医師主導治験 急性脊髄損傷患者に対する顆粒球コロニー刺激因子を用いたランダム化 プラセボ対照 二重盲検並行群間比較試験第 III 相試験 千葉大学大学院医学研究院整形外科 千葉大学医学部附属病院臨床試験部 1

Similar documents
急性期脊髄損傷における臨床評価に関するガイドライン追補 本文書は 千葉大学医学部附属病院が主となって実施した医師主導治験 急性脊髄損傷患者に対する顆粒球コロニー刺激因子を用いたランダム化 プラセボ対照 二重盲検並行群間比較第 III 相試験 ( 以下 本試験 という ) を計画 実施した際の留意点に

使用上の注意 1. 慎重投与 ( 次の患者には慎重に投与すること ) 1 2X X 重要な基本的注意 1TNF 2TNF TNF 3 X - CT X 4TNFB HBsHBcHBs B B B B 5 6TNF 7 8dsDNA d

査を実施し 必要に応じ適切な措置を講ずること (2) 本品の警告 効能 効果 性能 用法 用量及び使用方法は以下のとお りであるので 特段の留意をお願いすること なお その他の使用上の注意については 添付文書を参照されたいこと 警告 1 本品投与後に重篤な有害事象の発現が認められていること 及び本品

恩賜第 42 回社会福祉法人財団済生会中央治験審査委員会 会議の記録の概要 開催日時 平成 28 年 1 月 13 日 ( 水 )15:30~17:17 開催場所 出席委員名 東京都港区三田 三田国際ビル 21 階 社会福祉法人 恩賜財団済生会本部事務局中会議室 豊島


葉酸とビタミンQ&A_201607改訂_ indd

未承認の医薬品又は適応の承認要望に関する意見募集について

「             」  説明および同意書

フィルグラスチムBS注75μgシリンジ「モチダ」フィルグラスチムBS注150μgシリンジ「モチダ」フィルグラスチムBS注300μgシリンジ「モチダ」

Microsoft Word - H _概要_.doc

第 66 回厚生連病院共同治験審査委員会 会議の記録の概要 開催日時開催場所出席委員名 議題及び審議結果を含む主な議論の概要 2018 年 09 月 19 日 18 時 00 分 ~18 時 20 分日本文化厚生農業協同組合連合会 8 階中会議室高瀬浩造 西田博 板井勉 田中克巳 江口善美 山崎きよ


平成 29 年度第 1 回小児治験ネットワーク中央治験審査委員会 会議の記録の概要 開催日時 平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 )14:00~15:15 開催場所国立研究開発法人国立成育医療研究センター管理棟 2 階会議室 21 金子剛 石川洋一 鈴木康之 安達昌功 三浦大 掛江直子 廣部兼

症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

試験デザイン :n=152 試験開始前に第 VIII 因子製剤による出血時止血療法を受けていた患者群を 以下のい ずれかの群に 2:2:1 でランダム化 A 群 (n=36) (n=35) C 群 (n=18) ヘムライブラ 3 mg/kg を週 1 回 4 週間定期投与し その後 1.5 mg/k

(3) 摂取する上での注意事項 ( 該当するものがあれば記載 ) 機能性関与成分と医薬品との相互作用に関する情報を国立健康 栄養研究所 健康食品 有効性 安全性データベース 城西大学食品 医薬品相互作用データベース CiNii Articles で検索しました その結果 検索した範囲内では 相互作用

山形大学医学部附属病院医薬品等受託研究審査委員会議事録

10,000 L 30,000 50,000 L 30,000 50,000 L 図 1 白血球増加の主な初期対応 表 1 好中球増加 ( 好中球 >8,000/μL) の疾患 1 CML 2 / G CSF 太字は頻度の高い疾患 32

減量・コース投与期間短縮の基準

医薬品リスク管理計画書(本文)

メディカルスタッフのための白血病診療ハンドブック

(別添様式)

タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg タペンタ 錠 100mg に係る 販売名 タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 有効成分 タペンタ 錠 100mg 製造販売業者 ヤンセンファーマ株式会社 薬効分類 821 提出年月 平成 30 年

