Microsoft Word オートリース料債権

Similar documents
(最終更新日:2007年5月11日)

Microsoft Word 航空機ファイナンス

Microsoft Word オートローン債権

Microsoft Word 開発型不動産

JCR-documents

Copyright © Japan Credit Rating Agency, Ltd. All Rights Reserved.

JCR-documents

Microsoft Word シップファイナンス

JCR-documents

<4D F736F F D FC194EF90C C98AD682B782E >

上場有価証券等書面

業務委託基本契約書

楽天証券ポイント利用規約

地域金融機関 CLO シンセティック型 ( 合同会社クローバー 2016) 発行後情報開示サマリー ( 平成 31 年 3 月 31 日時点 ) 1. 発行の概要 項目 A 号無担保社債 C 号無担保保証付社債 発行証券総額 6,000,000,000 1,500,000,000 利率 ( 注 1)

1. 海外投資保険の投資形態 海外投資保険とは 本邦企業等が海外に有する株式や不動産等の権利について 非常リスク ( 外国政府による収用 権利侵害 戦争 天災 送金不能 ) による損失をカバーする保険 特徴 : 投資形態に応じて 以下 2 種類の約款で引受 投資形態 保険種 1 出資に対する保険株式

IFRS基礎講座 IAS第11号/18号 収益

第一の変額年金フェアウェイ災害 3 割加算型変額年金保険運用状況一覧 特別勘定の運用状況一覧 (2018 年 12 月 ) ライフサイクル30 型 組入 :DIAMライフサイクル ファンドVA1( 安定型 ) 騰落率基準価額 ライ

<4D F736F F D C596B FDA8DD794C5835A E646F63>

オートローン債権証券化の格付手法

五有価証券 ( 証券取引法第二条第一項に規定する有価証券又は同条第二項の規定により有価証券とみなされる権利をいう ) を取得させる行為 ( 代理又は媒介に該当するもの並びに同条第十七項に規定する有価証券先物取引 ( 第十号において 有価証券先物取引 という ) 及び同条第二十一項に規定する有価証券先

Microsoft Word プロジェクトファイナンス

役員の債務保証料 1. 概要オーナー社長の場合は 自社の銀行借入金に代表者個人が連帯債務保証をしている場合があります このような場合は 法人からオーナー個人に債務保証料 ( 信用保証料 ) を支払うことが出来ます 当然 会社では法人税の計算上で損金計上することが出来ます 2. 注意点 (1) 債務保

第一の変額年金フェアウェイ災害 3 割加算型変額年金保険運用状況一覧 特別勘定の運用状況一覧 (2018 年 10 月 ) ライフサイクル30 型 組入 :DIAMライフサイクル ファンドVA1( 安定型 ) 騰落率基準価額 ライ

Microsoft Word - 13.業者用解説書.doc

信用取引の委託保証金について

特別勘定の運用状況一覧 (2018 年 12 月 ) 日本株式型 (M225) 組入投資信託:MHAM 株式インデックスファンド225VA 騰落率基準価額 世界債券型 (MGB1) 組入投資信託:DIAMグローバル ボンド

〔問 1〕 A所有の土地が,AからB,BからCへと売り渡され,移転登記も完了している

とを条件とし かつ本事業譲渡の対価全額の支払と引き換えに 譲渡人の費用負担の下に 譲渡資産を譲受人に引き渡すものとする 2. 前項に基づく譲渡資産の引渡により 当該引渡の時点で 譲渡資産に係る譲渡人の全ての権利 権限 及び地位が譲受人に譲渡され 移転するものとする 第 5 条 ( 譲渡人の善管注意義

2. 本サービスの申込者において 本規約に反する事由 本サービスへの申込みが適当でない と当社が判断する事由等がある場合には 当社は 本サービスへの申込みを承諾しないこ とがあります 第 5 条 ( 利用契約の成立時期 ) 1. 当社が当該申込みを承諾したときに利用契約が成立するものとします ネット

