大阪府環境農林水産総合研究所研究報告第5号

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武蔵 狭山台工業団地周辺大気 環境調査結果について 埼玉県環境科学国際センター 化学物質担当 1

変異原性発がん性の情報付け チオ尿素 トン超 ~100 トン以下 ヘキサメチレン = ジイソシアネート トン超 ~100 トン以下

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135 報告 石油系混合溶剤の成分組成調査 星純也上野広行飯村文成 * 天野冴子 ** (* 現 東京都多摩環境事務所 ** 現 東京都環境局環境改善部 ) 1 はじめに大気中の VOC は光化学オキシダントや浮遊粒子状物質の生成に関与することが知られており 平成 18 年 4 月からは排出規制も含

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日本の生産拠点の PRTR 総量の推移 日本の生産拠点の PRTR 量の推移 ( 拠点別 ) 外(t) (t) 年度 年度 メチルナフタレン A.000 C

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内容 1 都内の大気環境 2 VOC 対策の取組 3 VOC 対策の課題 2

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大気汚染防止法の概要について 熊本県環境保全課

平成 2 9 年度 大気汚染物質の常時監視測定結果について 平成 3 0 年 8 月 3 日埼玉県環境部大気環境課 (1) 測定結果の概要ア大気汚染常時監視体制県 大気汚染防止法の定める政令市 ( さいたま市 川越市 川口市 所沢市 越谷市 ) 及びその他の2 市 ( 草加市 戸田市 ) では 大気

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別添 2 届出排出量 移動量の経年変化の概要について 化学物質排出把握管理促進法に基づき事業者から届け出のあった平成 21 年度の排出量及び移動量の集計結果について 前年度までの集計結果 と比較した結果は以下のとおりです なお 平成 13,14 年度届出分については 届出事業所の対象化学物質の取扱量

3.届出排出量・移動量の経年変化の概要について

練馬清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

北清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7 4

廃棄物再生利用における環境影響評価について

品川清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

渋谷清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 不燃物 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰 ( 含有試験 ) 6 4 周辺大気環境調査結果 7 5 試料採取日一覧 8 (

様式処 3 号 最終処分場水質検査の記録 最終処分場名 : 船見処分場 測定対象 : 放流水 試料採取場所 : 放流水槽 試料採取年月日 H H H H H 測定結果の得られた年月日 H H H30.6.6

練馬清掃工場 平成 29 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

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様式処 3 号 最終処分場水質検査の記録 最終処分場名 : 守山南部処分場 測定対象 : 放流水 試料採取場所 : 調整槽放流水試料採取口 試料採取年月日 H H H H H H 測定結果の得られた年月日 H30.5.7

第 2 編 地下水の水質測定結果

中央清掃工場 平成 29 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

2016 年度分 水 道 名美唄市水道課 浄水場名 浄水方法急速ろ過検査機関名 原水水質 桂沢水道企業団 美唄浄水場 水源名石狩川水系美唄ダム水源種別表流水 ( ダム直接 ) 番 号 項目名基準値最高値最小値平均値測定回数 [ 基準項目 ] 1 一般細菌 100/ml 以下

6 発生源の状況大気汚染物質の発生源は 工場 事業場の固定発生源と自動車 船舶等の移動発生源の二つに大別される 本県の固定発生源は東京湾に面する浦安市から富津市に至る臨海工業地帯とその周辺に 移動発生源は東葛 葛南 千葉地域に集中している 6-1 固定発生源 (1) 発生源の状況と対応千葉市から富津

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足立清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

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参考資料 3 平成 13 年 7 月 24 日 シックハウス ( 室内空気汚染 ) 問題に関する検討会 中間報告書 - 第 6 回 ~ 第 7 回のまとめについて 平成 13 年 7 月 5 日 第 7 回シックハウス ( 室内空気汚染 ) 問題に関する検討会 ( 座長 : 林裕造元国立医薬品食品衛

別表第 1 大気の汚染に係る環境上の基準 物質基準値対象地域 二酸化硫黄 1 時間値の1 日平均値が0.04pp m 以下であり かつ 1 時間値が0.1ppm 以下であること 一酸化炭素浮遊粒子状物質二酸化窒素光化学オキシダント 1 時間値の1 日平均値が10ppm 以下であり かつ 1 時間値の

有明清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

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埋立てた一般廃棄物の種類及び数量の記録 ( 平成 30 年度 ) 最終処分場名 : 第二処分場 単位 : トン 種 類 数量 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 搬入量一般廃棄物焼却灰 1, , , 合計

