Japan Tax Newsletter

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2. 制度の概要 この制度は 非上場株式等の相続税 贈与税の納税猶予制度 とは異なり 自社株式に相当する出資持分の承継の取り扱いではなく 医療法人の出資者等が出資持分を放棄した場合に係る税負担を最終的に免除することにより 持分なし医療法人 に移行を促進する制度です 具体的には 持分なし医療法人 への

Global Tax Update

税務情報 固定資産の加速減価償却の範囲が拡大 ~ 財税 [2014]75 号の施行 ~ 2014 年 10 月 20 日付けで 固定資産の加速減価償却に係る企業所得税政策の完備に関する通知 ( 財税 [2014]75 号 以下 75 号通知 と表記 ) が公布され 2014 年 1 月 1 日から遡

2. 改正の趣旨 背景 (1) 問題となっていたケース < 親族図 > 前提条件 1. 父 母 ( 死亡 ) 父の財産 :50 億円 ( すべて現金 ) 財産は 父 子 孫の順に相続する ( 各相続時の法定相続人は 1 名 ) 2. 子 子の妻 ( 死亡 ) 父及び子の相続における相次相続控除は考慮

国外転出時課税制度に関する改正「所得税基本通達」の解説

Japan Tax Newsletter

医療法人への移行の案内.indd

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

統合型リゾート (IR:Integrated Resort) ~ マネーロンダリング防止の取組み ~ 2014 年 12 月 IR ビジネス リサーチグループリーダー 有限責任監査法人トーマツパートナー 仁木一彦 当該資料中 意見に亘る部分は著者の私見であり 著者の属する法人等のものではありません

事業承継税制の概要 事業承継税制は である受贈者 相続人等が 円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において その非上場株式等に係る贈与税 相続税について 一定の要件のもと その納税を猶予し の死亡等により 納税が猶予されている贈与税 相続税の納付が免除される

Tax Analysis

図 起床してから携帯電話を確認するまでの時間 日本では 起床後直ちに携帯電話を確認するユーザーの比率が であり 他の先進国より高い Q. 起床してから携帯電話 * を確認するまでの時間は? 0 8 わからない 3 時間以上 6 2~3 時間以内 時間以内 30 分以内 5 分以内 5 分以内 34%

目次 国内企業の事例から学ぶこと これからの課題 GRC Technology の活用 なぜデロイトがクライアントから選ばれているのか 本資料の意見に関する部分は私見であり 所属する法人の公式見解ではありません 2

例えば毎年 子供 2 人に対し110 万円づつ贈与し続けるのであれば 10 年間で2,200 万円の財産を無税で子供に移すことができます 贈与税の基礎控除額を上手く活用する方法だけでも 計画的に行うことがどれだけ大切なのかご理解いただけると思います とにかく財産を所有している人が高齢になればなるほど

統合型リゾート (IR:Integrated Resort) ~ ゲーミング ( カジノ ) 市場及び主要 IR 施設の概要 ~ 2014 年 11 月 IR ビジネス リサーチグループリーダー 有限責任監査法人トーマツパートナー 仁木一彦 当該資料中 意見に亘る部分は著者の私見であり 著者の属する

PowerPoint プレゼンテーション

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法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

事業承継税制の全体像は ( 図表 1) の通りである ( 図表 1) 事業承継税制の全体像 経営者 1 代目 経営者 2 代目 一括贈与 大臣認定 贈与税の課税 贈与税の納税猶予の適用 相続税の納税猶予制度と同様 雇用確保を含む 5 年間の事業継続を行い その後も株式を継続保有 生前贈与により株式の

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Tax Analysis

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

タイの医療市場の現状と将来性~医薬品業界の市場動向と M&A・参入事例~

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(2) みなし相続財産ものか13 第1 章12 2 課税される 相続財産 の範囲 海外にある財産も課税対象となる 贈与税の暦年課税適用財産も 3 年以内は課税対象となる 葬式費用 墓地や墓碑 仏壇 仏具等は非課税 相続税の課税対象となる相続財産は (1) 被相続人が亡くなったときに所有していた財産

第三者割当増資について

<TAC> 無断複写 複製を禁じます ( 税 18) 相上 (8)C10-1 相続税法 上級 演習 8 テキスト 2 第 8 回 - 解答 点 - 第一問 問 1 持分の定めのない法人に対し財産の贈与又は遺贈があった場合において 税負担の不当減少を防 止

