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ニュースリリース

全設健発第     号

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公表表紙

(5) 給 与 改 定 の 状 況 事 委 員 会 が 無 い た め 記 載 し て お り ま せ ん 1 月 例 給 事 委 員 会 の 勧 告 ( 参 考 ) 区 分 民 間 給 与 A 公 務 員 給 与 B 較 差 A - B 勧 告 ( 改 定 率 ) 給 与 改 定 率 国 の 改

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 24 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 単 位 : ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 1 級 135,6 243,7 2 級 185,8 37,8 3 級 4 級 222,9 354,7 ( 注 )

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職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 年 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 福 岡 県 技 能 労 務 職 歳 1,19,98 9,9 歳 8,

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平成22年6月28日

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

Transcription:

平 成 22 年 度 修 士 論 文 靭 帯 細 胞 の 骨 分 化 誘 導 に 対 する 加 圧 刺 激 の 影 響 三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 博 士 前 期 課 程 分 子 素 材 工 学 専 攻 前 田 裕 子

目 次 1 緒 言 1 1-1 再 生 医 学 と 組 織 工 1 1-2 靭 帯 組 織 2 1-2-1 前 十 字 靭 帯 の 基 本 構 造 1-2-2 靭 帯 組 織 の 再 建 方 法 1-2-3 靭 帯 と 骨 の 接 合 部 の 組 成 1-2-4 細 胞 外 マトリックス(ECM: Extra Cellular Matrix ) 1-3 細 胞 の 機 能 9 1-3-1 靭 帯 細 胞 1-3-2 細 胞 接 着 1-3-3 機 械 的 刺 激 に 対 する 応 答 1-4 骨 形 成 のリモデリング 13 1-5 本 研 究 の 目 的 15 2 方 法 16 2-1 水 溶 性 エラスチンの 抽 出 と 分 類 16 2-1-1 水 溶 性 エラスチンの 抽 出 2-1-2 水 溶 性 エラスチンの 分 類 2-2 コーティングシャーレ 上 において 加 圧 刺 激 が 靭 帯 細 胞 に 与 える 影 響 16 2-2-1 細 胞 の 採 取 と 継 代 培 養 2-2-2 ECM コーティングシャーレの 作 製 2-2-3 遠 心 型 加 圧 培 養 装 置 2-2-4 靭 帯 細 胞 の 遠 心 培 養 2-2-5 アルカリフォスファターゼ(ALP) 活 性 の 定 量 2-2-6 色 素 結 合 法 を 用 いた 産 生 マトリックス 測 定 2-2-7 フローサイトメトリー 解 析 による 靭 帯 細 胞 の 分 化 割 合 2-3 ECM ペレット 内 において 加 圧 刺 激 が 靭 帯 細 胞 に 与 える 影 響 19 2-3-1 ECM ペレットの 作 製 2-3-2 水 圧 による 加 圧 培 養 装 置 2-3-3 ECM ペレット 内 における 加 圧 培 養 2-3-4 ECM ペレットへの 細 胞 接 着 確 認 ( 免 疫 蛍 光 染 色 走 査 型 電 子 顕 微 鏡 ) 2-3-5 アルカリフォスファターゼ(ALP) 活 性 の 定 量

