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15 氏 名 し志 だ田 よう陽 すけ介 学位の種類学位記番号学位授与の日付学位授与の要件 博士 ( 医学 ) 甲第 632 号平成 26 年 3 月 5 日学位規則第 4 条第 1 項 ( 腫瘍外科学 ) 学位論文題目 Clinicopathological features of serrate

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標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

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( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 大道正英 髙橋優子 副査副査 教授教授 岡 田 仁 克 辻 求 副査 教授 瀧内比呂也 主論文題名 Versican G1 and G3 domains are upregulated and latent trans

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ただ太っているだけではメタボリックシンドロームとは呼びません 脂肪細胞はアディポネクチンなどの善玉因子と TNF-αや IL-6 などという悪玉因子を分泌します 内臓肥満になる と 内臓の脂肪細胞から悪玉因子がたくさんでてきてしまい インスリン抵抗性につながり高血糖をもたらします さらに脂質異常症

関係があると報告もされており 卵巣明細胞腺癌において PI3K 経路は非常に重要であると考えられる PI3K 経路が活性化すると mtor ならびに HIF-1αが活性化することが知られている HIF-1αは様々な癌種における薬理学的な標的の一つであるが 卵巣癌においても同様である そこで 本研究で

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 森脇真一 井上善博 副査副査 教授教授 東 治 人 上 田 晃 一 副査 教授 朝日通雄 主論文題名 Transgene number-dependent, gene expression rate-independe

( 続紙 1 ) 京都大学 博士 ( 薬学 ) 氏名 大西正俊 論文題目 出血性脳障害におけるミクログリアおよびMAPキナーゼ経路の役割に関する研究 ( 論文内容の要旨 ) 脳内出血は 高血圧などの原因により脳血管が破綻し 脳実質へ出血した病態をいう 漏出する血液中の種々の因子の中でも 血液凝固に関

東邦大学学術リポジトリ タイトル別タイトル作成者 ( 著者 ) 公開者 Epstein Barr virus infection and var 1 in synovial tissues of rheumatoid 関節リウマチ滑膜組織における Epstein Barr ウイルス感染症と Epst

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調剤ミス防止対策における調剤室環境整備とヒューマンエラーの関連性の分析

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ルグリセロールと脂肪酸に分解され吸収される それらは腸上皮細胞に吸収されたのちに再び中性脂肪へと生合成されカイロミクロンとなる DGAT1 は腸管で脂質の再合成 吸収に関与していることから DGAT1 KO マウスで認められているフェノタイプが腸 DGAT1 欠如に由来していることが考えられる 実際

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2

Wnt3 positively and negatively regu Title differentiation of human periodonta Author(s) 吉澤, 佑世 Journal, (): - URL Rig

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 松尾祐介 論文審査担当者 主査淺原弘嗣 副査関矢一郎 金井正美 論文題目 Local fibroblast proliferation but not influx is responsible for synovial hyperplasia in a mur

わが国における糖尿病と合併症発症の病態と実態糖尿病では 高血糖状態が慢性的に継続するため 細小血管が障害され 腎臓 網膜 神経などの臓器に障害が起こります 糖尿病性の腎症 網膜症 神経障害の3つを 糖尿病の三大合併症といいます 糖尿病腎症は進行すると腎不全に至り 透析を余儀なくされますが 糖尿病腎症

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学位論文審査結果報告書

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甲37号

study のデータベースを使用した このデータベースには 2010 年 1 月から 2011 年 12 月に PCI を施行された 1918 人が登録された 研究の目的から考えて PCI 中にショックとなった症例は除外した 複数回 PCI を施行された場合は初回の PCI のみをデータとして用いた

-3- Ⅰ 市町村国保の状況 1 特定健康診査受診者の状況 平成 23 年度は 市町村国保 (41 保険者 )98,439 人の特定健康診査データの集計を行った 市町村国保の診者数は男性 女性ともに 歳の割合が多く 次いで 歳 歳の順となっている 男性 女性 総数

CQ1: 急性痛風性関節炎の発作 ( 痛風発作 ) に対して第一番目に使用されるお薬 ( 第一選択薬と言います ) としてコルヒチン ステロイド NSAIDs( 消炎鎮痛剤 ) があります しかし どれが最適かについては明らかではないので 検討することが必要と考えられます そこで 急性痛風性関節炎の

(2) レパーサ皮下注 140mgシリンジ及び同 140mgペン 1 本製剤については 最適使用推進ガイドラインに従い 有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間 本製剤の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに 副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件

