テサロニケ人への手紙第一 第5回聖書フォーラムキャンプ 基調メッセージ メッセージ 中川健一

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創世記5 創世記2章4節b~25

2011 年 07 月 17 日 ( 日 ) 18 日 ( 月 )29 ローマ人への手紙 8:12~17 聖化の力 ( 聖霊 )(3) 養子の霊 1. はじめに (1) 聖化 に関する 8 回目の学びである 最終回 1 最大の悲劇は 律法を行うことによって聖化を達成しようとすること 2この理解は ク

2011 年 06 月 26 日 ( 日 ) 27 日 ( 月 )26 ローマ人への手紙 7:14~25 律法からの解放 (3) ロマ書 7 章クリスチャン 1. はじめに (1) 聖化 に関する 5 回目の学びである 1 最大の悲劇は 律法を行うことによって聖化を達成しようとすること 2この理解は

2012 年 1 月 22 日 ( 日 ) 23 日 ( 月 )54 ローマ人への手紙 15:4~13 希望から希望へ 1. はじめに (1) 文脈の確認 11~8 章が教理 29~11 章がイスラエルの救い 312~16 章が適用 (2)14:1~15:13 は 雑多な問題を扱っている 1 超道徳

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* ユダヤ人の歴史家ヨセフスもまた同じような書き方をしている 5 テオピロは ルカの執筆活動を支援するパトロンであった可能性が高い 6 もしそうなら テオピロはローマ人クリスチャンであったと思われる (2)1~2 節は ルカの福音書の要約である 1 前の書 というのは ルカの福音書 のことである 2

2011 年 10 月 16 日 ( 日 ) 17 日 ( 月 )42 ローマ人への手紙 11:25~36 拒否の解決 (3) イスラエルの救い 1. はじめに (1)10 月 13 日 ( 木 ) の日没から仮庵の祭りが始まった 1 第 7 の月の 15 日 満月 2 満月を眺めながら イスラエル

2012 年 1 月 15 日 ( 日 ) 16 日 ( 月 )53 ローマ人への手紙 14:13~15:3 キリスト者の自由 1. はじめに (1) 文脈の確認 11~8 章が教理 29~11 章がイスラエルの救い 312~16 章が適用 (2)12 章は 基本的には教会内の行動についての勧めであ

2018 年 5 月 27 日 ( 日 ) 28 日 ( 月 ) 14 回 ペテロの第 2 のメッセージ (2) ペテロの第 2 のメッセージ (2) 使徒 3:17~26 1. はじめに (1) ペンテコステの日に教会が誕生した 1ペテロの第 1 回目のメッセージにより 3,000 人ほどの人たち

(2) ロマ 7:1~6 の要約 1 律法の大原則 * 律法は 人に対して権限を持つ * 律法は 死んだ人には権限を持たない 2 結婚関係の例話 * 夫が生きている間は 結婚の律法によって制約されている * それを破れば 姦淫の女と呼ばれる * 夫が死ねば 結婚の律法から解放される * 再婚しても

2012 年 2 月 26 日 ( 日 ) 27 日 ( 月 )59 ローマ人への手紙総まとめ 総まとめ 1. はじめに (1) 執筆の意図 1 使徒としての使命 * 所々 かなり大胆に書いた (15:15) 2 使徒としての奉仕の原則 * 他人の土台の上に建てない (15:20) * これまで ロ

2013 年 3 月 10 日 ( 日 ) 11 日 ( 月 ) 51 回目 Ⅵ-054 山上の垂訓 山上の垂訓 054 マタ 5:1~2 ルカ 6:17~19 1. はじめに (1) 呼び名について 1マタ 5:1~8:1 は 通常 山上の垂訓 ( 説教 ) と呼ばれる 2しかし この名称は 説教

2 イエスの戒めを守るなら イエスの愛に留まることになる (2) その教えを話した理由は 弟子たちが喜びに満たされるためである 1イエスは 自分が経験している喜びを弟子たちに与えようとしている 2イエスの喜びは 父なる神への従順 ( 喜ばせること ) によって生まれる 3ヘブ 12:2 Heb 12

3 仲介者としての祭司たちが存在していた (2) 新約時代の状態 1すべての信者が まことの聖所に入ることができる * 天の聖所で 神の臨在の前に出ることができる 2これは 万人祭司の教えである 3 訳文の比較 こういうわけですから 兄弟たち 私たちは イエスの血によって 大胆にまことの聖所に入るこ

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2013 年 3 月 24 日 ( 日 ) 25 日 ( 月 ) 52 回目 Ⅵ-054 八福の教え 八福の教え 054 マタ 5:3~12 ルカ 6:20~26 1. はじめに (1) 文脈の重要性 1 文脈を無視して 山上の垂訓のある言葉を取り出すことが余りにも多い 2イエスは 神の国の福音をも

神学総合演習・聖霊降臨後最終主日                  2005/11/16

2 奇跡 3 父 4 聖書 4. メッセージのゴール (1) イエスを誰だと言うか (2) イエスを信じる者の幸いとは何か このメッセージは イエスの業と主張について考えようとするものである Ⅰ. イエスと父は一体である (19~29 節 ) 1. 行動において まことに まことに あなたがたに告げ

創世記5 創世記2章4節b~25

2017 年 8 月 13 日 ( 日 ) 14 日 ( 月 ) 7 回 第 2 の警告 (2) 第 2 の警告 (2) ヘブル 4:1~13 1. はじめに (1) この手紙が書かれた理由を再確認する 1 信仰が後退しつつあった第 2 世代のメシアニック ジューたちへの励まし 2 彼らは 迫害と誤

2019 年 7 月 28 日 ( 日 ) 29 日 ( 月 ) 70 回 12 人の弟子たちの救い 12 人の弟子たちの救い 使徒 19:1~7 1. はじめに (1) 第三次伝道旅行が始まった 1 使 18:23~21:17( 紀元 53 年の春から 56 年の春 ) 2パウロは ひとりで出かけ

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2017 年 7 月 2 日 ( 日 ) 3 日 ( 月 ) 1 回 ヘブル人への手紙のテーマ ヘブル人への手紙のテーマ ヘブル 1:1~3 1. はじめに (1) 著者 1いくつかの名が上げられてきた * パウロ * ルカ ( パウロがヘブル語で書いたものを ルカがギリシア語に翻訳した ) * バ

(3) まっすぐにしなさい 1 されば衰へたる手 弱りたる膝を強くし ( 文語訳 ) 2ギリシア語の アノルソオウ である 上げる まっすぐにする 強くする 3ルカ 13:13(18 年も病の霊につかれ 腰が曲がって 伸ばすことができない ) Luk 13:13 手を置かれると 女はたちどころに腰が

2017 年 7 月 16 日 ( 日 ) 17 日 ( 月 ) 3 回 御使いに勝る御子 (2) 御使いに勝る御子 (2) ヘブル 2:1~9 1. はじめに (1) この手紙が書かれた理由を再確認する 1 信仰が後退しつつあった第 2 世代のメシアニック ジューたちへの励まし 2 彼らは 迫害と

Rev 7:1 この後 私は見た 四人の御使いが地の四隅に立って 地の四方の風を堅く押さえ 地にも海にもどんな木にも 吹きつけないようにしていた (1) この後 私は見た 1 物事の時間的流れではなく ヨハネが見た幻の順番を示している 2この幻は 神の裁きが迫っていることを示唆している 3 地の四方

このメッセージは メシアの義とパリサイ人の義について学ぼうとするものである Ⅰ. 真の信仰者の特徴 (5:13~16) 1. 地の塩 (13 節 ) あなたがたは 地の塩です もし塩が塩けをなくしたら 何によって塩けをつけるのでしょう もう何の役にも立たず 外に捨てられて 人々に踏みつけられるだけで

2016 年 10 月 2 日 ( 日 ) 3 日 ( 月 ) 7 回 フィラデルフィアの教会 フィラデルフィアにある教会 黙 3:7~13 1. はじめに (1) 黙示録の 3 区分 1 黙 1:19 は 黙示録を 3 区分している Rev 1:19 そこで あなたの見た事 今ある事 この後に起こ

牧会の祈り

2011年度 牧羊者 第Ⅳ巻

で宣教していると非難されないように そういう恐れがあるところでは一切 献金を受 けませんでしたが ピリピ教会との間にその心配はなかったのです このことから見て も いかにパウロと良好な関係にあった教会だったかが分かります さてパウロはこの手紙の執筆時 どこにいたのでしょう この手紙から分かることは

* ペリシテ人の古代都市ガザは 前 93 年に破壊され 前 57 年に再建された * この道路は ガザの遺跡を通過し 新ガザに至る荒野の道である 5 ピリポは その命令に従順に従った 2.27b~28 節 Act 8:27b すると そこに エチオピヤ人の女王カンダケの高官で 女王の財産全部を管理し

