2012 年Q2 の米国成長率は1.5%増に鈍化

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生活衛生関係営業の景気動向等調査 平成17年7~9月期

平成10年7月8日

利上げを躊躇させる英国家計債務の増大

【No

○ユーロ

ロシア 3節 第 第3節 ロシア 1 マクロ経済動向 ロシア経済は 緩やかな回復基調にある 2014 年 7 以下 輸出 個人消費 消費者物価 金融市場の動 月以降のウクライナ危機発生及びクリミア併合に伴う 向を中心に概観する 欧米からの経済制裁に加え 2015 年以降 原油価格 の下落を主因として

中国:なぜ経常収支は赤字に転落したのか

1. 各都市の不動産市場トレンド 1-1. オフィス価格指数 対前回変動率 (2016 年 4 月から 2016 年 10 月まで ) 図表 1-1は オフィス価格指数の各都市 対前回変動率 今回 (2016 年 10 月現在 ) 対前回変動率が最も高かったのは 東京 の +3.4% 次いで 大阪

3_2

有償ストック・オプションの会計処理が確定

日本経済の現状と見通し ( インフレーションを中心に ) 2017 年 2 月 17 日 関根敏隆日本銀行調査統計局

1 概 況

2. 利益剰余金 ( 内部留保 ) 中部の 1 企業当たりの利益剰余金を見ると 製造業 非製造業ともに平成 24 年度以降増加傾向となっており 平成 27 年度は 過去 10 年間で最高額となっている 全国と比較すると 全産業及び製造業は 過去 10 年間全国を上回った状況が続いているものの 非製造

<4D F736F F D20819A819A8DC58F49835A C C8E816A2E646F63>

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つのシナリオにおける社会保障給付費の超長期見通し ( マクロ ) (GDP 比 %) 年金 医療 介護の社会保障給付費合計 現行制度に即して社会保障給付の将来を推計 生産性 ( 実質賃金 ) 人口の規模や構成によって将来像 (1 人当たりや GDP 比 ) が違ってくる

別紙2

1. 自社の業況判断 DI 6 四半期ぶりに大幅下落 1 全体の動向 ( 図 1-1) 現在 (14 年 4-6 月期 ) の業況判断 DI( かなり良い やや良い と回答した企業の割合から かなり悪い やや悪い と回答した企業の割合を引いた値 ) は前回 ( 月期 ) の +19 から 28 ポイ

けた この間 生産指数は 上昇傾向で推移した (2) リーマン ショックによる大きな落ち込みとその後の回復局面平成 20 年年初から年央にかけては 米国を中心とする金融不安 景気の減速 原油 原材料価格の高騰などから 景気改善の動きに足踏みが見られたが 生産指数は 高水準で推移していた しかし 平成

( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 2, 15, 1. 金 16, 額 12, 12, 9, 営業利益率 経常利益率 当期純利益率 , 6, 4. 4, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 1 社 ( 単位 : 億円 ) 215 年度 216 年度前年度差前年度

マクロ インサイト FRB FRB 長期金利 FRB bp 図表 1 FRB と市場の金利予測の乖離 FOMC 予測 vs 市場予測 年末 年末 2.0 市場が

15 図表 1. 住宅投資 ( 季調値 指数 212 年 =) 14 図表 2. 住宅着工戸数と建設許可件数 ( 季調値年率 万戸 ) :1 13:1 14:1 15:1 16:1 17:1 18:18:2 18:3 ( 資料 )BEA

消費増税と原油高でデフレ脱却とインフレ目標はどうなる?

平成 25 年 3 月 19 日 大阪商工会議所公益社団法人関西経済連合会 第 49 回経営 経済動向調査 結果について 大阪商工会議所と関西経済連合会は 会員企業の景気判断や企業経営の実態について把握するため 四半期ごとに標記調査を共同で実施している 今回は 2 月下旬から 3 月上旬に 1,7

第 3 節食料消費の動向と食育の推進 表 食料消費支出の対前年実質増減率の推移 平成 17 (2005) 年 18 (2006) 19 (2007) 20 (2008) 21 (2009) 22 (2010) 23 (2011) 24 (2012) 食料

