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特集 ゲーム情 基応専般 ゲーム情の現在 ゲームの研究は日本で疎外されなくなったのか 松原仁 ( 公立はこだて未来大 ) ゲーム情 ゲーム情という名称ができたのはそんなに古いことではない. 本会でゲームに関する研究会を立ち上げることを計画していた 1998 年頃に研究会の名称を何にすればよいか関係者で検討をしていた. なかなかよい案が出てこなかったが, 筆者が橋田浩一氏 ( 当時電子技術総合研究所現産業技術総合研究所 ) に相談したところゲーム情という名前を提示してもらった. これはいいということでゲームを対象とした情処理の研究をゲーム情と呼ぶことにして 1999 年から発足した研究会の名称にした次第である. 英語では Game Informatics と呼ぶが, これはゲーム情を英訳したものである. 情処理の用語のほとんどは英語の元々の用語を和訳したものであるが, これは日本語が先で英訳したものである. いわゆる ゲーム情 は欧米では従来から盛んに研究されてきたが, 特に名称はついていなかったということであろう. 以前の日本ではゲームの研究がほとんどなされていなかったが研究会の発足前後からようやく本格的になされるようになり, いまでは日本は世界でもゲーム情の研究が最も活発な国の 1 つになっている. ここではゲーム情が日本で発足して現在に至るまでの経緯を筆者なりに振り返り, 以前は疎外されてきたゲームの研究 1) が現在の日本で疎外されなくなったのかを考えたい. Deep Blue 対 Kasparov 戦の影響 ゲーム情にとって非常に影響が大きかった出 来事は,1997 年 5 月にコンピュータチェスの Deep Blue が世界チャンピオンの Kasparov に勝利したことであった 2). コンピュータが発明された直後に Turing や Shannon から始まった コンピュータが人間のチェス世界チャンピオンに勝つ という人工知能のグランドチャレンジが達成されたのである. チェスは情処理の格好の題材として主に探索技術の発展にとても貢献したが, 世界チャンピオンに勝つという最大の目標が達成されたことで, チェスはもはやゲーム情の中心的な題材ではなくなった. ゲーム情における国際的な会として International Computer Chess Association (ICCA) という組織があって 1977 年の設立以来会誌を発行していた. チェスのプログラムの技術的な工夫についての研究論文だけが載っているというマニアックなものであったが, 一定の会員数があって毎年 4 巻を出版していた. ここに掲載された論文の改訂版がその後 AI Journalという人工知能で最も権威のある論文誌に掲載されたということも多い. この会を中心に数年に 1 回の割合で Advances in Computer Chess という国際会議を開催していた. この国際会議がゲーム情におけるほぼ唯一のものであった.Deep Blue が Kasparov に勝ったことによって, それまでゲーム情で中心的な存在であったチェスがその立場を降りることになった. 世界チャンピオンに勝ってからもさらに強くするとか数的な必勝法を求めるとかの目標はあるものの, 世界チャンピオンに勝つというインパクトのある目標に比べると地味なのでチェスを研究対象にする人は大きく減少した. ゲーム情はチェスだけでなく他のゲームも対象とせざるを得なくなった. 会は International 102 情処理 Vol.53 No.2 Feb. 2012

1 ゲーム情の現在 ゲームの研究は日本で疎外されなくなったのか Computer Games Association (ICGA) と名称が変わり, 国際会議も Advances in Computer Games と名称が変わった. チェスの次に対象とするゲームを模索する中で, 人工的にチェスよりはるかに探索空間が広い Arimaa 3) というゲームを作ってこのゲームの強いプログラムを研究するという試みがなされている. この試みは興味深く進展が期待されるものの, 人工的に新しく作ったゲームなので Arimaa は人間の方に強い人が存在しないという問題点がある. チェスは長い歴史があって多くの人間が楽しんでプレイをして強い人たちはプロとしてそれを生業としている. したがってチェスのプロ棋士はある専門領域のエキスパートとしてゲームにとどまらずたとえば医療や金融など他分野のエキスパートに通じるところがあり, チェスのプロ棋士に勝つコンピュータチェスを開発することがエキスパートのレベルの情処理の研究として意味を持っていたのである.Arimaa