BIM/CIM 活用における 段階モデル確認書 作成マニュアル 試行版 ( 案 ) 平成 31 年 3 月 国土交通省 大臣官房技術調査課

Similar documents
平成21年度CALS/EC整備検討(新計画)業務

1. 河川 道路関係 ICT の全面的な活用の推進に関する実施方針 ( 平成 31 年度 ) 要領名 U R L ICT の全面的な活用の推進に関する実施方針 ( 平成 31 年度 ) 別紙 (1から23) 一式ダ

スライド 1

*17

目次 1. はじめに... 1 (1) 静岡市電子納品実施マニュアル入門編 工事 の位置づけ... 1 (2) 電子納品とは... 1 (3) 静岡市の電子納品導入計画 電子納品のフロー 準備... 2 (1) 電子納品の適用範囲... 2 (2) 対象となる電子成果

<4D F736F F D2093B998488E7B90DD8AEE967B B835E8DEC90AC977697CC2E646F63>

<4D F736F F D C4816A93648E71945B956982C98AD682B782E9895E97708AEE8F80288C9A927A C582A982E C52E646F6378>

i-Construction型工事の概要 (素案)

JCM1211特集01.indd

目次 1.CALS システム利用から完了までの流れ 2 2. 納品データの登録 書類の提出 決裁 納品物を作る 5 3. 納品情報の入力 案件基本情報 書類納品情報 写真 図面等の納品情報 電子納品媒体作成 一括

【手引き】完了時の手続について

Microsoft PowerPoint - (修正4)電子納品の手引き案新旧対照表H30.4.1

目次 1. はじめに... 1 (1) 静岡市電子納品実施マニュアル入門編 業務 の位置づけ... 1 (2) 電子納品とは... 1 (3) 静岡市の電子納品導入計画 電子納品のフロー 準備... 2 (1) 電子納品の適用範囲... 2 (2) 対象となる電子成果

目 次 1. 京都府電子納品運用ガイドライン ( 建築工事及び建築設計業務等 ) について 1.1 位置づけ 適用する事業 本ガイドラインに関わる規定類の関係 電子納品の対象とする書類の考え方 2 2. 建築工事 ( または業務 ) における電子納品の流れ 3 3

公共建築改善プロジェクト(仮)

12新旧対照表(工事完成図書の電子納品要領).docx

電子成果品及び工事帳票の作成における留意点 一般事項 監督職員へ納品する電子媒体作成の留意事項を次に示します ア ) ハードディスク上で電子媒体への格納イメージどおりに電子成果品及び工事帳票が整理されていることを確認します イ ) 管理ファイルを電子納品チェックシステムまたは市販の電子

2 採用する受注者選定方式の検討について廃棄物処理施設整備事業で一般的に採用されている受注者選定方式は表 -2のとおりです 受注者選定方式の検討に際しての論点を下記に整理しましたので 採用する受注者選定方式について審議をお願いいたします 本施設に求められる5つの整備基本方針に合致した施設の整備運営に

<4D F736F F D D977697CC81458AEE8F8082CC89FC92E893E097658E9197BF81698F4390B3816A2E646F63>

発注者支援業務(工事監督支援業務)のポイント

                            技管第  号

第三者による品質証明制度について 参考資料 Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism

ITS CALS Support Center

工事施工中における受発注者間の情報共有システム機能要件 (Rev4.0) 平成 26 年 7 月版 ( 国土交通省国土技術政策総合研究所 )( 以下 機能要件 ) ( ただし データ連携機能を除く ) 工事帳票 確認 立会願 段階確認書 工事履行報告書 材料確認願 及び 工事打合せ簿 に

新潟県 CALS システム 電子検査システム 簡易検査ビューワ ( 工事用 ) 操作マニュアル 平成 25 年 7 月 1 Copyright (c) NEC Corporation 2013

( 対象工事等 ) 第 3 条 (1) 設計業務等は 全件実施とする ただし 建物調査及び工損調査 ( 以下 建物調査等とする ) や現場技術業務委託等については 試行とする (2) 土木工事の写真については 当初設計金額が1,000 万円以上のものは 実施とする また 当初設計金額が1,000 万

スライド 1

Microsoft Word 「前編目次」.DOC

Microsoft Word - 運用マニュアル(案)【受注者編】H21.4.doc

平成 29 年 6 月 1 日 ( 木 ) 国土交通省関東地方整備局企画部 記者発表資料週休 2 日の達成を目指す試行工事をスタートします ~ 建設業が取り組む 週休 2 日の定着 を発注者としてサポート ~ 関東地方整備局においては 平成 27 年度から 週休 2 日確保試行工事 ( 以下 試行工

