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今後検討すべき課題について 日本経済団体連合会社会保障委員会年金改革部会長代理小林由紀子 2019 年 3 月 19 日 1

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平成 29 年 1 月度実施実技試験 ( 保険顧客資産相談業務 ) 73

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日本再興戦略 改訂 2015 平成 27 年 6 月 30 日に閣議決定された 日本再興戦略 改訂 2015 においては 企業が確定給付企業年金を実施しやすい環境を整備するため 確定給付企業年金の制度改善について検討することとされている - 日本再興戦略 改訂 2015( 平成 27 年 6 月 3

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1. 指定運用方法の規定整備 今般の改正により 商品選択の失念等により運用商品を選択しない者への対応として あらかじめ定められた指定運用方法 に係る規定が整備されます 指定運用方法とは 施行日(2018 年 5 月 1 日 ) 以降 新たに確定拠出年金制度に加入された方が 最初の掛金納付日から確定拠

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Ⅰ. 厚生年金基金の取扱について 1. 残余財産の分配について (1) 分配の有無 Q1: 代行部分返納後に残余財産があれば 基金の上乗せ部分に係る 分配金 として 加入者 受給待期者 受給者に分配することになりますが 現時点および最終時点で残余財産はいくらになりますか? A1: 仮に平成 27 年

平成 31 年 3 月 19 日 公益社団法人日本年金数理人会 企業年金制度の普及および改善に関する提言 1. はじめに 我が国では 平均寿命 健康寿命が延伸を続け高齢期の長期化が見込まれており 定年延長や雇用延長による高齢者の就労が進みつつあるが 少子高齢化による労働人口の減少に伴い高齢者の就労は

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確定拠出年金制度に関する改善要望について

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みずほインサイト 政策 2018 年 10 月 18 日 ideco 加入者数が 100 万人超え加入率引き上げへさらなる制度見直しを 政策調査部上席主任研究員堀江奈保子 naoko. ideco( 個人型確定拠出年金 ) の加入

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ご自身の加入限度額は? 加入条件 お さまの 性 自 者 年金 者種 1 者 に確定 年金や 確定拠出年金 ( 型 ) がない 確定拠出年金 ( 型 ) に加入している 2 者 加入できる 確定 年金がある 者 基本的には 60 歳未満のすべての方 にご加入いただけます 国民年金を免除されている方等

確定給付企業年金 DBパッケージプランのご提案

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厚生年金基金から残余財産の交付を受けた DB の加入員期間の期間算入 解散した厚生年金基金の残余財産の交付を受けて DB を新設する際に 以下のように 解散日から DB の設立までの期間が数日空くケースが考えられる 法令上 このような取扱いはできない < 例 > 平成 27 年 9 月 28 日厚生

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将来返上認可 過去返上認可 6 基金 解散認可 1 基金 一括納付による解散である 3 指定基金制度ア概要年金給付等に要する積立金の積立水準が著しく低い基金を 厚生労働大臣が指定します この指定された基金に対して 5 年間の財政健全化計画を作成させ これに基づき事業運営を行うよう重点的に指導すること

移換手続きの手引き (60 歳前に企業型 DC のある企業をご退職されたお客さまへ ) この資料では 確定拠出年金を DC (Defined Contribution) と記載しています 北陸銀行 平成 30 年 4 月現在

問題 2A 1 一〇五 % 2 いずれにも該当しない 3 〇 九 4 一五〇 % 5 一〇五 % 6 解散計画等 以下の同意が必要である 交付の申出に係る残余財産を分配すべき解散基金加入員等が使用される設立事業所の 事業主の全部 当該設立事業所に使用される厚生年金基金の加入員の二分の一以上の者 (

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年金制度の体系 現状 ( 平成 26 年 3 月末現在 ) 加入員数 48 万人 加入者数 18 万人 加入者数 464 万人 加入者数 788 万人 加入員数 408 万人 国民年金基金 確定拠出年金 ( 個人型 D C ) 確定拠出年金 ( 企業型 DC) 厚生年金保険 被保険者数 3,527

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女性が働きやすい制度等への見直しについて

表 2 イ特別支給の老齢厚生年金老齢厚生年金は本来 65 歳から支給されるものです しかし 一定の要件を満たせば 65 歳未満でも 特別支給の老齢厚生年金 を受けることができます 支給要件 a 組合員期間が1 年以上あること b 組合員期間等が25 年以上あること (P.23の表 1 参照 ) c