Heb 11:7 信仰によって ノアは まだ見ていない事がらについて神から警告を受けたとき 恐れかしこんで その家族の救いのために箱舟を造り その箱舟によって 世の罪を定め 信仰による義を相続する者となりました (1) ノアは 神から警告を受けた 1 創 6:17 Gen 6:17 わたしは今 いの

1.1 節 Rev 14:1 また私は見た 見よ 小羊がシオンの山の上に立っていた また小羊とともに十四万四千人の人たちがいて その額には小羊の名と 小羊の父の名とがしるしてあった (1) ヨハネは キリストの再臨後の状況を見ている 1 実際にキリストの再臨が起こるのは 19 章になってからである

2017 年 10 月 8 日 ( 日 ) 9 日 ( 月 ) 15 回さらにすぐれた契約 さらにすぐれた契約 ヘブル 8:1~13 1. はじめに (1) この手紙が書かれた理由を再確認する 1 信仰が後退しつつあった第 2 世代のメシアニック ジューたちへの励まし (2) ユダヤ教の 3 つの柱

らしめ ということばが使われています 箴言 13:24 むちを控える者はその子を憎む者である 子を愛する者はつとめてこれを懲らしめる また箴言 22:15 愚かさは子どもの心につながれている 懲らしめの杖がこれを断ち切る また申命記 8:5 あなたは 人がその子を訓練するように あなたの神 主 があ

た 義認 の祝福を述べたものでしょうか しかしこの 1 節は 2 節の頭に なぜなら という言葉があるように 2 節と密接に関連しています ですから 2 節を見て行くことによって 1 節の意味を確かめることができます 2 節が述べていることは何でしょうか それは罪と死の原理からの解放です 私たちが

は歯が痛くなるとズキンズキンとして何をしていても繰り返し襲って来る痛みに悩まされますが そのように 絶えず痛みがある と言わずにいられないような痛みを感じ続けていた 一体それはどんな悲しみ 痛みだったのでしょうか それが同胞ユダヤ人の不信仰に関することでした パウロがどんなに同胞 同国人のことを思っ

大阪インターナショナルチャーチ アリステア・マッケナ師 2015/6/28

(1) 千年王国の最後に サタンが底知れぬ所から再び解き放たれる 1 その理由は 再び人類を試すためである 2 神は 人類がいかに堕落しているかを証明される (2) 千年王国にも罪は存在する 1 千年王国が始まった時点では 未信者は存在しない 2 千年王国では ほぼ理想に近いような生活環境が実現する

2017 年 2 月 5 日 ( 日 ) 6 日 ( 月 ) 22 回 イスラエルに対する戦い (2) イスラエルに対する戦い (2) 黙 12:7~17 1. はじめに (1) キリストの再臨の前に何が起こるかを見ている 110 章 ~14 章は 挿入箇所である * 物語の進展はなく 状況の説明が

神殿とは 神の住まいです 自分の中に神が住まわれたということが救いであり このよ うにしてイエス様とつながっているから イエス キリストを知ることができるようになる のです 神とのつながりを断ち切ることはできない わたしは彼らに永遠のいのちを与えます 彼らは決して滅びることがなく また だれ もわた

2016 年 12 月 10 日 ( 日 ) 11 日 ( 月 ) 16 回 ラッパの裁き 5 ラッパの裁き 5 黙 9:1~11 1. はじめに (1)6 章から 9 章までの流れ 16 章で 巻き物の封印が解かれる 最初の 6 つの封印 * ここから大患難時代が始まる 27 章は 挿入句である

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현장 전도를 위한 1단계 전도훈련교재 4

に住む者に私たちの血の復讐をなさらないのですか (1) ここで場面は 地から天に移行する 1 大患難時代を通して継続している状況の描写である (2) ヨハネは キリストに対する信仰のゆえに殉教の死を遂げた人々の幻を見た 1 彼らは 祭壇の下にいた 2 旧約時代のいけにえの血が祭壇の土台に注がれたこと

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(2) ケンクレヤにある教会に属していた 1コリントの南東 11 キロのところにある港町 2コリントの東の港としての役割を果たした アジア方面の交易のための港 * 西の港は カイオン 両港の間の距離は 8 キロ 3パウロは 第 2 回伝道旅行でここを訪れている 4 誓願が成就したのを記念して そこで

2018 年 2 月 4 日 ( 日 ) 5 日 ( 月 ) 29 回 善行の勧めと信仰上の勧め 善行の勧めと信仰上の勧め ヘブル 13:1~17 1. はじめに (1) この手紙は ユダヤ教への回帰を考えていた第 2 世代のメシアニック ジューたちを励ますために書かれた 1 教理的学び 2 学んだ

聖書 : ピリピ 3:1~3 説教題 : 神の御霊による礼拝 日時 :2017 年 2 月 26 日 ( 朝拝 ) ピリピ人への手紙第 3 章に入ります この手紙は全部で 4 章からなっていますので 今日から後半部に入ることになります パウロは 最後に 私の兄弟たち と始めます この手紙はまだ半分ま

第二に 聖さを得るために 私たちはすべての人との平和を追い求めなければなりません 私たちの思いの内にある敵対心や闘争心などを放っておかず 平和的に生きるように努めなければなりません へブル書の著者は このことについて 非常に厳しく警告しています 私たちが神の聖さにあずかる者とならない限り 主を見るこ

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牧会の祈り

な声で私に呼びかけるのが聞こえたあの初めの声が言った ここに上れ この後 必ず起こる事をあなたに示そう (1) ヨハネは 7 つの教会への手紙の啓示を聞いた後 天の御座の幻を見た 1 その後 私は見た とは 時間の流れを示す言葉である (2) 招きの言葉がかかった 1 一つの開いた門があった * ヨ

(1) 神殿の聖所と至聖所を分ける幕である 1 長さが約 18 メートル 厚さが約 10 センチ 2この幕の内側に入れたのは 大祭司だけである それも年に一度だけ 3 大祭司 アロンの家系 ケハテ氏族 レビ族 イスラエルの民 全人類 (2) この幕が 上から下まで真っ二つに裂けた 1 神の御手がこれ

(1) 獣の形状 (1~2 節 ) (2) 獣の復活 (3~4 節 ) (3) 獣の支配 (5~8 節 ) (4) 励ましのことば (9~10 節 ) 3. 結論 : 反キリストはキリストの真似をする 反キリストの働きについて学ぶ Ⅰ. 獣の形状 (1~2 節 ) 1.1 節 Rev 13:1 また

イエスさまの公的な活動は 2 年から 3 年と言われます その短い時間の中で人々に与えた影響は 考えられないほど大きいものでした ここに今日 わたしたちが集まって礼拝しているのも そのせいです けれどもその 2 年ないし 3 年のイエスさまの活動はずっと順調であったわけではありません イエスを愛し慕


に知恵と英知と知識とあらゆる仕事において 神の霊を満たした (2~3 節 ) (1) ユダ部族のフル その子ウリ その子ベツァルエル 1フルとはモーセの手を両側から支えた 2 人のうちのひとり ( 出 17 章 ) 2フルの孫がベツァルエルである (2) 神の霊を満たした 1 知恵 (wisdom)

としたこと それに対してイエスは 今は 止めないでほしい 正しい ことをすべて行うのは 我々にふさわしいことです ( マタイ 3 15) と 言って ヨハネから洗礼をお受けになったと伝えています しかしマルコ福音書は そういうことは何も伝えていません イエス は ユダヤの全地方から集まって来た大勢の

テモテへの手紙第一 5 章 節 指導の任への尊敬 1A 二重の尊敬 A 監督者への監査 B 公正な裁き B 慎重な按手 B 透明性 本文 テモテへの手紙第一 5 章を開いてください 17 節から読んでいきます 私たちは

ヨハネの福音書講解 ヨハネの福音 ヨハネの福音書 21:15~25 1. 愛する 新改訳改訂第 3 版 ヨハネ 21:15 彼らが食事を済ませたとき イエスはシモン ペテロに言われた ヨハネの子シモン あなたは この人たち以上に わたしを愛しますか ペテロはイエスに言った はい 主よ 私があなたを愛

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マタイ 25 章 14 節 各自に任された財産 1A 神より与えられている財産 1B 創造の源 2B 信仰の量り 2A 清算の時 1B 永遠の報い 2B 報酬の時 3A 求められていること 1B 心のはかりごと 2B 自分の行程 3B 小さな事への忠実 4B 信じる事 本文 マタイによる福音書 25

シリーズ キリストの再臨と終末の預言 -No.2( 改訂 ) キリストの空中再臨と教会の携挙 ( その二 ) 教会の 携挙 についての聖書的根拠 ベレーシート 前回は シリーズ キリストの再臨と終末の預言 の第一回目として キリストの空中再臨と教会の携挙 について学びました このことはとても重要な教