4. 預入方法等 (1) 本定期預金の預入は 当行の円普通預金口座からの振替入金の方法によります (2) 本定期預金の最低預入金額は 一口につき10 万円以上とし 預入単位は10 万円とします なお 当行は お客さまが預入を行うことのできる金額の上限を設ける場合があります また 当行は 一口あたりの

03-08_会計監査(収益認識に関するインダストリー別③)小売業-ポイント制度、商品券

( 今後の展望 ) 2019 年以降に発行が予定されているグリーンボンドを見ると トヨタファイナンスや住宅金融支援機構等の大型の発行体や リニューアブルジャパン 北陸グリーンボンド等のプロジェクトボンドの発行が予定されている ( 図 1-2 参照 ) これまでにはない発行体や債券種類にも発行のすそ野

Microsoft Word _13970_15693_1_P_jpn.docx

日本基準基礎講座 収益

第28期貸借対照表

でない ( 自動車の引渡し ) 第 6 条自動車の甲への引渡しは, 乙が自動車登録完了の後, 速やかに甲が指定する場所において行うものとする 2 甲は, 自動車の引渡しを受けた場合は, 検査の上, 受け取るものとする 3 当該自動車の引き渡しに要する一切の費用は, 乙の負担とする ( 自動車の瑕疵

手続には 主たる債務者と対象債権者が相対で行う広義の私的整理は含まれないのでしょうか 手続には 保証人と対象債権者が相対で行う広義の私的整理は含まれないのでしょうか A. 利害関係のない中立かつ公正な第三者 とは 中小企業再生支援協議会 事業再生 ADRにおける手続実施者 特定調停における調停委員会

<4D F736F F D FC90B38FC194EF90C C98AD682B782E >

この冊子の前半部分は ブラックロック ゴールド ファンド の交付目論見書訂正事項分 後半部分は ブラックロック ゴールド ファンド の請求目論見書訂正事項分です

4. ポイントは 対象取引が行われてから 当社が定める一定の期間を経た後に付与します この期間内に 当社が対象取引において取り消し 解除等があったことを確認した場合 当該対象取引に対するポイントは付与せず また対象料金の金額に変更があった場合は 変更後の金額に基づきポイントを付与します 5. 当社は

untitled

ロボットショップポイントサービス利用規約

投資信託口座取引規程

PowerPoint プレゼンテーション

電子記録債権取引における法律上の留意点 (1) 電子記録債権取引全般について (2) 下請法上の取扱いについて (3) 税法上の取扱いについて (4) 法的手続き等について (5) 記録請求等について でんさいネットのコールセンター等に寄せられる照会を参考に解説 1

ならないとされている (IFRS 第 15 号第 8 項 ) 4. 顧客との契約の一部が IFRS 第 15 号の範囲に含まれ 一部が他の基準の範囲に含まれる場合については 取引価格の測定に関する要求事項を設けている (IFRS 第 15 号第 7 項 ) ( 意見募集文書に寄せられた意見 ) 5.

「くりっく株365」海外指数

新株予約権 取得請求権等が付された上場有価証券等については これらの権利を行使できる期間に制限がありますのでご留意ください また 新株予約権証券は あらかじめ定められた期限内に新株予約権を行使しないことにより 投資金額全額を失う場合があります 外国証券については 我が国の金融商品取引所に上場されてい

1

格付け対象商品(資産)の概要と格付けのポイント

第4期 決算報告書

目次 1. シンガポール法人の清算手続の種類 株主による自発的清算手続 (Members Voluntary Winding Up) のポイント... 1 (1) 必要条件... 1 (2) 清算準備... 1 (3) 清算手続の流れ Striking Off のポイ

〔問 1〕 抵当権に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか

12

< スキームの概要 > 原債権レベル 1 クレディ アグリコル銀行東京支店は 複数の TMK に対して 貸し付け ( 本件貸付 ) の実行及び特定社債 ( 本件特定社債 本件貸付と総称して原債権 ) の引き受けを行った 各 TMK は それぞれ異なる不動産 ( 総称して裏付不動産 ) を対象とした不