Ⅵ 記録映像製作業務 1. 企画業務 2. 撮影業務 3. 編集業務

タイトル

7 メールの送信先 情報共有 におけるメール送信先を以下に示す (1) 受注業者が発注機関に対し書類を送信する場合 宛先 は一般監督員とし CC により主任監督員にも送信することとするが 受発注者双方の 協議 により不要と判断した場合は この限りでない 主任監督員を置かない案件の場合は 担当係長に読

7 メールの送信先 情報共有 におけるメール送信先を以下に示す (1) 受注業者が発注機関に対し書類を送信する場合 宛先 は一般監督員とし CC により主任監督員にも送信することとするが 受発注者双方の 協議 により不要と判断した場合は この限りでない 主任監督員を置かない案件の場合は 担当チーフに

内容 ( 再確認 ) 請負工事に関連する道路施設について以下のデータを 作成する (1) 道路施設基本データ詳細情報 (2) イメージデータ : 道路施設一般図 (3) イメージデータ : 現況写真 (4) 道路施設基本データ位置図 (1) 道路施設基本データ詳細情報以下の詳細情報群 (CSV テ

Microsoft PowerPoint - 【資料6】業務取り組み

<4D F736F F D F43494D C CA48F438AE989E62888C4816A7234>

<4D F736F F D FC8E448FEE95F1837C815B835E838B C8F92E88B608F912E646F63>

現行の電子納品に対し 工事施設帳票 と 立体形状生成に必要な情報を付加した 完成平面図 横断図 構造図 を追加 電子納品データ 現行の電子納品の範囲 ( 破線内 ) 工事管理ファイル XML 発注年度 工事番号, 工事名称 工期終了日 対象河川コード 発注者コード, 発注者名称 DRAWINGS (

Microsoft Word - 1-1情報共有システム運用ガイドライン(案)改定案.doc

改訂履歴 版数日付改訂内容項番 ページ等 /03/31 全面改定

管理技術者の手持ち業務量の制限等の試行について【改正全文】

設計用数値地形図データ ( 標準図式 ) 作成仕様 の電子納品運用ガイドライン ( 案 ) 平成 29 年 3 月 国土交通省大臣官房技術調査課

北海道開発局における電子納品に関する手引き ( 案 ) 工事編 改訂案 項目現行改訂後 要領 ガイドラインの改訂 図表番号の挿入 要領 ガイドラインの改訂に伴い 該当項目を更新 地方整備局 ( 港湾空港関係 ) の事業における電子納品運用ガイドライン ( 案 ) 工事編 地方整備局 ( 港湾空港関係

西宮市電子納品運用ガイドライン

受注者のための 初めての施工プロセスを通じた検査と出来高部分払い H22.6 Version

大規模災害等に備えたバックアップや通信回線の考慮 庁舎内への保存等の構成について示すこと 1.5. 事業継続 事業者もしくは構成企業 製品製造元等の破綻等により サービスの継続が困難となった場合において それぞれのパターン毎に 具体的な対策を示すこと 事業者の破綻時には第三者へサービスの提供を引き継

土木工事書類スリム化ガイドの発行にあたり 関東地方整備局では 平成 20 年度の 土木工事書類作成マニュアル 策定を契機に 工事書類の簡素化に努めています また 平成 27 年度より 工事書類の提出方法を事前協議で明確にすることで 紙媒体の提出に加えて電子データを提出する二重提出の防止に向けて取り組

令和元年度 歩掛データ整理業務 特別仕様書 北陸農政局 土地改良技術事務所

電子納品特記仕様書 業務 1 適用本業務は, 電子納品の対象業務とする 電子納品とは, 調査, 設計, 工事などの各業務段階の最終成果を電子成果品として納品するものとする をいう ここでいう電子成果品とは, 盛岡市電子納品ガイドライン ( 案 )( 以下, ガイドライン という ) に基づいて作成し

法定福利費の明示について 1 社会保険等未加入対策 建設業者の社会保険等未加入対策として 社会保険等への加入を一層推進していくためには 必要な法定福利費が契約段階でも確保されていることが重要です 建設工事における元請 下請間では 各専門工事業団体が法定福利費を内訳明示した 標準見積書 を作成しており

