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目次 調査結果の概要 1 小企業編 中小企業編 概況 3 概況 15 調査の実施要領 4 調査の実施要領 16 業況判断 5 業況判断 17 売上 1 売上 2 採算 11 利益 21 資金繰り 借入 12 価格 金融関連 22 経営上の問題点 13 雇用 設備 23 設備投資 価格動向 14 経営

人手不足に対する企業の動向調査

第 3 節食料消費の動向と食育の推進 表 食料消費支出の対前年実質増減率の推移 平成 17 (2005) 年 18 (2006) 19 (2007) 20 (2008) 21 (2009) 22 (2010) 23 (2011) 24 (2012) 食料

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製造業3. 東北の産業構造 ( 製造業 ) (1) 製造業 1 概況 製造品出荷額等は 16 兆 7,600 億円で前年比 6.2% の増加 平成 26 年の東北地域の製造品出荷額等は 16 兆 7,600 億円で前年比 6.2% と3 年連続の増加となった また 全国に占める割合は5.5% と前年

第 70 回経営 経済動向調査 公益社団法人関西経済連合会 大阪商工会議所 < 目次 > 1. 国内景気 2 2. 自社業況総合判断 3 3. 自社業況個別判断 4 4. 現在の製 商品およびサービスの販売価格について 8 参考 (BSI 値の推移 ) 11 参考 ( 国内景気判断と自社業況判断の推

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1. 自社の業況判断 DI 6 四半期ぶりに大幅下落 1 全体の動向 ( 図 1-1) 現在 (14 年 4-6 月期 ) の業況判断 DI( かなり良い やや良い と回答した企業の割合から かなり悪い やや悪い と回答した企業の割合を引いた値 ) は前回 ( 月期 ) の +19 から 28 ポイ

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景気動向調査平成 3 年 1~12 月期実績 平成 31 年 1~3 月期予想 概況 業況 DI は改善 来期は悪化するもプラスを維持する見込み 今期の全業種総合業況判断 DIは 前期比 2.5 ポイント上昇の 9. と改善した 製造業は前期比 1.5 ポイント上昇の 14. 非製造業は同 2.9

平成 22 年度エネルギー消費統計結果概要 経済産業省資源エネルギー庁平成 24 年 4 月 エネルギー種別に見ると 最終エネルギー消費総量の 37.5% が燃料 54.8% が電力 7.4% が熱となっています 調査の対象となった非製造業 製造業 ( 石油等消費動態統計対象事業所を除く ) 業務部

2 / 5 エルニーニョ現象とは 南米沖から日付変更線付近にかけての太平洋赤道海域で 海面水温が平年より1~5 度高くなる状況が1 年から1 年半続く現象である エルニーニョ現象が発生すると 地球全体の大気の流れが変わり 世界的に異常気象になる傾向がある 近年では 2015 夏から 2016 年春に


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滋賀県内企業動向調査 21 年 1- 月期定例項目結果 1. 自社の業況判断 (1) 自社の業況判断 DI は 四半期連続のプラス水準を維持も は 四半期ぶりにマイナス水準に低下 1. の動向 ( 図 1-1) 今回の調査 (1 年 1- 月期 ) での自社の業況判断 DI は前回 (-9 月期 )

波及効果の具体的計算方法 直接効果の推計 1 ( 需要増加額の推計 ) 合計額 ( 単位 : 百万円 ) 開催運営費 10.0 来場者支出額 90.0 飲食費 0.6 交通輸送費 3.0 広報関連経費 1.5 施設 機器レンタル料 1.0 アルバイト人件費 1.6 警備料 2.3 宿泊費

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29 歳以下 3~39 歳 4~49 歳 5~59 歳 6~69 歳 7 歳以上 2 万円未満 2 万円以 22 年度 23 年度 24 年度 25 年度 26 年度 27 年度 28 年度 29 年度 21 年度 211 年度 212 年度 213 年度 214 年度 215 年度 216 年度

