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測量士補 重要事項 基準点測量 基準点測量の作業工程

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測量士補 重要事項 基準点測量 基準点の選点

第 2 編基準点測量 改正旧 第 2 編基準点測量 第 2 編基準点測量 第 1 章通 則 第 1 章通 則 第 1 節要 旨 第 1 節要 旨 第 18 条本編は基準点測量の作業方法等を定めるものとする 2 基準点測量 とは 既知点に基づき 基準点の位置又は標高を定める作業をいう 3 基準点 とは

測量機器性能基準

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01_表紙

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<H22-pm1-A: 問題 > 平成 22 年度測量士試験問題午後 No1: 必須 次の文は 測量法 ( 昭和 24 年法律第 188 号 ) に規定された事項について述べたものである 下線の語句について 正しいものには を 間違っているものには 及び正しい語句を それぞれ 解答欄に記せ 1. こ

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作業規程の準則目次 第 1 編総則 ( 第 1 条 第 17 条 ) 第 2 編基準点測量第 1 章通則第 1 節要旨 ( 第 18 条 第 19 条 ) 第 2 節製品仕様書の記載事項 ( 第 20 条 ) 第 2 章基準点測量第 1 節要旨 ( 第 21 条 第 24 条 ) 第 2 節作業計画

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精度を有すると認められた基準点とする ( 基準点の精度 ) 準則第 38 条 第 19 条の 4 4 級基準点は 2 次の地籍図根多角点と同等なものとして取り扱う 国土調査法第 19 条第 2 項の規定により認証され 又は同条第 5 項の規定により指定さ れた基準点のうち 4 級基準点に相当するもの

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GPS仰角15度

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A B) km 1 0 0km 50km 50km (A)(B) 2,600 13,100 11,800 2,600 13,100 11,800 ( 2,476) (12,476) (11,238) 9,190 8,260 7,3

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第 1 編総 則 ( 目的及び適用範囲 ) 第 1 条この作業規程 ( 以下 規程 という ) は 農林水産省地方農政局が行う測量について その作業方法等を定めることにより規格を統一するとともに 必要な精度を確保すること等を目的とする 2 この規程は 測量法 ( 昭和 24 年法律第 188 号 以

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のとする 一地上測量による方式 ( 以下 地上法 という ) 二空中写真測量による方式 ( 以下 航測法 という ) 三前二号の方式を併用する方式 ( 以下 併用法 という ) 2 地籍測量は 座標計算により筆界点の位置を求める方式によって行うものとする くは規格を有するもの又はこれらと同等以上のも

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(3) 筆界基準杭 縮尺区分 1/250 1/500 1/1000 1/2500 1/5000 1km2当たり点数 366~548 点 137~274 点 91~137 14~22 4~5 備考 ( 削除 ) (2) 地籍図根多角本点 航測図根本点又は筆界基準杭 縮尺区分 1/250 1/500 1

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第 2 章測量業務標準歩掛 ( 参考資料 ) 第 2 章測量業務標準歩掛 ( 参考資料 ) 測量業務標準歩掛における, 各作業の直接人件費に対する機械経費, 通信運搬費等, 材料費の割合の構成を下表に示す なお, 下表に示す各資機材等の種類, は標準歩掛設定に用いた標準的なものであり, 契約ではない

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測量試補 重要事項 応用測量

基準点測量. 楕円体の原子及び諸公式. 楕円体の原子 地球の形状及び大きさについて 測量法施行令第 条に定める楕円体の値による 長半径 a = 6787 扁平率 f = 楕円体の諸公式 a(-e ) a M = N = W W R = M N = b W W= -e s φ a-b f=

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(2) 区域内の主要な道路が 環境の保全上 災害の防止上 通行の安全上又は事業活動の効率上支障がないような規模及び構造で適当に配置されており かつ 区域外の相当規模の道路と接続していること (3) 区域内の排水路その他の排水施設が その区域内の下水を有効に排出するとともに その排出によって区域及びそ