働き方改革実現に向けた週休二日の取得に関する取組について 直轄工事における週休二日取得の取り組み 施工時期の平準化適正な工期設定 週休二日算定が可能な 工期設定支援システム の導入 工事着手準備期間 後片付け期間の見直し 余裕期間制度の活用週休二日を考慮した間接費の補正 < 週休二日対象工事 > 対

Microsoft PowerPoint - 工事の電子納品について(H21.9).ppt

競争入札参加資格審査申請 ホーム・メニュー

福井県建設リサイクルガイドライン 第 1. 目的資源の有効な利用の確保および建設副産物の適正な処理を図るためには 建設資材の開発 製造から土木構造物や建築物等の設計 建設資材の選択 分別解体等を含む建設工事の施工 建設廃棄物の廃棄等に至る各段階において 建設副産物の排出の抑制 建設資材の再使用および

Microsoft PowerPoint - H3005電子納品説明資料( 修正)

Microsoft PowerPoint - COBRIS版CREDAS画面イメージ.pptx

<4D F736F F D FC92E881698AC48E8B8AAF816A89F090E B95B62E646F6378>

愛媛県電子納品チェックソフト Ver 機能改善項目 愛媛県電子納品チェックソフトバージョン より 下記の内容が変更されます XML のチェック DRAWING.XML DRAWINGS.XML DRAWINGF.XML 平面図 位置図以外の図面について

<4D F736F F D F30335F8C9A927A90DD8C768BC696B195D28EC08E7B977697CC E646F63>

⑦仕様書

資料 5 論点 2 CMR に求められる善管注意義務等の範囲 論点 3 CM 賠償責任保険制度のあり方 論点 2 CMR に求められる善管注意義務等の範囲 建築事業をベースに CMR の各段階に応じた業務内容 目的ならびに善管注意義務のポイントを整理 CM 契約における債務不履行責任において 善管注

表紙1_4

青森県営繕事業に係る電子納品運用ガイドライン < 目次 > 1 本ガイドラインの取扱い 1 2 電子納品の対象範囲 適用基準等 2-1 営繕工事 建築関係建設コンサルタント業務 測量及び地質調査業務 2 3 電子納品の実施にあたっての留意事項等 3-1 特記仕様書への記載につ

<4D F736F F D E71945B95698EE888F882AB81698D488E96816A FC92F994C52E646F63>

<4D F736F F F696E74202D E372E CF6955C A F548B FA8EC08E7B8FD896BE8F D8D87955D89B

CAD CAD


< D92E8955C81698D488E968AC4979D816A2E786C73>

スライド 1

業界で躍進する 工事現場 の 要 登録基幹 技能者 登録基幹技能者制度推進協議会 一財 建設業振興基金

1. () (1) (2) (3) (4) (5) (1)... 23

<4D F736F F F696E74202D F18B9F8E9197BF A43494D95818B A4A8C9F93A282CC82BD82DF82CC8AEE916292B28DB881758C9A9

<4D F736F F D E71945B95698EE888F882AB816990DD8C768BC696B188CF91F5816A FC92F994C52E646F63>

2. 提出資料一覧表 落札予定者に求める提出資料は 要請書に示す調査区分 ( 基本調査または重点調査 ) に応じて下表に を付している内容とする なお 調査区分が 基本調査 の場合は 3 頁 ~4 頁に基づき作成すること 調査区分が 重点調査 の場合は 5 頁 ~7 頁に基づき作成すること 様式番号

目次 第 1 章はじめに 本ソフトの概要... 2 第 2 章インストール編 ソフトの動作環境を確認しましょう ソフトをコンピュータにセットアップしましょう 動作を確認しましょう コンピュータからアンインストー

<8C9A90DD8B5A8F702891E63289F1298D758F4B89EF81408D758F4B322D31>

3. 現地工事実施にかかる許認可業務対象国にて現地工事を実施する場合 現地工事の対象となる土地の所有者の確認 使用の許可や現地工事を管轄する省庁からの許認可の必要の有無を受注者が必ず確認してください 許認可や利用許諾等が必要な場合は それらを取得してから下請負先と契約締結し 現地工事の発注を行うよう

URLhttp:// C o n t e n t s D C CA P B SU G CH A - 293

工事書類の作成上の留意事項 3 つの原則 ( 監督職員等 施工者共通 ) の徹底 現行ルールの徹底書類の作成を指示しない 受けとらない 提出しないを徹底甲乙対等の立場設計不備に対する補完の書類等の作成を指示しない協議書等については ポイントを絞り簡潔に作成簡素化した書類や不要な書類が提出されても受け

