 75 社の 2017 年度通期 (2017 年 年 3 月 ) の業績は 以下のとおりとなった 1. 決算状況 1 日本基準適用企業 63 社 ( ) 前年同期差 前年同期比 売上高 14,135,817 15,044, ,912 +

中国:PMI が示唆する生産・輸出の底打ち時期

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1. 30 第 1 運用環境 各市場の動き ( 4 月 ~ 6 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは狭いレンジでの取引が続きました 海外金利の上昇により 国内金利が若干上昇する場面もありましたが 日銀による緩和的な金融政策の継続により 上昇幅は限定的となりました : 東証株価指数 (TOPIX)

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中国におけるインフレの行方 中国経済は減速しているものの 過熱の解消にはまだ至っていない 年 9 月のリーマン ショックを受けて 中国は輸出が大幅に落ち込み 景気後退を余儀なくされたが 兆元に上る内需拡大策や 金利と預金準備率の大幅な引き下げをはじめとする拡張的財政 金融政策が実施されたことを受けて

各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数

人民元国際化 : 背景 現状 および戦略 潘慶中清華大学蘇世民書院常務副院長

請求記号:DVD 70- -1  栄光のフィレンツェ・ルネサンス  1 夜明け   55分 

図表 02 の 01 の 1 世界人口 地域別 年 図表 2-1-1A 世界人口 地域別 年 ( 実数 1000 人 ) 地域 国 世界全体 2,532,229 3,038,413 3,69

マイナス金利付き量的 質 的金融緩和と日本経済 内閣府経済社会総合研究所主任研究員 京都大学経済学研究科特任准教授 敦賀貴之 この講演に含まれる内容や意見は講演者個人のものであり 内閣府の見解を表すものではありません

2018 年 10 月号 中国の金融経済動向について 中国の AI 動向について 千葉銀行上海駐在員事務所

ピクテ・インカム・コレクション・ファンド(毎月分配型)

問題意識 民生部門 ( 業務部門と家庭部門 ) の温室効果ガス排出量削減が喫緊の課題 民生部門対策が進まなければ 他部門の対策強化や 海外からの排出クレジット取得に頼らざるを得ない 民生部門対策において IT の重要性が増大 ( 利用拡大に伴う排出量増加と省エネポテンシャル ) IT を有効に活用し

中国:対応が必要とされる所得格差問題

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[グループⅠ]公募仕様書案

ミクロ マクロ経済学演習 冬休みの宿題 担当 : 河田 学籍番号 氏名 2014 年 1 月 6 日 ( 月 )17 時までに 河田研究室 (514) まで提出すること 途中の式や思考過程はそのままにしておくこと

タイトル

IT ASG 22

2 / 6 不安が生じたため 景気は腰折れをしてしまった 確かに 97 年度は消費増税以外の負担増もあったため 消費増税の影響だけで景気が腰折れしたとは判断できない しかし 前回 2014 年の消費税率 3% の引き上げは それだけで8 兆円以上の負担増になり 家計にも相当大きな負担がのしかかった


欧州に見るマイナス金利が銀行に及ぼす影響

日韓比較(10):非正規雇用-その4 なぜ雇用形態により人件費は異なるのか?―賃金水準や社会保険の適用率に差があるのが主な原因―

NIRA 日本経済の中期展望に関する研究会 家計に眠る過剰貯蓄国民生活の質の向上には 貯蓄から消費へ という発想が不可欠 エグゼクティブサマリー 貯蓄から消費へ これが本報告書のキーワードである 政府がこれまで主導してきた 貯蓄から投資へ と両立しうるコンセプトであるが 着眼点がやや異なる すなわち

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(3) 可処分所得の計算 可処分所得とは 家計で自由に使える手取収入のことである 給与所得者 の可処分所得は 次の計算式から求められる 給与所得者の可処分所得は 年収 ( 勤務先の給料 賞与 ) から 社会保険料と所得税 住民税を差し引いた額である なお 生命保険や火災保険などの民間保険の保険料およ

