2017/9/22 第 2 回スマートエネルギー推進セミナー IoT 技術 I 技術のエネルギーシステムへの適用 I 技術の進展 ~ 産総研人工知能研究センターの現状と展望 ~ (1)I IoT の最近の躍進 産業技術総合研究所人工知能研究センター西田佳史 (2) 産総研人工知能研究センターの目指すもの (3)I/IoT/ ビッグデータを活用したイノベーション (4) 展望 (I IoTによる生活機能レジリエント社会) 最近の人工知能の事例人間に迫る人工知能 lphago(2016) 機械学習と模擬ゲーム IBM ワトソン : 言語理解 テキストと構造化された知識 ( 事実 ) 検索と質問応答 コンピュータ将棋 コンピュータ碁 : 大規模な探索空間, 機械学習 東大入試ロボット : 言語理解 問題解決 知識に基づく推論 会話ロボット : 身体性をもった知能, 特定の文脈下での言語理解 深層学習 : 脳からのヒント 計算原理の変革 自律性をもった機械学習 脳科学 : 人間知能の解明 v(s) p(a s) 深層学習 完全情報ゲーム 訓練データ 過去の棋譜データベース 模擬ゲーム 3000 万局もの自己対局
世界の I 日本の現状 (1)I IoTの最近の躍進 (2) 産総研人工知能研究センターの目指すもの (3)I/IoT/ ビッグデータを活用したイノベーション (4) 展望 (I IoTによる生活機能レジリエント社会) 計算機の能力が指数関数的に向上 デジタルデータの量が爆発的に増大 人工知能が重要に あらゆる産業の知能化が進行 米国では 巨大 IT 企業が優れた研究者を世界中から集め 自らの持つ巨大データと様々な技術を組み合わせた人工知能を開発し 事業化 実世界での応用と基礎研究への短いサイクルでのフィードバック 日本では 研究者が個別に基礎研究に従事し それらを統合して革新的な人工知能を開発する動きは少ない 6 データの量は 2010~2020 の 10 年間で 50 倍 データの集積 DT 出展 :ID The Digital Universe in 2020 応用 NEEDS 大規模データ活用のインパクト アムステルダム大 従来技術技術の成熟ブレークスルー SEEDS INRI オックスフォード大 東大 トロント大 大規模物体認識 ILSVR2012 における Deep Learning の性能 0.1 Deep Learning 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35 人工知能の技術開発 : 現状 第 4 次産業革命で可能となる生活データ駆動型マニュファクチャリングのサイクル ( インダストリ4.0と生活科学 2.0の融合 ) データ (IoT 技術 ) 米国の巨大 IT 産業 データ 資金 研究者 開発者の集中 閉じたエコシステム データの局在時代から偏在時代へ Start-Up の M& 巨大 IT 産業 (G,M,F,) Needs Seeds Data 日本 ( ヨーロッパも ) データ 研究者 技術者の Fragmentation 資金の欠如 開いたエコシステムへ Start-Up との共同 援助 課題 データ 知性 遍在 社会 7 サービス提供 そのためには 1 手早くバリューチェンを作り 社会インパクト創造 2 個々の技術でオリジナリティ発揮 I 技術
国立研究開発法人産業技術総合研究所 2001 年に経済産業省傘下の国立研究所が融合して発足 ( 独立行政法人化 ) 研究職員約 2316 名 (2017.4) 元国立研究所としては国内最大規模 幅広い産業技術分野を研究 ナノテクノロジー バイオテクノロジー 微生物 脳科学 情報技術 レーザー エネルギー技術 地質調査 宇宙探査 主拠点は茨城県つくば市日本各地に地域センター http://www.aist.go.jp 9 産総研人工知能研究センター 2015 年 5 月 1 日設立 産総研臨海副都心センター + つくばセンター クロスアポイントメント 客員 招聘研究員 Research ssistant 等を活用して 国内外の大学 企業から研究者の参画を得る 優れた技術を実用現場に橋渡しするハブ機能と人材育成 社会実装を進める企画チームの設置 国内外の大学 企業からの参画 連携産総研の研究ユニットとの連携 10 研究チーム構成 知識情報研究チームチーム長 : 中田亨 確率モデリング研究チームチーム長 : 本村陽一 脳型人工知能研究チームチーム長 : 中田秀基 機械学習研究チームチーム長 : 瀬々潤 人工知能クラウド研究チームチーム長 : 小川宏高 人工知能応用研究チームチーム長 : 村川正宏 データプラットフォーム研究チームチーム長 : 金京淑 サービスインテリジェンス研究チームチーム長 : 