資金循環統計(2016年1-3月期)

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2015 年 3 月 9 日 対外 対内証券投資の動向 (2015 年 2 月分 ) 投資信託委託会社等による対外証券投資が大幅増加 財務省の 対外及び対内証券売買契約等の状況 ( 指定報告機関ベース ) によると 2 月の対外証券投資は +2 兆 6,754 億円の取得超となり 前月の +2 兆

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1. 30 第 1 運用環境 各市場の動き ( 4 月 ~ 6 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは狭いレンジでの取引が続きました 海外金利の上昇により 国内金利が若干上昇する場面もありましたが 日銀による緩和的な金融政策の継続により 上昇幅は限定的となりました : 東証株価指数 (TOPIX)

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個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入状況

資金循環統計の改定値の公表について

第 1 四半期運用実績 ( 概要 ) 運用利回り +1.54% 収益率 ( ) ( 第 1 四半期 ) (+1.02% 実現収益率 ( )) 運用収益額 +3,222 億円 総合収益額 ( ) ( 第 1 四半期 ) (+1,862 億円 実現収益額 ( )) 運用資産残高 ( 第 1 四半期末 )

2018 年度第 3 四半期運用状況 ( 速報 ) 年金積立金は長期的な運用を行うものであり その運用状況も長期的に判断することが必要ですが 国民の皆様に対して適時適切な情報提供を行う観点から 作成 公表が義務付けられている事業年度ごとの業務概況書のほか 四半期ごとに運用状況の速報として公表を行うも

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1. 30 第 2 運用環境 各市場の動き ( 7 月 ~ 9 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは上昇しました 7 月末の日銀金融政策決定会合のなかで 長期金利の変動幅を経済 物価情勢などに応じて上下にある程度変動するものとしたことが 金利の上昇要因となりました 一方で 当分の間 極めて低い長

経済統計と日本経済 第1回:イントロダクション

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公的年金 運用益 15 兆円株上昇で過去最高昨年度 朝日新聞 2015 年 7 月 11 日 厚生年金と国民年金の積立金の運用益が2014 年度は15 兆 2922 億円に上った 積立金の自主運用を始めた01 年度以降の最高益を記録 昨年 10 月末に株式で運用する比率を高めたことが背景にある 年金

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2 / 5 ファンドマネージャーのコメント 現時点での投資判断を示したものであり 将来の市況環境の変動等を保証するものではありません < 運用経過 > ダイワ マネーアセット マザーファンドを組み入れることで 安定運用を行いました < 今後の運用方針 > 今後につきましても 安定運用を継続して行って

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貸出は積極的だが消費者向けの環境に変化

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(2) 資産構成割合の推移 ( 給付確保事業 ) 1 資産配分実績の基本ポートフォリオからの乖離の推移 2 実践ポートフォリオと資産配分実績の推移 3. 運用受託機関 平成 29 年 3 月末現在 2

個人投資家の参加拡大

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受益者の皆様へ 平成 28 年 2 月 15 日 弊社投資信託の基準価額の下落について 平素より弊社投資信託をご愛顧賜り 厚くお礼申しあげます さて 先週末 2 月 12 日 ( 金 ) 以下のファンドの基準価額が 前営業日の基準価額に対して 5% 以上下落しており その要因につきましてご報告いたし

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2018 年度第 3 四半期業績の概要 年 2 月 1 4 日 日本生命保険相互会社 Nippon Life Insurance Company

< 豪州債券市場の市況および今後の見通し > 2016 年の豪州債券市場では 金利が低下しました 年初から 2 月にかけては 中国株をはじめ世界の株式市場が下落するなど市場のリスク回避姿勢が強まる中 金利低下が進みました 1 月末に日銀のマイナス金利導入発表を受け 欧州など他国でもさらなる金融緩和期

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4月CPI~物価は横ばいの推移 耐久財の特殊要因を背景に、市場予想を上回る3 ヶ月連続の上昇

日本円単位型特別勘定月次運用レポート 単位型特別勘定の運用方針等 2018 年 12 月末現在 主として円建ての債券に投資することにより 満期時の所定の金額の確保を目指しながら 中長期的に高い投資成果をあげることを目標とします 基本保険金額と同額の成果を目指す 安定運用部分 と 株式市場の環境に応じ



目次 1 グループ概況 2 国内生命保険事業 3 業績見通し 参考 グループ各社の概況 1

目 次 1. 平成 27 年度 ( 平成 27 年 4 月 ~ 平成 28 年 3 月 ) における運用環境について 2. 平成 27 年度 ( 平成 27 年 4 月 ~ 平成 28 年 3 月 ) のポートフォリオ別の運用状況 3. ベンチマーク インデックスの推移 ( 参考 ) 被保険者ポート

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有償ストック・オプションの会計処理が確定

D /5 ラップ口座の一部の資金は 専用の国内公募投信で運用 されていないものの ラップ /SMA 専用ファンドの残高は 6 月末 時点で 4 兆 9,34 億円と投資顧問業協会のデータ (5 兆 7,596 億円 ) の 86% をカバーしていることから その資産クラス 別の資金動