ロシア 3節 第 第3節 ロシア 1 マクロ経済動向 ロシア経済は 緩やかな回復基調にある 2014 年 7 以下 輸出 個人消費 消費者物価 金融市場の動 月以降のウクライナ危機発生及びクリミア併合に伴う 向を中心に概観する 欧米からの経済制裁に加え 2015 年以降 原油価格 の下落を主因として

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中国通セミナー(2015年9月)

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スライド 1

企業倒産とマクロ経済要因

Transcription:

北京五輪以降の中国経済ー経済成長の源泉とリスク要因ー 富士通総研経済研究所上席主任研究員柯隆 kelong@jp.fujitsu.com

1. 問題意識と構成 問題意識 中国経済を取り巻く内外環境が悪化 北京五輪 (08 年 ) と上海万博 (10 年 ) の特需効果薄れる 注目される中国経済のサステナビリティ 構成 経済成長の原動力 経済開発モデルの特性 投資主導 + 輸出依存 リスク要因分析 1 投資効率の悪化 2 所得格差の拡大 3 環境破壊と公害問題 4 信用不安 中国経済成長のサステナビリティ 1

2. 経済成長の原動力 30 25 20 15 10 % 5 0-5 -10 2 純輸出 資本形成 民間消費 インフレ率 (CPI%) 実質 GDP 伸び率 (%) 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 ( 出所 ) 中国国家統計局

3. 投資主導と輸出依存の経済成長 100% 80% 38.3 消費 (C) 60% 投資 (I) 40% 44.9 20% 14.4 政府支出 (G) 0% 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 7.7 純輸出 (X-M) -20% ( 出所 ) Asia Key Indicators 2007, ADB 3

4. 中央政府と地方政府の設備投資比較 70 60 50 中央事業投資 ( 都市部 ) 伸び率 地方事業投資 ( 都市部 ) 伸び率 40 30 20 10 % 0 2004 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 2005 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 2006 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 ( 出所 )CEIC データ 4

5. 国有企業を主体とする設備投資体制 100% 90% 80% 民営企業 70% 60% 50% 集団所有制部門 40% 30% 20% 10% 国有部門およびその他 0% 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 ( 出所 ) 中国国家統計局 5

6. 限界資本係数の推移 (1989-2006 年 ) 6 5 4 3 2 1 0 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 ( 注 ) 限界資本係数は資本の産出比率を表わすもので その値が大きいほど資本効率の低下を表わす ( 出所 )ADB Key Indicators 2007 6

7. 限界資本係数のアジア諸国との比較 高度成長期 実質 GDP 伸び率平均 (%) 投資率 (I/Y) の平均 (%) 限界資本係数 中国 1981-89 9.95 26.80 2.69 1990-99 10.00 31.66 3.17 2000-06 9.57 42.14 4.40 韓国 1986-90 4.74 30.09 3.12 インドネシア 1989-93 10.94 26.79 3.23 マレーシア 1992-96 11.56 40.37 4.22 フィリピン 1986-90 9.95 19.01 4.01 タイ 1987-91 10.00 34.99 3.20 日本 1966-70 9.30 33.50 2.90 ( 出所 ) 世界銀行 WDI 経済産業省 通商白書 2007 中国国家統計局 7

8. 高成長政策の背景 投資主導の意味で昭和 30 年代の日本経済に酷似する中国経済は 1980 年代末日本のバブル経済の一面を同時に持ち合わせている 経済成長を投資でけん引する背景に 政府が一貫して8% 以上の実質成長を政策課題としているが それは単に政府の意気込みの程度を示すものではない 現実問題として 年間 1 千万人以上の新規雇用創出が社会安定維持のための至上の政策課題である 過去に生じた人口圧力( 文革ベビーブーマとその子弟 ) 90 年代に強力に実行した国有企業改革にともなう雇用削減 WTO 加盟によって国際競争力のない農業セクターの雇用吸収力が大幅に低下していくことが確実 しかし 投資主導の経済成長では 労働資本装備率 ( 資本 労働 ) の上昇により経済成長の雇用創出能力が低下している 8