一 マリヤへの恵みある教会に 何かというと 恵まれた女よ おめでとう と言う人がいました 女性のための聖書のクラスで 誰かが正しい答えを言ったら 恵まれた女よ おめでとう 感謝なことの証しをしたら 恵まれた女よ おめでとう 誰かが牧師に祈ってもらっている姿を見たら 恵まれた女よ おめでとう 彼女はい

2014 年 10 月 7 日 ( 火 ) 60 分で分かる創世記 60 分で分かる創世記 1. はじめに (1) 60 分で分かる〇〇 のシリーズを開始する 11 節 1 節の解説も重要であるが 鳥瞰図的な理解も必要である 2その場合重要なのは センス オブ プロポーション である (2) 創世記

2010 年 4 月 18 日 ( 日 ) 19 日 ( 月 ) ハーベストフォーラム東京出エジプト記 19 出エジ 19 出エジプト記 14 章 15 節 ~15 章 21 節 紅海を渡る 1. 文脈の確認 (1) イスラエルの民は 430 年後にエジプトを脱出した (2) エジプト脱出の記録は

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2. アウトライン (1) 過去の回顧 (1~4 章 ) (2) 律法の解説 (5~26 章 ) (3) 未来の展望 (27~30 章 ) (4) 指導者の交代 (31~34 章 ) 3. 結論 (1) 律法の本質 (2) イスラエルの将来 (3) 申命記とイエスの教え 申命記を通して イエスの教え

1 それは キリストにのみ適用される御名である (2) 旧約聖書では 御使いたちは 神の子たち と呼ばれた Job 38:7 そのとき 明けの星々が共に喜び歌い / 神の子たちはみな喜び叫んだ 1 新約聖書では 信者が 神の子たち と呼ばれる ( ヨハ 11:52) 2しかし 御子 ( ヒュイオス

1 説 教 聖日礼拝 北浜チャーチ 黒田 禎一郎 2017 年 6 月 4 日 ( 日 ) 主 題 : すべてを感謝しましょう! テキスト :1コロサイ人への手紙 3 章 17 節 はじめに たった一度しかない人生 私たちはどのように生きているでしょうか? 生き方を知っている人は幸いです しかし 多

B2 神はどのようなお方か 1Chro.29:10-12 Dt.10:12-13 Ps.95:1-7 B3 イエス キリストはどのようなお方か John.14:8-10 Mk.6:31-56 John.10:30-33 Heb.2: John.4:2-3 2John.7-10 B4 三位

良いこと となります ともするとクリスチャンは こう考えやすいかもしれません 私は人がどう考えるかは気にしない 神がどう思われるかだけを心に留める と 確かにそこに真理はあるのですが そのあまり 人々がどう考えるかを顧慮しない傍若無人な態度を取るのが良いのではありません パウロはここで 人々がどう見

Rev 17:2 地の王たちは この女と不品行を行い 地に住む人々も この女の不品行のぶどう酒に酔ったのです (1) 大淫婦と不品行 1 旧約聖書では 淫婦 は 偽の宗教 を象徴する言葉である 2 淫行 は 偶像礼拝を象徴する言葉である 霊的姦淫である * 通常は 真の神を信じると告白しながら 偶像

た私の霊が住んでいる大事な住居として用いるようにされており 私であるという強い自意識を持ちながら からだも心も性格もあらゆる特徴も 私らしさという特質を持った者として生かされているのです * それは 後に与えられると言われている霊のからだ 朽ちないからだと表現されている 天に属するよみがえりのからだ

はじめに ユダの手紙 中川健一 はじめに (1) 聖書フォーラム運動の広がり 1 聖書は霊感を受けて書かれた誤りなき 神のことば である 2ヘブル的聖書解釈 3 聖書研究から日本の霊的覚醒( 目覚め ) が 4 学びと行動の両輪が必要である (2) 異端について 1 英語で cult あるいは he

2017 年 6 月 11 日 ( 日 ) 12 日 ( 月 ) 39 回 新しいエルサレムの特徴 ( 後半 ) 新しいエルサレムの特徴 ( 後半 ) 黙 22:1~5 1. はじめに (1) 旧約聖書の預言のハイライトは メシア的王国である 1 黙示 20 章は メシア的王国が千年で終わることを啓

牧会の祈り

* ダニエル書 3 捕囚期後 (3) * ハガイ書 * ゼカリヤ書 * マラキ書 (5) 預言者たちが語ったメッセージの要約 1 神の主権と聖なるご性質 2 契約の民イスラエルの不従順の罪 3 悔い改めへの招き 4 迫り来る神の裁きと捕囚 5イスラエルの民を攻撃する周辺国への裁き 6 捕囚からのレム

Ⅰ. 管理人の不正の発覚 (1~2 節 ) 1.1 節 a Luk 16:1 イエスは 弟子たちにも こういう話をされた (1) イエスは 弟子たちに話している 1これは 弟子訓練のためのたとえ話である 2 聴衆が誰かを判断することが たとえ話の解釈のために重要である (2) その周りで パリサイ人

1イエスがバプテスマを受けたとき 天が開かれて聖霊が鳩のように下った 2ここでは 天が開かれて再臨のメシアが地に下ってこられる 3 黙 4:1 では ヨハネを招くために天が開かれた 4ここでは キリストが地に下るために天が開いた (2) 白い馬に乗った方 1ローマ軍の将軍は 白い馬に乗った 2 再臨

2008 年 7 月 27 日 ( 日 ) 28 日 ( 月 ) ハーベストフォーラム東京創世記 8 創世記 8 創世記 3 章 14 節 ~24 節 アダム契約 イントロ : 1. 前回までの復習 (1) 創世記には 11 の区分 ( トルドット ) がある (2) 第 1のトルドットには 人類の

4 伝承によれば 彼はクレテ島のゴルティナで監督となり 94 歳で召されたと言われています では 今日は発信人であるパウロと 受信人であるテトスから学びたいと思います 発信人であるパウロはどのような教訓を与えているか また受信人であるテトスがどういう信仰を送ったか大切なポイント 1. 発信人パウロ

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比喩:その他

6ユダヤ人は 人種的 宗教的理由によって サマリヤ人を軽蔑した * ユダヤの格言 私の目が サマリヤ人を見ることがないように 7サマリヤ人も ユダヤ人を軽蔑し 敵対した * ユダヤ人がエルサレムから下ることは許したが 上ることは許さなかった 8 現代もサマリヤ人の子孫たちが存在している ( 千名以下

07/06/17  礼拝メッセージ  近藤修司 牧師

テモテ第二 2 章 1-13 節 キリストの兵士 1A 共にする苦しみ 1-7 1B ゆだねる教え 1-2 2B 立派な務め 3-7 2A イエス キリストの福音 B つながれていない御言葉 B 共に生き 死ぬ 本文 テモテへの手紙第二 2 章を見ていきます 私た

イゼベルという女は 商売繁盛のために信仰を妥協するよう しきりに教会の人々に勧めました では これらの背景を踏まえて 学びに入りましょう 今日の聖書個所には 大切なポイントが 5 つあります 1. イエスの描写 (18 節 ) ここでイエスは 燃える炎のような目と光り輝くしんちゅうのような足のお方だ

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このメッセージは 父なる神について考えようとするものである Ⅰ. 聖書が使用する比喩的言葉 1. 神という言葉について (1) ヘブル語でエロヒム ( エル ) ギリシア語でセオス 1 普通名詞 神々を指す言葉である 2 日本語の神も 多くの神々を指す言葉である 3 聖書の神は どういう神かを示す必

2000 年は二日です ですからこちらも 遅い! と言えるほど 時は経っていないと言えます もちろん 1000 年イコール一日と言われているのではなく 一日のようだと言われていますので 単純計算できる話ではないのですが 先ほど引用した詩篇 90 篇 4 節では 私たちの時間のはかなさ 些細さという側

2016 年 2 月 14 日川越教会 すべての民と共に 加藤享 [ 聖書 ] ローマの信徒への手紙 15 章 7~13 節だから 神の栄光のためにキリストがあなたがたを受け入れてくださったように あなたがたも互いに相手を受け入れなさい わたしは言う キリストは神の真実を現すために 割礼ある者たちに

Derek Prince Ministries Asia-Pacific THE TEACHING LEGACY OF DEREK PRINCE MINISTRIES ARCHIVE The Battlefield of the Mind - Derek

聖 書 へブル12:11,12 (第41講)

  聖 書 へブル12:11,12 (第41講)

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黙示録 3 章 7-13 節 忠実な教会 1A 聖なる 真実な方 7 2A 主に知られた行ない 8 3A 報い B 中傷者からの擁護 9 2B 試練の時からの守り 10 3B 冠 11 4B 都での安全 本文 黙示録 3 章 7 節からです フィラデルフィヤにある教会に対する

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テサロニケ人への手紙第一 第5回聖書フォーラムキャンプ 基調メッセージ メッセージ 中川健一