2-3-6 フローサイトメトリー 解 析 による 靭 帯 細 胞 の 分 化 割 合 2-4 ラクトース 添 加 によるエラスチン 結 合 タンパクの 阻 害 21 3 結 果 22 3-1 コーティングシャーレ 上 における 遠 心 培 養 22 3-1-1 加 圧 刺 激 が 靭 帯 細 胞 の ALP 酵 素 活 性 に 与 える 影 響 3-1-2 加 圧 刺 激 による 靭 帯 細 胞 の 分 化 割 合 3-1-3 加 圧 刺 激 が 靭 帯 細 胞 のマトリックス 産 生 に 与 える 影 響 3-2 作 製 した ECM ペレットの 評 価 29 3-2-1 走 査 型 電 子 顕 微 鏡 による ECM ペレットの 観 察 3-3 ECM ペレット 内 への 細 胞 接 着 確 認 30 3-4 ECM ペレット 内 における 水 圧 による 加 圧 培 養 33 3-4-1 加 圧 刺 激 が 靭 帯 細 胞 の ALP 酵 素 活 性 に 与 える 影 響 3-4-2 加 圧 刺 激 による 靭 帯 細 胞 の 分 化 割 合 3-5 ラクトース 添 加 によるエラスチン 結 合 タンパク 阻 害 38 4 考 察 40 4-1 ECM シャーレ 上 における 遠 心 培 養 が 靭 帯 細 胞 に 与 える 影 響 40 4-2 ECM ペレット 内 における 加 圧 培 養 が 靭 帯 細 胞 に 与 える 影 響 43 5 結 論 50 6 参 考 文 献 51 7 謝 辞 54 8 付 録 55

1 緒 言 1-1 再 生 医 学 と 組 織 工 学 人 間 は 創 傷 治 癒 のように もともと 自 己 を 復 元 する 能 力 を 持 っているが その 再 生 能 力 が 追 いつかないほどの 大 きな 組 織 損 傷 の 場 合 臓 器 移 植 などの 方 法 が 検 討 さ れる しかし 現 在 はこのような 移 植 療 法 はドナー 不 足 をはじめ 拒 絶 反 応 や 感 染 症 など 様 々な 問 題 が 存 在 しているため 治 療 を 受 けることのできる 患 者 は 尐 ない そこで その 様 な 問 題 を 解 決 するために 生 体 から 生 きた 細 胞 を 取 り 出 し 生 体 外 で 増 殖 分 化 活 性 化 させたものを 再 び 生 体 に 戻 すという 再 生 医 療 が 注 目 されてい る 細 胞 を 用 いた 再 生 医 療 の 一 役 を 担 うものとして 細 胞 を 生 着 させてその 機 能 を 発 現 させる 足 場 と 一 緒 に 移 植 する 方 法 があり これを 組 織 工 学 という 生 体 外 で 組 織 再 生 を 行 うためには 主 に 三 つの 要 素 が 必 須 となる( 図 1-1) 組 織 機 能 を 再 生 させる 主 体 である 細 胞 細 胞 を 3 次 元 的 に 培 養 し 生 体 組 織 を 支 持 する 足 場 そして 細 胞 の 分 化 増 殖 を 制 御 する サイトカイン である 3 要 素 が 密 接 に 関 係 し 合 うことで 組 織 工 学 が 成 立 すると 考 えられている 1-3) 細 胞 サイト カイン 組 織 工 学 足 場 図 1-1 組 織 工 学 の 3 要 素 1

1-2 靭 帯 組 織 1-2-1 前 十 字 靭 帯 の 基 本 構 造 前 十 字 靭 帯 (anterior cruciate ligament:acl)は 膝 関 節 内 にある 大 腿 骨 と 頸 骨 を 結 ぶ 結 合 組 織 である ACL は 大 腿 骨 に 対 して 脛 骨 が 前 方 に 逸 脱 するのを 防 ぐこと や 脛 骨 が 旋 回 するのを 防 ぎ 膝 の 安 定 性 の 維 持 に 関 して 重 要 な 役 割 をしている 4-5) 主 要 な 構 成 成 分 として 複 合 型 ( 普 通 はⅠ 型 )の 繊 維 形 成 型 コラーゲン エラス チン プロテオグリカンなどの 細 胞 外 マトリックスと 繊 維 と 平 行 に 配 向 した 紡 錘 状 の 繊 維 芽 細 胞 がある また ACL は 前 内 側 線 維 束 (AM:anteromedial bundle)と 後 外 側 線 維 束 (PL: posterolateral bundle )の 二 つの 線 維 束 に 分 けられる 6,7) ( 図 1-2) 図 1-2 前 内 側 線 維 束 (AM)と 後 外 側 線 維 束 (PL) 7) 2