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2. 記載例 1( 申請書 ) 記載例 1 は課長通知 ( 平成 15 年 ) に定められた様式であり これに必要事項を記入して作成する 1. 趣旨 目的 国土調査法第 19 条第 5 項の規定に基づき 用地部長等が国土交通大臣に指定の申請を行うもの 2. 必要事項 国土交通大臣あての国土調査法第

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( 賦課期日 ) 第 4 条都市計画税の賦課期日は 当該年度の初日の属する年の1 月 1 日とする ( 納期 ) 第 5 条都市計画税の納期は 次のとおりとする 第 1 期 4 月 1 日から同月 30 日まで第 2 期 7 月 1 日から同月 31 日まで第 3 期 12 月 1 日から同月 25

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別紙 40 東京都市計画高度地区の変更 都市計画高度地区を次のように変更する 面積欄の ( ) 内は変更前を示す 種類面積建築物の高さの最高限度又は最低限度備考 第 1 種 約 ha 建築物の各部分の高さ ( 地盤面からの高さによる 以下同じ ) は 当該部分から前面道路の反対側の境界線 高度地区

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高分解能衛星データによる地形図作成手法に関する調査研究 ( 第 2 年次 ) 実施期間平成 18 年度 ~ 測図部測図技術開発室水田良幸小井土今朝巳田中宏明 佐藤壮紀大野裕幸 1. はじめに国土地理院では, 平成 18 年 1 月に打ち上げられた陸域観測技術衛星 ALOS に関して, 宇宙航空研究開

3 市長は 第 1 項の規定により指定した土地の区域を変更し 又は廃止しようとするときは あらかじめ久喜市都市計画審議会 ( 以下 審議会 という ) の意見を聴くものとする 4 第 1 項及び第 2 項の規定は 第 1 項の規定により指定した土地の区域の変更又は廃止について準用する ( 環境の保全

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受信機時計誤差項の が残ったままであるが これをも消去するのが 重位相差である. 重位相差ある時刻に 衛星 から送られてくる搬送波位相データを 台の受信機 でそれぞれ測定する このとき各受信機で測定された衛星 からの搬送波位相データを Φ Φ とし 同様に衛星 からの搬送波位相データを Φ Φ とす

及びその周辺の地域における自然的条件 建築物の建築その他の土地利用の状況等を勘案し 集落の一体性を確保するために特に必要と認められるときは この限りでない (2) 区域内の主要な道路が 環境の保全上 災害の防止上 通行の安全上又は事業活動の効率上支障がないような規模及び構造で適当に配置されており か

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Transcription:

国土地理院技術資料 A1-No.367 電子基準点のみを既知点とした 基準点測量マニュアル 平成 27 年 7 月 国土交通省国土地理院

目 次 [ 序 ] 概説 1 1. はじめに 1 2. マニュアルの利用について 1 3. 作業実施にあたっての手続 1 第 1 章総則 2 第 2 章電子基準点のみを既知点とした 2 級基準点測量 3 第 1 節要旨 3 第 2 節作業計画 4 第 3 節選点 5 第 4 節測量標の設置 5 第 5 節観測 5 第 6 節計算 7