はじめに テサロニケ人への手紙第一 中川健一 はじめに (1) 聖書フォーラム運動の広がり 1 聖書は霊感を受けて書かれた誤りなき 神のことば である 2ヘブル的聖書解釈 3イスラエルの役割の聖書的理解 4 終末論の重視 (2) 今回は テサロニケの教会から学ぶ 1 異邦人の教会である 2パウロから直接教えを受けた 3 終末論に関心を持っていた (3) テサロニケという町 1マケドニア属州の主要な港町 * コリントはアカヤの主要な港町 * エペソは アジアの主要な港町 2 交通の要衝の町 * エグナティア街道の町 *( イリュリクム属州とマケドニア属州 トラキア属州を結ぶ街道 ) * パウロの時代 経済的にも 軍事的にも重要な町であった 3 人口は約 20 万人と推定される * 大半が土着のギリシア人 * 多くのローマ人もいた * アジア人やユダヤ人もいた * 経済活動が活発な町には 必ずユダヤ人がいた * テサロニケのユダヤ人の会堂は 大きな力を持っていた * 神を敬う( 神を恐れる ) 異邦人 も多くいた 4 偶像礼拝がもたらす道徳的堕落が蔓延していた * ユダヤ教の自制心のある教えに感動する異邦人もいた クリスチャンに与えられた希望 ~Ⅰ テサロニケから学ぶ ~ 1

中川健一 テサロニケ人への手紙第一 (4) パウロとテサロニケの教会 ( 使 17:1~10) 17:1 彼らはアムピポリスとアポロニヤを通って テサロニケへ行った そこには ユダヤ人の 会堂があった 17:2 パウロはいつもしているように 会堂に入って行って 三つの安息日にわたり 聖書に基 づいて彼らと論じた 17:3 そして キリストは苦しみを受け 死者の中からよみがえらなければならないことを説明 し また論証して 私があなたがたに伝えているこのイエスこそ キリストなのです と 言った 17:4 彼らのうちの幾人かはよくわかって パウロとシラスに従った またほかに 神を敬うギ リシヤ人が大ぜいおり 貴婦人たちも少なくなかった 17:5 ところが ねたみにかられたユダヤ人は 町のならず者をかり集め 暴動を起こして町を 騒がせ またヤソンの家を襲い ふたりを人々の前に引き出そうとして捜した 17:6 しかし 見つからないので ヤソンと兄弟たちの幾人かを 町の役人たちのところへひっ ぱって行き 大声でこう言った 世界中を騒がせて来た者たちが ここにも入り込んでい ます 17:7 それをヤソンが家に迎え入れたのです 彼らはみな イエスという別の王がいると言って カイザルの詔勅にそむく行いをしているのです 17:8 こうして それを聞いた群衆と町の役人たちとを不安に陥れた 17:9 彼らは ヤソンとそのほかの者たちから保証金を取ったうえで釈放した 17:10 兄弟たちは すぐさま 夜のうちにパウロとシラスをベレヤへ送り出した ふたりはそこ に着くと ユダヤ人の会堂に入って行った 1 第 2 回伝道旅行 ( トロアス ピリピ テサロニケ ベレヤ ) 2パウロがテサロニケに滞在した期間は 短い *3 週間にわたるユダヤ人伝道 * それに続く異邦人伝道 3ユダヤ人たちの迫害を避けるために テサロニケを脱出した アウトライン ( パウロは 思索の流れるままに書いているので それを区切るのは難しい ) Ⅰ. あいさつ (1:1) Ⅱ. パウロとテサロニケの教会の関わり (1:2~3:13) A. 感謝の言葉 (1:2~10) 1. 感謝の理由 (1:2~3) 2. より具体的な理由 (1:4~10) B. テサロニケでのパウロの宣教 (2:1~16) 1. 福音の提示 (2:1~12) 2 第 5 回 聖書フォーラムキャンプ

Ⅰ. あいさつ (1:1) 2. 福音の受容 (2:13~16) C. テサロニケ再訪の願い (2:17~3:13) 1. パウロの計画 (2:17~20) 2. テモテの派遣 (3:1~5) 3. テモテの報告 (3:6~10) 4. パウロの祈り (3:11~13) Ⅲ. 教えと適用 (4:1~5:24) A. クリスチャン生活 (4:1~12) 1. 日々の歩み (4:1~2) 2. 性的純潔 (4:3~8) 3. 兄弟愛 (4:9~12) B. 携挙 (4:13~18) C. 再臨への備え (5:1~11) 1. 主の日 (5:1~5) 2. 慎み深い歩み (5:6~11) D. 教会生活 (5:12~15) 1. 指導者への態度 (5:12~13) 2. 互いに対する責任 (5:14~15) E. 清い生活 (5:16~24) 1. 個人的生活 (5:16~18) 2. 共同体としての生活 (5:19~22) 3. 超自然的助け (5:23~24) Ⅳ. むすび (5:25~28) A. 個人的願いと勧告 (5:25~27) B. 祝祷 (5:28) Ⅰ. あいさつ (1:1) 1. 執筆の動機 (1:1) 1:1 パウロ シルワノ テモテから 父なる神および主イエス キリストにあるテサロニケ人の教会へ 恵みと平安があなたがたの上にありますように (1) テサロニケ教会は パウロの第 2 回伝道旅行の時に誕生した 1 通常は 神の計画の全貌 ( 教理 ) を教え 長老を任命し 次の町に移動した 2パウロはもっと長く留まって 新しく信徒となった者たちを訓練したかった 3しかし 迫害のためにそこを急に去らなければならなくなった 4 当時コリントに滞在していたパウロは テモテをテサロニケに派遣した クリスチャンに与えられた希望 ~Ⅰ テサロニケから学ぶ ~ 3

中川健一 テサロニケ人への手紙第一 5テモテは テサロニケの教会がしっかり立っているとの知らせをもたらした 6パウロは大いに慰められた (3:6~7) 7と同時に 患難の中で励ましと教育を必要としていることも知らされた 8そこで その教会宛に 2 通の手紙を書くことになった (2) 第 1 の手紙 1 再臨に関する誤解を解くのが主な目的である 2 再臨がすぐに来ると信じ 怠惰になり他人に負担をかけるような者が出ていた 2. あいさつの内容 : ギリシア ローマ時代の手紙には 3 つの要素が含まれていた (1) 差出人 : 1 著者はパウロ * ヘブル名はサウロ ( シャウール ) 切望された者 という意味 * ラテン名はパウロ ( パウロス ) 小さい という意味 2テサロニケ伝道に関係した 2 人の同労者の名が上がっている * シルワノ ( シラスのラテン名 ) は 市民権を持つエルサレム出身のユダヤ人 * テモテは ルステラ出身で 母はユダヤ人 父はギリシア人 3パウロ シルワノ テモテの 3 名の名があることへの信者の反応 (2) 宛先人 : 1 父なる神および主イエス キリストにあるテサロニケ人の教会 2 イエス キリストは主である との告白がなければ 教会とは言えない 3 彼らは この世から いのち に呼び出された人々である 4 彼らは テサロニケの町にあって特別な人々である (3) あいさつの言葉 : 1パウロは すべての手紙の中で 恵みと平安 という言葉を使っている 2 常に この順番で出て来る 2 恵みはイエスによって表された その恵みを受け取った人が味わうのが平安 Ⅱ. パウロとテサロニケの教会の関わり (1:2~3:13) A. 感謝の言葉 (1:2~10) 1. 感謝の理由 (1:2~3) 1:2 私たちは いつもあなたがたすべてのために神に感謝し 祈りのときにあなたがたを覚え 1:3 絶えず 私たちの父なる神の御前に あなたがたの信仰の働き 愛の労苦 主イエス キリストへ 4 第 5 回 聖書フォーラムキャンプ

Ⅱ. パウロとテサロニケの教会の関わり (1:2~3:13) の望みの忍耐を思い起こしています (1) パウロはこの手紙を 他の手紙と同じように感謝の言葉をもって始めている 1テサロニケの信者のために いつも 神に感謝し 祈っている 2パウロの祈りは 継続的な祈りである 3 感謝の源になる人は 幸いである (2) この教会の 3 つの特徴 ( パウロの心に浮かんだ特徴 ) 1 信仰の働き ( 信仰が生んだ行為 過去 ) * 救いは信仰と恵みによるが 信仰は行為によって表現される * 真の信仰とは 行ないの伴ったものである * そういう意味で テサロニケの信者は正しい信仰理解を持っていたと言える 2 愛の労苦 ( キリストの愛への応答 現在 ) * 彼らの信仰は 神への愛 また隣人への愛となって具体的な形を取った * 労苦とあるので 大きな犠牲を払って愛を実践していたことが分かる 3 望みの忍耐 ( 望みがもたらす忍耐 未来 ) * 彼らが試練の中でも信仰を持ち続けることができたのは 希望があったから * その希望とは キリストの復活と再臨から来るものであった (3) 信仰 愛 希望の重要性 2. より具体的な理由 (1:4~10) (1) パウロの確信 (1:4~6) 1:4 神に愛されている兄弟たち あなたがたが神に選ばれた者であることは私たちが知っています 1:5 なぜなら 私たちの福音があなたがたに伝えられたのは ことばだけによったのではなく 力と聖霊と強い確信とによったからです また 私たちがあなたがたのところで あなたがたのために どのようにふるまったかは あなたがたが知っています 1:6 あなたがたも 多くの苦難の中で 聖霊による喜びをもってみことばを受け入れ 私たちと主とにならう者になりました 1 兄弟たち という呼びかけ * 救われた者は 主の前にみな同じである * 高慢なパリサイ人から 異邦人信者を兄弟と呼ぶ謙遜への変化を遂げた 2テサロニケの信者が 神によって選ばれた人々であることを確信している * その選びは 永遠の昔から定められていたものである ( エペ 1:4 参照 ) * 選びによって この世から呼び出されたのである 3 確信の理由は ここでの宣教が 力と聖霊と強い確信 によってなされたから * 神の超自然的な働きによって 彼らは救われた クリスチャンに与えられた希望 ~Ⅰ テサロニケから学ぶ ~ 5