西村拓一 計算社会知能研究チームチーム長 : 野田五十樹 地理情報科学研究チームチーム長 : 中村良介 生活知能研究チームチーム長 : 西田佳史 オーミクス情報研究チームチーム長 : 光山統泰 インテリジェントバイオインフォマティクス研究チームチーム長 : 富井健太郎 11 NEEDS 企業 ompanies 技術移転共同研究 Technology transfer DT Platforms Modules Joint research SEEDS 産総研人工知能研究センター I 技術の研究開発と実用化の循環 ネットワークサービスコミュニケーション Network services ommunications 言語理解 Text mining 海馬モデル Hippocampus 脳型人工知能 Brain architecture I 大脳皮質モデル erebral cortex 社会 ビジネスへの適用 pply to the real business and society 小売 流通気象情報健康 生活支援産業ロボット 自動車サービスデザイン文献分類ベンチャー Health care Industrial robots Retail meteorology informationn Venture Living support utomobile Service Design Document classification business pplication Domains 標準タスク化 起業, 技術移転人工知能共通基盤標準データ Technology transfer I Research and Technology Platform 先進中核企画チーム Planning team モジュール予測 推薦計画 制御行動分析パターン認識 Prediction Planning Behavior mining Pattern recognition I 研究フレームワーク Recommend ontrol 基底核モデル Basal ganglia データ 知識融合型人工知能 Data-Knowledge integration I 知識モデル確率関係 Knowledge モデル Probabilistic relation ベイジアンネット Bayesian net 大学 企業とも連携した国内最大の I 研究拠点 rtificial Intelligence Research Base with Industry-cademia cooperation
開発中の I モジュール例 IoT 画像処理 行動認識テクノロジー 生活知能研究チームの内容安全 自立 参加を支える生活知能 生活環境認識技術 行動認識技術を融合させ 課題解決に応用 ホームセーフティ ( 熱中症 溺水 熱傷 ベランダからの転落 ) への応用 認知症のプロセス認識によるパーソナルな評価 状態管理への応用 行動認識 クラスタ 地図作成 環境認識 生活環境認識 行動認識技術 リンケージ技術 ベッド IoT センサ 靴 IoT センサ リスク予測技術 手すり IoT センサ 生活環境センシング技術 14 生活機能レジリエント社会の必要性 (1)I IoT の最近の躍進 (2) 産総研人工知能研究センターの目指すもの (3)I/IoT/ ビッグデータを活用したイノベーション (4) 展望 (I IoTによる生活機能レジリエント社会) 構成員の変化の総合を扱う必要がある
日常生活のイノベーション ( 科学からデザインへ ) データ駆動型の科学 ( アウェアネス ) デザイン 実世界 実問題と繋がったリビングラボ Linked Living Lab 構造理解 が分からない構造 の固定 ( 操作不能な説明変数 ) 見かけ上構造変化 変え方 が分からない構造 B 変えられるもの ( 操作可能変数 ) ( 操作不能な説明変数 ) 変えられる 構造 Dale Hanson (2012) ( 現場実効性 ) 相違は現場複雑系から ( 実験室有効性 ) コデザインリビングラボの全体図 ( 農学部は農場 医学部は病院 生活科学はIoT 付リビングラボ ) 実世界 実問題と繋がったリビングラボ Linked Living Lab 子ども病院子どもの行動データ 老人ホーム要介護高齢者の行動データ 科学からデザインへ ( 子どもの傷害 ) 科学 ( 事故現象が不明 ) デザイン 社会に分散した Big data リハ病院高齢者の行動変化データ 一般住宅 19 健常高齢者 子ども 環境データ 構造理解? が分からない構造 の固定見 かけ上 構造変化 変え方 が分からない構造 B 変えられるもの ( 操作可能変数 ) ( 操作不能な説明変数 ) 変えられる 構造
