高等学校における英語教育の現状と今後の方向性

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Ⅰ 評価の基本的な考え方 1 学力のとらえ方 学力については 知識や技能だけでなく 自ら学ぶ意欲や思考力 判断力 表現力などの資質や能力などを含めて基礎 基本ととらえ その基礎 基本の確実な定着を前提に 自ら学び 自ら考える力などの 生きる力 がはぐくまれているかどうかを含めて学力ととらえる必要があ

17 石川県 事業計画書

英語教育の在り方に関する有識者会議について < 委員一覧 50 音順 ( 平成 26 年 2 月 26 日現在 )> 座長 副座長 石鍋浩大津由紀雄佐々木正文髙木展郎多田幸雄藤村徹 松川禮子松本茂三木谷浩史安河内哲也 吉田研作 足立区立蒲原 ( かばら ) 中学校校長明海大学外国語学部教授東京都立町

【資料5】小中高等学校における外国語教育の現状

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1 高等学校学習指導要領との整合性 高等学校学習指導要領との整合性 ( 試験名 : 実用英語技能検定 ( 英検 )2 級 ) ⅰ) 試験の目的 出題方針について < 目的 > 英検 2 級は 4 技能における英語運用能力 (CEFR の B1 レベル ) を測定するテストである テスト課題においては

第 1 章総則第 1 教育課程編成の一般方針 1( 前略 ) 学校の教育活動を進めるに当たっては 各学校において 児童に生きる力をはぐくむことを目指し 創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で 基礎的 基本的な知識及び技能を確実に習得させ これらを活用して課題を解決するために必要な思考力 判

政策評価書3-3(4)

現課程の高校生の実態

生徒の英語力向上推進プラン

24 京都教育大学教育実践研究紀要 第17号 内容 発達段階に応じてどのように充実を図るかが重要であるとされ CAN-DOの形で指標形式が示されてい る そこでは ヨーロッパ言語共通参照枠 CEFR の日本版であるCEFR-Jを参考に 系統だった指導と学習 評価 筆記テストのみならず スピーチ イン

「標準的な研修プログラム《

3 審査基準等 4 参考 (2) 同書は 文字通り申請の為の事務的な手引きであるため 教科に関する科目 について 4 区分の取り扱いなどについての言及はない もちろん 教職課程の申請をする場合には 文部科学省初等中等教育局教職員課免許係との事前相談との中で 口頭による指導が行われ 成文化されていない

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ICTを軸にした小中連携

2019 年 2 月 12 日株式会社ベネッセホールディングス代表取締役社長安達保 進研ゼミ 受講費内で英語検定試験対策や入試対策も! 学年を超え英語 4 技能を学ぶ 12 段階習熟度別トレーニンク 導入 ~2019 年 4 月号教材から小中高講座で提供開始 ~ 株式会社ベネッセホールディングスの子

【資料6】平成26年度 高校3年生の英語力調査結果速報

123

4 研究内容 (1) 習得すべき目標指導計画を作成するには 生徒が身に付けるべき英語力の目標を設定することから始めなければならない ア中学校における英語教育の目標中学校において生徒が身に付けるべき英語力については 学習指導要領に次のように示されている ( 中学校における外国語教育の目標 ) 外国語を

A Research on Can-do Abilities and Ways of Teaching across Korea, China, and Japan

イ ディベート ディスカッション Ⅱ 時事英語 エッセイライティング Ⅰ エッセイライティング Ⅱ 必履修科目は 総合英語 Ⅰ 及び ディベート ディスカッション Ⅰ 話すこと 書くこと における発信力の強化や 高校生の卒業後の進路の多 様化などに対応するため より高度で専門的な科目を新設し 計 7

p.1~2◇◇Ⅰ調査の概要、Ⅱ公表について、Ⅲ_1教科に対する調査の結果_0821_2改訂

第 9 章 外国語 第 1 教科目標, 評価の観点及びその趣旨等 1 教科目標外国語を通じて, 言語や文化に対する理解を深め, 積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り, 聞くこと, 話すこと, 読むこと, 書くことなどのコミュニケーション能力の基礎を養う 2 評価の観点及びその趣旨