中川健一 テサロニケ人への手紙第一 * これは 彼らの救いが神の計画によるものであることを証明している * パウロは 自分の体験と重ね合わせている 4 福音を聞いた彼らも 聖霊による喜びをもってみことばを受け入れた * しかも 多くの苦難が予想される中で 決断した * 神の選びと 人間の応答が ともに教えられている * 環境が 喜びの量を決めるわけではない 5 彼らは 宣教師たちに倣う者 主イエスに倣う者となった (2) マケドニアとアカヤの信者の模範 (1:7~8) 1:7 こうして あなたがたは マケドニヤとアカヤとのすべての信者の模範になったのです 1:8 主のことばが あなたがたのところから出てマケドニヤとアカヤに響き渡っただけでなく 神に対するあなたがたの信仰はあらゆる所に伝わっているので 私たちは何も言わなくてよいほどです 1 彼らは 使徒たちの信仰の姿勢に影響を受け その生き方に倣う者となった 2その結果彼らは マケドニアとアカヤの他の信者の模範となった 3パウロは新しい場所に行くと それまでの宣教の結果を分かち合っていた 4しかし テサロニケの教会に関しては それをする必要がない 5 彼ら自身が 言葉と行ないによってその信仰を他の地区に宣べ伝えていた (3) 偶像から神に立ち返る (1:9~10) 1:9 私たちがどのようにあなたがたに受け入れられたか また あなたがたがどのように偶像から神に立ち返って 生けるまことの神に仕えるようになり 1:10 また 神が死者の中からよみがえらせなさった御子 すなわち やがて来る御怒りから私たちを救い出してくださるイエスが天から来られるのを待ち望むようになったか それらのことは他の人々が言い広めているのです 1テサロニケは偶像に満ち満ちた町で 彼らもまた偶像礼拝の中にいた 2しかし 福音のメッセージを聞いた時 急激に方向転換した 3その結果 彼らは 生けるまことの神に仕えるようになった 4さらに 神がキリストを死者の中から甦らせたことを信じるようになった 5また そのキリストが再臨されるのを待ち望むようになった * やがて来る御怒り とは 大患難時代のことである( 黙 6~19 章 ) 6この希望があったので 彼らは患難の中でも忍耐と確信を失うことがなかった 7 旧約時代の聖徒は メシアの到来を待ち望んだ 8 新約時代の聖徒は メシアが到来したことと 復活したことを知っている 9 今私たちが待ち望んでいるのは メシアである主イエスの再臨である 10 私たちは 終末時代の裁きから解放されている 11 私たちは 旧約時代の聖徒たちよりはるかに多い啓示を受け取っている 6 第 5 回 聖書フォーラムキャンプ

Ⅱ. パウロとテサロニケの教会の関わり (1:2~3:13) B. テサロニケでのパウロの宣教 (2:1~16) 1. 福音の提示 (2:1~12) (1) 使徒としての伝道姿勢 (2:1~6) 2:1 兄弟たち あなたがたが知っているとおり 私たちがあなたがたのところに行ったことは むだではありませんでした 2:2 ご承知のように 私たちはまずピリピで苦しみに会い はずかしめを受けたのですが 私たちの神によって 激しい苦闘の中でも大胆に神の福音をあなたがたに語りました 2:3 私たちの勧めは 迷いや不純な心から出ているものではなく だましごとでもありません 2:4 私たちは神に認められて福音をゆだねられた者ですから それにふさわしく 人を喜ばせようとしてではなく 私たちの心をお調べになる神を喜ばせようとして語るのです 2:5 ご存じのとおり 私たちは今まで へつらいのことばを用いたり むさぼりの口実を設けたりしたことはありません 神がそのことの証人です 2:6 また キリストの使徒たちとして権威を主張することもできたのですが 私たちは あなたがたからも ほかの人々からも 人からの名誉を受けようとはしませんでした 1パウロは 自分の伝道姿勢を振り返り 自己弁明を試みている 2その理由は 敵対する者たちが 彼についての悪評を吹聴していたから 3パウロの一行は 不純な動機でテサロニケに伝道に来たのではない 4かつてパウロは ピリピで鞭打ちの刑を受けた * ローマの市民権を持っているのに このような仕打ちを受けた 5そのような痛みと辱しめの中にありながら テサロニケで伝道が行われた 6それが出来たのは 神の助けと力が備えられたから 7パウロの宣教は 迷い 誤り 不純な心 だましごとなどから出たものではない * 全国を巡回する偽哲学者たちとの区別 8 彼は 人を喜ばせるためではなく 神を喜ばせようとして奉仕をしている 9 自分は神から承認され 宣教の使命を委ねられているという自己認識があった 10へつらいの言葉を用いたり むさぼりの口実を設けたりしたことはない 11 使徒としての権威を主張することもできたが そうしなかった (2) 母のように (2:7~10) 2:7 それどころか あなたがたの間で 母がその子どもたちを養い育てるように 優しくふるまいました 2:8 このようにあなたがたを思う心から ただ神の福音だけではなく 私たち自身のいのちまでも 喜んであなたがたに与えたいと思ったのです なぜなら あなたがたは私たちの愛する者となったからです 2:9 兄弟たち あなたがたは 私たちの労苦と苦闘を覚えているでしょう 私たちはあなたがたのだれにも負担をかけまいとして 昼も夜も働きながら 神の福音をあなたがたに宣べ伝えました クリスチャンに与えられた希望 ~Ⅰ テサロニケから学ぶ ~ 7

中川健一 テサロニケ人への手紙第一 2:10 また 信者であるあなたがたに対して 私たちが敬虔に 正しく また責められるところがないようにふるまったことは あなたがたがあかしし 神もあかししてくださることです 1パウロは 母がその子どもたちを養い育てるように 優しく振る舞った 2 彼らを愛する愛のゆえに 自分たちの命さえも与えたいと思った 3 人々に金銭的な負担をかけまいとして自らの手で働いた * 福音のために働く人は そこから生活の糧を得てもおかしくはない * しかしパウロは いらぬ誤解を与えないために 自給伝道を行なった 4 敬虔に 正しく 責められるところがないように 活動した (3) 父のように (2:11~12) 2:11 また ご承知のとおり 私たちは父がその子どもに対してするように あなたがたひとりひとりに 2:12 ご自身の御国と栄光とに召してくださる神にふさわしく歩むように勧めをし 慰めを与え おごそかに命じました 1しかしパウロは ただ優しいだけの伝道者ではない 2 父が子を育て訓練するように 新しい信者たちを育て導いた 3 彼は 新しい信者に勧めをし 慰めを与え おごそかに命じた 2. 福音の受容 (2:13~16) (1) 福音への応答 (2:13) 2:13 こういうわけで 私たちとしてもまた 絶えず神に感謝しています あなたがたは 私たちから神の使信のことばを受けたとき それを人間のことばとしてではなく 事実どおりに神のことばとして受け入れてくれたからです この神のことばは 信じているあなたがたのうちに働いているのです 1パウロは神に感謝している テサロニケの人々が 素直に福音を受け入れたから 2パウロのことばを 人間のことばとしてではなく 神のことばとして 受け入れた 3 神のことばは それを受け入れた人の中で働き始める (2) 迫害の中での忍耐 (2:14~16) 2:14 兄弟たち あなたがたはユダヤの キリスト イエスにある神の諸教会にならう者となったのです 彼らがユダヤ人に苦しめられたのと同じように あなたがたも自分の国の人に苦しめられたのです 2:15 ユダヤ人は 主であられるイエスをも 預言者たちをも殺し また私たちをも追い出し 神に喜ばれず すべての人の敵となっています 2:16 彼らは 私たちが異邦人の救いのために語るのを妨げ このようにして いつも自分の罪を満たしています しかし 御怒りは彼らの上に臨んで窮みに達しました 8 第 5 回 聖書フォーラムキャンプ