リーなどアブラナ科野菜の摂取と癌発症率は逆相関し さらに癌病巣の拡大をも抑制する という報告がみられる ブロッコリー発芽早期のスプラウトから抽出されたスルフォラフ ァン (sulforaphane, 1-isothiocyanato-4-methylsulfinylbutane) は強力な抗酸化作用

50% であり (iii) 明らかな心臓弁膜症や収縮性心膜炎を認めない (ESC 2012 ガイドライン ) とする HFrEF は (i)framingham 診断基準を満たす心不全症状や検査所見があり (ii) は EF<50% とした 対象は亀田総合病院に 年までに初回発症

特定健康診査及び特定保健指導に係る自己負担額の医療費控除の取扱いの一部変更について(厚生労働省健康局長、保険局長:H )

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く 細胞傷害活性の無い CD4 + ヘルパー T 細胞が必須と判明した 吉田らは 1988 年 C57BL/6 マウスが腹腔内に移植した BALB/c マウス由来の Meth A 腫瘍細胞 (CTL 耐性細胞株 ) を拒絶すること 1991 年 同種異系移植によって誘導されるマクロファージ (AIM

(別紙様式1)

京都大学博士 ( 工学 ) 氏名宮口克一 論文題目 塩素固定化材を用いた断面修復材と犠牲陽極材を併用した断面修復工法の鉄筋防食性能に関する研究 ( 論文内容の要旨 ) 本論文は, 塩害を受けたコンクリート構造物の対策として一般的な対策のひとつである, 断面修復工法を検討の対象とし, その耐久性をより


博 士 学 位 論 文

婦人科63巻6号/FUJ07‐01(報告)       M

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 庄司仁孝 論文審査担当者 主査深山治久副査倉林亨, 鈴木哲也 論文題目 The prognosis of dysphagia patients over 100 years old ( 論文内容の要旨 ) < 要旨 > 日本人の平均寿命は世界で最も高い水準であり

肥満者の多くが複数の危険因子を持っている 肥満のみ約 20% いずれか 1 疾患有病約 47% 肥満のみ 糖尿病 いずれか 2 疾患有病約 28% 3 疾患すべて有病約 5% 高脂血症 高血圧症 厚生労働省保健指導における学習教材集 (H14 糖尿病実態調査の再集計 ) より

インプラント周囲炎を惹起してから 1 ヶ月毎に 4 ヶ月間 放射線学的周囲骨レベル probing depth clinical attachment level modified gingival index を測定した 実験 2: インプラント周囲炎の進行状況の評価結紮線によってインプラント周囲

2015 年 11 月 5 日 乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善 株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) では アトピー性皮膚炎患者を対象に 乳酸菌 ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下 乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下 乳酸菌発酵果

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博士学位論文 内容の要旨および審査結果の要旨 2018 年度中部学院大学 氏名 ( 本籍 ) 小川征利 ( 岐阜県 ) 学位の種類 博士 ( 社会福祉学 ) 学位授与の日付 2019 年 3 月 21 日 学位番号 甲第 8 号 学位授与の要件 中部学院大学学位規則第 4 条の規定による 学位論文題

助成研究演題 - 平成 23 年度国内共同研究 (39 歳以下 ) 重症心不全の集学的治療確立のための QOL 研究 東京大学医学系研究科重症心不全治療開発講座客員研究員 ( 助成時 : 東京大学医学部附属病院循環器内科日本学術振興会特別研究員 PD) 加藤尚子 私は 重症心不全の集学的治療確立のた

図 1 マイクロ RNA の標的遺伝 への結合の仕 antimir はマイクロ RNA に対するデコイ! antimirとは マイクロRNAと相補的なオリゴヌクレオチドである マイクロRNAに対するデコイとして働くことにより 標的遺伝 とマイクロRNAの結合を競合的に阻害する このためには 標的遺伝

4氏 すずき 名鈴木理恵 り 学位の種類博士 ( 医学 ) 学位授与年月日平成 24 年 3 月 27 日学位授与の条件学位規則第 4 条第 1 項研究科専攻東北大学大学院医学系研究科 ( 博士課程 ) 医科学専攻 学位論文題目 esterase 染色および myxovirus A 免疫組織化学染色

結果 この CRE サイトには転写因子 c-jun, ATF2 が結合することが明らかになった また これら の転写因子は炎症性サイトカイン TNFα で刺激したヒト正常肝細胞でも活性化し YTHDC2 の転写 に寄与していることが示唆された ( 参考論文 (A), 1; Tanabe et al.