1-2-2 靭 帯 の 再 建 方 法 5,8,9) 靭 帯 は 血 管 に 乏 しい 部 位 であり 損 傷 断 裂 してしまうと 自 然 治 癒 しない 放 置 し ておくと 二 次 的 に 半 月 板 や 軟 骨 損 傷 の 合 併 症 を 引 き 起 こし 最 終 的 には 変 形 性 膝 関 節 症 の 発 症 に 至 る そのため 失 った 靭 帯 の 代 わりになるものが 必 要 となる 現 在 靭 帯 の 再 建 術 には 大 きく 分 けて 二 つある 一 つ 目 は 生 物 学 的 素 材 を 移 植 する 方 法 で 二 つ 目 は 人 工 素 材 を 移 植 する 方 法 である 生 物 学 的 素 材 としては 腱 組 織 が 使 用 されることが 多 い 腱 組 織 は 骨 と 筋 肉 を 結 ぶ 結 合 組 織 で その 構 造 や 組 成 は 靭 帯 と 類 似 している この 方 法 では 患 者 自 身 の 腱 を 採 取 して 移 植 する 自 家 移 植 法 (auto graft)と 他 人 の 腱 を 移 植 する 同 種 移 植 法 (allograft)があるが 圧 倒 的 に 自 家 移 植 法 で 再 建 される 事 が 多 い 現 在 の 日 本 で はドナー 不 足 であり 安 定 した 供 給 が 困 難 であるためである 一 般 的 に 採 取 される 腱 は 骨 付 き 膝 蓋 腱 や 半 腱 様 筋 腱 薄 筋 腱 が 多 い 一 方 人 工 素 材 では ポリエチレンテレフタレート(Leeds-keio ligament) ポリプロ ピレン(Kennedy Ligament Augmentation Device) ポリテトラフルオロエチレン (Gore-Tex)などの 非 分 解 性 合 成 繊 維 材 料 を 用 いて 人 工 靭 帯 が 開 発 されてきた し かしながら 現 在 様 々な 問 題 が 存 在 することから これらの 素 材 を 用 いた 人 工 靭 帯 は 単 独 で 使 われていない 以 下 に 三 種 類 の 移 植 法 の 利 点 と 欠 点 をまとめた( 表 1-1) 表 1-1 各 移 植 法 の 利 点 と 欠 点 自 家 移 植 法 同 種 移 植 法 人 工 靭 帯 移 植 法 利 点 最 終 的 に 自 家 組 織 に 置 換 され 再 建 部 で 生 着 する 拒 絶 反 応 が 無 い 感 染 症 のリスクが 低 い 最 終 的 に 自 家 組 織 に 置 換 され 再 建 部 で 生 着 する 正 常 な 自 家 組 織 を 犠 牲 にしない 正 常 な 自 家 組 織 を 犠 牲 にしない 初 期 強 度 が 高 い 欠 点 自 己 の 正 常 な 組 織 の 一 部 を 犠 牲 にするため 採 取 部 の 筋 力 が 落 ちる 疼 痛 の 残 存 移 植 後 の 強 度 の 低 下 採 取 できる 量 に 制 限 がある 安 定 した 供 給 が 困 難 合 併 症 感 染 症 の 危 険 長 期 間 の 強 度 が 不 十 分 摩 耗 粉 による 炎 症 骨 への 強 固 な 固 定 が 困 難 生 体 との 親 和 不 良 性 再 断 裂 の 可 能 性 が 高 い 3