Ⅱ. パウロとテサロニケの教会の関わり (1:2~3:13) 1テサロニケの信者は 主イエスと使徒たちに倣う者となった (1:6 参照 ) 2さらに ユダヤの キリスト イエスにある神の諸教会に倣う者ともなった 3ユダヤの諸教会では ユダヤ人信者が同胞たちによって迫害された 4 同様に テサロニケの信者たちも 同国人から苦しめられるようになった 5クリスチャンが試練に会うのは異常なことではなく むしろ普通 6パウロは 主イエスを拒否し 信者を迫害するユダヤ人たちを責めている 7と同時に 同胞のために心を痛めている 8 彼は イスラエルが民族的な救いを体験する日が必ず来ることも信じている C. テサロニケ再訪の願い (2:17~3:13) 1. パウロの計画 (2:17~20) (1) サタンの妨げ (2:17~18) 2:17 兄弟たちよ 私たちは しばらくの間あなたがたから引き離されたので といっても 顔を見ないだけで 心においてではありませんが なおさらのこと あなたがたの顔を見たいと切に願っていました 2:18 それで私たちは あなたがたのところに行こうとしました このパウロは一度ならず二度までも心を決めたのです しかし サタンが私たちを妨げました 1テサロニケを去ってから何が起こったのか報告している 2 町を追い出されたパウロの一行は 深い悲しみに落とされた * 霊の子どもである彼らと引き離されたから * しかし その離別は肉体的なものであって 心まで引き離されたわけではない 3テサロニケの信者を慕うパウロは 彼らのもとに帰っていこうとした 4しかし 一度ならず二度までもサタンに妨げられた * サタンの妨げとは 恐らく民衆の暴動のことを指すのであろう (2) パウロの誇り (2:19~20) 2:19 私たちの主イエスが再び来られるとき 御前で私たちの望み 喜び 誇りの冠となるのはだれでしょう あなたがたではありませんか 2:20 あなたがたこそ私たちの誉れであり また喜びなのです 1パウロの個人的な愛の表明 ( このような言葉は この教会にだけ語られた ) 2パウロは 主の再臨の日までに 彼らの信仰が完成することを確信していた 3 彼らの救いの完成は パウロにとっては喜びであり 誉れでもある 4パウロが戻ってこないのは 愛がないからではない 2. テモテの派遣 (3:1~5) 3:1 そこで 私たちはもはやがまんできなくなり 私たちだけがアテネにとどまることにして 3:2 私たちの兄弟であり キリストの福音において神の同労者であるテモテを遣わしたのです それは クリスチャンに与えられた希望 ~Ⅰ テサロニケから学ぶ ~ 9

中川健一 テサロニケ人への手紙第一 あなたがたの信仰についてあなたがたを強め励まし 3:3 このような苦難の中にあっても 動揺する者がひとりもないようにするためでした あなたがた自身が知っているとおり 私たちはこのような苦難に会うように定められているのです 3:4 あなたがたのところにいたとき 私たちは苦難に会うようになる と前もって言っておいたのですが それが ご承知のとおり はたして事実となったのです 3:5 そういうわけで 私も あれ以上はがまんができず また誘惑者があなたがたを誘惑して 私たちの労苦がむだになるようなことがあってはいけないと思って あなたがたの信仰を知るために 彼を遣わしたのです 1 信者の霊的状態を心配したパウロは テモテを派遣した 2 試練の中にある彼らを励まし 教え導くため 3テモテは パウロにとっては伝道の同労者であり 一番弟子でもある 4キリストのゆえにクリスチャンが迫害や患難に遭遇するのは当然のこと 5パウロは 人々がサタンの誘惑に陥り 信仰をなくすことを心配している 3. テモテの報告 (3:6~10) 3:6 ところが 今テモテがあなたがたのところから私たちのもとに帰って来て あなたがたの信仰と愛について良い知らせをもたらしてくれました また あなたがたが いつも私たちのことを親切に考えていて 私たちがあなたがたに会いたいと思うように あなたがたも しきりに私たちに会いたがっていることを 知らせてくれました 3:7 このようなわけで 兄弟たち 私たちはあらゆる苦しみと患難のうちにも あなたがたのことでは その信仰によって 慰めを受けました 3:8 あなたがたが主にあって堅く立っていてくれるなら 私たちは今 生きがいがあります 3:9 私たちの神の御前にあって あなたがたのことで喜んでいる私たちのこのすべての喜びのために 神にどんな感謝をささげたらよいでしょう 3:10 私たちは あなたがたの顔を見たい 信仰の不足を補いたいと 昼も夜も熱心に祈っています 1テモテは良い知らせを持って帰還した * パウロは べレア アテネ コリントと移動した 2テサロニケの信者たちは 患難の中でも揺らぐことなく堅く信仰に立っていた 3 信仰に入って日の浅い彼らが堅く信仰に立っているのは まさに神の恵み 4 彼らは パウロやテモテのことを心にかけ しきりに会いたがっていた 5パウロは この喜びを与えてくださった神に感謝をささげる方法を考えている 6さらにパウロは テサロニケの信者のためにとりなしの祈りを捧げている 7パウロには 心残りなことがあった * 突如去ることになったので 福音の全貌を教えることができなかった * 再会して 教えの不足を補いたかった 4. パウロの祈り (3:11~13) 3:11 どうか わたしたちの父である神御自身とわたしたちの主イエスとが わたしたちにそちらへ行く 10 第 5 回 聖書フォーラムキャンプ

Ⅲ. 教えと適用 (4:1~5:24) 道を開いてくださいますように 3:12 どうか 主があなたがたを お互いの愛とすべての人への愛とで 豊かに満ちあふれさせてくださいますように わたしたちがあなたがたを愛しているように 3:13 そして わたしたちの主イエスが 御自身に属するすべての聖なる者たちと共に来られるとき あなたがたの心を強め わたしたちの父である神の御前で 聖なる 非のうちどころのない者としてくださるように アーメン 1 道が開かれるようにという祈り * テサロニケを訪問する機会が与えられるように祈り求めている 2 彼らの愛が増し加わるようにという祈り * 自分たちが彼らを愛していることを確認してから この祈りを捧げている * 信者同士の間に 愛が増し加わりますように * すべての人 ( 教会外の人 ) への愛も 増し加わりますように 3 彼らの心が強められるようにという祈り * これは 神と人への奉仕を可能にする力となる * 主イエスの再臨を前提に この祈りを祈っている Ⅲ. 教えと適用 (4:1~5:24) A. クリスチャン生活 (4:1~12) 1. 日々の歩み (4:1~2) 4:1 終わりに 兄弟たちよ 主イエスにあって お願いし また勧告します あなたがたはどのように歩んで神を喜ばすべきかを私たちから学んだように また 事実いまあなたがたが歩んでいるように ますますそのように歩んでください 4:2 私たちが 主イエスによって どんな命令をあなたがたに授けたかを あなたがたは知っています 1 終わりに とは 最後の重要な項目( 本論 ) に入るという意味である 2パウロは 教理上の誤解 また実際生活の誤解を正そうとしている 3クリスチャンの行動の動機は 神への愛 ( 神を喜ばせること ) である 4 学びの目的は すでに実行していることをさらに進めることである * 時には 新しい教えを学ぶよりも 知っていることの再確認の方が重要 5パウロは 主イエスの権威によって語ったし 今も語っている 64:1~2 は総論的な勧めであり 次に 2 つの具体的な勧めが続く 2. 性的純潔 (4:3~8) 4:3 神のみこころは あなたがたが聖くなることです あなたがたが不品行を避け 4:4 各自わきまえて 自分のからだを 聖く また尊く保ち 4:5 神を知らない異邦人のように情欲におぼれず 4:6 また このようなことで 兄弟を踏みつけたり 欺いたりしないことです なぜなら 主はこれら クリスチャンに与えられた希望 ~Ⅰ テサロニケから学ぶ ~ 11