はまだ人間の方がコンピュータよりも強いが, 将来コンピュータが人間に勝つことができたとしても, それが他分野のエキスパートに匹敵するかどうかは分からない. オセロはチェスと同じ 1997 年 ( こちらは 8 月 ) に世界チャンピオン村上健とコンピュータオセロ Logistello が対戦して Logistello が勝利した. オセロは探索空間がチェスよりかなり狭いので, トップ対決はもっと早く数年前に設定されるべきであった ( 一般に探索空間が広いゲームの方がコンピュータにとってむずかしい ). オセロの関係者はコンピュータに対抗して ( 従来のオセロが 8 8 の盤面であるのに対して )10 10,12 12 という広い オセロ を作って人間の優位性を保とうとしている. しかし Arimaa 同様に 10 10 や 12 12 の オセロ も人間はプレイ経験が少ないために強くない.Arimaa はこれまでにないタイプのゲームなのでコンピュータを強くするのはむずかしいが,10 10 や 12 12 の オセロ はルールはオセロと同じためにプログラムのパラメータを替えればいいだけなのでコンピュータはすぐに強くできる. 盤面が広い オセロ を作っても人間の優位性を保つという目的は達成できないのである. やはりゲーム情は一定の歴史があってそれなりにプレイする人がいる ( 強い人が存在する ) ゲー ムを対象としてまだしばらくは進める必要がある. 機械習や探索など特定の技術を発展させるために人工的なゲームを題材とすることは当然あっていいのだが, そのゲームの有効範囲は限られている. チェスのようなプロ棋士が存在するという点でチェスの次の候補になるゲームは将棋と囲碁であった. その研究の展開については後で述べるが,Deep Blue が Kasparov に勝った 1997 年の直後から日本でゲーム情が盛んになったのは, 日本のゲームである将棋と囲碁がその頃から世界でもゲーム情の有力な例題となってきたことに関係していると思う. チェスについて言えば, ゲーム情の中心ではなくなったものの, その後も研究開発は続いている. コンピュータチェスの世界選手権は現在に至るまで定期的に開催され,ICGA の会誌にチェスのプログラムの技術的な工夫も相変わらず掲載されている. 1997 年に Deep Blue が Kasparov に勝ったのはまぐれであったが, その後のコンピュータとプログラムの進歩により, いまや実力でコンピュータが世界チャンピオンを圧倒するようになっている.Deep Blue はスーパーコンピュータと専用コンピュータを用いた大掛かりなものであったのが, いまやパソコン上のプログラムが世界チャンピオンに勝ってしまうまでになった. ゲーム情研究の進展 1998 年前後に筆者はゲームを研究テーマとする研究グループを当時の職場である電子技術総合研究所 ( 現産業技術総合研究所 ) の中に持つことになった. 国の研究所にゲームを冠する研究グループ ( ゲーム戦略ラボと呼ばれていた ) を作ることができたのは研究対象としてゲームが市民権を持ち始めたことを意味する. その研究グループに Reijer Grimbergen( 将棋を担当現東京工科大 ),Ian Frank( コントラクトブリッジを担当現公立はこだて未来大 ),Martin Mueller( 囲碁を担当現 Canada Alberta 大 ) と外国人研究者が揃ったので, 彼らの協力を得てゲーム情の新たな国際会議を地元のつくばで開催した. それまでに 情処理 Vol.53 No.2 Feb. 2012 103

特集ゲーム情 は数年ごとに開催される Advances in Computer Chess(Games) だけしかゲーム情の国際会議はなかったのである. 新たな会議は Computers and Games と名付けて基本的に 2 年ごとに開催することになり, 世界のゲーム情の主要な国際会議として現在も続いている. 名称を変更した ICGA では飯田弘之氏 ( 北陸先端科技術大院大 ) が中心メンバとして活躍している. 1994 年から筆者らが自主的に実施してきた毎年のゲームプログラミングワークショップの活動をもとにして,1999 年に本会にゲーム情研究会を設立した. 