近 年 では 組 織 工 学 的 に 再 建 させる 足 場 材 料 の 開 発 が 進 められており 優 れた 生 体 適 合 性 初 期 力 学 強 度 だけでなく 足 場 への 細 胞 接 着 細 胞 増 殖 マトリック ス 産 生 などを 促 進 させるような 足 場 材 料 が 望 まれている そのような 材 料 として ポリ ウレタン 尿 素 ポリデスアミノチロシルチロシンエチル(DTE)カーボネート ポリジオ キサン ポリ 乳 酸 (PLA) ポリグリコール 酸 (PGA) およびポリ 乳 酸 とポリグリコール 酸 の 共 重 合 体 (PLGA)などの 新 しい 靭 帯 組 織 が 形 成 されると 共 に 分 解 吸 収 され るような 生 体 分 解 性 合 成 繊 維 材 料 が 開 発 されているが 力 学 的 強 度 細 胞 接 着 性 材 料 の 分 解 速 度 などまだまだ 未 解 決 な 問 題 が 多 い 4

1-2-3 靭 帯 と 骨 の 接 合 部 の 組 成 靭 帯 は 骨 と 骨 を 結 ぶ 結 合 組 織 であり それらの 接 合 部 は 靭 帯 部 分 (Ligament region : L) 硬 化 していない 部 分 (non-mineralized interface : NI) 硬 化 した 部 分 (mineralized interface : MI) 骨 部 分 (Bone region : B)の 段 階 構 造 になっている ( 図 1-3) 10,11) 図 1-3 靭 帯 と 骨 の 接 合 部 各 部 分 の 組 成 は 以 下 の 通 りである( 表 1-2) 10) 表 1-2 靭 帯 と 骨 の 接 合 部 の 組 成 主 な 細 胞 外 マトリックス 存 在 する 細 胞 靭 帯 部 分 (L) Ⅰ Ⅲ 型 コラーゲン コラーゲン 線 維 の 長 軸 方 向 に 引 き 伸 ばされた 形 を した 線 維 芽 細 胞 硬 化 していない 部 分 (NI) Ⅱ 型 コラーゲン 卵 型 の 軟 骨 細 胞 アグリカン 硬 化 した 部 分 (MI) Ⅹ 型 コラーゲン 肥 大 性 軟 骨 細 胞 骨 部 分 (B) Ⅰ 型 コラーゲン 骨 芽 細 胞 骨 細 胞 破 骨 細 胞 5

靭 帯 と 骨 の 接 合 部 分 において 細 胞 密 度 は 一 定 であるが 細 胞 が 含 まれている 部 分 の 面 積 は 骨 部 分 付 近 で 最 も 大 きく 骨 部 分 から 靭 帯 部 分 へ 向 かうにつれて 小 さくなる 10) ( 図 1-4) また 一 般 に 細 胞 の 縦 横 比 は 靭 帯 部 分 から 骨 部 分 に 近 づくに つれて 小 さくなり 靭 帯 部 分 での 引 き 伸 ばされたような 線 維 芽 細 胞 から 骨 部 分 で の 丸 い 軟 骨 細 胞 肥 大 性 軟 骨 細 胞 へと 変 化 していく 6),10) ( 図 1-5) 図 1-4 細 胞 面 積 の 変 化 10) 図 1-5 (A)ACL 中 央 部 の 線 維 芽 細 胞 と(B)ACL 末 端 部 の 線 維 芽 細 胞 6) 6

