Title [ 書評 ] リノス ベナキス (2001) 後ビザンツ哲学 世紀諸原典の研究 アテネ Author(s) 福田, 耕佑 Citation 東方キリスト教世界研究 = Journal for area stud Eastern Christianity (2018), 2:

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Title [ 書評 ] リノス ベナキス (2001) 後ビザンツ哲学 17-19 世紀諸原典の研究 アテネ Author(s) 福田, 耕佑 Citation 東方キリスト教世界研究 = Journal for area stud Eastern Christianity (2018), 2: 69- Issue Date 2018-05-01 URL http://hdl.handle.net/2433/234610 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto University

書評リノス ベナキス (2001) 後ビザンツ哲学 17-19 世紀諸原典の研究 アテネ ΜΠΕΝΑΚΗΣ, Λίνος (2001) Μεταβυζαντινή φιλοσοφία 17ος 19ος αιώνας. Έρευνα στις πηγές, Αθήνα. 福田耕佑 FUKUDA, Kosuke 京都大学大学院文学研究科博士課程 0. はじめに本稿ではリノス ベナキス (Λίνος Μπενάκης) の論文集 後ビザンツ哲学 17-19 世紀諸原典の研究 1 を取り上げる ベナキスは 1928 年にギリシアのコルフ島で生まれ, テッサロニキ大学で古典学を学び, 後にケルン大学で博士号を取得している 彼はミハイル プセロスに関する著作 2 やビザンツ哲学史 3, 及びその研究者たちの事績に関する著作 4 を執筆し, 古代からビザンツ期にかけてギリシア思想史の通時的な研究を行っている 5 後ビザンツ という呼称は, ポリティス (Πολιτής 2014: 1) の指摘によるとルーマニア出身の歴史家ニコラエ ヨルガの ビザンティウム後のビザンティウム 6 という書名に由来する この 後ビザンツ は, ヨルガの著作では現イスタンブール ( コンスダンディヌーポリ ) の陥落前後から 19 世紀の前半までを扱っているが, 現在ではより一般的にオスマン帝国によってギリシアが統治されていた期間 (Τουρκοκρατία) を表す ただし, ポリティス自身はオスマン統治下のギリシアを表現するのに, この 後ビザンツ という用語の代わりに 現代ギリシア (νεοελληνικός) という用語を用いている 7 本稿ではこれ以降オスマン帝国がギリシアを統治していた期間を後ビザンツ期と統一して記載する 本著作における 後ビザンツ哲学 (Μεταβυζαντινή φιλοσοφία) という用語は, オスマン帝国 1 ΜΠΕΝΑΚΗΣ, Λίνος (2001) Μεταβυζαντινή φιλοσοφία 17ος 19ος αιώνας. Έρευνα στις πηγές, Αθήνα: Παρουσία. 2 BENAKIS, Linos G. (2008) Michael Psellos: Kommentar zur Physik des Aristoteles, Athens: Editio princeps. Einleitung, Text, Indices. Corpus Philosophorum Medii Aevi, Commentaria in Aristotelem Byzantina 5. Academy of Athens. 3 ΜΠΕΝΑΚΗΣ, Λίνος (2002) Βυζαντινή Φιλοσοφία. Κείμενα και Μελέτες, Αθήνα: Παρουσία. 及び ΜΠΕΝΑΚΗΣ, Λίνος (2013) Βυζαντινή Φιλοσοφία Β,Αθήνα: Παρουσία. 4 ΜΠΕΝΑΚΗΣ, Λίνος (2006) Μνήμη Πέντε Φιλοσόφων. Μνήμη Ι.Ν.Θεοδωρακόπουλου, Π.Κ.Κανελλόπουλου, Κ.Δ.Τσάτσου, Ε.Π.Παπανούτσου, Β.Ν.