様式第19号

Microsoft Word - 01社会保険等加入対策に係る事務処理要領

4. 施工者とは 当該工事の受注者をいう ( 品質証明者 ) 5. 品質証明者とは 一定の資格及び実務経験を有し 施工者と品質証明業務について契約した組織又は個人で 以下の要件に該当しないものをいう 1 組織においては 以下のいずれかに該当する者 (1) 当該工事の施工者 (2) 当該工事の施工者と

( 業務計画の策定 ) 第 3 条受注者は 本業務を実施するに当たり 管理技術者が行う担当技術者に対する指揮命令等を明示した業務計画書を作成するものとする 2 受注者は 前項により作成した業務計画書を発注者に提出するものとする ( 施行上の義務及び心得 ) 第 4 条受注者は 本業務の実施に当たって

山形県県土整備部資材単価及び歩掛等決定要領

< F2D8B5A8F708ED290A E342E31>

<4D F736F F D BC696B195F18F568AEE8F808CA992BC82B582C982C282A282C42E646F63>

TS交換標準データ変換・確認プログラム操作ガイド

ているとは言えない (3) 成果の利活用成果データ等情報の利活用は 電子成果品にしかできない使い方である 成果データのコピーはすでに通常業務で日常の作業となっており 工事に関係する測量 設計 発注 施工 管理という段階ごとの新たな資料作成は従来成果を使っていた時と比べて減っている 電子成果品は 成果

特定保健指導における情報通信技術を活用した面接による指導の実施の手引き 新旧対照表 改正後 特定保健指導における情報通信技術を活用した面接による指導の実施の手引き 現行 ICT を活用した特定保健指導の実施の手引き 最終改正平成 30 年 2 月 9 日 1.ICTを活用した特定保健指導の実施者保険

1-1 SPC の経営理念 方針 本事業を長期にわたり運営していくにあたってのSPCの経営理念 方針について記載してください なお 以下の事項については必ず記載してください ( 統括マネジメント業務全体でA4 判 60 枚以内で記載してください なお 各業務における 4 業務の実施費用 の項について

3D 機械設計 CAD Inventor による 機械設備の BIM/CIM データ (IFC/RFA) 出力 2018 年 6 月 29 日 Ver1.0

1. はじめに近年 下水処理場 ( 設備 ) の維持管理では 管理職員の減少と高齢化 施設の老朽化 自然災害リスクの増大等の課題が増大している 日本下水道事業団 ( 以下 JS) においては 人的 物的および資金的資源の有効活用 アセットマネジメント手法を最大限に活用したリスク評価に基づく健全な施設

第 1.0 版 平成 21 年 3 月 富士通株式会社

取扱い : 本資料の配付を持って解禁 Press Release 平成 31 年 4 月 24 日 平成 31 年度北陸地方整備局直轄事業の執行について < 基本方針 > 平成 31 年度の事業執行にあたっては 工事 業務の品質確保及び担い手の中長期的な確保 育成 入札及び契約手続における一層の透明

<4D F736F F D2095DB8AC78AC7979D A E646F63>

P.1 Ⅵ. 業務評定項目 プロセス評価 結果評価 専門技術力 管理技術力 ケーコショミュ ンニ力 取組姿勢 評価項目評価の視点 提案力 改善力 加点評価 業務執行技術力 施工時への配慮 ( 設計時評価 設計業務を対象に評定する イ ロのいずれかを選択する ) 工程管理能力 減点評価 等 品質管理能

< 目次 > 1 はじめに... 1 (1) 電子納品に関する運用基準の目的... 1 (2) 本基準の取扱い... 1 (3) 適用する事業 電子納品の定義と対象範囲... 2 (1) 電子納品の定義... 2 (2) 適用する要領 基準... 2 (3) 電子納品の実施計画...