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今回の金融政策報告書では 米国内の投資活動が弱いために輸出が想定ほど伸びていないとしながらも 金融業などサービス関連の好調さを示す分析や 商品価格下落がカナダ企業の投資活動を抑制する動きは底打ちしたとの指摘など カナダ景気に前向きな材料も散見されます 当面は 政策金利の据え置きを続けると見通します

< 豪州債券市場の市況および今後の見通し > 2016 年の豪州債券市場では 金利が低下しました 年初から 2 月にかけては 中国株をはじめ世界の株式市場が下落するなど市場のリスク回避姿勢が強まる中 金利低下が進みました 1 月末に日銀のマイナス金利導入発表を受け 欧州など他国でもさらなる金融緩和期

2018年4-6月期2次速報値 時系列表1

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○ユーロ

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( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート市況トレンド /1 年 7~9 月期の近畿圏市場 1. 中古マンション市場の動き 成約価格は前年比で 3 期連続上昇 1 年 7~9 月期の近畿レインズへの成約報告件数は,9 件と 前年同期比で 1.% 増加した (P1 図表 1) 新規登録件数は 15

第 79 回 2017 年 5 月投資家アンケート調査結果 アンケート調査にご協力下さりました皆様 今年 5 月に実施致しましたアンケート調査にご回答下さり誠にありがとうございます このたび調査結果をまとめましたのでお送りさせていただきます ご笑覧賜れましたら幸 いです 今後もアンケート調査にご協力

経済・物価情勢の展望(2018年1月)

資料1

日本経済見通し:2017 年の消費増税に向けた

マーケット フォーカス経済 : 中国 2019/ 5/9 投資情報部シニアエコノミスト呂福明 4 月製造業 PMI は 2 ヵ月連続 50 を超えたが やや低下 4 月 30 日 中国政府が発表した4 月製造業購買担当者指数 (PMI) は前月比 0.4ポイントの 50.1となり 伸び率がやや鈍化し

月初の消費点検(3/4)~消費税増税の判断を控えて~

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物価の動向 輸入物価は 2 年に入り 為替レートの円安方向への動きがあったものの 原油や石炭 等の国際価格が下落したことなどから横ばいとなった後 2 年 1 月期をピークとし て下落している このような輸入物価の動きもあり 緩やかに上昇していた国内企業物価は 2 年 1 月期より下落した 年平均でみ

2019 年 3 月期決算説明会 2019 年 3 月期連結業績概要 2019 年 5 月 13 日 太陽誘電株式会社経営企画本部長増山津二 TAIYO YUDEN 2017

第1章

月例経済報告

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1. トピック : 米国金融政策と通商政策は 次の ステージへ 6 月 FOMC は 0.25% 利上げ フォワードガイダンスを大幅変更漸進的とは言え 利上げ一直線のみの方針に長期水準を超えるタイミングが 2020 年から 2019 年に 2019 年からは 毎回記者会見を実施今後の焦点は緩和的スタ

米国経済見通し 中間選挙後の米国経済

[ 参考 ] 先月からの主要変更点 基調判断 3 月月例 4 月月例 景気は 急速な悪化が続いており 厳しい状況にある 輸出 生産は 極めて大幅に減少している 企業収益は 極めて大幅に減少している 設備投資は 減少している 雇用情勢は 急速に悪化しつつある 個人消費は 緩やかに減少している 景気は

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Invesco Premia Plus Fund

国際与信は再び中国へ向かう

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低インフレ 乏しい利上げ観測労働市場に目を向けると 8 月の失業率は約 年ぶりの低水準となる5.3% に低下した 雇用者数も伸びており 一部では技術者不足の声も聞かれる RBAは今後数年 失業率は自然失業率とされる5.% を目指して低下が続くとの見方を示している ただ 賃金の上昇率は ~ 月期が前年

定期調査の質問のうち 代表的なものの結果 1. 日本の株価を 企業のファンダメンタルズと比較してどう評価するか 問 1. 日本の株価は企業の実力( ファンダメンタルズ ) あるいは合理的な投資価値にくらべて 1. 低すぎる 2. 高すぎる 3. ほぼ正しく評価されている 4. わからないという質問で

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第6回 国際不動産価格賃料指数(2016年4月現在)