Τατάκη. Κείμενα για τους πέντε φιλοσόφους Βιογραφικά Σημειώματα και Εξαντλητική Εργογραφία τους, Αθήνα: Παρουσία. 5 ΜΠΕΝΑΚΗΣ, Λίνος (2004) Αρχαία Ελληνική Φιλοσοφία. Ιστοριογραφικά και Ερευνητικά Δημοσιεύματα, Αθήνα: Παρουσία. 6 IORGA, Nicolae (1935) Byzance apès Byzance, Bucarest: L Institut d études Byzantines. 7 これに関しては, ギリシア文学の枠組みにおいて,12 世紀の叙事詩である ディゲネス アクリタス を現代ギリシア文学 (η νεοελληνική λογοτεχνία) の端緒とするかどうかというギリシア文学史の時代区分に議論と結びついており, 時代区分そのものに関しても多くの議論が存在している 69

統治下 (1453-1829) のギリシア哲学 を指し, その中でも特に後ビザンツ期のアリストテレス主義に関わった思想家が中心的に取り上げられている (Μπενάκης, 2001: 5) 本著作では, 書名にもある通り一次文献が網羅的に取り上げられ, 且つこの著作以前の研究に関しても, 分量的には多くはないが各国の先行研究が紹介されている 特に思想家たちに関しては, 本文内のみならず補遺の中でも経歴と著作が詳しく紹介されており, 多くの研究が存在しているとは言いがたい後ビザンツ哲学史に関して基礎的な情報と先行研究を網羅的に提供している 8 本書評第一章では, 本著作の構成と概要について記述する 9 また第二章では, 後ビザンツ 期を中心に, ベナキスのような通時的なギリシア思想史の記述を試みた研究を紹介したい 1. 本著作の内容と傾向の紹介 まずはじめに本著作の内容をこの著作の目次を引用することで紹介したい 1ゲオルギオス コレシオスの科学論争 1612 年のガリレオ ガリレイと知られざる論争 10 2レオブロス ツルカス (Κλεόβουλος Τσούρκας), バルカン地域における哲学教育と自由思想 11 テオフィロス コリダレフス (1570-1646) の生涯と思想 への書評 12 3テオフィロス コリダレフス, 論理学への初言 への書評 4ビザンツ期とオスマン統治期におけるアリストテレス 13 5ギリシアにおける後ビザンツ期のアリストテレス主義の歴史について 18 世紀の哲学者アリストテレスに対する議論と擁護 ニコラオス ゼルズリス ドロテオス レズヴィオス 14 15 16 618 世紀頃のギリシア圏での後ビザンツ期アリストテレス主義に対する新批判 8 該当期のギリシア思想の通時的な研究として,SPITERIS,Yannis (1992) La Teologia ortodossa neo-greca, Bologna: Edizioni Dehoniane Bologna. や PODSKALSKY, Gerhard (1998) Griechishe Theologie in der Zeit der Tuerkenherrschaft 1453-1821, Muenchen: C. H. Beck. が挙げられるが, こ れらは正教の神学に特化したものである 9 尚該当期の思想家や思想家の著作に関する詳細な紹介や内容の検討については本書評で扱う範囲を超えており, 且つ紙幅を大幅に超過するので扱わないこととする 10 Η επιστημονική διαμάχη Γεωργίου Κορεσσίου Galileo Galilei του 1612 και μια άγνωστη πτυχή της (1998) 11 Βιβλιοκρισία του Cléobule Tsourkas, Les débuts de l enseignement philosophique et de la libre pensée dans les Balkans. La vie et l oevre de Théophile Corydalée (1570 1646), Institute for Balkan Studies, Thessalonique,1967, 441 σελ.