社会背景 : 生活機能変化のエビデンス 重要因子クリフ分析 45% 40% 35% 30% 25% 20% 15% 10% 5% 0% 発達とともに起きる事故 出産 育児のための休職 退職 救急搬送数出産数人口推移婚姻数要支援 介護認定数家庭の介護者 クリフ (liff: 非線形な崖 ) 重症事故につながる重要特徴を理解 化学の分野では, 分子構造が似ているが化学的な特徴が劇的に違う構造 ( ある種の非線形な崖 ) に着目した分析方法として,ctivity liff と呼ばれている考え方がある それを応用 事故データを用いた検証例 重要因子クリフ分析ソフトウェア (with PSI) 重症事故と軽症事故の比較 (100 万件のデータ ) 250000 ハードルを跳びこえた時バランス崩して転倒 治療費 ( ) 200000 150000 100000 50000 0 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 状況類似度 重症事故率 = 柔道でバランス崩し転倒 重傷事故率 類似した状況でも柔道やハードルの事故が重症となりやすい 柔道 ハードル 重症事故に含まれている特定の事故の件数 100 全体に含まれている特定の事故の件数
改善事例 ( ハードル ) 250000 200000 150000 100000 50000 0 0 0.5 1 ハード改善事例 ハードルを跳びこえた時バランス崩して転倒 重傷事故率 予防法の考案につながる 柔道 ハードル 実世界 実問題と繋がったリビングラボ Linked Living Lab 社会に分散した Big data 子ども病院子どもの行動データ リハ病院高齢者の行動変化データ 老人ホーム要介護高齢者の行動データ 一般住宅 26 健常高齢者 子ども 環境データ 子どもの転倒の科学的データ 日常空間 子どもの遊び場をセンサ化することで 子どもの発達段階ごとの行動データを取得 この事例は 転倒データベース Bed Room 画像処理技術を用いて 子どもの転倒 ( 速度や姿勢など ) を105 回の転倒をデータベース化した 世界初 Fall Data ccumulation : 加速度 ジャイロセンサ :IEEE1394 カメラ (6 台 ) P
医療機関データによる事故の発生事例 医療機関から収集した事故事例データベース ( 産総研開発 ) によると 歯ブラシをくわえたまま転倒することによる刺傷事故が発生していることが判明 自宅で歯ブラシをくわえて遊んでいた子どもがたたんだ布団の上からジャンプした時転倒し, 激しく泣きだした 近寄って顔を見たら, 口の中から出血していたので心配になり救急車要請. (2 歳 男 ) ハブラシを口にくわえたまま転倒して 咽頭部切創 (2 歳 男 ) 姉宅の居室で生後 9 カ月の息子が歯ブラシをくわえてはいはいしていたところ転倒し口中を受傷 (0 歳 男 ) 1 歳の子が歯ブラシを口に入れたまま歩き父親にぶつかったため怪我をしたと思い救急要請 (1 歳 女 ) 抜粋 : 日本小児科学会 Injury lert 科学からデザインへ ( 歯ブラシの熱傷 ) 科学 ( 年齢と刺傷と製品の関係 ) 構造理解 が分からない構造 の固定かけ上 子どもを座らせる 注意 ( 個人努力 ) 見構造変化 変え方 が分からない構造 B 変えられるもの ( 操作可能変数 )? デザイン ( 操作不能な説明変数 ) 変えられる 構造 転倒データベースと有限要素法による解析 転倒データベースと有限要素解析技術を用いることで 転んでも刺さらない歯ブラシ ( 曲がる歯ブラシ ) をメーカーと協力して開発 LS-DYN 歯ブラシの新しいデザイン : 曲がる歯ブラシ DHL より 付加価値を持った歯ブラシ ( 転んでも刺さらない ) が開発 販売され キッズデザイン賞 グッドデザイン賞などを受賞した 1.5[m/s] 1 歳児 歯ブラシ 歯ブラシが曲がることで衝撃を吸収 第 9 回キッズデザイン協議会会長賞受賞グッドデザイン賞 2015 受賞 日経ビジネス 2016 年 7 月号 日本の発明力 に取り上げられる
人工知能を活用したアウェアネス人の知恵と人工知能の協業によるデザイン 実世界 実問題と繋がったリビングラボ Linked Living Lab 子ども病院子どもの行動データ 老人ホーム要介護高齢者の行動データ 1. 膨大なデータの中には課題が混在しており, どこに解くべき課題領域があるのか整理されていない. 2. 課題を焦点化することで, 何を考慮すべきかを明らかにする. 3. 課題を抽出し, 整理する. 4. 関係者が連携し, 設計時に検討する変数を増大させる. 5. デザインによる創造的な改善策, 解決法を提案する. 33 リハ病院高齢者の行動変化データ 一般住宅 34 健常高齢者 子ども 環境データ 社会背景 : 生活機能変化のエビデンス 45% 救急搬送数 科学からデザインへ ( 高齢者の健康維持 ) 40% 出産数 人口推移 科学 ( 個人の生活現象が不明 ) デザイン 35% 30% 25% 20% 15% 10% 5% 0% 配偶者や親の介護 婚姻数 要支援 介護認定数 家庭の介護者 身体 認知機能の低下による事故 介護 構造理解? が分からない構造 の固定見 かけ上 構造変化 変え方 が分からない構造 B 変えられるもの ( 操作可能変数 ) ( 操作不能な説明変数 ) 変えられる 構造