土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30

(1) 改正の内容 内容 現行制度 特例制度 納税猶予対象株式 納税猶予税額 発行済議決権株式総数の 3 分の 2 に達するまでの株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係る贈与税の全額 相続の場合 : 納税猶予対象株式に係る相続税の 80% 取得した全ての株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係

また 国外財産調書制度は 2013 年 12 月末の国外財産から調書の提出義務が始まりましたので 5,000 万円超の国外財産を保有の方はご留意ください これに関連して 国税庁より 2013 年 11 月 15 日に FAQ が発表されており FAQ は国税庁のホームページで閲覧等できます 資産税ニ

株式保有会社の相続税評価の緩和

平成19年12月○日

1 検査の背景 (1) 租税特別措置の趣旨及び租税特別措置を取り巻く状況租税特別措置 ( 以下 特別措置 という ) は 租税特別措置法 ( 昭和 32 年法律第 26 号 ) に基づき 特定の個人や企業の税負担を軽減することなどにより 国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとさ

M&A会計の解説 第11回 事業分離に関する税効果会計

目 次 最近における相続税の課税割合 負担割合及び税収の推移 1 地価公示価格指数と基礎控除(58 年 =100) の推移 2 最近における相続税の税率構造の推移 3 小規模宅地等の課税の特例の推移 4 相続税負担の推移( 東京都区部のケース ) 5 ( 補足資料 ) 相続税の概要 6 相続税の仕組

営業秘密とオープン&クローズ戦略

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Microsoft Word - 36号事業承継.doc

1. 改正のポイント (3) 影響改正が株価に与える影響は下表の通り また現在及び将来の株価が変動するため事業承継計画全体へ影響が出る 改正が株価に与える影響 改正内容 会社規模の判定基準 ( 大会社及び中会社の範囲拡大 ) 株式保有特定会社の判定基礎 ( 株式及び出資の範囲拡大 ) 類似業種比準価

(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

目次 サマリ 3 アンケート集計結果 5 回答者属性 12

新規文書1

相続税・贈与税の基礎と近年の改正点

給与所得控除額の改正前後の比較 改正前 改正後 給与等の収入金額給与所得控除額給与等の収入金額給与所得控除額 180 万円以下 収入金額 40% 65 万円に満たない場合は 65 万円 180 万円以下 収入金額 40%-10 万円 55 万円に満たない場合は 55 万円 180 万円超 360 万

平成 29 年度税制改正解説資産課税 納税義務の見直し 1 国外財産に関する相続税 贈与税の納税義務の範囲が見直されます 被相続人が日本国籍を有しない者であって 一時的滞在 ( 2) をしていたものを除く 2

投資情報 中国への短期出張におけるビザの取扱い情報 2015 年 1 月 1 日より中国において 外国人が入国して短期業務を遂行する際の関連手続き手順 ( 試行 ) ( 以下 78 号通達 と表記 ) が施行されたことに伴い 中国への短期出張者に関するビザの取扱いが一部変更されています 1 78 号

相続の基礎 ~ 「相続」を学ぼう!! ~ 生前贈与①有価証券

て 次に掲げる要件が定められているものに限る 以下この条において 特定新株予約権等 という ) を当該契約に従つて行使することにより当該特定新株予約権等に係る株式の取得をした場合には 当該株式の取得に係る経済的利益については 所得税を課さない ただし 当該取締役等又は権利承継相続人 ( 以下この項及

税理士法人トーマツ Newsletter

法人税における役員特有の取扱いには 主に次のようなものがあります この取扱いは みなし役 員も対象となります 項目 役員給与 損金算入制限 過大役員給与 特有の取扱い 定期同額給与 ( 注 1) や事前確定届出給与 ( 注 2) など一定のもの以外は損金不算入 実質基準 ( 職務内容 収益状況など

CONTENTS 第 1 章法人税における純資産の部の取扱い Q1-1 法人税における純資産の部の区分... 2 Q1-2 純資産の部の区分 ( 法人税と会計の違い )... 4 Q1-3 別表調整... 7 Q1-4 資本金等の額についての政令の規定 Q1-5 利益積立金額についての政

間の初日以後 3 年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間 6 高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例事業者 ( 免税事業者を除く ) が簡易課税制度の適用を受けない課税期間中に国内における高額特定資産の課税仕入れ又は高額特定資産に該当する課税貨物の保税地域からの引取り ( 以下 高

