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たり, 進路の前方を注視し, 対向直進車両の有無及びその安全を確認して, その進行を妨げないようにすべき自動車運転上の注意義務があるのに, これを怠り, 対向車線を直進してきた被害者車両に気付かず, 自車右前部を被害者車両に衝突させ, その結果, 被害者を死亡させた, という過失運転致死の事実 (

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された犯人が着用していた帽子や眼鏡は持っていないなどと供述して, 犯罪の成立を争った イ原審の証拠構造本件犯行そのものに関する証拠本件犯行そのものに関する証拠として, 本件犯行を目撃したという本件マンションの住人の警察官調書 ( 原審甲 2), 精液様のものが本件マンション2 階通路から採取されたこ

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方メートル ) のうち1 階店舗内板壁等表面積約 29 平方メートルを焼損した ( 証拠 ) 括弧内の甲乙の番号は検察官請求証拠の番号を示す 被告人の公判供述 証人 E, 同 F, 同 G, 同 C, 同 D 及び同 Hの各公判供述 I( 甲 51) 及びJ( 甲 52) の各警察官調書抄本 実況見

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を運転し, 名神高速道路下り線 416.8キロポスト付近の第 1 車両通行帯を北方から南方に向かい進行するに当たり, 前方左右を注視し, 進路の安全を確認して進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り, 左手に持ったスマートフォンの画面に脇見し, アプリケーションソフトの閲覧や入力操作に気

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ひっかけ問題 ( 緊急対策ゼミ ) ステップ A B C D 39.4% 学科試験パーフェクト分析から ひっかけ問題 に重点をおいた特別ゼミ! 2 段階 出題頻度 39.4% D ゼミ / 内容 *(2 段階 24.07%+ 安知 15.28%=39.4

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( 掲載省略 )) ( 争点に対する判断 ) 第 1 本件の争点 1 本件公訴事実の要旨は, 被告人が, 勝馬投票券 ( 以下 馬券 という ) の 払戻金による一時所得を除外した虚偽の所得税等の確定申告 ( 過少申告 ) をし, 平成 24 年分及び平成 26 年分の所得税額合計 60 万円余りを

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ICT を活用した ITS の概要 1 ITS は内閣府 警察庁 総務省 経済産業省 国土交通省が連携して推進 道路交通情報 VICS (1996 年 ~) FM 多重放送 電波ビーコン 光ビーコンで情報配信 ( 約 5,100 万台 :2016 年 6 月末 ) プローブ情報 携帯電話ネットワーク

報告第 3 号 専決処分の報告について ( 損害賠償の額の決定 ) 地方自治法第 条第 1 項の規定により 議会において指定されている事 項について別紙のとおり専決処分したので 同条第 2 項の規定により報告する 平成 29 年 8 月 28 日提出 我孫子市長星野順一郎 報告理由 損害

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いため, 血糖値が不安定となるおそれがあったのであるから, 自車を発進, 走行させるのであれば, 低血糖症による意識障害に陥る可能性を予見し, 適宜, 携帯していた簡易血糖測定器により血糖値を測定し, 自己の血糖値を正確に把握し, 血糖値が安定するのを確認するなどの措置を講じて発進, 走行すべき自動

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平成 27 年 2 月までに, 第 1 審原告に対し, 労働者災害補償保険法 ( 以下 労災保険法 という ) に基づく給付 ( 以下 労災保険給付 という ) として, 療養補償給付, 休業補償給付及び障害補償給付を行った このことから, 本件事故に係る第 1 審原告の第 1 審被告に対する自賠法

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平成 28 年 4 月 28 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償等請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 3 月 22 日 判 決 原 告 A 同訴訟代理人弁護士 松 村 光 晃 中 村 秀 一 屋 宮 昇 太 被告株式会社朝日新聞社 同訴訟代