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8.特集「大気汚染の現状と課題」

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環境調査(水系)対象物質の分析法

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(板橋区) 第31~34号様式

世田谷清掃工場 平成 27 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 不燃物 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) スラグ ( ガス化溶融 )( 含

平成 30 年度環境測定分析統一精度管理調査の参加申込要領 ( 民間 大学 独立行政法人等 ) 1. 調査試料区分共通試料 1 共通試料 2 共通試料 3 名称 模擬排水試料 ( 一般項目分析用 ) 模擬大気試料 ( 有害大気汚染物質分析用 ) 底質試料 (PCB 分析用 ) 容器 ( 内容量 )

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地下水の水質及び水位地下水の水質及び水位について 工事の実施による影響 ( 工事の実施に伴う地下水位の変化 地下水位流動方向に対する影響 並びに土地の造成工事による降雨時の濁水の影響及びコンクリート打設工事及び地盤改良によるアルカリ排水の影響 ) を把握するために調査を実施した また

Q. 平成 25 年 1 月の中国の大気汚染の際には 日本で濃度上昇がみられたのですか A. 日本国内では 西日本の広い地域で環境基準を超える濃度が一時的に観測されましたが 全国の一般測定局における環境基準の超過率について 平成 25 年 1 月のデータを平成 24 年や平成 23 年の同時期と比較

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(様式第8号)

施設名施設住所項目一般埋め立てた廃棄物廃棄物 (ton) 擁壁の点検 遮水効果低下するおそれが認められた場合の措置 遮水工の点検 遮水効果低下するおそれが認められた場合の措置 周縁地下水の水質検査結果 斜里町清掃センター最終処分場斜里町以久科北 破砕ごみ 内容 生ごみ残差 合計 点検を行った年月日

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大栄環境 ( 株 ) 和泉リサイクルセンター平井 5 工区管理型最終処分場 / 処理実績平成 26 年度契約処理 : 管理型埋立区分品目 平成 26 年 平成 27 年 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 燃え殻

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平成14年度 要調査項目 測定結果(底質)

平成 29 年度 一般廃棄物最終処分場の維持管理記録 施設の名称 : 弘前市埋立処分場第 2 次 ( 第 1 区画 第 2 区画 ) 施設の位置 : 弘前市大字十腰内字猿沢 埋立廃棄物の種類及び数量 ( 単位 :kg) 区分 種類 平成 29 年平成 30 年 4 月 5 月 6 月

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東京都におけるVOC対策について

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ⅱ 調査地点調査地点は 事業実施区域の敷地境界 2 地点とし 調査時において 風上 風下となる地点とした 調査地点を図 7.4-1に示す ⅲ 調査方法調査方法を表 7.4-3に示す 表 悪臭の調査方法 調査項目 悪臭の状況 気象の状況 調査方法 臭気指数 : 三点比較式臭袋法試料採取時の

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2-2 東京都化学物質適正管理指針

環境モニタリング結果について 資料 1 環境モニタリング調査地点図 ( 浸出水 浸出水処理施設放流水 センター内地下水 発生ガス 悪臭 ) ( 放流先河川 周辺地下水 ) Ⅰ Ⅱ 浸出水 放流水 1 浸出水 2 浸出水処理施設放流水 センター内地下水 1 観測井 1 号 2 観測井 2 号 3 観測

PRTR届出外排出量推計報告書

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地域区分 測定点名称 地域区分 測定点名称 地域区分 測定点名称 1 府環境情報センター (3) 19 府立修徳学院 (4) 堺市及び 37 高石消防署高師浜出張所 (1) 2 堀江小学校 東大阪地域 20 東大阪市西保健センター その周辺地域 38 藤井寺市役所 大阪市中心部 3 勝山中学校 21

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室内環境調査に求められる測定技術 ー実態調査から見る現状ー

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4 平成23年 ノート●○/ノート2(086‐092)

資料 3-1 リスク評価 ( 一次 ) 評価 Ⅱ における 1,2,4- トリメチルベンゼンの 評価結果 ( 案 ) について ( 生態影響 ) < 評価結果及び今後の対応について > 1,2,4- トリメチルベンゼン ( 以下 TMB という ) について 生態影響に係る有害性評価として 既存の有