ニュースリリース 中小企業の雇用 賃金に関する調査結果 ( 全国中小企業動向調査 2013 年 月期特別調査 ) 年 4 月 8 日株式会社日本政策金融公庫総合研究所 3 割の企業で正社員は増加 3 社に 1 社で給与水準は上昇 従業員数 2013 年 12 月において

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第3章 総務省統計局が提供する地域メッシュ統計の編成項目_2 経済センサス

1. 電子マネー 1 の保有状況等の推移二人以上の世帯について 電子マネーを持っている世帯員がいる世帯の割合をみると 電子マネーの調査を開始した平成 2 年以降 毎年上昇しています また 電子マネーを利用した世帯員がいる世帯の割合も上昇しており 平成 2 年には約 2 割でしたが 23 年には3 割

平成 28 年度エネルギー消費統計における製造業 ( 石油等消費動態統計対象事業所を除く ) のエネルギー消費量を部門別にみると 製造部門で消費されるエネルギーは 1,234PJ ( 構成比 90.7%) で 残りの 127PJ( 構成比 9.3%) は管理部門で消費されています 平成 28 年度エ

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< 業種別 > 2 製造業主要判断 の推移 製造業 29/ /3 見込 /6 予想 < 製造業 > 当期 は 8.0( 前期比 -1.7) 当期 は 9.1( 同 -8.9) 当期 は 5

の差については確認できないが 一般的に定温で流通している弁当の管理方法等についてアンケートにより調査した その結果 大部分の事業者が管理温度の設定理由として JAS 規格と同様に食味等の品質の低下及び微生物の繁殖を抑えることを挙げ 許容差は JAS 規格と同様に ±2 としていた また 温度の測定方

景気見通し調査 ( 平成 25 年 3 月期 ) 調査結果 福井商工会議所 中小企業総合支援センター 調査の概要 当調査は 福井商工会議所管内の小規模事業所の短期的な景気動向を把握するため 毎年 3 月 6 月 9 月 12 月の年 4 回実施している 調査時期 平成 25 年 3 月 13 日 (

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I. 調査結果概況 景気判断 DI( 現状判断 ) は小幅に上昇し最高値を更新 仕入原価高止まりも客単価が上昇 10 月スーパーマーケット中核店舗における景気判断 49.1 と小幅に上昇し 2010 年 4 月の調査開始以降最高値を記録した 経営動向調査によると売上高 DI が 1.1 とはじめてプ

1. 総論 総括判断 都内経済は 回復している 項目前回 ( 1 月判断 ) 今回 (3 年 1 月判断 ) 前回比較 総括判断回復している 回復している ( 注 )3 年 1 月判断は 前回 1 月判断以降 1 月に入ってからの足下の状況までを含めた期間で判断している ( 判断の要点 ) 個人消費

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一企業当たりの事業所数は 14. 事業所 ( 前年度差.6 事業所減 ) 常時従業者数 499 人 ( 前年度比.8% 減 ) 売上高は 23.4 億円 ( 同 2.9% 減 ) 製造企業の一企業当たりの売上高は 億円 ( 前年度比 3.9% 減 ) 営業利益は 1 億円 ( 同.6%

商業販売額の動向 平成 27 年 6 月の商業販売額は38 兆 4360 億円 前年同月比 0.9% の増加となった これを卸売業 小売業別にみると 卸売業は26 兆 9790 億円 同 0.9% の増加となった 小売業は11 兆 4570 億円 同 0.9% の増加となった なお 商業販売額の季節

~ 売上額減少に伴い 収益も低下 ~ 収益面では 売上額判断 D.I. が 6.3( 前回 7.8) と 1.5 ポイント低下 収益判断 D.I. は 1.9( 前回 1.6) と 3.5 ポイント低下する結果となりました 来期の予想収益判断 D.I. は 27.8 と大幅な低下の見通しとなっていま

トピックス

3-3. 個別分析の結果 (1) 産業活動と純流動量の量的変化の状況 1) 産業業種別出荷量の推移全国貨物純流動調査における年間出荷量は 90 年調査 (89 年実績 : 3,610 百万トン ) から 95 年調査 (94 年実績 :3,556 百万トン ) にかけて バブル経済の崩壊などにより個