1 趣旨このガイドラインは 日本国内の公道 ( 道路交通法 ( 昭和 35 年法律第 105 号 ) 第 2 条第 1 項第 1 号に規定する 道路 をいう 以下同じ ) において 自動走行システム ( 加速 操舵 制動のうち複数の操作を一度に行い 又はその全てを行うシステムをいう 以下同じ ) を

と案 目的地を探したら ルートを設定します ルートが設定されると案内がはじまりますので ルート案内にしたがって走行してください 検索した地点を確認 設定する 52 現在の条件でルートを探索する 52 ルートの確認や設定をする 52 検索した地点の位置を修正する 53 検索した地点をルート上に追加する

第 2 事案の概要本件は, 原告が, 被告に対し, 氏名不詳者が被告の提供するインターネット接続サービスを利用して, インターネット上の動画共有サイトに原告が著作権を有する動画のデータをアップロードした行為により原告の公衆送信権 ( 著作権法 23 条 1 項 ) が侵害されたと主張して, 特定電気

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73,800 円 / m2 幹線道路背後の住宅地域 については 77,600 円 / m2 という結論を得たものであり 幹線道路背後の住宅地域 の土地価格が 幹線道路沿線の商業地域 の土地価格よりも高いという内容であった 既述のとおり 土地価格の算定は 近傍類似の一般の取引事例をもとに算定しているこ

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認められないから, 本願部分の画像は, 意匠法上の意匠を構成するとは認めら れない したがって, 本願意匠は, 意匠法 3 条 1 項柱書に規定する 工業上利用する ことができる意匠 に該当しないから, 意匠登録を受けることができない (2) 自由に肢体を動かせない者が行う, モニター等に表示される

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た損害賠償金 2 0 万円及びこれに対する遅延損害金 6 3 万 9 円の合計 3 3 万 9 6 円 ( 以下 本件損害賠償金 J という ) を支払 った エなお, 明和地所は, 平成 2 0 年 5 月 1 6 日, 国立市に対し, 本件損害賠償 金と同額の 3 3 万 9 6 円の寄附 (

の補正書 において, 審査請求の趣旨を この開示請求は本人の給与のみずましにかかわる書面である為 としているが, 原処分を取り消し, 本件対象保有個人情報の開示を求めている審査請求として, 以下, 原処分の妥当性について検討する 2 原処分の妥当性について (1) 給与所得の源泉徴収票について給与所

平成 28 年度第 2 回車両安全対策検討会平成 28 年 12 月 9 日 安全 - 資料 9 自動運転に係る国際基準の検討状況

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最高裁○○第000100号

「交通マナー」に関するアンケート調査結果

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被告人に殺害されることを承諾したような様子は一切ない むしろ, 被害者は, 本件直前に介護用品を選んだり, 散髪の予約をしたりしている 被告人も, 公判廷において, 被害者に心中することを話したことはないし, 上記転居後に, 被害者から死にたいとか, 殺してほしいと言われたことはなかった旨供述する

1 見出し1

非常に長い期間, 苦痛に耐え続けた親族にとって, 納得のできる対応を日本政府にしてもらえるよう関係者には協力賜りたい ( その他は, 上記 (2) と同旨であるため省略する ) (4) 意見書 3 特定個人 Aの身元を明らかにすること及び親子関係の証明に当たっては財務省 総務省において, 生年月日の

在は法律名が 医薬品, 医療機器等の品質, 有効性及び安全性の確保等に関する法律 と改正されており, 同法において同じ規制がされている )2 条 14 項に規定する薬物に指定された ( 以下 指定薬物 という ) ものである (2) 被告人は, 検察官調書 ( 原審乙 8) において, 任意提出当日

( 以下 プロバイダ責任制限法 という )4 条 1 項に基づき, 被告が保有する発信者情報の開示を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) (1) 当事者 原告は, 肩書地に居住する者である ( 甲 1) 被告は,

Transcription:

平成 24 年 ( わ ) 第 207 号道路交通法違反被告事件 平成 25 年 2 月 14 日宣告高知地方裁判所 主 文 被告人は無罪 理 由 1 本件公訴事実は, 被告人は, 平成 23 年 4 月 25 日午前 10 時 49 分頃, 高知市 a 町 b 番地先交差点 ( 以下 本件交差点 という ) において, 信号機 ( 以下 本件信号機 という ) の表示する赤色の灯火信号 ( 以下 赤信号 という ) に従わないで, 普通貨物自動車 ( 軽四 )( 以下 被告人車両 という ) を運転して通行したものである というものである 2 本件の争点は, 被告人が, 赤信号無視をしたか ( 赤信号で本件停止線を越えたか ) である 検察官は, 警察官の目撃供述が信用できることを理由に, 被告人が赤信号無視をしたと主張し, 他方, 弁護人は, 警察官の目撃供述は信用できないこと, また, 被告人の供述が信用できることを理由に, 被告人は無罪であると主張する 当裁判所は, 下記のとおり, 警察官の目撃供述には合理的疑いがあり, 他方, 被告人の供述は信用できると考え, 被告人は無罪であると判断するものであるが, 以下, その理由について説明する 3 各供述の要旨 (1) 警察官の目撃供述本件当時,c 警察署に勤務していたd 警察官と e 警察官 ( 以下, 併せて 両警察官 という ) は, 本件日時頃, 高知市 f 町 g 番 h 号付近道路 ( 以下 本件道路 という ) をパトカーに乗車し, 警ら中, パトカーの前を走行していた被告人車両を赤信号無視で検挙したが, 両警察官は, その状況について, 本件道路上のD 地点 ( 別紙裁判所書記官作成に係る検証調書添付の検証見取図の地点を指す 以下同じ 別紙添付省略 ) を走行している時, 本件信号機 - 1 -

が赤信号に変わるのを見た その時, 被告人車両は,E 地点を走行しており, 被告人車両の前を走行していた車両 ( 以下 先行車両 という ) は, 本件停止線上を通過中で, パトカー内から本件停止線を確認することはできた 被告人車両は止まるだろうと思っていたが, 本件停止線を通過して, 車体を傾かせながら右折した 旨供述し, 被告人車両及びパトカーの速度について,d 警察官は 時速約 25キロメートルであった 旨供述し,e 警察官は 時速約 25 キロメートルであったが, パトカーも被告人車両も本件交差点に入る手前では, 時速約 20キロメートルから約 15キロメートルに減速した 旨供述する そして, その後の状況について, 両警察官は, 被告人車両が赤信号無視をしたので,e 警察官がパトカーの助手席下のペダルを踏み, サイレンを吹鳴させ, 被告人車両の追尾を開始した パトカーの車体が本件停止線に差し掛かった辺りで, 対面道路を直進するバイクがパトカーの前を通り過ぎた 対面道路にはバイクに後続する車両もあったが, 停止したので, そのまま右折した 旨供述する (2) 被告人の供述他方, 被告人は, A 地点で, 本件信号機が黄信号に変わるのを見た その時, 時速は約 20キロメートルであり, 先行車両は, 本件停止線の上を通過していた 急に止まると危ない状況だったので, そのまま進み, 本件停止線を黄信号で通過した そして,B 地点で, 一度ブレーキを踏み, 時速約 10キロメートルで, 本件交差点を通過し, 対面道路の第一車線に入った 本件道路は本件交差点付近で右方向へカーブしているが, 普段から, 第一車線に入りたい時は, 大回りする形で, 本件交差点脇の導流帯 ( 以下 ゼブラゾーン という ) 上を通過しており, 本件当日も, そのように走行した 旨供述する 4 警察官の目撃供述の信用性 (1) 先ず, 検証の結果によると, 本件道路は, 南西方向へ進行する幅員 4メートル程度の狭隘な一車線道路で, 本件交差点付近では右方向への急カーブとなっ - 2 -