45 宮崎県

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目次 教員養成 研修外国語 ( 英語 ) コア カリキュラム ダイジェスト版 について p. 1 教員養成 研修外国語 ( 英語 ) コア カリキュラムの位置付けについて p. 1 小学校教員養成課程外国語 ( 英語 ) コア カリキュラム構造図 p. 2 学習項目と到達目標 p. 3 中 高等学校

2017 年 9 月 8 日 このリリースは文部科学記者会でも発表しています 報道関係各位 株式会社イーオンイーオン 中学 高校の英語教師を対象とした 中高における英語教育実態調査 2017 を実施 英会話教室を運営する株式会社イーオン ( 本社 : 東京都新宿区 代表取締役 : 三宅義和 以下 イ

平成 24 年度職場体験 インターンシップ実施状況等調査 ( 平成 25 年 3 月現在 ) 国立教育政策研究所生徒指導 進路指導研究センター Ⅰ 公立中学校における職場体験の実施状況等調査 ( 集計結果 ) ( ) は 23 年度の数値 1 職場体験の実施状況について ( 平成 24 年度調査時点

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事業概要

(2) 学習指導要領の領域別の平均正答率 1 小学校国語 A (%) 学習指導要領の領域 領 域 話すこと 聞くこと 66.6(69.2) 77.0(79.2) 書くこと 61.8(60.6) 69.3(72.8) 読むこと 69.9(70.2) 77.4(78.5) 伝統的な言語文化等 78.3(

学習意欲の向上 学習習慣の確立 改訂の趣旨 今回の学習指導要領改訂に当たって 基本的な考え方の一つに学習 意欲の向上 学習習慣の確立が明示された これは 教育基本法第 6 条第 2 項 あるいは学校教育法第 30 条第 2 項の条文にある 自ら進んで学習する意欲の重視にかかわる文言を受けるものである

4 単元の評価規準 コミュニケーションへの関心 意欲 態度 外国語表現の能力 外国語理解の能力 言語や文化についての知識 理解 与えられた話題に対し 聞いたり読んだりした 1 比較構文の用法を理解 て, ペアで協力して積極 こと, 学んだことや経 している 的に自分の意見や考えを 験したことに基づき

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資料3-1 英語教育の在り方に関する有識者会議 英語力の評価及び入試における外部試験活用に関する小委員会審議のまとめ 概要

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平成 28 年度全国学力 学習状況調査の結果伊達市教育委員会〇平成 28 年 4 月 19 日 ( 火 ) に実施した平成 28 年度全国学力 学習状況調査の北海道における参加状況は 下記のとおりである 北海道 伊達市 ( 星の丘小 中学校を除く ) 学校数 児童生徒数 学校数 児童生徒数 小学校

資料7 新学習指導要領関係資料

英語科学習指導案 京都教育大学附属桃山中学校 指導者 : 津田優子 1. 指導日時平成 30 年 2 月 2 日 ( 金 ) 公開授業 Ⅱ(10:45~11:35) 2. 指導学級 ( 場所 ) 第 2 学年 3 組 ( 男子 20 名女子 17 名計 37 名 ) 3. 場所京都教育大学附属桃山中

3-1. 新学習指導要領実施後の変化 新学習指導要領の実施により で言語活動が増加 新学習指導要領の実施によるでの教育活動の変化についてたずねた 新学習指導要領で提唱されている活動の中でも 増えた ( かなり増えた + 少し増えた ) との回答が最も多かったのは 言語活動 の 64.8% であった

各教科 道徳科 外国語活動 総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成するものとする 各教科 道徳科 総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成するものとする

平成 28 年度埼玉県学力 学習状況調査各学年の結果概要について 1 小学校 4 年生の結果概要 ( 平均正答率 ) 1 教科区分による結果 (%) 調査科目 羽生市 埼玉県 国語 算数 分類 区分別による結果 < 国語 > (%) 分類 区分 羽生市 埼

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文科省・28年度『選抜実施要項』変更点等|旺文社教育情報センター

平成 0 0 年 月 60 日現在 TOEF ibt テスト Educational Testing ervice 経済的に困難な受検生への配慮 eb サイト 00 年度 4~ 月月別実施予定回数 00 年度実施地区 CEF の測定領域 月 4~6 7~9 0~ 計 回数