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Transcription:

東京支社情報部東京都新宿区本塩町 22-8 TEL:03-5919-9342 URL:http://www.tdb.co.jp/ 東京の日照不足 家計消費支出が約 1.2% 減少と試算 ~ 経済波及効果はマイナス 407 億円 中部や近畿 東北などにも影響 ~ はじめに 2017 年 8 月 1 日から 21 日まで 東京都では 21 日連続の降雨を記録 8 月の月間合計日照時間は 83.7 時間 日照率 20% と 統計開始の 1890 年以来 いずれも最低を記録した 今年は 7 月までの気温が高かったことから 7~8 月 2 カ月間の平均気温は概ね例年どおり (2015 年 26.5 2016 年 26.3 2017 年 26.9 ) だったが 長雨 日照不足が企業に与えるマイナス動向が表面化している そこで帝国データバンクでは 日照時間の減少が家計消費支出に与える影響および経済波及効果について分析した また 過去の天候不順による倒産事例 (2013 年 ~2017 年 8 月 ) を調査した 調査結果 ( 要旨 ) 東京における 2017 年 8 月の日照不足により 東京の家計消費支出は約 189 億 2900 万円 平年と比較して 1.2% 減少すると試算される 飲料やアイスクリームなどの飲食料 住宅設備修繕 宿泊料 理美容サービス 用品の減少が目立つ 日照不足による経済波及効果は 全国でマイナス約 406 億 9900 万円と試算 産業別では 対個人サービス が最も高く 商業 が続く 地域別では 関東 が全体の 86.5% を占めるものの 近畿 や 中部 東北 など全国にマイナス効果が波及 2013 年 1 月 ~2017 年 8 月の 天候不順 を要因として倒産に至った企業は 98 社判明 業種別では 卸売業 が構成比 41.8% を占め 細分類別では 野菜卸売業 が最多 1

1. 東京の家計消費支出 日照不足で約 1.2% 減少と試算 気象庁によると 2017 年 8 月の日照時間は合計 83.7 時間で 平年値 (1981 年から 2010 年の 30 年平均値 ) より 85.3 時間少なかった 8 月の日照不足は 農作物への生育状況とともに 夏物商材の販売や屋外レジャーなどにも影響する そこで 帝国データバンクは 2017 年 8 月の日照不足が家計消費支出に与える影響を試算した 1 その結果 日照時間が平年通りだった場合と比較すると 東京の家計消費支出は約 189 億 2900 万円減少した可能性があることが分かった 帝国データバンクが推計した昨年 8 月の東京都の家計消費支出は約 1 兆 5700 億円だったことから 今夏の長雨による日照不足で家計消費支出は約 1.2% 減少した可能性がある 2 支出項目別にみると 食料 は 米価の上昇や豆腐や納豆の購入機会増などの影響で増加した項目もあるが 夏の日照時間や気温などの影響を受けたアイスクリームが約 14 億 3300 万円減少したほか 飲料は約 22 億 4900 万円減少したことで 約 12 億 4700 万円の減少となった 住居 は 屋外での日曜大工などに関連する設備修繕 維持への支出が約 90 億 1500 万円減少したと見込まれる また 宿泊料を含む 教養娯楽 が約 43 億 4400 万円 理美容サービス 用品などへの支出が約 43 億 2300 万円減少したとみられる 家計消費支出への影響 支出項目 支出増減額 備考 食料 -1,247 飲料 -2,249 アイスクリーム -1,433 シャーベット 氷菓を含む その他 2,435 米 大豆加工品など 住居 -9,015 DIY 用品など 教養娯楽 -4,344 宿泊料など その他合計 -4,323 理美容サービス 理美容用品など -18,929 1 2017 年 8 月の東京における日照不足による家計消費支出および経済波及効果の試算は 以下の統計資料等を用いて算出した 家計調査 国勢調査 ( いずれも総務省 ) 地点気象データ ( 気象庁 ) 日本の世帯数の将来推計 ( 国立社会保障 人口問題研究所 ) 地域間産業連関表 ( 経済産業省 ) 2 本調査における家計消費支出への影響は 東京都内に居住している世帯による支出額への影響を対象に試算している 2

