25 豊かな心を育む教育の推進 Ⅴ 教育 文化 1 みんなで目指す姿児童生徒一人ひとりが心の教育や体験活動等を通じて 好ましい人間関係を築ける協調性や相手を思いやる気持ち 自他の生命を尊重するなどの基本的な道徳性を身に付け 学校生活に適応するなど 社会人として自立して生きていくための生活基礎力を身に付けています また 東日本大震災津波により 心にダメージを受けた子どもたちへの心のサポートが適切になされ 子どもたちが自己有用感や基本的な道徳性を身に付けているほか 東日本大震災津波の経験を踏まえ 発災前よりもよい地域をつくっていくという大きな志をもって前向きに力強く活動しています 指標 1 人の気持ちが分かる人間になりた いと思っている児童生徒の割合 2 自分にはよいところがあると思っ ている児童生徒の割合 現状値 (H26) 年度目標値 (H27) (H28) (H29) 計画目標値 (H30) 75.0% 76.0% 77.0% 78.0% 79.0% 65.0% 65.5% 66.0% 66.5% 67.0% 目標値の考え方 1 豊かな心を育む教育により相手を思いやる気持ちをもった児童生徒が増え 自他を尊重する気持ちを育むことを目指すもの 平成 26 年度を基準値 (75.0%) として 平成 30 年度までに全国上位レベル (79.0%) になることを目指すもの 注 ) 資料 : 文部科学省 全国学力 学習状況調査 ( 対象 : 小学校 6 年生 中学校 3 年生 ) 2 豊かな心を育む教育により 自分にはよいところがある という自己肯定感が向上し 学校不適応の児童生徒が減少することを目指すもの 平成 26 年度を基準値 (65.0%) として 平成 30 年度までに全国平均 (67.0%) になることを目指すもの 注 ) 資料 : 文部科学省 全国学力 学習状況調査 ( 対象 : 小学校 6 年生 中学校 3 年生 ) 及び県教育委員会 基礎力確認調 査 ( 対象 : 高校 2 年生 ) 現状 道徳教育については 平成 27 年 3 月の学習指導要領の一部改正において 道徳を 特別の教科 に位置付けるとともに いじめの問題への対応の充実等の観点から 内容の改善や指導方法の工夫を図ることなどが示されました 発達の段階に応じ 答えが一つではない道徳的な課題を児童生徒一人ひとりが自分自身の問題と捉えて向き合う 考え 議論する 道徳科へと転換を図ることが求められています 本県の中学校卒業者数は 昭和 39 年 3 月の 40,369 人をピークに平成 27 年 3 月には 12,088 人に減 少し 平成 27 年度における県立高等学校 1 校当たりの平均学級数は 4.05 学級となっています 今後 多くの学校が小規模校化し 社会に羽ばたこうとする前段階の高等学校において 発達段階に応じた 集団生活を送ることができない等 生徒の社会性や協調性を育むための教育環境が十分に確保できな くなることが懸念されます 不登校の原因が複雑化 多様化する中 高等学校の不登校生徒の出現率は減少していますが 小 中学校の不登校出現率は増加しています また 高等学校における中途退学率は近年減少傾向にあり ますが 引き続き学校不適応や暴力行為などの問題行動の未然防止 早期発見 早期対応に力を入れ て取り組むとともに いじめ防止対策推進法 の趣旨を踏まえたいじめ防止などの取組を推進する必 要があります 9
東日本大震災津波により 特に被害の大きかった地域においては 子どもたちが受けた心の動揺や衝撃は計り知れず いまだに心へのダメージが回復していないケースや 環境の変化などから生じる日常のストレスにさいなまれるケースも少なくないため 福祉的視点も踏まえた子どもたちへのサポートは 今後も非常に重要であり 継続して取り組む必要があります 携帯電話 スマートフォンやインターネット等情報通信技術の進展に伴い 違法 有害情報へのアクセスや迷惑メール 不適切なSNSの利用などの問題が増加しており 情報モラル教育の推進が必要となっています 私立学校においては 各校の建学の精神に基づいた道徳教育 ボランティア活動や 児童生徒一人ひとりに向き合った教育相談などの取組が進められています 2 目指す姿を実現するための取組 基本方向 児童生徒一人ひとりの自己実現を支援する学校づくりを基本に据えて 豊かな感性や情操を育む教育の充実を進めるほか 好ましい人間関係を形成できる能力の育成を図るため 家庭や地域との協働によるボランティア活動や自然体験活動などの体験活動や読書活動の充実に取り組みます