医師主導治験 急性脊髄損傷患者に対する顆粒球コロニー刺激因子を用いたランダム化 プラセボ対照 二重盲検並行群間比較試験第 III 相試験 千葉大学大学院医学研究院整形外科 千葉大学医学部附属病院臨床試験部 1
顆粒球コロニー刺激因子 (Granulocyte Colony-Stimulating Factor: G-CSF) 一般名 : フィルグラスチム 調達法 国内企業より無償提供 製造元または供給元の名称協和発酵キリン ( 株 ) 品質 規格 GMP 品名 : グラン シリンジ成分 含量 :1 バイアル中フィルグラスチムを 300μg 含有添加物 : ポリゾルベート 50 D- マンニトール 造血系細胞の成長因子の1つ本邦では血液内科の領域で日常的に臨床使用されている ( グラン ) 好中球減少症末梢血幹細胞移植ドナーに対して造血幹細胞の末梢血への動員 2
薬事承認申請までのロードマップ ( 治験 ) 治験薬または治験機器 : 顆粒球コロニー刺激因子 (G-CSF; 製品名 : グラン R ) 対象疾患 : 急性脊髄損傷 臨床研究 Phase 1/2a および早期 2b 医師主導治験 phase 1/2a 試験名 : 急性脊髄損傷に対する顆粒球コロニー刺激因子を用いた神経保護療法 試験デザイン : 単群オープンラベル 用量漸増試験 期間 : 平成 21 年 ~ 平成 22 年 被験者数 :16 例 (G-CSF 5μg/kg/d 5 例 G-CSF 10μg/kg/d 11 例 ) 結果の概要 : 重篤な有害事象なし 早期 phase2b 試験名 : 急性脊髄損傷に対する顆粒球コロニー刺激因子を用いた神経保護療法 試験デザイン :2 群 ( 施設ごとに治療群分け ) 非ランダム化 非盲検化前向き比較対象試験 期間 : 平成 22 年 ~ 平成 23 年 被験者数 :G-CSF19 例 コントロール 26 例 結果の概要 : 投与後 3 か月の ASIA 運動スコア獲得点数が G-CSF 群で有意に高かった 試験名 : 急性期脊髄損傷患者の麻痺改善を目的とする顆粒球コロニー刺激因子 (G-CSF) 神経保護療法 試験デザイン : 2 群ランダム化 二重盲検 プラセボ対照試験 期間 : 平成 26 年承認日 ~ 平成 28 年 3 月 31 日 被験者数 :88 例 ( 治療群 44 例 対照群 44 例 ) 主要評価項目 : 投与後 3 ヵ月時の運動麻痺回復 (ASIA 運動 score 獲得点数 ) 副次評価項目 : 運動 感覚麻痺の回復 神経学的障害高位 MRI 画像 血中バイオマーカー 日常生活動作評価 生活の質評価 有害事象 薬事承認申請 当該治験における 選択基準 : 受傷後 48 時間以内の頚髄損傷 重度不全麻痺例 (AIS B C) 16-85 歳 除外基準 : 受傷後 48 時間時点で麻痺が回復 (AIS D/E) したもの 白血病の既往 過去 5 年の悪性疾患既往 治療中の心筋梗塞 脳梗塞 脾腫 妊婦など 予想される有害事象 : 腰背部痛 骨痛 ショック 間質性肺炎 急性呼吸窮迫症候群 芽球の増加 脾破裂など 欧米での現状薬事承認 : 米国 ( 無 ) 欧州 ( 無 ) ガイドライン記載 :( 無 ) 進行中の臨床試験 ( 無 ) 3
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試験方法 1) 効能 効果急性脊髄損傷患者における運動機能に関する予後の改善 2) 試験デザイン前向き ランダム化 プラセボ対照 二重盲検試験, 第 Ⅲ 相臨床試験 3) 被検薬フィルグラスチム (KRN8601) 4) 主要評価項目 運動麻痺の推移 : 投与後 3 ヵ月時の運動麻痺の推移 ASIA 運動 score の変化量を用いて評価する 3 か月 ASIA 運動スコア変化量 = 3 ヵ月 ASIA 運動スコア 投与前 ASIA 運動スコア 注 :ASIA:American Spinal Injury Association 5