ている そして, その左右は擁壁と歩道に囲まれており, 特に, 左方の擁壁と歩道は, 本件交差点付近まで続き, 対面道路の擁壁と歩道に繋がっているため, 本件交差点付近では, 擁壁と歩道が右側にせり出しているような格好となっており, その結果, 本件交差点付近の見通しは悪い状況にある しかも, 両警察官は, 違反車両の検挙に当たっていたわけではなく, 警ら中に, たまたま被告人車両に遭遇したものであるから, その現認状況については慎重に検討する必要がある この点, 両警察官は, 上記のとおり, D 地点で, 本件信号機が赤信号に変わるのを見た その時, 先行車両は本件停止線上を通過中で, パトカー内から本件停止線を確認することができた その後, 被告人車両も本件停止線を通過した 旨供述し, 検挙時には, 被告人に対して, 先行車両が本件停止線を通る時に赤信号に変わったので, あなたは赤信号で入りましたよ などと説明した 旨供述しており, 以上からすると, 先行車両が本件停止線上を通過中に本件信号機が赤信号に変わったことを検挙の大きな理由としたと見られる しかし, 検証の結果によると, 本件停止線の位置関係や距離関係をパトカー内から確認することは難しく, 特に, 被告人車両がパトカーと先行車両の中間にいる状態にあっては, 本件停止線の位置を確認することはほぼ不可能と思われる そうすると, 両警察官が, 本件停止線を確認することができた というのは, 事実と反する憶測である可能性が高く, 本件停止線は, 両警察官が憶測した位置よりも手前にあって, 先行車両は, 被告人の供述のとおり, 青信号から黄信号で本件停止線を通過した可能性を否定できない (2) ア次に, 検証の結果によると, 両警察官の上記供述にある,D 地点とE 地点の距離は27.9メートルであり,E 地点から本件停止線までの距離は31. 6メートルである そして,d 警察官の供述によると,D 地点でのパトカーの速度は時速約 25キロメートル ( 秒速約 6.94メートル ) で, パトカーがD 地点から本件停止線に至るまでに約 8.57 秒 ((27.9+31. - 3 -

6) 6.94=8.57 秒 ) を要し,e 警察官の供述によると, 本件交差点手前で減速しているので, さらに時間を要する 他方,E 地点における被告人車両の速度は,d 警察官の供述によると, 時速約 25キロメートルであって, 被告人車両がE 地点から本件停止線に至るまでに, 約 4.55 秒 (3 1.6 6.94=4.55 秒 ) を要し,e 警察官の供述によると, 本件交差点手前で減速しているので, さらに時間を要する そして, 本件停止線から本件交差点に進入するまでに少なくとも4メートル程度の距離があり ( ゼブラゾーンの頂点から本件停止線までの距離が4.1メートルであることを参考にした ), そこを通過するために, 時速約 25キロメートルの場合は約 0.57 秒 (4 6.94=0.57 秒 ) を要する そうすると, 被告人車両が,E 地点から本件交差点に進入するまでに少なくとも約 5 秒 (4.55+0.57=5.12 秒 ( 時速約 25キロメートルの場合 )) は要する 他方, 本件信号機に対面する信号機 ( 以下 対面信号機 という ) は, 本件信号機が赤信号に変わってから,3 秒後に青信号に変わるので ( 甲 4, 14), 以上を前提とすると, 被告人車両は, 対面信号機が青信号に変わってから, 約 2 秒後 (5-3=2) には本件交差点に進入する計算となる しかし, 対面道路は高知市内を東西に走る幹線道路のうちの西方向へ進行する二車線道路で, 実況見分の結果によると, 本件交差点付近の5 分間の車両交通量が約 140 台とかなり多く, 検証の結果によっても, 対面信号機の赤信号で停止する車両数はかなり多い そして, 停止車両は, 対面信号機が青信号に変わるや一斉に発進し, 対面道路の停止線から本件交差点までに少なくとも4メートル程度の距離があり ( ゼブラゾーン頂点から対面道路の停止線までの距離が4.0メートルであることを参考にした ), 先頭車両がそこを通過するまでに,2 秒程度 ( 青信号を確認してから発進動作をし, 本件交差点に到達するまでの時間 ) を要するとしても, 被告人車両が, 上記の - 4 -

