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どのような便益があり得るか? より重要な ( ハイリスクの ) プロセス及びそれらのアウトプットに焦点が当たる 相互に依存するプロセスについての理解 定義及び統合が改善される プロセス及びマネジメントシステム全体の計画策定 実施 確認及び改善の体系的なマネジメント 資源の有効利用及び説明責任の強化

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ための手段を 指名 報酬委員会の設置に限定する必要はない 仮に 現状では 独立社外取締役の適切な関与 助言 が得られてないという指摘があるのならば まず 委員会を設置していない会社において 独立社外取締役の適切な関与 助言 が十分得られていないのか 事実を検証すべきである (2) また 東証一部上場

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Transcription:

初学者のための経営戦略論第 4 回アンゾフの 成長戦略 * 富山の薬売り * 製品コンセプト とは * アダム スミスの 神の見えざる手 について 砂田好正 1.H. イゴール. アンゾフ (1918~2002 年 ) とは 2. アンゾフの 成長戦略 マトリックス 3. 成長戦略としての多角化戦略 (1) 多角化の種類 (2) 企業が多角化戦略を採用する理由 ( 動機 ) (3) 多角化の利点 (4) 問題のある多角化 (5) バブル経済と多角化 4. アンゾフのシナジー効果 (1) シナジー ( 相乗 ) 効果とは (2) アンゾフの考えたシナジーの種類 5. アンゾフの経営戦略の決定基準 ( 構成要素 ) 6. アンゾフの管理階層と意思決定階層 (1) 管理階層 (2) アンゾフの意思決定階層 (3) 意思決定のプロセス ( これはアンゾフではない ) (4) 自立と意思決定 ( 自立と自律 ) 7.M&A 戦略について (1) M&A のメリット (2) 多角化型 M&A の効果 (3) 水平型 M&A の効果 (4) 垂直型 M&A の効果 (5) M&A のリスク

1.H. イゴール. アンゾフ (1918~2002 年 ) とは 戦略経営の父 と呼ばれるアメリカの経営学者 先駆的な経営戦略理論は その後の経営学の発展に大きく寄与した 著書 戦略経営論 1965 年刊 ( 日本では 1977 年刊 ) 2. アンゾフの 成長戦略 マトリックス製品市場現製品新製品 現市場市場浸透戦略新製品開発戦略 新市場新市場開拓戦略多角化戦略 3. 成長戦略としての多角化戦略 (1) 多角化の種類 1 水平型多角化 ( 自動車メーカーが軽自動車やオートバイに進出 ) 2 垂直型多角化 ( 紡績会社がアパレルに参入 レストランが農業分野に進出 ) 3 集中型多角化 ( 楽器メーカーが木工技術を生かして高級家具に進出 ) ( 洋酒メーカーがバイオ事業に進出 ) 4 集成型多角化 ( 既存の製品 市場に関連ないが 高成長が見込める分野に進出 ) (2) 企業が多角化戦略を採用する理由 ( 動機 ) 1 未利用資源の有効活用 2 魅力的な事業の発見 3 既存事業の衰退 4 リスク分散 5 シナジー効果の追求 (3) 多角化の利点 1 成長率を高める 2 シナジー効果が期待できる 3 リスクを分散できる 4 税金を減少させることができる場合がある 5 製品相互の援助により競走上の利点を作り出せる 6 昇進の機会と雇用の安定を高めることができる (4) 問題のある多角化 1 成長性のない製品を取り入れて多角化すること 2 シナジーがなく競争力がない製品によって多角化すること 3 多角化によって力が分散して 本業がおろそかになること (5) バブル経済と多角化 2

