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参考資料 日本語粗訳 このペーパーは IASB による公開会議での討論のために IFRS 財団のスタッフによって作られたものであり IASB または IASB のメンバー個人の見解を表していているものではありません IFRS の適用に関するコメントは それが受け入れ可能な見解であるか否かを定める目的で書かれたものではありません テクニカルな決定はすべて公開の場で行われ IASB Update で報告されます IASB の概念フレームワーク プロジェクトについての IASB は 2012 年 9 月に概念フレームワーク プロジェクトをどのように再開するかに関する決定をしました IASB がこのプロジェクトを通じて行うであろうことに関して していると思われる発言が時々見受けられます 次の表で そのようなのいくつかを紹介し これらのトピックに関して IASB が最近どのように取り組んだかに関して 若干の洞察を提供したいと思います IASB は貸借対照表だけに関心があり 財務業績は前年の貸借対照表と当年の貸借対照表との単なる差額であると考えている 財務諸表は 企業の財政状態 ( 企業の経済的資源と企業に対する請求権 ) と財務業績に関する情報を提供するものです さらに 企業の財務業績に関する合理的 に完全性のある情報を提供するためには 企業は 経済的資源と企業に対する請求権を識別し 測定しなければなりません したがって IASB は一種類の情報 ( 財政状態または財務業績に関しての ) を財務報告の主たる焦点に指定することはしていません ( 概念フレームワークに関する結論の根拠 BC 1.32 項 ) Page 1 of 14

言い換えると 概念フレームワークにおける収益と費用の定義は資産と負債の変動を参照してはいますが このことは IASB が財政状態計算書を他の計算書よりも重視していることを意味しません これらの計算書は相互に補完的な関係にあります 例えば 財務業績の情報は 時には 財政状態計算書で捕捉されない活動 ( 例えば 一部の無形固定資産や市場での競争優位など ) から企業がどのように便益を得ているのかを表現します 最近の IAS 第 1 号の変更からも IASB が包括利益 ( すなわち 純損益とその他の包括利益の合計 ) を唯一の ( またはに主要な ) 業績の測定値と考えているわけではないことが分かります 概念フレームワークの表示の章で IASB は 財務業績のさまざまな内訳項目を最も適切に表示できる方法を検討します 財務諸表利用者が企業のキャッシュフローの金額 時期および不確実性を評価するのに役立つようにするためです 概念フレームワーク IASB の概念フレームワークについての Page 2 of 14

IASB は 伝統的な損益計算書を その 他の包括利益 (OCI) と合併させること により廃止しようとしている 明らかに IASB は 種類の異なる利得 と損失の分類や報告をなぜ異なる方法で 行うべきなのかを明確にする必要があり ます これは 業績を報告する方法を最終的に変更することになる可能性があります しかし IASB には 業績の測定値としての純損益を廃止するという計画はありません 最近の公開草案やディスカッションペーパーへの回答者の多くは IASB が次のことを検討するよう要望しています OCI を独立の区分として残すべきかどうか OCI を損益計算書とは別の計算書で表示すべきかどうか OCI を純損益とどのように区別すべきか 最初に OCI に表示された項目の一部または全部を事後に純損益としてリサイクルすべきか それともどの項目もリサイクルすべきでないのか IASB では これらの論点について未だ検討していませんが このプロジェクトで検討する予定です 概念フレームワーク IASB の概念フレームワークについての Page 3 of 14