中川健一 テサロニケ人への手紙第一 すべてのことについて正しくさばかれるからです これは 私たちが前もってあなたがたに話し きびしく警告しておいたところです 4:7 神が私たちを召されたのは 汚れを行わせるためではなく 聖潔を得させるためです 4:8 ですから このことを拒む者は 人を拒むのではなく あなたがたに聖霊をお与えになる神を拒むのです 1 神のみこころは あなたがたが聖くなることです 私たちのゴールでもある * 聖い とは 罪から離れ 神のものとして分離されている状態である * この状態は プロセス ( 過程 ) である * 聖霊の助けによって 自制心 を働かせることである 2テサロニケは ギリシア ローマの異教的文化にどっぷりと浸かった町 * 町には 娼婦たちもいた * そういう町に住んでいると いつの間にか 罪が罪として認識されなくなる * 娼婦との交渉 婚前交渉 婚外交渉 同性愛などがあたり前になっていた * 不品行とは 幅広い概念で これらすべてを含む * それに罪悪感を抱く人はごくまれであった 3パウロは 罪について誤解しないように 神の聖さの基準を教えている * 不品行を避けるように * 自分のからだを 聖く また尊く保つように * 真の神を知らない異邦人のように 情欲におぼれることのないように * 神への応答が 誘惑に勝利する秘訣である 4 不品行は 相手の人にも罪を犯させることになる * 兄弟 とは 必ずしも教会内の信者のことではない 5もし不品行な生活を続けるなら その罪に対して聖なる神の正しい裁きが下る 6 神がクリスチャンを召されたのは 聖潔を得させるためである * イエスを救い主と信じた者はみな 聖化の歩み へと召された * この教えを拒む人は 聖霊を与えてくださる神を拒んだことになる * そのような人には 聖化の可能性が残されていない 3. 兄弟愛 (4:9~12) (1) 兄弟愛の実践 (4:9~10) 4:9 兄弟愛については 何も書き送る必要がありません あなたがたこそ 互いに愛し合うことを神から教えられた人たちだからです 4:10 実にマケドニヤ全土のすべての兄弟たちに対して あなたがたはそれを実行しています しかし 兄弟たち あなたがたにお勧めします どうか さらにますますそうであってください 1パウロは 彼らが愛を実践していることをほめている * 彼らをほめる目的は 彼らを傲慢にするためではない 12 第 5 回 聖書フォーラムキャンプ

Ⅲ. 教えと適用 (4:1~5:24) * 逆に 彼らが愛においてますます成長するためである 2 新しい信者であっても 互いに愛し合うことを神から教えられている 3マケドニヤ全土 ( ピリピ べレア その他のクリスチャンが住んでいる町々 ) 4パウロは 兄弟愛をさらに実践するように勧めている (2) 労働の必要性 (4:11~12) 4:11 また 私たちが命じたように 落ち着いた生活をすることを志し 自分の仕事に身を入れ 自分の手で働きなさい 4:12 外の人々に対してもりっぱにふるまうことができ また乏しいことがないようにするためです 1テサロニケ教会には 労働を軽視し浮き足立った歩みをしていた人たちがいた 2それは 主イエスの再臨について誤解があったからである 3パウロは 過ちを矯正するために 落ち着いた生活をするように と命じた 4 自分の仕事 ( イディオス ) とは 自分に関することがら である * 箴 25:17 隣人の家に 足しげく通うな 彼があなたに飽きて あなたを憎むことがないようにせよ * つまりパウロは 過剰な再臨信仰や他者へのお節介に対して警告を発した * 喜びに満ちた状態と 過熱した状態とは 別ものである 5 労働しない人々は 日常の仕事を軽視し 教会や家族に経済的負担をかけていた * それは決して 教会外の人たちへのよい証しにはならない * 信者は 仕事を忠実に行なうことによって生活の糧を得 神に栄光を帰す * これ自体が 教会外の人たちへの証しとなる B. 携挙 (4:13~18) (1) テーマの紹介 (4:13) 4:13 眠った人々のことについては 兄弟たち あなたがたに知らないでいてもらいたくありません あなたがたが他の望みのない人々のように悲しみに沈むことのないためです 1テサロニケの信者の教理的弱点 : 携挙のテーマが紹介される 2 新しい信者なので 知らないのは当然である 兄弟たち と呼んでいる 3パウロは テモテの報告によって彼らの教理的弱点を知ったのであろう 4パウロがテサロニケを去ってから 死んだ者たちが何人か出てきた * 眠った人々 とは 死の婉曲的な表現である( 信者にのみ使用する ) * 肉体の眠りであって 魂の眠りではない 5テサロニケの信者たちはある疑問を持つようになった * 死んだ者たちは 携挙の際にはその祝福に与ることができないのか 6 携挙 ( いわゆる空中再臨 ) とは 信者が生きたまま天に挙げられることを指す クリスチャンに与えられた希望 ~Ⅰ テサロニケから学ぶ ~ 13

中川健一 テサロニケ人への手紙第一 (2) 復活の希望 (4:14~15) 4:14 私たちはイエスが死んで復活されたことを信じています それならば 神はまたそのように イエスにあって眠った人々をイエスといっしょに連れて来られるはずです 4:15 私たちは主のみことばのとおりに言いますが 主が再び来られるときまで生き残っている私たちが 死んでいる人々に優先するようなことは決してありません 1 愛する者が死んだ時 悲しみを感じるのは当然である 2しかし信者は 望みのない不信者のように悲しむ必要はない 3イエスは死んで復活された 4イエスにあって死んだ者には 復活の希望が与えられている 5 主イエスの教えに従って言うと : * 携挙の時には 死んだ者は甦り 天に挙げられる * 生きている者が 死んだ者に優先するようなことは決してない (3) 携挙の預言 (4:16~18) 4:16 主は 号令と 御使いのかしらの声と 神のラッパの響きのうちに ご自身天から下って来られます それからキリストにある死者が まず初めによみがえり 4:17 次に 生き残っている私たちが たちまち彼らといっしょに雲の中に一挙に引き上げられ 空中で主と会うのです このようにして 私たちは いつまでも主とともにいることになります 4:18 こういうわけですから このことばをもって互いに慰め合いなさい 1 主イエスご自身が天から下って来られる * 主イエスは 今は父なる神の右の座に座しておられる * 雲に包まれて天に上られた主イエスが戻って来られる ( 使 1:11) 2 号令がかかる これは 軍隊用語で サタンとの最後の戦いを暗示させる 3 御使いのかしらの声が響く これは 天使ミカエルのことである 4 神のラッパが鳴り響く 51 コリ 15:52 終わりのラッパとともに たちまち 一瞬のうちにです ラッパが鳴ると 死者は朽ちないものによみがえり 私たちは変えられるのです 6キリストにある死者が先ず甦る * キリストにある死者 とは 教会時代の聖徒たちである * 旧約時代の聖徒たちは 患難期の終わりに甦る ( ダニ 12:2) 7 次に 生き残っている者が 瞬時に携挙される 8 私たちは いつまでも主とともにいることになる * パウロは 自分が生存している間に携挙がある可能性を排除していない * 携挙された聖徒たちは 主イエスが整えた場所に行く ( ヨハ 14:2~3) 14 第 5 回 聖書フォーラムキャンプ

Ⅲ. 教えと適用 (4:1~5:24) * パウロにとっては 主イエスとともにいることの方が重要な事実である 9この教理の適用は 慰めである * こういうわけですから このことばをもって互いに慰め合いなさい 10 携挙や再臨の希望を語らないキリスト教は 聖書的キリスト教ではない C. 再臨への備え (5:1~11) 1. 主の日 (5:1~5) 5:1 兄弟たち それらがいつなのか またどういう時かについては あなたがたは私たちに書いてもらう必要がありません 5:2 主の日が夜中の盗人のように来るということは あなたがた自身がよく承知しているからです 5:3 人々が 平和だ 安全だ と言っているそのようなときに 突如として滅びが彼らに襲いかかります ちょうど妊婦に産みの苦しみが臨むようなもので それをのがれることは決してできません 5:4 しかし 兄弟たち あなたがたは暗やみの中にはいないのですから その日が 盗人のようにあなたがたを襲うことはありません 5:5 あなたがたはみな 光の子ども 昼の子どもだからです 私たちは 夜や暗やみの者ではありません 1 携挙について語ったパウロは 次に主の日について解説している * 主の日 とは 旧約聖書でよく使われる言葉で 神の裁きの日を指す * 新約時代に生きる私たちはこれを 大患難時代 ( 患難期 ) と呼んでいる 2 大患難時代がいつ来るかは誰にも分からない * クリスチャンは それが 夜中の盗人のように来る ということを知っている * 人々が油断して生活している時に来ることも知っている * それは 陣痛の苦しみが妊婦を襲うように突如やって来る 3キリストご自身がそう教えておられる ( 使 1:7) * 世の終わりを予告する人がいるなら その人の教えは聖書的とは言えない 4パウロは 信者と未信者とを対比させている * 信者は大患難時代を通過しない * 未信者は暗闇の中にいるので 主の日は盗人のように彼らを襲う * 信者は暗闇の中にいないので そうなることはない * 信者はみな 光の子ども 昼の子どもであり 夜や暗闇の者ではない 5クリスチャンの希望は 大患難時代を通過しなくてもよいということにある 2. 慎み深い歩み (5:6~11) 5:6 ですから ほかの人々のように眠っていないで 目をさまして 慎み深くしていましょう 5:7 眠る者は夜眠り 酔う者は夜酔うからです 5:8 しかし 私たちは昼の者なので 信仰と愛を胸当てとして着け 救いの望みをかぶととしてかぶっ て 慎み深くしていましょう 5:9 神は 私たちが御怒りに会うようにお定めになったのではなく 主イエス キリストにあって救い クリスチャンに与えられた希望 ~Ⅰ テサロニケから学ぶ ~ 15

