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1)~ 2) 3) 近位筋脱力 CK(CPK) 高値 炎症を伴わない筋線維の壊死 抗 HMG-CoA 還元酵素 (HMGCR) 抗体陽性等を特徴とする免疫性壊死性ミオパチーがあらわれ 投与中止後も持続する例が報告されているので 患者の状態を十分に観察すること なお 免疫抑制剤投与により改善がみられた

られる 糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) である このクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず 様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規

(2) レパーサ皮下注 140mgシリンジ及び同 140mgペン 1 本製剤については 最適使用推進ガイドラインに従い 有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間 本製剤の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに 副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件

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ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

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CQ1: 急性痛風性関節炎の発作 ( 痛風発作 ) に対して第一番目に使用されるお薬 ( 第一選択薬と言います ) としてコルヒチン ステロイド NSAIDs( 消炎鎮痛剤 ) があります しかし どれが最適かについては明らかではないので 検討することが必要と考えられます そこで 急性痛風性関節炎の

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保医発 1121 第 3 号 平成 30 年 11 月 21 日 地方厚生 ( 支 ) 局医療課長都道府県民生主管部 ( 局 ) 国民健康保険主管課 ( 部 ) 長都道府県後期高齢者医療主管部 ( 局 ) 後期高齢者医療主管課 ( 部 ) 長 殿 厚生労働省保険局医療課長 ( 公印省略 ) 抗 PC

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本書の読み方 使い方 ~ 各項目の基本構成 ~ * 本書は主に外来の日常診療で頻用される治療薬を取り上げています ❶ 特徴 01 HMG-CoA 代表的薬剤ピタバスタチン同種同効薬アトルバスタチン, ロスバスタチン HMG-CoA 還元酵素阻害薬は主に高 LDL コレステロール血症の治療目的で使 用される その強力なコレステロール低下作用と, コレステロール低下作用を 介さない作用 ( 血管内皮機能改善作用, 抗炎症作用, プラーク安定化作用など ) により動脈硬化の発症 進展予防作用があるとされ, 現在では豊富なエビデンスから心筋梗塞の2 次予防において標準的な薬物療法に位置づけられている どんな薬? まず治療薬群の特徴を大まかに知る ❷ 作用機序 作用機序 : なぜ効くか? どこに効くか? なぜ効く? どこに効く? 作用機序 ( 作用メカニズム ) のイラストと簡潔な説明で, 代表的薬剤の薬理作用を視覚的に把握 ピタバスタチンは, 肝臓にあるHMG-CoA 還元酵素を特異的かつ拮抗的に阻害する 肝細胞内のコレステロール含量低下により,LDL 受容体の発現を促進し, 血液中のLDLコレステロールの取り込みが増加する また肝臓からのVLDL 分泌を抑制することも認められている xiv

❸ 吸収 代謝 排泄 最高血中濃度到達時間等 0.5 0.8 UDP- CYPCYP2C9 9.3 12.2 体内でどう動く? 吸収経路 吸収率, 代謝 排泄経路, 最高血中濃度到達時間 半減期 (+ 効果発現時間 効果持続時間 ) など, 薬物動態の基本情報を把握 ❹ 適応症と投与法 1 2mg 1 1 4mg 1 2mg 1 1 4mg 101mg 1 1 2mg どんな病気にどう使う? 添付文書に記載された適応症 ( 効能 効果 ) と投与法 ( 用法 用量 ) を確認 ❺ 副作用と禁忌, 相互作用と併用注意薬剤 食品 HMG-CoA 1 CPK OATP1B1 OATP1B1 どこに気をつける? 作用機序や吸収 代謝経路に基づき, 副作用と禁忌, 相互作用と併用注意薬剤 食品のポイントを理解 xv