IASB はヘッジ会計を廃止しようとして いる IFRS 第 9 号 金融商品 の開発における 最近の議論でも示されたとおり IASB は ヘッジ会計により企業が自らの財政状態と業績を忠実に報告できるようになると考えています IASB では 次のことを計画しています 2012 年末までに IFRS 第 9 号にヘッジ会計に関する改訂後の要求事項を加える 2013 年にマクロヘッジの会計処理に関するディスカッションパーパーを公表する IASB は 経済実態を反映しない変動を 作り出そうとしている IASB は その変動が 財務諸表利用者 が企業のビジネスを理解しようとする場 合に理解する必要のある経済的影響を忠実に反映するものなのであれば 変動を隠したり人為的に平準化したりすることは適切ではないと考えています 変動が現実のものである場合には 会計はその現実を反映し その影響を明確に表示すべきです IASB は 財務諸表利用者が次のことを容易に理解できるように 変動の影響をどのように表示するのが最善なのかを検討する予定です 企業のビジネスのどの面が 変動の 概念フレームワーク IASB の概念フレームワークについての Page 4 of 14

原因となったり 変動に晒されたりしているのか 企業の財務業績のさまざまな内訳項目が 企業のキャッシュフローの金額 時期および不確実性の評価にどのように関連性を持ち得るのか IASB は取引の報告には関心がない 現在の財務報告の多くが取引を基礎とし ており 今後もそうです 取引に関する情報は 財務諸表利用者にとって目的適合性のある情報です IASB は 例えば次のような金額を識別するために 収益と費用をどのように表示 開示するのが最善なのかを検討する予定です 取引により生じた金額 その他の事象により生じた金額 価値の変動 概念フレームワーク IASB の概念フレームワークについての Page 5 of 14

IASB は 次のことにより慎重性の原則を放棄している 将来の現金流出の可能性が高いが 技術的には負債の定義を満たさない場合に 企業が負債を認識することを禁止している 企業が未実現利益を計上することを認めている 質的特性には 慎重性または保守主義の原則を含めていません 中立性と矛盾することになるからです ある期間で資産の過小表示又は負債の過大表示を行うと 多くの場合 その後の期間での財務業績の過大表示につながります これは慎重であるとも中立的であるとも表現できない結果です (BC3.27-29) IASB は 慎重性を基礎的概念としては削除しまし た この概念の解釈の方法や それが過大な引当金の計上や秘密準備金の正当化に利用されることに懸念があったからです それでもやはり IASB は 利得と損失を報告するのは 報告された金額がその期間に発生した事象を忠実に表現すると確信が持てる場合だけとするように 会計基準の書き方に引き続き注意を払います IASB は すべての負債を 企業が自己の債務を支払えなくなること ( 自己の信用 の影響 ) を示唆する方法で測定したいと考えている ( たとえその可能性が非常に低い場合であっても ) 自己の信用 は 負債の公正価値の測定値だけでなく 償却原価にも含まれている要素です それを認識しても 企業が債務不履行に陥ると示唆することにはなりません しかし 自己の信用の変動 が業績に与える影響は注意深く検討する 必要があります (IASB がこれを意識 していることは IFRS 第 9 号でのこれら 概念フレームワーク IASB の概念フレームワークについての Page 6 of 14

の変動の取扱いにも表れています ) 最近の基準であるIFRS 第 9 号では ほとんどの非デリバティブ金融負債は償却原価 つまり 自己の信用の変動を反映しない金額で測定されます 1 IASB は 資産を負債と不整合な方法で 測定した場合に生じる会計上のミスマッ チを気にしていない IASB は 概念フレームワーク プロジ ェクトでは 単一の測定属性をすべての 資産と負債に適用すべきだという結論に はならないと予想しています 会計上のミスマッチが時には生じる可能性がありますが 金融商品プロジェクトや保険契約プロジェクトで採用したアプローチにも表れているように IASB は そのようなミスマッチに対処することが重要と考えています 1 自己の信用は当初認識時の償却原価に反映されるが 自己の信用のその後の変動は償却原価に影響を与えない 概念フレームワーク IASB の概念フレームワークについての Page 7 of 14