ÿþ

<4A414D41939D88EA B835E B836793FC97CD837D836A B E322E33288ED08A4F94C5816A2E786C73>

Transcription:

BIM/CIM 活用における 段階モデル確認書 作成マニュアル 試行版 ( 案 ) 平成 31 年 3 月 国土交通省 大臣官房技術調査課

目次 総則... 3 1.1 本マニュアルの位置づけ 目的... 3 1.2 適用範囲... 3 1.3 本マニュアルの構成... 3 1.4 段階モデル確認書の概要... 4 1.5 用語の定義... 6 段階モデル確認書の作成方法... 7 2.1 段階モデル確認書の作成手順... 7 2.1.1 手順 1: プロセス マップの設定... 7 2.1.2 手順 2: 情報確認要件の設定... 8 2.2 段階モデル確認書を作成する際の留意点... 11 段階モデル確認書の活用方法... 12 3.1 段階モデル確認書の活用の流れ... 12 3.2 段階モデル確認書を活用する際の留意点... 14 付録 : プロセス マップの例... 15

総則 1.1 本マニュアルの位置づけ 目的本マニュアル ( 案 ) は BIM/CIM 活用業務 活用工事において 発注者や受注者等の関係者間で円滑な情報交換を実施できるためのプロセスや情報確認要件を示した 段階モデル確認書 を 発注者が作成できるようにするための手順や活用方法を解説したものである また 本マニュアルを通じて作成した 段階モデル確認書 の試行を実施し その効果や課題を把握するため 当該マニュアルの活用手順を解説したものである 1.2 適用範囲本マニュアルで作成した 段階モデル確認書 の適用対象は BIM/CIM 活用業務 活用工事とし 現行の契約図書に基づく 2 次元図面による業務 工事の発注 実施 納品を前提に 国土交通省直轄事業における設計 施工分離発注方式による業務 工事 とする また 本マニュアルが対象としている構造物は以下のとおりである 橋梁上部工 ( 鋼橋 PC 橋 ) 橋梁下部工トンネル樋門 樋管重力式コンクリートダム 1.3 本マニュアルの構成本マニュアルは 段階モデル確認書の作成方法および活用方法を解説したものである また 本マニュアルの対象読者は 段階モデル確認書の作成者 ( 発注者 ) 段階モデル確認書を利用して BIM/CIM 活用業務 活用工事を実施する主体 ( 発注者 受注者 ) である 解説 本マニュアルの構成 本マニュアルの構成については 以下のとおりである 構成第 1 章総則第 2 章段階モデル確認書の作成方法第 3 章段階モデル確認書の活用方法 表 1-1 本マニュアルの構成マニュアルの構成概要マニュアルの位置づけ 目的 適用範囲 マニュアルの構成 および用語の定義について解説段階モデル確認書の作成手順および作成の際の留意事項について解説作成した段階モデル確認書を業務 工事で活用する際の活用の流れや活用する際の留意事項について解説 3

1.4 段階モデル確認書の概要段階モデル確認書とは 業務 工事を実施する際の一連のプロセスにおいて データ連携のプロセス ( データ連携の場面 ) 確認すべき情報やその要件を示したもので 事業を実施する受発注者間でデータ連携の手順や方法等を明らかにするために作成するものであり プロセス マップ 情報確認要件 で構成される 解説 段階モデル確認書の構成について段階モデル確認書は 業務 工事の一連のプロセスにおいて 関係者間でデータ連携を行うためのプロセス マップとそれに基づく情報確認要件を整理したものであり 以下の内容で構成される ( 図 1-1 参照 ) プロセス マップ : 業務 工事を実施する際の一連のプロセスにおいて 関連するプレイヤー 作業項目 情報確認が発生する場面をフローで整理したもの情報確認要件 : 情報確認の際の要求事項を整理したもの その他に段階モデル確認書に関連するもの モデルビュー定義: ソフトウェアベンダが段階モデル確認書に基づいたデータ連携を実装するための仕様 図 1-1 段階モデル確認書の構成 4

解説 段階モデル確認書の活用効果について 段階モデル確認書の活用の流れについては 図 1-2 を参照 図 1-2 段階モデル確認書の活用の流れ また 段階モデル確認書の活用効果については 以下の内容が挙げられる 業務 工事における事業の一連の流れにおいて データ連携のタイミングや連携すべき情報を受発注者間で共有できる 現状 データ連携の内容は CIM モデル作成事前協議 引継書シート でしか確認できなかったため どのようなプロセスで どのような情報が作成 引継がれたか把握が困難であった 発注者から受注者への要求事項 ( リクワイヤメント ) を具体化できるため 受注者 発注者双方が 何を求められており 何を実施すべきか明確に把握することが可能 発注者から受注者への要求事項 ( リクワイヤメント ) は 特記仕様書で指定したリクワイヤメント (7 項目 ) のみであるため 具体的な要求内容が不明であった 5