301128_課_薬生薬審発1128第1号_ニボルマブ(遺伝子組換え)製剤の最適使用推進ガイドラインの一部改正について

白血病治療の最前線

心房細動1章[ ].indd

10038 W36-1 ワークショップ 36 関節リウマチの病因 病態 2 4 月 27 日 ( 金 ) 15:10-16:10 1 第 5 会場ホール棟 5 階 ホール B5(2) P2-203 ポスタービューイング 2 多発性筋炎 皮膚筋炎 2 4 月 27 日 ( 金 ) 12:4

グラン注射液・シリンジ75・150・300

平成 27 年度第 1 回福島県立医科大学附属病院治験審査委員会会議の記録の概要 開催日時平成 27 年 4 月 2 日 ( 木 ) 16:00~17:25 開催場所福島県立医科大学 4 号館 4 階会議室 出席委員名 議題及び審議結果を含む主な議論の概要 後藤満一 木村純子 挾間章博 小川一英 中

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

審査結果 平成 23 年 4 月 11 日 [ 販 売 名 ] ミオ MIBG-I123 注射液 [ 一 般 名 ] 3-ヨードベンジルグアニジン ( 123 I) 注射液 [ 申請者名 ] 富士フイルム RI ファーマ株式会社 [ 申請年月日 ] 平成 22 年 11 月 11 日 [ 審査結果

PT51_p69_77.indd

米国で承認された エロツズマブ という新薬について Q&A 形式でご紹介します Q&A の監修は 新潟県立がんセンター新潟病院内科臨床部長張高明先生です Q1: エロツズマブという薬が米国で承認されたと聞きましたが どのような薬ですか? エロツズマブについてエロツズマブは 患者さんで増殖しているがん

モビコール 配合内用剤に係る 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 販売名 モビコール 配合内用剤 有効成分 マクロゴール4000 塩化ナトリウム 炭酸水素ナトリウム 塩化カリウム 製造販売業者 EA ファーマ株式会社 薬効分類 提出年月 平成 30 年 10 月 1.1. 安全

Microsoft Word - LIA RMP_概要ver2.docx

ケブザラ皮下注 150mg/200mg シリンジに係る医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 販売名 1 ケブザラ皮下注 150mg シリンジ 2 ケブザラ皮下注 200mg シリンジ 有効成分 サリルマブ ( 遺伝子組換え ) 製造販売業者 サノフィ株式会社 薬効分類 399 提出年月 平成

Microsoft Word - H _概要_.doc

ダラツムマブってどんな薬? 初発の患者さん ( 初めて治療を受ける患者さん ) の治験募集についてー 米国で承認された ダラツムマブ という新薬について Q&A 形式でご紹介します Q&A の監修は 名古屋市立大学病院血液 腫瘍内科診療部長飯田真介先生です Q1 ダラツムマブという薬が米国で承認され

保険薬局の登録 ~ クロザリルは CPMS に登録された保険薬局で調剤され 通院患者に渡されることにな っています CPMS 登録にあたり薬局には下記要件が求められます < 要件 1> 1) インターネットが使えること (ecpms(web site) にアクセス可能であること ) 2) 処方元の医

議題 3. ファイザー の依頼による白血病患者を対象とした SKI-606 の第 Ⅲ 相試験 ( 整理番号 :476) 議題 4. 武田バイオ開発センター の依頼による第 Ⅰ 相試験 ( 整理番号 : 487) 議題 5. ノバルティスファーマ の依頼による肺動脈性肺高血圧症患者を対象とした QTI

白血病治療の最前線

040830議事録

た 18 歳以上の AD/HD 患者を対象に 日本人を含むアジア人によるプラセボ対照二重盲検比較試験及びその長期継続投与試験が現在実施されており 本剤の製造販売者によれば これらの試験成績に基づき 本剤の成人期 AD/HD 患者への追加適応に関する承認事項一部変更承認申請が行われる予定とされている

01事務局頭紙(千葉大) 千葉大確認後 修正

Microsoft Word _2180AMY10104_K104_1.doc

(2) レパーサ皮下注 140mgシリンジ及び同 140mgペン 1 本製剤については 最適使用推進ガイドラインに従い 有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間 本製剤の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに 副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