1-2-4 細 胞 外 マトリックス(ECM : Extra Cellular Matrix) 細 胞 外 マトリックス(ECM : Extra Cellular Matrix)とは 多 細 胞 生 物 において 細 胞 の 周 囲 や 細 胞 と 細 胞 の 間 隙 に 存 在 する 繊 維 状 またはシート 状 の 構 造 物 であり 細 胞 の 増 殖 分 化 形 質 発 現 を 制 御 する 12,13) 上 皮 や 筋 肉 は 組 織 の 大 部 分 が 細 胞 で 占 められているが 骨 などの 結 合 組 織 は 細 胞 よりも ECM の 割 合 が 多 く その 物 理 的 性 質 を 決 めている 14) ECM の 主 成 分 はプロテオグリカンと 繊 維 状 タンパク 質 である プロテオグリカンは 多 糖 類 である 各 種 のグリコサミノグリカンが 各 種 のタンパク 質 と 共 有 結 合 したもので あり 繊 維 状 タンパク 質 はコラーゲンやエラスチン フィブロネクチン ラミニンである 2) エラスチン(Elastin) 2,10,15,16) エラスチンは 分 子 量 が 約 67kDa の 細 胞 外 マトリックスの 一 つであり 組 織 から 酸 アルカリ アルコール 等 で 処 理 した 後 に 残 る 不 溶 性 タンパク 質 として 定 義 される ECM の 繊 維 成 分 としてエラスチンは コラーゲンの 次 に 多 い エラスチンは 組 織 の 伸 縮 性 や 弾 性 に 関 与 するため コラーゲンが 膠 原 繊 維 と 呼 ばれているのに 対 し て 弾 性 繊 維 と 呼 ばれる そのため 大 動 脈 肺 靭 帯 皮 膚 などの 伸 縮 性 弾 性 を 伴 う 組 織 に 多 く 含 まれる これらの 組 織 中 に 存 在 する 細 胞 ( 主 に 線 維 芽 細 胞 平 滑 筋 細 胞 内 皮 細 胞 軟 骨 細 胞 )によって 前 駆 体 であるトロポエラスチンとして 産 生 さ れる エラスチンは この 前 駆 体 であるトロポエラスチンが 架 橋 されてできた 不 溶 性 の 巨 大 分 子 である 架 橋 部 分 はリシン 由 来 のデスモシン イソデスモシンからなる エラスチンは 一 次 構 造 に 疎 水 性 側 鎖 を 含 むアミノ 酸 が 約 92 %を 占 めており エ ラスチン 凝 集 体 の 収 縮 弛 緩 により 立 体 構 造 が 容 易 に 復 元 する エラスチンの 特 異 的 なアミノ 酸 配 列 として VGVAPG(Val バリン-Gly グリシン-Valバリン-Ala アラ ニン-Pro プロリン-Gly グリシン) 構 造 を 有 していることが 知 られている また 生 体 内 において 架 橋 構 造 を 形 成 することで その 弾 性 不 溶 性 熱 安 定 性 を 有 している ( 図 1-6) 7

収 縮 弛 緩 Elastin 分 子 架 橋 構 造 NH 2 Lys - Ala - Lys - Ala - Ala - Lys - Tyr - Ala COOH Desmosine HOOC Ala - Ala - Lys - Ala - Ala - Ser - Lys - Ala - Phe NH 2 図 1-6 エラスチンの 構 造 15) コラーゲン(Collagen) コラーゲンは 生 体 に 最 も 多 量 に 存 在 するタンパク 質 である 力 学 的 強 度 に 優 れ ている 構 造 体 のため 真 皮 骨 軟 骨 腱 靭 帯 などに 多 く 含 まれる 9) コラーゲン 分 子 の 基 本 構 造 は 3 本 のα 鎖 と 呼 ばれるポリペプチド 鎖 から 成 る 三 重 らせん 構 造 である α 鎖 とは Gly-X-Y(X Y は 任 意 のアミノ 酸 残 基 であるがプロリン 残 基 とヒドロキシプロリン 残 基 であることが 多 い)という 3 つのアミノ 酸 残 基 の 繰 り 返 し であるコラーゲン 領 域 を 持 ち 三 つおきに 必 ずグリシンがあるという 特 殊 なアミノ 酸 配 列 を 持 っている 13,14) コラーゲン 分 子 は 集 合 して 細 線 維 繊 維 繊 維 束 という 高 次 構 造 を 形 成 する 9) 8

