化学療法を 受けられる方へ 京都府立医科大学附属病院A6号
1. はじめに このパンフレットは 患者さんや家族のみなさんに 化学療法の薬の使用について理解していただくためのものです これを読んでいただければ 化学療法について知りたいことや 化学療法期間中にどんな風に過ごしたらよいのかわかっていただけると思います 化学療法を受けている時に 自分の身体に関心をもち 副作用を和らげるためのちょっとした秘訣を知ることは あなたの体調によい影響を与えると思います 化学療法について疑問に思うことや 自分の身体に何か変化が現れてきたら 必ず医師や看護師に何でも伝えるようにして下さい そうすることで 副作用を軽減でき 身体のつらさを和らげるだけでなく 精神的にも安定して治療を受けられるでしょう これから治療がはじまりますが 医師や看護師と協力して 最後まで治療を乗り切りましょう 2. 化学療法とは 無事手術が終わり一安心しておられると思いますが 乳がんは早い時期から血液やリンパの流れにのって がん細胞が全身に回っている可能性があります 手術治療だけでは 再発を抑えることが出来ない場合がありますので 術後の再発を少しでも減らすために術後補助療法として全身の治療を行います 全身の治療には 抗がん剤を用いた化学療法とホルモン療法があります 当科での術後補助療法は 2 年ごとにスイスのザンクトガレンで行われている会議で出された結果を若干アレンジして行っています 一般的に 脇の下のリンパ節 ( 腋窩リンパ節 ) にがんの転移があった場合に 化学療法をすることにしています
3. 点滴中の注意点 化学療法の点滴をする時はナイロン製の留置針を入れますので トイレに行ったり食事をしたりできます 点滴をしている時に手を上げたりすると 血が逆流してくることがあります その時は手を下げてみて下さい それでも変わりがなければ看護師に言って下さい 入浴 シャワーについては 点滴が終われば入れますが できれば前日にも入っておきましょう
4. 副作用とは 抗がん剤は 分裂 増殖しようとするがん細胞だけでなく 正常細胞にもダメージを与えます 特に 消化管 ( 口から肛門まで ) 骨髄 毛髪の細胞へのダメージが大きいため 個人差はあるものの多くの場合 抗がん剤を使用するとそれらの正常細胞もダメージを受け 吐き気 嘔吐 脱毛および白血球減少といった症状 ( 変化 ) が起こります この症状 ( 変化 ) のことを副作用と言います 直後から数日まで数日以降 1 週間以降 2 週間以降数週間以降 顔面のほてり感 痒くなったり 息苦しくなったりする 心電図の異常 胸がドキドキしたり しめつけられる感じ 眠りにくくなる人が多い 吐き気 嘔吐 食欲低下 対処法の1) 参照 体のだるさ 下痢 便秘 対処法の2) 参照 口内炎 味覚の変化 対処法 1) 参照 感染 ( 発熱 悪寒 膀胱炎 ) 対処法の3) 参照 出血しやすい 対処法の3) 参照 貧血( めまい 動悸 冷汗 ) 対処法の3) 参照 脱毛 対処法の4) 参照 皮膚や爪などが黒っぽくなる *1: 血液を造る働きがおさえられること *2: 細菌を退治する *3: 血を止める *4: 体全体に酸素を運ぶ 胃や脳の嘔吐を抑える反射に影響下痢 : 腸の表面の細胞を壊し 腸の動きが活発になるため便秘 : 治療により排便に関係する神経が障害されたり 食事量 運動量が減ったりすることにより 腸の動きが妨げられるため粘膜への刺激がおこる骨髄抑制 (*1) により白血球 (*2) の生産を低下させる骨髄抑制により血小板 (*3) の生産を低下させる骨髄抑制により赤血球 (*4) の生産を低下させる毛根細胞への障害
5. 副作用への対処 1 ) 嘔気 食欲低下現在では 吐き気や嘔吐を抑えたり軽くしたりするとても良い薬があります 化学療法を受ける前に飲んでもらう 5 H T 3 受容体拮抗制吐剤 ( カイトリル ゾフラン セロトーン ナゼア ナボバン ) と 治療の次の日から飲んでもらうステロイドホルモンの投与などが有効です 処方された薬は 必ず内服して下さい また 食事の工夫も大切ですので 以下の事を参考にしてみてください 他に 談笑 テレビを見る 音楽を聴く 読書など気分転換を図ってみましょう エネルギー源 + 体をつくる + 調子を整える ごはん 魚 肉 野 菜 パ ン 卵 海 藻 めん類 豆 腐 きのこ いも類 乳製品 くだもの ビスケット < 食欲がない時の工夫 > 食べたいものを食べたい時に少しずつ食べましょう 食事の内容としては 左の表を参考に それぞれの群から少しずつでもバランスよく食べるのが望ましいです 食欲増進のために 味付けや風味に変化をつけてみましょう ( 例えばしそ しょうが みょうが レモン ゆず 山椒などを利用してみましょう ) また 食前酒を少量飲むのもいいでしょう