[ 序 ] 概説 1. はじめに公共測量において基準点測量を実施する場合 作業規程の準則 ( 平成 20 年 3 月 31 日国土交通省告示第 413 号 以下 準則 という ) 第 2 編第 2 章 基準点測量 において規定される作業方法により基準点を設置している このマニュアルは 現在 1 級基準点測量で利用可能となっている電子基準点のみを既知点とする方法を2 級基準点測量にも適用させるとともに 各国の衛星測位システム (GNSS) の拡充や新しい周波数帯の利用についても対応させることにより 測量業務を効率化するための作業方法を示したものである また このマニュアルにより設置した 2 級基準点を既知点として実施する 4 級基準点測量 ( 以下 このマニュアルによる4 級基準点測量 という ) についても さらなる効率化を可能としている 2. マニュアルの利用について 2.1 マニュアルの目的及び適用範囲このマニュアルは 準則第 17 条 機器等及び作業方法に関する特例 第 3 項に規定されるもので 電子基準点のみを既知点とした2 級基準点測量の標準的な作業方法を定め その規格を統一するとともに 必要な精度を確保することを目的とする このマニュアルでは 上空視界に制約があるビル街等の観測条件の厳しい場所での利用を想定した 異なる衛星測位システム間で位相差をとる解析 ( 以下 統合処理 という ) についても規定している 2.2 マニュアルの構成このマニュアルの構成は 以下のとおりである [ 序 ] 概説第 1 章総則第 2 章電子基準点のみを既知点とした2 級基準点測量 3. 作業実施にあたっての手続国 都道府県及び市町村等の測量計画機関 ( 以下 計画機関 という ) が 電子基準点のみを既知点とした2 級基準点測量を行う場合は 測量法 ( 昭和 24 年法律第 188 号 ) 第 36 条の規定に基づき あらかじめ国土地理院に公共測量実施計画書を提出し 技術的助言を求めなければならない その際は 準則第 17 条第 3 項に規定するものであることを明示するものとする 1

第 1 章総則 ( 目的と適用範囲 ) 第 1 条このマニュアルは 電子基準点のみを既知点とする 2 級基準点測量の標準的な作業方法を定め その規格を統一するとともに 必要な精度を確保することを目的とする 2

第 2 章電子基準点のみを既知点とした 2 級基準点測量 第 1 節要旨 ( 準則の準用 ) 第 2 条このマニュアルに規定するもの以外は 準則を準用する ( 要旨 ) 第 3 条本章は電子基準点のみを既知点とした 2 級基準点測量及びこのマニュアルによる 4 級基準点測量の作業方法等を定めるものとする 2 GNSS とは 人工衛星からの信号を用いて位置を決定する衛星測位システムの総称で GPS 準天頂衛星システム GLONASS Galileo 等の衛星測位システムがある 電子基準点のみを既知点とした 2 級基準点測量においては GPS 準天頂衛星システム GLONASS 及び Galileoを適用する なお GPS と準天頂衛星システムは 同等のものとして扱うことができるため このマニュアルにおいて 両システムの衛星を以下 GPS 準天頂衛星 と表記する ( 既知点の種類等 ) 第 4 条既知点の種類 既知点数 既知点間距離及び新点間の距離は 次表を標準とする 区分電子基準点のみを既知点とした2 級基準点測量項目既知点の種類電子基準点既知点数 2 点以上 ( 作業地に最も近い電子基準点を使用する ) 既知点間距離電子基準点のみを既知点とするので 制限しない 新点間距離 500m ( 電子基準点のみを既知点とした 2 級基準点測量の方式 ) 第 5 条電子基準点のみを既知点とした 2 級基準点測量は 結合多角方式又は単路線方式により行うもの とする 2 結合多角方式の作業方法は 次表を標準とする 項目 結合多角方式区分 単位多角形の辺数 路線の辺数 電子基準点のみを既知点とした 2 級基準点測量 12 辺以下 6 辺以下 伐採樹木及び地形の状況等によっては 計画機関の承認を得て辺 数を増やすことができる 路線長電子基準点のみを既知点とするので 制限しない 偏心距離の制限 S/e 6 S: 新点間距離 e: 偏心距離ただし 新点が 1 点の場合は 100 m 以内を標準とする 路線図 形 多角網の外周路線に属する新点は 外周路線に属する隣接既知点 を結ぶ直線から外側 40 以下の地域内に選点するものとし 路線 の中の夾角は 60 以上とする ただし 地形の状況によりやむ を得ないときは この限りでない 3