国家公務員共済組合連合会 厚生年金保険給付積立金の令和元年度第 1 四半期運用状況 第 1 四半期末の運用資産額は 6 兆 7,376 億円となりました 第 1 四半期の収益額は 実現収益額が 512 億円 総合収益額が 128 億円となりました 第 1 四半期の収益率は 実現収益率 ( 期間率 )

順調な拡大続くミャンマー携帯電話市場


平成 21 年 9 月 5 日 角山智 投資環境レポート (2009 年 9 月 ) 1. 主な株価指数 8 月は 中国株が大幅に値下がりしました 反面 出遅れていた英国株が好調です 市場 日本株 日本新興市場 J-REIT 米国株 英国株 中国株 ( 指数 ) (TOPIX) (JASDAQ) (

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変額個人年金保険 ( 米ドル建 ) 特別勘定運用レポート 2019 年 2 月発行 (2019 年 1 月末基準 ) ~ ご案内 ~ < 特別勘定運用レポートについて> 当レポートは 特別勘定の運用概況や運用実績をお知らせするためのものです 当レポートは 変額個人年金保険 ( 米ドル建 ) の生命保

目次 平成 29 年度 第 2 四半期運用実績 ( 概要 ) P 2 平成 29 年度 市場環境 ( 第 2 四半期 ) 1 P 3 平成 29 年度 市場環境 ( 第 2 四半期 ) 2 P 4 平成 29 年度 退職等年金給付組合積立金の資産構成割合 P 5 平成 29 年度 退職等年金給付組合

( 平成 3 年 11 月 2 日 ) ユーロ / 円 ワイタ ーハ ント (25 日線 ) 3.% 7/ / ( 円 / ユーロ ) / / /15 7/13 8/1 9/7 1/5 11/

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企業年金における資産運用の状況 2015年度年次報告書.pdf

変容しつつある証券会社の収益構造

1. ETF の概要 株価指数などに連動した運用成績を目指す 取引所に上場している投資信託 全世界の資産残高 全世界で約 356 兆円と急拡大 国内の ETF 市場 国内投資信託全体の約 15% を占める 1 米ドル =120 円にて算出 単位 :10 億米ドル 3,000 単位 : 兆円 単位 :

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HIGHLIGHTS 2018 年の資金流入額は 3 年ぶりに 4 兆円超えも 株式相場低迷で年後半は失速 2019 年 1 月 31 日 Vol 年の ETF を除く追加型株式投信の純設定額が +4.1 兆円と 2017 年を上回り 3 年ぶりの高水準 タイプ別で見ると外国株式型が

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第 2 四半期運用実績 ( 概要 ) 運用利回り +0.09% 実現収益率 ( ) ( 第 2 四半期 ) 運用収益額 億円 実現収益額 ( ) ( 第 2 四半期 ) 運用資産残高 ( 第 2 四半期末 ) 357 億円 年金積立金は長期的な運用を行うものであり その運用状況も長期的に

企業活動のグローバル化に伴う外貨調達手段の多様化に係る課題

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先進国、新興国向けともに国際与信は増加

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(4) 資産運用の実績 ( 一般勘定 ) ア. 資産の構成 ( 単位 : 百万円 %) 金額占率金額占率 現預金 コールローン 394, , 買 現 先 勘 定 223, , 商 品 有 価 証 券 金 銭 の 信 託 有 価 証

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4. つみたてNISA 商品のおもな選定理由について (1) つみたてNISA は長期運用 資産分散 時間分散により 投資リスクを低減しながらリターンを目指す制度であることから 商品選定にあたっては 長期運用と資産分散の観点を重視しました (2) 複数の投資信託商品を購入いただき組合せるのではなく

お客さま用資料 ( 全 7 頁 ) 日本株式投資の魅力 中長期では連動性がある日経平均株価と為替 日経平均株価は 2018 年 1 月 23 日には 約 26 年ぶりに終値で 24,000 円台に乗せ 日本株の強さが目立ちました その後 欧米のインフレ懸念から長期金利が上昇したことなどから 世界同時

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退職貯蓄はリスク性の長期資金

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CONTENTS Nomura Fund August / September vol

1. 平成 29 第 2 運用環境 各市場の動き ( 7 月 ~ 9 月 ) 国内債券 : 日銀の金融緩和が継続される中 期初から 9 月上旬にかけては 北朝鮮のミサイル発射や核実験に伴う地政学的リスクの高まりなどから 10 年国債利回りは一時的にマイナスまで低下しました その後 株価指数の上昇 円

