英国 米国における教育評価 ( 質保証 ) の動向 大学分科会資料 ( 第 100 回 ) 平成 23 年 10 月 4 日 川嶋太津夫 1 英国の質保証の枠組 第三者評価 QAA (Institutional Audit) 専門職団体 (Accreditation) 高等教育の水準と質の保証 大 学 外部参照枠組 内部質保証システム ( プログラム認可委員会 プログラム評価委員会 ) 学術基盤 (Academic Infrastructure) ) 2
英国の質保証の枠組の変遷 伝統的な取組 外部試験官制度 + 学位の等級制度 ----- 1991 年高等教育の 一元化 ( ポリテクニクの大学昇格 ) 1992 年質保証の 二元制度 導入 1Higher Education Funding Councils(HEFC) による 査定 Assessment 各大学の専攻ごとの教授 学習の質の評価 2Higher Education Quality Council(HEQC) による 監査 Audit 各大学の質保証メカニズムの監査 1997 年 3 月 Quality Assurance Agency(QAA) 設置 HEQC+HEFCの評価部門の統合による 一元化 2002 年 - 教育評価 (Academic Review) 開始 2007 年各大学の専攻ごとの評価 2006 年 /2007 年大学監査 (Institutional Audit) へ変更 3 背景 : 1. 高等教育の大衆化 2. 国民へのコミュニケーションの重要性 ( 分かりやすさ ) 3. 用語 概念の曖昧さ 1 最低限の教育水準 Threshold Academic Standards: 学生が学位を授与されるために到達すべき水準 2 教育の質 Academic Quality: 学生が学位を取得できるために提供される学習機会がいかに管理されているのか ( 適切かつ効果的な教育 支援 アセスメント 学習機会など ) 上記の2つの観点から Academic Infrastructureを再整理し UK Code of Practice for standards, d quality and enhancement in higher h educationに変更 4
1. 学生本位の質保証 ( 高等教育白書とも連動 ) 訪問チームへの学生参加 学生意見書の提出 (Lead Student Representative) 2. 柔軟性 (1) 評価対象の整理 1コア部門 ( 評価対象 ) 学位の最低基準 学生の学習の質 学生の学習機会の推進 公表情報の質 (2012 13 から )[KIS, Programme Specification] 2テーマ部門 (2011 年は初年次教育 ) (2) 評価方式の継続的改善 (Rolling cycle) (3) 評価期間の短縮 (20 週から12 週へ ) 5 3. 明瞭さと簡素化 (1) より明確な表現 用語の採用 (2) 公表する報告書の簡略化 ( 詳細データ付きの報告書は大学へ ) 4. 情報公開の重要性 (1) 特に志願者の大学選択に資する情報提供 (2)2012/13から評価対象に 5. 許容可能な最低限の教育水準の公的保証の強化 (1) 明確な評価結果の記述 (2) 比較が可能となる評価結果の公表 6. 負担の軽減 7. 自己評価書の作成 (1) 学生の学習成果と学生による評価を含む (2) 専攻別評価 (Trail) は原則実施しない 6
8. 外部の参照基準等 (Academic Infrastructure) の活用をより重視 9. 評価方法 (1) 水準 : 英国の最低期待水準を満たしている 英国の最低期待水準を満たしていない (2) 質と推進 (Enhancement): 優れている 英国の期待を満たしている 英国の期待を満たすために改善が必要 英国の期待を満たしていない 10. 再評価改善行動計画の実施に基づき再評価 ( 参考 )QAA (2011), Institutional review of higher education institutions in England and Northern Ireland: Operational description Summary of Institutional review in England and Northern Ireland Institutional review-the main changes from institutional audit 7 教育基盤 Academic Infrastructure 1.The Code of practice for the assurance of academic quality and standards in UK higher education(10 部門 ) Standard 2.The framework for higher education qualifications 3.Subject benchmark statements 4.Programme specifications Quality 8
アメリカの質保証の枠組 認証機関 Recognition ボランタリー組織 ) Institutional Quality 認証Accreditation Council for Higher Education Accreditation (3000 機関が参加するボランタリ組織 ) Department of Education National Advisory Committee on Institutional Quality Regional Accreditation Body( 機関別評価 6 地域団体 ) Body Program Accreditation Body( 分野別評価 約 60 団体 ) 奨学認適定格金 連邦 Higher Education Institutions Self Study Program Review 9 アクレディテーション改善の試み スペリングス報告 (2006 年 ) 学生の学習達成 情報の公表 ( アカウンタビリティ ) などを重視 一方 改善重視 プロセス重視 大学の個性重視のアクレディテーションへの転換の試み ( 地域を基盤とした会員制を活かした取組 ) ( 例 )North Central Association of Colleges and Schools-The Higher Learning Commissionの再適格審査の新たな仕組 ) 10
大学独自の評価項目や改善計画の策定が可能 11 我が国への示唆 認証評価における学生の学習 学習機会 学習支援へのさらなる焦点化 学生の参加の可能性 最低基準の保証と改善への取組の両立 リスクベースへの転換スへの転換 ( 過去の評価で問題のない大学の負担軽減 認証機関間の情報共有 会員制の検討 ) 大学の個性 特性 状況を活かせる評価 外部の参照基準の整備 ( 学位ごとの最低水準 ) 12