) 第八条第一項第三号の規定に基づき法第二条第二項各号又は第三項各号のいずれにも該当しな いと認められる化学物質その他の同条第五項に規定する評価を行うことが必要と認められないものとして厚生労働大臣経済産業大臣及び環境大臣が指定する化学物質は次の表の左欄に掲げる化学物 質の分類ごとにそれぞれ同表の右欄

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2019 年度大学入試センター試験解説 化学 第 1 問問 1 a 塩化カリウムは, カリウムイオン K + と塩化物イオン Cl - のイオン結合のみを含む物質であり, 共有結合を含まない ( 答 ) 1 1 b 黒鉛の結晶中では, 各炭素原子の 4 つの価電子のうち 3 つが隣り合う他の原子との

綾部測定局 国道 27 号 ( 綾部市味方町アミダジ 20-2) 農業研究センター 新綾部大橋 綾部市清掃工場 凡例 事業予定地 気象測定場所 大気質測定場所 騒音振動測定場所 騒音測定場所 悪臭測定場所 資料 1: 綾部市ごみ中間処理施設整備に係る生活環境影響調査報告書 ( 平成 12 年 綾部市

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公共用水域水質データファイル 利用説明書 検体値 環境省水 大気環境局水環境課 第 1 版作成年月日平成 24 年 8 月 22 日

法と条例の関係 調査契機 調査対象物質 土壌汚染対策法 有害物質使用特定施設の使用廃止 ( 法第 3 条 ) 土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがある場合 ( 法第 5 条 ) m2以上の土地の形質の変更 ( 法第 4 条第 1 項 条例第 81 条の 5) で 土地の利用履歴調査 ( 条例第 8

2,3-ジメチルピラジンの食品添加物の指定に関する部会報告書(案)

注 3) 化学物質環境実態調査 ( 黒本調査 ) は 非意図的生成化学物質汚染実態追跡調査 ( 平成 5 ~13 年度 ) モニタリング調査 ( 平成 14 年度 ~) のデータをまとめた 注 4) 化学物質環境実態調査 ( 黒本調査 ) 内分泌攪乱化学物質における環境実態調査 については 環境中の

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中古マンション ( 近畿二府四県 ) 成約登録 新規登録状況 ( 専有面積 :~35 m2 ) 成約登録 ( 近畿圏全域 ) 成約 推移 推移 2, % 1,8 1,6 1,4 1, % 1, % 1 2

154 シクロヘキシルアミン 1, ,2-ジクロロエタン ジウロン 1, プロピコナゾール ,2-ジクロロプロパン ジクロロベンゼン 2, ピラゾレート ジクロベニル 塩化メチレン 4

免責事項 本サイトに掲載されているデータをご利用になる場合には 環境省地球環境局環境保全対策課 までご一報いただくとともに 必ず出典を明記の上 お使いください ただし 環境省は データ内容の保証 ( 情報の正確性 有用性 確実性等について ) は一切致しません