スライド 1

2 教科に関する調査の結果 ( 各教科での % ) (1) 小学校 国語 4 年生 5 年生 6 年生 狭山市埼玉県狭山市埼玉県狭山市埼玉県 平領均域正等答別率 話すこと 聞くこと 書くこと

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(参考資料)高等学校等における英語教育の改善について

44 大分県

平成29年度 中学校英語科教育 理論研究

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楽しい外国語活動を目指して

山梨大学教職大学院専攻長 堀哲夫教授提出資料

商業科 ( 情報類型 ) で学習する商業科目 学年 単位 科目名 ( 単位数 ) 1 11 ビジネス基礎 (2) 簿記(3) 情報処理(3) ビジネス情報(2) 長商デパート(1) 財務会計 Ⅰ(2) 原価計算(2) ビジネス情報(2) マーケティング(2) 9 2 長商デパート (1) 3 プログ

回数テーマ学習内容学びのポイント 2 過去に行われた自閉症児の教育 2 感覚統合法によるアプローチ 認知発達を重視したアプローチ 感覚統合法における指導段階について学ぶ 自閉症児に対する感覚統合法の実際を学ぶ 感覚統合法の問題点について学ぶ 言語 認知障害説について学ぶ 自閉症児における認知障害につ

3 題材の目標 (1) (2) 4 題材の評価規準 ( 指導要録の四つの観点 ( 生活や技術への関心 意欲 態度 ) から題材の学習を通して目指す生徒の姿を示します ) 文章の語尾は 評価規準の作成, 評価方法の工夫改善のための参考資料 ( 中学校技術 家庭 ) 平成 23 年 11 月 ( 国立教

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( 移行措置の内容 ) 小 3 4: 新たに年間 15 単位時間 外国語活動 を実施する小 5 6: 現行の年間 35 単位時間に年間 15 単位時間を加え 外国語科 の内容を扱う ( 計 50 単位時間 ) (3) 先行実施について平成 年度に 移行措置による 15 単位時間に加え 各

結果からの考察 中学校 高校の英語の授業では音声指導や文法指導などが多く 話す 書く を含めた言語活動がまだ十分に行われていないという課題が明らかになりました 中高生の英語によるコミュニケーション能力の向上のためには 従来の文法中心の指導からの脱却が求められます 英語教員の多くは 英語で表現する機会

5 単元の評価規準と学習活動における具体の評価規準 単元の評価規準 学習活動における具体の評価規準 ア関心 意欲 態度イ読む能力ウ知識 理解 本文の読解を通じて 科学 について改めて問い直し 新たな視点で考えようとすることができる 学習指導要領 国語総合 3- (6)- ウ -( オ ) 1 科学

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教員の専門性向上第 3 章 教員の専門性向上 第1 研修の充実 2 人材の有効活用 3 採用前からの人材養成 3章43

(6) 調査結果の取扱いに関する配慮事項調査結果については 調査の目的を達成するため 自らの教育及び教育施策の改善 各児童生徒の全般的な学習状況の改善等につなげることが重要であることに留意し 適切に取り扱うものとする 調査結果の公表に関しては 教育委員会や学校が 保護者や地域住民に対して説明責任を果

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調査の概要調査方法 : インターネットによる調査調査対象 : 全国のイーオンキッズに通う小学生のお子様をお持ちの保護者 500 名全国の英会話教室に通っていない小学生のお子様をお持ちの保護者 500 名計 1,000 名調査実施期間 : イーオン保護者 :2017 年 4 月 1 日 ( 土 )~

福祉科の指導法 単位数履修方法配当年次 4 R 2 年以上 科目コード EC3704 担当教員佐藤暢芳 ( 上 ) 赤塚俊治 ( 下 ) 2017 年 11 月 20 日までに履修登録し,2019 年 3 月までに単位修得してください 2014 年度までの入学者が履修登録可能です 科目の内容 福祉科

