受胎告知 ( ルカ 1:26-38) ルカ福音書講義 (3) か月目 1 に み使いガブリエルが神からナザレ 2 という名のガリラヤの町に遣わされた 27 ダビデの家の出 3 でヨセフという名の男と婚約中 4 のおとめのもとにである おとめの名はマリヤ 5 といった

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一 マリヤへの恵みある教会に 何かというと 恵まれた女よ おめでとう と言う人がいました 女性のための聖書のクラスで 誰かが正しい答えを言ったら 恵まれた女よ おめでとう 感謝なことの証しをしたら 恵まれた女よ おめでとう 誰かが牧師に祈ってもらっている姿を見たら 恵まれた女よ おめでとう 彼女はい

神学総合演習・聖霊降臨後最終主日                  2005/11/16

2013 年 3 月 10 日 ( 日 ) 11 日 ( 月 ) 51 回目 Ⅵ-054 山上の垂訓 山上の垂訓 054 マタ 5:1~2 ルカ 6:17~19 1. はじめに (1) 呼び名について 1マタ 5:1~8:1 は 通常 山上の垂訓 ( 説教 ) と呼ばれる 2しかし この名称は 説教

癒しの業と宣教 ( ルカ 4:38~44) 1) ルカ福音書講義 (23) 章 38 イエス 2) は会堂から立ちあがり シモンの家 3) に入った シモンのしゅうとめが 高熱 4) で苦しめられており 彼らは 5) 彼女のことをイエス 6) に願った 39 彼は彼女の枕

2012 年 1 月 22 日 ( 日 ) 23 日 ( 月 )54 ローマ人への手紙 15:4~13 希望から希望へ 1. はじめに (1) 文脈の確認 11~8 章が教理 29~11 章がイスラエルの救い 312~16 章が適用 (2)14:1~15:13 は 雑多な問題を扱っている 1 超道徳

2018 年 5 月 27 日 ( 日 ) 28 日 ( 月 ) 14 回 ペテロの第 2 のメッセージ (2) ペテロの第 2 のメッセージ (2) 使徒 3:17~26 1. はじめに (1) ペンテコステの日に教会が誕生した 1ペテロの第 1 回目のメッセージにより 3,000 人ほどの人たち

創世記5 創世記2章4節b~25

創世記5 創世記2章4節b~25

* ユダヤ人の歴史家ヨセフスもまた同じような書き方をしている 5 テオピロは ルカの執筆活動を支援するパトロンであった可能性が高い 6 もしそうなら テオピロはローマ人クリスチャンであったと思われる (2)1~2 節は ルカの福音書の要約である 1 前の書 というのは ルカの福音書 のことである 2

聖書に聞く会 ( 第 2 回 ) マルコによる福音書 1 章 1-8 節 2014 年 5 月 8 日 古本靖久 1 聖歌 60 番 ヨルダンのほとりヨハネはさけべり 2 お祈り 3 テキストの位置 今日の箇所はマルコ福音書のはじめの部分であり この福音書は何について書くのか決定づける所です 特に

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人には 非日常性が必要です いつもの生活ではなく これは見たことがない 聞いたことがないという意外性 あるいは奇跡と言ってよいでしょう いつも自分のできること していること中で生きているならば 虚しさが残り 死に至ります しかし これまで経験しなかったこと 知り得ないことを知れば そこに命があり 希

3 章 蝮の裔よ ( ルカ 3:7~14) ルカ福音書講義 (15) そこで 彼から洗礼を受けよう 1) として出て来た民衆 2) に彼は言った 3) 蝮 の裔よ 4) 誰があなた方に 来るべき怒り 5) から逃れるように教えたのか 8 さ あ 悔い改め 6) にふさわしい

2 イエスの戒めを守るなら イエスの愛に留まることになる (2) その教えを話した理由は 弟子たちが喜びに満たされるためである 1イエスは 自分が経験している喜びを弟子たちに与えようとしている 2イエスの喜びは 父なる神への従順 ( 喜ばせること ) によって生まれる 3ヘブ 12:2 Heb 12

2012 年 7 月 1 日 ( 日 ) 2 日 ( 月 ) 17 回目 Ⅴ-020~021 バプテスマのヨハネの登場 バプテスマのヨハネの登場 ルカ 3:1~2 マコ 1:2~6 1. はじめに (1) 文脈の確認 1バプテスマのヨハネの誕生 2イエスの誕生 3イエスの幼少期 (2) 今日の箇所は

(1) 神殿の聖所と至聖所を分ける幕である 1 長さが約 18 メートル 厚さが約 10 センチ 2この幕の内側に入れたのは 大祭司だけである それも年に一度だけ 3 大祭司 アロンの家系 ケハテ氏族 レビ族 イスラエルの民 全人類 (2) この幕が 上から下まで真っ二つに裂けた 1 神の御手がこれ