+28 πίν (1970) 12 Βιβλικρισία του Théophile Corydalée, Introduction à la Logique - Προοίμιον είς Λογικήν. Texte grec établi par A. Papadopoulos, précédé par une étude de Cl. Tsourkas, traduit et présenté par C. Noica, Bucarest (Association Intern. d études du Sud-Est Européen, Comité National Roumain, Oeuvres phlosophiques de Théophile Corydalée, t. I), 1970, XXXVIII+273 σελ. (1971) 13 Ο Αριστοτέλης στο Βυζάντιο και στην Τουρκοκρατία (1996) 14 Από την ιστορία του Μεταβυζαντινού Αριστοτελισμού στον ελλινικό χώρο. Αμφισβήτηση και υπεράσπιση του φιλοσόφου στον 18 ο αιώνα. Νικόλαος Ζερζούλης Δωρόθεος Λέσβιος (1977) 15 ベナキス (2001: 69-72) による本章の要旨がドイツ語で書かれている ここでのギリシア圏 70

7ニコラオス ゼルズリス (1706-1773) の未刊行テキスト 神学, 哲学及び科学の主題でのドロテオス レズヴィオスとの最初期の衝突 補遺 : 理性的な魂に関して, アナニアス アンティパリオスからゼルズリスに対して 17 8クリスチャン ヴォルフの教本的著作の翻訳者としてのニコラオス ゼルズリス 18 9 アトス学院 (Αθωνιάδα Ακαδημία) でのニコラオス ゼルズリスの, ムッスヘンブルクによるニュートン自然学教育 1760 年の未刊行手記 19 10トラブゾンのフロンディスティリオ 20 における写本 16 とイオアニス イェレフスとイコノモス トラブゾンダス 21 11アリストテレスによる 自然について を巡る, ニコラオス クルスラスとゲラシモス ブラホスの学派の写本に関する伝統 カッリポリにおけるヴィッサリオン マクリスの写本 23 発見の契機について 22 121670 年ヴィサリオン マクリスのアリストテレス論理学用語のギリシア語 アラビア語未刊行 辞書 23 24 13ヴェニアミン レズヴィオスに関する最新研究 14イオニア学院における初代哲学教授, 及びデカルトの翻訳者 (1824) としてのニコラオス ピッ 25 コロス (1792-1865) その事績と作品 (το ελλινικό χώρο) に該当する語をベナキスは das Griechischen Raum と訳している 当時ギリシア語を用いて学術活動を行っていた共同体はイスタンブール ( コンスタンディヌーポリ ) やブカレスト等広範な地域に及んでおり, この状況を鑑みた表現であろう オスマン統治下のバルカン半島におけるギリシア人共同体やギリシア語で教育を行っていた機関に関する著作としてはマーク マゾワーの バルカン ヨーロッパの火薬庫 の歴史 参照 16 Νεωτερική κριτική του Μεταβυζαντινού Αριστοτελισμού στον ελλινικό χώρο κατά τον 18 ο αιώνα (1981) 17 Ανέκδοτο κείμενο του Νικολάου Ζερζούλη (1706-1773). Μια πρώιμη σύγκρουση με τον Δωρόθεο Λέσβιο σε θέματα θεολογίας, φιλοσοφίας και επιστήμης. Παράρτημα : Ανανίας Αντιπάριος προς Ζερζούλην περί της λογικιής ψυχής (1978) 18 Νικόλαος Ζερζούλης, μεταφραστής των μαθηματικών έργων του Christian Wolff (1995) 19 Η διδασκαλία της Φυσικής του Νεύτωνος κατά Musschenbroek από τον Νικόλαο Ζερζούλη στην «Αθωνιάδα Ακαδημία». Ανέκδοτο χειρόγραφο του 1760 (1996) 20 φροντηστήριο は離散していたギリシア人共同が形成した機関であり, そこで舞踊や言語などが教えれら, ギリシア人のアイデンティティーを確認する場としても機能した 21 Ο άλλοτε Κώδιξ Φροντιστηρίου Τραπεζούτος 16 (Θεοφίλου Κορυυδαλέως, Είσοδος Φυσικής ακροάσεως κατ Αριστοτέλην) και ο Ιωάννης Ιερεύς και Οικονόμος Τραπεζούντος (1967). 