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単元構造図の簡素化とその活用 ~ 九州体育 保健体育ネットワーク研究会 2016 ファイナル in 福岡 ~ 佐賀県伊万里市立伊万里中学校教頭福井宏和 1 はじめに伊万里市立伊万里中学校は, 平成 20 年度から平成 22 年度までの3 年間, 文部科学省 国立教育政策研究所 学力の把握に関する研究

授業概要と課題 第 1 回 オリエンテェーション 授業内容の説明と予定 指定された幼児さんびか 聖書絵本について事後学習する 第 2 回 宗教教育について 宗教と教育の関係を考える 次回の授業内容を事前学習し 聖書劇で扱う絵本を選択する 第 3 回 キリスト教保育とは 1 キリスト教保育の理念と目的

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2018 年 9 月 3 日 このリリースは文部科学記者会でも発表しています 報道関係各位 株式会社イーオンイーオン 中学 高校の英語教師を対象とした 中高における英語教育実態調査 2018 を実施 英会話教室を運営する株式会社イーオン ( 本社 : 東京都新宿区 代表取締役 : 三宅義和 以下 イ

平成 29 年度 全国学力 学習状況調査結果と対策 1 全国学力調査の結果 ( 校種 検査項目ごとの平均正答率の比較から ) (1) 小学校の結果 会津若松市 国語 A は 全国平均を上回る 国語 B はやや上回る 算数は A B ともに全国平均を上回る 昨年度の国語 A はほぼ同じ 他科目はやや下

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英語 ポイント 1 民間の資格 検定試験を用いて4 技能 ( 読む 聞く 書く 話す ) を評価 2 段階別評価 CEFR ( セファール ) を活用 3 大学入学共通テストでは 筆記 ( リーディング ) とリスニングを実施 ポイント 1 民間の資格 検定試験を用いて 4 技能 ( 読む 聞く 書

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Transcription:

1 高等学校における英語教育の現状と今後の方向性 資料 3-2 1 新学習指導要領 外国語 ( 平成 25 年度 ~) の改訂内容 2 3 新学習指導要領の趣旨に即した授業の実際 優れた取組を実践している高等学校の事例 4 新学習指導要領実施後の教員及び授業等の変容 5 今後の課題と方向性

2 学習指導要領改訂前及び改訂後の科目構成 改訂前 改訂後 4 技能を総合的に育成 聞く, 話す中心 読む中心 英語 Ⅰ:(3) 英語 Ⅱ: (4) OCⅠ:(2) OCⅡ:(4) リーディング :(4) コミュニケーション英語基礎 :(2) コミュニケーション英語 Ⅰ: (3) コミュニケーション英語 Ⅱ: (4) コミュニケーション英語 Ⅲ: (4) 英語表現 Ⅰ:(2) 英語表現 Ⅱ:(4) 新設 共通必履修 4 技能を総合的, 統合的に育成 論理的に表現する能力を育成 書く中心 ライティング :(4) は選択必履修 ( ) 内数字は単位数 英語会話 :(2) 会話中心 4 領域の言語活動を統合したコミュニーション能力の育成

3 新学習指導要領高等学校 外国語 のポイント (1) Ⅰ. 外国語科の目標 旧学習指導要領 外国語を通じて, 言語や文化に対する理解を深め, 積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り, 情報や相手の意向などを理解したり自分の考えなどを表現したりする実践的コミュニケーション能力を養う 新学習指導要領 外国語を通じて, 言語や文化に対する理解を深め, 積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り, 情報や考えなどを的確に理解したり適切に伝えたりするコミュニケーション能力を養う コミュニケーション能力 を養うためには, 生徒が実際に情報や考えなどの受け手や送り手となってコミュニケーションを行う活動が重要

課程現行課程高校必履修新 4 新学習指導要領高等学校 外国語 のポイント (2) Ⅱ. 指導語数の充実 中高で 3,000 語 高校で 1,800 語 中学校 1,200 語 コミⅠ 400 語 コミⅡ 700 語 コミⅢ 700 語 中学校 900 語 英語 Ⅰ 400 語 英語 Ⅱ 500 語 リーディング 900 語 高校選択 高校で 1,300 語 中高で 2,200 語 コミュニケーションを内容的に充実したものとするために, 指導すべき語数を増加 4