年に 2 回の研究会と 1 回の 2 泊 3 日泊り込みワークショップ ( ゲームプログラミングワークショップ ) を実施している. 本会に年に数回の定期的な発表の場が確保されたことにより, 大院生や生がゲーム情を研究テーマにすることが増えてきた ( 大でゲーム情の研究が増えてきたのは, 教員の世代交代で研究対象としてゲームを許容する教員が増えたことも関係していると思われる ). ゲームプログラミングワークショップは 2011 年に 16 回目を開催し (Computers and Games を日本で秋に実施したときには開催しなかったので年数より回数が少ない ), ゲーム情の関係者の年中行事として定着している. 研究成果の発表の場としての論文誌はゲーム情単独では持っていないが, 情処理関係あるいは人工知能関係の論文誌に投稿している. 国際誌であれば IEEE や ACM などの情処理系の論文誌, あるいは AI Journal をはじめとする人工知能系の論文誌にゲーム情関係の論文がときどき掲載されている. チェッカーが解けた ( 引き分けになるゲームであることが分かった ) という論文は Science に掲載されている 4). 国内誌であれば本会論文誌, 電子情通信会論文誌あるいは人工知能会論文誌にときどきゲーム情関係の論文が掲載されている. 特に本会論文誌はすでに 2 回ゲームプログラミング論文特集が組まれており,2012 年にも 3 回目の特集が予定されている. この 10 年間に以下の 3 本がゲーム情から論文賞を受賞しており, 研究としても高いレベルを保っていることが分かる. 長井歩, 今井浩 :df-pn アルゴリズムの詰将棋を解くプログラムへの応用, 情処理会論文誌, Vol.43, No.6 (June 2002) 田中哲朗 : 部分ゲームの解析結果を用いたカルキュレーションの戦略, 情処理会論文誌,Vol.43, No.10 (Oct. 2002) 金子知適, 田中哲朗, 山口和紀, 川合慧 : 駒の関係を利用した将棋の評価関数の習, 情処理会論文誌,Vol.48, No.1 (Jan. 2007) ゲーム情を専攻して博士号を取った研究者は 1990 年代までは非常に少なく, 飯田弘之氏 ( 前述 ) ほか数えるほどしかいなかった.2000 年代以降は多くはないものの一定数の博士号取得者が出るようになっている. ゲーム情を発展させるためには大の教員に支持者を増やす必要があるので, 博士号取得者が増えていることは喜ばしい. ゲーム情を表看板にして大に就職できるのは依然としてむずかしいが, それはやむを得ないであろう. ゲーム情以外にも表看板で就職できない研究領域はたくさん存在する. ゲーム情を潜在的に許容する教員が増えることが重要である. ゲーム情が日本で受け入れられるようになった背景として, ディジタルゲームの隆盛の影響も大きそうである. 従来はゲームといえば将棋, 囲碁, オセロ, トランプのような思考ゲームが中心であったが, 特に日本では最近になってディジタルゲームが圧倒するようになった. 若者では将棋や囲碁のルールを知っている人よりもスーパーマリオやファイナルファンタジーのプレイの仕方を知っている人の方が多い. ディジタルゲームはとても面白いが, ゲームのしすぎによる問題も指摘されている. 新しいメディアはかつてテレビや本もそうであったようにその導入時には過度な入れ込みによる弊害が問題になる. 要は適度な付き合いをすればいいのだが, 適度な付き合いができるようになるまで時間がかかる. ディジタルゲームはその過渡期にあるために批判が多いと考えられる. ディジタルゲームが批判の対象になったので, 思考ゲームは相対的にその立場がよくなってきた. 同じゲームではあるが思考ゲームは 104 情処理 Vol.53 No.2 Feb. 2012

1 ゲーム情の現在 ゲームの研究は日本で疎外されなくなったのか 頭を使うということでディジタルゲームに比較して いいもの と見なされるようになってきたのである. 子どもの教育やお年寄りの痴呆防止のために思考ゲームを取り入れるという試みも行われるようになっている. 以前は思考ゲームも博打の仲間で 悪いもの の範疇にあったのだが, 世間からそれより悪いと見なされるディジタルゲームが出現したことによって地位が向上した. 思考ゲーム自体の地位が向上したことにより, それを研究対象とするゲーム情の地位も向上したと言える. ディジタルゲームも適度な付き合いができればメリットは大きいので, 近い将来にディジタルゲームの地位が向上すればさらにゲーム情の地位も向上すると期待したい. 