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金融資本市場 216 年 6 月 27 日全 12 頁 資金循環統計 (216 年 1-3 月期 ) マイナス金利政策が導入された今期 どのような影響が表れたか? 1 金融調査部 [ 要約 ] 日本銀行 ( 以下 日銀 ) から 216 年 1-3 月期の資金循環統計 ( 速報 ) が公表された マイナス金利政策が導入された今期 各主体の投資行動にどのような変化をもたらした のかが注目される 家計の金融資産は 株式等 現預金 投資信託を中心に減少した マイナス金利政策導入の影響による預金金利の引き下げ後も家計資産のポートフォリオに占める現預 金の割合は微増となっている 預金取扱機関 ( 銀行等 ) は これまで同様に国債の売却を進める一方 貸出や対外証券投資といったリスク資産を増やして ( 買い越して ) いるが 依然として現預金の積み上 がる状況が続いている マイナス金利政策の導入当初の段階としては ポートフォリオ リバランスの促進効果は発現していないと言える 生命保険の金融資産は 金利低下による国債やの時価上昇を要因に増加 した 前期に引き続き 対外証券投資は フローともにプラスとなった 年金 ( 年金基金と公的年金の合計 ) の金融資産は 株価下落の影響により減少した 一方 フローの動向からは 債券を売却し 株式等や対外証券などのリスク資産を買い 増す動きが引き続き確認された 事業会社 ( 民間非金融法人企業 ) の金融資産は 株価下落と円高進行により減少に転じた 一方 現預金は 3 四半期連続で過去最高を更新している 資金調達を見る と 借入 事業債 株式等いずれもマイナスであり マイナス金利政策が導入されたも のの 企業の資金需要は盛り上がりに欠けていることがうかがわれる 海外部門の金融資産は 株価下落による評価額減少の影響を受けて 減少した フ ローでは 株式等 国債 が売り越しとなった一方 貸出 現預金が買い越 しとなっている 1 執筆者は 中里幸聖 佐川あぐり 菅谷幸一 中田理惠 森駿介 株式会社大和総研丸の内オフィス 1-6756 東京都千代田区丸の内一丁目 9 番 1 号グラントウキョウノースタワー このレポートは投資勧誘を意図して提供するものではありません このレポートの掲載情報は信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが その正確性 完全性を保証するものではありません また 記載された意見や予測等は作成時点のものであり今後予告なく変更されることがあります 大和総研の親会社である 大和総研ホールディングスと大和証券 は 大和証券グループ本社を親会社とする大和証券グループの会社です 内容に関する一切の権利は 大和総研にあります 無断での複製 転載 転送等はご遠慮ください

2 / 12 1. 主体別動向 (1) 家計 家計金融資産は株式を中心に減少 家計の金融資産は 1,75.5 兆円 ( 前期比 34.7 兆円 ) となった ( 図表 1) が減少した主な項目は株式等 ( 同 15.3 兆円 ) 現預金( 同 9.3 兆円 ) 投資信託( 同 4.3 兆円 ) である 株式等および投資信託に関しては フローは各々 +.7 兆円 兆円となっていることから の減少は主に年初からの中国の景気減速懸念等を受けた国内外の市場の動揺による株価の値下がりに起因するものであろう 現預金に関してはそもそも 賞与月が含まれない 1-3 月期はが前期比で減少しやすい時期である なお 今年 1 月よりマイナス金利政策が導入され 大手行による預金金利の引き下げが発表されたが 家計金融資産全体に占める現預金の割合は前期比 +.5%pt の微増となっている 図表 1 家計の金融資産の状況 (216 年 1-3 月期 )( 左図 : フロー等 右図 : ) -4-3 -2-1 1 金融資産 -34.7-13.4 現金 預金 -9.3-9.3 債券 -.2.5 株式等 -15.3.7 投資信託 -4.3 - 保険 年金 定型保証 -.6.4 対外証券投資.2.6 ( 参考 ) 投資計 -19. 1.1 増減 フロー ( 資金純投入 ) 合計 1,75.5 1. 現金 預金 893.6 52.4 (.5) 債券 22. 1.3 () 株式等 152.9 9. (.7) 投資信託 92. 5.4 ( ) 保険 年金 定型保証 59.4 29.9 (.6) 対外証券投資 9.3.5 (.) その他 26.4 1.5 (.3) ( 参考 ) 投資計 276.2 16.2 (.8) ( 注 ) 増減は前期比で価格変動を含めた数値 ( 以降の図表において全て同じ ) 債券は国債 地方債 政府関係機関債 金融債 事業債を含む 投資計は債券 投資信託 株式等 対外証券投資の合計 (2) 中央銀行 ( 日銀 ) マイナス金利政策の影響により 国債は前期比で過去最大の増加額 中央銀行の金融資産は 貸出 ( 前期比 2.5 兆円 ) 株式等 ( 同.3 兆円 ) が減少した 一方 国債 2 の増加 ( 同 +33.1 兆円 うち国債 財投債同 +28.8 兆円 国庫短期証券同 +4.3 兆 円 ) を主因に 全体で前期比増加額が過去最大の +29.8 兆円となり 43.7 兆円となった ( 図 2 国債は国債 財投債と国庫短期証券の合計値