長と一億総活躍社会の着実な実現につなげていく 一億総活躍社会の実現に向け アベノミクス 新 三本の矢 に沿った施策を実施する 戦後最大の名目 GDP600 兆円 に向けては 地方創生 国土強靱化 女性の活躍も含め あらゆる政策を総動員することにより デフレ脱却を確実なものとしつつ 経済の好循環をより

滋賀県内企業動向調査 21 年 1- 月期定例項目結果 1. 自社の業況判断 (1) 自社の業況判断 DI は 四半期連続のプラス水準を維持も は 四半期ぶりにマイナス水準に低下 1. の動向 ( 図 1-1) 今回の調査 (1 年 1- 月期 ) での自社の業況判断 DI は前回 (-9 月期 )

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FOMC:ジョージ総裁が反対も政策変更なし

みずほ米国経済情報 2019 年 2 月号 トピック 1 月 FOMC 議事要旨と米政治動向 FOMC の忍耐強さは 不確実性が後退すれば修正されるが 方向感は定まっていない 歳出 債務上限 自動車 部品関税 通商交渉と 不確実性が後退する動きも少ない 景気判断企業業況は低下傾向 個人消費は一時的な

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1. トピック : 原油安下のテキサス経済 ( 現地ヒヤリング報告 ) ヒューストンとダラスで現地ヒヤリング実施テキサス経済は減速 足元持ち直しの兆しも原油価格に左右され易いヒューストン 高値圏でのヘッジが切れる今夏以降が正念場産業集積の多様化に支えられるダラス原油離れ経済の実力が問われるのはこれか

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1. 30 第 1 運用環境 各市場の動き ( 4 月 ~ 6 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは狭いレンジでの取引が続きました 海外金利の上昇により 国内金利が若干上昇する場面もありましたが 日銀による緩和的な金融政策の継続により 上昇幅は限定的となりました : 東証株価指数 (TOPIX)

米国経済見通し 株安はFRBのせいなのか

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Transcription:

米国経済 1 年 7 月 3 日全 頁 1 年 Q の米国成長率は 1.5% 増に鈍化 先行き不透明感が高まる内容 ニューヨークリサーチセンター笠原滝平 [ 要約 ] 1 年 Q の実質 GDP 成長率は前期比年率 1.5% 増となり 米国の景気は 9 年 Q3 から引き続き拡大していることが示された また 今回の公表では年次改定が行われたため 9 年 Q1 から 1 年 Q1 までの数字が変更され 1 年 Q1 は 1.9% 増が.% 増へ 11 年 Q は 3.% 増から.1% 増へ それぞれ上方修正された 中身をみると 個人消費を中心に 設備投資や住宅投資など幅広い項目で実質 GDP 成長率の鈍化を招いた これらは主に 前期の押し上げ要因となっていた暖冬の影響や タイの洪水に伴う供給不足の反動増の影響が剥落したため 今期の実質 GDP 成長率の鈍化要因となったとみられる よって 今期の成長率鈍化をもって足下で米国経済の成長ペースが急減速していると考える必要はないだろう ただし 足下で雇用環境の改善ペースの鈍化や欧州の債務問題 財政の崖 問題などが生じており 米国経済の先行き不透明感が高まっている 株式会社大和総研丸の内オフィス 1-75 東京都千代田区丸の内一丁目 9 番 1 号グラントウキョウノースタワーこのレポートは投資勧誘を意図して提供するものではありません このレポートの掲載情報は信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが その正確性 完全性を保証するものではありません また 記載された意見や予測等は作成時点のものであり今後予告なく変更されることがあります 大和総研の親会社である 大和総研ホールディングスと大和証券 は 大和証券グループ本社を親会社とする大和証券グループの会社です 内容に関する一切の権利は 大和総研にあります 無断での複製 転載 転送等はご遠慮ください

