20090202-8 中国法令調査報告書 関連市場の画定に関する手引 ( 意見募集稿 ) 報告日 :2009 年 2 月 2 日管理番号 :20090202-8 今回のご報告のポイント独占禁止法においては 独占の対象となる一つの市場 すなわち 関連市場 ( 独占禁止法第 12 条第 2 項 ) を画定することが重要となる 本手引 ( 意見募集稿 ) は独占禁止法上の 関連市場 の画定方法に関する 商務部独占禁止局としてのガイドラインを示すものである 本手引は意見募集稿であり 今後修正を経て正式に公布されることが予定されている 1. 法令等の名称 番号中国語名称 : 関于相関市場界定的指南 ( 征求意見稿 ) 日本語訳 : 関連市場の画定に関する手引 ( 意見募集稿 ) 法令番号 : ( ソース ) 商務部独占禁止局ウェブサイト 2. 公表した政府部門商務部独占禁止局 3. 発表日 2009.1.7 4. パブリックコメント募集期限 2009.1.31 5. 分野独占禁止法 ( 企業集中 ) 6. 概要 1
本手引は 独占禁止法の執行の透明性を高め 関連する企業に関連市場の画定に関する指導を行うため 商務部が制定するものである 各業界の意見を十分に聴取し その実行可能性又は操作可能性を確保するため 本手引の草案をウェブサイトで公開し 意見を募集する 意見募集の締切日 :2009 年 1 月 31 日本手引の主な内容は 以下の通りである 関連市場の画定に関する手引 ( 草案 ) 第一章総則第一条手引の目的及び根拠関連市場の画定について指導を行い 国務院独占禁止法執行機構の法律執行業務の透明性を高めるため 独占禁止法に基づき 本手引を制定する 第二条関連市場を画定する役割いかなる競争行為 ( 競争を制限 排除する効果を有し 又はそのおそれのある行為を含む ) も全て一定の市場範囲内で発生しており 関連市場の画定は 企業競争の市場範囲を明確にする過程である 従って 関連市場の画定は 競争行為を分析する前提であり また独占禁止に関する法律執行作業の重要な措置でもある 企業による独占的協定の締結の禁止 企業による市場支配的地位の濫用の禁止 競争を排除 制限する効果を有し 又はそのおそれのある企業集中のコントロール等独占禁止法の執行業務において 全て関連市場を画定する問題に関わる可能性がある 科学的 かつ合理的に関連市場を画定することは 競争者及び潜在的な競争者の認識 企業の市場シェア及び市場結合の程度の判定 企業の市場地位の認定 企業の行為が市場競争に与える影響の分析 企業行為の違法性及び負担すべき法律責任の判断等の肝心な問題について 重要な役割を有する 第三条関連市場の意味及び種類関連市場とは 企業が一定の時期内に特定の商品又はサービス ( 以下 あわせて 商品 という) について 競争を行う商品の範囲及び地域の範囲を指す 独占禁止法の執行の実務においては 通常 関連商品市場及び関連地域市場を画定しなければならない 関連商品市場とは 商品の特性 使途及び価格等の要素に基づき 相互に代替できる一組又は同類の商品により構成される市場を指し 主に需要者から緊密的な代替関係を有するとみなされる全ての商品を指す これらの商品が緊密的な代替性を有するため 比較的に強い競争関係を有しており 独占禁止法の執行において 企業が競争を行う商品の範囲とすることができる 2
関連地域市場とは 緊密的な代替関係を有する商品が相互に競争する地理的地域を指す 関連地域市場の範囲内の競争条件が基本的に一致しており かつ明らかにその他の地域市場の競争条件と区別されており 独占禁止法の執行において 企業が競争を行う地域範囲とすることができる 商品の生産サイクル 使用期限 季節性 流行性又は知的財産権の保護期限等が商品に関して無視できない特徴となる場合 関連市場の画定には 時間性も考慮しなければならない 技術貿易 ライセンス協議等知的財産権に関する独占禁止の審査業務において 知的財産権 創造される市場 技術の市場等の問題も考慮する可能性がある 第二章関連市場画定の理論根拠第四条代替性に関する分析関連市場の画定の過程は 実質上 緊密な代替商品及びこれらの商品が相互に競争を行う地理的区域を画定する過程である 独占禁止法の執行に関する実務において 関連市場の範囲の大小は 往々にして緊密的な代替商品の範囲の画定にかかっている 需要者から緊密な代替商品とみなされる存在は 企業の行為にもっとも直接的で有効な競争上の拘束となるため 関連市場の画定は 主に需要の代替を考慮する 供給の代替性が企業の行為に対し生じさせた競争上の拘束が需要の代替性と類似する場合 同時に供給の代替性も考慮することができる 第五条需要の代替性需要の代替性は 需要者の角度から考察し 需要者の商品の機能 使途に対する需要 品質に対する認識 価格に対する納得感及び取得難易度等の要素に基づき 異なる商品間の代替の程度を確定する 原則として 需要者の角度から見ると 商品間の代替程度が高ければ高いほど 競争関係が強く 同時に同一の関連市場に属する可能性も高い 第六条供給の代替性供給の代替性は 企業の角度から考察し 比較的大きな投入を必要としないで 生産施設を改造若しくは調整し 又は比較的大きなリスクを負担しない状況下において 短期間内に市場競争力を有するその他の緊密な代替商品の提供に変更できる可能性を指す 原則として 生産設備の改造 調整の投入が少なければ少ないほど 負担する予定外のリスクは少なく 緊密な代替商品の提供に変更することも迅速で また当該商品の市場における競争力もより強く これにより供給の代替性の程度もより高くなり 同一の関連市場に属する可能性も高い 3