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退職後の医療保険制度共済組合の年金制度退職後の健診/宿泊施設の利用済組合貸付金/私的年金退職手当/財形貯蓄/児童手当個人型確定拠出年金22 共イ特別支給の老齢厚生年金老齢厚生年金は本来 65 歳から支給されるものです しかし 一定の要件を満たせば 65 歳未満でも 特別支給の老齢厚生年金 を受けるこ

2. 繰上げ受給と繰下げ受給 65 歳から支給される老齢厚生年金と老齢基礎年金は 本人の選択により6~64 歳に受給を開始する 繰上げ受給 と 66 歳以降に受給を開始する 繰下げ受給 が可能である 繰上げ受給 を選択した場合には 繰上げ1カ月につき年金額が.5% 減額される 例えば 支給 開始年齢

年金制度のしくみ 3 階私的年金みらい企業年金基金 2 階 1 階 公的年金 厚生年金 国民年金 共済年金 自営業者など会社員の配偶者会社員公務員など 国民年金の加入者区分 第 1 号被保険者 第 33 号被保険者 第 2 号被保険者 3 階建ての年金制度 日本の公的年金制度は 国民年金 から全ての

上乗部分Q1. 基金制度のどの給付区分が分配金の対象となるのか A1 基金の給付区分は 国の厚生年金の一部を代行している 代行部分 と 基金独自の 上乗部分 から構成されています 代行部分は 解散により国に返還され 解散後は国から年金が支給されますので 分配金の対象となるのは基金独自の上乗部分となり

企業年金のポータビリティ制度 ホ ータヒ リティ制度を活用しない場合 定年後 : 企業年金なし A 社 :9 年 B 社 :9 年 C 社 :9 年 定年 ホ ータヒ リティ制度を活用する場合 ホ ータヒ リティ制度活用 ホ ータヒ リティ制度活用 定年後 :27 年分を通算した企業年金を受給 A

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5. 退職一時金に係る就業規則のとりまとめ 退職一時金に係る就業規則の提供があった企業について 退職一時金制度の状況をとりまとめた なお 提供された就業規則を分析し 単純に集計したものであり 母集団に復元するなどの統計的な処理は行っていない 退職一時金の支給要件における勤続年数 退職一時金を支給する

つのシナリオにおける社会保障給付費の超長期見通し ( マクロ ) (GDP 比 %) 年金 医療 介護の社会保障給付費合計 現行制度に即して社会保障給付の将来を推計 生産性 ( 実質賃金 ) 人口の規模や構成によって将来像 (1 人当たりや GDP 比 ) が違ってくる

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参考 平成 27 年 11 月 政府税制調査会 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理 において示された個人所得課税についての考え方 4 平成 28 年 11 月 14 日 政府税制調査会から 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告 が公表され 前記 1 の 配偶

図 1 60 歳 61 歳 62 歳 63 歳 64 歳 65 歳 生年月日 60 歳到達年度 特別支給の 男性 S24.4.2~S 平成 21~24 年度 女性 S29.4.2~S 平成 26~29 年度 男性 S28.4.2~S 女性 S33.4.2~S35.

監 事 監 査 規 程

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確定拠出年金制度に関する改善要望について

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2/5 ヘ ーシ Q1. 年金通算とは何ですか? A. これまで各企業や基金では 加入者の老後の安定の一助となるよう さまざまな年金制度をつくり運営してきました しかし 従来の終身雇用を前提とした制度では 現代のライフスタイルに対応することが難しくなってきています 転職など雇用の流動化に対応し これ

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( 参考 ) 平成 29 年度予算編成にあたっての財務大臣 厚生労働大臣の合意事項 ( 平成 29 年 12 月 19 日大臣折衝事項の別紙 ) < 医療制度改革 > 別紙 (1) 高額療養費制度の見直し 1 現役並み所得者 - 外来上限特例の上限額を 44,400 円から 57,600 円に引き上

地方創生応援税制 ( 企業版ふるさと納税 ) の運用改善 ( 別紙 1) 平成 31 年度税制改正 企業版ふるさと納税の一層の活用促進を図るため 企業や地方公共団体からの意見等を踏まえ 徹底した運用改善を実施する 地方創生関係交付金と併用する地方公共団体へのインセンティブ付与 地方創生関係交付金の対

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自動的に反映させないのは133 社 ( 支払原資を社内で準備している189 社の70.4%) で そのうち算定基礎は賃金改定とは連動しないのが123 社 (133 社の92.5%) となっている 製造業では 改定結果を算定基礎に自動的に反映させるのは26 社 ( 支払原資を社内で準備している103

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平成 31 年 3 月 22 日 ( 30-27) N e w s R e l e a s e 平成 31 年 4 月実施の仕組改訂等について ~ 生命総合共済 建物更生共済の保障を拡充!~ JA 共済連 ( 全国共済農業協同組合連合会 代表理事理事長柳井二三夫 ) では 平成 31 年 4 月 1

退職後の健康保険の任意継続ってなに?

