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標準生理学 ( 第 8 版 ) 第 1 刷正誤表 このたびは 標準生理学 ( 第 8 版 ) をご購入いただきまして誠にありがとうございます 本書の第 1 刷 (2014 年 3 月 27 日発行 ) に 以下の誤りがございましたので, ここに訂正させていただきますとともに深くお詫び申し上げます [ 更新履歴 ] 2016/05/16 150 頁の 1 件を追加, 更新 2015/10/05 作成 2016 年 5 月現在 訂正箇所 誤 正 040 頁 左段 下から9 行目 ph=-ln a H+ /(2.303 RT) ph=-ln a H+ /2.303 040 頁 右段 下から6 行目 G =( N w G w+n i G i) / ( 1,0 0 0 / W w+m i) G =( N w G w+n i G i) ( 1,0 0 0 / W w+m i) 101 頁 右段 下から10-11 行目 LQT 2 : HERG の異常による. LQT 3 : SCN 5 A の異常による. Na+ チャネルである. LQT 2 : KV11.1(HERG) の異常による. LQT 3 : NaV1.5(SCN 5 A) の異常による.Na+ チャネルの異常である. 150 頁 表 6-5 誤りがございました 正しい表は, このPDFファイルの4ページをご 覧ください 272 頁 図 13-16 図説 縦軸 : 細胞密度 (0.069mm 2当たり ). 縦軸 : 細胞密度 (0.0069mm 2当たり ). 274 頁 表 13-3 明時の ON 型双極細胞 mglur6 の活性化 : 小 過分極 伝達物質 ( グルタミン酸 ) 放出 多 mglur6 の活性化 : 小 脱分極 伝達物質 ( グルタミン酸 ) 放出 多 274 頁 右段 上から 8 行目チャネルが開口して脱分極が起こっているチャネルが閉口して過分極が起こっている 290 頁 左段 上から 4 行目青錐体の機能が欠損している場合を青錐体 1 色覚とよぶ. 赤錐体と緑錐体の機能が欠損している場合を 青錐体 1 色覚とよぶ. 青錐体のみの欠損は 3 型 2 色覚とよぶ. 306 頁 右段 下から2 行目 膜抵抗が低いため, 膜抵抗が大きいため, 308 頁 左段 上から4 行目 膜抵抗が低いため, 膜抵抗が小さいため, 309 頁 左段 上から13 行目 一方, 術前は長趾伸筋を支配 一方, 術前は長趾屈筋を支配 314 頁 左段 上から1-2 行目 核袋線維は細くて短く, 核鎖線維は細くて短く, 320 頁 図 16-12 (a) の図説それぞれ,Ⅰa 群線維の発射活動 ( 上段 ) なら びに Ⅰb 群線維の発射活動 ( 中段 ) を用いて 比較した. それぞれ,Ⅰb 群線維の発射活動 ( 上段 ) なら びに Ⅰa 群線維の発射活動 ( 中段 ) を用いて 比較した. 438 頁 左段 上から1,5,6 行目右段 上から5,11,19 行目図 23-7 図説 490 頁 左段 11-21 行目 * 欄外の注釈も参照 主体的輪郭線となってpHの変化を防ぐことになるが, 実際にはこの系ではpKaは約 6.1であり, 次式で表される. 主観的輪郭線となってpHの変化を防ぐことになる. ph7.4 付近ではHCO3 - H2CO3の関係で, 約 20 倍の差がある. すなわち緩衝系としては塩 標準生理学 ( 第 8 版 ) 第 1 刷正誤表 1 / 5 ページ 2016 年 5 月株式会社医学書院

訂正箇所誤正 ph=6.1+log [HCO 3 -] [H2CO 3] ph7.4 付近ではHCO3 - H2CO3の関係で, 約 20 倍の差がある. すなわち緩衝系としては塩基側には限定された緩衝能しかもたないが, 酸性側にはかなり大きな緩衝能をもっていると考えられる. 実際にはこの緩衝系は開かれた系であり, 呼吸からCO2が排泄される. H2CO 3 CO2+H2O またHCO 3 - も腎臓からの排泄の影響を受ける. 基側には限定された緩衝能しか持たないが, 酸性側にはかなり大きな緩衝能を持っていると考えられる. 