第 1 章計画の策定にあたって 本計画策定時点においてに代わる新元号が未定であるため 本書では 2020 年以降についても元号表記をのまま用いています 計画書中に (*) で表示しているものについては 資料編に用語解説があります 計画書中に ( ) で表示しているものについては 同頁に説明があります 障害 の表記について 法令等に基づくもの 名詞や一般的に漢字で表記したほうがわかりやすいものは 障害 を使用し それ以外は 障がい と表記しています
第 1 章計画の策定にあたって 1 計画策定の趣旨 介護保険制度が始まった 12 年に約 10 万人であった大田区の 65 歳以上の高齢者人口 は 29 年現在 17 年前の約 1.6 倍となる 16 万人を超えました 29 年 10 月現在の高 齢化率 * は 22.7% さらに 75 歳以上の高齢者の割合は 11.1% となっています 加えて 単身世帯の高齢者数も年々増加し 27 年現在約 4 万人と 高齢者の 4 分の 1 を占め るに至っています また 介護や支援を必要とする高齢者も年々増え 29 年 10 月 1 * 日現在の要支援 要介護認定者数は31,934 人 認定率 * は18.9% となっています 高齢者が住み慣れた地域で 安心して暮らすためには 高齢者の生活を支える医療 介護 介護予防 住まい 生活支援が 必要に応じ 適切かつ円滑にコーディネートされる体制である地域包括ケアシステムを構築することが必要です このために 大田区は 高齢者一人ひとりの自立支援 重度化防止の支援や 介護が必要になったときに安心して支援を受けられるよう 介護サービス等の 共助 行政の 公助 の体制整備をすすめます このうえで 高齢者一人ひとりが介護保険法の趣旨を踏まえて元気維持や介護が必要になったときのために備える 自助 高齢者が 支えられる側 のイメージにとらわれることなく 世代を超えて支え合う 互助 の地域づくりをすすめます 国の動きでは いわゆる 地域包括ケアシステム強化法 における 29 年の介護保険法等の改正は 第 5 期に初めて掲げられ 第 6 期において本格的に取組みを開始した地域包括ケアシステムの深化 推進 及び介護保険制度の持続可能性の確保を掲げています このため 自立支援 重度化防止に向けた取組 医療 介護連携の推進や 介護サービスの利用料について 特に所得の高い層の負担割合を3 割とすることなどが規定されました また 地域住民や地域の多様な主体が 我が事 として参画し これらの人と資源が世代や分野を超えて 丸ごと つながる 地域共生社会 の実現に向けた取組みを推進することが掲げられました この計画は 以上のような背景を踏まえ 大田区における今後 3 年間の高齢者福祉施策及び介護保険事業について取り組むべき事項を定めるものです また 計画期間は3 年間ですが 中長期的な視点として 団塊の世代 * が75 歳以上となる2025 年 ( 37 年 ) を見据えた計画を策定します 2
2 計画の基本的性格 (1) 老人福祉法及び介護保険法に基づく策定と見直しの時期 おおた高齢者施策推進プラン~ 大田区高齢者福祉計画 第 7 期介護保険事業計画 ~ は 老人福祉法第 20 条の8に基づく 市町村老人福祉計画 及び介護保険法第 117 条に基づく 市町村介護保険事業計画 を一体のものとして策定するものです 計画期間は 介護保険法に基づき 30 年度から 32 年度の3 年間です 前期計画から取り組んできた 地域包括ケアシステム 構築を深化 推進する計画です 27 年度 28 年度 29 年度 30 年度 31 年度 32 年度 37 年度 おおた高齢者施策推進プラン ~ 大田区高齢者福祉計画 第 6 期介護保険事業計画 ~ おおた高齢者施策推進プラン ~ 大田区高齢者福祉計画 第 7 期介護保険事業計画 ~ 37 年までの見通し : 37 年までのサービス 給付 保険料の水準の推計 (2) 本計画の位置づけ この計画は 老人福祉法及び介護保険法に基づくほか 高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づく 市町村高齢者居住安定確保計画 を包含します また 大田区の区政運営や施策の基本となる 大田区基本構想 及び 大田区基本計画 の高齢者分野の個別計画でもあります 加えて 大田区地域福祉計画 をはじめとする区の保健 福祉に関する計画と整合性を持った計画とします 大田区基本構想 大田区基本計画 老人福祉法 大田区地域福祉計画 介護保険法 おおた高齢者施策推進プラン ~ 大田区高齢者福祉計画 第 7 期介護保険事業計画 ~ 市町村高齢者居住安定確保計画 整合性 おおた障がい施策推進プラン おおた健康プラン 3