2011 年 10 月 16 日 ( 日 ) 17 日 ( 月 )42 ローマ人への手紙 11:25~36 拒否の解決 (3) イスラエルの救い 1. はじめに (1)10 月 13 日 ( 木 ) の日没から仮庵の祭りが始まった 1 第 7 の月の 15 日 満月 2 満月を眺めながら イスラエル

Heb 11:7 信仰によって ノアは まだ見ていない事がらについて神から警告を受けたとき 恐れかしこんで その家族の救いのために箱舟を造り その箱舟によって 世の罪を定め 信仰による義を相続する者となりました (1) ノアは 神から警告を受けた 1 創 6:17 Gen 6:17 わたしは今 いの

このメッセージは メシアの義とパリサイ人の義について学ぼうとするものである Ⅰ. 真の信仰者の特徴 (5:13~16) 1. 地の塩 (13 節 ) あなたがたは 地の塩です もし塩が塩けをなくしたら 何によって塩けをつけるのでしょう もう何の役にも立たず 外に捨てられて 人々に踏みつけられるだけで

2017 年 10 月 8 日 ( 日 ) 9 日 ( 月 ) 15 回さらにすぐれた契約 さらにすぐれた契約 ヘブル 8:1~13 1. はじめに (1) この手紙が書かれた理由を再確認する 1 信仰が後退しつつあった第 2 世代のメシアニック ジューたちへの励まし (2) ユダヤ教の 3 つの柱

Rev 7:1 この後 私は見た 四人の御使いが地の四隅に立って 地の四方の風を堅く押さえ 地にも海にもどんな木にも 吹きつけないようにしていた (1) この後 私は見た 1 物事の時間的流れではなく ヨハネが見た幻の順番を示している 2この幻は 神の裁きが迫っていることを示唆している 3 地の四方

牧会の祈り

2012 年 1 月 15 日 ( 日 ) 16 日 ( 月 )53 ローマ人への手紙 14:13~15:3 キリスト者の自由 1. はじめに (1) 文脈の確認 11~8 章が教理 29~11 章がイスラエルの救い 312~16 章が適用 (2)12 章は 基本的には教会内の行動についての勧めであ

このメッセージは 父なる神について考えようとするものである Ⅰ. 聖書が使用する比喩的言葉 1. 神という言葉について (1) ヘブル語でエロヒム ( エル ) ギリシア語でセオス 1 普通名詞 神々を指す言葉である 2 日本語の神も 多くの神々を指す言葉である 3 聖書の神は どういう神かを示す必

2 奇跡 3 父 4 聖書 4. メッセージのゴール (1) イエスを誰だと言うか (2) イエスを信じる者の幸いとは何か このメッセージは イエスの業と主張について考えようとするものである Ⅰ. イエスと父は一体である (19~29 節 ) 1. 行動において まことに まことに あなたがたに告げ

牧会の祈り

2011 年 06 月 26 日 ( 日 ) 27 日 ( 月 )26 ローマ人への手紙 7:14~25 律法からの解放 (3) ロマ書 7 章クリスチャン 1. はじめに (1) 聖化 に関する 5 回目の学びである 1 最大の悲劇は 律法を行うことによって聖化を達成しようとすること 2この理解は

Microsoft Word - ◎中高科

2017 年 7 月 2 日 ( 日 ) 3 日 ( 月 ) 1 回 ヘブル人への手紙のテーマ ヘブル人への手紙のテーマ ヘブル 1:1~3 1. はじめに (1) 著者 1いくつかの名が上げられてきた * パウロ * ルカ ( パウロがヘブル語で書いたものを ルカがギリシア語に翻訳した ) * バ

* ダニエル書 3 捕囚期後 (3) * ハガイ書 * ゼカリヤ書 * マラキ書 (5) 預言者たちが語ったメッセージの要約 1 神の主権と聖なるご性質 2 契約の民イスラエルの不従順の罪 3 悔い改めへの招き 4 迫り来る神の裁きと捕囚 5イスラエルの民を攻撃する周辺国への裁き 6 捕囚からのレム

イエスさまの公的な活動は 2 年から 3 年と言われます その短い時間の中で人々に与えた影響は 考えられないほど大きいものでした ここに今日 わたしたちが集まって礼拝しているのも そのせいです けれどもその 2 年ないし 3 年のイエスさまの活動はずっと順調であったわけではありません イエスを愛し慕

2019 年 7 月 28 日 ( 日 ) 29 日 ( 月 ) 70 回 12 人の弟子たちの救い 12 人の弟子たちの救い 使徒 19:1~7 1. はじめに (1) 第三次伝道旅行が始まった 1 使 18:23~21:17( 紀元 53 年の春から 56 年の春 ) 2パウロは ひとりで出かけ

4きょう取り上げる 3~5のパターンは ユダヤ的に解釈する必要がある 5イエス時代のユダヤ教のラビたちの旧約聖書引用法 * 直接引用とその成就 * その箇所の解釈ではなく 適用である * きょうの3~5 のパターンは すべて適用である 6マタイは 5 つの引用によってイエスのメシア性を証明しようとし