合多角方式路線方式3 単路線方式の作業方法は 次表を標準とする 区分電子基準点のみを既知点とした2 級基準点測量項目 路線の辺数 8 辺以下 単路線方式 新 点 の 数 3 点以下 路 線 長電子基準点のみを既知点とするので 制限しない 新点は 両既知点を結ぶ直線から両側 40 以下の地域内に選点す 路 線 図 形るものとし 路線の中の夾角は 60 以上とする ただし 地形の状況によりやむを得ないときは この限りでない 偏心距離の制限 S/e 6 S: 新点間距離 e: 偏心距離ただし 新点が 1 点の場合は 100 m 以内を標準とする ( このマニュアルによる 4 級基準点測量の方式 ) 第 6 条このマニュアルによる 4 級基準点測量の方法は トータルステーション ( データコレクタを含 む ) セオドライト及び測距儀等 ( 以下 TS 等 という ) を用いた結合多角方式又は単路線方式と する ただし 使用する機器は 2 級以上の性能を有する TS 等とする 2 結合多角方式の作業方法は 次表を標準とする 4 級基準点測量 (TS 等 ) 項目結区分 路線の辺数 15 辺以下 路線長 700 m 以下 3 単路線方式の作業方法は 次表を標準とする 4 級基準点測量 (TS 等 ) 項目単区分 路線の辺数 20 辺以下 路線長 1km 以下 第 2 節作業計画 ( 要旨 ) 第 7 条作業計画は 準則第 11 条の規定によるほか 既設点の配置状況を調査するとともに 地形図上で新点の概略位置を決定し 平均計画図を作成するものとする 2 あらかじめ計画機関が指示した場合 新点と既設点との整合性を確認するため 1 点以上の既設点と点検のための観測を行うものとし 平均計画図に含めるものとする 4

第 3 節選点 ( 要旨 ) 第 8 条 選点 とは 平均計画図に基づき 現地において既設点 ( 電子基準点を除く ) の現況を調査するとともに 新点の位置を選定し 選点図及び平均図を作成する作業をいう 第 4 節測量標の設置 ( 点の記の作成 ) 第 9 条設置した永久標識については 点の記を作成するものとする なお 点の記の備考欄には 電子基準点のみを既知点とした基準点 と記入するものとする 第 5 節観測 ( 要旨 ) 第 10 条 観測 とは 平均図等に基づき GNSS 測量機を用いて GNSS 衛星からの電波を受信 し 位相データ等を記録する作業 ( 以下 GNSS 観測 という ) をいう ( 機器 ) 第 11 条観測に使用する機器は 次表に掲げるもの又はこれらと同等以上のものを標準とする なお L5 信号の観測を行う場合は 1 級 GNSS 測量機の性能に加え L5 周波数帯の受信機能を有す るものを使用すること 機器性能 ( 受信帯域数 ) 摘要 1 級 GNSS 測量機準則別表 1による 2 級 GNSS 測量機観測距離が 10km未満の場合に使用できる ( 機器の点検及び調整 ) 第 12 条観測に使用する機器の点検は 観測着手前及び観測期間中に適宜行い 必要に応じて機器の調整 を行うものとする 2 電子基準点のみを既知点とした 2 級基準点測量において 基線解析で統合処理を行う場合は 観測に 使用する GNSS 測量機 ( 受信機本体 ) の機種が同じ場合を除き 観測着手前及び全観測完了後の計 2 回 GNSS 測量機 ( 受信機本体 ) 間の ISB(Inter System Bias) の推定を行い ISB の差を点検するものとす る GNSS 測量機 ( 受信機本体 ) の機種が同じ場合とは 機種名 内部ボードの型番 ファームウェアの バージョンがそれぞれ同じものをいう ISB の差の許容範囲は次表を標準とし 許容範囲を超えた GNSS 測量機 ( 受信機本体 ) 間の基線解析で は統合処理を行わないものとする 項目 ISB の差 許容範囲 10mm ( 観測の実施 ) 第 13 条観測にあたり 計画機関の承認を得た平均図に基づき 観測図を作成するものとする 5

