我が国における電力卸取引の現状と今後の役割 一般社団法人日本卸電力取引所國松亮一 -0- C2018Japan Electric Power Exchange All Rights Reserved

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御意見の内容 御意見に対する電力 ガス取引監視等委員会事務局の考え方ることは可能です このような訴求は 小売電気事業者が行うことを想定したものですが 消費者においても そのような訴求を行っている小売電気事業者から電気の小売供給を受け 自らが実質的に再生可能エネルギーに由来する電気を消費していることを

Microsoft Word - 報告書.doc

1. 非 FIT 非化石証書の取引について 2. 非 FIT 非化石証書の価格等について 3. 非 FIT 非化石証書の種類について 4. 非 FIT 非化石証書の約定 / 未約定分の取り扱いについて 5. 市場創設スケジュールについて 6. 非化石証書の取引に伴う収入の取り扱いについて 1

FEPC INFOBASE i - 電気事業制度

Microsoft PowerPoint - 22_容量市場(松久保)

整力を確保する一方 小売部門が GC までの自社需要の想定誤差に対する予備力を確保する対 応をしていることから 一部の旧一般電気事業者については 送配電部門と小売部門が確保し ている予備力の合計値が 調整力公募制度開始以前と比較して増加している ( 卸電力取引所活性化の必要性 ) 旧一般電気事業者の

図 2: 今後の主な市場整備等 2. ベースロード電源市場等 2.1. 契約見直しの必要性新電力がベースロード電源 ( 石炭火力 水力 原子力等 ) にアクセスすることを容易にし 小売競争を更に活性化させることを目的として ベースロード電源市場を創設するとともに ベースロード電源を保有する旧一般電気

資料 3 第 21 回制度設計専門会合事務局提出資料 ~ 卸電力市場活性化に係る事業者ヒアリング ~ 平成 29 年 8 月 28 日 ( 月 )

i-1 電気事業制度についてー 1 自由化 2000 年 3 月から大口需要家に対する電力小売が自由化 その後 2004 年 4 月 2005 年 4 月と 自由化範囲が段階的に拡大 さらに 電力システム改革専門委員会での検討を踏まえ 2016 年 4 月から小売全面自由化が開始された (j-3 参

整力を確保する一方 小売部門が GC までの自社需要の想定誤差に対する予備力を確保する対 応をしていることから 一部の旧一般電気事業者については 送配電部門と小売部門が確保し ている予備力の合計値が 調整力公募制度開始以前と比較して増加している ( 卸電力取引所活性化の必要性 ) 旧一般電気事業者の

資料 4 非化石価値取引市場について 2017 年 11 月 28 日 資源エネルギー庁

電力システム改革に関する意見 <ポイント>

これは 平成 27 年 12 月現在の清掃一組の清掃工場等の施設配置図です 建替え中の杉並清掃工場を除く 20 工場でごみ焼却による熱エネルギーを利用した発電を行っています 施設全体の焼却能力の規模としては 1 日当たり 11,700 トンとなります また 全工場の発電能力規模の合計は約 28 万キ

整力を確保する一方 小売部門が GC までの自社需要の想定誤差に対する予備力を確保する対 応をしていることから 一部の旧一般電気事業者については 送配電部門と小売部門が確保し ている予備力の合計値が 調整力公募制度開始以前と比較して増加している ( 卸電力取引所活性化の必要性 ) 旧一般電気事業者の

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前回の御議論 2 1) 第 6 回連系線利用検討会において 下記のような御意見があった 経過措置の転売を禁止することで効率性を低下させているため 転売を可能とすることについても 改めて検討すべき 経過措置が 10 年という長期であるにもかかわらず 経過措置を転売不可とすると 非効率性が増す側面もある

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第2回 制度設計専門会合 事務局提出資料

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量割当て優先で容間接オークションの概要 間接オークション は 原則として全ての連系線利用を エネルギー市場の取引 (JEPX のスポット取引等 ) を介して行うこととする仕組み ( ) であり 2018 年度から導入予定 1 現行ルールでは 先着優先 で連系線の容量を割り当てている 現状において J