1-3 細 胞 の 機 能 1-3-1 靭 帯 細 胞 靱 帯 組 織 中 に 存 在 する 細 胞 は 一 般 的 に 紡 錘 型 の 線 維 芽 様 細 胞 であり 靱 帯 組 織 の 長 軸 方 向 に 対 して 平 行 になるように 配 向 している 6) ( 図 1-7) 靭 帯 細 胞 は 機 能 的 にも 線 維 芽 細 胞 と 似 ており コラーゲン( 主 にⅠ Ⅲ Ⅴ 型 )やエラスチン プロテ オグリカン グリコサミノグリカンなどの 細 胞 外 マトリックスを 産 生 する 靭 帯 細 胞 は さまざまな 細 胞 に 分 化 することができる 間 葉 系 幹 細 胞 から 分 化 した 細 胞 であるとされるが これまでの 研 究 では 発 現 する 表 面 抗 原 タンパク mrna などが 間 葉 系 幹 細 胞 と 同 一 であり 2 つを 区 別 することができない また 現 時 点 で 靭 帯 細 胞 のみに 特 異 的 に 発 現 するタンパクや mrna はほぼ 見 つかっていないた め 靭 帯 細 胞 を 識 別 するための 特 別 なマーカーに 関 する 情 報 は 無 い さらに 靭 帯 細 胞 は 間 葉 系 幹 細 胞 と 同 様 に 分 化 誘 導 することで 骨 芽 細 胞 軟 骨 細 胞 脂 肪 細 胞 など 他 の 細 胞 に 分 化 することが 報 告 されている したがって 靭 帯 細 胞 は 他 の 最 終 分 化 した 細 胞 に 比 べ 間 葉 系 幹 細 胞 にかなり 近 い 位 置 づけになると 推 測 され るが 現 段 階 では 未 知 な 部 分 が 多 い 11,17,18) 図 1-7 組 織 中 の 細 胞 分 布 ヘマトキシリン/エオシン 染 色 紫 : 細 胞 ピンク: 細 胞 外 基 質 矢 印 : 靱 帯 の 長 軸 方 向 6) 9

1-3-2 細 胞 接 着 多 細 胞 生 物 の 構 成 要 素 として 各 種 細 胞 と 細 胞 外 マトリックス(ECM)があり それら をまとめている 機 構 の 一 つが 特 異 的 な 細 胞 接 着 機 構 である この 細 胞 接 着 機 構 に は 大 きく 分 類 して 細 胞 と 細 胞 との 間 である 細 胞 間 接 着 (cell-cell adhesion)と 細 胞 と ECM(cell-substratum adhesion)の 接 着 との 間 の 接 着 の 二 種 類 がある 13) これらの 細 胞 接 着 に 関 わるタンパク 質 は 接 着 分 子 と 呼 ばれ それらは 細 胞 膜 上 の 接 着 タン パク 質 ( 接 着 受 容 体 )とその 結 合 相 手 となる 接 着 タンパク 質 ( 広 くはリガンドと 呼 ぶ) の 二 種 類 に 分 けることができる 14) この 接 着 分 子 が 接 着 部 位 に 集 まり 細 胞 膜 裏 打 ちタンパク 質 と 細 胞 骨 格 が 細 胞 接 着 構 造 を 細 胞 内 から 支 えている 19) また 接 着 分 子 は 接 着 対 象 の 認 識 選 別 接 着 相 手 との 機 械 的 結 合 および 情 報 の 享 受 などを 行 っている 11) 細 胞 間 結 合 には1 密 着 結 合 (tight junction)2 接 着 結 合 (adherens junction)3 デスモソーム 結 合 (desmosome junction)4ギャップ 結 合 (gap junction)の 四 種 類 が 存 在 している 11,20) 一 方 細 胞 -ECM 間 ではヘミデスモソームやインテグリンといっ た 接 着 構 造 を 介 して 接 着 する 11,21) ( 図 1-8) 図 1-8 細 胞 間 接 着 と 細 胞 -ECM 間 接 着 21) 10