2 観測は 平均図等に基づき 次に定めるところにより行うものとする 一 GNSS 観測は 次表を標準とする データ取得間観測方法観測距離観測時間使用機器受信帯域数隔スタティック法 10km 120 分以上 2 周波以上 1 級 GNSS 測量機 90 分以上 30 秒以下 3 周波 10km 未満 60 分以上 2 級 GNSS 測量機 1 周波 1. 節点を設けて観測距離を 10km未満にすることで 2 級 GNSS 測量機により1 周波による観測を行うことができる 2. 観測距離が 10km未満の場合 1 級 GNSS 測量機により2 周波による観測を行摘要うことができる L5 信号の観測を行う場合 1 級 GNSS 測量機の性能に加え L5 周波数帯の受信機能を有するものを使用する 二 GNSS 衛星の組合せによる使用衛星数は次表イを標準とするが これにより難い場合は次表ロを使用 できるものとする イ基線解析で統合処理を行わない場合 GNSS 衛星の組合せ 観測方法 スタティック法 (10km 未満 ) スタティック法 (10km 以上 ) GPS 準天頂衛星 4 衛星以上 5 衛星以上 GPS 準天頂衛星及び GLONASS 衛星 5 衛星以上 6 衛星以上 GPS 準天頂衛星及び Galileo 衛星 5 衛星以上 6 衛星以上 GPS 準天頂衛星 GLONASS 衛星及び Galileo 衛星 6 衛星以上 7 衛星以上 GLONASS 衛星 4 衛星以上 5 衛星以上 摘要 複数の衛星測位システムの衛星を用いて観測する場 合は 各システムについて 2 衛星以上用いること 6

ロ基線解析で GPS 準天頂衛星と Galileo 衛星間で統合処理を行う場合 GNSS 衛星の組合せ 観測方法 スタティック法 (10km 未満 ) スタティック法 (10km 以上 ) GPS 準天頂衛星及び Galileo 衛星 4 衛星以上 5 衛星以上 GPS 準天頂衛星 GLONASS 衛星及び Galileo 衛星 摘要 5 衛星以上 6 衛星以上 GLONASS 衛星を用いて観測する場合は GLONASS 衛星を 2 衛星以上用いること 三 GNSS 衛星の組み合わせによる使用可能周波数帯は次表を標準とする 観測に使用する周波数 1 周波 2 周波 3 周波 GNSS 衛星の組合せ GPS 準天頂衛星 L1 L1+L2 又は L1+L5 L1+L2+L5 GPS 準天頂衛星及び GLONASS 衛星 L1 L1+L2 GPS 準天頂衛星及び Galileo 衛星 L1 L1+L5 GPS 準天頂衛星 GLONASS 衛星 及び Galileo 衛星 L1 GLONASS 衛星 L1 L1+L2 四第 7 条第 2 項に基づく既設点との点検のための観測は 本項又は準則第 37 条第 2 項によるものとす る 第 6 節計算 ( 計算の方法等 ) 第 14 条計算は 準則付録 6の計算式 又はこれと同精度若しくはこれを上回る精度を有することが確認できる場合は 当該計算式を使用することができる 2 基線解析は 基線長が 10 キロメートル以上の場合は2 周波又は3 周波で行うものとし 基線長が 10 キロメートル未満の場合は1 周波又は2 周波で行うものとする 3 GNSS アンテナの機種が同じ場合を除き 原則として PCV 補正を行うものとする なお L5のPCV 補正データが公表されるまでは L5のデータを含む基線解析は GNSS アンテナの機種が同じ場合に限る 3 基線解析の固定点の経度 緯度及び楕円体高は 既知点の基準点成果表の値を入力する 以後の基線解析は これによって求められた値を順次入力するものとする 4 国土地理院が提供する地殻変動補正パラメータを使用し セミ ダイナミック補正を行うものとする なお 地殻変動補正パラメータは 測量の実施時期に対応したものを使用するものとする ( 点検計算及び再測 ) 第 15 条点検計算は 観測終了後に行うものとする 許容範囲を超えた場合は 再測を行う等適切な措置 7