余白 1

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本日の議論 ( 背景等 ) 全面自由化された小売分野における健全な競争を促すためには 競争的な電源調達環境が必要不可欠 具体的には 相対取引 取引所取引などの形を問わず 小売電気事業者が如何に競争条件下で電源にアクセスできるかが重要となる こうした観点から これまでも 常時バックアップの導入 運用改

1. 調整力公募について 本年 4 月に施行された第 2 弾の改正電事法により 新しいライセンス制度が導入されたことを受け 一般送配電事業者が電力供給区域の周波数制御 需給バランス調整を行うこととなっている そのために必要な調整力を調達するにあたって 一般送配電事業者は原則として公募の方法で調達する

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検討の進め方 出所 ) 第 4 回調整力の細分化及び広域調達の技術的検討に関する作業会資料 3( 赤枠削除 ) 217/chousei_sagyokai_4_haifu.html 2 第 11

□120714システム選択(伴さん).ppt

Q 切り替えする手続きが面倒じゃないの? A 新しく契約する電力会社へ申し込みをするだけで 今の電力会社へ連絡はせずに切り替えができます また Web でも簡単に申し込み手続きができるようになります Q 停電が増えたり 電気が不安定になったりしないの? A 新電力と契約した場合でも 電気を送る電線や

1. はじめに 1 需要曲線の考え方については 第 8 回検討会 (2/1) 第 9 回検討会 (3/5) において 事務局案を提示してご議論いただいている 本日は これまでの議論を踏まえて 需要曲線の設計に必要となる考え方について整理を行う 具体的には 需要曲線の設計にあたり 目標調達量 目標調達

はじめに 1 電源 Ⅱ 事前予約の検証について 四国エリアにおいては 太陽光発電の計画差 ( 下振れ ) により十分な予備力が確保できなくなるおそれがある場合に電源 Ⅱ 事前予約を実施しています 今回 2018 年 8 月 9 月における電源 Ⅱ 事前予約の実績について事後検証を実施しました

UIプロジェクトX

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FIT/ 非 FIT 認定設備が併存する場合の逆潮流の扱いに関する検討状況 現在 一需要家内に FIT 認定設備と非 FIT 認定設備が併存する場合には FIT 制度に基づく買取量 ( 逆潮流量 ) を正確に計量するため 非 FIT 認定設備からの逆潮流は禁止されている (FIT 法施行規則第 5

資料 2 接続可能量 (2017 年度算定値 ) の算定について 平成 29 年 9 月資源エネルギー庁

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下水道は私たちの安全で快適なくらしを支えています

表 1 小売電気事業者( 新電力とみなし小売電気事業者の総計 ) の平成 29 年 3 月分 販売電力量 ( エリア別 ) 販売電力量合計 ( 単位 :MWh) その他需要 合計 北海道 260,709 1,129,470 1,028, ,749 8,428 2,730,690 東北 1

Ⅱ 主な改革内容 上記の 3 つの目的からなる電力システム改革につき 以下の 3 つの柱を中心として 大胆な改革を現実的なスケジュールの下で着実に実行する 1. 広域系統運用の拡大 電力需給のひっ迫や出力変動のある再生可能エネルギーの導入拡大に対応するため 国の監督の下に 報告徴収等により系統利用者

電気事業分科会資料

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電解水素製造の経済性 再エネからの水素製造 - 余剰電力の特定 - 再エネの水素製造への利用方法 エネルギー貯蔵としての再エネ水素 まとめ Copyright 215, IEEJ, All rights reserved 2

Ⅰ. 認定制度 1. 認定制度 の現状 2. 認定時期について 3. 認定案件の適正な事業実施に向けて 4. 調達価格の決定時期

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意見者

エネルギー規制 制度改革アクションプラン (11 月 1 日 ) の概要 重点課題と詳細リスト 現時点で政府が取り組むこととしている又は検討中の事項を 実施 検討事項詳細リスト (77 項目 ) として取りまとめ その中から 3つの柱で計 26 項目の重点課題を特定 1 電力システムの改革 (9 項

Ⅰ. 震災により明らかになった電力供給システムの問題点 東日本大震災により我が国の電力供給システムに内在していた問題点が顕在化 その一端として 例えば以下のような事態が生じた 需要家が工夫できる度合いや 電気の必要性の大小にかかわらず 一律の計画停電や電力使用制限によらなければ需要抑制ができず 国民