2011 年 07 月 17 日 ( 日 ) 18 日 ( 月 )29 ローマ人への手紙 8:12~17 聖化の力 ( 聖霊 )(3) 養子の霊 1. はじめに (1) 聖化 に関する 8 回目の学びである 最終回 1 最大の悲劇は 律法を行うことによって聖化を達成しようとすること 2この理解は ク

1 パンの家 という意味 農業生産の豊かな地 ダビデの町とも呼ばれた 2ガリラヤのベツレヘムと区別するために ユダヤのベツレヘムと書かれている 年代 200 軒の家 クリスチャンとイスラム教徒が平和に住んでいる 4 今日 パレスチナ自治区 2 万 2 千人 クリスチャンは迫害に会っている

としたこと それに対してイエスは 今は 止めないでほしい 正しい ことをすべて行うのは 我々にふさわしいことです ( マタイ 3 15) と 言って ヨハネから洗礼をお受けになったと伝えています しかしマルコ福音書は そういうことは何も伝えていません イエス は ユダヤの全地方から集まって来た大勢の

5 節ごとに 洗礼者ヨハネ 殺される 6:14-15 ( そして ) イエス ( 彼 ) の名が知れ渡ったので ヘロデ王の耳にも入った 人々は言っていた 洗礼者ヨハネが死者の中から生き返ったのだ だから 奇跡を行う力が彼 ( のうち ) に働いている そのほかにも 彼はエリヤだ と言う人もいれば 昔

2017 年 8 月 13 日 ( 日 ) 14 日 ( 月 ) 7 回 第 2 の警告 (2) 第 2 の警告 (2) ヘブル 4:1~13 1. はじめに (1) この手紙が書かれた理由を再確認する 1 信仰が後退しつつあった第 2 世代のメシアニック ジューたちへの励まし 2 彼らは 迫害と誤

07/06/17  礼拝メッセージ  近藤修司 牧師

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2014 年 10 月 7 日 ( 火 ) 60 分で分かる創世記 60 分で分かる創世記 1. はじめに (1) 60 分で分かる〇〇 のシリーズを開始する 11 節 1 節の解説も重要であるが 鳥瞰図的な理解も必要である 2その場合重要なのは センス オブ プロポーション である (2) 創世記

一人だったと伝統的に語り継がれている ) 二人には約束の相続人である ボアズという息子がいた ラハブは外国人の売春婦であったが 信仰によって 神聖な約束の系図の中に用いられた ルツ : マタイの福音書 1:5( ルツ 4:8-22) ルツもまた モアブ人の若い女 つまり外国人であった ユダヤ人の夫が

2008 年 7 月 27 日 ( 日 ) 28 日 ( 月 ) ハーベストフォーラム東京創世記 8 創世記 8 創世記 3 章 14 節 ~24 節 アダム契約 イントロ : 1. 前回までの復習 (1) 創世記には 11 の区分 ( トルドット ) がある (2) 第 1のトルドットには 人類の


のですか あなたが誰か われらは知っています 神の聖者です 13) 35 イエスは彼を りつけて 14) 言った 黙れ 彼から出て行け 15) すると悪霊は彼を真ん中に投げ出し 彼を傷つけることなく 16) 彼から出て行った 36 すべてことに驚きが起こり 17) 人々 18) は互いに語り合って

エジプト、アブ・シール南丘陵頂部・石造建造物のロータス柱の建造方法

2011年度 牧羊者 第Ⅳ巻


2 公 生 涯 に 入 られる 前 に バブテスマのヨハネがイエスのために 道 備 えをしましたが まさに そのよう な 関 係 にある 二 つの 箇 所 と 言 えます 節 をより 詳 しく 教 えるためにこの 系 図 がその 前 に 記 さ れているということです 並 行 箇 所 :

牧会の祈り

6ユダヤ人は 人種的 宗教的理由によって サマリヤ人を軽蔑した * ユダヤの格言 私の目が サマリヤ人を見ることがないように 7サマリヤ人も ユダヤ人を軽蔑し 敵対した * ユダヤ人がエルサレムから下ることは許したが 上ることは許さなかった 8 現代もサマリヤ人の子孫たちが存在している ( 千名以下

(1) イゼベル 彼にとっては ネバテの子ヤロブアムの罪のうちを歩むことは軽いことであった それどころか彼は シドン人の王エテバアルの娘イゼベルを妻にめとり 行ってバアルに仕え それを拝んだ (1 列 16:31) 1オムリの子アハブは イゼベルと結婚し バアル礼拝をイスラエルに導入した 2 預言者

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2017 年 2 月 5 日 ( 日 ) 6 日 ( 月 ) 22 回 イスラエルに対する戦い (2) イスラエルに対する戦い (2) 黙 12:7~17 1. はじめに (1) キリストの再臨の前に何が起こるかを見ている 110 章 ~14 章は 挿入箇所である * 物語の進展はなく 状況の説明が