2017年度税制改正大綱 資産税関連の主な改正点

( 除名 ) 第 9 条社員が次のいずれかに該当するに至ったときは 社員総会の決議によって当該社員を除名することができる (1) この定款その他の規則に違反したとき (2) この法人の名誉を傷つけ または目的に反する行為をしたとき (3) その他除名すべき正当な事由があるとき ( 社員資格の喪失 )

[2] 財務上の影響 自己株式を 取得 した場合には 通常の有価証券の Ⅰ. 株主資本 ように資産に計上することはせず 株主との間の資本取 1. 資本金 引と考え その取得原価をもって純資産の部の株主資本 2. 資本剰余金 (1) 資本準備金 から控除します そのため 貸借対照表上の表示は金額 (2

相続税の節税対策としての生前贈与 相続税 贈与税はともに相手に渡る財産の金額に対して累進的な税率により税金がかかりま す そこで 相続税の税率よりも低い税率で贈与をすれば 相続税の節税になります 下の 図で相続税と贈与税税率を確認して下さい 贈与税は 相続税に比べ 基礎控除額が低く さらに税率が高く

Manage As One グローバル経営時代における海外異動者の最適税務マネジメント

平成 25 年度税制改正解説相続税 ~ 基礎控除の引き下げ 税率構造の見直し等 法定相続人の数と基礎控除法定相続人の数と基礎控除 法定相続人の数 1 人 2 人 3 人 4 人 5 人 60,000 千円 70,000 千円 80,000 千円 90,000 千円 100,000 千円 36,000

公益法人の寄附金税制について

医療法人化のすすめ.xdw

改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

平成23年度税制改正の主要項目

目次 調査趣旨 概要等 3 適用初年度の開示事例分析 6 補足調査 コーポレートガバナンスガイドラインの開示状況 18 ( 参考資料 ) コーポレートガバナンス コードの概要 24 本資料は当法人が公表情報を基に独自の調査に基づき作成しております その正確性 完全性を保証するものではございませんので

1. 相続税 (1) 基礎控除額の引き下げ 1) 改正の趣旨現在 ( ) の相続税の仕組みは 下図の通りです すなわち 合計課税価格から 基礎控除額を除いた課税遺産総額が相続税の計算の対象となるため 合計課税価格が基礎控除額の範囲内である場合には 相続税が課税されません その結果として 現状の相続税

経 [2] 証券投資信託の償還 解約等の取扱い 平成 20 年度税制改正によって 株式投資信託等の終了 一部の解約等により交付を受ける金銭の額 ( 公募株式投資信託等は全額 公募株式投資信託等以外は一定の金額 ) は 譲渡所得等に係る収入金額とみなすこととされてきました これが平成 25 年度税制改

住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税制度の改正

1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分

目次 調査の背景と調査の意義 3 システム会社依存度の次元分解 ~ 因子分析 11 本調査の概要 4 推定システム会社依存度の 3 因子と経験年数からの分析 12 経験年数との相関分析 5 各因子の 推定システム会社依存度への影響を解析 13 経験年数との相関分析結果の解釈 6 システム会社の手配す

収益事業開始届出 ( 法人税法第 150 条第 1 項 第 2 項 第 3 項 ) 1 収益事業の概要を記載した書類 2 収益事業開始の日又は国内源泉所得のうち収益事業から生ずるものを有することとなった時における収益事業についての貸借対照表 3 定款 寄附行為 規則若しくは規約又はこれらに準ずるもの

コーポレート機能の仕組みが企業変革の障壁に グローバルでの競争激化とデジタル化の進展により 日本企業を取り巻く事業環境は急速に変化しています 従来の市場の枠組みが壊れ他業種プレイヤーがテクノロジーを武器に新たに市場参入してくる中 戦い方を大きく変えなければなりません また顧客のニーズや価値観の変化に

金庫株を活用した事業承継対策 1. 概要 非上場株式を相続して相続税が発生する場合は 相続で取得した自社株を相続税の申告期限後 3 年以内に金 庫株すればみなし配当課税しない (= 譲渡所得とする ) 特例があります ( 措置法 9 条の 7) 所得税の特例の内容 ( 自己株式をみなし配当課税しない

Japan Tax Newsletter

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平成16年版 真島のわかる社労士

1 繰越控除適用事業年度の申告書提出の時点で判定して 連続して 提出していることが要件である その時点で提出されていない事業年度があれば事後的に提出しても要件は満たさない 2 確定申告書を提出 とは白色申告でも可 4. 欠損金の繰越控除期間に誤りはないか青色欠損金の繰越期間は 最近でも図表 1 のよ