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大阪環農水研報 :13 1812) Bull. Rs. Inst. Env. Agr. Fish. Osaka :13 1812) 13 大阪府における大気中揮発性有機化合物 VOC) 濃度とオゾン生成への寄与について 中戸靖子 宮本弘子 西村理恵 上田真彩子 VOC Concntration in Ambint Air an its Contribution to Ozon Gnration in Osaka Prfctur Yasuko NAKATO, Hiroko MIYAMOTO, Ri NISHIMURA, Masako UEDA Summary Th ata of 64 kins of volatil organic compounsvocs) concntrations in ambint air monitor at 12 iffrnt stations in Osaka Prfctur wr analyz. Mainly tct VOCs at th all sits wr tolun, acton, thyl actat an n-butan. Th concntrations of tolun an xyln at th roa si air monitoring stations wr highr than thos at th ambint air pollutions monitoring stations. Th stimat ozon riv from ach VOC concntration an its maximum incrmntal ractivity MIR) valu possibly, tolun, xyln, formalhy, actalhy, an 1,2,4-trimthylbnzn woul b targt substancs to ruc occurring of photochmical oxiant. Ⅰ. はじめに 大気中の揮発性有機化合物 VOC) は, 光化学オキシダントや浮遊粒子状物質, 微小粒子状物質生成の原因物質であり, 低濃度であっても長期的に暴露されることにより発ガン等の有害性がある物質もあることから, 大気汚染防止法 や 大阪府生活環境の保全等に関する条例 府条例 ) により, 排出規制や排出抑制にむけた自主的取り組みが推進されてきた. また 化学物質排出把握管理促進法 PRTR 法 ) や, 府条例に基づく 大阪府化学物質管理制度 により VOC の大気への排出量を把握しているところである. 一方, 年度の大気汚染物質常時監視結果をみると, 浮遊粒子状物質は全測定局で環境基準を達成しているが, 光化学オキシダントは全測定局で達成していない. そのため,11 年 3 月に策定された 大阪 21 世紀の新環境総合計画 において, 光化学オキシダント VOC 対策 は主な施策の1つに掲げられている. 大気中の VOC 濃度について, 大気汚染防止法の優先取組物質は,1997 年度より全国的に測定が行われ, 汚染実態の把握がなされている. しかし, その他の VOC, 1,2,3) 特に排出量が多いアルコール類やケトン類の測定例 は少ない. 本報では,VOC 排出抑制の取組みの効果確認及び今後の対策検討の基礎資料とするため, アルコール類やケトン類を含む VOC64 成分の大阪府における大気中濃度について調査を行い, そのオゾン生成への寄与を考察したので報告する. Ⅱ. 調査方法 1. 調査地点及び期間調査地点は, 一般環境として大阪府環境農林水産総合研究所 大阪市東成区, 以下 環農研 ), 岸和田中央公園 岸和田市, 以下 岸和田 ), 寝屋川市役所 寝屋川市, 以下 寝屋川 ), 藤井寺市役所 藤井寺市, 以下 藤井寺 ), 富田林市役所 富田林市, 以下 富田林 ), 泉大津市役所 泉大津市, 以下 泉大津 ), 貝塚消防署 貝塚市, 以下 貝塚 ), 佐野中学校 泉佐野市, 以下 佐野中 ), の8 地点, 沿道として国設四條畷自動車環境測定所 四條畷市, 以下 四條畷 ), 淀川工科高校 守口市, 以下 淀工 ), 松原北小学校 松原市, 以下 松原 ), カモドールMBS 高石市, 以下 高石 )4 地点の計 12 地点である. 調査地点の位置を第 1 図に示す. 環農研,