2013 年 3 月 24 日 ( 日 ) 25 日 ( 月 ) 52 回目 Ⅵ-054 八福の教え 八福の教え 054 マタ 5:3~12 ルカ 6:20~26 1. はじめに (1) 文脈の重要性 1 文脈を無視して 山上の垂訓のある言葉を取り出すことが余りにも多い 2イエスは 神の国の福音をも

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2

(2) ロマ 7:1~6 の要約 1 律法の大原則 * 律法は 人に対して権限を持つ * 律法は 死んだ人には権限を持たない 2 結婚関係の例話 * 夫が生きている間は 結婚の律法によって制約されている * それを破れば 姦淫の女と呼ばれる * 夫が死ねば 結婚の律法から解放される * 再婚しても

2017 年 6 月 11 日 ( 日 ) 12 日 ( 月 ) 39 回 新しいエルサレムの特徴 ( 後半 ) 新しいエルサレムの特徴 ( 後半 ) 黙 22:1~5 1. はじめに (1) 旧約聖書の預言のハイライトは メシア的王国である 1 黙示 20 章は メシア的王国が千年で終わることを啓

1 それは キリストにのみ適用される御名である (2) 旧約聖書では 御使いたちは 神の子たち と呼ばれた Job 38:7 そのとき 明けの星々が共に喜び歌い / 神の子たちはみな喜び叫んだ 1 新約聖書では 信者が 神の子たち と呼ばれる ( ヨハ 11:52) 2しかし 御子 ( ヒュイオス

2017 年 7 月 16 日 ( 日 ) 17 日 ( 月 ) 3 回 御使いに勝る御子 (2) 御使いに勝る御子 (2) ヘブル 2:1~9 1. はじめに (1) この手紙が書かれた理由を再確認する 1 信仰が後退しつつあった第 2 世代のメシアニック ジューたちへの励まし 2 彼らは 迫害と

いでしょう (1)2 重の質問 1 弟子たちは いくつかのたとえ話とその解き明かしを聞いてきた 2ここでイエスは 弟子たちに考えるチャンスを与えている 3 弟子たちは 奥義としての王国 の性質について考え始める (2) イエスのたとえ話は 弟子たちが想像したものとは大いに異なる 1 種のたとえでは

2012 年フルクテンバウム フルクテンバウム博士セミナー セミナー 聖書が教える死後の世界 個人的終末論 講師 アーノルド フルクテンバウム博士 通訳 中川健一

2010 年 4 月 18 日 ( 日 ) 19 日 ( 月 ) ハーベストフォーラム東京出エジプト記 19 出エジ 19 出エジプト記 14 章 15 節 ~15 章 21 節 紅海を渡る 1. 文脈の確認 (1) イスラエルの民は 430 年後にエジプトを脱出した (2) エジプト脱出の記録は

聖書 : ピリピ 3:1~3 説教題 : 神の御霊による礼拝 日時 :2017 年 2 月 26 日 ( 朝拝 ) ピリピ人への手紙第 3 章に入ります この手紙は全部で 4 章からなっていますので 今日から後半部に入ることになります パウロは 最後に 私の兄弟たち と始めます この手紙はまだ半分ま

このメッセージは ヨセフとキリストに起こったことは私たちにも起こることを学ぼうとする ものである Ⅰ. 第 1のステップ正直な性格 (2 節 ) 1. ヨセフは 17 歳 (1) ビルハの子ら ( ダン ナフタリ ) (2) ジルパの子ら ( ガド アシェル ) (3) ヤコブは レアの子ら ( ル

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(2) ケンクレヤにある教会に属していた 1コリントの南東 11 キロのところにある港町 2コリントの東の港としての役割を果たした アジア方面の交易のための港 * 西の港は カイオン 両港の間の距離は 8 キロ 3パウロは 第 2 回伝道旅行でここを訪れている 4 誓願が成就したのを記念して そこで

に知恵と英知と知識とあらゆる仕事において 神の霊を満たした (2~3 節 ) (1) ユダ部族のフル その子ウリ その子ベツァルエル 1フルとはモーセの手を両側から支えた 2 人のうちのひとり ( 出 17 章 ) 2フルの孫がベツァルエルである (2) 神の霊を満たした 1 知恵 (wisdom)

Microsoft Word - N-Luk GH-神の子、マリアに宿る

2012 年 2 月 26 日 ( 日 ) 27 日 ( 月 )59 ローマ人への手紙総まとめ 総まとめ 1. はじめに (1) 執筆の意図 1 使徒としての使命 * 所々 かなり大胆に書いた (15:15) 2 使徒としての奉仕の原則 * 他人の土台の上に建てない (15:20) * これまで ロ

とは言えないような気がします 弟子達もすぐには主の復活を信じることが出来ない人達だったのです この人達はどうして主の復活を信じるようになったのでしょうか この最初の弟子達の証言によってイースターのメッセージが全世界に告げられていったことは事実です それだけにこの最初の弟子達が復活の信仰を持つようにな