尚ここでの Οικονόμος はそれぞれの教区や都市等における経済的な職責にあたる教会及び政治的役職を指している 22 Η χειρόγραφη παράδοση των Σχολίων στο Περί ψυχής του Αριστοτέλη του Νικολάου κούρσουλα και Γερασίμου Βλάχου. Από αφορμή την ανεύρεση του κώδικα άλλοτε Καλλιπόλεως 23 του Βησσαρίωνος Μακρή (1986) 23 Ένα ανέκδοτο ελληνοαραβικό λεξιλόγιο αριστοτελικής λογικής ορολογίας του Βησσαρίωνος Μακρή, 1670 (1994) 24 Η νεότερη έρευνα για τον βενιαμίν Λέσβιο (1985) 25 Νικόλαος Πίκκολος (1792-1865), ο πρώτος Καθηγητής της Φιλοσοφίας στην Ιόνιο Ακαδημία και μεταφραστής του Decsartes (1824). Η πολυτάραχη δράση και το πλούσιο έργο του (1999) 71

15イオニア学院の高等数学教授, 及び有能な文献学者であり思想的闘争者としてのアンドレアス マヴロマティス (1822-1855) 26 16オスマン統治下の哲学者リスト 27 ゲオルギオス コレシオス Γεώργιος Κορέσσιος (1563-1661) テオフィロス コリダレフス Θεόφιλος Κορυδαλεύς (1570-1646) ニコラオス クルスラス Νικόλαος Κούρσουλας (? - 1652) アタナシオス リトル Αθανάσιος Ρήτωρ (1571-1663) ヴィサリオン マクリス Βησσαρίων Μακρής (1635-1669) イオアニス リフディス Ιωάννης Λειχούδης (1635-1717) ソフロニオス リフディス Σωφρόνιος Λειχούδης (1652-1720) ニコラオス カリアキス Νικόλαος Καλλιάκης (1644-1707) ゲオルギオス スグドゥリス Γεώργιος Σουγδουρής (?-1725) メトディオス アントゥラキティス Μεθόδιος Ανθρακίτης (1660-1749) ニコラオス ゼルズリス Νικόλαος Ζερζούλης (1706-1772) 本書ではアリストテレス主義を中心として各時代のギリシア人思想家の経歴や作品を辞書的に紹介しながら, 以下の三点の角度から記述されている 一点目に, ガリレオ ガリレイやクリスチャン ヴォルフ等の西欧の思想家や, ニュートンやムッセヘンブルク等の科学者からギリシア人哲学者たちが受けた影響が挙げられる 二点目に, 写本を含む当時の未刊行資料に関する文献学的な解説が挙げられる そして三点目に, ギリシア人共同体内での論争や影響関係が取り上げられている 前段落で挙げた一点目に関しては, 西欧からギリシア人哲学者が受けた影響に関しては, ベナキスの研究以外にアポストロプルによるフリードリッヒ シェリングの下で学んだギリシア人学 28 生たちに関する研究やパヴロス ゼルミアスによる西欧の啓蒙主義の影響に関する研究 (Tzermias 2005: 150-167) も存在し, またベナキス (2001: 39) 自身が取り上げているように西欧側での先行研究も存在する このようにベナキスの研究は英仏独語圏でなされた研究文献を手堅く抑えているという点で本著作は高く評価できよう また先述の三点目に関して述べるならば, 