平成 22 年 4 月 1 日現在の法令等に準拠 UP!Consulting Up Newsletter 無対価での会社分割 バックナンバーは 当事務所のホームページで参照できます 1

下では特別償却と対比するため 特別控除については 特に断らない限り特定の機械や設備等の資産を取得した場合を前提として説明することとします 特別控除 内容 個別の制度例 特定の機械や設備等の資産を取得して事業の用に供したときや 特定の費用を支出したときなどに 取得価額や支出した費用の額等 一定割合 の

Invincible

第 5 章 N

相続税の大増税に備える! 不動産による最新節税対策

服部法律事務所ニュース 遺言書について その4(相続税)

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1. はじめに 中小企業経営者の高齢化が進展する中 事業承継の円滑化は喫緊の課題です 平成 30 年度税制改正において 事業承継の際に生ずる相続税 贈与税の負担を軽減する 非上場株式等についての相続税及び贈与税の納税猶予及び免除の特例 ( 以下 事業承継税制 ) が抜本的に改正されました 本改正では

投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

税額控除限度額の計算この制度による税額控除限度額は 次の算式により計算します ( 措法 42 の 112) 税額控除限度額 = 特定機械装置等の取得価額 税額控除割合 ( 当期の法人税額の 20% 相当額を限度 ) 上記算式の税額控除割合は 次に掲げる区分に応じ それぞれ次の割合となります 特定機械

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目 次 問 1 法人税法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 1 問 2 租税特別措置法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 3 問 3 法人税法における当初申告要件 ( 所得税額控除の例 ) 5 問 4 法人税法における適用額の制限 ( 所得税額控除の例 ) 6

参考. 改正前の制度概要 ( 改正対象は太字 ) (1) 税の納税猶予の全体像 ( 概要 ) の要件 会社の代表者であったこと 時には代表権を有していないこと と同族関係者で決議数の 50% 超の株式を保有かつを除いた同族内で筆頭株主であったこと 認定対象会社の要件 の要件 会社の代表者であること

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Microsoft Word 定款作成例改訂版

はじめに 会社の経営には 様々な判断が必要です そのなかには 税金に関連することも多いでしょう 間違った判断をしてしまった結果 受けられるはずの特例が受けられなかった 本来より多額の税金を支払うことになってしまった という事態になり 場合によっては 会社の経営に大きな影響を及ぼすこともあります また

2018年度税制改正大綱 - 資産税関連の主な改正点

(2) 青色申告書を提出する中小企業者等 ( 平成 3 年 4 月 日以後開始する事業年度については 適用除外事業者 ( 注 4) を除く ) が 平成 30 年 4 月 日から平成 33 年 3 月 3 日までの間に開始する各事業年度において 国内雇用者に対して給与等を支給する場合に継続雇用者給与

注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする

2004年7月

基礎からのM&A 講座 第3 回 M&A の実行プロセス概要

Transcription:

Japan Tax Newsletter 税理士法人トーマツ 2015 年 7 月 1 日号 松山事務所パートナー宮内幹太 ( 公認会計士 税理士 ) 札幌事務所パートナー小嶋誠也 ( 税理士 ) 医療法人の事業承継に関する税制 1 はじめに 1980 年代から 90 年代にかけて多くの医療法人が設立され 現在設立後 30 年以上を経過した医療法人が数多くある それに伴い 病棟の建替えや新築増築などとともに事業承継のニーズが非常に高まっている 医療法人は医療法により配当が禁止されているが 出資持分の払戻しや放棄が認められていること 議決権は出資持分割合に関係なく 社員 ( 自然人に限定 )1 人につき 1 議決権であることなど 株式会社とは異なる面を有する 本稿は株式会社とは異なる医療法人の事業承継に関する税制面に焦点を当て 財産の承継 すなわち医療法人の出資持分の承継方法について検討すべき課題とその対策について概説する 2 医療法人の類型と事業承継 社会医療法人 公益性の高い医療を提供する地域医療の中核を担う医療法人であり 一定の要件を満たし都道府県知事の認定を受けた医療法人 特定医療法人 租税特別措置法に規定された 非営利性 公益性が高い医療法人であり 一定の要件を満たし国税庁長官の承認を得た医療法人 持分なし医療法人社団 基金拠出型医療法人 基金制度を採用する医療法人 基金 = 持分なし医療法人社団に拠出された金銭等であって 拠出者に対し返還義務を負うもの 社団 一般の持分なし医療法人社団 上記以外の持分なし医療法人社団 医療法人 持分あり医療法人社団 ( 経過措置医療法人 ) 社会医療法人 医療法人の大部分を占める 当分の間存続することが認められた医療法人 出資者は持分の払戻請求権と解散時の残余財産分配請求権を有する 残余財産の分配について出資額を限度とする いわゆる出資額限度法人が存在する上記と同様 財団 特定医療法人 上記と同様 医療法人財団 上記以外の医療法人財団 1