3 仲介者としての祭司たちが存在していた (2) 新約時代の状態 1すべての信者が まことの聖所に入ることができる * 天の聖所で 神の臨在の前に出ることができる 2これは 万人祭司の教えである 3 訳文の比較 こういうわけですから 兄弟たち 私たちは イエスの血によって 大胆にまことの聖所に入るこ

2015_12_06 マタイ2:1--2.xdw


お話 文芸思潮

Microsoft Word - G229A-一人の人から空の星のように

ヨハネの手紙講解 神のあかし ヨハネの手紙第一 5:1~21 1. 油注がれた者 新改訳改訂第 3 版 Ⅰヨハネ 5:1 イエスがキリストであると信じる者はだれでも 神によって生まれたのです 生んでくださった方を愛する者はだれでも その方によって生まれた者をも愛します イエスがキリストであると信じる

2. アウトライン (1) 過去の回顧 (1~4 章 ) (2) 律法の解説 (5~26 章 ) (3) 未来の展望 (27~30 章 ) (4) 指導者の交代 (31~34 章 ) 3. 結論 (1) 律法の本質 (2) イスラエルの将来 (3) 申命記とイエスの教え 申命記を通して イエスの教え

全国担当者2009 プレゼン資料

B2 神はどのようなお方か 1Chro.29:10-12 Dt.10:12-13 Ps.95:1-7 B3 イエス キリストはどのようなお方か John.14:8-10 Mk.6:31-56 John.10:30-33 Heb.2: John.4:2-3 2John.7-10 B4 三位

1:14 ことばは人となって 私たちの間に住まわれた 私たちはこの方の栄光を見た 父のみもとから来られた ひとり子としての栄光である この方は恵みとまことに満ちておられた 今日はこの後 神が人となってくださったことについて考えたいと思いますが まずこの聖句にある 住まわ れた について ご一緒に考え

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さまいイエス様は生きておられる! ふくいんしょしょうふくいんしょしょうふくいんしょマタイによる福音書 28 章とマルコによる福音書 16 章とルカによる福音書 24 章ふくいんしょしょうかはなしさいわヨハネによる福音書 20 章に書かれているお話の再話 しょうと せいしょものがたり ミニ聖書物語 フ

(1) 千年王国の最後に サタンが底知れぬ所から再び解き放たれる 1 その理由は 再び人類を試すためである 2 神は 人類がいかに堕落しているかを証明される (2) 千年王国にも罪は存在する 1 千年王国が始まった時点では 未信者は存在しない 2 千年王国では ほぼ理想に近いような生活環境が実現する

1.1 節 Rev 14:1 また私は見た 見よ 小羊がシオンの山の上に立っていた また小羊とともに十四万四千人の人たちがいて その額には小羊の名と 小羊の父の名とがしるしてあった (1) ヨハネは キリストの再臨後の状況を見ている 1 実際にキリストの再臨が起こるのは 19 章になってからである

を与えられて 祈りつつ取り組んで行くように導かれる ですから私たちは自分の願い事を一方的に神に祈る祈りはやめて まず聖書を通してまず神を見上げること 御名を賛美することから始めたいのです そのような神への賛美また信仰告白から始まる祈りこそ祝福される祈りの基礎です さて第 2 の祈りは 御国が来ますよ

* ペリシテ人の古代都市ガザは 前 93 年に破壊され 前 57 年に再建された * この道路は ガザの遺跡を通過し 新ガザに至る荒野の道である 5 ピリポは その命令に従順に従った 2.27b~28 節 Act 8:27b すると そこに エチオピヤ人の女王カンダケの高官で 女王の財産全部を管理し

カザフスタンにおける歴史的な宣教大会

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ることができない信仰の弱い者 もう言葉にならないようなうめきや渇きや絶望を心に抱えている それで苦しんでいる そこで倒れようとしている そういう者のそばに すっと入ってきてくださって 今隣に座っていい? と やさしく 具体的に 一緒に座ってくださって 私に寄りかかってきなよ と 私に頼っていいよ と

に住む者に私たちの血の復讐をなさらないのですか (1) ここで場面は 地から天に移行する 1 大患難時代を通して継続している状況の描写である (2) ヨハネは キリストに対する信仰のゆえに殉教の死を遂げた人々の幻を見た 1 彼らは 祭壇の下にいた 2 旧約時代のいけにえの血が祭壇の土台に注がれたこと

聖 書 へブル12:11,12 (第41講)

5. 章節は後代に付加せられたもので 聖書記述者の考えや霊感は反映されていな いので注意が必要 Ⅰ イエスによる預言 (42~46) 1. マタイ 21:42 は詩篇 118:22 預言からの引用 家を建てる者たちの見捨てた石 それが礎の石になった これは主のなさったことだ 私たちの目には 不思議な

善いサマリア人のたとえ

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第二に 聖さを得るために 私たちはすべての人との平和を追い求めなければなりません 私たちの思いの内にある敵対心や闘争心などを放っておかず 平和的に生きるように努めなければなりません へブル書の著者は このことについて 非常に厳しく警告しています 私たちが神の聖さにあずかる者とならない限り 主を見るこ