1.5 用語の定義 本マニュアルで使用する用語の定義は 次に定めるところによる 表 1-2 用語の定義 No 項目 定義 対応英語 1 段階モデル確認書作 発注者が 段階モデル確認書 を作成し こ - 成マニュアル 試行版 ( 案 ) の引継書に基づき試行を実施するための手順を解説したもの ( 本マニュアル ) 2 段階モデル確認書 業務 工事を実施する際の一連のプロセスにおいて データ連携のプロセス ( データ連携の場面 ) 確認すべき情報やその要件を示した IDM Information Delivery Manual ものであり 事業を実施する受発注者間でデータ連携の手順や方法等を明らかにするために作成するものであり プロセス マップ 情報確認要件 で構成される 3 プロセス マップ 業務 工事を実施する際の一連のプロセスに Process Map おいて 関連するプレイヤー ( 関係者 ) 作業項目 情報確認が発生する場面をフローで整理したもの 4 モデルビュー定義 IFC のデータ連携仕様を解説したものであり ソフトウェアベンダが IDMに基づいた MVD Model View Definition IFC を実装するために活用するもの 5 情報確認要件 情報確認の際の要求事項を整理したもの IE Information Exchange 6

段階モデル確認書の作成方法 2.1 段階モデル確認書の作成手順発注者は 業務 工事を実施する際に 以下の手順で段階モデル確認書を作成する 手順 1: プロセス マップの設定手順 2: 情報確認要件の設定 2.1.1 手順 1: プロセス マップの設定 発注者は 付録 : プロセス マップの例 を参考に 当該業務 工事における関係者間のデー タ連携シナリオを示したプロセス マップを設定する 解説 プロセス マップについてプロセス マップは 当該業務 工事の一連の流れにおいて 関係者間で作業の手順や情報確認の場面を明確にするために設定するものである 縦軸には当該業務 工事を実施する際に情報確認に関与するアクター ( 関係者または関係組織 ) を設定し 横軸には当該業務 工事のタスク ( 作業項目 ) および IE:Information Exchange( 情報確認要件 ) を設定する また プロセス マップを新規に作成するのは困難であることや手間がかかる等の課題があることから プロセス マップを設定する際は あらかじめ 付録 : プロセス マップの例 に示されているプロセス マップの中から 当該業務 工事に見合ったものを選定することが望ましい 本来 プロセス マップは 業務 工事等の事業の一連のプロセスを対象に作成されるものであるが まずは実態に即した内容で試行し 段階モデル確認書の活用方法や活用効果を確認するため 個々の業務 工事を試行の対象とする 図 2-1 プロセス マップのイメージ 7

2.1.2 手順 2: 情報確認要件の設定 発注者は 表 2-1 情報確認要件の設定例 を参考に プロセス マップで設定された情報確認 場面ごとの情報確認要件を設定する 解説 情報確認要件について情報確認要件は プロセス マップで設定した情報確認の場面での要求事項を解説したものである 情報確認要件では 情報確認の関係者 ( 誰から誰へ ) 要求事項を明示する なお 情報確認要件の数は 1 つの場面に複数設定してもよい また 情報確認要件を新規に作成するのは困難であることや手間がかかる等の課題があることから 情報確認要件を設定する際は あらかじめ 表 2-1 情報確認要件の例 に示されている情報確認要件の中から 当該業務 工事に見合ったものを選定することが望ましい なお 下記の例以外に設定したい情報確認要件がある場合は 独自に設定してもよい 情報確認要件 場面 表 2-1 情報確認要件の設定例 (A) モテ ル作成 (B) 属性情報の付与 (C) 数量計算 確認項目 (D) リクワイヤメント実施状況 (E) テ ータ作成 (F) その他 IE01 初回打合せ IE02 数量計算用モテ ル作成 IE03 中間打合せ IE04 最終納品 (A) モデル作成 受発注者間協議で決定した内容に即したモデルが作成されているか確認する ( 作成範囲やモ デル詳細度等 ) (B) 属性情報の付与 受発注者間協議で決定した内容に即した属性情報が付与されているか あるいは 付与する予 定の属性情報が整理されているか確認する (C) 数量計算 数量計算が実施できるモデルが作成されているか確認する また 数量計算結果がモデルに関 連付け可能か確認する (D) リクワイヤメント実施状況 当該業務 工事で設定されているリクワイヤメントの実施状況や実施結果について確認する (E) データ作成 3 次元モデルの他に 当該業務 工事で必要なデータが作成されているか確認する (F) その他 (A)~(F) の他に別途 受発注者間協議で決定した内容が実施されているか確認する 8