第1 総 括 的 事 項

ン (LVFX) 耐性で シタフロキサシン (STFX) 耐性は1% 以下です また セフカペン (CFPN) およびセフジニル (CFDN) 耐性は 約 6% と耐性率は低い結果でした K. pneumoniae については 全ての薬剤に耐性はほとんどありませんが 腸球菌に対して 第 3 世代セフ

脂肪滴周囲蛋白Perilipin 1の機能解析 [全文の要約]

報道関係者各位 平成 26 年 1 月 20 日 国立大学法人筑波大学 動脈硬化の進行を促進するたんぱく質を発見 研究成果のポイント 1. 日本人の死因の第 2 位と第 4 位である心疾患 脳血管疾患のほとんどの原因は動脈硬化である 2. 酸化されたコレステロールを取り込んだマクロファージが大量に血

博士学位申請論文内容の要旨

山梨県生活習慣病実態調査の状況 1 調査目的平成 20 年 4 月に施行される医療制度改革において生活習慣病対策が一つの大きな柱となっている このため 糖尿病等生活習慣病の有病者 予備群の減少を図るために健康増進計画を見直し メタボリックシンドロームの概念を導入した 糖尿病等生活習慣病の有病者や予備

博士の学位論文審査結果の要旨

抑制することが知られている 今回はヒト子宮内膜におけるコレステロール硫酸のプロテ アーゼ活性に対する効果を検討することとした コレステロール硫酸の着床期特異的な発現の機序を解明するために 合成酵素であるコ レステロール硫酸基転移酵素 (SULT2B1b) に着目した ヒト子宮内膜は排卵後 脱落膜 化

報告にも示されている. 本研究では,S1P がもつ細胞遊走作用に着目し, ヒト T 細胞のモデルである Jurkat 細胞を用いて血小板由来 S1P の関与を明らかにすることを目的とした. 動脈硬化などの病態を想定し, 血小板と T リンパ球の細胞間クロストークにおける血小板由来 S1P の関与につ

[ 原著論文 ] メタボリックシンドローム該当者の年齢別要因比較 5 年間の健康診断結果より A cross primary factors comparative study of metabolic syndrome among the age. from health checkup resu

血液 尿を用いたライソゾーム病のスクリーニング検査法の検討 に関する説明書 一般財団法人脳神経疾患研究所先端医療研究センター 所属長衞藤義勝 この説明書は 血液 尿を用いたライソゾーム病のスクリーニング検査法の検討 の内容について説明したものです この研究についてご理解 ご賛同いただける場合は, 被

血圧を決める要素 血圧は 心臓から出る血液の量と血管の硬さによって決まります 血圧 心臓から出る = 血液の量 ( 心拍出量 ) 血管の硬さ ( 末梢血管抵抗 )

満 ) 測定系はすでに自動化されている これまで GA を用いた研究は 日本 中華人民共和国 (PRC) および米国で実施され GA 値が糖尿病の診断に有用という結果が日本とアメリカで報告された 本研究ではその普遍性を追求するため 台湾人での検討を行った 同時に台湾における GA の基準範囲を新規に

脳組織傷害時におけるミクログリア形態変化および機能 Title変化に関する培養脳組織切片を用いた研究 ( Abstract_ 要旨 ) Author(s) 岡村, 敏行 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date URL http

( 続紙 1) 京都大学博士 ( 教育学 ) 氏名小山内秀和 論文題目 物語世界への没入体験 - 測定ツールの開発と読解における役割 - ( 論文内容の要旨 ) 本論文は, 読者が物語世界に没入する体験を明らかにする測定ツールを開発し, 読解における役割を実証的に解明した認知心理学的研究である 8

ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

10038 W36-1 ワークショップ 36 関節リウマチの病因 病態 2 4 月 27 日 ( 金 ) 15:10-16:10 1 第 5 会場ホール棟 5 階 ホール B5(2) P2-203 ポスタービューイング 2 多発性筋炎 皮膚筋炎 2 4 月 27 日 ( 金 ) 12:4

ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロペラミド塩酸塩は 腸管に選択的に作用して 腸管蠕動運動を抑制し また腸管内の水分 電解質の分泌を抑制して吸収を促進することにより下痢症に効果を示す止瀉剤である ロペミン カプセル

子として同定され 前立腺癌をはじめとした癌細胞や不死化細胞で著しい発現低下が認められ 癌抑制遺伝子として発見された Dkk-3 は前立腺癌以外にも膵臓癌 乳癌 子宮内膜癌 大腸癌 脳腫瘍 子宮頸癌など様々な癌で発現が低下し 癌抑制遺伝子としてアポトーシス促進的に働くと考えられている 先行研究では ヒ