大阪電力選べる環境づくり協議会

はじめに 2 第 4~6 回作業会にて 調整力の細分化 市場化に対応するための技術的課題 および広域的な調達 運用に対する技術的課題について検討を行い 2020 年 および2020+X 年の需給調整市場の姿を提示し 第 21 回調整力及び需給バランス評価等に関する委員会にて方向性について了解を得た

上記の規定に基づき 経済産業大臣及び環境大臣は 1 特定排出者による他人から供給された電気の使用に伴う二酸化炭素の排出量の算定の適正な実施を確保し 自主的な二酸化炭素の排出の抑制に資するため 2 京都議定書第 3 条の規定に基づく約束を履行するために事業者が自主的に行う算定割当量の取得及び国の管理口

再生可能エネルギー電気特定卸供給契約の申込み方法 2018 年 10 月 1 日東京電力パワーグリッド株式会社ネットワークサービスセンター TEPCO Power Grid Inc. All Rights Reserved. 無断複製 複製禁止東京電力パワーグリッド株式会社

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目次 1. エネルギー基本計画見直しのポイント 2 2. エネルギー基本計画における電源別に見た論点 6 3. 電力システム改革の進捗状況 電力及び関連業界に与える影響 14 ご参考資料 17 1

スーツケース基準最終案ー基準重要度順化

WG説明

商品設計の再検討について 2 商品設計のイメージとして議論してきた調整力の要件をより詳細に検討した結果 見直しが必要と考えられえる箇所が顕在化してきたため その箇所について新たに議論をしたい なお 本資料の内容は 資料 6 需給調整市場に関する意見募集について ( 案 ) の 3 項に組み入れる予定

Microsoft PowerPoint - Energy trading seminar 2602 master_JPN v1.2_03

再生可能エネルギー電気特定卸供給契約の申込み方法 平成 29 年 4 月 21 日東京電力パワーグリッド株式会社ネットワークサービスセンター TEPCO Power Grid Inc. All Rights Reserved. 無断複製 複製禁止東京電力パワーグリッド株式会社

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解説「衣服」製品認定基準(案)

i-1 電力の自由化 平成 12 年 3 月から大口需要家に対する電力小売が自由化 さらに 電気事業分科会における検討の結果 平成 16 年 4 月 平成 17 年 4 月と 自由化範囲が段階的に拡大 小売の部分自由化 (1) 自由化範囲の拡大 小売の部分自由化は 平成 12 年 3 月より 特別高

種類以上 再生可能エネルギー 100% のメニューだけでも 5~60 種類あり 新規参入が低調になりやすい家庭部 門においても 豊富な選択肢が確保されている 表 1: 米国の全面自由化実施州における新規参入状況 自由化中断 廃止州 : 7 州 ( カリフォルニア ネバダ アリゾナ ニューメキシコ モ

海外における電力自由化動向

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1. インバランス精算における計画誤りの解消に向けた取組の実施状況 2. 今後のインバランス精算の在り方 1

特別企画コンファレンス

インバランス料金の見直しについて

成 29 年には小売の地域独占が撤廃され 料金規制が原則廃止される 小売全面自由化を機に 課税の公平性 を担保することは 新規参入を促進すると同時に 競争の活性化による料金抑制 更なる天然ガス利用拡大に寄与し ガスシステム改革の目的達成に資することから 抜本的な現行課税方式の見直しが必要である 2

2 I. 電力小売自由化後の課題 II. 都市ガス自由化に向けての課題 III.LP ガスの課題 まとめ

White Paper on Small and Medium Enterprises in Japan

「電力」契約ガイドライン

新電力のシェアの推移 全販売電力量に占める新電力のシェアは 216 年 4 月の全面自由化直後は約 5% だったが 217 年 5 月に 1% を超え 218 年 1 月時点では約 12% となっている 電圧別では 特別高圧 高圧分野 ( 大口需要家向け ) は時期により変動しつつも 全体的には上昇