9. 単位 GDP 成長の雇用創出効果 140 120 100 80 60 40 20 0 万人 -20 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007-40 都市部農村部雇用創出 -60 ( 出所 ) 国家統計局のデータをもとに算出 9

10. 貯蓄率 ( 貯蓄 GNI) と投資率 ( 投資 GNI) の上昇 50 48 貯蓄率 投資率 47.3 46 44 42 44.9 40 38 36 34 32 30 % 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 ( 出所 ) 国家統計局のデータをもとに算出 10

11. 都市部家計の消費性向と貯蓄性向 可処分所得 ( 元 ) 消費支出 ( 元 ) 貯蓄 ( 元 ) エンゲル係数 (%) 消費性向 (%) 貯蓄性向 (%) 2006 11,760 8,697 3,063 35.8 74.0 26.1 2005 10,493 7,943 2,550 36.7 75.7 24.3 2004 9,422 7,182 2,240 37.7 76.2 23.8 2003 8,472 6,511 1,961 37.1 76.9 23.2 2002 7,703 6,030 1,673 37.7 78.3 21.7 2001 6,860 5,309 1,551 37.9 77.4 22.6 2000 6,280 4,998 1,282 39.2 79.6 20.4 1997 5,160 4,186 974 46.6 81.1 18.9 1995 4,283 3,538 745 49.9 82.6 17.4 1990 1,510 1,279 231 54.2 84.7 15.3 1989 1,374 1,211 163 54.6 88.1 11.9 ( 出所 ) 中国国家統計局 11

12. 社会不安を増幅させるインフレの再燃 110 108 108.7 106 104 102 100 98 96 94 92 Jan-01 Apr-01 Jul-01 Oct-01 Jan-02 Apr-02 Jul-02 Oct-02 Jan-03 Apr-03 Jul-03 Oct-03 Jan-04 Apr-04 Jul-04 Oct-04 Jan-05 Apr-05 Jul-05 Oct-05 Jan-06 Apr-06 Jul-06 Oct-06 Jan-07 Apr-07 Jul-07 Oct-07 Jan-08 ( 出所 )CEIC データをもとに作成 12

13. 大きく利上げができない中銀の苦悩 14 12 人民元預金金利 人民元貸出金利 10 Federal funds effective rate 8 6 4 % 2 0 Jan-90 Jun-90 Nov-90 Apr-91 Sep-91 Feb-92 Jul-92 Dec-92 May-93 Oct-93 Mar-94 Aug-94 Jan-95 Jun-95 Nov-95 Apr-96 Sep-96 Feb-97 Jul-97 Dec-97 May-98 Oct-98 Mar-99 Aug-99 Jan-00 Jun-00 Nov-00 Apr-01 Sep-01 Feb-02 Jul-02 Dec-02 May-03 Oct-03 Mar-04 Aug-04 Jan-05 Jun-05 Nov-05 Apr-06 Sep-06 Feb-07 Jul-07 Dec-07 ( 出所 )CEIC データをもとに作成 13

14. 代わりに預金準備率操作の実施 18% 16% 16% 14% 12% 10% 8% 6% 4% 2% 0% Mar-98 Jul-98 Nov-98 Mar-99 Jul-99 Nov-99 Mar-00 Jul-00 Nov-00 Mar-01 Jul-01 Nov-01 Mar-02 Jul-02 Nov-02 Mar-03 Jul-03 Nov-03 Mar-04 Jul-04 Nov-04 Mar-05 Jul-05 Nov-05 Mar-06 Jul-06 Nov-06 Mar-07 Jul-07 Nov-07 Mar-08 ( 出所 ) 国家統計局のデータをもとに作成 14

