児童相談所が虐待通告や子育ての悩み相談に対して確実に対応できる体制強化 滋賀県彦根子ども家庭相談センター菅野道英 児童相談所の使命 2 子どもの発達上のニーズを適切に充たし 現在 ~ 未来の 生きやすさ を保障する 子どもが発達の過程で示すさまざまな症状や問題についての相談に応じ 専門的支援を行って

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02-1 目次11ポイント

⑤5 地方公共団体における検証等に関する調査結果

に養育されるよう また 児童を家庭及び当該養育環境において養育することが適当でない場合は 児童ができる限り 良好な家庭的環境 において養育されるよう 必要な措置を講ずることとする ( 同法第 3 条の2) なお 家庭 とは 実父母や親族等を養育者とする環境を 家庭における養育環境と同様の養育環境 と

第 10 回児童虐待対応における司法関与及び特別養子縁組制度の利用促進の在り方に関する検討会 平成 29 年 1 月 16 日 参考資料 2 児童虐待対応における司法関与の在り方について ( これまでの議論の整理 ) 1. はじめに 平成 28 年 3 月 10 日に取りまとめられた 新たな子ども家

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(資料3)山野委員説明資料 2/2

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13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

府立高校 <P138> 支援学校 <P138> 保健センター <P139> 支援の必要な家庭の発見 子ども 保護者 親族からの相談 登校状況などを通して支援の必要な家庭を発見 (P50 表 2-3-4) 4 割程度が保護者の相談支援を実施 (P4 図 2-1-2) ケースに対応する中での課題として

長野県プレスリリース 平成16年7月23日

学力向上のための取り組み

高齢者虐待防止対応マニュアル別冊 6 関係機関との連携 (1) 各機関の役割 市町村や地域包括支援センター等の関係機関は それぞれ対応可能な範囲があります 範囲を超えた対応は行うことができません また 事例によって関係機関の対応を依頼する場合があります 市町村が中心となるコアメンバー会議によって 大

周南市版地域ケア会議 運用マニュアル 1 地域ケア会議の定義 地域ケア会議は 地域包括支援センターまたは市町村が主催し 設置 運営する 行政職員をはじめ 地域の関係者から構成される会議体 と定義されています 地域ケア会議の構成員は 会議の目的に応じ 行政職員 センター職員 介護支援専門員 介護サービ

1 発達とそのメカニズム 7/21 幼児教育 保育に関する理解を深め 適切 (1) 幼児教育 保育の意義 2 幼児教育 保育の役割と機能及び現状と課題 8/21 12/15 2/13 3 幼児教育 保育と児童福祉の関係性 12/19 な環境を構成し 個々 1 幼児期にふさわしい生活 7/21 12/

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「子ども・若者の生活困窮支援のあり方に関する研究」報告書

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地域子育て支援拠点事業について

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(1) 庁内外の関係機関と密に連携を図りつつ必要に応じてひとり親家庭を訪問 1 背景ひとり親家庭からの相談窓口に寄せられる相談件数は増加傾向にある また養育に問題を抱える父母からの相談 父母や子どもが精神的に不安定であるケースに関する相談等 相談内容やその背景も複雑化してきていることから 碧南市では

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資料 1 ~ ケース会議会議に向けて ~ 児童生徒生徒を理解理解しよう!! ケース会議を開催する前に 児童生徒の情報を整理することはとても大切です 情報を整理する中で 児童生徒に対して あるいは支援の在り方について 新たな発見や可能性を見出すことにつながります アセスメントシートアセスメントシート

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介護における尊厳の保持 自立支援 9 時間 介護職が 利用者の尊厳のある暮らしを支える専門職であることを自覚し 自立支援 介 護予防という介護 福祉サービスを提供するにあたっての基本的視点及びやってはいけ ない行動例を理解している 1 人権と尊厳を支える介護 人権と尊厳の保持 ICF QOL ノーマ

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Ⅰ 児童福祉法の理念の明確化等 全ての児童が健全に育成されるよう 児童を中心に その福祉の保障等の内容を明確化する (1) 児童の福祉を保障するための原理の明確化 児童は 適切な養育を受け 健やかな成長 発達や自立等を保障されること等の権利を有することを明確化 ( 児童福祉法 ) (2) 家庭と同様