該当期におけるビザンツ時代のアリストテレス主義を引き継いだ思想家個人に関する研究や, ギリシア圏における論争に関する他の研究は希少である 特に ギリシアにおける後ビザンツ期のアリストテレス主義の歴史について 18 世紀の哲学 26 Ανδρέας Μαυρομμάτης (1822-1855), Καθηγητής της Υψηλοτέρας Μαθηματικής της Ιονίου Ακαδημίας, δεινός φιλόλοος και πνευματικός αγωνιστής (1984) 27 Λήμματα Φιλοσόφων της Τουρκοκρατίας στο Παγκόσμιο Βιογραφικό Λεξικό της Εκδοτικής Αθηνών (1983-1988) 28 ΑΠΟΣΤΟΛΟΠΟΥΛΟΥ, Γεωργία (1994) «Οι Έλληνες μαθητές του Schelling. Μια σύντομη επισκόπηση», Νεοελληνική φιλοσογία 1600-1950 : 9-22,Θεσσαλονίκη: Ελληνική φιλοσοφική εταιρία. 72

者アリストテレスに対する議論と擁護 ニコラオス ゼルズリス ドロテオス レズヴィオス や ニコラオス ゼルズリス (1706-1773) の未刊行テキスト 神学, 哲学及び科学の主題でのドロテオス レズヴィオスとの最初期の衝突 は正教圏の伝統の下に学んだ後ビザンツ期のギリシア人たちの知的交流に関して詳細に紹介している しかし基本的には思想家たちの経歴や著作の紹介が中心であり, 著者であるベナキス自身の特定の思想家に対する見解や該当期そのものの思想的傾向や時代区分の有効性に関する観点は意識されていない 確かに著者自身が 諸原典の研究 と述べているように, 該当期の思想家の経歴や諸著作に関するこれまで十分に知られていなかった人物や著作が辞書的に紹介されており, 概説書としては大きな価値をもつであろう 2. 近現代までを範囲とする通史としてのギリシア思想史を扱った著作本節では, 通史としてギリシア思想史を記述する研究を整理し, この中に本書 後ビザンツ哲学 を位置づけたい 管弦の限り, ギリシア哲学を通時的に扱った哲学史の著作の端緒として重要なものは, エミール ブレイエの 哲学の歴史 (1926-1932) シリーズであり, この中にビザンツに関する一項が設けられている 更にこのブレイエの著作の姉妹本として刊行されたヴァシリス タタキス ( バシル タタキ Βασίλης Τατάκης/ Basile Tatakis) が ビザンツ哲学 を著しより網羅的かつ通時的ににビザンツ期のギリシア語圏での思想を詳述しており 29, その 312 頁から 314 頁までを最終章 ビザンティウム後のビザンティウム (Byzance après Byzance) として割いている しかしこの章ではビザンツは主として他の文化圏 ( 特にスラヴ世界 ) に引き継がれたと総括がされるにとどまり, 後ビザンツ期のギリシア圏で活動した哲学者については名前さえも取り上げられておらず, ビザンツ期と後ビザンツ期の思想を接続させようとする視点や一貫したギリシア思想史或いはギリシア語による思想史を記述しようとする視野はまだみられない (Tatakis 1949: 314) ベナキスの著作以外に後ビザンツ期を体系的に扱った著作として, ニコス プシメノスの 1453 年から 1821 年までのギリシア哲学 30 が挙げられる この著作ではゲオルギオス ゲミストス ( 或いはプリトン ) (Γεώργιος Γεμιστός/Πλήθων) やイェナディオス スホラリオス (Γεννάδιος Σχολάριος) といったビザンツ後期の思想家から始まり, テオフィロス コリダレフスやゲオルギオス スグドゥリスまで取り扱っている しかし特にベナキスが扱っていないビザンツ最後期の思想家を挙げており, ベナキスの著作より古く, 研究史の整理が十分に記述されていない点があるとしても, 該当期の研究として極めて有益である 後ビザンツ期から近世 現代までのギリシア思想の通史的記述を試みている著作として, プシメノスの全段落に挙げた著作とその姉妹本であるロクサニ アルギロプルの 1828 年から 1922 年までのギリシアにおける哲学的思考 31, 及び先述したギリシア哲学協会編集の 1600 年から 29 TATAKIS, Basile (1949) La philosophie byzantine, Paris: Presses universitaires de France. 30 ΨΗΜΕΝΟΣ, Νικός (1985) Η Ελλνική φιλοσοφία από το 1453 ώς το 1821, Αθήνα: Εκδόσεις ΓΝΩΣΗ. 31 ΑΡΓΥΡΟΠΟΥΛΟΥ, Ρωξάνη (1998) Η φιλοσοφική σκέψη στην Ελλάδα από το 1828 ώς το 1922, Αθήνα: 73