筆者はディジタルゲームも研究しているので, ディジタルゲームも情処理の研究の例題として価値が高いことは強調しておきたい. 本会のエンタテインメントコンピューティング研究会ではディジタルゲームが中心的な例題の 1 つとなっている. 将棋と囲碁のプログラムの進歩 日本でゲーム情の研究が進んでいることを如実に表しているのが最近の将棋と囲碁のプログラムの進歩である. 将棋はチェスと異なり敵から取った駒を再利用できる持ち駒制度があるので, チェスが収束型ゲーム ( 終盤になると選択肢が減る ) なのに対して将棋は発散型ゲーム ( 終盤になると選択肢が増える ) であり, チェスの場合の数が約 10 120 なのに対して将棋の場合の数は約 10 220 である ( 場合の数はゲーム木の大きさを示す ). コンピュータにとって将棋はチェスよりむずかしいゲームで, なおかつゲームとして類似している ( ともに敵の最重要の駒を取ることがゲームの目的である ) ので, チェスの次に対象とするゲームとして将棋は適当である. チェスでは終盤データベースが有効であったが将棋では無効なので, 将棋ではその代わりに詰め将棋を解くルーチンが深く研究された.1990 年代からさまざまな研究者によって詰め将棋を効率的に解くアルゴリズムが開発されてきたが, 特に有効だった のが証明数 (proof number) の概念を拡張した探索アルゴリズムであった. 証明数探索は 1990 年代に外国で提唱されたものであるが, しばらくの間は適当な応用が存在しなかった. 詰め将棋を解く ( あるいは解けないことを示す ) のに証明数探索が使えることに気がついて非常に効率のよいアルゴリズムを開発することに成功した. その後証明数探索のアイディアは囲碁にも有効であることが示されつつある. コンピュータが詰め将棋を解く能力はかなり以前にトッププロ棋士のレベルを超え, すでに人間の能力が及ばないレベルにまで達している. 将棋のプログラムの強化に非常に有効だったのは機械習による評価関数の棋譜からの自動獲得である. 機械習は人工知能の中心的な研究課題で盛んに研究されているが, チェスなどむずかしいゲームではこれまで機械習はほとんど使い物にならなかった. Bonanza という将棋プログラムが初めて本格的に評価関数のパラメータ値を棋譜から自動習してコンピュータ将棋選手権で優勝という成績を収めた. それまでの評価関数のパラメータはプログラマが手作業で調整していた. それだとせいぜい評価関数の要素は百以下である. 機械習だと ( 多くのパラメータ値はゼロであるものの ) 評価関数は億単位の要素を扱えるので, それだけ評価が正確になる. 現在の将棋プログラムのほとんどは評価関数のパラメータ値を機械習によって求めている (Bonanza method と呼ばれている ). ゲーム情はチェスでは得られなかった研究成果を将棋から得ることができた. これらの研究成果を背景として合議制の将棋システム あから 2010 が 2010 年に女流プロ棋士の清水市代女流王将に勝利した 5),6). コンピュータ将棋の実力はプロの中間レベルには十分に達していると思われる. 囲碁は陣地取りのゲームで類似したものが他に存在しないこともあってゲーム情では世界的に早くから注目されていた ( 囲碁のプログラムの開発が始まったのは 1960 年代の外国で, 将棋のプログラムの開発が始まった 1970 年代よりも早い ). 囲碁の探索空間の広さは 10 360 と非常に大きく, チェスで成功した探索中心の手法がそのままでは使えそうに 情処理 Vol.53 No.2 Feb. 2012 105

特集ゲーム情 ない. どうすればいい手を探すことができるかなかなか分からず, 囲碁のプログラムはずっと弱いままでアマの有段者になれなかった. コンピュータ囲碁のブレイクスルーは 2000 年代に発展したモンテカルロ法の応用である 7). ゲーム情のほとんどの研究者はモンテカルロ法という単純な統計手法が囲碁で有効だとは信じることができなかった. この方法で強くなるのであればそれまで自分たちが苦労していた囲碁に関するヒューリスティック手法が否定されてしまうからである. しかし予想に反してモンテカルロ法は囲碁に有効であった ( もっとも単純なモンテカルロ法ではなくいくつかの工夫が施されている ). これまで数十年研究してきてアマ有段者になれなかったのだが, 数年のうちにアマ有段者になった. いまは持ち時間が短ければアマ 5 段に勝てるようになり,9 9 の狭い囲碁盤ではプロ棋士に勝つまでになっている. このレベルは将棋でいえば 10 年ほど前に相当するので, 囲碁も今後順調に行けば 10 年ぐらいでいまの将棋のレベルに到達できるかもしれない. コンピュータ囲碁の研究は国際的で世界チャンピオンはずっと外国のプログラムだったのだが, 最近は Zen( 市販名 天頂の囲碁 ) という日本のプログラムが世界チャンピオンになっている. 