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02-1 目次11ポイント

紀要2015年No indd

第28回介護福祉士国家試験 試験問題「社会の理解」

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看護師のクリニカルラダー ニ ズをとらえる力 ケアする力 協働する力 意思決定を支える力 レベル Ⅰ 定義 : 基本的な看護手順に従い必要に応じ助言を得て看護を実践する 到達目標 ; 助言を得てケアの受け手や状況 ( 場 ) のニーズをとらえる 行動目標 情報収集 1 助言を受けながら情報収集の基本

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料 情報の提供に関する記録 を作成する方法 ( 作成する時期 記録の媒体 作成する研究者等の氏名 別に作成する書類による代用の有無等 ) 及び保管する方法 ( 場所 第 12 の1⑴の解説 5に規定する提供元の機関における義務 8 個人情報等の取扱い ( 匿名化する場合にはその方法等を含む ) 9

H27 年度 子ども 若者総合支援センター エールぎふ 20 歳 18 歳 例 : 学校とセンターとの関係 子ども 若者総合支援センターは 社会の変化による子どもや若者に関する問題の複雑化 多様化に対応するため 平成 26 年 4 月に新設され 本年度で 2 年目となりました 支援を必要とする子ども

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2コアメンバー会議の開催時期コアメンバー会議は 事実確認調査で得られた情報や相談 通報内容に基づき 緊急性を判断し 緊急性が高いと判断される事例については 早急に開催します 3 協議内容 虐待の事実認定情報の内容により虐待の事実の有無の判断を行います 情報の内容虐待の事実の有無の判断 高齢者の権利を

 

P5 26 行目 なお 農村部は 地理的状況や通学時 間等の関係から なお 農村部は 地理的状況や通学時 間等から P5 27 行目 複式学級は 小規模化による学習面 生活面のデメリットがより顕著となる 複式学級は 教育上の課題が大きいことから ことが懸念されるなど 教育上の課題が大きいことから P

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山梨県社会福祉士会地域包括支援委員会アンケート調査結果 (43 部回収 22 事業所 ) 問 1 あなたの性別を教えてください 1) 男性 2) 女性 問 2 あなたの現在のご年齢をお答え下さい 1)20 代 2)30 代 3)40 代 4)50 代 5)60 代

イ -3 ( 法令等へ抵触するおそれが高い分野の法令遵守 ) サービスの態様に応じて 抵触のおそれが高い法令 ( 業法 税法 著作権法等 ) を特に明示して遵守させること イ -4 ( 公序良俗違反行為の禁止 ) 公序良俗に反する行為を禁止すること イ利用規約等 利用規約 / 契約書 イ -5 (


博士論文 考え続ける義務感と反復思考の役割に注目した 診断横断的なメタ認知モデルの構築 ( 要約 ) 平成 30 年 3 月 広島大学大学院総合科学研究科 向井秀文

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(目的)

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手順書03

本サイトにおける個人情報の利用目的は以下のとおりです 当社は 本人の同意なく目的の範囲を超えて利用しません (1) 本サイト会員登録者の個人認証及び会員向け各種サービスの提供 (2) インターネットまたは電話を通じて提供する 宿予約サービス 及びそれに付帯関連する業務の遂行 (3) 上記 (2) に

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を生かした環境を構成することも求められます 3 安全で保健的な環境次に 施設などの環境整備を通して 保育所の保健的環境や安全の確保などに努めること としています 子どもの健康と安全を守ることは保育所の基本的かつ重大な責任です 全職員が常に心を配り 確認を怠らず 子どもが安心 安全に過ごせる保育の環境

宮城県福祉サービス第三者評価のご案内(宮城県)

3) 適切な薬物療法ができる 4) 支持的関係を確立し 個人精神療法を適切に用い 集団精神療法を学ぶ 5) 心理社会的療法 精神科リハビリテーションを行い 早期に地域に復帰させる方法を学ぶ 10. 気分障害 : 2) 病歴を聴取し 精神症状を把握し 病型の把握 診断 鑑別診断ができる 3) 人格特徴

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答 申 第 1 審議会の結論名古屋市長 ( 以下 実施機関 という ) が 本件異議申立ての対象となる保有個人情報を一部開示とした決定は 妥当である 第 2 異議申立てに至る経過 1 平成 23 年 12 月 21 日 異議申立人は 名古屋市個人情報保護条例 ( 平成 17 年名古屋市条例第 26

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H28後 03 社会的養護

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Transcription:

児童相談所が虐待通告や子育ての悩み相談に対して確実に対応できる体制強化 滋賀県彦根子ども家庭相談センター菅野道英 児童相談所の使命 2 子どもの発達上のニーズを適切に充たし 現在 ~ 未来の 生きやすさ を保障する 子どもが発達の過程で示すさまざまな症状や問題についての相談に応じ 専門的支援を行っていく 時代の要請に応じて 30 年前は障害児療育 その後は登校拒否 そして現在は児童虐待 非行問題は常に 戦後 アメリカの児童精神科医のいるチャイルド ガイダンス クリニックをモデルにして整備された アメリカでは何種類かの専門機関に分かれていっている CPS( 児童保護局 )= 児相ではなく 児相機能の一部が独立機関になり 業務をおこなっている - 1 -

子どもの育ちを考える枠組み 3 安全 健康教育情緒 行動の発達同一性家族 社会との関わり社会参加セルフケアのスキル 基本的な養育安全性の保障情緒的な暖かさ適切な刺激指導としつけ安定性 Department of Health, Department of Education and Employment, and Home Office,2000 子どもの虹情報研修センター イギリスにおける児童虐待の対応視察報告書 (2007) をベースに加工 社会的資源 社会との関わり 収入 就労 住居 拡大家族 家族史と家族機能 確実に対応できる体制整備 質の異なる命題 4 虐待通告 と一括りにできない 泣き声通告 特定できなければ ローラー作戦 大半は サポートレベル 傷つき DV 環境通告 DV 被害者は児相虐待の加害者? タイムリーではない通告 関係機関通告 病院 : 重症例が多い 学校 : 性虐 不登校 出会えない 警察 : 非行 親が引き取らない 介入は入口 後が肝心 子どもの育ちに悪影響があることへの直面化の勧め 子どもの発達保障 養育スキルの改善 親子関係の修復 子育ての悩み相談 児相が専門機関として研究 洗練 保護者のさまざまな悩みに対応した支援 子どもの発達と支援 保護者や関係者との協働 第一義的窓口は市区町村に 一定の水準を担保するのは難しい? 専門職 専任配置の難しさ? 児相の支援力は低下傾向 地域特性に合った進化 福祉司と心理司のチーム対応が困難 経験年数の減少 発達に寄り添う 発達段階ごとに課題があり 長期間の支援が必要 担当できる数が限られる - 2 -

対応における異なる立ち位置 虐待対応 ( 介入的関与 ) 一般的相談対応 ( 支援的関与 ) 目的ウェルビーイング : 個人の権利や自己実現が保障され 身体的 精神的 社会的に良好な状態にあること 子どもの場合は 子どもが育ちの過程で獲得する必要がある価値観や物の捉え方や行動の様式などを安全 安心に獲得していくことを保障することを意識する必要がある 支援のための原則 子どもの安全 安心な生活を最優先し 法に定められた権限を行使していく ( リスクマネジメント ) 告知 聴取 丁寧な説明による理解と協力を求める努力はするが 義務権限の執行において同意 承諾は必須とならない むしろ不作為 ( 権限の不行使 ) をとがめられる ニードをスタートラインとして クライエントのペースに合わせ 受容 傾聴 同意 承諾を原則としてサポートしていく 対象者介入された家族自発的なクライエント ( 親 ) ゴール支援機関によって定義 アセスメント 第三者への調査を含む客観的情報に基づくアセスメント 守秘要保護児童対策地域協議会 ( 法定協議会 ) における情報共有が可能秘密の取り扱い : 秘密は虐待と仲良し だからオープンに 親権親権への明らかな制限 制止を含む対応親権に対して根拠をもって権限介入する義務 親子関係 専門職の役割と技術 親子の利害は独立と考え 時に利益相反も想定し 子の安全と最善の利益の保障が最優先子の安全のためには理由を示して親の抵抗排除 社会的統制と影響力をうまく行使するコーディネータ 受容と傾聴などの基礎的な技術 + 解決志向の面接技術 + サインズ オブ セイフティ等のフレームワーク クライエントによる定義 クライエントから提供される主観的情報に基づくアセスメント 承諾なしに連携や情報共有などはできない秘密の取り扱い : 秘密は安心の提供 良好な関係のあかし 親権を当事者の権利として上位に置く親権者の意に反する対応は原則的に不可 親子の利害は一体的な価値として考える親との良き相談関係が子に利益をもたらす クライエントが欲するものに焦点を合わせる促進者 治療構造論に基づく療法やソーシャルワークの技術 参考 引用山本恒雄 (2013) 児童虐待相談における初期調査と子どもからの事情聴取の専門性 およびそれらの基礎となる子どもの安全を軸とした介入的ソーシャルワークの在り方についての調査研究 こども未来財団 - 3 -