5 新学習指導要領高等学校 外国語 のポイント (3) Ⅲ. 文法指導の新しい視点 1 文法はコミュニケーションを支えるものとしてとらえ, 文法事項を言語活動と効果的に関連付けて指導する 2 用語や用法の区別などの指導が中心にならないように配慮し, 実際に活用できるように指導する 3 すべての文法事項を必履修科目 コミュニケーション英語 Ⅰ において扱う 文法 vs. コミュニケーション を二項対立的に捉えるのではなく, 文法はコミュニケーションを行うための基盤 実際に活用できるようにするという狙い

6 新学習指導要領高等学校 外国語 のポイント (4) Ⅳ. 英語による言語活動が授業の中心 授業は英語で行うことを基本とする その際, 生徒の理解の程度に応じた英語を用いるように十分配慮する 英語で授業をすることが目的ではなく, 生徒が英語に触れる機会を充実させ, 英語を英語のまま理解したり, 英語で発信しやすくするための手段 Ⅴ. 教材や題材の内容 4 技能を総合的に育成する活動に適した題材や内容を扱う 生徒の発達段階や, 興味関心に即して適切な題材を, 変化をもたせて取り上げる 素材ありきではなく, 目標及びそれを達成するための言語活動に応じて素材を選び, 生徒がまとまった発信をしやすくするようにすることが必要

7 事例 1: 北海道函館中部高等学校の実践 取 組 表現したい という生徒の意欲を引き出す英語指導 学校概要 公立, 全日制普通科 1 学年約 240 人 2003 年度 スーパー イングリッシュ ランゲージ ハイスクール (SELHi) 指定 取り組み内容 1 2 3 日常的に 英語で表現する 機会を多く持たせる ( 言語活動 ) さまざまな話題について考える, 話す内容を持つ, 英語で伝える機会の増加 コミュニケーション英語基礎 で 自分のことを話そうとする態度 を養う 3 年間の英語指導を見据えて, 言語活動の素地を育成 CAN-DO リスト作成で, 教員のノウハウを出し合う機会を作る そこからさらに新しい指導のアイディアを創出 4 教科書 を 教えるのではなく, 教科書 で 教えることを重視する レッスンをどう扱うかを検討し, 生徒にあわせた臨機応変な指導を展開

8 北海道函館中部高等学校の成果検証 (GTEC for STUDENTS にて ) 2012 年度 2 年生は,1 年次 4 月 12 月の 8 か月で 64 点の大幅な伸び ( 平均的なスコアの伸びは,1 年間で約 30~35 点 ) 特に Writing の伸びが目覚ましく, 高校卒業程度の英語力である グレード 5 の人数が,4 月時点 4 名 12 月時点 96 名と大幅に増加 GTEC 通信 ( ベネッセコーポレーション, 以下同じ ) Vol. 75 より <2012 年度 2 年生 Writing スコアの推移 > 2012 年度 3 年生 2012 年度 2 年生 2012 年度 2 年生 2012 年度 3 年生 GTEC for Studentsについて Reading, Listening, Writingの3 技能試験 スコア制の絶対評価で測定 Advanced( コミュ英 Ⅰ Ⅱ レベル) は Reading 320 点 Listening 320 点 810 点満点 Writing 170 点

9 事例 2: 石川県立金沢桜丘高等学校の実践 取 組 正解を当てる 授業からの脱却 学校概要 公立, 普通科一般 1 学年約 360 人 2009 年度 英語教育改善のための調査研究事業 指定 取り組み内容 1 2 3 教員の頭の中にある答えを生徒が当てる授業からの脱却する 間違ってもよいから自分の主張を伝えるという考え方を浸透 カリキュラムを新しく編成し,3 年間を通じて 4 技能を統合的に指導する コミュニケーションを通じて言語形式を定着 コミュニケーションのプロセスをそのまま授業に当てはめる レッスンの最後に何をさせたいかを意識した授業を展開 4 授業時間は授業でしかできないことをする 授業スタイル, 生徒の学習スタイルの双方が変化