企業年金制度を考える視点 公的年金制度 加入者 受給者 企業会計制度 金融制度 金融市場 企業年金 母体企業 税 制 -1- 出典 : 厚生労働省資料

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ときは]リタイア後のセカンドライフ 第1 老後はいくら足りない? 老後に必要な夫婦 人の生活資金は 公的年金の給付額に対して約,500 万円足りないと言われています 夫婦の老後収支 第 号被保険者の場合 60 歳 ~64 歳 65 歳 ~80 歳 第 1 号被保険者の場合 夫婦二人の 老後の生活資金

(2) 再就職後 年金受給権が発生した場合正規職員無職一般企業無職 共済組合員 A 厚生年金 B ( 一般厚生年金 ) 退職 再就職 老齢厚生年金支給開始年齢 1 年金待機者登録 2 公的年金加入 ( 一部又は全額支給停止 ) 3 年金決定請求 1 退職した際は 年金の受給権発生まで期間がありますの

< 現行 > 対象者医療区分 Ⅰ(Ⅱ Ⅲ 以外の者 ) 1 * 医療の必要性の低い者医療区分 Ⅱ Ⅲ 1 2 * 医療の必要性の高い者 ( 指定難病患者を除く ) 3 指定難病患者 2 生活療養標準負担額のうちにかかる部分 1 日につき32 1 日につき 1 日につき < 見直し後 > 対象者医療区

1 基金の概要と給付 日産連合企業年金基金とは日産連合企業年金基金は 厚生労働大臣の認可をうけて 確定給付企業年金 (DB) の基金型として設立した法人です 加入事業所 ( 会社 ) に納付していただいた掛金を管理 運用したものを年金資産 ( 原資 ) として 受給権者の方々に年金や一時金給付を行っ

14 日本 ( 社人研推計 ) 日本 ( 国連推計 ) 韓国中国イタリアドイツ英国フランススウェーデン 米国 図 1. 1 主要国の高齢化率の推移と将来推計 ( 国立社会保障 人口問題研究所 資料による ) 高齢者を支える

いずれも 賃金上昇率により保険料負担額や年金給付額を65 歳時点の価格に換算し 年金給付総額を保険料負担総額で除した 給付負担倍率 の試算結果である なお 厚生年金保険料は労使折半であるが 以下では 全ての試算で負担額に事業主負担は含んでいない 図表 年財政検証の経済前提 将来の経済状

資料9

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2 1 老後に必要なお金

企業年金基金 事業所事務マニュアル 石川県機械工業企業年金基金 平成 30 年 5 月

年 12 月 厚生年金基金制度を解散して後継制度に資産を持込む場合の手続き 本資料は 平成 26 年 12 月 11 日に発出された事務連絡 解散存続厚生年金基金の残余財産を他の制度へ交付又は移換する際の取扱いについて 及び関連する法令等に基づきその要点を纏めたものです 作成時点にお

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社会保障 税一体改革大綱(平成24 年2月17 日閣議決定)社会保障 税一体改革における年金制度改革と残された課題 < 一体改革で成立した法律 > 年金機能強化法 ( 平成 24 年 8 月 10 日成立 ) 基礎年金国庫負担 2 分の1の恒久化 : 平成 26 年 4 月 ~ 受給資格期間の短縮

【事務連絡】「高額療養費制度の見直しに関するQ&A」の送付について

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ライフプランニングと資金計画 問題 1. ファイナンシャル プランナーの顧客に対する行為に関する次の記述のうち 職 業倫理や関連法規に照らし 最も適切なものはどれか 1. 税理士資格を有しないファイナンシャル プランナーが 住宅ローン相談セミナーを開催し その出席者に対して無償で確定申告書の作成代行