は基本的には一般的な電力調達単価より割高になるケースが多く 電力小売事業の収支に 影響を与える よってこの電力の需給バランスの達成具合と それを達成するための需給 管理の方法等が電力小売事業の事業性に関わることとなる 6-2 調査実施方針 電力小売事業の事業性調査と参入方式について第

監視手法に関する調査 分析 我が国の卸電力取引に係る競争状況 不正取引を監視し それを踏まえた対応を検討するための基礎資料として活用するため ( 6) の諸外国の規制当局や取引所に係る調査 分析を行う 調査に当たっては文献 インターネット 各国の規制当局及び取引所の関係者等へのヒアリングを通じ 幅広

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スマートコミュニティと新しいビジネス ~エネルギー関連新規ビジネスを促進するために~

(1) 需給調整市場について ( 計画値同時同量制度の中長期的展望と調整力コスト ) 再エネ導入に伴い 周波数調整だけでなく太陽光出力の調整が必要になるはず 短周期変動の場合は抑制可能だが 天候の影響が大きい長期的変動は予測が難しく 利用効率の低下等の遠因となる 結果的にコストの増加に繋がるため こ

2014年7月30日 東京電力株式会社

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3. 制度見直しの方向性 3-1. 送配電関連設備に係る費用の利用者間の負担 送配電網の利用者として 送配電網に接続している発電者と需要家が挙げられるが 現行制度上 送配電関連設備に係る費用は 発電側による電源接続時の初期費用負担を除き 需要側のみが負担 ( 小売電気事業者が託送料金を負担し それを

操作マニュアル

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問 3. いつから小売の全面自由化が行われるのですか 答.2016 年 ( 平成 28 年 )4 月 1 日です 問 4. いつから小売電気事業者の変更申込みが可能となるのですか 答.2016 年 ( 平成 28 年 )4 月から 小売全面自由化が始まっており 既に申込みは可能です 問 5. 小売電

注 1: 要件の判断に係る算定に当たっては 複数の発電用の電気工作物が同一の接続地点に接続している場合は 一つの発電用の電気工作物とみなす 注 2: 特定発電用電気工作物に該当しない電気工作物は 発電事業の要件 ( 小売電気事業用等接続最大電力の合計が 1 万 kw 又は 10 万 kw を超えるも

問 3. いつから小売の全面自由化が行われるのですか 答.2016 年 ( 平成 28 年 )4 月 1 日です 問 4. いつから小売電気事業者の変更申込みが可能となるのですか 答.2016 年 ( 平成 28 年 )1 月より小売電気事業者により変更申込みの事前受付が本格化し 来年 3 月以降

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業務用・産業用のお客さま向け 大阪ガスグループの電気

( 空白 ) 1

第 1 章 我が国のエネルギーの現状と電力自由化 第 章 我が国のエネルギーの現状と電力自由化 1. 我が国のエネルギーの現状 (1) エネルギー消費 我が国のエネルギー消費は 経済の発展とともに増加してきましたが 世紀に入り経済成長がストップしたことや省エネが進んだことから 年度から 年度にかけて

れなくなる 特に 小規模の新規参入事業者にとって このリスクに対応するシステムが設けられていなければならない すなわち 万が一 小売販売事業者が倒産した場合には 送電を担う旧電力会社の責任で電力供給が保証されることになっており そのためには 在来の地域独占の旧電力会社が その発電量を補償する仕組みに

説明 年間断面におけるマージンの値 2 間接オークション導入が 2018 年 10 月 1 日からとなったことを踏まえ 10 月以降分のマージンについて間接オークション導入後に適用される送配電等業務指針に基づき設定する 変更後の送配電等業務指針では 実需給断面におけるマージンが必要な場合を除き 原則

部分供給については 例えば 以下の3パターンが考えられる ( 別紙 1 参照 ) パターン1: 区域において一般電気事業者であった小売電気事業者 ( 又は他の小売電気事業者 ) が一定量のベース供給を行い 他の小売電気事業者 ( 又は区域において一般電気事業者であった小売電気事業者 ) がを行う供給

バイオマス比率をめぐる現状 課題と対応の方向性 1 FIT 認定を受けたバイオマス発電設備については 毎の総売電量のうち そのにおける各区分のバイオマス燃料の投入比率 ( バイオマス比率 ) を乗じた分が FIT による売電量となっている 現状 各区分のバイオマス比率については FIT 入札の落札案