一口に医療法人と言っても前述のように 様々な種類の医療法人が存在する そのうち出資持分の承継問題は 持分を有する医療法人である 持分あり医療法人社団 ( 経過措置医療法人 ) ( 以下 持分あり医療法人 とする ) において発生することとなる 3 医療法人の事業承継の特徴と承継方法についての検討事項医療法人の出資持分は以下のような特徴を有するため出資持分の承継方法により 相続するまたは譲り受ける後継者 現経営者 他の出資者 医療法人自身と 様々な課税対象者に多額の課税が発生する可能性がある したがって 適切な対策を講じなければ思わぬ税負担が生じ 結果として医業継続が困難となる恐れがある 医療法人の出資持分の特徴 医療法により配当禁止であること 多額の含み益を抱えていることが多い 出資持分の譲渡だけでなく 払戻しが認められている 時価による払戻しにより財産流出のおそれがある 左に基因する問題 多額の含み益に対して多額の課税が生じる可能性が高い 財産流出により 医業継続が困難になる可能性がある そこで医療法人の事業承継に当たっては 以下のフローチャート ( 参考事例 ) のように課税対象者の資金負担 能力を見極めた上で承継方法の検討を行う必要がある 承継方法検討のイメージ (1) 個人で納税額に見合う金融資産を持っているか? (2) 個人で納税資金を借りるか ( 延納するか )? 長年にわたって個人で資金負担を負う (3) 医療法人に十分な資金があるか? 払戻し or 放棄? 医療法人の体力 ( 競争力 ) 低下のおそれ (4) 医療法人の保有する資産を売却して資金化できるか? 経営者一族の金融資産の減少 M&A で売却? 特定医療法人または社会医療法人へ移行? また 資金負担能力の検討以外にも以下のような様々な事項を検討の上 後述するそれぞれの承継方法における課税関係を整理分析する必要がある 後継者の有無 現経営者が承継後に必要とする生活資金の総額 医療法人の収益力や大規模な設備投資計画の有無 医療法人の出資持分の評価額の計算 医療法人の現状および将来像 ( 特定医療法人や社会医療法人への移行の可能性 ) 病床の有無 MS 法人 ( メディカルサービス法人 ) の有無 2

4 医療法人の出資金 ( 出資持分 ) の評価方法医療法人の出資持分の承継を検討するに当たっては 相続税 贈与税における財産評価方法である財産評価基本通達に規定される医療法人の出資持分の評価方法の特徴を理解し 適切な対策を講ずる必要がある (1) 会社規模区分の特徴会社規模区分は 総資産額 従業員数 取引金額を基準として判定するが 医療法人は一般的に看護師等の医療従事者を多数雇用しているため 総資産や取引金額にかかわらず従業員基準で 大会社 となる場合が多い また 出資持分の評価は会社規模区分に応じて (a) 類似業種比準方式 (b) 類似業種比準方式と純資産価額方式との併用方式 (c) 純資産価額方式により計算することなるが 会社規模区分が大きいほど類似業種比準価額を使用できる割合が大きくなる そのため会社規模区分が出資持分の評価額に大きな影響を与えることとなる 従業員数が 100 人以上である 大会社 (1) と (2) のいずれか大きい方で判定する 医療法人は 看護師を含め従業員が多く 従業員基準で大会社となる場合が多い (1) 従業員数を加味した総資産基準 (2) 取引金額基準 総資産金額 5 人以下 5 人超 30 人超 30 人以下 50 人以下 50 人超 99 人以下 100 人以上 取引金額 会社規模 10 億円以上 大会社 20 億円以上 大会社 7 億円以上 中会社の大 OR 12 億円以上 中会社の大 4 億円以上 中会社の中 6 億円以上 中会社の中 4 千万円以上 中会社の小 6 千万円以上 中会社の小 4 万円未満 小会社 6 千万円未満 小会社 (2) 類似業種比準価額の特徴類似業種比準価額とは 国税庁発表の業種別の標本会社の平均株価 ( 医療法人の類似業種株価は その他の産業 No.118 ) に 出資口数を 50 円換算した 1 口当たりの利益金額 純資産価額の規模による補正を行って算出した金額をいう 株式会社の評価では これに配当の要素を加えるが 医療法人は配当が禁止されているため 利益金額と純資産価額の 2 要素だけでその補正を行う つまり医療法人の類似業種比準価額は 利益金額の影響を大きく受ける特徴がある 類似業種 株価 医療法人の利益金額類似業種の利益金額 3+ 医療法人の純資産価額類似業種の純資産価額 4 斟酌率 = 類似業種 比準価額 類似業種比準価額は 利益の要素が大きく影響する 3