3 / 12 表 2) 国債増加の背景には 一連の緩和政策に加え マイナス金利政策導入による金利低下 ( 債券価格の上昇 ) が挙げられる 金融資産も過去最高を更新した なお 216 年 6 月 1 日時点における日銀の資産構成 ( 日本銀行 営業毎旬報告 による ) は 長期国債 323.3 兆円 国庫短期証券 5.6 兆円 貸付金 32.2 兆円 信託財産指数連動型上場投資信託 (ETF)8.2 兆円 信託財産不動産投資信託 (J-REIT).3 兆円 総資産 429.3 兆円となっている 図表 2 中央銀行の金融資産の状況 (216 年 1-3 月期 )( 左図 : フロー等 右図 : ) 金融資産 国庫短期証券 国債 財投債 貸出 -2.5-2.5 株式等 対外証券投資 -5 5 1 15 2 25 3 -.3 -.3 -.3 -.2 -.. 4.3 4.3 19.1 21.5 増減フロー ( 資金純投入 ) 金融資産 43.7 1. 貸出 35.4 8.2 ( 1.2) 国庫短期証券 47.3 11. (.3) 国債 財投債 317.1 73.6 (1.7) 5.1 1.2 (.2) 株式等 2.6.6 ( ) 対外証券投資 4.4 1. ( ) その他 18.7 4.3 (.3) ( 注 ) は地方債 政府関係機関債 金融債 事業債 居住者発行外債 CP の合計 ( 以降の図表において全て同じ ) 29.8 28.8 (3) 預金取扱機関 ( 銀行等 ) 貸出 対外証券投資などが増加する一方 依然として現預金の積み上がりが続く 預金取扱機関の金融資産は 前期比 +32.6 兆円の 1,837.6 兆円となった ( 図表 3) 資産の増加は 現金 預金 ( 同 +2 兆円 ) 貸出( 同 +15.1 兆円 ) 国債( 同 +2.2 兆円 ) ( 同 +2.5 兆円 ) 対外証券投資( 同 +.9 兆円 ) などが増加に寄与した 一方 株式等は 株価下落の影響を受けて 同 8.3 兆円の減少となった 国債 (239.4 兆円 国債 財投債 (232.3 兆円 ) および国庫短期証券 (7.1 兆円 ) の合計 ) については 日銀の買い入れオペにより フローでは 7. 兆円の売り越しとなった 一方 マイナス金利政策の導入の影響により 金利低下が一層加速したことから それに伴う時価上昇分が売り越し分を上回る形で は 12 四半期ぶりに増加に転じた なお 国債の売却代金は 日銀当座預金に積み上がっている ( 日銀預け金は前期比 +22.4 兆円増加で 16 四半期連続増加 ) これにより 現金 預金は 14 四半期連続で増加している 貸出は 前期比 +15.1 兆円と 3 四半期連続で増加した 貸出のフローは+18.7 兆円であることから 海外向けの貸出のうち外貨建てが円高により目減りしたものと考えられる また 海

4 / 12 外部門への貸出について 海外部門における負債を見ると 民間金融機関からの借入は 66.5 兆円 ( 同 6.4 兆円 ) と減少に転じ ( 図表 4) フローでも 3.6 兆円の流出超 ( 借入減少 ) となった 以上のように 預金取扱機関は これまで同様に日銀の買いオペに応じて国債の売却を進める一方 貸出や対外証券投資といったリスク資産を増やして ( 買い越して ) いるが 現金 預金が積み上がる状況が依然として続いている マイナス金利政策の導入からわずかしか経っていないため その効果を見極めることはできないが 導入当初の段階としては ポートフォリオリバランスの促進効果は発現していないと言える 図表 3 預金取扱機関の金融資産の状況 (216 年 1-3 月期 )( 左図 : フロー等 右図 : ) 金融資産 現金 預金 貸出 国債 -7. -8.3 株式等 対外証券投資 -1 1 2 3 4 5 2.2 2.5 2.5.9 4. 2 2.2 15.1 18.7 32.6 増減フロー ( 資金純投入 ) ( 注 ) 国債は国債 財投債と国庫短期証券の合計値 43.3 項目 金融資産 1,837.6 1. 現金 預金 431.3 23.5 (.7) 貸出 74.2 4.3 () 国債 239.4 13. ( ) 123.7 6.7 (.) 株式等 28.2 1.5 (.5) 対外証券投資 113.3 6.2 ( ) その他 161.5 8.8 (.2) 図表 4 海外部門の民間金融機関からの借入推移 8 7 6 5 4 3 2 1 1997/12 2/12 23/12 26/12 29/12 212/12 215/12 ( 年 / 月末 )