1950 年代の現代ギリシア哲学, パヴロス ゼルミアスによる 古代から今日までのギリシア哲学の諸相, 他にもコンスタンディノス ゲオルグリスによる ギリシア哲学史 32 等が挙げられる これらギリシア語による著作は, 古代から近現代までのギリシア思想史を通史的に記述している 他にもモニック カント=スペルベル編集の ギリシア哲学 33 はソクラテス以前の哲学者たちからプラトンやアリストテレスを経由しビザンツ及び後ビザンツ期までを取り上げているが, ただプセッロスとプリトンの二名を取り上げているのみであり, 後ビザンツ期に関する考察が行われているとまでは言い難い プシメノスとベナキスの両著作は, 後ビザンツ期アリストテレス主義やプラトン主義の受容と継承という観点で記述しており, この観点は, 古代ギリシア, ビザンツ, 後ビザンツをアリストテレス主義の受容を通して記述したベナキスの研究と同じ傾向を持つ 特にベナキスの研究はギリシア圏内において発展した系譜の継承と西欧の科学や思想からの影響の両者を意識しながら連続したギリシア思想史の記述を試みた点で, 他の研究よりも連続性に根拠を持たせながら記述した研究だと言えよう これに対して, ゼルミアスの研究はソクラテス以前の哲学者たちから近代や現代の思想家を取り扱っており, 範囲としては最も通時的であるが, 時代区分に該当する一つ一つの章に連関性がなく, 通時的に記述している利点を活用できておらず, またそれぞれの時代区分の特徴や時代区分そのものへの根拠や考察が見られない 加えて後ビザンツ期の記述に関しても, オスマン下でのギリシアの政治哲学 : 東方教会の伝統と西方啓蒙主義の間で のように, 西欧から受けた影響の記述が中心で, 彼ら以前に営まれていたギリシア圏の思想家との関連や位置づけに関する考察が十分ではなく, アリストテレス主義やプラトン主義については扱っていない だが, アルギロプルやゲオルグリスの研究で取り上げられていないニコス カザンザキス (Νικός Καζαντζακής 1883-1957) に一章分を割り当て (Tzermias 2005 : 206-218), また ギリシアのメガリ イデア 34 と教条的マルクス主義の間での現代ギリシアの思想 (Tzermias 2005 : 168-205) という章もあり, アリストテレス主義やプラトン主義の系譜的な連続性に該当しない思想に対する記述を行っている このように, 一つの軸に沿った体系的な記述ではなく, 連続性がなく恣意的に関心のある作家をあげているにすぎないようにも見える点が惜しまれるものの, ベナキス等が取りこぼしているギ Εκδόσεις ΓΝΩΣΗ. 32 ΓΕΩΡΓΟΥΛΗΣ, Κωνσταντίνος (2012) Ιστορία της ελληνικής φολοσοφίας, Αθήνα: Εκδόσεις ΔΗΜ. Ν. ΠΑΠΑΔΗΜΑ. 33 CANTO-SPERER, Monique (1997) Philosophie Grecque, Paris: PUF (Presses Universitaires de France). Paris, 1997 34 Μεγάλη Ιδέα:19 世紀中ごろにギリシアの知識人と大衆によって共有されていた信条で,1844 年にイオアンニス コレッティスの演説の中で初めて言及される この演説の中でコレッティスは, テッサリアやイスタンブール, そしてトラブゾン等小アジアを含む広大な地域をギリシア領として要求するとともに, ギリシアが東方と西方の間, ヨーロッパの中心に位置し, 西方がギリシアを啓蒙したように, 東方を啓蒙することが自分達の宿命である, という宣言を行う そして自分達が偉大な古典古代ギリシアの末裔であるという意識により, 古典ギリシアと不滅のアテネの栄光に触れながら, 列強に支援を呼びかけ, 領土拡張のためギリシア人に団結を促す 74