10 石川県立金沢桜丘高等学校の成果検証 (GTEC for STUDENTS にて ) 指導改革が始まった 2009 年度 1 年生は,1 年次 4 月 12 月の 8 か月で 47 点の伸び 1 年次 12 月 2 年次 12 月の 1 年間で 48 点の伸び 2010 年度 1 年生は,1 年次 4 月 12 月の 8 か月で 50 点の伸び ( 平均的なスコアの伸びは,1 年間で約 30~35 点 ) 2009 年度 1 年生 GTEC 通信 Vol. 64 より 2010 年度 1 年生

11 事例 3: 北海道旭川北高等学校の実践 取 組 授業を通じて身に付けさせたい力から指導の流れと評価を考える ~CAN-DO 形式の到達目標作成と, それに基づく授業改善 ~ 学校概要 公立, 普通科 1 学年約 240 人 2005 年度国立教育政策研究所教育課程研究指定校事業 2007 年度 スーパー イングリッシュ ランゲージ ハイスクール (SELHi) 指定 取り組み内容 1 2 科目ごとの到達目標, 指導計画, 評価規準 方法を明確に示す 目標を達成するために活用するという観点で, 教科書や教材を検討 科目ごとの教員指導マニュアル, 生徒用予習補助プリントを示す 計画の共有はされつつ, 指導が多様になり, 教師間の情報交換が活発化 3 観点別学習状況の評価に CAN-DO リストを活かす CAN-DO リストと関心 意欲 態度の両面による多面的評価に留意

12 事例 3: 北海道旭川北高等学校 ( つづき 1) 2013 年度外国語英語 Ⅱ シラバス ( 旧課程 ) CAN-DO 型の明確な目標の設定 CAN-DO リストを観点別学習状況の評価に生かす

13 事例 3: 北海道旭川北高等学校 ( つづき 2) 北海道旭川北高等学校ホームページより すべての科目について 使用教科書 教員指導手順 生徒用予習補助プリントが示されていて, 指導方法が教員間でしっかり共有されている

14 公立高等学校 中等教育学校 ( 後期課程 ) の調査結果 (1) 英語担当教員の英語使用状況 普通科等の授業における英語担当教員の英語使用状況 ( 該当する英語担当教員の割合 ) H25 年度 ( 新課程 ) 英語表現 Ⅰ H22 年度英語 Ⅰ H22 年度英語 Ⅰ H25 年度 ( 新課程 ) コミュニケーション英語 Ⅰ 平成 22 年度公立高等学校における教育課程の編成 実施状況調査 平成 25 年度公立高等学校 中等教育学校 ( 後期課程 ) における英語教育実施状況調査

15 公立高等学校 中等教育学校 ( 後期課程 ) の調査結果 (2) 英語担当教員の英語力 英検準 1 級程度以上等 を取得している教員の割合 英検準 1 級以上等 : 英検準 1 級以上,TOEFL PBT 550 点以上, TOEFL CBT 213 点以上,TOEFL ibt 80 点以上,TOEIC 730 点以上 H22 年度 ( 旧課程 ) H25 年度 ( 新課程 ) 4% 増 平成 22 年度公立高等学校における教育課程の編成 実施状況調査 平成 25 年度公立高等学校 中等教育学校 ( 後期課程 ) における英語教育実施状況調査

16 公立高等学校 中等教育学校 ( 後期課程 ) の調査結果 (3) 生徒の言語活動の状況 普通科等の授業における生徒の英語による言語活動時間の割合 ( 該当する英語担当教員数の割合 ) H25 年度 ( 新課程 ) コミュニケーション英語 Ⅰ H25 年度 ( 新課程 ) 英語表現 Ⅰ 平成 25 年度公立高等学校 中等教育学校 ( 後期課程 ) における英語教育実施状況調査

17 公立高等学校 中等教育学校 ( 後期課程 ) の調査結果 (4) 学習到達目標の設定及び活用 CAN-DO リスト の形での学習到達目標の設定等状況 ( 該当する学科数の割合 ) うち, 達成状況を把握している学科 15.5% 同上 2.8% 普通科等 同上 29.3% 同上 11.0% H23 年度 ( 旧課程 ) 英語教育を主とする学科 H25 年度 ( 新課程 ) 平成 23 年度 国際共通語としての英語力向上のための 5 つの提言と具体的施策 に係る状況調査 岩手県, 宮城県, 福島県, 仙台市は実施せず 平成 25 年度公立高等学校 中等教育学校 ( 後期課程 ) における英語教育実施状況調査