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受胎告知 ( ルカ 1:26-38) ルカ福音書講義 (3) 2014.07.13 26 6 か月目 1 に み使いガブリエルが神からナザレ 2 という名のガリラヤの町に遣わされた 27 ダビデの家の出 3 でヨセフという名の男と婚約中 4 のおとめのもとにである おとめの名はマリヤ 5 といった 28 み使い 6 は彼女のもとにやって来て 言った ごきげんよう 7 恵まれた方 8 主があなたとともにおられます 9 29 彼女はこの言葉に戸惑い この挨拶は何のことかしら と思いめぐらした 30 すると み使いが言った 10 恐れるな 11 マリヤ あなたは神から恵みを受けたのです 12 31 なんと あなたは身ごもり 男の子を生みましょう 1 み使いガブリエルがザカリヤに現れてから ルカは洗礼者ヨハネがイエスより 6か月前に誕生したと伝える ここから 後代 ヨハネは夏至に イエスは冬至に誕生したという言い伝えがうまれた 2 ギリシア語表記は Nazaréth ナザレの町はエズレル平原北端の丘陵地の南斜面に位置する ヨセフス ユダヤ戦記 に言及される 50 ほどのガリラヤの町々に含まれないので 当時はいたって小さな寒村であったろう 現在はパレスチナ人の町で キリスト教徒とイスラム教徒が住み分ける 受胎告知の場所と伝えられる地点が二つあり 一方にはカトリックの もう一方にはギリシア正教の受胎告知教会が建てられている 3 3:23 以下のヨセフの系図参照 パウロがすでに み子は 肉によればダビデの子孫 と記す ( ロマ 1:3) 4 当時のユダヤ人の慣習にしたがえば 娘が十代前半 (12 歳半 ) になると 父親は彼女を婚約させることができた 婚約した娘は法的に妻とみなされた 5 マリヤはヘブライ語のミルヤム ( 出 15:20 他 ) に由来 マタイ福音書はイエスの母マリヤが 処女 であったことをイザ 7:14 みよ おとめが身ごもって男の子を生む を引いて説明する ( マタ 1:23) ただし イザ 7:14 のヘブライ語アルマー (ʽalmāh) 若い女 は未婚 既婚を問わない 70 人訳聖書がこれにパルテノス (parthénos) おとめ 処女 を充てた その背景には 処女性を重んじるギリシア的発想 ( アテナ=パルテノス信仰 ) があったといわれる これに影響されて メシアは処女から生まれると判断し パルテノスを充てたらしい それが おとめマリヤ の伝承に引き継がれた 乙女 や 童貞 を清いとみる伝統は 2 コリ 11:2 黙 14:4 などにも残る 当時のユダヤ人の間では パルテノスに相当するナアラー (naʽarāh) は十代前半の生娘を指した 6 原文 彼 7 原文 chaĩre は chaírō 喜ぶ (1:14 他 ) の命令形 挨拶に用いる マタ 26:49 28:9 他 8 神から恵みを受けた方 という含み 30 節でそう言い換えられる 9 士 6:12 のみ使いの言葉に似る 10 以下 原文は韻文とはいいがたいが ザカリヤへのみ告げ (1:13-17) と同じく Nestle- Aland にしたがい 行替えを一文ずつ訳出 11 1:13 にも 旧約聖書において 神やみ使いが顕現し はじめに発せられる常套句 創 15: 1 士 6:23 他 12 神から恵みを受けた を字義どおり訳せば 神のもとに恵みを見出した ヘブライ語 的語法 ( 創 6:8 他 ) 1