14 大阪府環境農林水産総合研究所研究報告第 号 12) 四條畷及び岸和田の3 地点は 年 4 月 11 年 3 月, その他 9 地点は 9 年 4 月 11 年 3 月に調査を実施した. 第 1 図調査地点を示す. 2. 調査対象物質調査対象物質は, 第 1 表に示す 64 物質である. このうち, アクリル酸メチル, アクリル酸エチル, メタクリル酸メチル及び酢酸ビニルの4 物質は 年 4 月から測定を行った. 3. 分析方法 1)VOC アルデヒド類を除く ) VOC の測定は, 有害大気汚染物質測定方法マニュアル 平成 23 年 3 月環境省水 大気環境局大気環境課 ) に準拠して行った. 試料採取には Silonit 不活性化コーティング処理が施された6Lのステンレス容器 キャニスター ) エンテック社製 ) を用い, 減圧採取法により 3.3mL/min で 24 時間試料採取を行った. 採取試料は, 超高純度窒素ガスで約 2 倍に希釈した後 試料濃縮装置で濃縮し,GC/MS により分析した. 試料濃縮装置及び GC/M Sの分析条件を第 2 表に示す. 定量に用いた検量線用標準ガスは, 市販の混合標準ガス 9 年度までは住友精化製 HAPs-J44+F7 及び VOC14 成分混合標準ガス, 年度は住友精化製 HAPs-J44+F7 及び高千穂化学工業製 VOC16 成分混合標準ガス ) を超高純度窒素ガスで希釈しキャニスターに充填し調製した. また メタクリル酸メチル及び酢酸ビニルは特級試薬 4 μ L を 8L の超高純度窒素ガスに添加し さらに希釈してキャニスターに充填し調製した. アセトン, イソプロピルアルコール, メチルエチルケトン等極性 7 物質については 環境大気中の揮発性有機化合物 VOC) 濃度モニタリングに係る測定方法マニュアル 平成 年 3 月環境省水 大気環境局大気環境課 ) において, 試料採取はキャニスターではなくカーボン系の捕集剤を充填した捕集管を用いることとなっている. しかし, 星 1)2) らや那須 3) らは, これらの物質を有害大気汚染物質測定方法マニュアルと同様の方法で分析したところ, 検量線の直線性, キャニスターからの回収率及びキャニスター内での保存性が良好であったため, 同様の方法での分析は可能と述べており, 本調査では他の VOC と一斉分析を行った. 2) アルデヒド類 第 1 表 調査対象物質 有害大気汚染物質 アルコール エステル類 炭化水素 フロン類 優先取組物質 定量用イオン 確認用イオン 優先取組物質以外 定量用イオン 確認用イオン 定量用イオン 確認用イオン 定量用イオン 確認用イオン 1,2-ジクロロエタン 62 64 1,1,1-トリクロロエタン 97 99 n-ブタノール 6 41 CFC-11.9 2.9 1,3-ブタジエン 4.1 3. 1,1,2,2-テトラクロロエタン 83 8 n-ブタン 43 8 CFC-113.9.9 アクリロニトリル 2 3.1 1,1,2-トリクロロエタン 97 83 n-ヘキサン 7 86 CFC-114 8 13 塩化ビニル 62 64 1,1-シ クロロエタン 63 6 n-ペンタン 72 7 CFC-12 8 87 クロロホルム 83 8 1,1-シ クロロエチレン 9.9 61 アセトン 8 43 HCFC-123 83 133 ジクロロメタン 84 49 1,2,4-トリメチルヘ ンセ ン.1 1.1 イソブタン 39 4 HCFC-141b 8.9 82.9 テトラクロロエチレン 16.9 163.9 1,2,4-トリクロロヘ ンセ ン 179.9 181.9 イソフ ロヒ ルアルコール 4 9 HCFC-142b 6 8 トリクロロエチレン 129.9 131.9 1,2-ジクロロプロパン 63 76 ウンデカン 43 7 HCFC-22 1 67 ベンゼン 78 77.1 1,2-ジクロロベンゼン 146 148 酢酸エチル 61 7 HCFC-2ca 82.9 84.9 トルエン 91.1 92.1 1,2-ジブロモエタン 7 9 酢酸ブチル 6 73 HCFC-2cb 167 塩化メチル 2 1,3,-トリメチルヘ ンセ ン.1 1.1 シス-2-ブテン 6 HFC-134a 83. 69. ホルムアルデヒド HPLC 分析 ) 1,4-シ クロロヘ ンセ ン 146 148 デカン 8 142 シスー 1,3-シ クロロフ ロヘ ン 7 9.9 アセトアルデヒド HPLC 分析 ) エチルベンゼン 91.1 6.1 メチルイソフ チルケトン 8 8 シス-1,2-シ クロロエチレン 9.9 6.9 キシレン類 91.1 6.1 メチルエチルケトン 72 43 臭化メチル 93.9 9.9 クロロエタン 64 66 トランス-1,3-シ クロロフ ロヘ ン 7 9.9 クロロベンゼン 112 77.1 四塩化炭素 116.9 118.9 スチレン 4.1 78.1 アクリル酸エチル.1 6.1 アクリル酸メチル 8 酢酸ビニル 43.1 86.1 メタクリル酸メチル 69.1

中戸他 大阪府における大気中揮発性有機化合物 VOC 濃度とオゾン生成への寄与について 4 1 +, U ), U -, / μw U ) - c U ) 1PRTNV,., 年度共にトルエン アセトン 酢酸エチル ノルマルブ タンの濃度が高かった 年度は 9 年度と比較し アルデヒド類の測定は 有害大気汚染物質測定方法 て ほとんどの物質の濃度が減少したが イソプロピル マニュアル に準拠して行った 試料採取は 2,4- ジニ アルコールはどの地点においても濃度の上昇がみられ トロフェニルヒドラジンを被覆したシリカゲルを充填し 特に藤井寺で高い濃度となった また 泉州地域 岸和田 た捕集管 GL サイエンス社製 を2段にして用い.1L/ 佐野中 貝塚 泉大津 において 9 年度はノルマ min で 24 時間試料採取を行った ルブタノールが他の地点と比較して濃度が高かったが 試料採取に用いた捕集管は ml のアセトニトリルで 年度はその傾向はみられなかった 佐野中では メ 溶出し HPLC で分析した HPLC の分析条件を第3表 チルエチルケトンが他の地点と比較して高い濃度であっ に示す た 沿道では 濃度の高い物質は一般環境と同じ傾向で ) 3 DE あったが トルエン キシレン類は一般環境より濃度が 高かった トルエン キシレン類は自動車排ガスに含ま れていることから その影響を受けていると考えられる また 泉州地域にある高石は 9 年度はノルマルブタ ノールの濃度が非常に高く 年度は濃度が下がった Ⅲ 結果及び考察 が 他の地点と比較して高い状況にあった 大阪府における 9 年度の VOC 排出インベントリ 1 9 年度 年度の調査結果 推計結果では 1位 石油系炭化水素 3771.4t/ 年 2 9 年4月 11 年3月に月1回 24 時間の試料採 位 キシレン類及びエチルベンゼン 3277.3t/ 年 3位 取を 12 地点で実施した 調査実施日は 12 地点同日であ トルエン 2698.4t/ 年 4位 酢酸エチル 2331.t/ 年 5 る 9 年度及び 年度における各調査地点の年平 位 ノルマルブタン 28.t/ 年 6位 イソブタン 均値上位成分とその年平均値を 一般環境8地点は第4 27.9t/ 年 7位 イソプロピルアルコール 13.t/ 年 表に 沿道4地点は第5表に示す であり 濃度の高い物質は排出量の推計結果も大きい傾 一般環境では どの地点においても 9 年度 向にあった しかし アセトンは推計結果が 279.8t/ 年