IASB は 次のことにより 実質よりも形式を優先している IASB の資産および負債の技術的な定義を満たす項目だけを貸借対照表に計上する 資産および負債の技術的な定義を満たすすべての項目を会計処理する 資産と負債の定義は 資源と義務を参照しています これらの定義は単なる技術的なものではありません 資源と義務は マッチングのプロセスによる単なる未解消の残額である会計上の仕訳とは本質的に異なります 企業の資源と義務を体系化に要約したも のは マッチングのプロセスによる未解 財務諸表利用者には : IASB の資産および負債に関する技術的な定義に基づく貸借対照表は理解されない 2つの貸借対照表の増減のみに基づく損益計算書は理解されない 消の残額の記載よりも 財務諸表利用者に企業の財政状態に関する目的適合性の高い情報を提供します IASB は 財務諸表利用者に目的適合性のある情報を提供するために 収益と費用の最善の表示方法 および適切な場合にはその分解の方法を検討します IASB は 企業が 購入契約や販売契 約 先渡契約など すべての 未履行契 約 を会計処理したいと考えている さまざまな基準書およびプロジェクトに おいて IABS は通常 現行の実務を維 持しており 少なくとも一方の契約当事 者が契約に基づく履行を開始するまで 未履行契約の会計処理はしません ( ただし 契約が不利になった場合は例外となります ) IASB ではこの結論を変更する計画はありません IASB は公正価値ですべてを測定しよう としている IASB は すべての資産および負債を公 正価値で測定するよう企業に求めること 概念フレームワーク IASB の概念フレームワークについての Page 8 of 14

は意図していません このプロジェクトでも他でも 過去の議論の中で IASB のメンバーは すべての資産および負債について単一の測定属性が適切とは考えていないことを明確にしてきました 概念フレームワークの測定の章は 開発されれば 特定のプロジェクトで特定の項目にどの測定属性を選択すべきかを決定する際のガイダンスを提供するものとなるはずです IASB は 企業が財政状態計算書で事業 全体の価値を示すことを望んでいる これは事実でないばかりでなく 何ら単 独での意味を持たない調整金額を加えな い限り実務的に不可能です 2010 年公表の概念フレームワークの OB7 項は 一般目的財務報告書は 報告企業の価値を示すようには設計されていないが 現在の及び潜在的な投資者 融資者及び他の債権者が報告企業の価値を見積るのに役立つ情報を提供する と述べています 概念フレームワーク IASB の概念フレームワークについての Page 9 of 14

IASB は 企業のビジネスモデルと矛盾 する会計処理を望んでいる ビジネスモデルは IASB の会計基準の いくつかの局面で重要な役割を果たして います 例えば 棚卸資産と有形固定資産との長年にわたり行われている区別 金融資産の分類の要求事項 ( これについて IASB はビジネスモデルが引き続き中心となることを再確認した ) 概念フレームワークを開発するにあたって IASB はビジネスモデルがどのような役割を果たすべきかを正確に決定する必要があります IASB は すべての資産を解散価値で測定したいと考えている ( たとえ 企業がそのような価額での資産の売却を望んでおらず その必要もない場合でも ) 前述のとおり IASB には すべての資産について単一の測定属性の使用を求める計画はありません IASB は に一部の資産について公 正価値での測定を求めています しかし 公正価値は解散価値を反映するものではありません 例えば 生産プロセスで使用される資産の場合 公正価値は通常 廃品価値での売却だけを反映するものではなく むしろ 営業活動での使用を考慮した後の価値を反映する可能性の方が高いと言えます 概念フレームワーク IASB の概念フレームワークについての Page 10 of 14