3. 格付対象 委託者三菱 UFJ モルガン スタンレー証券裏付資産損害担保手数料 定期預金 名称 信託契約番号 信託受益権 A 号受益権 信託契約番号 信託受益権 B 号受益権 注 ) 償還方法 HB: 満期一括償還 発行金額 ( 通貨 ) 25,500,000,0

Microsoft Word _13970_15693_1_F_jpn.docx

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

10. 中途解約時の取扱 原則 信託期間中の解約はできません やむを得ない事由等により に定められた期間前にお申出がある場合には応じることがございます 11. 以下の事由によりは終了します (1) 契約期間が満了したとき (2) 信託財産となっている株式の発行会社について 次の各号いずれかに該当した

スポンサー企業 増減資により 再生会社をスポンサー企業の子会社としたうえで 継続事業を新設分割により切り分ける 100% 新株発行 承継会社 ( 新設会社 ) 整理予定の事業 (A 事業 ) 継続事業 会社分割 移転事業 以下 分社型分割により事業再生を行う場合の具体的な仕組みを解説する の株主 整

スライド 1

有価証券管理規程 第 1 章総則 ( 目的 ) 第 1 条この規程は 株式会社 ( 以下 会社 という ) の有価証券の運用および管理を適正に行うため 会社の保有する有価証券に関する管理基準および管理手続を定めるとともに 余裕資金の有効運用ならびに経営効率の向上を図ることを目的とする ( 有価証券の

-EM Wi-Fi SPOTサービス規約-

-EM Wi-Fi SPOTサービス規約-

ピクテ・インカム・コレクション・ファンド(毎月分配型)

( )

<4D F736F F D2081A F838D815B836F838B8F5A94CC81408C768E5A8F9197DE8B7982D1958D91AE96BE8DD78F F

目次 1. 法人税上の貸倒償却とは 財務省令第 186 号 ,000 バーツを超える債権の貸倒償却 ,000 バーツ以下の債権 ,000 バーツ以下 ( 金融業 ) または 100,000 バーツ以下 ( 一般会社法人

一部解約可能型定期預金(複利型)規定

2 譲渡禁止特約の効力改正前は 譲渡禁止特約を付した場合は債権の譲渡はできない ( ただし 特約の存在を知らない第三者等には対抗できない ) とされていましたが 改正法では このような特約があっても債権の譲渡は効力を妨げられないことを明記しました ( 466Ⅱ 1) ただし 3に記載するとおり 債務

最低預入額 10 万円 預入額の上限ございません 預入日 2019 年 1 月 22 日 ( 火 ) 満期日 2019 年 2 月 7 日 ( 木 ) 判定日 2018 年 2 月 5 日 ( 火 ) の午後 3 時 ( 日本時間 ) 特約レート ( 幅 ) 0 円 未定 2019 年 1 月 23

( 平成 3 年 11 月 2 日 ) ユーロ / 円 ワイタ ーハ ント (25 日線 ) 3.% 7/ / ( 円 / ユーロ ) / / /15 7/13 8/1 9/7 1/5 11/

(顧客名)

特別勘定運用レポートをご覧いただくにあたって 当資料をご覧いただく際にご留意いただきたい事項 当資料はご契約者さま等に対し 三井住友海上プライマリー生命のえがお ひろがる 積立金自動移転特約付通貨選択一般勘定移行型変額終身保険 の特別勘定および特別勘定が主たる投資対象とする投資信託の運用状況を開示す

<4D F736F F D2095BD90AC E AD48C888E5A8A E646F63>

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

1

重大な約款変更(確定)のお知らせ

1

財務諸表に対する注記 1. 継続事業の前提に関する注記 継続事業の前提に重要な疑義を抱かせる事象又は状況はない 2. 重要な会計方針 (1) 有価証券の評価基準及び評価方法 満期保有目的の債券 償却原価法 ( 定額法 ) によっている なお 取得差額が少額であり重要性が乏しい銘柄については 償却原価