❻ 同種同効薬差分解説 同種同効薬差分解説 アトルバスタチン ( リピトール ) 適応症 : 小児への適応はない 併用注意薬 : 肝臓, 小腸でCYP3A4により代謝を受けるため,CYP3A4 阻害薬 ( シクロスポリン, エリスロマイシン, グレープフルーツジュース ) などとの併用時に本剤の血中濃度が増加する またCYP3A4 誘導薬 ( リファンピシンなど ) との併用時に本剤の血中濃度が低下するロスバスタチン ( クレストール ) 相互作用 副作用 :CYP3A4およびP 糖蛋白の阻害薬との併用では薬物相互作用はない 比較的横紋筋融解症, ミオパチーの頻度が少ない HMG-CoA 還元酵素阻害薬は高コレステロール血症の患者の第一選択薬と解説して用いられる 特に効果の高いストロングスタチンと呼ばれるピタバスタチン, アトルバスタチン, ロスバスタチンなどは使用頻度が高い また虚血性心疾患における1 次予防,2 次予防のエビデンスも確立しており, 心筋梗塞や狭心症患者において頻用される薬剤である 虚血性心疾患などの患者に用いる場合には他薬剤と併用されることが多く, 薬物相互作用が問題となることがある この場合, 薬剤により薬物相互作用が異なるので注意が必要である 代表的薬剤と同種同効薬の違いは? 同種同効薬には何があり, 代表的薬剤とはどこが違うのか, 基本データとわかりやすい解説で, 各薬剤の相違点と使い分けのポイントを理解 臨床薬理学の最新知見を踏まえた薬物治療の実践へ 本書で使われている主な略語 Tmax : 最高血中濃度到達時間 t1/2 : 半減期 Cmax : 最高血中濃度 AUC : 血中濃度 - 時間曲線下面積 MIC : 最小発育阻止濃度 Time above MIC : 血中濃度がMIC( 最小発育阻止濃度 ) を超えている時間 一般名の表記は, 添付文書の成分名を基本としつつ, 一部簡略化しています ( 例 ) ピタバスタチンカルシウム水和物 ピタバスタチンオセルタミビルリン酸塩 オセルタミビルドネペジル塩酸塩 ドネペジル xvi

01 HMG-CoA 還元酵素阻害薬 代表的薬剤同種同効薬 ピタバスタチンアトルバスタチン, ロスバスタチン HMG-CoA 還元酵素阻害薬は主に高 LDLコレステロール血症の治療目的で使特徴用される その強力なコレステロール低下作用と, コレステロール低下作用を介さない作用 ( 血管内皮機能改善作用, 抗炎症作用, プラーク安定化作用など ) により動脈硬化の発症 進展予防作用があるとされ, 現在では豊富なエビデンスから心筋梗塞の2 次予防において標準的な薬物療法に位置づけられている ピタバスタチン ( リバロ ) 作用機序 : なぜ効くか? どこに効くか? ピタバスタチンは, 肝臓にあるHMG-CoA 還元酵素を特異的かつ拮抗的に阻害する 肝細胞内のコレステロール含量低下により,LDL 受容体の発現を促進し, 血液中のLDLコレステロールの取り込みが増加する また肝臓からのVLDL 分泌を抑制することも認められている 148

吸収経路と吸収率 吸収経路 消化管 : 主に十二指腸, 回腸, 大腸 149 代謝 排泄経路 代謝 肝臓において UDP- グルクロノシルトランスフェラーゼで代謝される CYP による代謝はわずか (CYP2C9 が関与 ) 排泄 ほとんどが胆汁排泄を介した糞中排泄 最高血中濃度到達時間 0.5~0.8 時間 半減期 9.3~12.2 時間 適応症と投与法 高コレステロール血症 1~2mg を 1 日 1 回投与 最大投与量 4mg 家族性高コレステロール血症 成人 :1~2mg を 1 日 1 回投与 最大投与量 4mg 小児 :10 歳以上の小児には 1mg を 1 日 1 回投与 最大投与量 2mg 作用機序から理解する副作用と禁忌 HMG-CoA 還元酵素阻害薬の共通の副作用として, 横紋筋融解症, ミオ

パチーが知られる 検査値では CPK の上昇やミオグロビン尿に注意が必要 吸収 代謝経路から理解する相互作用と併用注意薬剤 食品肝細胞への取り込みにトランスポーターであるOATP1B1が関与する OATP1B1を介した取り込みが, シクロスポリンで阻害されるため, シクロスポリンとの併用時に本剤の血中濃度が増加するため, シクロスポリンとの併用は禁忌また, 腎機能異常患者においては, フィブラート系薬剤との併用により横紋筋融解症が発症しやすくなるため原則併用禁忌 ( 腎機能異常がない患者においては慎重投与 ) 同種同効薬差分解説 アトルバスタチン ( リピトール ) 適応症 : 小児への適応はない 併用注意薬 : 肝臓, 小腸でCYP3A4により代謝を受けるため,CYP3A4 阻害薬 ( シクロスポリン, エリスロマイシン, グレープフルーツジュース ) などとの併用時に本剤の血中濃度が増加する またCYP3A4 誘導薬 ( リファンピシンなど ) との併用時に本剤の血中濃度が低下する ロスバスタチン ( クレストール ) 相互作用 副作用 :CYP3A4およびP 糖蛋白の阻害薬との併用では薬物相互作用はない 比較的横紋筋融解症, ミオパチーの頻度が少ない HMG-CoA 還元酵素阻害薬は高コレステロール血症の患者の第一選択薬と解説して用いられる 特に効果の高いストロングスタチンと呼ばれるピタバスタチン, アトルバスタチン, ロスバスタチンなどは使用頻度が高い また虚血性心疾患における1 次予防,2 次予防のエビデンスも確立しており, 心筋梗塞や狭心症患者において頻用される薬剤である 虚血性心疾患などの患者に用いる場合には他薬剤と併用されることが多く, 薬物相互作用が問題となることがある この場合, 薬剤により薬物相互作用が異なるので注意が必要である 150