リシアの思想家を多く取り上げることに成功している点でベナキスの著作と相補的な位置づけを獲得しているといえよう 最後に, 今後の課題を述べてこの紹介を締めくくりたい 本書を通して, これまで研究の少なかった後ビザンツ期のギリシア思想に関して, 一次資料や先行研究に関する基本的な情報が整理され, ベナキスの古代からビザンツ期, そして後ビザンツ期を経由した一連の研究を通して, アリストテレス主義の系譜を介した連続的なギリシア思想史の記述が行われた しかしながら特に後ビザンツ以降のギリシア思想に関しては, ゼルミアスが取り上げたような啓蒙期の政治思想家やカザンザキス等の系譜から漏れ出てしまう思想家を記述ことが今後の課題となる そのために歴史記述のトピックを整理し, 西欧からの影響ばかりでなくギリシア圏内での影響関係により着目した研究の発展に寄与したい 参考文献 ΑΡΓΥΡΟΠΟΥΛΟΥ, Ρωξάνη (1998) Η φιλοσοφική σκέψη στην Ελλάδα από το 1828 ώς το 1922, Αθήνα: Εκδόσεις ΓΝΩΣΗ. ΓΕΩΡΓΟΥΛΗΣ, Κωνσταντίνος (2012) Ιστορία της ελληνικής φολοσοφίας, Αθήνα: Εκδόσεις ΔΗΜ. Ν. ΠΑΠΑΔΗΜΑ. ΕΛΛΗΝΙΚΗ ΦΙΛΟΣΟΦΙΚΗ ΕΤΑΙΡΙΑ (1994) Νεοελληνική φιλοσογία 1600-1950, Θεσσαλονίκη: Εκδόσεις ΒΑΝΙΑΣ. ΜΠΕΝΑΚΗΣ, Λίνος (2001) Μεταβυζαντινή φιλοσοφία 17ος 19ος αιώνας. Έρευνα στις πηγές, Αθήνα: Παρουσία. ΜΠΕΝΑΚΗΣ, Λίνος (2002) Βυζαντινή Φιλοσοφία. Κείμενα και Μελέτες, Αθήνα: Παρουσία. ΜΠΕΝΑΚΗΣ, Λίνος (2004) Αρχαία Ελληνική Φιλοσοφία. Ιστοριογραφικά και Ερευνητικά Δημοσιεύματα, Αθήνα: Παρουσία. ΜΠΕΝΑΚΗΣ, Λίνος (2006) Μνήμη Πέντε Φιλοσόφων. Μνήμη Ι.Ν.Θεοδωρακόπουλου, Π.Κ.Κανελλόπουλου, Κ.Δ.Τσάτσου, Ε.Π.Παπανούτσου, Β.Ν.Τατάκη. Κείμενα για τους πέντε φιλοσόφους Βιογραφικά Σημειώματα και Εξαντλητική Εργογραφία τους, Αθήνα: Παρουσία. ΜΠΕΝΑΚΗΣ, Λίνος (2013) Βυζαντινή Φιλοσοφία Β,Αθήνα: Παρουσία. ΜΠΕΝΑΚΗΣ, Λίνος (2014) Ιστορία της Νεοελληνικης Λογοτεχνίας, Αθήνα: Μορφωτικό Ίδρυμα εθνικής Τραπέζης. ΨΗΜΕΝΟΣ, Νικός (1985) Η Ελλνική φιλοσοφία από το 1453 ώς το 1821, Αθήνα: Εκδόσεις ΓΝΩΣΗ. BENAKIS, Linos G. (2008) Michael Psellos: Kommentar zur Physik des Aristoteles, Athens: Editio princeps. Einleitung, Text, Indices. Corpus Philosophorum Medii Aevi, Commentaria in Aristotelem Byzantina 5. Academy of Athens. CANTO-SPERER, Monique (1997) Philosophie Grecque, Paris: PUF (Presses Universitaires de France). IORGA, Nicolae (1935) Byzance apès Byzance, Bucarest: L Institut d études Byzantines. 75

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