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のつながりは重要であると考える 最近の研究では不眠と抑うつや倦怠感などは互いに関連し, 同時に発現する症状, つまりクラスターとして捉え, 不眠のみならず抑うつや倦怠感へ総合的に介入することで不眠を軽減することが期待されている このようなことから睡眠障害と密接に関わりをもつ患者の身体的 QOL( 痛

Q2 はどのような構造ですか? A2 LDL の主要構造蛋白はアポ B であり LDL1 粒子につき1 分子存在します 一方 (sd LDL) の構造上の特徴はコレステロール含有量の減少です 粒子径を規定する脂質のコレステロールが少ないため小さく また1 分子のアポ B に対してコレステロールが相対

本書の読み方 使い方 ~ 各項目の基本構成 ~ * 本書は主に外来の日常診療で頻用される治療薬を取り上げています ❶ 特徴 01 HMG-CoA 代表的薬剤ピタバスタチン同種同効薬アトルバスタチン, ロスバスタチン HMG-CoA 還元酵素阻害薬は主に高 LDL コレステロール血症の治療目的で使 用


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糸球体で濾過されたブドウ糖の約 90% を再吸収するトランスポータである SGLT2 阻害薬は 尿糖排泄を促進し インスリン作用とは独立した血糖降下及び体重減少作用を有する これまでに ストレプトゾトシンによりインスリン分泌能を低下させた糖尿病モデルマウスで SGLT2 阻害薬の脂肪肝改善効果が報告

学位論文の要約

前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

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12 氏 名 こし越 じ路 のぶ暢 お生 学位の種類学位記番号学位授与の日付学位授与の要件 博士 ( 医学 ) 甲第 629 号平成 26 年 3 月 5 日学位規則第 4 条第 1 項 ( 内科学 ( 心臓 血管 )) 学位論文題目 Hypouricemic effects of angiotensin receptor blockers in high risk hypertension patients ( 高リスク高血圧患者におけるアンジオテンシン受容体拮抗薬の尿酸 低下作用 ) 論文審査委員 ( 主査 ) 教授安西尚彦 ( 副査 ) 教授麻生好正 教授酒井良彦 論文内容の要旨 背景 近年高尿酸血症は心血管疾患の危険因子として注目されている 代表的降圧薬であるangiotensin II receptor blocker (ARB) のひとつ ロサルタンは尿酸低下作用を有することが知られており 臨床研究による報告も多く認められる 一方基礎研究において 同じARBであるイルベサルタンにもロサルタンと同等以上に 尿酸トランスポーターを介した尿酸低下作用があることが示されているが 臨床研究での報告は少ない 目的 本研究では 臨床例におけるイルベサルタンの尿酸低下作用を検討した 対象と方法 イルベサルタンまたはロサルタン以外のARBを4 週間以上安定して内服しており 収縮期血圧が 135mmHg 未満 拡張期血圧が85mmHg 未満と良好にコントロールされている ハイリスク高血圧患者 40 例を対象とした 内服中のARBを同等量のイルベサルタンに変更し 変更前と12 週後に 血圧 心拍数 血清尿酸値 脂質 糖パラメター および各種炎症マーカーを計測した また酸化ストレスマーカーとしてderivative reactive oxygen metabolites (droms) を測定した 12 週間のイルベサルタンによる治療期間中 イルベサルタンの用量は変更しなかった -47-