/ 米国経済の成長ペースは変わらず ただし先行き不透明感が高まっている 1 年 Q の実質 GDP 成長率は前期比年率 1.5% 増 ( 以下 断りが無い限り変化率は前期比年率 ) となり 米国の景気は 9 年 Q3 から引き続き拡大していることが示された 直前の市場コンセンサス (Bloomberg 調査 中央値 ) の 1.% 増とおおむね一致した また 今回の公表では年次改定 1 が行われたため 9 年 Q1 から 1 年 Q1 までの数字が変更され おおむね 1 年は下方修正 11 年は上方修正された 1 年 Q1 は 1.9% 増が.% 増へ 11 年 Q は 3.% 増から.1% 増へ それぞれ上方修正された 今期の最大のプラス要因は個人消費であり 1.5% 増と 1 四半期連続で増加した しかし サービスの伸びが加速したものの 耐久財の大幅減速により個人消費の寄与度は縮小し 実質 GDP 成長率の鈍化を招いた また 設備投資や住宅投資もプラス成長が続いたが 実質 GDP 成長率への寄与度は縮小した これらは主に前期の押し上げ要因となっていた暖冬の影響やタイの洪水に伴う供給不足の反動増の影響が剥落したため 今期の実質 GDP 成長率の鈍化要因となったとみられる よって 今期の成長率鈍化をもって足下で米国経済の成長ペースが急減速していると考える必要はないだろう ただし 実質 GDP 成長率の鈍化は一部に雇用環境の改善ペースの鈍化や欧州の債務問題による影響も考えられ 米国経済の先行き不透明感が高まっている 図表 1 実質 GDPの推移 ( 前期比年率 % %pt) 8 - - 個人消費 設備投資 - 住宅投資 在庫投資 -8 輸出 輸入 政府支出 実質 GDP -1 7 8 9 1 11 1 ( 出所 )BEA,Haver Analyticsより大和総研作成 ( 年 ) 図表 年次改定の影響 ( 実質 GDP 成長率 ) ( 前期比年率 %) - - - -8-1 改定後の実質 GDP 改定前の実質 GDP 5 7 8 9 1 11 1 ( 出所 )BEA,Haver Analytics より大和総研作成 ( 年 ) 個人消費は自動車のマイナス寄与で減速 個人消費は前期比年率 1.5% 増となり 市場コンセンサス (1.3% 増 ) を上回る増加が続いた しかし 前期 (.% 増 ) から伸び幅は鈍化し GDP への寄与度も+1.7%pt から+1.5%pt へと縮小した 中身をみると サービス消費は 1.9% 増と前期 (1.3% 増 ) から伸びが加速して個人消費を押 1 今回の年次改定では 9 年 Q1 から 1 年 Q1 までのデータが変更となった 改定に伴い実質 GDP 成長率は 9 年が 3.5% 減から 3.1% 減 1 年が 3.% 増から.% 増 11 年が 1.7% 増から 1.8% 増へ変わった

3 / し上げた 住宅市場の改善に伴い 住居 設備サービスが 3.% 増とプラスに転じたことが寄与した また リーマン ショック以降低迷が続いていた金融 保険サービスは.% 増と前期に引き続き増加した 続いて非耐久財をみると 1.5% 増で前期とほぼ同じ伸びであった 衣料品が 5.% 減と大幅に減少した 前期は暖冬の影響もあり.% 増と高い伸びを示していたことを考えると その反動が出た格好 来期以降の動向に注目したい 一方で ガソリンなどのエネルギーは 1.5% 増と伸び幅が大幅に拡大した 依然として水準は高いものの ガソリン小売価格が 月から下落が続いたことが影響したものとみられる 名目個人消費のガソリンなどのエネルギーを確認すると 5.% 減と前期から大幅に減少している 耐久財は 1.% 減と 四半期ぶりに減少に転じた これまで個人消費の増加に寄与していた自動車 同部品が 1.% 減 ( 寄与度は.%pt) と大幅な減少に転じたことが主因であった ガソリン価格の下落は追い風だったと考えられるが 雇用環境の改善ペースが鈍化したことや欧州の債務問題などによりマインドが悪化したため 自動車購入を躊躇させたとみられる ただし 足下の自動車販売台数は 1 年からのトレンドライン近辺にある これは 11 年 Q や 1 年 Q1 の自動車販売台数は タイの洪水に伴う供給不足の反動によってトレンドから大きく上振れていたと考えられる そのため 今期の結果は見た目の数字ほど悪くないと判断している 一方で 家具 家事用品も 1.5% 減と 3 年ぶりの減少となった また 年次改定に伴い貯蓄率の動きが変化した まず 改定後は総じて水準が低くなった 次に 改定前は 1 年後半から 1 年頭にかけて順調なペースで貯蓄率が低下していたため 消費者マインドとあわせて消費環境の改善を示す内容であった しかし 改定後は 11 年 Q を底に 四半期連続で貯蓄率が上昇する動きになった 実際 ロイター / ミシガン大調査の消費者センチメントは 月 7 月と悪化が続いている 特に期待感は 11 年末と同水準まで低下しており 貯蓄率の推移と整合的な動きになっている 雇用環境の改善ペースが鈍化していることもあり 今回の GDP 統計によって個人消費の見通しはトーンダウンする可能性がある 図表 3 実質個人消費の内訳 ( 前期比年率 % %pt) 図表 年次改定の貯蓄率への影響 (%) 7 5 改定後の貯蓄率改定前の貯蓄率 - - - -8 サービス非耐久財 耐久財実質個人消費 7 8 9 1 11 1 ( 出所 )BEA,Haver Analytics より大和総研作成 ( 年 ) 3 1 1 3 5 7 8 9 1 11 1 ( 出所 )BEA, Haver Analyticsより大和総研作成 ( 年 )