中川健一 テサロニケ人への手紙第一 を得るようにお定めになったからです 5:10 主が私たちのために死んでくださったのは 私たちが 目ざめていても 眠っていても 主とともに生きるためです 5:11 ですから あなたがたは 今しているとおり 互いに励まし合い 互いに徳を高め合いなさい 1 未信者は眠っている * 霊的な目が開かれておらず 夢を見ているか 酔ったような状態にある 2 信者は 光の子ども となった * この世の人たちのような生き方をしなくなった 3パウロは 光の子としていかに歩むかの助言を与えている 4 眠っていないで 目を覚まして 慎み深くしているように * 不道徳の中で生活しないように 5 信仰と愛を胸当てとして着けるように * これは 闇の力と戦うためである 6 救いの望みをかぶととしてかぶるように * 文脈では 大患難時代から救われるという希望 * 敵の攻撃や誘惑に勝利する力となる 7 神の計画が私たちの上にある * 私たちが御怒り ( 大患難時代 ) に会うようにお定めになったのではない * 主イエス キリストにあって救いを得るようにお定めになった 8 目ざめていても 眠っていても の意味 * 目ざめているとは 霊的に健全な状態 ( グレイゴリューオウ 6 節と同じ ) * 眠っているとは 霊的に無関心な状態 ( カスュードウ 6 7 節と同じ ) * つまり 霊的に無関心の人でも 真に救われているなら携挙される * 信者としての褒章は 両者で異なる * 一度救われた人が 救いを失うことはない D. 教会生活 (5:12~15) 1. 指導者への態度 (5:12~13) 5:12 兄弟たちよ あなたがたにお願いします あなたがたの間で労苦し 主にあってあなたがたを指導し 訓戒している人々を認めなさい 5:13 その務めのゆえに 愛をもって深い尊敬を払いなさい お互いの間に平和を保ちなさい 1パウロはテサロニケの信者に 指導者を尊敬するようにと願っている * その前提に 霊的指導者は忠実に主の働きをしているという理解がある 2 指導者たちは信徒を指導し 訓戒し 教会を建て上げるわざに励んでいる * 彼らの忠実な働きによって 再臨を待ち望む信仰が育まれる 2. 互いに対する責任 (5:14~15) 16 第 5 回 聖書フォーラムキャンプ

Ⅲ. 教えと適用 (4:1~5:24) 5:14 兄弟たち あなたがたに勧告します 気ままな者を戒め 小心な者を励まし 弱い者を助け すべての人に対して寛容でありなさい 5:15 だれも悪をもって悪に報いないように気をつけ お互いの間で またすべての人に対して いつも善を行うよう務めなさい 1 教会生活は お互いに責任を持ち合う共同体生活 家族生活である 2 責任をすべて指導者に委ねるのではなく 互いに重荷を負い合うべきである 3 気ままな者を戒める * 気ままな者 とは 仕事にも就かずに 怠惰な生活を送っている者のこと 4 小心な者を励ます * 小心な者 とは 愛する者を失くした悲しみから立ち直れない者 * この世の迫害や誘惑に負けてしまう者など 5 弱い者を助ける * 弱い者 とは 信仰や聖書理解が弱い者 6すべての人に寛容であること 7 復讐するのではなく いつも善を行なうように励むこと E. 清い生活 (5:16~24) 1. 個人的生活 (5:16~18) 5:16 いつも喜んでいなさい 5:17 絶えず祈りなさい 5:18 すべての事について 感謝しなさい これが キリスト イエスにあって神があなたがたに望んでおられることです (1) いつも喜んでいなさい 1この喜びは キリストにある喜び 御霊による喜びである 2 喜びは 御霊の実 の 1 つである ( ガラ 5:22) 3この喜びは この世の人たちが味わう喜びとは根本的に異なる * 罪赦されたという確信から来る喜び * 永遠の命の希望があるという喜び * 再臨の主イエスに会うことができるという喜び * 一時的なものではなく いつまでも続く喜び (2) 絶えず祈りなさい 1 常に神に信頼する姿勢を教えたもの 2 何をするにも神の助けを求めるという習慣を育てるように 教えたもの 3 神の恵みがなければ 主の働きは何一つできないことを覚える (3) すべての事について 感謝しなさい クリスチャンに与えられた希望 ~Ⅰ テサロニケから学ぶ ~ 17

中川健一 テサロニケ人への手紙第一 1これは 不幸や悲劇をも感謝せよという意味ではない 2 感謝する対象は 神である 3どのような状況が襲ってきても 常に神に感謝することができる 4ともにいて 私たちを患難から救い出してくださる神に感謝することができる 5 神はすべてを益に変えてくださると信じるがゆえに 感謝することができる 2. 共同体としての生活 (5:19~22) 5:19 御霊を消してはなりません 5:20 預言をないがしろにしてはいけません 5:21 しかし すべてのことを見分けて ほんとうに良いものを堅く守りなさい 5:22 悪はどんな悪でも避けなさい (1) 御霊を消してはならない 1 御霊は 火 としてイメージされている 2 御霊の働きは 肉的な思いや不信仰によって消されていく (2) 預言をないがしろにしてはいけない 1 新約聖書が完結するまでは 預言の賜物の行使が必要であった 2 新約聖書の完成とともに 預言の賜物はなくなった 3この書簡の時代は 預言の賜物が行使されていた 4テサロニケの教会では その重要性が認識されていなかった * 携挙 再臨に関しても 人間の考え方が優先されていた可能性がある * 現代でも 啓示されたみことば以上に 人間の教えが重視されることがある (3) すべてのことを見分ける 1 預言の賜物を行使する人が現われた場合 それを見分ける必要がある 2 御霊の賜物だけでなく 文字通り万事を判別することが大切である (4) ほんとうに良いものを堅く守る 1 見分けた結果 それが聖書の教えと合致するなら それを堅く守る必要がある 2 御霊の賜物は ないがしろにするのも 無批判に受け入れるのも間違いである (5) 悪はどんな悪でも避ける 1 悪い預言だけでなく すべての悪を避けるということ 2 ここには 誤った教理も含まれる 3. 超自然的助け (5:23~24) 5:23 平和の神ご自身が あなたがたを全く聖なるものとしてくださいますように 主イエス キリスト 18 第 5 回 聖書フォーラムキャンプ

Ⅳ. むすび (5:25~28) の来臨のとき 責められるところのないように あなたがたの霊 たましい からだが完全に守られますように 5:24 あなたがたを召された方は真実ですから きっとそのことをしてくださいます (1) パウロは テサロニケのクリスチャンたちのために祈っている 1 彼らの聖化が完成するように 2そのことを為してくださるのは 平和の神ご自身 である (2) あなたがたの霊 たましい からだが完全に守られますように と祈っている 1 人間が 3 つの構成要素から成っていることを教えているのではない 2 聖書が教える人間性とは 不可分な統一体 である 3ここでは 人間存在のすべてが守られるようにという祈りになっている (3) 私たちをこの世から召し出された神は真実なお方である 1 約束されたこと ( 救いの完成 聖化の完成 ) を必ず成し遂げてくださる 2 私たちの救いの確かさは 真実な神にかかっている Ⅳ. むすび (5:25~28) A. 個人的願いと勧告 (5:25~27) 5:25 兄弟たち 私たちのためにも祈ってください 5:26 すべての兄弟たちに 聖なる口づけをもってあいさつをなさい 5:27 この手紙がすべての兄弟たちに読まれるように 主によって命じます (1) 今度はパウロが 祈りの要請をしている 1 彼は 執りなしの祈りがなければ 働くことができないことをよく知っている 2パウロは 謙遜な姿勢と神への信頼を表明している (2) 互いに兄弟愛を示すように 1この時代のこの文化では 聖なる口づけ が兄弟愛の表現法であった 2 文化的なものと普遍的なものとを見分ける 3 文化的なものの底にある普遍的真理を 私たちの生活の中で実践する (3) この手紙が諸教会でも読まれるように 1 神のことばは 隠しておくものではなく 言い広めるべきものである 2 この頃には 使徒の手紙が回状書簡として諸教会で読まれるようになっていた B. 祝祷 (5:28) クリスチャンに与えられた希望 ~Ⅰ テサロニケから学ぶ ~ 19

中川健一 テサロニケ人への手紙第一 5:28 私たちの主イエス キリストの恵みが あなたがたとともにありますように (1) パウロはこの手紙を 神の恵みを祈る祈りで終えている 1 神の恵みは イエス キリストを通して与えられる 2 神の恵みは 常に信者とともにある 3これは 信者がその事実をさらに深く知り 体験するようにという祈りである 20 第 5 回 聖書フォーラムキャンプ

無断複製 転載を禁じます 2014 年 7 月開催