4 3 計画の基本理念と基本目標 (1) 基本理念と基本目標地域包括ケアシステムをさらに深化 推進するため 地域包括ケアシステムが実現した姿を表すとともに 大田区基本計画 に掲げられた高齢者分野の個別目標である 高齢者が住み慣れた地域で 安心して暮らせるまちをつくります を この計画の基本理念と位置づけ 自立支援 重度化防止に向け取り組みます また 大田区基本計画 における高齢者分野の 3 つの施策の目標を この計画の基本目標と位置づけます 大田区基本計画の体系将来像 : 地域力が区民の暮らしを支え 未来へ躍動する国際都市おおた子育て 教育 保健 福祉分野の基本目標 1 生涯を健やかに安心していきいきと暮らせるまち大田区基本計画との関係 [ 基本理念 ] 高齢者分野の個別目標高齢者が住み慣れた地域で 安心して暮らせるまちをつくります高齢者が住み慣れた地域で 安心して暮らせるまちをつくりますおおた高齢者施策推進プランの体系基本目標1高齢者がいきいきと暮らせるまちをつくります基本目標2高齢者が地域で包括的なケアを受け 安心して暮らせるまちをつくります基本目標3いざというときに高齢者を支える体制をつくります
(2) 基本目標概要 基本目標 1 高齢者がいきいきと暮らせるまちをつくります 基本目標 1では 8 割以上の人が要支援 要介護認定を受けていないなど 介護や支援を必要としていない元気な高齢者が これまでの人生で培ってきた経験や知識を活かしながら いつまでも生きがいを持って暮らせることをめざします 一人ひとりが 就労 社会参加 介護予防とさまざまに活動することにより 地域の担い手を育成するとともに 地域ぐるみで元気維持や自立支援への取組を促す施策をすすめます 基本目標 2 高齢者が地域で包括的なケアを受け 安心して暮らせるまちをつくります 基本目標 2では 介護や支援が必要となった高齢者が 生活を支えるために必要となる医療 介護 介護予防 住まい 生活支援などのサービスが適切 かつ円滑に確保されることで 地域の中で安心して暮らせる 地域包括ケアシステム を構築することをめざします 地域包括ケアシステム構築を中核となってすすめる地域包括支援センター * の機能を強化し 生活を支えるサービスの連携 発掘をすすめるとともに 介護保険サービスの充実 医療と介護の連携を推進する施策をすすめます 基本目標 3 いざというときに高齢者を支える体制をつくります 基本目標 3 では 災害時や介護者の急病など緊急時の生活 また 財産などの権利や 尊厳が守られ 高齢者が安心して暮らせることをめざします * * 福祉避難所等の災害時の支援体制の充実や 成年後見制度利用促進法が施行された ことも踏まえた成年後見制度の利用支援 虐待防止の施策をすすめます 5
(3) 基本目標達成に向けた視点と考え方 これらの基本目標の達成に向けた施策の取組は 地域力 の活用 分野を超えた 切れ目のない支援 対応が困難化する前の 予防的取組 の 3つの視点を踏まえて推進します 地域力大田区基本計画では 地域力 を 区民一人ひとりの力を源として 自治会 町会 事業者 団体 NPO * など様々な主体が持っている力 それら相互及び区との連携 協働によって生まれる力を含んだもの と定義しています ひとり暮らしの高齢者や高齢者のみの世帯が急増している中 地域住民の支え合いや 買い物 食事作り 見守り などといった 生活支援サービス のニーズが高まっています そのため 行政サービスのみならず 区民 NPO ボランティア 事業者等の多様な事業主体による重層的な支援体制を構築することが求められています 同時に 高齢者の社会参加をより一層推進することを通じて 元気な高齢者が生活支援や次世代支援の担い手として活躍するなど 高齢者が社会的役割を持つことで 生きがいや介護予防にもつなげる取組が重要です こうした地域づくりのために欠かせない力として 地域力 を積極的に活用する取組をすすめます 切れ目のない支援元気なときから介護が必要になったときまでという 時期の切れ目 に加え 一つの世帯の複数の課題等に対し 高齢分野 障がい分野といった 分野の切れ目 なく対応するため 地域包括支援センターを中心とする相談体制を充実し 世帯 地域を包括的に支援する取組をすすめます 予防的取組 加齢に伴う心身の機能低下に対し 早期から備えることの重要性が浸透するよう 介護予防 認知症予防などの取組を推進します また 見守り 支え合う地域をつくることによる虐待予防等 事態が発生する前の予防の取組をすすめるとともに 早期発見 早期対応することにより課題の複雑化 困難化を防ぐ取組をすすめます 6
おおた高齢者施策推進プランにおける 自立支援 重度化防止 の考え方 介護保険法は 自立した日常生活 及び国民の努力義務について 下記のとおり定めています ( 目的 ) 第 1 条この法律は 加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり 入浴 排せつ 食事等の介護 機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について これらの者が尊厳を保持し その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう 必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため 国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け その行う保険給付等に関して必要な事項を定め もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする ( 国民の努力及び義務 ) 第 4 条国民は 自ら要介護状態となることを予防するため 加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに 要介護状態となった場合においても 進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより その有する能力の維持向上に努めるものとする この計画においては 自立した日常生活 を 可能な限り できる範囲で 自分の生活 人生に主体的に参画し 自分らしい生活を営むこと とします 元気な高齢者はその状態を維持し 支援や介護が必要な高齢者は状態の維持向上に努めるとともに できる範囲で自分らしく暮らす その人に応じた 自立した日常生活 の実現を計画全体で支援します 自立支援及び要介護高齢者の要介護度の重度化防止のためには 介護保険法第 4 条に規定されるとおり 高齢者本人が意欲を持って主体的に取り組むことが欠かせません 加齢に伴い心身の機能が低下してきたとき できないから諦めて人に任せる よりも 手助けを受けながらも できる限り自分のしたいことを続ける 主体的な生き方に多くの高齢者が挑戦することができるよう この計画では 高齢者の意欲が高まることを掲げています 重度の要介護状態であっても 必ず その人に応じた自分らしい暮らし方があります そのような 自立した日常生活 を区は地域の皆様とともに応援していきます この考え方は 高齢者福祉計画 介護保険事業計画推進会議における検討を経て示しております 計画期間中に この考え方を区民 事業者に広く周知することをめざします 7
4 計画策定の体制と方法 (1) 区民との協働 高齢者福祉計画 及び 第 7 期介護保険事業計画 を一体的に策定するため 学識経験者 関係団体 公募委員で構成する 大田区高齢者福祉計画 介護保険事業計画推進会議 を設置し これまでの計画推進状況や計画の策定について 公開の場で審議を行ってきました また 区民意見公募手続 ( パブリックコメント ) * や区民説明会を通して区民からの意見を聴取し 区民との協働による計画策定を行いました (2) 関係部局の連携 高齢福祉課 介護保険課を中心に 福祉部のみならず 健康政策部 地域力推進部 まちづくり推進部 企画経営部 区民部の関係管理職で構成する 大田区高齢者福祉計画 介護保険事業計画庁内検討委員会 を設置し 計画策定の検討を行いました (3) 高齢者等実態調査等の実施 計画策定にあたり その基礎資料とするため 介護保険の被保険者 介護サービス事業者を対象に実態調査を行いました ( 以下 高齢者等実態調査 といいます ) 調査対象や調査方法及び回収状況は以下のとおりです 〇実施期間 28 年 11 月 10 日 ~12 月 5 日 調査対象者調査方法調査対象者数 有効回収数 ( 回収率 ) 要支援 要介護認定を受けていない 65 歳以上の被保険者 要支援 要介護認定を受け 居宅サービスを利用している 65 歳以上の被保険者 要支援 要介護認定を受け 介護保険サービスを利用していない 65 歳以上の被保険者 要支援 要介護認定を受け 区内の介護保険施設 有料老人ホーム 認知症高齢者グループホーム * を利用している 65 歳以上の被保険者 郵送配付 郵送回収 はがきによる督促 1 回 2,600 人 2,600 人 1,000 人 1,000 人 1,876 人 (72.2%) 1,579 人 (60.7%) 599 人 (59.9%) 607 人 (60.7%) 8
調査対象者 調査方法 調査対象者数 有効回収数 ( 回収率 ) 特別養護老人ホームへの入所申請をしている 65 歳以上の被保険者 700 人 376 人 (53.7%) 要支援 要介護認定を受けていない 40~64 歳の被保険者 要支援 要介護認定を受けている 40~64 歳の被保険者 区内の介護 ( 予防 ) サービス提供事業者 郵送配付 郵送回収 はがきによる督促 1 回 800 人 200 人 547 事業者 426 人 (53.3%) 118 人 (62.7%) 417 事業者 (76.2%) また 計画策定にあたり 大田区と東京都健康長寿医療センターが共同で実施した 大 田区シニアの健康長寿に向けた実態調査 の結果を活用しました 調査対象や調査方法 及び回収状況は以下のとおりです 〇実施期間 28 年 6 月 28 日 ~7 月 29 日 調査対象者調査方法調査対象者数 有効回収数 ( 回収率 ) 要支援 要介護認定を受けていない 65~84 歳の高齢者 郵送配付 郵送回収 はがきによる督促 1 回 15,500 人 11,701 人 (75.5%) (4) 介護給付実績の分析 評価 第 7 期介護保険事業計画の作成にあたり 第 6 期計画期間中の給付状況や要介護認定率については介護保険事業状況報告のデータのほか 地域包括ケア 見える化 システム * による他の保険者との地域間比較を行うなど 区の介護保険サービスの利用状況等の傾向や特徴等を分析しました 9
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