将棋と囲碁のプログラムがこのように進歩を遂げたのには日本のゲーム情の研究者が大いに貢献している. ゲーム情の今後 以上見てきたように日本でもゲーム情は受け入れられた ( もはや疎外されていない ) と見なすことができる. 研究領域はその研究の目標が達成されれば消滅するのが本来は筋である. もしゲーム情の目標を ある程度人間がプレイしている思考ゲームのすべてでコンピュータの方が人間より強くなること であるとすれば, その目標の達成は視野にはいってきた. 将棋はトップ同士の対戦がいつ実現するかの問題になっており, 以前は差が大きかった囲碁もこれから十数年以内に X デイは訪れると思われる. コンピュータにとって囲碁よりむずかしいメジャーな思考ゲームは存在しないので, 十数年後 に目標を達成して消滅する ( 研究会や国際会議も閉じる ) のが筋かもしれない. しかしゲーム情の目標を ゲームに情処理の技術を適用すること と広く捉えれば, むしろそれからが本番になる. いまは人間対コンピュータの対決図式で取り上げられることが多いが, それはコンピュータがまだ人間より弱いあるいはいい勝負だからである. コンピュータの方が明らかに人間より強いとなればもはや対決は成り立たなくなり, 本来あるべき協調の段階に至る. たとえばどんな強さの人ともいい勝負ができるアルゴリズムの開発は重要な研究課題である. 2001 年宇宙の旅 の HAL9000 のコンピュータは乗組員相手にチェスで勝ち続けていたが, それは真に知的とはいいがたい. 相手の人間に手抜きがばれないように手を抜いて勝ったり負けたりするのが真に知的なコンピュータの役目である. コンピュータにこういう 接待 ができれば人間にとって楽しい時間が過ごせる. 誰にも勝つコンピュータを作るよりも誰とでもいい勝負ができるコンピュータを作るほうがはるかにむずかしい. コンピュータが人間を助けてゲームをもっと人間にとって楽しいものにできるようにゲーム情は頑張っていきたいと思う. 参考文献 1) 松原仁 : ゲームと情科 ゲームの研究はなぜ日本で疎外されてきたか, 松原仁 竹内郁雄編 ゲームプログラミング, 共立出版,pp.199-206(1998). 2) ブルース パンドルフィーニ著, 鈴木知直訳 : ディープブルー vs. カスパロフ, 河出書房新社 (1998). 3)Syed, O. and Syed, A.:Arimaa : A New Game Designed to be Difficult for Computers,Journal of the International Computer Games Association, Vol.26, No.2, pp.138-139 (2003). 4)Schaeffer, J., Burch, N., Björnsson, Y., Kishimoto, A., Müller, M., Lake, R., Lu, P. and Sutphen, S. : Checkers Is Solved, Science, Vol.317, No.5844, pp.1518-1522 (2007). 5) 松原仁編 : あから 2010 勝利への道 特集, 情処理, Vol.52, No.2, pp.152-190 (Feb. 2011). 6) 田中徹, 難波美帆 : 閃け! 棋士に挑むコンピュータ, 梧桐書院 (2011). 7) 美添一樹 : モンテカルロ木探索 コンピュータ囲碁に革命を起こした新手法, 情処理,Vol.49, No.6, pp.686-693 (June 2008). (2011 年 11 月 21 日受付 ) 松原仁 ( 正会員 ) matsubar@fun.ac.jp 1986 年東大大院工系研究科情工専攻博士課程修了. 同年電総研 ( 現産総研 ) 入所.2000 年公立はこだて未来大教授. ゲーム情, エンタテインメントコンピューティング, 観光情などに興味を持つ. コンピュータ将棋協会理事. コンピュータ囲碁フォーラム会長. 106 情処理 Vol.53 No.2 Feb. 2012