5) 副次的評価項目 有効性 1 運動麻痺の推移 : 投与後 6 ヶ月 12 ヶ月時の運動麻痺の推移 (ASIA 運動 score 変化量 ) 2 感覚麻痺の推移 : 投与後 3 ヶ月 6 ヶ月 12 ヶ月時の感覚麻痺の推移 (ASIA 痛覚 score 変化量 ) 3 麻痺による機能障害の程度 : 投与後 3 ヶ月 6 ヶ月 12 ヶ月時 AIS 4 レスポンダーの割合 : 投与後 3 ヶ月 6 ヶ月 12 ヶ月時 AIS conversion 5 神経学的損傷高位 (neurological level of injury:nli): 投与後 3 ヶ月 6 ヶ月 12 ヶ月 6Spinal Cord Independence Measure(SCIM): 投与後 3 ヶ月 6 ヶ月 12 ヶ月 7EQ-5D: 投与後 3 ヶ月 6 ヶ月 12 ヶ月 安全性 有害事象 ( 副作用 ) 6
6) 投与方法 実薬群 顆粒球コロニー刺激因子 ( フィルグラスチム [ グラン ])400μg/m 2 /day* 5 日間点滴静注 ( 生理食塩水 100ml に溶解 末梢静脈から 15 分間で点滴静注 ) 対照 ( プラセボ ) 群 識別不能なプラセボを生理食塩水 100 ml に溶解し上記同様に投与 ( 末梢静脈から 15 分間で点滴静注 5 日間 ) 投与期間中臨床検査値 自覚症状に応じて投与量を調整白血球増多 血小板減少 骨痛 嘔吐など 7) 目標被験者数 ( 症例数 ) 88 例 ( 各群 44 例 ) これまでに施行した自主臨床試験の結果をもとに設定 8) 観察期間投与開始後 1 年間 9) 治験期間平成 27 年 5 月 1 日 ~ 平成 30 年 4 月 30 日症例登録期間平成 27 年 5 月 1 日 ~ 平成 29 年 4 月 30 日 7
症例の選択基準 1 受傷後 48 時間以内の頚髄損傷患者 (AIS B/C) 2 受傷後 48 時間 (±6 時間 ) 時に神経症状を評価し AIS B/C の患者 3 損傷脊髄レベル :C4 C7 ( 投与は受傷後 48 時間 ) 4 年齢 :16 歳 -85 歳 5 本治験の参加にあたり十分な説明を受けた後 十分な理解の上 患者本人の自由意思による文書同意が得られた患者 ( ただし書字困難な患者においては代筆可とし 未成年者に関しては患者本人および代諾者の同意も得る ) 61 年間 ( 3 ヶ月 6 ヶ月 12 ヶ月 ) の通院が可能な患者 8
症例の除外基準 1 受傷後 48 時間 (±6 時間 ) 時の神経症状評価にて重症度が AIS D/E に回復したと判定された患者 2 本剤の成分に過敏症の患者 3 白血病など造血系悪性疾患の既往をもつ患者 4 悪性疾患を治療中の患者 5 心筋梗塞 狭心症の治療を受けている患者 6 血栓 塞栓症の既往をもつ患者 7 脾腫のある患者 8 意識障害を有する患者 9 妊娠中 妊娠可能性 妊娠希望 授乳中である女性 10 神経症状評価に影響を及ぼしうる神経 筋骨格系疾患等を併発している患者 11 同意取得前に G-CSF メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム の投与を受けた患者 12 治験期間中に急激な悪化が予測される患者 13 重篤な合併症を有する患者 14 合併症等によりリハビリテーションを早期 ( 受傷後 2 週間以内 ) に開始できない患者 15 ほかの臨床試験 臨床研究に参加している患者 16 その他 治験責任 ( 分担 ) 医師が被験者として不適当と判断した患者 9