02 フィブラート系薬 同種同効薬 フェノフィブラート, ベザフィブラート 代表的薬剤 ペマフィブラート フィブラート系薬剤は脂質異常症のうち, 主に高中性脂肪血症の患者に使用さ特徴れている ペマフィブラート, フェノフィブラート, ベザフィブラートのいずれも高脂血症 ( 家族性高脂質血症 ) の適応を持つ ペマフィブラート, フェノフィブラートはスタチンに近いLDLコレステロール低下作用を有する 151 ペマフィブラート ( パルモディア ) 作用機序 : なぜ効くか? どこに効くか? 本剤は選択的 PPARαモジュレータであり, 核内転写因子 PPARαに結合後, PPARαの立体構造変化をもたらし, 標的遺伝子の発現を調節する これにより中性脂肪低下,HDLコレステロール増加などの作用を発揮する

吸収経路と吸収率 吸収経路 十二指腸が想定されている 代謝 排泄経路 代謝 肝臓で CYP2C8,CYP2C9 や CYP3A4 により代謝を受ける 排泄 約 15% が尿中排泄, 約 75% が糞中排泄 最高血中濃度到達時間 1.5 時間 半減期 2.0~2.4 時間 適応症と投与法 高脂血症 ( 家族性を含む ) 1 回 0.1mg を 1 日 2 回朝夕投与 最大投与量 0.4mg 作用機序から理解する副作用と禁忌重大な副作用として横紋筋融解症がある ( フィブラート系薬剤共通の副作用 ) 検査値ではCPKの上昇やミオグロビン尿に注意が必要腎障害がある患者では横紋筋融解症のリスクが高いため, 血清クレアチニ 152

ン値が 2.5mg/dL 以上の患者では投与禁忌となっている HMG-CoA 還元酵素阻害薬との併用で横紋筋融解症のリスクが上がるこ とが知られており, 腎機能障害を認める患者においては HMG-CoA 還元 酵素阻害薬との併用は原則禁忌である 吸収 代謝経路から理解する相互作用と併用注意薬剤 食品 本剤は主として CYP2C8,CYP2C9,CYP3A により代謝される また OATP1B1,OATP1B3 の基質薬である そのため OATP1B1,OATP1B3, CYP2C8,CYP2C9 および CYP3A の阻害作用を持つシクロスポリンの 併用,OATP1B1 および OATP1B3 の阻害作用を持つリファンピシンの 併用は禁忌となっている また, これら酵素を阻害する薬剤 ( クロピドグレル, クラリスロマイシン, フルコナゾールなど ) との併用で本剤の血中濃度が増加する CYP3A 誘導薬 ( カルバマゼピン, フェノバルビタール, フェニトイン, セント ジョーンズ ワート含有食品等 ) との併用で本剤の血中濃度が低下する 153 同種同効薬差分解説 フェノフィブラート ( リピディル ) フェノフィブラートは消化管および血中で活性代謝物フェノフィブリン酸 (FA) に代謝され効果を発揮する ( プロドラッグ ) 排泄は腎排泄 CYPを介した薬物相互作用はない ペマフィブラートと同等のLDLコレステロール低下作用 (17 ~29% の低下 ) を有する 1 日 1 回投与の薬剤である ベザフィブラート ( ベザトール SR) ペマフィブラート, フェノフィブラートと比較してLDLコレステロールの低下作用は12~21% と弱い フィブラート系薬剤は, 中性脂肪低下作用だけでなく, 核内受容体 PPAR 解説 α 活性化を介した, 脂質プロファイルへの好ましい影響を期待して投与されることも多い スタチンと比較してエビデンスは豊富とは言えないが, メタアナリシスにおいて冠動脈疾患の抑制効果なども示されている 1) 文献 1)Jun M, et al:lancet. 2010;375(9729): 1875-84.