電気 ガス 熱供給の自由化と新築物件 既築物件における選択肢 ( 上 ) 藤本祐太郎長島 大野 常松法律事務所弁護士 本誌発行日である 2019 年 4 月 1 日をもって 電力自由化 熱供給自由化からちょうど 3 年 ガス自由化からちょうど 2 年が経過した 電気についていえば 500 社超の事業

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我が国における電力卸取引の現状と今後の役割 一般社団法人日本卸電力取引所國松亮一 -0- C2018Japan Electric Power Exchange All Rights Reserved

電力市場の構造 発電分野 卸売市場 取引所 相対契約 送変電 配電分野 需要分野 電気の流れ 金銭や契約の流れ -1- C2018Japan Electric Power Exchange All Rights Reserved

実需要までのマーケットの種類 Derivative Market デリバティブ Day-Ahead Market デイアヘッド Intraday Market イントラデイ Balancing Market バランシング 中長期 ( 年 / 月 ) 短期 ( 前日 ) 超短期 ( 数時間前 ) リアルタイム ( 数分前 ) 中長期の需給を予測 発電計画の最適化 短期の需給マッチング 卸電力取引所の領域 安定供給 ( 停電回避 ) -2- C2018Japan Electric Power Exchange All Rights Reserved

日本の電力自由化と日本卸電力取引所 (JEPX) の沿革 日本の電力事業は戦後の電力事業再編により国内を 9 のエリアに分割し, それぞれのエリアで民間の電力会社が発送配電を行ってきたが,90 年代初頭の大不況により電気料金の低減化が望まれた結果, 競争原理を導入することでその実現が狙われ,1995 年, 発電部門の自由化を皮切りに電力自由化が始まった 1995 年独立系発電事業者 (IPP) の発電市場への参入が可能となる 2000 年大口 (2 万 V 以上受電, 契約電力 2 000kW 以上 ) の小売自由化 2003 年電気事業分科会報告 今後の望ましい電気事業制度の骨格について を受け, 取引所 (JEPX) 設立 2004 年高圧 (500kW 以上 ) の小売自由化 2005 年 JEPXで取引開始 ( スポット取引 先渡取引 ) 2005 年高圧 (50kW 以上 ) の小売自由化 2008 年自由化範囲の再定義 ( 低圧の自由化については明文化せず ) 2009 年時間前取引の取引開始 2011 年東日本大震災 2013 年電力システム改革閣議決定 2015 年広域系統運用の拡大 2016 年全面自由化 2018 年間接オークションの実現 -3- C2018Japan Electric Power Exchange All Rights Reserved

日本卸電力取引所 (JEPX) とは 平成 26 年度より本取引所ホームページ (http://www.jepx.org/) にて日々の取引実績を公開するようになりました スポット取引のインデックスおよび各エリアの市場価格等を確認いただけます -4- C2018Japan Electric Power Exchange All Rights Reserved

スポット市場 (1 日前市場 ) エリア 商品 最小入札単位 スポット市場の概要 全国市場 入札時にエリア指定 1 日を 30 分単位に区切った 48 商品 0.1MW 電力量換算では商品が 30 分単位のため 500kWh となる 入札者は締切時刻までに, 入札カーブを作成して入札する 入札カーブは時間帯毎に表形式で価格と量を指定する 商品 1 2 3 15 0:00~0:30 価格 8 10 12 量 10 8-5 0:30~1:00 価格 9 11 12.34 23:30~24:00 量 10 8-5 ( 表の見方 ) 8 円までなら 10MW 買う,8 円より高く 10 円までなら 8MW 買う,10 円より高くなれば買わない 12 円以上となれば 5MW 売る 価格は銭単位まで指定できる 量は正が買い, 負が売り 入札締切後, 取引所は全ての入札カーブを売り 買いに分けて合成する 合成して出来た売り 買い入札カーブの交点を約定価格 約定量とする 原則, 約定価格より高い買い入札 安い売り入札が約定する 市場分断する場合, 分断されたエリア毎に入札カーブの合成を行い, エリア毎の約定価格 量を算定する 翌日の 24 時間分を取引する 1 年 365 日取引を行う 入札は締切時限までに価格と量を指定するブラインドオークション方式 複数時間帯を指定するブロック入札が可能 連系線空き容量の範囲で約定させるため市場分断し, 全国統一価格にならない場合がある 予めバランシンググループのコード等受渡契約の届出が必要 量 買い 約定価格 量 売り 価格 入札スケジュール 締切の 10 営業日前の 8:00~ 受渡日前日の 10:00 10:10 頃約定結果約定結果を元に広域機関へ計画の提出 -5- C2018Japan Electric Power Exchange All Rights Reserved