5 / 12 (4) 生命保険 マイナス金利政策導入により 対外証券投資への資金シフトが加速していく可能性 生命保険の金融資産は 前期比 +1. 兆円の 367.3 兆円となり 2 期連続の増加となった ( 図表 5) 金融資産が増加した主な要因は 国債( 同 +1.4 兆円 ) および ( 同 +3.2 兆円 ) の増加である ただし これらをフローで見ると 国債は+.4 兆円 は+.6 兆円の取得超にそれぞれ留まることから 金利低下による時価上昇の影響が大きかったことがうかがえる なかでも国債については 金融資産全体におけるが 45% 超と高く さらに国債金利が長期ゾーンに至るまでマイナスを付けるなど金利低下が急速に進んだことでを大きく押し上げたと言える この他の資産では 対外証券投資 ( 前期比 +1.6 兆円 ) や現金 預金 ( 同 +1.6 兆円 ) が増加した一方 貸出 ( 同 3.8 兆円 ) や株式等 ( 同 2.7 兆円 ) は減少となった 対外証券投資については フローでは+3.2 兆円の取得超であることから 円高による時価下落の影響によりの増加を一部相殺したと思われる また 株式等については フローでは+ 兆円と わずかながら流入超となっており 減少は株安によるものと考えられる 以上のように 急速に進んだ金利低下を受けて 国債やの時価上昇を主な要因に金融資産は増加したが 一方でインカムゲインをより期待しづらい状況になってきたと言える 対外証券投資は 為替リスクまたはそのヘッジコストなどを伴うものの 国内債券に比べて相対的に高い運用利回りを期待できることから 近年は増加 ( 取得超 ) の傾向が見られた 今後もこのような動きが継続する可能性が考えられるが 金利低下や円高がさらに進めば こうした傾向が強まることも考えられよう 図表 5 生命保険の金融資産の状況 (216 年 1-3 月期 )( 左図 : フロー等 右図 : ) 金融資産 現金 預金 貸出 -3.8-3.9 国債 株式等 -2.7 対外証券投資 -5.. 5. 1. 15. 1.6 1.6 1. 1.4 増減フロー ( 資金純投入 ) ( 注 ) 国債は国債 財投債と国庫短期証券の合計値.4.6 2. 3.2 1.6 3.2 金融資産 367.3 1. 現金 預金 6. 1.6 (.4) 貸出 4. 1.9 ( 1.4) 国債 166.6 45.3 (1.6) 43.4 11.8 (.6) 株式等 17.8 4.8 (.9) 対外証券投資 67.5 18.4 ( ) その他 26.1 7.1 (.3)

6 / 12 (5) 年金 リスク性資産への資金流入が続くが 株価下落の影響により金融資産は減少 年金基金と公的年金を合わせた年金計の金融資産は 364.2 兆円 ( 前期比 1.2 兆円 ) となった ( 図表 6) なお フローは+1.7 兆円であった 増減の内訳は 財政融資資金預託金 ( 同 +3.3 兆円 ) 国債 財投債( 同 +1.7 兆円 ) 等が増加した 一方で 株式等 ( 同 2.8 兆円 ) 投資信託( 同.6 兆円 ) が減少し 全体では減少となった フローでは 国債 財投債 ( 1.6 兆円 ) (.5 兆円 ) がマイナスとなった 一方で 財政融資資金預託金 (+3.3 兆円 ) 株式等 (+1.6 兆円 ) 対外証券投資 (+1.4 兆円 ) などがプラスとなり 全体のフローは+1.7 兆円となった については 株価下落による資産価格変動の影響を受け 株式等のが減少したが 金利低下による債券価格の上昇により 金融資産の減少幅は 1.2 兆円に留まったと言える また フローの動向からは 216 年 1-3 月期も 債券を売却し 株式等や対外証券などのリスク資産を買い増す動きが続いていたことが読み取れる ポートフォリオの再構築が 引き続き進められていたと言える 図表 6 年金の金融資産の状況 (216 年 1-3 月期 )( 左図 : フロー等 右図 : ) 金融資産 現金 預金 財政融資資金預託金 貸出 国債 財投債 株式等 投資信託 対外証券投資 -4-2 2 4-1.2-1.6. -.5-2.8 -.6..5.5 1.7.3 1.7 1.6 1.4 増減フロー ( 資金純投入 ) 3.3 3.3 ( 注 ) 年金基金と公的年金を合わせた年金計 項目 金融資産 364.2 1. 現金 預金 14. 3.8 (.) 財政融資資金預託金 11.9 3.3 (.9) 貸出 8.8 2.4 (.2) 国債 財投債 87.1 23.9 (.5) 32.6 8.9 (.) 株式等 53.1 14.6 (.7) 投資信託 1.8 3. (.2) 対外証券投資 92.1 25.3 (.2) その他 53.8 14.8 (.9) (6) 民間非金融法人企業 ( 事業法人 ) 株価下落と円高進行により金融資産が減少 資金需要は盛り上がりに欠ける民間非金融法人企業の金融資産は 1,93.7 兆円 ( 前期比 17.8 兆円 ) と減少となった ( 図表 7) 減少の主な要因は株式等( 同 28.5 兆円 ) の減少であり その他 企業間 貿易信用 ( 同 1.8 兆円 ) 対外直接投資( 同 1.3 兆円 ) が減少している 株式等はフローでは+.2