さくらグループ厚生年金基金制度の今後について 安定した年金給付を継続していくため 厚生年金基金制度の見直しを進めています はじめに はじめに さくらグループ厚生年金基金は 平成 9 年 4 月に設立され これまで退職された多くの加入員の皆様に一時金給付や年金給付を行ってきました また 基金制度は当社

資料8-2 平成29年度文部科学関係税制改正事項

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平成13年8月29日

付加退職金の概要 退職金の額は あらかじめ額の確定している 基本退職金 と 実際の運用収入等に応じて支給される 付加退職金 の合計額として算定 付加退職金は 運用収入等の状況に応じて基本退職金に上乗せされるものであり 金利の変動に弾力的に対応することを目的として 平成 3 年度に導入 基本退職金 付

平成19年度分から

Transcription:

企業年金 個人年金制度に関する検討課題 2019 年 3 月 29 日

生命保険会社が提供する企業年金 個人年金 生命保険会社は 企業年金 個人年金として DB DC 個人年金保険等を提供し お客様の退職給付制度の安定的な運営や高齢期の所得確保等をサポートしている 主な保険商品お引受けの状況等 1 企業年金 確定給付企業年金保険 (DB) 資産管理運用機関等として 確定給付企業年金保険を提供 規約数 9,137 件 加入者数 275 万名 資産残高 15.6 兆円 2 確定拠出年金保険 (DC) 商品提供機関として 確定拠出年金保険を提供加えて 運営管理機関業務等も実施 規約数 1,328 件 加入者数 126 万名 資産残高 1.4 兆円 2 個人年金 個人年金保険 個人向けに年金保険を提供 契約数 2,148 万件 資産残高 105.5 兆円 1 企業年金の受託概況 ( 平成 30 年 3 月末現在 ) 生命保険事業概況平成 29 年度 等より 2 DB DC 向け生保商品の残高 1

企業年金 個人年金制度に関する検討課題 公的年金の給付水準の見直しが想定される中 公的年金を補完する企業年金 個人年金について その取り巻く環境を踏まえると 以下のような検討課題があると考えられる 企業年金 個人年金を取り巻く環境 企業年金 個人年金制度に関する検討課題 高齢者の雇用機会は拡大の方向 また 高齢者の働き方は多様化 長生きリスクによる退職後資金の不足の不安 低金利が継続する厳しい運用環境 一方で特別法人税の課税凍結期間は 2020 年 3 月末で終了 (1) 高齢者の雇用機会の拡大に合わせた DB DC 制度の見直し (2) 高齢者の働き方の多様化に合わせた受取方法の柔軟性の確保 (3) 終身年金の理解 利用促進 (4) 年金資産の安定 形成に資する税制 ( 特別法人税の撤廃等 ) 2

(1) 高齢者の雇用機会の拡大に合わせた DB DC 制度の見直し (2) 高齢者の働き方の多様化に合わせた受取方法の柔軟性の確保 (3) 終身年金の理解 利用促進 (4) 年金資産の安定 形成に資する税制 3

高齢者の雇用機会の拡大に合わせた DB DC 制度の見直し 65 歳以上への継続雇用年齢の引上げ 等 高齢者の雇用機会の拡大にあわせて DC の加入資格喪失年齢の見直し 引上げ DB の支給開始年齢の上限の引上げを行うことが考えられる 経済財政運営と改革の基本方針 2018~ 少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現 ~ ( 平成 30 年 6 月 15 日閣議決定 ) 等 DC の加入資格喪失年齢の見直し 引上げ 現行 加入資格喪失年齢は原則 60 歳 規約に定めることで同一事業所に継続雇用されている場合のみ 65 歳まで引上げ可 原則 60 歳 同一事業所のみ 今後の検討の視点 加入資格喪失年齢は原則 60 歳 規約に定めることで 同一事業所に継続雇用されていなくとも 65 歳超の一定年齢 ( 例えば 70 歳 ) まで引 上げ可とすることが考えられる原則 60 歳 例外 65 歳 60 歳超で転籍等した場合は 退職時 ( 定年等 ) までの掛金拠出不可 同一事業所に限らず 例外 65 歳超の一定年齢 退職時 ( 定年等 ) までの掛金拠出を可能とし 高齢者雇用に資する制度へ DB の支給開始年齢の上限の引上げ 現行 老齢給付金の支給開始要件( 年齢等 ) は以下 160 歳以上 65 歳以下の規約で定める年齢到達時または 250 歳以上の退職時 ( 規約に定めがあるとき ) 60 歳 ~ 65 歳 65 歳超への個々加入者の繰下げは可 定年が 65 歳超の場合等は 繰下げをしない限り 退職 ( 定年等 ) 前に支給開始 今後の検討の視点 上記 1 について 60 歳以上 65 歳超の一定年齢 ( 例えば 70 歳 ) 以下の規約で定める年齢到達時とすることが考えられる 60 歳 ~ 65 歳超の一定年齢 高齢者の所得確保の選択肢を拡充 4