結果 40 症例全例で追跡可能であった イルベサルタンへの変更後 12 週において 収縮期 拡張期血圧および心拍数に有意な変化を認めなかった また 総コレステロール LDLコレステロール HDL-コレステロール 中性脂肪 ヘモグロビン A1c 高感度 CRP (hscrp) NT-proBNPおよび推算糸球体濾過量 (egfr) の各値にも有意な変化を認めなかった しかしながら血清尿酸値とdROMs 値は有意に減少した ( 尿酸値 :5.9±1.6から5.5±1.6mg/ml, P=0.028 droms 値 :354±83から310±65 U.CARR, P<0.001) 考察 本研究において イルベサルタンは ロサルタンを除く他のARBに比べ 尿酸低下作用と抗酸化作用を有することが示唆された 近位尿細管による尿酸の再吸収は おもにhuman uric acid transporter 1(URAT1) によって行われると考えられている ロサルタンはURAT1を介した尿細管による尿酸の再吸収を阻害することによって尿酸排泄量を増加させる Nakamuraらは イルベサルタンのURAT1を介した尿酸の再吸収阻害による尿酸低下作用は ロサルタンと同等以上であることを報告しており 本研究は彼らの報告を裏付けるものとなった これらの機序から ロサルタンやイルベサルタンによって尿中の尿酸濃度は上昇することになるが これら2 剤においては 尿アルカリ化作用により尿酸結晶の生成は抑制され そのことが腎保護的に働くと考えられている 尿酸自体の抗酸化作用を示す報告や 尿酸の増加は酸化ストレス上昇に伴う対応的変化とする報告もある しかしながら高尿酸血症と酸化ストレスは いずれも動脈硬化進展において重要な役割を有すると考えられ 両方の低下作用を有するイルベサルタンは抗動脈硬化薬として有用である可能性が考えられる 我々が報告したI-Mets(irbesartan s metabolic, anti-inflammatory and anti-oxidative properties) 研究においてイルベサルタンには抗酸化作用に加え HDL-コレステロール増加作用と中性脂肪およびhsCRP 値低下作用があることがわかっている しかし本研究ではI-Mets 研究と同様の傾向は示されているものの HDL-コレステロール 中性脂肪およびhsCRP 値に有意な変化は認めなかった その原因としては本研究の症例数がI-Mets 研究よりも少ない点が考えられた 今後はより症例を増やし予後も含めた評価が必要と考えられる 結論 イルベサルタンは ロサルタン以外のARBに比べ 抗酸化作用および尿酸低下作用を有することが示唆された 論文審査の結果の要旨 論文概要 Angiotensin II receptor blocker (ARB) であるロサルタンは尿酸低下作用を有することが知られているが 同じARBであるイルベサルタンにもロサルタンと同等以上に尿酸トランスポーターを介 -48-

した尿酸低下作用があることが基礎実験において報告されている 今回の申請者のグループは 既に高リスク高血圧患者におけるイルベサルタンの脂質代謝および酸化ストレス改善効果の報告をしているが 申請論文では 実臨床におけるイルベサルタンの尿酸低下作用が検討されている 方法は イルベサルタンまたはロサルタン以外のARBを内服している高リスク高血圧の外来患者 40 例を対象とし 内服中のARBを同等量のイルベサルタンに変更して 変更前と12 週後に 血圧 心拍数 血清尿酸値 脂質 糖パラメター 炎症マーカー および酸化ストレスマーカーとしてのderivative reactive oxygen metabolites (droms)testを評価項目として測定した 結果は イルベサルタンへ変更後 12 週において 血清尿酸値とdROMsは有意に減少し 他の項目は有意な変化を認めなかった そして イルベサルタンは酸化ストレス抑制作用に加えて 尿酸低下作用も有する降圧剤であると結論づけている 研究方法の妥当性 申請論文では 外来から高リスク高血圧患者の症例を用いて ベースライン イルベサルタン変更後 12 週で標準的な血液検査から研究の主とする血清尿酸値および酸化ストレスマーカーである droms 値を測定し 解析している 適切な対象群の設定と客観的な統計解析を行っており 本研究方法は妥当なものである 研究結果の新奇性 独創性 イルベサルタンの尿酸低下作用を証明した臨床報告は極めて少ない 申請論文は イルベサルタンが尿細管から尿酸の再吸収を担う尿酸トランスポーターであるURAT1およびURATv1を阻害し 尿酸排泄量を増加させることで血清尿酸値を低下させ得るという基礎研究報告を裏付ける結果を示した また同時に 酸化ストレス改善効果も示しており 本研究は新奇性 独創性に優れた研究と評価できる 結論の妥当性 申請論文では 40 症例を適切な設定の下 確立された検査法と統計解析を用いてイルベサルタンが血清尿酸値を下げ 酸化ストレスを低下させている関係を示している そこから導き出された結論は 論理的に矛盾するものではなく また 薬理学 内科学など関連領域における知見を踏まえても妥当なものである 当該分野における位置付け 申請論文では 高尿酸血症と酸化ストレスは いずれも動脈硬化進展において重要な役割を有すると考えられ 両方の低下作用を有するイルベサルタンは抗動脈硬化薬として有用である可能性があると述べている これは 心血管疾患など動脈硬化に関連する疾患の予防の進歩に役立つ可能性のある大変意義深い研究と評価できる 申請者の研究能力 申請者は薬理学 臨床内科学の理論を学び実践した上で 作業仮説を立て 計画立案した後 適切に本研究を遂行し 貴重な知見を得ている その研究成果は当該領域の学会誌への掲載が承認されており 申請者の研究能力は高いと評価できる -49-

学位授与の可否 本論文は独創的で質の高い研究内容を有しており 当該分野における貢献度も高い よって 博士 ( 医学 ) の学位授与に相応しいと判定した ( 主論文公表誌 ) 日本臨床生理学会雑誌 43:151-157, 2013-50-