スポット市場の約定量 ( 億 kwh) 月別スポット取引約定量 年度別約定量 2005 年度 2006 年度 2007 年度 2008 年度 2009 年度 2010 年度 2011 年度 2012 年度 2013 年度 2014 年度 2015 年度 2016 年度 2017 年度 2018 年度 (~10 月 ) 938,250,000 kwh 1,523,472,000 kwh 2,266,822,000 kwh 3,487,085,000 kwh 3,545,122,000 kwh 5,501,206,500 kwh 4,717,287,000 kwh 7,358,985,000 kwh 10,285,251,500 kwh 12,601,453,000 kwh 15,396,017,000 kwh 22,961,899,500 kwh 58,592,675,000 kwh 94,917,017,450 kwh 2005/4 2011/3 2018/10

当日市場 ( 一時間前市場 ) 時間前市場の概要 時間前市場の使い方 エリア 商品 全国市場 入札時にエリア指定 1 日を 30 分単位に区切った 48 商品 1 3 例えばスポット市場で約定できなかった電気の売買 2 需給間近, 事故等, 突発的事象が発生し, 追加の電気が必要な時に, 経済合理性を見て取り得る ( 最終の ) オプション 最小入札単位 0.1MW 市場価格と自身のコストを比較した経済的な差替 30 分単位の商品毎にザラバで取引 24 時間開場しており, 毎日 17 時から翌日の取引が開始される 各商品について受渡の 1 時間前まで取引が可能 ザラバで価格条件が合った後, 連系線の託送可否判定を行い, 託送可能な量について約定する 予めバランシンググループのコード等受渡契約の届出が必要 -7- C2018Japan Electric Power Exchange All Rights Reserved

電力システム改革 これまでの電力システム 地域独占 料金規制 ( 総括原価方式 ) 発電 ~ 小売までの一貫体制 10+1 社体制 どう改革するか 競争による効率化 ( 自由化 ) + 安定供給 -8- C2018Japan Electric Power Exchange All Rights Reserved

電力システム改革 競争による効率化 発電 発電 送配電 ( 規制 ) 小売 小売 発電事業者は発電事業者と小売事業者は小売事業者とそれぞれ競争 卸電力市場の整備 現在 30% 程度 これをどの程度まで高めるか 欧州では 30%~60% 超 市場シェアが 100% = 強制プール (PJM など ) -9- C2018Japan Electric Power Exchange All Rights Reserved

取引所取引活性化の施策 FIT 送配電買取 2017 年 4 月から 再生可能エネルギー発電事業者からの電気の買取義務者が小売電事業者から送配電事業者に変更され, 送配電事業者は買取った電気を取引所に拠出する グロスビディング 2017 年 4 月頃から 旧一般電気事業者の社内取引の一部を取引所に拠出 平成 29 年度末に各社需要の 10% 程度 連系線利用ルール見直し 2018 年 10 月から 連系線の利用ルールを現行の先着優先方式 ( 相対取引でも利用可能 ) から間接オークション方式 ( 取引所取引のみ利用 ) に変更される 現在連系線を跨いで取引されている電気が取引所に投入される 全国需要の10% 強 ベースロード電源市場 旧一般電気事業者のベースロード電源 ( 水力 石炭火力 原子力 ) の一部を取引所を通じて新規参入者に売電を義務付け -10- C2018Japan Electric Power Exchange All Rights Reserved