を講ずるものとする 2 点検計算は 次のとおり行うものとする なお 既知点とする電子基準点の座標値は セミ ダイナミック補正を行った今期座標とする 一結合多角方式イ既知点とした電子基準点間を結合する路線で基線ベクトル成分の結合計算を行う ロ電子基準点間の結合計算は 最少辺数の路線について行う ただし 辺数が同じ場合は路線長が最短のものについて行う ハ結合計算に含まれないセッションについては 重複辺の較差又は異なるセッションの組み合わせによる最少辺数の多角形の基線ベクトルの環閉合差により点検を行う ニ基線ベクトル成分の較差 環閉合差を ΔX ΔY ΔZからΔN ΔE ΔUに変換して点検を行う ホ計画機関から指示があった場合は 指定路線についても点検を行う 二単路線方式イ既知点とした電子基準点間の結合する路線で基線ベクトル成分の結合計算を行う ロ基線ベクトル成分の較差 ΔX ΔY ΔZからΔN ΔE ΔUに変換して点検を行う 3 点検計算の許容範囲は 次表を標準とする 一電子基準点間の閉合差の許容範囲区分許容範囲備考 結合多角 水平 (ΔN ΔE) 60mm+20mm N N : 辺数 ΔN: 水平面の南北方向の閉合差 又は単路線 高さ (ΔU) 150mm+30mm N ΔE: 水平面の東西方向の閉合差 ΔU: 高さ方向の閉合差 二環閉合差及び各成分の較差の許容範囲区分許容範囲備考 基線ベクトルの環閉合差重複する基線ベクトルの較差 水平 (ΔN ΔE) 20mm N N : 辺数 高さ (ΔU) 水平 (ΔN ΔE) 高さ (ΔU) 30mm N 20mm 30mm ΔN: 水平面の南北方向の閉合差又は較差 ΔE: 水平面の東西方向の閉合差又は較差 ΔU: 高さ方向の閉合差又は較差 4 第 7 条第 2 項に基づく点検のための観測を行った場合は 既設点成果と当該観測により求めた座標及び標高を比較し その較差を計画機関に報告しなければならない ( 平均計算 ) 第 16 条既知点 2 点以上を固定する三次元網平均計算は 平均図に基づき行うものとする 一三次元網平均計算においては セミ ダイナミック補正を行うものとする 二三次元網平均計算の重量 (P) は 次のいずれかの分散 共分散行列の逆行列を用いるものとする イ基線解析により求められた分散 共分散の値ただし すべての基線の解析手法 解析時間が同じ場合に限る ロ水平及び高さの分散の固定値ただし 分散の固定値は d N =(0.004m) 2 d E =(0.004m) 2 d U =(0.007m) 2 とする 三新点の標高は 次の方法によって求めた値により決定するものとする イ日本のジオイド 2011 によりジオイド高を補正する方法ロ日本のジオイド 2011 が構築されていない地域においては GNSS 観測と水準測量等により 局所ジオイドモデルを求めジオイド高を補正する方法 8

四三次元網平均計算による各項目の許容範囲は 次表を標準とする 区分項目 許容範囲 斜距離の残差 100mm 新点水平位置の標準偏差 100mm 新点標高の標準偏差 200mm 附則 このマニュアルは 平成 25 年 4 月 26 日から施行する 附則 このマニュアルは 平成 26 年 4 月 1 日から施行する 附則 このマニュアルは 平成 27 年 7 月 22 日から施行する 9