(1) 高齢者の雇用機会の拡大に合わせた DB DC 制度の見直し (2) 高齢者の働き方の多様化に合わせた受取方法の柔軟性の確保 (3) 終身年金の理解 利用促進 (4) 年金資産の安定 形成に資する税制 5

高齢者の働き方の多様化に合わせた受取方法の柔軟性の確保 高齢者の働き方が多様化する中 企業年金 個人年金を退職後の所得確保に活用するには 個人の状況に合わせて受取方法を柔軟に選択できることが重要 柔軟な選択を可能とするための方策として DB DC の受取方法の選択肢の拡充 見直しや DB DC と個人年金保険等を組合せた受取をすることが考えられる 働き方に応じた企業年金 個人年金の今後の活用例 ) ( 受取方法の柔軟な選択を可能とするための方策 ) 70 歳超まで就労 公的年金は繰下げする場合 公的年金受給までの つなぎ として活用 就労収入 ( 現役 ) 65 歳 つなぎ ( 確定年金 ) 就労収入 ( 定年後 ) 繰下げ 保有資産の活用 ( 取崩し ) 公的年金 ( 繰下げによる増額 ) 70 歳超死亡 65 歳で退職し 同時に公的年金を受取る場合 長生きに備え 終身年金 を公的年金に上乗せ 就労収入 ( 現役 ) 保有資産の活用 ( 取崩し ) 上乗せ ( 終身年金 ) 公的年金 (65 歳から受給開始 ) 65 歳死亡 受取方法を柔軟に選択できることが重要 DB DC の受取方法の選択肢の拡充 見直し DB DC は規約上 受給開始時期 受給期間等の受取方法の選択肢に制約が存在 規約上の受取方法の選択肢の拡充 見直しを行うことが考えられる 上記を行いやすくするための制度 手続の整備について次ページ参照 DB DC と個人年金保険等を組合せた受取 DB DC にて規約上の受取方法の選択肢の拡充 見直しを促進したとしても 規約上の受取方法の制約は残存 より自在な受取方法を選択できる個人年金保険等と組み合わせることが有効 6

DB DC の受取方法の選択肢の拡充 見直しを行いやすくするための制度 手続の整備 受取方法の柔軟な選択を可能とするため 受取方法の選択肢の拡充 見直しを行いやすいよう 以下のような制度 手続の整備を行うことが考えられる (DB DC における受取方法について ) ( 制度 手続の整備の検討事項例 ) 受給開始時期 受給 期間 DB DC 1 受給開始年齢 原則 DC 法により一律に繰下げの有無等は 設定規約により異なる 2 終身年金の選択可否 確定年金の受給年数等は 規約により異なる ( ご参考 ) 各規約の終身年金の採用状況 DB ( 規約型 基金型 ) DC ( 企業型 ) 終身年金有期年金不明 10.8% 78.8% 10.5% 26.5% 51.8% 21.7% 人事院 民間の企業年金及び退職金の実態調査の結果 ( 平成 28 年 ) 及び平成 31 年 1 月 1 日現在の DB の件数 ( 規約型 12,296 件 基金型 762 件 ) から推計 1 受給開始時期 (DB) 受給開始年齢の見直し時の事務手続きの柔軟化 - 定年延長に伴う給付額が下がらない場合等の受給者保護の観点を踏まえた一定の要件を満たす場合に 不同意申出方式による減額同意等を可能とするよう規約変更の申請書類を柔軟化 繰下げ規定導入時の手続きの簡素化ー受給者保護の観点を踏まえた一定の要件を満たす場合に 届出で可とする 2 受給期間 (DB) 終身年金 新設時の事業主等の負担の軽減 DB では 事業主等が長生きリスクを負うこと等から終身年金の採用されているケースが少ない - 保証期間の上限 20 年の長期化 ( 保証期間よりも長生きするリスクを縮小 ) - その他 保険等による長生きリスクの外部移転等の海外事例を参考に検討することも考えられる DC では事業主等が終身年金受取可能な生命保険商品を採用すること等で終身年金選択可 7