2. 東京の日照時間減少による影響 8 月は全国でマイナス約 407 億円と試算 8 月の東京の家計消費支出減少による経済波及効果を試算したところ 全国でマイナス約 406 億 9900 万円となった これを産業別にみると 対個人サービス が約 94 億 8800 万円で最も大きなマイナスの影響を受けるとみられる 以下 商業 の約 64 億 6600 万円 飲食料品製造 の約 36 億 3400 万円 金属製品製造 の約 30 億 7500 万円 金融 保険 不動産 の約 30 億 4700 万円とマイナスが続いた 個人が長雨により外出を控えることで 関連するサービスや商品への売上減少による影響が表れる結果となった また 気温の低下も重なり 清涼飲料や酒類などを含めて飲料製造に影響した 地域別に波及効果をみると 関東 が約 351 億 9600 万円のマイナス効果となり 全体の 86.5% を占めた 以下 近畿 が約 13 億 3800 万円 中部 が約 11 億 9700 万円 東北 が約 9 億 3200 万円 中国 が約 6 億 5800 万円と続いた 主に 近畿 と 中部 は商業への影響が大きく 東北 は飲食料品製造 中国 は鉄鋼製品製造にマイナス効果が波及する 大消費地となる東京の日照時間の減少は 家計消費支出の抑制を通じて全国にマイナス効果が波及するとみられる 経済波及効果 ( 産業別 ) 産業 金額 飲食料品製造 -3,634 窯業 土石製品製造 -1,910 鉄鋼製品 -1,405 非鉄金属製品 -1,451 金属製品製造 -3,075 商業 -6,466 金融 保険 不動産 -3,047 運輸 -1,445 情報通信 -1,290 対事業所サービス -2,343 対個人サービス -9,488 その他 -5,144 合計 -40,699 経済波及効果 ( 地域別 ) 地域 金額 北海道 -477 東北 -932 関東 -35,196 中部 -1,197 近畿 -1,338 中国 -658 四国 -270 九州 沖縄 -630 合計 -40,699 3

まとめ東京都では今年 8 月に 21 日連続の降雨を記録 8 月 1 カ月間の日照時間は統計開始の 1890 年以来最低の 83.7 時間 日照率も最低の 20% と今年は 日照不足の 8 月 となった 本調査では 東京の日照時間の減少による家計消費支出への影響 および経済波及効果を分析した 日照時間の減少により東京の家計消費支出は飲料や住宅設備修繕などを中心に約 189 億円減少したとみられる これは 東京都に居住する家計の消費支出額が約 1.2% 減少したことに相当する また 家計消費支出減少による影響は 全国へと波及し その効果はマイナス約 407 億円になると試算される マイナスの影響は関東がおよそ 86.5% を占めるものの 近畿 や 中部 東北 など全国に及ぶことが明らかとなった 今年の東日本の長雨 日照不足が今後企業にどのような影響をもたらすか 気象リスク で倒産した企業など 過去の事例を踏まえながら 長期的に注視する必要があるだろう TDB 景気動向調査 2017 年 8 月調査 TDB 取材より企業のコメント 顧客企業の業績は堅調であるが 個人消費の回復に時間を要している 夏の の影響もあり 国内貨物の出荷数量は増加の兆しがない ( 運輸 倉庫 ) 天候がはっきりとしないので外食の景気は今一つ 外国人の訪日客は多いものの 高い外食は敬遠されている ( 外食産業 ) この夏の温度不 による農作物価格の 騰 込みが 来年までの価格政策に影響が出そう 品不 となる可能性も考えられ 調達を含めて 直しを求められている ( 飲 料品卸 ) 夏休み時期の天候不順で売れ きが芳しくなかった ( 飲 料品卸 ) ファッションビルは 8 月も夏モノが動くので 影響が出た可能性が高い ( 料品 売り ) 既に企画生産したものに関しては卸すだけなので 商社への影響は出ない 冷夏で抱える在庫が増えれば 来年の春夏シーズンの受注への影響が心配 ( 料品卸 ) 台風が続き 花の価格が高騰 仕入れを 送った商品があった ( 花小売り ) 夏物アパレル ( 特に T シャツ ) は好調だった ( スポーツ用品製造 ) 内容に関する問い合わせ先 株式会社帝国データバンク ( 経済波及効果分析 ) 本社産業調査部担当 : 窪田剛士 TEL 03-5775-3163 e-mail keiki@mail.tdb.co.jp ( 倒産事例 その他 ) しも 東京支社情報部担当 : 下 麻奈美 TEL 03-5919-9342 e-mail manami.shimo@mail.tdb.co.jp 当レポートの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します 当レポートはプレスリリース用資料として作成しております 報道目的以外の利用につきましては 著作権法の範囲内でご利用いただき 私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます 4