4. アンゾフのシナジー効果 (1) シナジー ( 相乗 ) 効果とは 1+1=2 1+1 が 2 を超えること 経営資源の共有や相互補完性があるときに発揮されやすい 例えば 流通システムや研究開発の成果を複数の部門で利用するような場合 例えば マーケティング部門と製造部門で互いの機能を補い合うような場合 既存事業で蓄積した資源を他の分野で同時に利用し 複数の資源間に直接的な相互作用があることがポイントとなる このような特徴に最もよく当てはまるのは 情報的資源であろう 情報的資源は 複数部門での同時利用が可能であり しかも減耗しないという特徴を持つため シナジーの源泉になりやすい (2) アンゾフの考えたシナジーの種類 1 販売シナジー ( 販売経路や売り場の共同利用など ) 2 生産シナジー ( 工場 機械 技術などの共同利用など ) 3 投資シナジー ( 投資 研究開発などの成果を共有するなど ) 4 経営管理シナジー ( 経営者や管理者の経験 ノウハウを活用する ) 5. アンゾフの経営戦略の決定基準 ( 構成要素 ) 1 特定の製品 市場分野を明らかにすること 2 成長ベクトル ( 企業がどの方向に進んでいるかを示すこと ) 3 競争上の利点 4 シナジー ( 新しい製品 市場を既存のものと結合することによる相乗効果 ) 5 成長方式 ( 内部開発によるか 合併によるか などの選択 ) 3

6. アンゾフの管理階層と意思決定階層 (1) 管理階層 1 トップマネジメント ( いわゆる経営者や役員 ) 2 ミドルマネジメント ( 部長や課長などの中間管理職 担当する部門の管理を担当 ) 3 ロアーマネジメント ( 係長や職長などのグループリーダー 現場での管理を担当 ) (2) アンゾフの意思決定階層 1 戦略的意思決定主にトップマネジメントが行う意思決定 M&A や経営多角化など 企業全体に関わる意思決定 この意思決定は 参考になるべき基準も不明確であり リスクが大きい 2 管理的意思決定主にミドルマネジメントが行う意思決定 トップマネジメントが設定した全社的 基本的意思決定を受け 自分が担当する部門においてそれを実現するために 目標を与え 実行させる 3 業務的意思決定主にロアーマネジメントが行う意思決定 与えられた目標や業務の仕方を前提として スケジュールの決定など 実際の業務を遂行するための問題を対象とする 日常的 定例的に繰り返されることが多い * 上記の区分は観念的であり 職制によって意思決定の階層を厳密に区分することはできない ロアーマネジメントでも 自分の業務の方法を改革する場合 非定例的 非定型的で 創造的な意思決定をする場合もある 出典 http://www.kogures.com/hitoshi/webtext/kj4-ishikettei/index.html 4

(3) 意思決定のプロセス ( これはアンゾフではない ) 第 1 ステップ 問題の明確化 第 2 ステップ 行動計画の立案 第 3 ステップ 価値観の明確化 第 4 ステップ 選択肢の抽出 第 5 ステップ 結果の予測 第 6 ステップ 選択肢の絞り込みと意思決定 第 7 ステップ行動の開始 ( 実行 ) (4) 自立と意思決定 ( 自立と自律 ) 5

7.M&A について (1) M&A のメリット M&A とは Mergers & Acquisitions 企業の合併と買収 * 最大のメリットは 技術やノウハウ 流通チャネル ブランド 人材 施設 設備など 必要となる経営資源を迅速に獲得できること M&A は 短期間で企業価値を向上させるための戦略である (2) 多角化型 M&A の効果 1 迅速な新規事業分野への進出 2 範囲の経済性の享受 3 シナジー効果の享受 (3) 水平型 M&A の効果 1 製品 サービスの拡充と新規顧客の開拓 2 経営資源の最適化 3 規模の経済性および経験効果の享受 4 企業間競争の緩和 5 供給業者および顧客に対する交渉力の拡大 (4) 垂直型 M&A の効果 1 取引コストの削減 2 情報の効率的な入手 3 中核的な技術の獲得 4 供給業者および顧客に対する交渉力の拡大 (5) M&A のリスク 1 M&A の決定に関わるリスク競合企業が合併したからとか 資金的に余裕があるとか安直な理由で実行され 結果として統合効果が生じない危険性 2 企業評価に関わるリスク対象となる企業や事業を十分に評価しないまま実行される危険性 3 財務に関わるリスク財務体質を急激に悪化させてしまう危険性 この項 現代経営戦略論の基礎 学文社佐久間信夫犬塚正智編著から 6