一般住宅型リビングラボを用いた高齢者の生活変化のモニタリング技術 手すり型センサを用いて毎日モニタリング 手すり IoT センサを用いて 11 か月 ( 毎日 ) の歩行速度変化を自動計測 従来 困難であった自然な状態 ( センサを身体に取り付けることなく ) での日々のモニタリングが可能となった 一般住宅型リビングラボ 被験者 :88 歳女性 手すりセンサ技術 (2016/1/10) センサデータを用いた定量的評価 パーソナルな見守りとパーソナルな支援 5m 歩行時間 : 平均 8.3 [s] 要介護者リスクの評価 牧迫飛雄馬ら, 後期高齢者における新規要介護認定の発生と 5m 歩行時間との関連 :39 ヵ月間の縦断研究, 2011 長期 毎日モニタリングによって個人の歩行機能変化を検出し 個人に適合したきめ細かい介入のデザインと評価の可能性 歩行能力の低下を検出 介入 ( 食事 運動療法 ) プリシジョン事故予防 プリシジョンリスクマネジメント
(1)I IoTの最近の躍進 (2) 産総研人工知能研究センターの目指すもの (3)I/IoT/ ビッグデータを活用したイノベーション (4) 展望 (I IoTによる生活機能レジリエント社会) 骨太な ( 社会問題解決型 ) イノベーションとの関係日常生活インフォマティク課題解決化構造(次元追加)の固定見かけ上( 操作不能な説明変数 ) 市場 経済社会 生活問題 問題構造 構造変化 固定化された 隠れた 問題 個々の生活が変わること ( 社会 生活問題の改善 解決 ) B 変えられるもの ( 操作可能変数 ) 産業化ス個人問題 努力産業化 ( 公益性の高い隠れたニーズ ) ( 操作不能な説明変数 ) 変えられる構造化 された問題 プロダクト サービスによって個人問題から市場問題へ変換 ( 専門化と交換のメカニズム ) 社会インパクト ( 子ども事故予防分野 ) 産総研研究グループ発足 キッズデザイン賞開始 消費者庁 子ども 事故 (Google Trend) キッズデザイン (Google Trend) 43 ニーズ 2005 シーズ 2007 2009 2011 認知症人工知能 (Google Trend) 2013 (Google Trend) 2015
New Normal 駆動型イノベーション ( 問題 データ 知性遍在社会 ) 国連の今後 15 年の目標 (2015/9/25 採択 ) 46 SDGs は 持続可能な社会のサブゴール サブゴールを別々に扱うのではなく 総合実現を扱う必要がある 社会課題 = サイエンス = イノベーションの観点 Living Problem Solving 社会参加 ( 問題の解決 ) 国連 SDGs(17の目標 ) ユニバーサルデザイン2.0 Living Innovation ( 産業化 ) New value (tractable) 必要な活動 身体 認知による機能評価 30 生活25 M330 SY02 機I04 軽度認20 I03 能M304 I01 M333 に15 M324 PI18 SY01 I02 SY05 10 PI07 SY03 PI08 軸M336 SK02 5 SY04 M303 1: 生活機能変差利点 PI09 M320 化に伴う使用製品の重度 0 SK01 変遷を分析可能 0 20 40 60 80 100 重度 BI ( 身体機能 ) 利点 2: 軽度意味のみなら身体機能軸ず物理現象として分析可能 知機能MMSE ( 認知機能 ) 行動ライブラリ ( リビングラボ応用例 ) 高齢多様性生活多様性 Living omplex/diversity 47 ( 生活の科学 ) 何を どうかえるべきか分からない社会 何をどう変えるかを考えられる社会 I によるアウェアネス 人と I の協業によるデザイン 変えられる構造に変換された社会 B 社会が説くべき問題集の作成者としてのリビングラボ 新たな変えられる化のための未活用要素社会に眠った社会機能 賞 メディア レギュレータ 自治体との協業 社会の価値創造者としてのリビングラボ 疑似環境リビングラボ 現場リビングラボ ソリューション探索者としてのリビングラボ