その子をイエスと名づけるのです 13 32 彼は成長し 14 いと高き方の子 15 と呼ばれましょう 主なる神は彼に父祖ダビデの玉座を与えられましょう 16 33 彼は永遠にヤコブの家 17 に王として君臨し その王国に終りはないでしょう 18 34 マリヤはみ使いに言った そのようなことがどうしてありえましょう 私 はまだ男を知りませんのに 19 35 み使いは答えて 彼女に言った 聖霊があなたに臨み 20 いと高き方の力があなたを覆います それゆえ 生まれる子は 聖なるもの 21 また神の子と呼ばれましょう 22 36 それに ほら あなたの親族エリサベト 23 彼女も高齢ながら男の子を身ごもっています 不妊の女と呼ばれる彼女でさえ いまや 6 か月目です 37 何であれ 神にはできないことはないのです 24 38 マリヤは言った ごらんのような主の僕女 ( しもべめ ) です お言葉どお 13 イエス (Iēsoũs) はヘブライ語の男性名ヨシュア (Yehôšūʽ ヤハウェは助け の意 短縮形は Yēšūʽ) のギリシア語形 マタ 1:21 ではイエスの名が 救い から説明される 母による命名はエバ ( 創 4:25) ハガル ( 創 16:11) レアとラケル ( 創 29:32 35:18 他 ) など 前例は多い マタイ福音書はイエスの命名をヨセフに託す ( マタ 1:21) 14 伝統的には 偉大になり などと訳される 1:14 の訳注参照 15 いと高き方 は旧約聖書の神呼称のひとつエルヨーン ( 創 14:19-20 他 ) に由来 16 クムラン文書によれば 少なくとも 2 通りのメシア 政治的メシア ( ダビデの子孫 ) と宗教的メシア ( アロンの子孫 ) が待望されていた イエスはダビデの子孫から出るメシアと信じられたが 政治指導者とはならなかった 17 イスラエルのこと アモ 3:15 イザ 2:5 6 ミカ 2:7 エレ 2:4 など預言書に多用される表現 それ以外には創 46:27 出 19:3 詩 104:1 18 このみ告げはダビデ王朝の永続の約束 ( サム下 7:16) に基づく イエスがダビデの王国を再興するかのように聞こえる ルカ福音書は しかし これが政治的国家ではなく すべての人に開かれた 神の国 であることを徐々に明らかにしてゆく 19 ザカリヤの応答 (1:18) は懐疑 マリヤの応答は戸惑い 男を知らない が現在形で記されることから 後に マリヤは生涯にわたり処女であることを誓った と解するカトリック教会の伝統が生まれ イエスの 兄弟 姉妹 ( マコ 6:3 他 ) は従弟妹とされた 20 聖霊 は人間をとおして働く神の力 次文の いと高き方の力 に同じ 聖霊 はすでに 1:15 に また 1:17 に 霊 と 力 が対で用いられる マタ 1:18 を参照すれば ルカもまたマリヤが聖霊によって身ごもったことを示唆していよう 21 お生まれになる聖なる子は とも訳しうるが イザ 4:3 の類似表現から こう訳す 22 すでにパウロが 肉によればダビデの子孫 聖なる霊によれば 神の子 ( ロマ 1:3-4) と記す イスラエル王国時代に王を 神の子 とする王権思想があり ( サム下 7:14 詩 2: 7 89:27-28 など ) その呼称が ダビデ王朝消滅後の第二神殿時代 王 として到来するメシアへと引き継がれた イエスを 神の子 と信じる信仰の淵源がここにある 23 エリサベトはアロンの家系というから (1:5) マリヤもまた祭司の家系であったか 24 神にできないことはない とは旧約時代からの神信仰 創 18:14 エレ 32:27 など ルカ 18:27 ではイエス自身の口から同じ内容の言葉が語られる 2

り わが身になりますように 25 こうして み使いは彼女から立ち去った 本日学ぶ箇所はいわゆる 受胎告知 と呼ばれる場面である 神のみ使いが子の それも男児の誕生を予告する物語は旧約聖書にもみられる 創 18 章では 3 人のみ使いの一人がアブラハムとサラに 来年の今ごろまでには男児が誕生している と告げる 士 13 章には伝えられるサムソンの誕生物語もこれに似る マノアの妻には子供ができなかったが ヤハウェのみ使いが彼女に顕現し あなたは不妊の女で 子供を産んだことがない だが いまや身ごもって男の子を生むであろう 告げられる ( 士 13:3) 王下 4 章には み使いでなく 預言者エリシャが子供のないシュネムの女に 来年の今ごろ あなたは男の子を生むであろう と告げ そのとおりになった という短い記事が載る ( この物語は エリシャが死んだその子をよみがえらせる という奇蹟物語へと続く ) エリシャの奇蹟物語を別にすれば これらの物語とマリヤへの受胎告知との間にはある共通点が見受けられる 第一に 不妊の女性と おとめ という違いはあっても いずれも 生まれるはずのない女性にみ使いがあらわれて男児誕生が予告されること 第二に いずれの場合も 男児を身ごもると告げられた女性が戸惑いをみせることである こうした共通点は認められるが マリヤの場合は 受胎自体が神の力 ( 聖霊 ) による とされる点で際だっている この点は マタイ福音書のほうがより明確に表現する ( マタ 1:20) マリヤの受胎告知もイエスの誕生物語も 最古のマルコ福音書には物語られない イエスの誕生をめぐるこうした物語の成立は イエス伝承のなかでも比較的遅かったであろうと想定される イエスの奇蹟的な誕生物語がはじめにあって イエスを神の子と信じる信仰が生まれたのではない 逆に イエスを神の子と信じたたがゆえに その誕生は特別な出来事と考えられ 奇蹟的な誕生物語が成立したのである マタイ福音書とルカ福音書とでは誕生物語自体に齟齬が生じた理由もそこにあった マタイ福音書の場合 誕生物語においてマリヤが前面にでることはない み使いもマリヤでなく ヨセフに現れる マリヤは発言していない それでもなお マリヤが 聖霊 によって身ごもるという点 誕生の場所がベツレヘムであったという点において 両福音書は共通する おそらくこの 2 点が イエスの誕生物語のなかで 最も古く 最も重要な点であったろう イエスは 神の子キリスト すなわちメシアであり 聖なる存在である と信じられたからである それが マタイとルカ両福音書において それぞれ独自に加工された物語に仕上げられたのである しかし これら両福音書を除いて マリヤが 処女 であったという記録は新 25 ゲッセマネの祈り (22:42) に通じる姿勢 ( 使 21:14 も参照 ) 3

