人間の視野と同等の広視野画像 を取得 提示する簡易な装置 公立はこだて未来大学 システム情報科学部複雑系知能学科 准教授鈴木昭二
研究背景 2 画像情報は有用である 多様な情報 ( 明るさ, 色, 形, 動きなど ) 見ればわかる しかし, カメラの画角は狭い 見える範囲が限定される 全体像を把握しくい 移動する物体を見失いやすい
広視野画像の取得 ( 従来方法 ) 3 多数のカメラを搭載 多数の画像を合成し高解像度の画像取得 視野範囲を一覧するには視点変換が必要可動機構によりカメラまたはミラーを回転 撮影方向を変えて高解像度の画像を取得 回転機構により構造が複雑化 取得に時間を要する特殊な光学系 ( 魚眼, 双曲面ミラー等 ) の採用 一度の撮影で広範囲の撮影が可能 取得画像の解像度は低く, 歪みが大きい
広視野画像の取得 提示装置の提案 4 1. 広角カメラと全方位カメラで撮影 2. 合成処理により 1 枚の広視野画像を取得 3. 湾曲面スクリーンによる奥行き感ある提示
提案システムの構成 ( 撮影 ) 5 広角カメラの死角を全方位カメラでカバー カメラの光軸を合わせる 全方位カメラは横向き 上下左右を撮影 正面は撮影不可 視野は 180 度以上
提案システムの構成 ( 合成処理 ) 6 画像を合成し 1 枚の広視野画像を得る 全方位画像の中央に広角画像を縮小して重ねる 広角カメラの視野を自然に拡張 ( 違和感が小さい )
提案システムの構成 ( 画像の提示 ) 7 湾曲面スクリーンにプロジェクタで投影 全方位画像の歪みが補正される 奥行き感のある提示が可能
提案システムの特徴 (1) 8 簡易な取得装置 ( カメラ 2 台, 回転機構なし ) 中心部は周辺部より歪みが小さく解像度が高い画像を取得 カメラの台数 ( 多 ) 多数のカメラ > 提案手法 > 可動機構, 特殊光学系 ( 少 ) 取得画像の解像度 ( 高 ) 多数のカメラ, 可動機構 > 提案手法 > 特殊光学系 ( 低 ) 視野範囲を一度に取得 ( 難 ) 可動機構 > 多数のカメラ > 提案手法 > 特殊光学系 ( 易 )
提案システムの特徴 (2) 9 取得画像の特徴 視野範囲の一覧性がよい 人間の視覚と似た性質を持つ 視野範囲が近い : 水平方向 200 度, 垂直方向 180 度 中心部が周辺部よりも高解像度 簡単な装置で臨場感 ( 広視野 + 奥行き感 ) を表現できる 視野内に盲点領域 ( 死角 ) がある
プロトタイプの開発 10 撮像部 視野 : 水平 200 度, 垂直 180 度 合成処理部 NTSC 信号で画像を入出力 W: 150mm H:50mm L:120mm スクリーン W: 45mm H:50mm L:145mm プロジェクタ
取得画像例と想定される用途 11 1. 屋内のホール 防犯 監視カメラ 2. 海中 海中モニタリング ( 海洋 水産業への応用 ) 3. ロボットへの搭載 遠隔操作ロボット 4. 車載 車載カメラ
画像取得例 ( 屋内のホール ) 12 撮像系の設置 取得画像 W: 12m H:13m L:100m 移動する人物の撮影
想定される用途 ( 防犯 監視カメラ ) 13 1. 従来技術との比較 ホールなどの大きな空間全体の監視, 移動物体の追跡が容易 2. 想定される業界と市場規模 警備会社 2012 年監視カメラ世界市場予測は 879 万台 ( 矢野経済研究所による推計 )
想定される用途 ( 防犯 監視カメラ ) 14 3. 実用化に向けた課題 環境に応じたカメラの台数, 設置方法の検討 盲点領域の影響の検証 4. 企業への期待 実証実験を通じた実用化の共同研究 警備ロボットへ応用に関する共同研究
撮影方向 画像取得例 ( 海中 ) 15 撮像部はアクリルケースに収容合成処理, 画像の記録は船上
画像取得例 ( 海中 ) 16 撮影対象は直径 3m のヤリイカ産卵礁 ( 設置は 5m 間隔 )
画像取得例 ( 海中 ) 17 +3m 撮影地点 3( 水深 8.8m) における取得画像 着底 +2m 着底 ( 通常カメラ )
想定される用途 ( 海中モニタリング ) 18 1. 従来技術との比較 従来は, 防水が容易な構造で適度な解像度の広視野画像を取得する手法が存在しない 2. 想定される業界と市場規模 水産物の畜養 養殖業 2008 年水産関係の養殖経営体数は 28,000( 農林水産省漁業センサスの結果 ) 港湾施設等の保守 点検 2008 年の水中ロボットの使用実績は 6,000 台 (NEDO の海外レポート )
想定される用途 ( 海中モニタリング ) 19 3. 実用化に向けた課題 鮮明な画像取得のための焦点調整 照明システムの開発 盲点領域の影響の検証 運用システムの実現 4. 企業への期待 実証実験を通じた実用化の共同研究 運用システムの開発
画像取得例 ( ロボットへの搭載 ) 20 正面方向 左方向 右方向 ロボット
想定される用途 ( 遠隔操作ロボット ) 21 1. 従来技術との比較 環境に対するロボットの相対位置が把握しやすい 移動経路 障害物の確認がしやすい 2. 想定される業界と市場規模 人間にとって危険な作業環境への投入 市場規模は不明 美術館, 大学等の遠隔見学 市場規模は不明
想定される用途 ( 遠隔操作ロボット ) 22 3. 実用化に向けた課題 遠隔操作に効果的な情報提示手法および使いやすい遠隔操作システムの実現 盲点領域の影響の検討 利用環境へのシステムの適応 4. 企業への期待 遠隔操作システムの実現に関する共同研究
画像取得例 ( 車載 ) 23
想定される用途 ( 車載カメラ ) 24 1. 従来技術との比較 ドライバーの視野に近い画像の取得 2. 想定される業界と市場規模 ドライブレコーダ 2010 年の出荷台数予測は 30 万台 ( 矢野経済研究所の調査結果より )
想定される用途 ( 車載カメラ ) 25 3. 実用化に向けた課題 撮像部の搭載方法の検討 取得画像の利用方法の検討 盲点領域の影響の検討 4. 企業への期待 実証実験を通じた実用化の共同研究
想定される用途 ( その他 ) 26 広視野で奥行き感ある映像の活用 臨場感を伝える簡易な装置 テレビ会議 観光コンテンツ 現在の課題 取得映像のより効果的な提示方法の検討 有効なコンテンツの検討企業への期待 コンテンツ制作と提示を通じた共同研究
提案システムの性能向上のために 27 現在の課題 高解像度化 光軸調整の精密化 撮像部の小型化 ( カメラの距離, 光学系の小型化 ) 企業への期待 両面に撮像面を有するカメラ基板の開発 小型化した光学系の実現 ( 是非作って下さい!)
本技術に関する知的財産権 28 発明の名称 : 画像撮像装置および画像提示システム 出願番号 : 特願 2010-292689 ( 出願日 2010 年 12 月 28 日 ) 出願人 発明者 : 公立はこだて未来大学 : 鈴木昭二 金野僚一
お問い合わせ先 29 公立はこだて大学共同研究センター 産学連携コーディネーター篠原利幸 TEL 0138-34 - 6571 FAX 0138-34 - 6564 e-mail sinohara@fun.ac.jp