の状態により適宜減量する 成人 A 法 : 他の抗悪性腫瘍剤との併用において ブスルファンとして 1 回 0.8 mg/kg を生理食塩液又は 5% ブドウ糖液に混和 調製して 2 時間かけて点滴静注する 本剤は 6 時間毎に 1 日 4 回 4 日間投与する なお 年齢 患者の状態により適宜減量す

課題名

スライド 1

ケブザラ皮下注 150mg/200mg シリンジ ケブザラ皮下注 150mg/200mg オートインジェクターに係る医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 販売名 製造販売業者 1 ケブザラ皮下注 150mg シリンジ 2 ケブザラ皮下注 200mg シリンジ 3 ケブザラ皮下注 150mg オ

がん化学(放射線)療法レジメン申請書

<4D F736F F D2089BB8A7797C C B B835888E790AC8C7689E6>

販売名 ベージニオ 錠に係る医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 ベージニオ錠 50mg ベージニオ錠 100mg ベージニオ錠 150mg 有効成分 アベマシクリブ 製造販売業者 日本イーライリリー株式会社 薬効分類 提出年月 平成 30 年 9 月 ( 別紙様式 ) 1.1

D961H は AstraZeneca R&D Mӧlndal( スウェーデン ) において開発された オメプラゾールの一方の光学異性体 (S- 体 ) のみを含有するプロトンポンプ阻害剤である ネキシウム (D961H の日本における販売名 ) 錠 20 mg 及び 40 mg は を対象として

する 研究実施施設の環境 ( プライバシーの保護状態 ) について記載する < 実施方法 > どのような手順で研究を実施するのかを具体的に記載する アンケート等を用いる場合は 事前にそれらに要する時間を測定し 調査による患者への負担の度合いがわかるように記載する 調査手順で担当が複数名いる場合には

2015 年 11 月 5 日 乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善 株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) では アトピー性皮膚炎患者を対象に 乳酸菌 ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下 乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下 乳酸菌発酵果

ジーラスタを使用される患者さんへ:がん化学療法による「発熱性好中球減少症」の発症を抑えるために<お薬説明書>

451) 議題 3. ファイザー の依頼による白血病患者を対象とした SKI-606 の第 Ⅲ 相試験 ( 整理番号 :476) 議題 4. 武田バイオ開発センター の依頼による第 Ⅰ 相試験 ( 整理番号 : 487) 議題 5. ノバルティスファーマ の依頼による肺動脈性肺高血圧症患者を対象とし

ノイトロジン注患者向医薬品ガイド

1 8 ぜ 表2 入院時検査成績 2 諺齢 APTT ALP 1471U I Fib 274 LDH 2971U 1 AT3 FDP alb 4 2 BUN 16 Cr K4 O Cl g dl O DLST 許 皇磯 二 図1 入院時胸骨骨髄像 低形成で 異常細胞は認め

Microsoft PowerPoint - press_11_3_18.pptx

審査結果 平成 26 年 1 月 6 日 [ 販 売 名 ] ダラシン S 注射液 300mg 同注射液 600mg [ 一 般 名 ] クリンダマイシンリン酸エステル [ 申請者名 ] ファイザー株式会社 [ 申請年月日 ] 平成 25 年 8 月 21 日 [ 審査結果 ] 平成 25 年 7

目次 C O N T E N T S 1 下痢等の胃腸障害 下痢について 3 下痢の副作用発現状況 3 最高用量別の下痢の副作用発現状況 3 下痢の程度 4 下痢の発現時期 4 下痢の回復時期 5 下痢による投与中止時期 下痢以外の胃腸障害について 6 下痢以外の胃腸障害の副

<4D F736F F D B A814089FC92F982CC82A8926D82E782B95F E31328C8E5F5F E646F63>

慢性骨髄性白血病 (CML-CP) の初発成人患者を対象に イマチニブに対するニロチニブの有効性を比較する多施設共同 非盲検 無作為化第 Ⅲ 相臨床試験審議内容等 : 同意説明文書の変更に伴う 治験継続の適否について審議した 清水委員長から 治験に関する変更内容について説明があり 審議の結果 申請書

rihabili_1213.pdf

untitled

医療法人原土井病院治験審査委員会

医療法人原土井病院治験審査委員会

ポプスカイン0.75% 注シリンジ 75mg /10 院 Popscaine 75mg /10 院 / 筒 丸石 薬価 円 / 筒 効 硬膜外麻酔 用 ( 注 )1 回 150mg ( 本剤として20 院 ) までを硬膜外腔に投与 禁 大量出血やショック状態, 注射部位またはその周辺に