解説 段階モデル確認書の雛形 発注者は 以下の雛形を参考に段階モデル確認書を作成する 作成の際は 実施する業務 工事に 合わせて適宜修正する 段階モデル確認書 1. 概要本書は 業務 ( 工事 ) の一連のプロセスにおいて データ連携のプロセス ( データ連携の場面 ) 確認すべき情報やその要件を示したものであり 事業を実施する受発注者間でデータ連携の手順や方法等を明らかにするために作成したものであり プロセス マップ 情報確認要件 で構成されている 2. プロセス マップ 本業務 ( 工事 ) における 一連のプロセスおよび情報確認場面は以下のとおりとする 図 ** 本業務 ( 工事 ) におけるプロセス マップ 3. 情報確認要件 本業務 ( 工事 ) における 一連のプロセスおよび情報確認場面は以下のとおりとする 情報確認要件 場面 表 ** 本業務 ( 工事 ) における情報確認要件 (A) モテ ル作成 (B) 属性情報の付与 (C) 数量計算 確認項目 (D) リクワイヤメント実施状況 (E) テ ータ作成 (F) その他 IE01 数量計算用モテ ル作成 IE02 数量計算用モテ ル作成 IE03 中間打合せ IE04 最終納品 9

< 情報確認要件で設定した確認項目の解説 > (A) モデル作成受発注者間協議で決定した内容に即したモデルが作成されているか確認する ( 作成範囲やモデル詳細度等 ) (B) 属性情報の付与 受発注者間協議で決定した内容に即した属性情報が付与されているか あるいは 付与 する予定の属性情報が整理されているか確認する (C) 数量計算 数量計算が実施できるモデルが作成されているか確認する また 数量計算結果がモデ ルに関連付け可能か確認する (D) リクワイヤメント実施状況 当該業務 工事で設定されているリクワイヤメントの実施状況や実施結果について確認 する (E) データ作成 3 次元モデルの他に 当該業務 工事で必要なデータが作成されているか確認する (F) その他 (A)~(F) の他に別途 受発注者間協議で決定した内容が実施されているか確認する 10

2.2 段階モデル確認書を作成する際の留意点段階モデル確認書を作成する際は 以下の点に留意する 情報確認を行う目的や場面を明確化する プロセス マップで設定した情報確認の場面と情報確認要件の整合を図る 解説 情報確認を行う目的や場面の明確化段階モデル確認書を作成することで 関係者間で情報確認を行う場面や情報確認の要件を明確にすることができる 一方で 情報確認の場面を多く設定しすぎると 確認作業がその分多くなるため 作業負荷がかかってしまう 関係者間の作業負荷を軽減するためには 情報確認を行う場面を必要最小限に抑えるべきである よって 段階モデル確認書を作成する際は 情報確認を行う目的を明確にし その目的に合った情報確認の場面を最小限に設定することで 関係者間の作業負荷の軽減を図るべきことに留意する 解説 プロセス マップで設定した情報確認の場面と情報確認要件の整合性の確保プロセス マップを作成することで 業務 工事の一連のプロセスにおける情報確認の場面を明確にすることができる また 情報確認要件は プロセス マップで作成した情報確認の場面ごとに作成する必要があるが この要件と場面が関連付いていないと実際の業務 工事の際に混乱が生じてしまう ( 確認の際の確認事項が不明確となる ) よって 段階モデル確認書を作成する際は プロセス マップで設定した情報確認の場面と情報確認要件が正しく関連付けられて整理できているか確認すべきことに留意する 11