上式からは ph=pk +log[hco 3 - ]/[H2CO 3] となるが, 実際にはこの緩衝系は開かれた系であり, 呼吸から二酸化炭素が排泄される. H2CO3 CO 2( 液相 )+H2O( 血液中 ) CO 2( 液相 ) CO 2( 気相 ) 臨床的にはCO 2( 液相 ) は, 溶解度を考慮して測定される二酸化炭素分圧の値に0.03をかけ て 0.03 PaCO 2( 動脈血二酸化炭素分圧 ) で表わされる. ph=6.1+log[hco 3 - ]/0.03 PaCO2 490 頁 右段 上から 13-15 行目 ph=6.1+log23/2.2=6.1+log10.45= 6.1+1.02=7.12 となる.pH 変化は -0.28 のみである. ph=pk +log[hco 3 - ]/[H2CO 3] を基に考えるとlog20とlog10.45の差であるのでpH 変化は-0.28のみである. さらに 618 頁 左段 上から10-19 行目これは筋線維ごとに刺激閾値が異なっており, 小さい張力を発生する場合には運動神経からくるインパルス頻度が小さく, 閾値の低い少数の筋線維のみが興奮 収縮する. 一方で, 大きな張力を発生する必要がある場合は, 運動神経からのインパルス頻度が高くなり, 閾値の高い筋線維までが興奮 収縮するため, 活動張力も大きくなる. このように, 動員される筋線維の数を変化させることによって, 発生する張力の大きさが調節されている ( 図 37-44). これは,α 運動神経とそれに支配される筋線維群からなる運動単位ごとに興奮しやすさが異なっているからである ( 図 37-44). 小さい張力を発生する場合には興奮しやすい運動単位のみが興奮するため, 少数の筋線維のみが興奮 収縮する. 一方で, 大きな張力を発生する必要がある場合はインパルス頻度の上昇によってシナプス入力に対して閾値の高い運動単位も動員されるようになるため, より多くの筋線維が興奮 収縮して活動張力が増大する. このように動員される運動単位 ( 結果として動員される筋線維 ) の数を変化させることによって, 発生する張力の大きさが調節されている ( 詳細は309ページ参照 ). 618 頁 図 37-44 誤りがございました 正しい図は, この PDF ファイルの 5 ページをご 覧ください 618 頁 図 37-44 図説 2 行目と 4 行目 筋線維 運動単位 ここまでの 3 箇所を訂正済の 618 頁は この PDF ファイルの 5 ページです 621 頁 図 37-49 図中の左心室圧 25/0 mmhg 120/0 mmhg 945 頁 図 70-2 右下 コレステロー ル の左下部分 HO= HO- ( 二重線を一重線に訂正 ) 標準生理学 ( 第 8 版 ) 第 1 刷正誤表 2 / 5 ページ 2016 年 5 月株式会社医学書院

*4 9 0 頁重炭酸緩衝系に関する注釈 + この緩衝作用を血液に加わる酸から考えると,H +HCO H CO CO +H O となる. 平衡式は 3 2 3 2 2 K1=[H + ][HCO 3 - ]/[H2CO 3] K2=[H2CO 3]/[CO 2][H2O] となる. すなわち [HCO 3 - ]=[H + ][HCO 3 - ]/K1 [H2CO 3]=K2[CO 2][H2O] となるが, 緩衝液中はもちろん血液中でもH2Oは大量なので,[H2O] 変化は極めて小さく一定と考えれば, [H2CO 3]=K2 [CO 2] [H + ]=K1K2 [CO 2]/[HCO 3 - ] となる. あらたな定数 K3を設定して [H + ]=K3[CO 2]/[HCO 3 - ] と表わされる. その結果, log[h + ]=logk3+log[co 2]/[HCO 3 - ] ここでマイナスの対数をpH,pK 3と表記すること,-log[H + ]=log1/[h + ] なので, 記号を変えて, -log[h + ]=-logk3-log[co 2]/[HCO 3 - ] ph=pk 3 +log[hco 3 - ]/[CO 2] となる. 臨床における動脈血ガス分析で, 血液ガス分析装置が直接測定しているものは, 酸素分圧 (PaO 2) 炭酸ガス分圧(PaCO 2) とpHの3 つであり, それ以外のパラメーター ( 重炭酸イオン [HCO 3 - ] など ) は前述の3つの基本数値から計算している. 血液中の [CO 2] は溶解係数から0.03 PaCO2として使われる. この時のpK 3の値は6.1を用いるのが一般的である. ( 実験的にもとめたK1=2.7 10-4 M,K2 =3.0 10-3MからK3=8.1 10-7M2となり,pK 3=6.1となる ). したがって, 本文のpH=6.1+log[HCO 3 - ]/0.03 PaCO2が求められる. 以上 標準生理学 ( 第 8 版 ) 第 1 刷正誤表 3 / 5 ページ 2016 年 5 月株式会社医学書院