5. 死亡 (1) 死因順位の推移 ( 人口 10 万対 ) 順位年次 佐世保市長崎県全国 死因率死因率死因率 24 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 位 26 悪性新生物 350

モニタリング計画書・報告書

040830議事録

<4D F736F F D2091F288E490BB96F28A948EAE89EF8ED05F B834F F8AB38ED28CFC88E396F B FC92F98DCF817A >

貧血 

現況解析2 [081027].indd

レクタブル 2 mg 注腸フォーム 14 回に係る医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 販売名 レクタブル 2 mg 注腸フ 有効成分 ブデソニド ォーム14 回 製造販売業者 EA ファーマ株式会社 薬効分類 提出年月 平成 29 年 10 月 1.1. 安全性検討事項 重要な特

未承認薬 適応外薬の要望に対する企業見解 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 会社名要望された医薬品要望内容 CSL ベーリング株式会社要望番号 Ⅱ-175 成分名 (10%) 人免疫グロブリン G ( 一般名 ) プリビジェン (Privigen) 販売名 未承認薬 適応 外薬の分類

ロミプレート 患者用冊子 特発性血小板減少性紫斑病の治療を受ける患者さんへ

京都府立医科大学附属病院

<4D F736F F D DC58F4994C5817A53544C2094E789BA928D5F8AB38ED28CFC834B F94CC94848CB392C78B4C C5292E646F63>

Microsoft Word - 2-① 補償ガイドライン平成27年版(本文)Ver3.1.1.do

治験の継続審議 議題 1. ノバルティスファーマ の依頼による白血病患者を対象とした AMN107 の第 Ⅲ 相試験 ( 整理番号 :437) 議題 2. グラクソ スミスクライン の依頼による腎細胞癌患者を対象とした GW の第 Ⅲ 相試験 ( 整理番号 :505) 議題 3. パレク

臨床試験の実施計画書作成の手引き

Microsoft Word - …gŠÕ‘°ŒÚ”�.doc

白血病治療の最前線

審査結果 平成 25 年 9 月 27 日 [ 販売名 ] アナフラニール錠 10 mg 同錠 25 mg [ 一般名 ] クロミプラミン塩酸塩 [ 申請者名 ] アルフレッサファーマ株式会社 [ 申請年月日 ] 平成 25 年 5 月 17 日 [ 審査結果 ] 平成 25 年 4 月 26 日開

がん化学 ( 放射線 ) 療法レジメン申請書 記載不備がある場合は審査対象になりません * は記入不要です 申請期日 2013/6/17 受付番号 診療科名 脳神経外科 がん腫 ( コード ) 診療科長名 申請医師名 レジメン登録ナンバー 登録申請日 審査区分 ( 下記をチェックしてください ) 登

VRd_CyBorD患者説明文書

緒言

臨床的な使用確認試験 評価表

北里大学病院モニタリング 監査 調査の受け入れ標準業務手順 ( 製造販売後臨床試験 ) 第 1 条 ( 目的 ) 本手順書は 北里大学病院において製造販売後臨床試験 ( 以下 試験とする ) 依頼者 ( 試験依頼者が業務を委託した者を含む 以下同じ ) が実施する直接閲覧を伴うモニタリング ( 以下

ヒアルロン酸ナトリウム架橋体製剤 特定使用成績調査

レキサルティに係る医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 ( 別紙様式 ) レキサルティ錠 1mg 販売名有効成分ブレクスピプラゾールレキサルティ錠 2mg 製造販売業者大塚製薬株式会社薬効分類 安全性検討事項 提出年月 重要な特定されたリスク 平成 30 年 5 月 錐