状況で本件交差点に進入した場合, 先頭車両の進行を妨害する形となり, クラクションを鳴らされる等していた可能性が高く, さらに,e 警察官の供述によると衝突する可能性もあるのであり, いずれにしても, 支障なく進行できたとは考えられないし, そもそも, 本件信号機が赤信号に変わってから約 5 秒も経過した状況下で, 本件交差点に進入するとは考えられない イさらに, パトカーにあっては, 対面信号機が青信号に変わってから, 約 6 秒後 (8.57+0.57-3=6.14 秒 ) に, 本件交差点に進入する計算となり, さらに不合理な結果となる この点, 両警察官は, パトカーが本件停止線に差し掛かった時の状況について, 対面道路を直進するバイクがパトカーの前を通り過ぎた バイクに先行する車両はなかった 旨供述し, 同供述からすると, そのバイクが先頭車両であったと考えられるが, 対面道路の交通量等を考えれば, 対面信号機が青信号に変わってから約 6 秒後に, ようやく先頭車両が本件交差点を通過するという状況にあったとは考えにくい なお, 検察官は, 対面信号機の赤信号で停止していた車両はパトカーのサイレン音を聞き, 進路を譲ったため, 被告人車両及びパトカーが無事に本件交差点を通過できた旨主張するが, 上記のとおり, 本件道路や対面道路を囲む擁壁の形状等からすると, 対面道路の停止線で停止していた車両からサイレン音は聞こえるかどうかには疑問があるし, 本件に係るパトカーのサイレン音が聞こえていたことを立証する具体的証拠もない (3) 以上のとおり, 両警察官の目撃供述によると, 不合理な結果となり, その供述には合理的疑いがある そして, 本件では, 本件停止線の位置等に係る両警察官の供述内容には, 事実に反する憶測が含まれている可能性があり, そのため, このような不合理な結果を来した可能性が高い 5 被告人供述の信用性他方, 被告人は, A 地点で, 本件信号機が黄信号に変わるのを確認し, その - 5 -

時, 時速は約 20キロメートル ( 秒速約 5.55メートル ) であった 旨供述するが, 検証の結果によると,A 地点から本件停止線までの距離は7.3メートルであり, 計算上, 被告人は, その供述のとおり, 黄信号で本件停止線を越えたことになる (7.3 5.55=1.31 秒, 黄信号は3 秒間続く ) また, 被告人は, 走行中に, パトカーが後ろを走行していることに気が付き, しかも, 特に急がなければならない事情もなかった状況下において, 両警察官が供述する無謀とも言える態様で赤信号無視をするとは考えられないし, 検挙段階から, 一貫して, 黄信号で本件停止線を通過したと真摯に訴え続けている また, 本件は, 反則金制度の対象である微罪事件であるのに比し, 正式裁判となった場合の捜査や公判の負担は大きいのであるが, 仮に, 被告人の供述が虚偽であると考えた場合, その負担に見合う何らかの利益があるはずと考えられるが, 何ら見当たるものはないのである 6 結語以上から, 警察官の目撃供述に合理的疑いがあり, 他方, 被告人の供述は信用できる したがって, 結局, 本件公訴事実については犯罪の証明がないから, 刑事訴訟法 336 条により被告人に対し無罪の言い渡しをする ( 検察官妹尾幸男及び国選弁護人南正各出席 求刑罰金 9000 円 ) 平成 25 年 2 月 15 日 高知地方裁判所刑事部 裁判官向井志穂 - 6 -