司法管理下の対応システム ( 英米 ) 7 CPS( 児童保護局 ) 通告受理 調査 保護 福祉警察 子どもの安全評価 援助方針の決定 裁判所 援助専門機関 在宅支援 分離 ( 統合 ) 援助の実施 分離 ( 自立 ) 里親 援助効果の評価 終 結 行政サービスの中の児相中心のシステム ( 日本 ) 8 通告受理 調 査 一時保護 子どもの安全評価 援助方針決定 在宅支援分離 ( 統合 ) 分離 ( 自立 ) 援助の実施 援助効果の評価 終結 安全確認ができない場合に 手順を経て裁判所の許可に基づく臨検捜索 同意が得られない場合に限り司法関与同意を得ない施設措置 親権停止 親権喪失 - 4 -

児相の工夫 : 告知をめぐって ( 参考 : 子ども総研. 山本恒雄氏 ) 加害責任 の指摘から 安全責任 へ 加害性の指摘 : あなたの行為は虐待 対立 : 虐待なのか しつけなのか 事故なのか 安全責任の告知 : あなたは子どもの安全の責任者 あなたには子どもの安全についての責任があるが この子どもの状態について あなたはどう思うのか? 子どもの安全確保の保護者責任と支援機関の責務 保護者には子どもが安全に生活し 成長していく権利を保障する義務があり 支援機関には子どもの安全を脅かすような事態を改善し 子どもの安全の回復を支援する責務がある 保護者 子どもが持っている 成長 適応 安定に向かう力 をいかに引き出していくのかが支援機関に問われる すべての安全が脅かされているわけではない 包括的アセスメント 9 通告の激増 圧倒的な人手不足と社会資源不足 通告に素早く対応するシステムにはなっていない 三桁化 110 番や 119 番と一緒ではないのだが 人手も無ければ 手順もスキルも統一されていない 長い支援の旅路 通告は入り口で 子どもたちの自立支援の始まり 対応件数は 実際の業務を表していない 児相に持っていけばどうにかしてくれると思われている 家庭や地域 学校で手におえない子ども達 ( 例えば 精神疾患や非行など ) 安全 安心に暮らせる場所と治療が必要なのだが資源がない 疑いのレベルでも関わっていかなければならない 被害 - 加害関係が明確でなくても 逮捕 処分保留 不起訴 10-5 -

確実に児相が機能するために必要なこと 11 虐待対応と相談支援は分割して別機関に さらに虐待対応は専門分業が必要 少なくとも 介入 調査部門 評価 支援計画作成部門 直接支援部門 職員の専門性の確保 仕事に就く前に 学校教育で準備ができない 専門研修期間が必要 基礎的な知識 ( 法律 支援技法 社会資源 ) から記録の書き方まで 調査研究機関の設置 専門性の向上のためには必須 標準自治体では どのような姿なのかのモデル提示 標準自治体 ( 人口 170 万人 ) に児童福祉司 36 人で対応 5 人に 1 人の SV にすると 30 人で 170 万人を担当 虐待の初動班を作ると 管理職も福祉司で 福祉司以外の職員構成 施設 里親といった社会的養護 標準的取扱件数は? 理想 : 日常的な相談と専門相談の階層システム 12 日常的な発達保障 相談は子どもの所属集団で 子どもへの教育や支援だけでなく 家族への支援 ( 養育力 & 環境 ) も業務の範疇にする 例えば 小学校には 窓口を設置し 中学校区に一つぐらいの相談機関を設置 相談機関では 福祉 保健 医療などの多職種配置によるチーム支援と専門相談機関へのつなぎ 課題によって一時的に集中的に支援する専門相談機関 課題別に専門機関を設置 虐待 発達障害 非行 登校拒否 etc. 課題によっては 機関を分けてシステム化 虐待 : 介入的な調査 情報収集と評価する機関 支援方針の決定と支援効果の評価をする機関 支援方針を受けて支援を行う機関 非行の場合 警察 家庭裁判所 少年院 保護観察所 - 6 -