九州大学病院の遺伝子治療臨床研究実施計画(慢性重症虚血肢(閉塞

会社名

日本医薬品安全性学会 COI 開示 筆頭発表者 : 加藤祐太 演題発表に関連し 開示すべき COI 関連の企業などはありません

がん化学(放射線)療法レジメン申請書

ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

Transcription:

医師主導治験 急性脊髄損傷患者に対する顆粒球コロニー刺激因子を用いたランダム化 プラセボ対照 二重盲検並行群間比較試験第 III 相試験 千葉大学大学院医学研究院整形外科 千葉大学医学部附属病院臨床試験部 1

顆粒球コロニー刺激因子 (Granulocyte Colony-Stimulating Factor: G-CSF) 一般名 : フィルグラスチム 調達法 国内企業より無償提供 製造元または供給元の名称協和発酵キリン ( 株 ) 品質 規格 GMP 品名 : グラン シリンジ成分 含量 :1 バイアル中フィルグラスチムを 300μg 含有添加物 : ポリゾルベート 50 D- マンニトール 造血系細胞の成長因子の1つ本邦では血液内科の領域で日常的に臨床使用されている ( グラン ) 好中球減少症末梢血幹細胞移植ドナーに対して造血幹細胞の末梢血への動員 2

薬事承認申請までのロードマップ ( 治験 ) 治験薬または治験機器 : 顆粒球コロニー刺激因子 (G-CSF; 製品名 : グラン R ) 対象疾患 : 急性脊髄損傷 臨床研究 Phase 1/2a および早期 2b 医師主導治験 phase 1/2a 試験名 : 急性脊髄損傷に対する顆粒球コロニー刺激因子を用いた神経保護療法 試験デザイン : 単群オープンラベル 用量漸増試験 期間 : 平成 21 年 ~ 平成 22 年 被験者数 :16 例 (G-CSF 5μg/kg/d 5 例 G-CSF 10μg/kg/d 11 例 ) 結果の概要 : 重篤な有害事象なし 早期 phase2b 試験名 : 急性脊髄損傷に対する顆粒球コロニー刺激因子を用いた神経保護療法 試験デザイン :2 群 ( 施設ごとに治療群分け ) 非ランダム化 非盲検化前向き比較対象試験 期間 : 平成 22 年 ~ 平成 23 年 被験者数 :G-CSF19 例 コントロール 26 例 結果の概要 : 投与後 3 か月の ASIA 運動スコア獲得点数が G-CSF 群で有意に高かった 試験名 : 急性期脊髄損傷患者の麻痺改善を目的とする顆粒球コロニー刺激因子 (G-CSF) 神経保護療法 試験デザイン : 2 群ランダム化 二重盲検 プラセボ対照試験 期間 : 平成 26 年承認日 ~ 平成 28 年 3 月 31 日 被験者数 :88 例 ( 治療群 44 例 対照群 44 例 ) 主要評価項目 : 投与後 3 ヵ月時の運動麻痺回復 (ASIA 運動 score 獲得点数 ) 副次評価項目 : 運動 感覚麻痺の回復 神経学的障害高位 MRI 画像 血中バイオマーカー 日常生活動作評価 生活の質評価 有害事象 薬事承認申請 当該治験における 選択基準 : 受傷後 48 時間以内の頚髄損傷 重度不全麻痺例 (AIS B C) 16-85 歳 除外基準 : 受傷後 48 時間時点で麻痺が回復 (AIS D/E) したもの 白血病の既往 過去 5 年の悪性疾患既往 治療中の心筋梗塞 脳梗塞 脾腫 妊婦など 予想される有害事象 : 腰背部痛 骨痛 ショック 間質性肺炎 急性呼吸窮迫症候群 芽球の増加 脾破裂など 欧米での現状薬事承認 : 米国 ( 無 ) 欧州 ( 無 ) ガイドライン記載 :( 無 ) 進行中の臨床試験 ( 無 ) 3