< 参考 1> 天候不順で倒産した企業は 98 社 天候不順 ( 長雨 豪雨 大雪 冷夏 暖冬 台風 高温 低温 日照不足 雨不足など ) の影響で倒産に至った企業は 2013 年 1 月以降で 98 件あった 98 社を業種別に見ると 卸売業 が 41 件と全体の 41.8% を占めた 以下 サービス業 が 17 件 ( 構成比 17.3%) 小売業 が 10 件 (10.2%) となった 更に業種細分類別に見ると 最も多かったのが天候が野菜の収穫高に直結する 野菜卸売業 の 14 件となった 業種別件数構成比 業種細分類別 (3 社以上 ) 建設業 8 8.2% 野菜卸売業 14 製造業 8 8.2% 土木工事業 ( 造園工事業除く ) 5 卸売業 41 41.8% 生鮮魚介卸売業 4 小売業 10 10.2% 旅館 4 運輸 通信業 3 3.1% ゴルフ場 4 サービス業 17 17.3% その他の衣服 身の回り品卸売業 3 不動産業 2 2.0% 肥料 飼料卸売業 3 その他 9 9.2% その他の卸売業 3 計 98 100.0% 計 98 件数 < 参考 2> 天候不順で倒産した主な企業 天候異変による農産物の被害で貨物扱い量が減少 沖縄通関社( 株 )( 那覇市 ) 2014 年 1 月破産開始決定 負債約 4 億 4100 万円 1955 年 ( 昭和 30 年 )6 月創業 68 年 ( 昭和 43 年 )12 月に法人改組した航空貨物運送業者 キャリーバードの航空便 の名称で小口貨物を主体に扱い 農産物や鮮魚などの配送を行い 2002 年 3 月期の年収入高は約 13 億 1300 万円を計上していたが 近年の天候異変による農産物の被害等により扱い量が減少していた 大雨で野菜生産に影響 ( 有 ) 井上物産 ( 北海道芽室町 ) 2015 年 1 月破産開始決定 負債約 2 億 2300 万円 2002 年 ( 平成 14 年 )10 月に設立した野菜卸業者 大根 ゴボウなど十勝管内の野菜を中心に扱い 全国の市場 商社 野菜卸売業者 食品製造業者などを販路として 2012 年 7 月期には年売上高約 6 億 360 万円を計上していたが 関係会社が手がけていた大根生産が 2014 年夏季の大雨被害によって支障を来し グループ全体の資金繰りが悪化した 季節食品の販売不振が容器メーカーにも波及 讃岐シープ化成( 株 )( 香川県丸亀市 ) 2015 年 8 月破産開始決定 負債約 5 億 5000 万円 1948 年 ( 昭和 23 年 ) 創業 58 年 ( 昭和 33 年 )10 月に法人改組した食品用容器メーカー スーパーや弁当業者で使用する合成樹脂製の容器を製造し 2002 年 12 月期には年売上高約 10 億円を計上していたが 外食産業の不振や天候不順による季節商品の販売不振から売り上げが低迷した 5