約聖書にはない それは イエスが神の子である という信仰にとって いわゆる 処女懐胎 が不可欠の要件ではなかったことを示している ( ガラ 4:4 でパウロはみ子イエス キリストを単純に 女から生まれた者 と伝え その 処女性 に触れることはない ) いわゆる 処女懐胎 がキリスト教の使徒信条の信仰箇条とされるのは 第 2 回目の教会公会議として 381 年に開催された第一回コンスタンティノポリス宗教会議で決定された ニカイア コンスタンティノポリス信条 である 主イエス キリストは 聖霊によりおとめマリヤから肉体を受け と記された ちなみに 第 1 回公会議は 325 年にニカイアで開催され イエス キリストは神にして人間という理解に基づき いわゆる三位一体の教義が正統とされた さて イエス誕生の記事にルカ的な加工は随所に見受けられるが その一つはイエスの誕生と洗礼者ヨハネの誕生とが深く関係づけられたことである この点は 先回学んだヨハネ誕生の予告 本日の箇所の冒頭に 6 か月目 と記されること それに続いて 受胎告知を受けたマリヤがエリサベトを訪問する記事などに明らかである それは ルカ福音書が イエスの時代と旧約時代との間に連続面をみていることを示している ルカは イエスによって新しい時代が切り開かれたこと つまり旧約時代にはなかった新しい救いの時代が到来したことを述べると同時に もう一方で イエスの時代が旧約時代の約束が成就するという意味で 両者は連続しているとみる この両面が洗礼者ヨハネとイエスの関係に象徴的にあらわされる 旧約聖書と新約聖書が連続している面と断絶している面があるということ 両者の間に連続面ばかり見るのでも 断絶面ばかり見るのでもなく この両面を見て取ることが大切である 第二は 聖霊 のはたらきである 聖霊 は人間をとおして働く神の力 次文の いと高き方の力 に同じ ガブリエルはマリヤに 聖霊 が臨むことを告げる マタ 1:18 のように明言はされないが ルカもまたマリヤが聖霊によって身ごもったことを示唆する ルカは しかも イエスの誕生だけでなく 洗礼者ヨハネの誕生にも 聖霊 がはたらいたことを繰り返す (1:15 41 67) 福音書記者によれば 聖霊 は イエスの誕生に際して一回的にマリヤにはたらいたのではなく イエスの生涯にわたってはたらく神の力であった ガブリエルは続いて マリヤから生まれる子が 聖なるもの と呼ばれる と告げているが 聖なるもの という表現がそれを示す また ルカは 他の福音書とは異なり イエスの宣教活動の最初に イエスが 主の霊がわがうえにあって とはじまるイザヤ書 61 章を引用することからはじめている ルカ 11:13 には 天の父は彼に求める者には 聖霊 をお与えになる とイエスが語った伝えられる ( これもルカ特有 ) 使徒記の冒頭 (1:1) によれば イエスが弟子たちに教えた言葉もまた 聖霊 によっていた このようにイエスにおいてはたらいた 聖霊 は信徒にもはたらく神の力である そして それをルカは 使徒記において 教会の時代の最初の出来事として語り出す ペンテコ 4

ステの 聖霊降臨 の出来事 ( 使 2 章 ) がそれであった 後に三位一体の教義が成立すると 聖霊 は神の位格として 実体的に受けとめられてゆくが 元来は 人間に また人間をとおしてはたらく神の力である この点において 前田先生の発言を想い起す 聖霊 といわれても 現代人にはピンと来ないだろう しかし 罪にまみれ 自分のことしか考えない私たちが ときに 他の人の助けになり 他の人を救いに導くことがある そうした力は そもそも罪にまみれた私たち自身にはないものであるがゆえに そこに神がはたらいてくださった と知らされる 自分のなかからは生まれそうにない そうしたはたらきを 聖霊 と呼んで 何がいけないか 前田先生はそんな風に 聖霊 を説明された 十字架に処刑されたナザレのイエスが人類に新しい生命 ( 命 ) の次元を指し示してくれた 罪と弱さのただなかにありながら なお 死をこえる永遠の生命に連ならせていただいている そうした信仰と信仰に基づく生き方を示してくれた そう信じたキリスト教徒の文筆家 歴史家として ルカはイエスの誕生物語を描き出した そこにみ使いが関わり 神の力として 聖霊 がはたらく出来事として 受胎告知の最後に ルカはマリヤに ごらんのような主の仕え女 ( つかえめ ) です お言葉どおり わが身になりますように と語らせている 矢内原忠雄による ルカ伝講義 は このマリヤの言葉はすべて信ずる者の声を代表するものである という文章で 受胎告知 の講義を閉じている 5