表 6-5 アドレナリン受容体 ファミリー G タンパク質作用 α1 α2 β1~3 Gq Gi Gs ホスホリパーゼ C IP3,DG アデニル酸シクラーゼ K + チャネル 過分極 アデニル酸シクラーゼ K + チャネル 脱分極 標準生理学 ( 第 8 版 ) 第 1 刷正誤表 4 / 5 ページ 2016 年 5 月株式会社医学書院

618 第 37 章心臓の働き 上昇していることがわかる. このように心筋では, 収縮タンパクのオーバーラップの長さの変化とともに, 収縮タンパクの Ca 2+ 感受性の変化が張力 - 長さ関係に大きくかかわっていることがわかる. 伸展によって Ca 2+ 感受性が上昇する理由は, いまだ十分に解明されていない. 5 収縮性 A 心筋における活動張力の調節 1 骨格筋では, 軽い物を持ち上げる場合と, 重い物を持ち上げる場合とで, 発生する力は異なっている. これは,α 運動神経とそれに支配される筋線維群からなる運動単位ごとに興奮しやすさが異なっているからである ( 図 37-44). 小さい張力を発生する場合には興奮しやすい運動単位のみが興奮するため, 少数の筋線維のみが興奮 収縮する. 一方で, 大きな張力を発生する必要がある場合はインパルス頻度の上昇によってシナプス入力に対して閾値の高い運動単位も動員されるようになるため, より多くの筋線維が興奮 収縮して活動張力が増大する. このように動員される運動単位 ( 結果として動員される筋線維 ) の数を変化させることによって, 発生する張力の大きさが調節されている ( 詳細は 309 ページ参照 ). 心筋の場合, 前述のように 1 個の心筋細胞の興奮は次々に隣接する細胞を興奮させ, 心房, 心室は全体として興奮 収縮するため, 動員される心筋細胞の数を変化させることで発生する張力の大きさを調節することはできない. 心臓において, 活動張力の大きさを調節するメカニズムが収縮性 contractility である. B 収縮性の由来 収縮性とは, 細胞内 Ca 2+ 濃度によって調節されている収縮力である. 活動電位のプラトー相で細胞内に流入した Ca 2+ と,Ca 2+ 誘発性 Ca 2+ 遊離で筋小胞体から放出された Ca 2+ によって収縮の引き金が引かれることは前述した. しかし, これらによって上昇する細胞内の Ca 2+ 濃度はすべての連結橋を活性化させるには不十分である. すべての連結橋を活性化する, つまり各筋長において最大の張力を発生させるために必要な細胞内 Ca 2+ 濃度は約 10 μm であるが, 実際に上昇する細胞内 Ca 2+ 濃度は 0.5 2 μm にすぎない ( 非興奮時の細 2 胞内 Ca 2+ 濃度は約 0.1 μm). このため, 生理的に発生している張力は最大張力の 40% 程度にすぎない. しかしこの事実は, 細胞内で上昇する Ca 2+ 濃度を調節することによって, 発生される張力の調節ができることを意味している. このように心筋は伸展の程度 ( スターリングの法則 ) と収縮性による二重の調節を受けている. C 収縮性を変化させる要因 図 37-44 骨格筋の発生張力の調節 1 本の α 運動神経によって複数の筋線維が支配される ( 運動単位 ). 弱い刺激では, 閾値の低い運動単位のみが興奮し, 収縮する ( 赤く塗った筋線維 ) ため, 発生する張力は小さい. 刺激が強くなると, より多くの運動単位が動員されるため, 発生する張力は増大する. 収縮性を上昇させるには, 細胞内に流入する Ca 2+ の量を増加させるか, 細胞外に汲み出される Ca 2+ の量を減少させればよい. 流入する Ca 2+ 量を増加させる最も単純な方法は, 細胞外液の Ca 2+ 濃度を上昇させることであり, これによってプラトー相で流入する Ca 2+ が増え, その結果, 筋小胞体に取り込まれる 標準生理学 ( 第 8 版 ) 第 1 刷正誤表 5 / 5 ページ 2016 年 5 月株式会社医学書院