4

試験方法 1) 効能 効果急性脊髄損傷患者における運動機能に関する予後の改善 2) 試験デザイン前向き ランダム化 プラセボ対照 二重盲検試験, 第 Ⅲ 相臨床試験 3) 被検薬フィルグラスチム (KRN8601) 4) 主要評価項目 運動麻痺の推移 : 投与後 3 ヵ月時の運動麻痺の推移 ASIA 運動 score の変化量を用いて評価する 3 か月 ASIA 運動スコア変化量 = 3 ヵ月 ASIA 運動スコア 投与前 ASIA 運動スコア 注 :ASIA:American Spinal Injury Association 5

5) 副次的評価項目 有効性 1 運動麻痺の推移 : 投与後 6 ヶ月 12 ヶ月時の運動麻痺の推移 (ASIA 運動 score 変化量 ) 2 感覚麻痺の推移 : 投与後 3 ヶ月 6 ヶ月 12 ヶ月時の感覚麻痺の推移 (ASIA 痛覚 score 変化量 ) 3 麻痺による機能障害の程度 : 投与後 3 ヶ月 6 ヶ月 12 ヶ月時 AIS 4 レスポンダーの割合 : 投与後 3 ヶ月 6 ヶ月 12 ヶ月時 AIS conversion 5 神経学的損傷高位 (neurological level of injury:nli): 投与後 3 ヶ月 6 ヶ月 12 ヶ月 6Spinal Cord Independence Measure(SCIM): 投与後 3 ヶ月 6 ヶ月 12 ヶ月 7EQ-5D: 投与後 3 ヶ月 6 ヶ月 12 ヶ月 安全性 有害事象 ( 副作用 ) 6

6) 投与方法 実薬群 顆粒球コロニー刺激因子 ( フィルグラスチム [ グラン ])400μg/m 2 /day* 5 日間点滴静注 ( 生理食塩水 100ml に溶解 末梢静脈から 15 分間で点滴静注 ) 対照 ( プラセボ ) 群 識別不能なプラセボを生理食塩水 100 ml に溶解し上記同様に投与 ( 末梢静脈から 15 分間で点滴静注 5 日間 ) 投与期間中臨床検査値 自覚症状に応じて投与量を調整白血球増多 血小板減少 骨痛 嘔吐など 7) 目標被験者数 ( 症例数 ) 88 例 ( 各群 44 例 ) これまでに施行した自主臨床試験の結果をもとに設定 8) 観察期間投与開始後 1 年間 9) 治験期間平成 27 年 5 月 1 日 ~ 平成 30 年 4 月 30 日症例登録期間平成 27 年 5 月 1 日 ~ 平成 29 年 4 月 30 日 7

症例の選択基準 1 受傷後 48 時間以内の頚髄損傷患者 (AIS B/C) 2 受傷後 48 時間 (±6 時間 ) 時に神経症状を評価し AIS B/C の患者 3 損傷脊髄レベル :C4 C7 ( 投与は受傷後 48 時間 ) 4 年齢 :16 歳 -85 歳 5 本治験の参加にあたり十分な説明を受けた後 十分な理解の上 患者本人の自由意思による文書同意が得られた患者 ( ただし書字困難な患者においては代筆可とし 未成年者に関しては患者本人および代諾者の同意も得る ) 61 年間 ( 3 ヶ月 6 ヶ月 12 ヶ月 ) の通院が可能な患者 8

症例の除外基準 1 受傷後 48 時間 (±6 時間 ) 時の神経症状評価にて重症度が AIS D/E に回復したと判定された患者 2 本剤の成分に過敏症の患者 3 白血病など造血系悪性疾患の既往をもつ患者 4 悪性疾患を治療中の患者 5 心筋梗塞 狭心症の治療を受けている患者 6 血栓 塞栓症の既往をもつ患者 7 脾腫のある患者 8 意識障害を有する患者 9 妊娠中 妊娠可能性 妊娠希望 授乳中である女性 10 神経症状評価に影響を及ぼしうる神経 筋骨格系疾患等を併発している患者 11 同意取得前に G-CSF メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム の投与を受けた患者 12 治験期間中に急激な悪化が予測される患者 13 重篤な合併症を有する患者 14 合併症等によりリハビリテーションを早期 ( 受傷後 2 週間以内 ) に開始できない患者 15 ほかの臨床試験 臨床研究に参加している患者 16 その他 治験責任 ( 分担 ) 医師が被験者として不適当と判断した患者 9