18 英語ディベートに取り組む高校生 (1) ( 地区大会開催状況 ) 全国高校英語ディベート連盟 (HEnDA) が主催する 全国高校生英語ディベート大会 の予選も含め,2013 年 12 月時点で, 地区大会 ( 都道府県大会 ) が 37 都道府県で実施されている ( 実施率 78.7%)

19 英語ディベートに取り組む高校生 (2) ( 全国大会開催状況 ) 全国高校英語ディベート連盟 (HEnDA) 主催全国高校生英語ディベート大会第 1 回からの論題, 大会参加校数及び開催地 のべ参加校数 8 年間で 470 校 論題参加校数開催地 第 1 回日本は英語を第 2 公用語にすべきである 38 校岐阜 第 2 回日本のすべての小 中 高等学校は, 週 6 日制にすべきである 50 校名古屋 第 3 回日本は法的な成人年齢を 18 歳に引き下げるべきである 62 校岐阜 第 4 回日本国政府は派遣労働を禁止すべきである 64 校埼玉 第 5 回日本は移民政策を大幅に緩和すべきである 64 校岐阜 第 6 回日本は死刑を廃止すべきである 64 校石川 第 7 回日本の大学は 9 月から学年を始めるべきである 64 校千葉 第 8 回日本政府は輸入米の関税を撤廃すべきである 64 校長野 第 9 回 ( 予定 ) 日本政府は, 原子力発電所を廃止すべきである 64 校静岡 映像は長野県立伊那北高校 vs. 茨城県立竹園高校の準々決勝

20 今後の課題と方向性 1 小 中における英語教育改革と併せ, 初等中等教育全体を見据えた目標 ( ロードマップ ) が必要 英語を用いて何ができるようになるかという観点から, 小 中 高を通じて一貫した明確な学習到達目標の設定 2 高等学校でどこまでレベルを引き上げていくことが適切であるかの検討 グローバル化に対応した英語力を育成するため, すべての生徒が, 生徒の実情に応じた様々な方法 内容で 英語で発表する 英語で討論する 英語で交渉するといった言語活動の高度化 発表 などの Presentation + 討論 交渉 などの Interaction ( 例えば, 社会的な話題や時事問題等について, 英語で情報や考えなどをやりとりしながら課題解決していく力 )

21 今後の課題と方向性 3 学習到達目標を達成するための効果的な教材が必要 現在, 高等学校で使用されている教科書と, 世界標準の教材との比較検討 ( 日本の教科書に入っているもの, 入っていないもの ) 世界標準の教材を参考にしつつ, コミュニケーション能力の効果的な育成に資する言語活動が中心となった教科書等の教材開発 4 特定の技能に偏らず, 生徒の総合的なコミュニケーション能力を育成することができる教員が必要 現職の教員自身が受けてきた英語教育とは大きく異なる方法で指導や評価を行うことができる教員育成のための研修 一部の教員ではなく, すべての教員が研修を受ける機会の拡充 初任者研修, 経験者研修, 免許更新講習等における教科に係る研修時間の増加や研修内容の見直し 優れた実践をしている教員による他教員への研修を展開できる体制 ( 研修中の授業をカバーするための教員増 )

22 今後の課題と方向性 5 高等学校における高度な言語活動に対応できる指導力や英語力をもつ教員養成が必要 より実践的な英語教員養成カリキュラムの開発 教員養成課程における英語教育に係るコマの増 高等学校 大学 実社会が連携したプログラム ( 高等学校で優れた実践をしている現職教員や, 実社会で英語を使って活躍している人材が, 大学での教員養成課程で授業を行うなど ) 教員採用における英語力の更なる重視 ( 採用に当たり, 外部試験における一定の級やスコアの所持を求めるなど ) 6 高等学校における生徒の英語学習を適切に評価する大学入試が行われることが必要 学習指導要領と親和性がある 4 技能型入試の導入