J:COM まとめ請求利用規約 第 1 条 ( 規約の適用 ) 横浜ケーブルビジョン株式会社 ( 以下 当社 といいます ) は この J:COM まとめ請求利用規約 ( 以下 本規約 といいます ) に基づき 第 3 条に定める YCV 料金 ならびに当社がKDDI 株式会社および沖縄セルラー電話

A. 受贈者に一定の債務を負担させることを条件に 財産を贈与することを 負担付贈与 といいます 本ケースでは 夫は1 妻の住宅ローン債務を引き受ける代わりに 2 妻の自宅の所有権持分を取得する ( 持分の贈与を受ける 以下持分と記載 ) ことになります したがって 夫は1と2を合わせ 妻から負担付贈

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

貨での決済が予め取り決められている場合 売却時あるいは償還時等の為替相場の状況によっては為替差損が生じるおそれがあります 通貨の規制が設けられている場合は 償還金及び利子のその他通貨への交換や送金ができないことがあります 外貨建て債券の発行者又は外貨建て債券の償還金及び利子の支払いを保証している者の

「楽天トラベル」決済代行サービス利用規約

電磁的方法による書面の交付及び 電磁的方法による交付に対する同意書 第 1 電磁的方法による書面の交付 1 契約締結前の電磁的交付ラッキーバンク インベストメント株式会社 ( 以下 当社 といいます ) は お客様が契約をご締結するにあたっては あらかじめ 下記事項を 書面によらず電磁的方法により交


改定前 新旧対照表 < カードローン規定 > 改定後 カードローン規定 カードローン規定 第 12 条 ( 期限前の利益喪失事由 ) (1) 借主について次の各号の事由が一つでも生じた場合には 当行の通知催告がなくても 借主は本債務全額について当然に期限の利益を失い 第 8 条に定める返済方法によら

1

<4D F736F F D20834F838D815B836F838B8F5A94CC81408C768E5A8F9197DE E718CF68D90817A E36>

○ 問合せ先専用フリーダイヤル

1 制度の概要 (1) 金融機関の破綻処理に係る施策の実施体制金融庁は 預金保険法 ( 昭和 46 年法律第 34 号 以下 法 という ) 等の規定に基づき 金融機関の破綻処理等のための施策を 預金保険機構及び株式会社整理回収機構 ( 以下 整理回収機構 という ) を通じて実施してきている (2

対イラン制裁解除合意履行日以降に非米国企業 が留意すべきコンプライアンス要件 2016 年 11 月 日本貿易振興機構 ( ジェトロ ) ドバイ事務所 ビジネス展開支援部ビジネス展開支援課

6. 当金庫は 申込人がローン申込みに必要な記載事項の記入を希望しない場合ならびに本同意条項および正式な申込時の同意条項の内容の全部または一部に同意できない場合 本契約をお断りすることがあります 7. 申込人は 個人信用情報機関の利用 登録等について 別掲の 個人信用情報機関の利用 登録等に関する同

平均株価は 東証が公表する当該企業普通株式の終値の算術平均値を基準とした値とする 調整取引の結果 経済的には自社株を平均株価で取得したのと同様の結果となる 企業は株価上昇時の支払いのために 証券会社に新株予約権を割り当てる ステップ 3 : 株価上昇時は 新株予約権が権利行使され 差額分に相当する株

野村アセットマネジメント株式会社 平成30年3月期 個別財務諸表の概要 (PDF)

〔問 1〕 Aは自己所有の建物をBに賃貸した

IFRS基礎講座 IAS第37号 引当金、偶発負債及び偶発資産

証券コネクト口座規定

投資信託のとは 投資信託のは 当期に獲得した収益等を決算日に投資家に還元する仕組みで す ただし 過去に獲得した収益を積み立てたもの等からも支払うことができます 投資信託でが支払われるイメージ 投 資信 託のは 投 資信 託 投資信託のとは P3 の純資産の中から支払われます はどのように支払われる

Transcription:

( 最終更新日 :2012 年 6 月 1 日 ) オートリース料債権 1 1. オートリースの特性乗用車や商用車など 自動車をリース物件とするオートリースは リース会社がメンテナンスサービスを提供するメンテナンスリース 2 と メンテナンスサービスが付いていないファイナンスリースに分類される ファイナンスリースに組み込まれているのは車両代の支払い 登録手数料の支払い 税 保険の納付 支払い ( 自賠責保険以外の損害保険まで含めるかは通常 債務者の任意となっている ) であり これらの費用がリース料に含まれている ファイナンスリースのリース料は 車両代 + リース期間中の諸費用 ( 税 保険など ) - リース満了時の期待中古価格 をベースに計算される 図表 1 メンテナンスリースとファイナンスリース 内容 メンテナンスリース ファイナンスリース 車両代 登録手数料 自動車税 自賠責保険 取得税 重量税 オプション オプション 任意保険 オプション オプション 車検 定期点検 (12ヶ月 6ヶ月 3ヶ月) 整備代 オイル タイヤ バッテリー交換 一般修理 事故修理 事故処理 ( 損保会社との連携処理 ) サービス内容は リース会社により異なる メンテナンスサービス ( 図の網掛け部分 ) は 一部の項目だけを債務者が取捨選択できるケースが多い メンテナンスリースでは 車検 点検 整備 オイル 部品交換といった車両のメンテナンスが追加的に組み込まれ リース会社はこれらの費用をメンテナンス料としてリース料に上乗せし 債務者への請求額を計算する ( ただし 必ずしもリース契約上でそれぞれの内訳が明示されているわけではない ) メンテナンスサービスは リース会社が全国に散在する提携整備業者に委託し 代価を支払うケースが多いが リース会社が自ら自社工場で整備するケースもある 1 一般的なリース料債権証券化商品の格付の方法は /rat_stru/pdf/k_01_02.pdf を参照 2 より正確に言えば メンテナンスリースは対顧客上の商品名称であり 会計上はメンテナンス特約が付いたファイナンスリースである メンテナンス特約が付いたコンピューター リースなどもメンテナンスリースと呼ばれるが 本稿ではメンテナンス特約付きオートリースのみを指して用いている 1/5

国内のオートリースにおいて メンテナンスリースとファイナンスリースの比率は およそ 6 対 4 となっている ( リース事業協会 ) 2. ファイナンスリースに関する論点 (1) 必要劣後金額に対する税金 保険料相当額の上乗せ一般的なリース料債権の証券化では 必要劣後金額は1 原債務者の信用悪化により発生する貸倒損失 2サービサー交代後 中途解約に伴う回収金が残リース料を下回る場合に発生する中途解約損失 3サービサーとしてのオリジネーターが倒産した時に回収金がオリジネーターの他の財産と混合することにより発生するコミングリングロス の 3つのストレスシナリオにおける見積り額を合算したものとなる オートリースでは オリジネーターのデフォルトにより オリジネーターが税 保険を支払うことができなくなった後も債務者が引き続き車両を使用することができるよう 現金準備または債権超過担保の形態で 証券化期間中に支払うべき自動車税 重量税 ( リースに組み込まれている場合 ) 自賠責保険料 任意保険料 ( リースに組み込まれている場合 ) の総額を必要劣後金額に上乗せする必要がある 3 (2) 流動性補完必要額に対する税金 保険料相当額の上乗せ一般的なリース料債権の証券化では サービサーとしてのオリジネーターが倒産等の理由により回収業務を通常どおり行えない状況に陥った時 回収業務をバックアップサービサーに引き継いで 信託や SPC に再び回収金が入金されるまでの期間に必要となる資金を 流動性補完として当初より現金準備勘定に積立てる オートリースの場合で 税 保険コストを債権超過担保の形態で準備している場合でも 当該超過担保相当額のうち サービサーとしてのオリジネーターが倒産してから 4 か月以内に支払時期が到来する自動車税 重量税 ( リースに組み込まれている場合 ) 自賠責保険料 任意保険料( リースに組み込まれている場合 ) の総額については 税 保険の納付 支払いに遅延が生じることのないよう 追加的な流動性補完として当初より現金準備勘定に積立てておく必要がある (3) 法律上の論点 1 双方未履行の双務契約破産法第 53 条では 双務契約 ( 契約当事者間に相互的な債権 債務関係が発生し 法律的な対価関係が存在する契約 ) について 破産手続開始の時点で破産者およびその相手方がともにその債務の履行を完了していない場合には 破産管財人は契約を解除することができると規定されており 民事再生法第 49 条 会社更生法第 61 条についても同様である ( 以下 破産法 53 条等 ) かつては オリジネーターについて破産などの手続きが開始され 証券化対象のリース契約が双方未履行の双務契約であるとして 破産管財人などが破産法 53 条等を適用した場合には 信 3 債権超過担保の形態の場合には 貸倒 中途解約およびコミングリングによる債権の毀損を考慮した上乗せ額とすべきである 2/5