7 / 12 兆円であり 前期末比で株式相場が下落したことが減少の主因である 企業間 貿易信用はフローで 4.8 兆円 対外直接投資は+3.2 兆円となっている 対外直接投資の減少は この期間の円高による評価減によるものである 現金 預金のは 261.4 兆円 ( 前期比 +16.6 兆円 ) と 3 四半期連続で過去最高を更新しており 高水準の現金 預金を保有している状態が続いている 金融負債 ( 資金調達 ) を見ると フローで借入が.9 兆円 ( うち民間金融機関からの借入 +.4 兆円 ) 事業債が 1.5 兆円 株式等は 2.2 兆円となった 資金運用と資金調達の差 ( 資金過不足 ) は 17.5 兆円の資金余剰となった マイナス金利が導入されたものの 216 年 3 月時点までの企業の資金需要は盛り上がりに欠けていることがうかがわれる 図表 7 民間非金融法人企業の金融資産の状況 (216 年 1-3 月期 )( 左図 : フロー等 右図 : ) 金融資産現金 預金貸出株式等対外証券投資対外直接投資企業間 貿易信用 -3-2 -1 1 2-17.8 1.1 16.6 16.6 3.6-28.5 4.1.2 2.2 1.8-1.3 3.2-1.8-4.8 増減フロー ( 資金純投入 ) 項目 金融資産 1,93.7 1. 現金 預金 261.4 23.9 (1.9) 貸出 5.4 4.6 (.4) 株式等 276.3 25.3 ( 2.2) 対外証券投資 52.9 4.8 (.3) 対外直接投資 18.1 9.9 (.) 企業間 貿易信用 223.3 2.4 (.2) その他 121.3 11.1 (.6) (7) 海外 海外主体の金融資産は 株価下落の影響から減少 海外部門の金融資産は 576.9 兆円 ( 前期比 22.8 兆円 ) と 減少に転じた ( 図表 8) なお フローは+3.8 兆円であった 増減の内訳は 株式等 ( 前期比 34.8 兆円 ) が減少したが その他 ( 未収 未払金やその他対外債権債務等 同 +1.7 兆円 ) 国債( 同 +1.2 兆円 ) と増加し 全体として同 22.8 兆円の減少となった また 一方で フローでは 株式等 ( 6.1 兆円 ) がマイナスとなったが その他 (+6. 兆円 ) 貸出(+3.9 兆円 ) 現金 預金(+1.1 兆円 ) がプラスとなり 金融資産全体で+3.8 兆円とプラスであった なお 国債は.4 兆円の処分超となったが その内訳を見ると 国庫短期証券が 1.8 兆円のマイナスとなった一方 国債 財投債は+1.5 兆円のプラスとなっている

8 / 12 金融資産が減少した主な要因は 株式等が減少 ( 前期比 34.8 兆円 ) したことである 株式等のフローが 6.1 兆円であったことから見ても 株価下落による評価額の減少が大きく影響したと言えよう 株式市場の投資部門別売買状況 ( 二市場一部 二部等 ( 東証と名証 ) 出所: 東京証券取引所 ) を見ると 外国人投資家は 216 年 1-3 月の 3 ヵ月間で 5. 兆円を売り越した 4-5 月は 4 月が.9 兆円の買い越し 5 月が.3 兆円の売り越しと 売買が交錯している 英国の欧州連合 (EU) からの離脱問題などを背景に 国内外の株式相場が大きく変動する中 外国人投資家の売買動向は 方向感の欠けた状況と言えるだろう 図表 8 海外部門の金融資産の状況 (216 年 1-3 月期 )( 左図 : フロー等 右図 : ) -4-3 -2-1 1 2 金融資産 -22.8 3.8 現金 預金.8 1.1 貸出 -.2 国債 -.4 3.9 1.2 -.9 -.9-34.8 株式等 -6.1 投資信託.4 その他 1.7 6. 増減 フロー ( 資金純投入 ) 金融資産 576.9 1. 現金 預金 9.9 1.7 (.2) 貸出 158. 27.4 (1.) 国債 19.6 19. (.9) 16.2 2.8 (.) 株式等 176. 3.5 ( 4.6) 投資信託 2.6.4 () その他 14.5 18.1 (2.5) 2. 金融資産別の動向 (1) 国債 財投債 預金取扱機関は引き続き売り越しだが マイナス金利突入では増加 国債 財投債のは 955. 兆円 ( 前期比 +45.1 兆円 ) で 11 四半期連続で増加し 過去最高更新が続いている ( 図表 9) 主体別保有を見ると 中央銀行( 同 +28.8 兆円 ) が引き続きを大きく増やし 保険 ( 同 +12.2 兆円 ) 海外( 同 +3. 兆円 ) もを増やしている これらの主体はフローでもプラスとなっており 特に中央銀行は+19.1 兆円と大きく買い越している 一方 預金取扱機関 ( 前期比 +3.6 兆円 ) 年金計( 同 +1.7 兆円 ) などもが増えているが フローでは預金取扱機関 5.6 兆円 年金計 1.6 兆円と売り越しており マイナス金利政策導入による金利低下 ( 債券価格は上昇 ) の影響が大きいとみられる 日銀の一連の緩和政策を受け 中央銀行は継続して国債買い入れを行っており 預金取扱機関を中心にその他の主体が売り手となっている状況が続いてはいるが マイナス金利突入という金利低下の一層の進行により 時価ベースのは全体として増加傾向となった 中央銀行の保有の増加は 21 年 3 月末から 25 四半期連続であり 特に 213 年 6 月末以