取引環境の整備 ( 要整備事項 ) 価値の整理 電気そのものと, 付帯する価値を切り離し, 電気そのものの取引 付帯する価値の取引に分けることによって, それぞれ取引が活発になる 電気に付帯する価値 非化石電源価値 二酸化炭素排出量 電源構成表示価値 一部は非化石電源価値取引で実現 ( 平成 29 年度分より ) 比較的二酸化炭素排出量の少ない LNG 火力発電の価値が未実現 -11- C2018Japan Electric Power Exchange All Rights Reserved

その他の施策について 容量メカニズム ( 市場 ) 固定費改修のメカニズムの用意 リアルタイム市場の整備 調整力公募の市場化 -12- C2018Japan Electric Power Exchange All Rights Reserved

電気事業の課題 卸取引市場の整備 発電事業者の経済合理的な行動 安定供給安定供給 + 利益最大化 利益最大化が 量充分な売り玉だし 適当な売り価格 を実現していく < 競争環境整備の姿 > 発電環境 メリットオーダーの実現 小売環境 調達価格のイコールフッティング 送電環境 調整 / 予備力の透明化 発電 小売の分離 ( 会計分離 ) 発電に経営思想を浸潤する -13- C2018Japan Electric Power Exchange All Rights Reserved

非化石価値取引 仕組み 現時点では,FIT 電源の非化石価値のみを対象とします FIT 電源以外の非化石価値については, 国における検討を受け対応します 電気のながれ 非化石価値のながれ FIT 電源 費用負担調整機関 (GIO) 電気事業者 JEPX 非化石価値市場 JEPX 電力市場 非化石価値は必ず電気と合わせて需要家に供給される 電気事業者 需要家 -14- C2018Japan Electric Power Exchange All Rights Reserved

非化石価値取引 非化石証書の整理 資源エネルギー庁第 15 回制度検討作業部会資料より -15- C2018Japan Electric Power Exchange All Rights Reserved

非化石価値取引 環境価値訴求型小売メニュー 自社の排出係数を公表する際 当社の 年度の CO2 排出係数 ( 調整後排出係数 ) は, 〇 kg-co2/kwh です 当社は再エネ指定の非化石証書の購入により, 実質的に, 再生可能エネルギー電気 % の調達を実現しています 環境価値訴求型小売りメニューの提供 詳細は 電力の小売営業に関する指針 ( 小売 GL) を参照下さい 非化石証書の売れ残り分は 余剰非化石電気相当量 として扱い, 現行の調整後排出係数算定式と同様に, 販売電力量のシェアに応じて配分される ただし, この配分された価値は, 特定の小売メニューに集中的に割り当てることは出来ない 環境価値訴求型小売りメニュー ( 再エネ 100% 電気 など ) を提供するには 当該メニュー量相当の再エネ (FIT 以外 ) 電気の調達 当該メニュー量相当の非化石価値の調達 -16- C2018Japan Electric Power Exchange All Rights Reserved

非化石価値取引 非化石価値の価値向上に向けて RE100 対応小売メニューの整備 非化石証書と組合された電気の供給 電源構成上 FIT 電気 の内訳 FIT 電気を受電しながら, 非化石証書 (FIT) を保有しないものの扱い 非化石電源割合の表示 非化石電源割合の表示は, 小売電気事業者の 望ましい姿 とすべきか -17- C2018Japan Electric Power Exchange All Rights Reserved

非化石価値取引 環境価値の実現に向けて今後の課題 電気に付随する価値 産地, 地産地消 発電種 ( 原子力, 石炭, 石油, 太陽光,etc) 二酸化炭素排出量 ( 排出係数 ) 非化石価値 非化石価値 非化石価値取引を拡大していくことで実現可能 種別の細分化を検討 二酸化炭素排出量 どう実現するか 具体的には 石炭発電と LNG 発電の差 例えば 取引所に投入する電気の排出係数は 0.5kg/kWh とすることを義務付け LNG 発電 (0.3kg/kWh) は 1kWh 発電すると 0.2kg 価値を得る 石炭発電 (0.8kg/kWh) は 1kWh 発電すると 0.3kg 価値を得る ( 買わなければならない ) 非化石価値を得ているものは, その排出係数は 0.5kg/kWh として計算 この間での取引 (LNG が売って, 石炭が買う ) を実現することで価値の顕在化が図れる -18- C2018Japan Electric Power Exchange All Rights Reserved