15. 中央銀行手形の発行と不胎化政策 12,000 10,000 8,000 中央銀行手形発行額 外貨準備増分 ( 元建て ) 2006 年手形発行 3 兆 6,574 億元外貨準備 1 兆 9,711 億元 2007 年手形発行 4 兆 0,721 億元外貨準備 3 兆 5,220 億元 6,000 2005 年手形発行 2 兆 7,882 億元外貨準備 1 兆 7,091 億元 4,000 2,000 0 億元 2005 3 5 7 9 11 2006 3 5 7 9 11 2007 3 5 7 9 11 2008 ( 出所 ) 中国人民銀行の発表をもとに作成 15

16. 高成長下でも所得格差拡大の背景 - 労働分配率の低下 65 60 55 50 45 40 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 ( 注 ) 労働分配率は労働者報酬を名目 GDP で除したものとする ( 出所 ) 中国国家統計局 16

17. 不安を助長する脆弱な社会保障制度 50 44 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 基礎年% 金保険33 健康保険都市部 28 失業保険24 育児保険18 労働障害保険13 合作医療保険10 基礎年金農村 ( 出所 ) 中国労働和社会保障部 国家衛生部 マッキンゼー ( 中国 ) 戸籍のない流動人口の生活保障 労働保険 年金保険 医療保険 加入率 (%) 26.8 2.6 12.4 故郷の土地 両親に任せる 他人に委託 地方政府に返却 耕さないまま その他 割合 % 69.2 13.9 1.5 0.1 15.3 ( 出所 ) 中国経済研究基金会 (2005) 17

18. 並存する 3 つの労働市場 賃金 S w ホワイトカラー D w 出稼ぎ労働者が短期的に限りなく供給されるため それに対する需要が増えても賃金水準は上昇しない 最近 地方政府はワーカーの労働条件を改善するために 最低賃金水準を引き上げている S u 都市部労働者 D u S r &D r 出稼ぎ労働者労働量 都市部労働者の供給はその需要増に応じて賃金が若干上昇するが 賃金の上方修正は硬直的である マネージャー層の供給は短期的に増えないため 需要増によって賃金水準は大きく上昇する 18

19. 将来への不安と生活防衛 かつて 国有企業は年金保険などの社会保障機能を担っていたが 90 年代の国有企業改革によって雇用が削減されたと同時に 従来の社会保障機能も壊れてしまった それに代わる公的な社会保障制度が整備されていない 将来への不安から家計は生活防衛に走っている 当座の消費を控え 貯蓄を増やしている こうしたなかで 人民元切り上げ圧力がかかり 金利の上方修正が硬直的なため 中央銀行は安易に利上げに踏み切ることはできない 結果的に インフレ再燃により 実質金利がマイナスに転換し 家計のポートフォリオは銀行預金から資本市場 ( 株式投資 ) へシフトされている 上場企業の業績改善が遅く ディスクローズも不十分なため 株式投資のファンダメンタルズの悪化により 市況が急落し 極端に不安定な動きになっている 19

20. 資源不足なのに 資源の無駄遣い 一人当たり資源保有の国際比較 ( 世界平均 =100%) 水資源 25.0% 農地 7.0% 石油 8.3% 天然ガス 4.1% 銅 25.5% アルミ 9.7% 1 万ドル GDP の水消費 (m 3 ) 水消費量 (m 3 ) 倍数 ( 日本 =1) 日本 208 1 米国 514 2.47 中国 5,045 24.25 ( 出所 )DRC 20

21. なぜエネルギー消費の大国になったのか 世界における 1 次エネルギー消費量の国別シェア 主要国 地域の 1 次エネルギー消費効率 20 米国, 22.20% その他, 35.10% 18 16 14 12 世界全体の 1 次エネルギー消費量 (2005 年 ) 石油換算 105.4 億トン 中国, 14.70% 10 8 6 4 韓国, 2.10% イギリス, 2.20% フランス, 2.50% カナダ, 3.00% ロシア, 6.40% 日本, 5.00% インド, 3.70% ドイツ, 3.10% 2 0 日本 EU 米国カナダ韓国タイ中国インドロシア ( 注 ) 日本を 1 として換算 GDP は 2000 年価格の実質 GDP ( 出所 ) 通商白書 2007 経済産業省 21