16 大阪府環境農林水産総合研究所研究報告第 号 12) と他の物質と比較して少ないにもかかわらず大気中濃度が高くなっており, 推計に入っていない発生源があるか, あるいはその寿命が他の物質と比較して長いことが原因であると推察される. 4) 2. 濃度が高い VOC 成分の経年変化 9 年度 ~ 年度の調査において, 濃度が高かった物質の濃度及び排出量について, 年度からの経年変化を第 2 図に示す. 濃度は 年度から調査を行っている環農研, 四條畷, 岸和田のデータ, 排出量についてはトルエンは大阪府全体の 年度までの PRTR 排出量集計結果, その他の物質は 9 年度までの大阪府全体の VOC 排出量インベントリ推計結果である. トルエンは, 自動車排ガスに含まれているが,VOC 排出インベントリ推計結果には自動車排ガスからの排出量が含まれておらず, 実際の排出量より少ないことが考えられるため,PRTR 排出量集計結果を用いた. その他の物質は,VOC 排出インベントリ推計結果が唯一の排出量データである. アセトンは, 排出量が毎年減少し,9 年度は 年度の 49% と大幅に減少しているが, 大気中濃度は 9 年度から減少傾向がみられるようになった. これは, Ⅲ-1で述べたように, 寿命が他の物質と比較して長いために, 排出量の減少が大気中濃度に現れるのに時間がかかるためと推察された. トルエンは排出量が減少傾向にあるが, 大気中濃度は環農研, 四條畷で減少傾向がみられるのに対し, 岸和田ではみられていない. 酢酸エチル, ノルマルブタンは, 排出量が横ばいであるが, 大気中濃度は環農研, 四條畷で減少傾向がみられるのに対し, 岸和田ではみられていない. イソプロピルアルコールは, 排出量, 大気中濃度ともに横ばい傾向であった. このように, 成分によって経年変化の傾向は異なっており, 必ずしも減少傾向がみられていないことから, 引き続き大気中濃度の変化をみていく必要があると考えられる. 環農研及び四條畷に設置されている大気測定局における非メタン炭化水素濃度の 年度からの経年変化を第 3 図に示す. なお 岸和田は 8 年度からしか測定データがないため, 経年変化を示していない. 四條畷では非メタン炭化水素の減少傾向がみられているが 環農研では横ばいである. 環農研の横ばい傾向は, 濃度の高い VOC 成分のうち,4 成分で濃度の減少傾向がみられた本調査の結果と異なっている. 大気中 VOC 濃度の詳細な把握のため, さらに調査対象物質を増やす必要があると考える. μg/m 3 4 トルエン 6 7 8 9 百トン 排出量環農研 8 四條畷岸和田 6 4 μg/m 3 酢酸エチル 百トン 7 8 6 9 μg/m 3 イソプロピルアルコール 百トン 18 12 9 6 3 6 7 8 9 ppmc.4.3.2.1 百 μg/m 3 アセトン 百トン 3 7 6 4 3 2 1 6 7 8 9 μg/m 3 12 ノルマルブタン 8 6 4 2 6 7 8 9 第 2 図 VOC 成分の経年変化 非メタン炭化 水素 6 7 8 9 第 3 図非メタン炭化水素の経年変化 環農研四條畷 3. 最大オゾン生成推計濃度 VOC 各成分の光化学オキシダント生成への寄与について検討するため,VOC 各成分によるオゾン生成量の算出を試みた. 調査を行った VOC64 物質のうち, 大気中濃度が上位であり,VOC 変化量あたりの最大オゾン変化量である最大オゾン生成能 Maximum Incrmntal Ractivity, 以下 MIR 値 ) が示されている 32 物質について, 最大オゾン生成推計濃度 以下, 推計濃度 ) を算出した.MIR 値は第 6 表に示す William.P.L.Cartr の値 ) を用いた. 4) 第 6 表推計に用いたMIR 値 百トン 項目 MIR 項目 MIR シスー 2-ブテン 13.22 n-ヘキサン 1.43 1,3-ブタジエン 13.9 イソブタン 1.34 1,3,-トリメチルベンゼン 11.22 n-ブタン 1.32 ホルムアルデヒド 8.96 酢酸ブチル.88 キシレン類 7.78 ベンゼン.81 1,2,4-トリメチルベンゼン 7.18 デカン.81 アセトアルデヒド 6.83 クロロベンゼン.79 1,2-ジクロロベンゼン 6.61 ウンデカン.72 メチルイソブチルケトン 4.28 イソプロピルアルコール.71 トルエン 3.97 酢酸エチル.64 1,4-ジクロロベンゼン 3.7 トリクロロエチレン.6 n-ブタノール 3.33 アセトン.43 エチルベンゼン 2.79 1,1,1-トリクロロエタン.9 スチレン 2.2 ジクロロメタン.7 n-ペンタン 1.3 テトラクロロエチレン.4 メチルエチルケトン 1.48 クロロホルム.3