9 / 12 降は毎四半期 1~2 兆円台の増加が継続している 213 年 4 月に量的 質的金融緩和を導入する直前 (213 年 3 月末時点 ) の中央銀行の保有シェアは 11.6% であったが 215 年 9 月末時点に預金取扱機関を抜いて保有シェアトップとなり 216 年 3 月末は 33.2% となった 一方 預金取扱機関は 213 年 3 月末の 38.9% から 216 年 3 月末の 24.3% へと保有シェアを大幅に低下させている 図表 9 国債 財投債の主体別保有状況 (216 年 1-3 月期 )( 左図 : フロー等 右図 : ) 国債 財投債計 中央銀行 預金取扱機関 保険 年金計 その他金融機関 非金融法人企業 一般政府 ( 除く公的年金 ) 家計 海外 -2 2 4 6-5.6-1.6-4.5-5.3 - -.3. -.3 7.9 28.8 3.6 19.1.4 1.7.2 3. 1.5 12.2 増減フロー ( 資金純投入 ) 45.1 ( 注 ) 国債 財投債計は 国庫短期証券を含まない 年金計は 年金基金と公的年金を含む その他金融機関の数値は金融機関合計から中央銀行 預金取扱機関 保険 年金基金を減じたもの 項目 保有シェア 国債 財投債計 955. 1. 中央銀行 317.1 33.2 (1.5) 預金取扱機関 232.3 24.3 (.8) 保険 21.2 22. (.2) 年金計 87.1 9.1 (.3) その他金融機関 31.3 3.3 (.7) 非金融法人企業 5.8.6 (.) 一般政府 ( 除く公的年金 ) 2.5.3 (.) 家計 13.8 1.4 ( ) 海外 5.8 5.3 () その他 4.2.4 (.) (2) 株式 海外部門は 5 兆円の売り越し 株式 ( ここでは上場株式に限定し 出資金は含まず ) のは 前期比 72.7 兆円の 517.2 兆円となった ( 図表 1) 各主体の減少額を見ると 海外( 同 27.9 兆円 ) 民間非金融法人企業 ( 同 13.4 兆円 ) 家計( 同 1.7 兆円 ) 国内銀行( 同 8.5 兆円 ) 等 全主体においてが減少している フローを見ると 全体では 1. 兆円となっており の減少は主に株価の下落に起因している 主体別では海外 ( 5. 兆円 ) が統計改訂値で遡ることのできる 25 年 4-6 月期以降最大の売り越し額を記録した その他 国内銀行 (.7 兆円 ) 民間非金融法人企業(.5 兆円 ) 等が売り手となっている 一方で 年金計 (+1.7 兆円 うち公的年金 +1. 兆円 ) その他金融機関 (+1.5 兆円 ) 家計(+1.5 兆円 ) 等が買い手となった なお 年金計の約 6 割は公的年金によるものであることから 年金積立金管理運用独立行政法人 (GPIF) が株式保有を

1 / 12 増やしている可能性が示唆される 3 216 年 4-6 月期においては 外国人投資家は買い越しに個人投資家は売り越しに転じる可能性がある 株式市場の投資部門別売買状況 ( 二市場一部 二部等 ( 東証と名証 ) 出所: 東京証券取引所 ) によれば 216 年 4 月から 6 月第 2 週までの間 外国人投資家が+6,12 億円の買い越し 個人が 6,23 億円の売り越しとなっている なお 年金は明らかではないが 年金等から株式売買を受託している信託銀行の売買状況は+4,574 億円の買い越しとなっている 図表 1 株式 ( 上場 ) の主体別保有状況 (216 年 1-3 月期 )( 左図 : フロー等 右図 : ) 上場株式計 -72.7 国内銀行生命保険損害保険年金基金公的年金投資信託その他金融機関民間非金融法人企業家計海外 -8-7 -6-5 -4-3 -2-1 1-27.9-1. -8.5 -.7-2.7-1. -. -2..7 -.8 1. -1.5.4-1.5 1.5-13.4 -.5-1.7 1.5-5. 増減フロー ( 資金純投入 ) 海外 158. 3.6 ( 1.) ( 注 ) 主要な主体を取り上げた 公的年金 は金融機関に含まれないが 便宜上 年金基金の次に表示した なお 文中の 年金計 は 年金基金および公的年金の合計 図表 11 株式 ( 上場 ) の主体別保有シェア推移 保有シェア 株式計 517.2 1. 国内銀行 15.6 3. ( 1.1) 生命保険 17.5 3.4 (.) 損害保険 7.1 1.4 (.) 年金基金 11.9 2.3 ( ) 公的年金 39.8 7.7 (.8) 投資信託 31.9 6.2 (.5) その他金融機関 27.8 5.4 (.4) 民間非金融法人企業 11.8 19.7 () 家計 88.2 17. (.3) 35 3 25 2 15 1 5 25/3 27/3 29/3 211/3 213/3 215/3 ( 年 / 月末 ) ( 注 ) 年金計は 年金基金と公的年金の合計 海外 民間非金融法人企業家計 年金計 生保 損保 国内銀行 投資信託 その他 3 公的年金は年金保険を運営する公的年金として 国の特別会計の一部等 ( 年金特別会計 厚生年金勘定 同 国民年金勘定 同 基礎年金勘定 年金積立金管理運用独立行政法人 < 総合勘定 承継資金運用勘定 >) 共済年金 ( 共済組合の長期計理 ) 農業者年金基金 ( 旧年金勘定 ) 石炭鉱業年金基金が集計対象となっている なお 公的年金部門が保有する上場株式は 215 年 12 月末時点で 4.6 兆円だが 年金積立金管理運用独立行政法人の同時点の国内株式運用資産額は 32.6 兆円であり その大半を占めている