< 吐き気 嘔吐のある時の工夫 > 脂っこい食べ物や揚げ物は 消化しにくいので 避けたほうがよいでしょう 温かい食事やピーマン セロリ 焼き魚など独特のにおいは 吐き気をおこしやすくすることがあるので 避けたほうがよいでしょう 嘔吐が頻回な時には 水分 カリウムが失われてしまうので 果物全般 ( 特にバナナですが 他にキウイ メロンなど ) 生野菜 イモ類 スポーツドリンクから 水分 カリウムを補うようにしましょう 食後すぐに横になると 嘔吐しやすいです そのため 食後できれば座っているか 横になるにしても 頭を高くして休みましょう < 口内炎ができた時 > 熱い物 酸っぱい物 辛い物 固い物 スパイス系の香辛料など 口にしみるような刺激のある物は避けましょう 冷たい食品や ペースト状 流動食 ( ヨーグルトやゼリー ) などは食べやすいです ストローを使用するのもいいでしょう 食事の後は うがいなどをして 口腔内を清潔にしましょう < 味覚が変化した時 > 濃い味付けにしてみましょう レモン ミントによる風味付けや 漬物 酢の物などの酸味食物をとりいれてみましょう 病院からの食事が食べにくい時は 以下の例のように変更できますので 看護師に相談してください かゆ食に変える ( 基本的に朝はパンです ) めん類にする 3 食とも 米飯又はかゆ食にする 量が多い方は 半量食にする
2 ) 便秘 下痢 < 便秘 > 十分に水分を摂る 食物繊維の多い食品を摂る 適度な運動をする おなかを温めたり 腹部マッサージをする 普段から便秘の方は治療するといつもより便秘しやすくなります 便秘が続く時は緩下剤 ( カマグ : 便を軟らかくする ) または下剤 ( プルゼニド : 腸を動かす ) を処方しますので 医師または看護師に相談しましょう < 下痢 > 少量ずつ頻回に食べる 繊維の多い食事及び生の魚介類 生肉は避ける 刺激物は避ける ( コーヒー 紅茶 お酒 甘い飲み物 揚げ物 油っぽいもの 香辛料 炭酸飲料など ) 牛乳や乳製品は 下痢がひどくなるようなら避ける 下痢で失った水分を補えるように 水分をたくさん摂る 冷たすぎたり 熱すぎたりするものは避ける 腹部の保温に努める 排便ごとに肛門周囲を清潔にするか ウォシュレットを使用しましょう 肛門の周りの皮膚に赤みやただれなどがあるときは 軟膏などを使用するとよいので 医師に相談しましょう 下痢のひどい時も医師に相談するか 受診に来られないときは 薬剤師のいる薬局で相談しましょう
3 ) 骨髄抑制 < 感染 > できれば毎日 シャワーか入浴 更衣をしましょう 入浴できない日は 体を拭いたり 肛門や陰部の清潔に努めましょう 白血球が下がっている時は 注射をすることがあります 白血球が下がってる時は免疫力が落ちていますので以下のことに気をつけましょう こまめに手洗い うがいをしましょう 外出時は マスクをつけましょう 人ごみを避けましょう できるだけ風邪の人には 近づかないようにしましょう < 貧血 > 十分に休養を取るようにしましょう 鉄分や蛋白を多く含んだ食事をとりましょう < 鉄分の多い食品 > レバー ひじき プルーン にぼし ワカメ < 蛋白の多い食品 > 卵 肉 魚 大豆 乳製品 急激な動きを避け ゆっくりと動くようにしましょう 貧血が強い時は 輸血をすることがあります ほうれん草 < 出血傾向 > 採血の後など 確実に血が止まったことを確認しましょう 転倒 打撲に注意しましょう 鼻を強くかまないようにしましょう 歯ブラシは軟らかいものを使用しましょう 締め付けの強い衣服はさけましょう 血小板が少なくなっている時は 輸血をすることがあります
4 ) 脱毛脱毛は 普通 治療が始まって 2 週間程度で抜け始め 治療が終わり 8 週間程度で必ず再生が始まります 生えてくる髪は 色や質が以前と違うこともあります < 頭皮と髪を手入れするために > 髪を短く切りましょう 帽子 ( バンダナ スカーフ ) を使用しましょう 気になる方は 外出時にかつらを利用しましょう 頭皮への刺激を避けましょう 低刺激のシャンプーを利用しましょう 毛先の軟らかいブラシを使いましょう パーマ カラーリングは避けたほうがよいでしょう 脱毛がひどい時は 日光から頭皮を守るために 日焼け止め スカーフ 帽子を使用しましょう 6. 化学療法中の過ごし方 化学療法中は仕事や家事など今までどおり過ごしてもらってもかまいません しかし 体調が悪い時は無理をせず 休むようにしましょう また 趣味や旅行 お酒を飲むなど 気分転換を図るのもよいでしょう 7. さいごに 今回受けられる化学療法で 副作用 ( 消化器症状 白血球の変動等 ) や体調の変化をご自身で記入できる経過用紙をはさんでいます 例えば 食欲 胃の不快感 吐き気が出てきた時期や程度など その他の欄は表に書ききれなかったことや副作用の対応で良かったことなど日記形式でもよいので 自由に記入してみてください そして 次の治療の時に 副作用を和らげるために活用しましょう
日時例 / / / / / / 治療から何日目白血球 / 好中球 日目日目日目日目日目日目日目日目 体温 朝 ) パン 1/2 枚牛乳 1 本サラダ 5 口 食事量 昼 ) ご飯 茶碗 1/2 夕 ) ご飯 茶碗 1/2 魚 1 切れ 排便 胃部不快 硬め 1 回 ややあり 朝少しあり 吐き気 なし 嘔吐 少しあり だるさ 8 時カイトリル 1 錠 その他
日時 / / / / / / / 治療から何日目白血球 / 好中球 日目日目日目日目日目日目日目 体温 食事量 排便 胃部不快 吐き気 嘔吐 だるさ その他
日時 / / / / / / / 治療から何日目白血球 / 好中球 日目日目日目日目日目日目日目 体温 食事量 排便 胃部不快 吐き気 嘔吐 だるさ その他