中戸他 : 大阪府における大気中揮発性有機化合物 VOC) 濃度とオゾン生成への寄与について 17 これらの MIR 値に大気中濃度を乗じて, 推計濃度を算出した. 9 年度 ~ 年度の調査結果より求めた推計濃度について, 一般環境の算出結果を第 4 図に, 沿道の結果を第 図に示す. 一般環境 8 地点は, トルエンの推計濃度がどの地点においても最も高かった. 続いて 順番は地点によって異なるが, キシレン, ホルムアルデヒドや, アセトアルデヒド,1,2,4- トリメチルベンゼンが高い結果となった. この 物質で, 年度は推計濃度の合計の.2 ~ 69.2% を占めていた. 年度は,9 年度と比較して, 環境濃度の減少にともない推計濃度の減少が見られた. 酢酸エチル, アセトン, ノルマルブタンは環境濃度は高いが,MIR が低いため, 推計濃度は低い結果となった. 藤井寺はイソプロピルアルコール, 佐野中はメチルエチルケトンの大気中濃度が高いため, 他の地点と比較してそれぞれの物質の推計濃度が高い特徴がみられた. 沿道 4 地点では, 四條畷, 松原, 淀工においてトルエンが最も推計濃度が高く, 続いて, 順番は地点によって異なるが, キシレン, ホルムアルデヒド, アセトアルデヒド,1,2,4- トリメチルベンゼンが高く, 一般環境と同じ傾向を示した. 高石はノルマルブタノールの大気中濃度が高かったため, 推計濃度も最も高くなった. トルエン, キシレンは大気中濃度が一般環境より高いため, 推計濃度も一般環境より高くなった. 推計濃度の高い 物質が推計濃度の合計に占める割合は 年度で 43. ~ 74.3% であった. また, 一般環境と同様に 年度は 9 年度と比較して, 推計濃度の減少が見られた. 以上のことから,32 物質のうちトルエン, キシレン, ホルムアルデヒド, アセトアルデヒド,1,2,4- トリメチルベンゼンで 6% 以上を占めており, この 物質が光化学オキシダント生成への寄与が大きいと考えられる. μ g/m 3 ) 一般環境 9 9 9 9 9 9 9 9 環農研岸和 田佐野中 貝塚富 田林林泉 大津寝屋川藤井寺 第 4 図オゾン生成推計濃度 一般環境 ) 1,3- ブタジエンシス - 2- ブテン 1,3,- トリメチルヘ ンセ ンメチルイソフ チルケトン 1,4- シ クロロヘ ンセ ン n- ペンタン n- ブタノールエチルベンゼン酢酸ブチルジクロロメタンイソブタンメチルエチルケトンイソフ ロヒ ルアルコール n- ブタンアセトン酢酸エチル 1,2,4- トリメチルヘ ンセ ンアセトアルデヒドホルムアルデヒドキシレン類トルエン μ g/m 3 ) 7 6 4 沿道 9 9 9 9 四條畷 高 石 松原 淀 工 第 図オゾン生成推計濃度 沿道 ) 1,3- ブタジエンシス - 2- ブテン 1,3,- トリメチルヘ ンセ ンメチルイソフ チルケトン 1,4- シ クロロヘ ンセ ン n- ペンタン n- ブタノールエチルベンゼン酢酸ブチルジクロロメタンイソブタンメチルエチルケトンイソフ ロヒ ルアルコール n- ブタンアセトン酢酸エチル 1,2,4- トリメチルヘ ンセ ンアセトアルデヒドホルムアルデヒドキシレン類トルエン 4. 最大オゾン生成推計濃度の経年変化 年度から調査を行っている環農研, 岸和田, 四條畷の3 地点における推計濃度の経年変化を第 6 図に示す. 環農研と四條畷は 9 年度に推計濃度が大幅に減少した. これは, 特にトルエンの推計濃度が環農研で 83μ g/m3 48μg/m3, 四條畷で 3μg/m3 72μg/m3, キシレンの推計濃度が環農研で 44μg/m3 26μg/m3, 四條畷で 6μg/m3 39μg/m3 と大きく減少したのが原因である. ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドの推計濃度は減少傾向がみられなかった. また, 岸和田は 年度に大幅に減少したが, これはトルエンの推計濃度が 99μg/m3 26μg/m3 と大きく減少したのが原因である. ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドは他の 2 地点と同様推計濃度の減少はみられなかった. 以上のことから, 最大オゾン生成能でみると, トルエンやキシレンの排出量削減は有効な光化学オキシダント対策になると考えられる. 一方, ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドは推計濃度の減少がみられていないため, 引き続き調査を行い, オキシダント生成への寄与について検討していく必要がある. 本調査で測定した VOC64 成分はおおむね大気中濃度が減少しており, 推計濃度も減少がみられたが,Ⅲ- 2で述べたように非メタン炭化水素濃度は減少傾向になく, 光化学オキシダント濃度の減少もみられていない. このことから,64 成分以外の VOC 成分がオキシダント生成に大きく寄与しているか, 最大オゾン生成能だけでは光化学オキシダント生成の説明ができないことが考え