段階モデル確認書の活用方法 3.1 段階モデル確認書の活用の流れ段階モデル確認書は 以下の手順で活用する 入札 公告前 : 発注者は 入札公告 入札説明書 ( 業務説明書 ) 特記仕様書等に以下の 解説 の記載例を参考に 段階モデル確認書を活用した試行案件であることを記載する 発注者は 当該マニュアルを参考に段階モデル確認書を作成し 原則として 業務 工事の公告時に段階モデル確認書を提示するものとし これによりがたい場合は業務 工事開始前に受注者に対して提示するものとする 業務 工事開始前 : 公告時に段階モデル確認書を提示できない場合は この段階で段階モデル確認書を作成し 受注者に提示するものとする 業務 工事開始時 : 段階モデル確認書の内容を共有し 3 次元データの情報確認の場面 情報確認要件を確認する また 受注者が作成する CIM 実施計画書の内容によって 情報確認の場面や情報確認要件に変更が生じた場合は 変更内容を受発注者間協議で決定する 業務 工事履行中 : プロセス マップで設定した情報確認の場面で 受発注者間協議を行い 情報確認要件を満たした 3 次元データが作成されているか確認する 業務 工事終了時 : 最終成果の 3 次元データが情報確認要件を満たしたものであるか確認する また 段階モデル確認書の活用効果や課題を確認する 解説 特記仕様書等での条件明示 ( 入札 公告前 ) 入札公告 入札説明書 ( 業務説明書 ) 特記仕様書等に段階モデル確認書の試行対象である旨を記 載する 記載例は ICT の全面的な活用の推進に関する実施方針 を参照すること 12

解説 段階モデル確認書の活用の流れ 業務 工事開始前 業務 工事開始時 業務 工事履行中 業務工事終了時 の各段階にお ける段階モデル確認書の活用の流れについては 図 3-1 を参照 図 3-1 段階モデル確認書の活用の流れ 13

3.2 段階モデル確認書を活用する際の留意点段階モデル確認書を活用する際は 以下の点に留意する 円滑な情報引継 連携を行うためには 異なるソフトウェア間でもデータを交換できる共通フォーマット (LandXML や IFC) での作成が可能であるソフトウェアを利用する必要がある よって 発注者は 土木 IFC 対応ソフトウェア確認要件 ( 案 ) および LandXML1.2 に準じた 3 次元設計データ交換ソフトウェア確認要件 ( 案 ) を満たしたソフトウェアを利用することを受注者に指示する 業務 工事終了時に 試行 ( 段階モデル確認書を活用した業務 工事 ) で得られた効果や課題を受発注者間で確認し その結果をとりまとめる 解説 ソフトウェア確認要件( 案 ) に基づく検定について現在 CIM 事業における成果品作成の手引き ( 案 ) では オリジナルファイルに加え 共通フォーマットである IFC2 3 や LandXML1.2 による納品が求められている また IFC については bsj が土木 IFC 検定を実施しており LandXML については OCF が LandXML1.2 に準じた 3 次元設計データ交換標準 ( 案 )Ver.1.2( 平成 30 年 3 月 ) を適用した LandXML に準じた 3 次元設計データ対応検定を実施している これらの検定に合格したソフトウェアを活用することで異なるソフトウェア間でもデータ交換が可能な形式 (IFC や LandXML) によるデータの作成が可能となる よって 発注者は上記の検定に合格したソフトウェアを利用することを受注者に指示することで 共通フォーマットによるデータの作成が可能となるようにする < 参考 :CIM 事業における成果品作成の手引き ( 案 ) に記載されている納品ファイル形式 > CIM 事業における成果品作成の手引き ( 案 ) 2.2 成果品の構成 CIM モデル 線形モデル 土工形状モデル 地形モデル 構造物モデル 地質 土質モデル 広域地形モデル 統合モデル 納品ファイル形式 LandXML 1.2 2 及びオリジナルファイル LandXML 1.2 2 及びオリジナルファイル LandXML 1.2 2 及びオリジナルファイル IFC 2x3 1 及びオリジナルファイル オリジナルファイル LandXML 1.2 2 及びオリジナルファイル オリジナルファイル 1 buildingsmart JAPAN 土木モデルビュー定義 2 国土交通省国土技術政策総合研究所 LandXML1.2 に準じた 3 次元設計データ交換標準 ( 案 )Ver.1.2 平成 30 年 3 月 14

付録 : プロセス マップの例 以下のプロセス マップについて例示する 橋梁予備設計 橋梁詳細設計 橋梁施工 トンネル予備設計 トンネル詳細設計 トンネル施工 ダム計画設計 ダム概略設計 ダム実施設計 ダム施工 樋門 樋管予備設計 樋門 樋管詳細設計 樋門 樋管施工 15

< 橋梁予備設計 > < 橋梁詳細設計 > 16

< 橋梁施工 > 17

< トンネル予備設計 > < トンネル詳細設計 > 18

< トンネル施工 > 19

< ダム計画設計 > < ダム概略設計 > 20

< ダム実施設計 > < ダム施工 > 21

< 樋門 樋管予備設計 > < 樋門 樋管詳細設計 > 22

< 樋門 樋管施工 > 23