IASB は 複雑すぎる会計を作り出そう としている IASB は 単純なアプローチが財務諸表 利用者の必要とする情報を提供する場合 には そのアプローチを採用します 2010 年公表の概念フレームワークでは次のように述べています 情報を分類し 特徴付けし 明瞭かつ簡潔に表示することにより 情報が理解可能となる (QC30) 現象の中には 本質的に複雑で理解が容易にはならないものもある そうした現象に関する情報を財務報告書から除外すれば それらの財務報告書の情報は理解しやすくなるかもしれない しかし そうした報告は 不完全となり したがってを招くものとなる可能性がある (QC31) 財務報告書は 事業及び経済活動についての合理的な知識を有し 情報を入念に検討し分析する利用者のために作成される 時には 十分な情報を持った勤勉な利用者であっても 複雑な経済現象に関する情報を理解するために助言者の支援を求める必要のある場合もある (QC32) 概念フレームワーク IASB の概念フレームワークについての Page 11 of 14

IASB は 費用対効果のテストに合格し ない会計を作り出そうとしている IASB は 費用対効果の評価を非常に真 剣に考えています 2010 年公表の概念フ レームワークの QC35 項から QC38 項では IASB は 特定の情報を報告することによる便益によって その情報を提供し利用することから生じるコストを正当化する必要があると述べています IASB は 自らの提案で生じる可能性の高い影響にますます注意を払っています IASB は その影響に関する理解を 提案の正式な公開や 実地調査 分析 アウトリーチを通じて得ています IASB は 期待値 ( 確率加重平均 ) をす べてのものに使用したいと考えている 期待値は 経済的影響の測定と表示のた めの貴重なツールとなり得る場合があり ます IASB は 2011 年 2 月に 生じ得る金額に幅のあるキャッシュフローを用いて資産または負債を測定する場合に どのようなアプローチを採用すべきかを検討したスタッフペーパーを議論しました このペーパーは 以下のアプローチを検討し それぞれの方法がどのような場合により適切となる可能性が高いのかを論じたものでした 期待値 発生する可能性の方が高い最大値 概念フレームワーク IASB の概念フレームワークについての Page 12 of 14

最も発生の可能性の高い結果 生じ得る結果の範囲の最小値または最大値 生じ得る結果の範囲の中央値 生じ得る結果の範囲の中で期待値に最も近い値このパーパーは すべての状況に単一のアプローチを推奨したものではありませんでした IASB は 企業およびその資源に関する 経営者の受託責任の評価に関しての財務 諸表の重要な役割を無視している 2010 年公表の概念フレームワークの OB4 項では 財務諸表利用者が必要としてい る情報は 単に企業の資源や企業に対す る請求権に関するものだけではなく 企業の経営者や統治機関が企業の資源を利用する責任をどれだけ効率的かつ効果的に果たしたのか に関する情報も含まれると述べています IASB は 将来キャッシュフローの見通しの評価と 経営者の受託責任の質の評価のいずれか一方が他方よりも重要だと示唆する意図はありません 両者とも 企業への資源の提供に関する意思決定をする際に重要です また 受託責任に関する情報も 経営者の活動に対する投票権または他の形で影響力を有する資源提供者にとって重要です (BC1.27 項 ) 概念フレームワーク IASB の概念フレームワークについての Page 13 of 14

会計基準を開発する際に IASB は 利用者への有用な情報の提供よりも むしろ抽象的で理論的な概念フレームワークへの準拠に固執する 概念フレームワークは それ自体が最終目標なのではなく 目的のための手段であり その目的とは 利用者に経済的意思決定のための有用な情報を与える ( 便 益を超えないコストで ) ことです IASB は この目的を念頭に置いて概念フレームワークの開発を続けます 稀な場合において IASB が概念フレームワークと矛盾する IFRS を公表することもあり得ます それは 概念フレームワークからの離脱が必要だと IASB が判断した場合であり 関係者にとって 企業への資源の提供に関する意思決定のために有用な 報告企業に関する財務情報を IFRS が作り出すのに必要だという判断によります その関係者とは 既存の投資者および潜在的な投資者 融資者その他の債権者です そのような場合には IASB は離脱の事実とその理由を 当該 IFRS に関する結論の根拠に記載するものとしています 概念フレームワーク IASB の概念フレームワークについての Page 14 of 14