(3) 医療法人の出資持分の評価が低下する要因医療法人の出資持分の評価方法の特徴から 以下のような事象が生じた場合 出資持分の評価額が低下する可能性があり 後述する承継方法とその承継のタイミングの選択において重要なポイントとなる 理事長等の退職に伴い多額の役員退職金を支給した場合 高額な医療機器等の取得により減価償却費や特別償却費を多額に計上した場合 病棟の建替え等により多額の固定資産除却損を計上した場合 総資産額 従業員数 取引金額の増加により会社規模区分が変動した場合 国税庁から発表されている類似業種株価が低下した場合 5 出資持分の承継方法医療法人における出資持分の承継方法は以下のとおりであり 特徴的な承継方法としては 持分の払戻し と 持分の放棄 がある 出資持分の贈与 暦年課税 出資持分の相続 相続時精算課税 出資持分の承継方法 出資持分の譲渡 後継者 M&A 等 持分あり のままで持分を承継する 出資持分の払戻し 持分あり社団を維持 出資持分の放棄 持分なし社団へ移行 一般の持分なし社団へ移行 特定医療法人等へ移行 持分あり から 持分なし に移行する (1) 出資持分の払戻し 医療法人の出資持分は 定款の定めるところにより 出資額に応じて払戻しまたは残余財産の分配を受ける権利 ( 改正医療法附則 10 の 33 二カッコ書き ) であり 退社時の持分払戻請求権および解散時の残余財産分配請求権の 2 つの権利で構成される財産権としての性格を有すると考えられる したがって 退社により出資持分の払戻しを受けた場合は 株式会社の自己株式の取得と同様に 医療法人から出資者に対する利益の払戻しが行われたものと考え 払戻し額に対応する出資額を超える部分は みなし配当 として配当所得課税を受ける また 時価よりも低い価額で払戻しが行われた場合は 他の出資者に対するみなし贈与課税 ( 相続税法 9 条 ) が生じる 4

(2) 出資持分の放棄 ( 持分なし医療法人への移行 ) 持分あり医療法人は 平成 19 年 4 月 1 日前に設立された医療法人であり 現在では持分あり医療法人の設立は認められていない 前述のように出資持分には財産権があるため 現経営者一族である社員が高額な評価額となっている出資持分を多く保有している場合に その社員に相続が発生すると 当該社員の相続人に多額の相続税が課税される可能性がある また当該社員が生前に退社した場合には 時価による出資持分の払戻しにより 医療法人に多額の資金負担が生じる可能性がある このように事業承継の妨げとなる面を有する出資持分であるが 出資社員全員が出資持分の放棄を行うことにより持分なし医療法人に移行することが可能である 移行手続は定款の社員退社時の払戻請求に関する条項を削除し 解散時の残余財産を国等に帰属するように定款の変更認可手続をすることにより完了する なお 持分なし医療法人に移行した後は 再度持分あり医療法人に後戻りすることはできないため留意が必要である ただし 放棄による持分なし医療法人への移行時において 以下のように相続税 贈与税の負担を不当に減少すると認められるときは 医療法人に対して贈与税の課税が生じることとなる 課税対象者 出資者 医療法人 持分なし医療法人への移行時の課税関係原則として課税関係は生じない (1) 法人税の課税関係持分放棄による経済的利益は受贈益と考えられるが 持分なし医療法人への移行時の受贈益については法人税は課されない ( 法人税法施行令第 136 条の 3 第 2 項 ) (2) 贈与税の課税関係持分の放棄を行った者の親族その他これらの者と特別の関係がある者の相続税または贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められるときは 医療法人を個人とみなして 贈与税が課税される ( 相続税法第 66 条第 4 項 ) なお 医療法人に対する贈与税課税 ( 相続税法第 66 条第 4 項 ) を免れるためには 以下の相続税法施行令第 33 条第 3 項に定める要件 ( 以下 不当に減少する結果とならない要件 とする ) をすべて充足する必要があり 社会医療法人または特定医療法人の認定要件に準ずる厳しい水準が求められることとなる No. 相続税法施行令第 33 条第 3 項に定める要件 (1) 医療法人の運営組織が適正であること 社会的存在として認知される程度の規模 として社会医療法人準拠型と特定医療法人準拠型の 2 パターンが示されている (2) 役員等と親族関係にある者およびこれらと特殊の関係にある者の数が役員等の総数の 3 分の 1 以下であること (3) 持分の放棄をした者 設立者 社員もしくは役員等またはこれらの者の親族等に対し 特別の利益を与えないこと (4) 定款において 医療法人が解散した場合にその残余財産が国もしくは地方公共団体等に帰属する旨の定めがあること (5) 医療法人につき法令に違反する事実 その帳簿書類に取引の全部または一部を隠ぺいし または仮装して記録または記載をしている事実その他公益に反する事実がないこと 5