/ 住宅投資は底打ちの兆し 住宅投資は 9.7% 増と前期 (.5% 増 ) から伸び幅が縮小したものの 引き続き大幅な増加となった 実質 GDP への寄与度をみても +.%pt と一定程度の押し上げ寄与となった 住宅投資の約 1/3 を占める一戸建ては 15.3% 増と前期 (.7% 増 ) から伸び幅が縮小したが 集合住宅は 8.3% 増と前期 (1.3% 増 ) から伸び幅が拡大した 住宅着工や新築 中古の住宅販売 住宅価格などをあわせてみると 住宅市場は底打ちの兆しがみられる 長期金利が歴史的低水準にあることや HAMP(Home Affordable Modification Program) や HARP(Home Affordable Refinance Program) といった政策によって差し押さえ物件数の増加に歯止めがかかっていることなどが追い風となった 個人消費と同様に 暖冬の反動により前期から伸び幅は縮小したが 改善傾向に変化はない ただし 足下で所得の源泉となる雇用環境の改善ペースが鈍化しているため 今後の住宅投資の動向には不確実性が高まっている 図表 5 新築着工 販売は底打ちの兆し ( 年率 万戸 ) 18 1 1 1 1 8 新築着工 新築販売 7 7 78 8 8 9 9 98 1 ( 出所 )Census NAR Haver Analytics より大和総研作成 ( 年 ) 図表 新規差し押さえ物件数は減少傾向 ( 万戸 ) 35 3 5 15 1 5 5 7 8 9 1 11 1 ( 出所 )RealtyTracより大和総研作成 ( 年 ) 企業活動は引き続き改善傾向 設備投資は前期 (7.5% 増 ) から伸びが鈍化したものの 5.3% 増と 5 四半期連続で増加した 機械 ソフトウェアは 7.% 増と前期から伸びが加速した コンピューターが.3% 減と減少に転じたものの ソフトウェアは.% 増と増加幅が拡大 産業用機械が 1.3% 増と増加に転じたことが増加に寄与した 一方で構築物は.9% 増と前期 (1.8% 増 ) から大きく減速した ただし 構築物の減速は変動の大きい電力 通信の影響が大きい 電力 通信は前期に急増した反動で今期が 13.% 減と減少に転じたとみられる 電力 通信を除けば設備投資は前期から伸びが加速することになるため 設備投資が足下で減速していると判断するには時期尚早だろう ただし 設備投資の先行指標である資本財受注 ( 国防 航空機除く ) は増加が頭打ちしつつあり 海外経済の見通しが不透明なこともあわさって今後の設備投資の増加ペースは鈍化する可能性がある