託財産が減少する恐れがあると考えられていた しかし 95 年 4 月 14 日の最高裁判決が フルペイアウト ( 借手がリース物件の経済的利益を実質的に享受しコストを実質的に負担すること ) のファイナンスリースについて 各月のリース物件の使用と各月のリース料の支払いとは対価関係に立つものではないとして 会社更生法第 61 条と同趣旨の旧会社更生法第 103 条第 1 項の適用を否定した以降は フルペイアウトのファイナンスリースは破産法 53 条等の対象とはならないと解されている 2 残価が 10% を超過する債権オートリースは自動車中古市場が発達していることもあり リース物件の購入価額とリース期間中のリース料総額の現在価値の差額 ( 残価 ) が大きくなる傾向があり いわゆるフルペイアウトには該当しないものが多数存在する このような 残価が 10% を超過する債権については リース期間中のリース料総額とリース満了時の期待中古価格の合計が リース物件の購入費用その他の諸費用の全額を回収できるように設計されている場合は 各月のリース物件の使用と各月のリース料の支払いとは対価関係にはなく フルペイアウト方式によるファイナンスリース契約に準じる性質を有し 破産法 53 条等の対象とはならないという解釈がなされてきている なお 08 年 4 月から始まった新リース会計基準が上記の解釈その他リース料債権証券化にまつわる各種論点に影響を与えるかについても検討する 3. メンテナンスリースに関する論点 (1) バックアップメンテナンスサービサーリース料債権の証券化スキームでは サービサーとしてのオリジネーターについて破産手続 民事再生手続または会社更生手続などの倒産手続が開始され サービサーが回収業務を履行できなくなる場合に備えてバックアップサービサーを設置し 受託者等が認めた場合はオリジネーターに対する回収事務委託契約を解除し バックアップサービサーが回収業務を遂行することができる仕組みとしている メンテナンスリースの証券化では リース契約上 証券化実行後もオリジネーターはメンテナンスサービスを提供する義務を負担しており オリジネーターについて破産手続 民事再生手続または会社更生手続などの倒産手続が開始され オリジネーターがメンテナンス業務を履行できなくなる場合に備えてバックアップメンテナンスサービサーを設置し オリジネーター倒産後はバックアップメンテナンスサービサーがメンテナンス業務を代行することができるようにしている 3/5