18 大阪府環境農林水産総合研究所研究報告第 号 12) られる. 当面は, オキシダント生成への寄与が高いといわれているイソプレン等これまで測定していない VOC 成分について測定を行い, オキシダント生成への寄与について検討していきたいと考えている. Ⅵ. 摘要大阪府における大気中揮発性有機化合物の濃度について測定を実施し, 結果に基づいて最大オゾン推計濃度の算出を行った. 調査対象物質は 64 物質である. 調査地点 12 地点全てにおいて トルエン, アセトン, 酢酸エチル, ノルマルブタンの濃度が高かった. 沿道では, 一般環境と比較して, トルエン, キシレンが濃度が高い傾向にあった. 最大オゾン推計濃度は, 調査地点全てにおいて, トルエン, キシレン, ホルムアルデヒド, アセトアルデヒド及び 1,2,4- トリメチルベンゼンが推計濃度の占める割合が高い結果であった. 推計濃度の経年変化では, トルエン キシレン類の大気中濃度の減少に伴い推計濃度が減少している傾向がみられており, これらの排出削減対策が光化学オキシダント対策に有効である可能性が示唆された. 本研究の一部は, 環境省委託業務として実施した. Ⅵ. 引用文献 第 6 図オゾン生成推計濃度の経年変化 1) 星純也, 樋口雅人 6). キャニスター法による大気中の含酸素化合物の測定の検討. 東京都環境科学研究所年報 6:43 ~ 49 2) 星純也, 佐々木啓行, 天野冴子, 樋口雅人, 飯村文成, 上野広行 8). 大気中 VOC の成分組成の経年変化とオゾン生成への寄与について. 東京都環境科学研究所年報 8: ~ 17 3) 那須聖子, 杉谷啓行, 磯貝裕文, 大池康夫, 林雅樹, 大塚治子 6). 愛知県内の大気中揮発性有機化合物 VOC) の濃度について. 愛知県環境センター所報.34:1 ~ 9 4) 揮発性有機化合物 VOC) 排出インベントリ検討会 9). 揮発性有機化合物 VOC) 排出インベントリについて )William.P.L.Cartr,).Chmical mchanism for VOC ractivity assssmnt, California Air Rsourcs Boar.SAPRC-99