5 / 在庫投資は 3 億ドル増と前期 (59 億ドル ) から増加幅が拡大し 実質 GDP 成長率を.3% pt 押し上げた ただし 上述のとおり企業は先行き見通しに慎重になりつつあり 在庫を積極的に積み増す局面ではないと考えられる したがって 意図せざる在庫増加の可能性も考えられるため 今後は実質 GDP の下押し要因となるかもしれない 図表 7 構築物 コンピューターが大幅に鈍化 ( 前期比年率 %) 5 3 1-1 - -3 構築物コンピューターソフトウェア - 1 3 5 7 8 9 1 11 1 ( 出所 )BEA,Haver Analytics より大和総研作成 ( 年 ) 図表 8 先行指標は鈍化傾向 ( 億ドル ) ( 億ドル ) 8,5, 8, 7,5 耐久財受注資本財受注 ( 国防 航空機除く 右軸 ),3, 7,,1,,5 1,9, 1,8 5,5 1,7 5, 1,,5 1,5, 1, 1 3 5 7 8 9 1 11 1 ( 出所 )Census,Haver Analyticsより大和総研作成 ( 年 ) 輸出 輸入ともに拡大 純輸出の寄与度は.31%pt で 四半期ぶりに実質 GDP を押し下げた 輸出は 5.3% 増で前期より増加幅が拡大 実質 GDP を+.73%pt 押し上げた ただし 資本財輸出が.8% 減と 3 年ぶりに減少へ転じており 世界経済が減速していることには留意が必要だ 輸出額と輸入額の合計は増加が続いており すでにリーマン ショック前の水準を超えている これまで以上に世界経済の影響を受けやすくなっているといえるだろう 一方で輸入は.% 増と引き続き拡大し 実質 GDP を 1.%pt 押し下げたため純輸出がマイナス寄与となった 原油価格の下落などにより燃料輸入が 1.5% 増と前期 (1.8% 減 ) から増加に転じたことが主因となった また 資本財の輸入は 11.% 増と前期とほぼ変わらない伸びで 設備投資の動向と整合的な動きとなっている 政府支出は引き続き減少 政府支出は 1.% 減で 8 四半期連続のマイナスとなり 実質 GDP を.8%pt 押し下げた 連邦政府では 国防費 非国防費それぞれが減少した 国防費は 機械 ソフトウェア投資が 1.% 増となったものの 消費支出を中心に減少したため.% 減とマイナスになった また 前期はプラス成長していた非国防費も 国防費と同様に機械 ソフトウェア投資がプラスに転じたものの消費支出の減少が続いて.3% 減と僅かだが再び減少に転じた 年後半までは引き続

/ き減少トレンドが続くものとみられるが 来年以降の動向にはいわゆる 財政の崖 問題の行方に注目するべきだろう 政府支出の約 割を占める州 地方政府も.1% 減と減少が続いた 特に州 地方政府の支出の大部分を占める消費支出は.9% 減と前期 (.5% 減 ) から減少幅が拡大した 基調的な物価の動きは安定 GDP デフレーターは前期から若干上昇ペースが鈍化し 1.% 上昇となった PCE(Personal Consumption Expenditure) 価格指数はガソリンなどエネルギー価格の下落によって.7% 上昇と前期 (.5% 上昇 ) から伸び幅が鈍化した 耐久財 (1.% 下落 ) 非耐久財(.% 下落 ) 揃って下落したが 比較的変動が緩やかで物価の基調を示すサービスのみ.1% 上昇した また 食料 エネルギーを除いたコア PCE 価格指数は 1.8% 上昇と % 近傍の動きとなった エネルギー価格による影響は大きいものの 基調的な物価の動きは安定していると判断できる 図表 9 1 年 Q GDP ( 前期比年率 % %pt) 11Q1 11Q 11Q3 11Q 1Q1 1Q 名目 GDP. 5..3.. 3.1 実質 GDP.1.5 1.3.1. 1.5 国内最終需要. 5. 5. 1.9..8 個人消費 3.1 1. 1.7.. 1.5 設備投資 -1.3 1.5 19. 9.5 7.5 5.3 住宅投資 -1..1 1. 1.1.5 9.7 政府支出 -7. -.8 -.9 -. -3. -1. 純輸出 ( 寄与度 ).3.5. -.. -.31 輸出 5.7.1.1 1.. 5.3 輸入.3.1.7.9 3.1. 民間在庫投資 ( 寄与度 ) -.5.1-1.7.53 -.39.3 GDPデフレーター.. 3... 1. コアPCE 価格指数 1.3.3 1.9 1.3. 1.8 ( 出所 )BEAより大和総研作成