22. 汚染 公害の深刻化 海水の水質汚染 (2006 年 ) 全国酸性雨被害の割合 (04 年 ) 中度の汚染 11.7% 重度の汚染 19.0% 軽度の汚染 35.0% クリーン 34.3% 酸性雨被害 4 0. 9 % 4.5-5.0 18% 4.0-4.5 9% ph<4.0 1% 5.0-5.6 13% 被害なし 59% ( 出所 )China Central Environmental Monitoring Station(2005) 22

23. ゴミと下水のほとんどは未処理のまま放置 図 1 都市部生活下水処理は 32% 程度 図 2 農村部でゴミなどはそのまま放置 300 政府 250 200 150 100 財政資金 排汚費 の免除 税制面の優遇 50 億トン 0 生活廃水 汚水処理能力 都市部 汚染源 汚染物質 農村部 ( 出所 )DRC 郷鎮企業 が排出汚染物質は鉱工業全体の汚染物質の半分 23

24. 第 11 次 5 ヵ年計画 (06-10 年 ) の環境目標 2005 年 2010 年目標の属性 総人口 ( 万人 ) 130,756 136,000 必須 エネルギー効率 (%) [20] 必須 工業の水利用効率 (%) [30] 必須 農業灌漑水利用係数 0.45 0.50 予定 産業固形廃棄物利用率 55.8 60.0 予定 耕地面積 (100 万ヘクタール ) 1.22 1.20 必須 汚染物質総量減少 (%) [10] 必須 森林面積 (%) 18.2 20.0 必須 ( 出所 ) 全国人民代表大会 しかし 目標の達成を監視する国民のモニターリングを欠いている 目標達成の責任と義務が曖昧である 06 年と07 年のいずれも政府の目標が達成されていない 24

25. 中国の政策オプション 景気過熱を回避するための政策 成長率目標の設定をやめること 投資家の投資マインドをチェンジ 金融政策独立性維持 (adjustable pegの放棄 ) しかし 人口圧力に対応する雇用創出という政策課題から 以上の諸政策の合理性を欠く 結局のところ 採り得る政策は現状の微調整しかない すでにいくつかは実施されているが 即効性はない ( 輸出奨励策の見直し 外国直接投資優遇税制の廃止 段階的な資本輸出の開放 国内の消費需要の喚起など ) 環境対策については テクニカルな問題よりも国民によるモニターリングとガバナンス機能の確立などキャパシティ ビルディング ( 制度作り ) が重要 25

26. 2012 年のヤマ場ー民主主義改革不可避 3000 ドル超になる一人当たり GDP 3500 3000 2500 2000 1500 1000 500 ドル 0 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 ( 資料 ) 中国国家統計局 3000 ドル ( 予測 ) 北京五輪をきっかけとする景気調整局面は本格的な景気調整の始まりにすぎない 最大のヤマ場は2012 年に来る 1 政権交替の年にあたり 政治循環は景気を不安定化させる 2 五輪と万博の特需効果は完全に消え 景気失速の可能性 3 一人当たりGDPは現在の 2,000ドル程度から3,000ドル超に 26

27. ポスト胡錦濤政権の行方 民主主義選挙の実施への支持率 国家主席 省長 ( 知事 ) 県長 村長 0% 20% 40% 60% 80% ( 注 )700 地方幹部に対するアンケート調査 60% の幹部は民主主義の選挙を導入すべきと答える ( 出所 )John L. Thornton (2008) をもとに作成 考えられる二つの選択肢 ソフトランディング ハードランディング タイ マレーシア フィリピン インドネシア 長期的に市場経済と両立しない一党支配の政治体制の改革 国民による政治への参加は不可欠 ボトムアップの民主主義の選挙の導入は急務 ( 現在 農村の村レベルで村長の選挙を実験中 ) 27

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