したがって 持分なし医療法人への移行に関するメリット デメリットは以下のとおりとなる 持分なし医療法人への移行に関するメリット デメリット メリット 出資持分に係る将来の相続税負担がなくなる 出資持分に係る払戻請求権がなくなるため 医療法人の経営の安定が確保される 特定医療法人や社会医療法人へ移行した場合は 移行時の医療法人に対する贈与税が 課されないとともに 法人税等の優遇税制がある デメリット 移行時に医療法人に対する贈与税の課税を受けないためには 不当に減少する結果とならない要件 をすべてクリアする必要がある 移行後も 継続して将来にわたり無理なく 不当に減少する結果とならない要件 を満たす必要がある 移行後は再度持分あり医療法人に後戻りはできないため 慎重な検討が必要である (3) 医療法人の出資持分に対する相続税および贈与税の納税猶予制度前述のように 持分なし医療法人への移行時における贈与税の課税を免れる 不当に減少する結果とならない要件 のハードルが高いため 持分あり医療法人から持分なし医療法人への移行はそれほど進んでいないのが現実である ただし 仮に 不当に減少する結果とならない要件 を満たさない場合においても 承継のタイミング ( 承継時の出資金評価額の水準 ) によっては あえて贈与税を負担してでも移行することにより それ以上のメリット ( 出資持分に対する将来の相続税負担の解消や医業経営の安定 ) を享受できることも考えられる しかしながら 持分なし医療法人への移行途中に出資者の相続等が発生し 出資者の相続人から退社に伴う出資持分の払戻請求を受けた場合には 医療法人から多額の資金が流出し医業継続が困難となる可能性がある そのような場合において 当該持分あり医療法人が持分なし医療法人への移行計画の認定を受けた医療法人 ( 認定医療法人 ) であるときは 以下のとおり移行計画の期間満了まで相続税の納税を猶予し 期間内に移行を完了したときは 猶予税額を免除する制度が設けられている ( 措置法 70 条の 7 の 8) また 医療法人の贈与税の納税猶予制度も整備されている ( 措置法 70 条の 7 の 5) 出資者 持分あり医療法人 持分あり医療法人 相続開始 10 カ月 認定医療法人 法定申告期限 移行期間 ( 認定の日から 3 年以内 ) 持分なし医療法人 移行計画期間満了 相続人 ( 1 ) 出資者の死亡 ( 3 ) 出払資戻持請分求の ( 4 ) 出資持分の払戻 (2) 出資持分に係る相続税負担が発生 移行準備中に相続が発生すると医業継続が困難となる恐れがある 出資持分を相続 厚労大臣の認定 相続人の出資持分に係る納税を移行期限まで猶予 ( 担保提供が必要 ) 移行期限までに相続人等が持分の全てを放棄 納税免除 移行計画の認定が受けられるのは 平成 26 年 10 月 1 日から平成 29 年 9 月 30 日までの間の 3 年間 相続発生後 相続税の申告期限までに認定を受け 納税猶予の手続を行えば相続税の納税猶予の適用を受けることができる 医療法人に対する贈与税課税の有無に関しては あくまでも不当に減少する結果とならない 5 要件をクリアしているかどうかによる 移行期限満了までに持分なしへ移行をしなかった場合その他一定の場合には 猶予されていた相続税と利子税を合わせて納付する必要がある 6