(1) 高齢者の雇用機会の拡大に合わせた DB DC 制度の見直し (2) 高齢者の働き方の多様化に合わせた受取方法の柔軟性の確保 (3) 終身年金の理解 利用促進 (4) 年金資産の安定 形成に資する税制 8

終身年金の理解 利用促進 個人単位では平均寿命を大きく超えて長生きする方が相当程度存在する そのような長生きリスクへの備えとして 生存中の収入を安定させることができる終身年金を利用することが考えられる 一方で 終身年金に対する認識や心理的傾向等から 終身年金が選択されているケースは少ない これを克服するには 長生きリスクや終身年金のメリット デメリットについての周知 啓発等が考えられ さらに 公的年金の状況等に応じ 企業年金 個人年金の 終身年金による上乗せ としての役割をより重視する場合には 補助金 税制を含めたインセンティブ付与等の検討が考えられる 1 平均寿命と現在の 65 歳が一定年齢まで生きる割合 平均寿命 男性 81.1 歳 女性 87.3 歳 厚生労働省 平成 29 年簡易生命表 現在の 65 歳が 85~100 歳まで生きる割合 男性 女性 85 歳まで生きる割合 56.8% 77.7% 90 歳まで生きる割合 35.0% 60.5% 95 歳まで生きる割合 16.0% 37.7% 100 歳まで生きる割合 4.0% 14.0% 2 終身年金に対する認識と心理的傾向 終身年金に対する認識 本来 長生きリスクに対する 保険 であるところ 加入者の視点においては 一般の金融商品と同様 掛金等の支払総額と年金の受取総額とを単純に比較してしまいがちである 心理的傾向 将来の利益よりも現在の利益をより重視しやすい 3 終身年金の選択割合 終身年金 11.5% 厚生労働省 平成 29 年簡易生命表 日本の将来推計人口 ( 平成 29 年推計 死亡中位 ) を基に作成 算定にあたっては将来の生存率の改善を加味 確定年金 88.5% DC( 企業型 個人型 ) の年金受給者の責任準備金残高のうち 終身年金と確定年金の割合 (2018 年 3 月末時点の A 生保の例 ) 4OECDによる指摘 DCのより良い制度設計として 長生きリスクに対応するため終身年金化の働きかけをすることが指摘されている 終身年金の需要は金融教育により促進されうる DCにおける資産残高を一定程度終身年金化することを給付時の標準的な仕組みとすべき OECD DC のより良い制度設計のためのロードマップ (2012 年 ) の一部を仮訳 9

(1) 高齢者の雇用機会の拡大に合わせた DB DC 制度の見直し (2) 高齢者の働き方の多様化に合わせた受取方法の柔軟性の確保 (3) 終身年金の理解 利用促進 (4) 年金資産の安定 形成に資する税制 10

年金資産の安定 形成に資する税制 公的年金の給付水準の見直しが想定される中 企業年金 個人年金により公的年金を補完し 退職後の所得を確保することはますます重要であり 年金制度に係る特別法人税は撤廃するとともに DB の拠出限度額の検討については 現行制度のように 労使合意を前提に自由な制度設計を妨げないこと等が重要 現行 DC( 企業型 個人型 ) DB 等については 現在 約 1.2% の税率 ( 地方税を含む ) で特別法人税が課されることになっているが 低金利の状況 企業年金の財政状況等を踏まえ 2020 年 3 月末までは課税が凍結されている 今後の検討の視点 安定的な資産形成に向けては 特別法人税を撤廃することが必要 ( 主要各国の年金課税の原則 ) 拠出段階 アメリカイギリスフランスドイツ日本 非課税 運用段階非課税課税 給付段階 特別法人税の撤廃について 課税 DB の拠出限度額の検討について 現行 DB においては 拠出限度額が設けられていないが 以前の企業年金部会においては DB DC 制度の拠出限度のイコールフッティングの観点から DB DC を合わせた拠出限度の設定が検討された 今後の検討の視点 DB は 年金制度のみならず 退職給付制度として広く活用され またその水準は企業により区々である そのような中 現行制度のように 労使合意を前提に自由な制度設計を妨げないこと 年金制度の普及 拡大に資する制度設計とすることが重要 11