第三章関連市場画定の一般方法第七条関連市場画定の方法関連市場画定の方法は 一つではない 独占禁止法の執行に関する実務において 実際の状況に基づき 異なる方法を使用する場合がある 通常 独占禁止法の執行の過程において まず主に商品の特徴 使途 価格等の事実に基づき需要の代替性に関する分析を行い 必要な場合には 供給の代替性に関する分析を行い これにより関連商品市場及び関連地域市場を画定することができる 企業による競争の市場範囲が明確ではない 又は争いがある場合等複雑な状況下においては 仮定的独占者テスト ( 中国語 : 假定垄断者测试 ) の分析に従い 経済学の分析方法を参照して関連市場を画定することができる どの方法により関連市場を画定するかを問わず 一貫して商品の本質的な特徴を把握しなければならず 商品の基本属性から離れてはならない 第八条関連市場の画定に考慮しなければならない要素需要の角度から関連商品市場を画定するには 通常 以下の要素を考慮する ( 一 ) 商品の全体的な特徴及び使途 商品の特性は 商品の外形 特性 品質及び技術の特徴等を含む 商品は特徴上においてある差異が生じる可能性がある場合でも 需要者は なお商品の同一又は類似の使途に基づき 当該商品を緊密な代替品とみなすことができる ( 二 ) 商品の価格の差異 通常 緊密な代替商品の価格は近く かつ価格が変化する場合 同じ方向に変動する 逆に 緊密な代替関係を有しない商品は 価格の差異が比較的に大きく 価格の変化も同じ方向へ変動しない ( 三 ) 商品の販売ルート 商品の販売ルートが異なる商品は 対象とする需要者も異なる可能性があり 商品間に競争関係を形成しにくく 関連商品となる可能性は小さい ( 四 ) その他の重要な要素 例えば 需要者の嗜好又は商品に対する信頼度 ブランドに対する愛着心 需要者が代替商品を購入するのに存在する障害 リスク及びコスト 価格決定の区別等の要素が存在するか否か 供給の角度から関連商品市場を画定するには 通常 考慮する要素は 企業の生産プロセス及び工芸 生産変更の難易度 生産変更に必要な期間 生産変更の予定外費用及びリスク 生産変更後に提供する商品の市場における競争力 販売ルート等を含む 第九条関連地域市場の画定に考慮しなければならない要素需要の角度から関連地域市場を画定するには 通常 以下に挙げる幾つかの要素を考慮する ( 一 ) 商品の輸送コスト 輸送の特徴 商品の価格について言えば 輸送コストが高ければ高いほど 関連地域市場の範囲が小さい ( 例えばセメント等 ) 商品の輸送の特徴も 4
商品の販売地域を決定している ( 例えば パイプで輸送する工業気体等 ) ( 二 ) 多くの需要者が商品を選択する実際の区域及び主要企業の商品の販売分布 ( 三 ) 地区間の貿易障壁 これには 関税 地方性法規等を含む 例えば 関税が商品の価格からみて比較的高い場合 関連地域市場が一つの区域性市場である可能性が非常に大きい ( 四 ) その他重要な要素 例えば 特定地域における需要者の嗜好 商品の当該地域に出入りする数量 供給の角度から関連地域市場を画定する場合 その他の地域での供給又は関連商品を販売する即時性及び実行可能性を考慮する必要がある 例えば 発注をその他の地域の企業に移す場合の転換コスト等 第四章仮定的独占者テストを用いた関連市場の画定第十条仮定的独占者テスト ( 省略 ) 第十一条仮定的独占者テストのいくつかの実際問題 ( 省略 ) 以上 上記の事項についてさらに詳細な情報をご希望される場合には 下記までご連絡いただきますようお願いいたします 森脇章パートナー弁護士 Email: akira.moriwaki@amt-law.com Telephone: 03-6888-1055( 東京事務所 ) 中川裕茂パートナー弁護士 北京事務所首席代表 Email: hiroshige.nakagawa@amt-law.com Telephone: 03-6888-1174( 東京事務所 ) +86-10-6590-9060( 北京事務所 ) 本報告書は 法令の一般的な解釈を示したものであり 当事務所の法律上 会計上 税務上のアドバイスを含むものではありません 本報告書の著作権は 出典が明記されているものを除き アンダーソン 毛利 友常法律事務所に帰属します 5