(4) 医療法人の承継方法と承継のタイミング 出資持分の評価額は常に変動しており 承継方法と承継のタイミングの選択が重要な要素となる 以下に承 継方法とタイミングの選択についての概要を示す 承継方法 タイミングの選択について 贈与 暦年課税による出資持分の贈与相続時精算課税による出資持分の贈与 通常の贈与税の課税 ( 年単位の贈与財産額に対する暦年課税 ) を受ける形での贈与により後継者に出資持分を承継する 承継のタイミングを選択でき 長年にわたり少しずつ承継することも可能となる 現経営者が出資持分を生前に後継者に贈与しておき 将来の相続発生時に相続財産 ( 贈与時の評価額 ) として課税される形で後継者に承継する 承継のタイミングを選ぶことができ 評価額に応じて生前に承継が可能となる 出資持分の相続 出資持分の 譲渡 現経営者から相続により後継者に出資持分を承継する 相続発生のタイミングで承継されることになるため 承継時期を選ぶことができず 相続時の評価額で課税される 出資持分を現経営者から後継者となる方に譲渡 ( 売却 ) により承継する 承継のタイミングを選ぶことができ 評価額に応じて生前に承継が可能となる 譲渡 M&A 等 後継者がいない場合などにおいて 出資持分を現経営者から外部の者に譲渡 事業の一部を他の医療法人に事業譲渡 他の医療法人との合併等により承継する 承継のタイミングは買手の存在に左右されるが 評価額に応じて生前に承継が可能となる 出資持分の払戻し 出資持分の放棄 現経営者は出資持分の払戻しを受けて退社するため後継者等への出資持分の承継は生じず 残りの社員 ( 後継者等 ) が事業を承継することになる 承継のタイミングを選ぶことができ 評価額に応じて払戻しを受けることが可能となる 全社員が出資持分を放棄して 持分なし医療法人へ移行する 承継のタイミングを選ぶことができ 放棄後は 出資持分の承継が不要となる 6 医療法人の出資持分の承継方法による課税関係のまとめ医療法人の出資持分は承継方法によって課税対象者が異なるとともに 様々な課税関係が生じる 整理すると次頁のようになる このように税対象者別の資金負担 ( 税負担 ) 能力 出資持分を承継するタイミングにおける評価額 特定医療法人 社会医療法人への移行可能性などを見極め 早い段階から最適な事業承継方法を検討していくことが重要となる さらに 本稿では取り上げていないが 医療法人は出資持分という 財産 の承継だけでなく 経営 の承継にも特有の課題があり この両輪が噛み合って初めて医療法人の事業承継を成功に導くことができる 7

出資持分の承継方法課税対象者課税関係 現経営者後継者他の 出資者 医療法人課税なし 出資持分の贈与 ( 後継者を受贈者と仮定 ) 出資持分の相続 ( 後継者を相続人と仮定 ) 出資持分の譲渡 ( 時価譲渡 ) 贈与を受けた後継者に贈与税課税 相続した相続人に相続税課税 譲渡益が生じた場合 現経営者個人に譲渡所得課税 出資持分時価払戻し みなし配当が生じた場合 払 の払戻し 戻しを受ける社員個人に配 当所得として総合課税 ( 所得税法第 25 条 ) 出資額払戻し 1 他の出資者にみなし贈与課税 ( 相続税法第 9 条 ) ただし 1 出資持分一般の持分なの放棄し社団へ移行 2 課税なし ただし 2 特定医療法 課税なし人 社会医療ただし承認基準を満たす必法人へ移行要がある 1: 出資額限度法人において 一定の要件 ((1) 同族特殊関係出資者の出資比率 50% 以下 (2) 同族特殊関係社員の社員数比率 50% 以下 (3) 定款に役員に占める親族割合が 3 分の 1 以下と定める (4) 社員 役員その他の特殊関係者への特別利益供与禁止 ) を満たした場合は他の出資者にみなし贈与課税は生じない 2: 放棄する個人の親族等の相続税または贈与税の負担を不当に減少する結果となると認められるときは 医療法人を個人とみなして 贈与税が課される ( 相続税法 66 条 4 項 ) 8

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