また 児童生徒の自己肯定感を高める指導や情報モラルに関する指導を進めるほか いじめや不登校など学校不適応対策としては 教育相談体制の一層の充実や組織的な指導 支援の充実を図り 学校間 関係機関との連携を強化しながら問題行動等の未然防止 早期発見 早期対応に取り組みます 私立学校においては 豊かな心を育むための特色ある教育活動に取り組みます 東日本大震災津波により 心にダメージを受けた子どもたちに対して 福祉的視点も踏まえたきめ細かな心のサポート等を中長期にわたり 組織的 継続的に取り組みます 主な取組内容 1 道徳教育 体験活動 読書活動等の推進 各学校の道徳教育全体計画の見直しを図りながら道徳教育の充実に取り組むほか 学校教育の中にボランティア活動や自然体験活動 文化芸術体験活動 読書活動などを位置付けながら豊かな心を育む教育の充実を図ります 学習指導要領に新たに 特別の教科 として位置付けられた道徳の趣旨の徹底を図り 道徳教育の要となる道徳の授業の改善に取り組みます 教員の学級経営 ホームルーム経営の充実を図り 児童生徒の理解を進め 好ましい人間関係づくりや規範意識の醸成に取り組みます 2 家庭 地域との協働の充実 学校 家庭 地域が一体となって地域ぐるみで子どもを育てる体制を整え 家庭 地域の教育力を高めます また 児童生徒の自立心や人間関係を形成できる能力の育成を進めるため スポーツや伝統芸能の伝承活動など 家庭や地域との協働による教育活動を充実します 幼児期は 心情 意欲 態度 基本的な生活習慣など 生涯にわたる人間形成の基礎が培われる大切な時期であることから 家庭との連携を図りながら幼児教育の充実に取り組みます 生徒や保護者の期待に応える魅力ある学校づくりに向け 高校と地域の連携体制を強化することで ふるさとを守る人材の育成を進めます 3 いじめなどに対応した教育相談機能の充実 いじめや学校不適応の未然防止 早期発見 早期対応のためにスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを配置し 児童生徒が相談しやすい環境づくりを推進します 岩手県いじめ問題対策委員会等を設置し いじめ問題に迅速かつ機動的に対応します いじめの積極的認知や未然防止 適切な対応がとれるよう教員研修の充実に取り組みます 10
4 幼児児童生徒の心のサポートの充実 東日本大震災津波による被害が大きかった地域への臨床心理士等の派遣や こころのファイル の作成 活用等により 子どもたちの心のサポートに取り組みます 5 情報モラル教育の推進 情報機器利用における危険性や問題点を理解させる情報モラルに関する指導の充実と保護者への啓発活動を推進します 6 私立学校の特色ある教育活動の推進 私立学校が それぞれの建学の精神のもとに 生徒一人ひとりに向き合って取り組み 心の教育 学校不適応対策等を推進します 3 取組に当たっての協働と役割分担 各学校は 豊かな心を育む教育を推進することの重要性を認識し 全職員が一体となって学校の重点に即した指導を展開します 市町村教育委員会及び県教育委員会は それぞれが課題を共有しながら 各学校における道徳教育を支援するとともに 教育相談体制の一層の充実に取り組みます 家庭や地域は 学校との協働によるボランティア活動や読書活動 更にはスポーツや自然体験活動などに協働して取り組みます また 私立学校は それぞれの建学の精神のもと 豊かな心を育むための特色ある教育活動に積極的に取り組みます 県は このような私立学校の取組に対し 助成や情報提供等を行います ( 学校 ) ( 市町村教育委員会 ) ( 家庭 地域 ) 県以外 の主体 学校経営計画 学級経営計画に基づく取組の充実 道徳の時間を要とした学校全体の道徳教育の充実及び 特別の教科道徳 の実施に向けた体制整備 自然体験活動等の充実 家庭 地域 行政との連携による教育活動の推進 いじめや学校不適応の未然防止 早期発見 早期対応 情報モラル教育の実践と保護者への啓発 私立学校の特色ある教育活動の計画策定に向けた取組 市町村教育委員会主催の校長会議 教務主任会議での啓発 指導主事の学校訪問時における進捗状況の確認と指導 教育相談体制の充実 ボランティア活動 読書活動等への支援 学校行事への参加 協力 携帯電話 スマートフォンやインターネットの利用に関するルールづくり 県 ( 県教育委員会 ) 道徳教育に関する研修の実施 県指導主事会議での確認 啓発 県立青少年の家等における魅力的な自然体験プログラムの開発 学校 家庭 地域 行政との連携による教育活動の解決への支援 スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置等による教育相談体制の充実 学校心理士の資格を有する教育相談コーディネーターの養成 情報モラルに関する指導方法の改善と普及 ( 県 ) 特色ある教育活動に取り組む私立学校に対する支援 11