図表 2 メンテナンスリース : 証券化スキームの例 リース債務者 バックアップサービサー / バックアップメンテナンスサービサー リース契約 リース料債権回収金 バックアップサービス契約バックアップメンテナンスサービス契約 オリジネーター サービサー リース料債権譲渡 信託受益権 回収金引渡し 信託銀行 ( 受託者 ) 譲渡代金支払 優先受益権譲渡 優先受益権償還 / 配当 投資家 (2) 法律上の論点 - 双方未履行の双務契約による解除メンテナンスリースは オリジネーターがメンテナンスサービスの履行義務を負担しているが オリジネーターにつき倒産手続が開始された場合において オリジネーターのメンテナンスサービス履行義務が未履行債務としてオリジネーターに残存していたとしても 管財人などによる破産法 53 条等の行使によりメンテナンス特約部分が解除される可能性はあるものの 以下の点が満たされるならば リース本体を含むリース契約全体が解除される可能性は低いものと解することができよう 4 メンテナンス特約の次のような性質から オートリース契約は リース本体とメンテナンス特約に可分な混合契約であるとみなせることメンテナンス料は メンテナンスサービスに応じてリース料とは別個に算出されるリース契約の締結時に 債務者はメンテナンスサービスの有無を選択することができる証券化期間中 メンテナンス料債権は本体のリース料債権と別個に管理される メンテナンス特約が存在しても オートリース契約全体は金融取引の性質を維持していることメンテナンス料がリース料に比して不均衡に多額でないリース会社が提供するメンテナンスサービスは図表 1 のように定型的なものであり 契約書に明示されたサービス内容を超える範囲 種類の修理 部品交換費用は債務者の負担であるリース本体部分については 各月のリース物件の使用と各月のリース料の支払いとは対価関係にはない 4 この点については 西村ときわ法律事務所 ( 現 西村あさひ法律事務所 ) 編 ファイナンス法大全アップデート が詳しい 4/5

(3) 実務上の論点メンテナンスサービスの提供が行われるか否かにかかわらず 債務者はリース料の支払い義務を負担することが法的には明らかであるとしても メンテナンスサービスの提供が受けられない場合 実際問題として債務者がリース料の支払いを拒否する恐れがある このリスクに対応し オリジネーターがメンテナンス業務を履行できなくなる場合に備えてバックアップメンテナンスサービサーが設置される このとき バックアップメンテナンスサービサーによるメンテナンス業務の遂行可能性が問題となってくるが その可否の判断のポイントは以下のようなものになろう 1 メンテナンスの内容オリジネーターが提供しているメンテナンス項目は 法定点検 オイル タイヤ バッテリーなどの部品交換 故障時の修理など 一般的なメンテナンス内容であり メンテナンス業者の代替が十分に効くこと 証券化対象のメンテナンスリースには 大型車 ( 例えば 10t 以下 ) が含まれないこと 2 バックアップメンテナンスサービサーの信用力とメンテナンスサービス提供態勢十分に高い信用力を有すると評価されるオートリース会社 / リース会社がバックアップメンテナンスサービサーに選定されること 多数のリース車両を有し メンテナンスサービスについて十分な実績 能力を持ち 営業地域の乖離がないこと 3 バックアップメンテナンスサービス契約の内容バックアップメンテナンスサービサーは バックアップメンテナンス契約を締結の上 証券化取引実行の当初より設置されていること バックアップメンテナンス発動後 バックアップメンテナンスサービサーがサービスを提供する際の法的な建付けが実効的であること 4 車両の製造会社リース物件を構成する車両の製造会社が分散していない場合 特に信用力の低い製造会社に集中している場合には 交換部品の入手が困難になり メンテナンスサービスの継続提供ができなくなるリスクについて 当該証券化の格付に与える影響を検討する必要があろう 以上 留意事項本文書に記載された情報には 人為的 機械的 またはその他の事由による誤りが存在する可能性があります したがって JCR は 明示的であると黙示的であるとを問わず 当該情報の正確性 結果 的確性 適時性 完全性 市場性 特定の目的への適合性について 一切表明保証するものではなく また JCR は 当該情報の誤り 遺漏 または当該情報を使用した結果について 一切責任を負いません JCR は いかなる状況においても 当該情報のあらゆる使用から生じうる 機会損失 金銭的損失を含むあらゆる種類の 特別損害 間接損害 付随的損害 派生的損害について 契約責任 不法行為責任 無過失責任その他責任原因のいかんを問わず また 当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず 一切責任を負いません また 当該情報は JCR の意見の表明であって 事実の表明ではなく 信用リスクの判断や個別の債券 コマーシャルペーパー等の購入 売却 保有の意思決定に関して何らの推奨をするものでもありません 本文書に係る一切の権利は JCR が保有しています 本文書の一部または全部を問わず JCR に無断で複製 翻案 改変等をすることは禁じられています 5/5