11 / 12 (3) 対外証券投資 対外証券投資は非金融法人企業 保険 預金取扱機関で増加 対外証券投資は 548.5 兆円 ( 前期比 2.8 兆円 ) と減少となった ( 図表 12) の減少は前期末比で為替が円高になったことや 証券価格の下落等の影響によるものとみられ フローで見ると対外証券投資は合計 +11.9 兆円の取得超である 主体別に見ると一般政府の対外証券投資が最も大きく減少しており ( 前期比 7. 兆円 ) 次いで証券投資信託( 同 1.1 兆円 ) となっている 各主体がどのような資産に投資をしたか 国際収支統計 ( 対外証券投資 ) の資産別 ( 株式 投資ファンド持分 中長期債 短期債 ) の資金フローから確認したい 4 216 年 1-3 月期においては 預金取扱機関は中長期債 (+3.7 兆円 ) を 証券投資信託 ( 投資信託委託会社等 ) は株式 投資ファンド持分 (+1.6 兆円 ) を 年金基金と公的年金 ( 国際収支統計では年金という分類は設けていないため ここでは信託銀行の信託勘定の数値を用いる ) は株式 投資ファンド持分 (+1.4 兆円 ) と中長期債 (+.9 兆円 ) を 生命保険は中長期債 (+3.3 兆円 ) への投資を それぞれ増やしたようだ 5 図表 12 対外証券投資の主体別保有状況 (216 年 1-3 月期 )( 左図 : フロー等 右図 : ) -1-5 5 1 15 合計 -2.8 11.9 預金取扱機関.9 4. 保険 2.4 3.9.4 年金基金 1.5 証券投資信託 -1.1 その他金融 -.7 -.5 2.2 非金融法人企業 2.2 1.8-7. 一般政府 -1.5 家計.2.6 増減 フロー ( 資金純投入 ) 対外証券投資計 548.5 1. 預金取扱機関 113.3 2.7 (.3) 保険 77.1 14.1 (.5) 年金基金 32.7 6. () 証券投資信託 79.7 14.5 ( ) その他金融 7.2 1.3 ( ) 非金融法人企業 53.1 9.7 (.4) 一般政府 176.2 32.1 ( 1.1) 家計 9.3 1.7 (.) 4 資金循環統計と国際収支統計の数値は 集計方法の違いなどから完全に一致するものではない 5 いずれもネットの数値

12 / 12 < 参考図表 > 主体別金融資産 1 家計 2, 1,8 1,6 1,4 その他対外証券投資株式等 2 中央銀行 5 45 4 35 その他対外証券投資 1,2 1, 8 6 4 2 25/3 27/9 21/3 212/9 215/3 投資信託国債貸出現金 預金 3 25 2 15 1 5 25/3 27/9 21/3 212/9 215/3 国債貸出 3 預金取扱機関 2, 4 生命保険 4 1,8 1,6 1,4 1,2 1, 8 6 4 2 その他対外証券投資株式等国債貸出現金 預金 35 3 25 2 15 1 5 その他対外証券投資株式等国債貸出現金 預金 25/3 27/9 21/3 212/9 215/3 25/3 27/9 21/3 212/9 215/3 5 年金計 4 その他 対外証券投資 6 民間非金融法人企業 1,2 35 3 25 2 15 1 5 25/3 27/9 21/3 212/9 215/3 投資信託 株式等 国債 貸出 財政融資資金預託金現金 預金 1, 8 6 4 2 25/3 27/9 21/3 212/9 215/3 その他企業間 貿易信用対外直接投資対外証券投資株式等国債貸出現金 預金 7 海外 6 5 その他 4 株式等投資信託 3 2 国債貸出 1 現金 預金 25/3 27/9 21/3 212/9 215/3 ( 注 )28SNA ベース 国債は国債 財投債と国庫短期証券の合計 その他は主体ごとに 金融資産の合計から各記載項目のを減じた値となっている