4 県の具体的な推進方策 ( 工程表 ) 具体的な推進方策 1 道徳教育 体験活動 読書活動等の推進目標 特別の教科道徳 の実施に向けた授業改善に取り組んでいる学校の割合 (%) 小 40 60 80 100 中 30 40 60 80 児童生徒の読書者率の向上 (%) [ 小 5]99.3 [ 中 2]90.0 [ 高 2]66.7 99.4 90.2 67.0 99.5 90.4 68.0 99.6 90.6 69.0 99.7 90.8 70.0 2 家庭 地域との協働の充実目標 保護者や地域の人が学校における教育活動や様々な活動に参加している学校の割合 (%) 小 72 74 76 80 84 中 53 55 60 65 70 工程表 (4 年間を中心とした取組 ) ~ 学習指導要領改訂 学校の道徳授業の改善に向けた研修会の実施効果的な指導方法の研究推進及び成果の普及 第 3 次岩手県子どもの読書活動推進計画 1 の推進 (2014~2018) 推進計画の総括次期計画の策定 地域でのスポーツや自然体験活動 読書活動の推進支援 次期計画の策定 学校支援地域本部や教育振興運動による学校の教育活動への参加促進 今後の高等学校教育の基本的方向改訂 移行期間 : 各校における全体計画及び指導計画作成 段階的実施 家庭教育の支援 ( 相談体制の充実 ボランティア養成等 ) 今後の高校教育の充実に向けた取組 新たな県立高等学校再編計画策定 小学校全面実施 地域と県立高校の連携の強化 充実 3 いじめなどに対応した教育相談機能の充実目標 不登校児童生徒数 ( 人 ) 小 143( 見込 ) 141 139 137 135 中 791( 見込 ) 783 775 767 759 高 555( 見込 ) 549 543 537 531 高等学校は中退生徒も含む いじめは どんな理由があってもいけないことだと思う児童生徒の割合 (%) 小 84 85 86 87 88 中 75 76 77 78 79 いじめ防止マニュアルの改定 スクールソーシャルワーカーの効果的な配置 学校心理士の資格をもった教育相談コーディネーターの養成 教育相談コーディネーターの配置 ( 学校 教育事務所等 ) 各学校における好ましい人間関係の育成のための実践の支援 いじめ防止マニュアルの活用 4 幼児児童生徒の心のサポートの充実 目標 臨床心理士等による心のサポートを行 っている沿岸部の学校の割合 (%) 100 100 100 100 100 臨床心理士等の派遣 こころのファイル の活用 12
5 情報モラル教育の推進 目標 情報モラル教育の推進を実施している 学校の割合 (%) 100 100 100 100 100 6 私立学校の特色ある教育活動の推進目標 目標を掲げ 具体的な計画づくりを行った高等学校の割合 (%) - 70 80 90 100 心の豊かさに関わる教育改革活動の高 等学校における実施率 (%) 71.8 72 73 74 75 児童生徒に対する情報モラルの指導及び保護者への啓発活動私立学校の特色ある教育活動の計画づくりへの支援私立学校の特色ある教育活動への支援運営費に対する支援や情報提供 関連する計画 岩手の教育振興( 計画期間平成 21 年度 ~ 平成 30 年度 ) これからの岩手の義務教育( 計画期間平成 21 年度 ~おおむね 10 年先まで ) 今後の高等学校教育の基本的方向( 策定平成 21 年度 改訂平成 27 年度 ) 新たな県立高等学校再編計画( 案 )( 計画期間平成 28 年度 ~ 平成 37 年度 ) 第 3 次岩手県子どもの読書活動推進計画 ( 計画期間平成 26 年度 ~ 平成 30 年度 ) 1 第 3 次岩手県子どもの読書活動推進計画子どもの読書活動の取組を推進するために 子どもの読書活動の推進に関する法律 に基づき 平成 26 年度からの 5 か年計画として策定 第 2 次計画の課題である年齢が上がるにつれて進む読書離れへの歯止めと読書推進関係者の連携強化を図るために 学校 家庭 地域 関係機関等に期待される役割等を示したもの 13