インテグリン(integrin) 細 胞 -ECM 間 接 着 機 構 の 代 表 的 な 機 構 は インテグリンと 呼 ばれる 接 着 受 容 体 の 関 与 する 接 着 である インテグリンは 様 々な 種 類 のα 鎖 とβ 鎖 の 組 み 合 わせででき たヘテロ 二 量 体 構 造 をしている 12) インテグリンはフィブロネクチンやコラーゲンな どの 様 々な 細 胞 外 マトリックスと 結 合 し 細 胞 -ECM 間 の 接 着 や 情 報 伝 達 に 関 与 し ている 細 胞 が ECM と 結 合 すると インテグリンが 活 性 化 し 細 胞 の 下 部 には 接 着 斑 (focal adhesion)と 呼 ばれる 構 造 ができる 接 着 班 が 形 成 されると プロテインキ ナーゼである FAK(focal adhesion kinase)が 自 己 リン 酸 化 により 活 性 化 され シグナ ル 伝 達 が 開 始 される 11,20) インテグリンが 果 たす 役 割 には 細 胞 の 遊 走 など 細 胞 の 接 着 - 脱 着 機 構 に 関 係 するものが 挙 げられる 11) ECM に 結 合 するインテグリンは 大 きく 分 けて ラミニン 結 合 型 (α3β1 α6β1 α6β4 α7β1) Arg-Gly-Asp(RGD) 結 合 型 (α5β1 α8β1 α V β3 および α V 鎖 を 含 む 他 のイ ンテグリン) コラーゲン 結 合 型 (α1β1 α2β1 α10β1 α11β1) その 他 (α4β1 α9β1) の 四 種 類 がある 13) エラスチンレセプター 靭 帯 細 胞 はエラスチンレセプターと 呼 ばれる 複 合 体 を 発 現 することが 知 られてお り 靭 帯 細 胞 とエラスチンの 結 合 は エラスチン 中 の VGVAPG というアミノ 酸 配 列 の 細 胞 接 着 領 域 が このレセプターに 結 合 することにより 行 われると 考 えられている エラスチンレセプターを 発 現 する 細 胞 は 他 にも 線 維 芽 細 胞 血 管 平 滑 筋 細 胞 内 皮 細 胞 軟 骨 細 胞 多 形 核 白 血 球 単 球 リンパ 球 などが 知 られている 11) エラスチンレセプターは 非 インテグリン 型 のレセプターであり 3 つのタンパク 質 の サブユニットから 構 成 される 複 合 体 として 存 在 する 細 胞 膜 上 に 存 在 して 実 際 にエ ラスチンと 結 合 する 67kDa のエラスチン 結 合 タンパク 質 (EBP:elastin-binding protein ) 細 胞 膜 内 に 存 在 す る 61 kda の ノ イ ラ ミ ニ ダ ー ゼ -1 ( Neu-1 : neuraminidase-1)と 55 kda の 保 護 タンパク 質 /カテプシン A(PPCA:protective protein/cathepsin A)の 3 つのサブユニットから 構 成 される 22,23) ( 図 1-9) EBP 上 のエラスチン 結 合 部 位 にはラミニンも 結 合 することができる また エラス チン 結 合 部 位 とは 別 にレクチン 結 合 部 位 が 存 在 し ガラクトース ラクトースまたは N-アセチルガラクトサミンを 含 有 するグリコサミノグリカン(コンドロイチン 硫 酸 デル マタン 硫 酸 )と 結 合 して 相 互 作 用 を 起 こす その 結 果 EBP はエラスチンとの 親 和 性 を 失 い エラスチンレセプターから 離 される 22) 11

elastin EBP 細 胞 外 PPCA Neu-1 細 胞 内 図 1-9 エラスチンレセプターの 概 略 図 16) また エラスチンレセプター 中 の EBP が 認 識 する 細 胞 接 着 領 域 VGVAPG という アミノ 酸 配 列 の 他 にも 細 胞 接 着 領 域 が 存 在 している その 候 補 としては トロポエラ スチンの 末 端 部 に 見 られる GRKRK というアミノ 酸 配 列 が 挙 げられる 11,16) この 配 列 をヒト 線 維 芽 細 胞 が α V β 3 インテグリンを 介 して 認 識 し 細 胞 接 着 をするという 報 告 がある 11,24) α V β 3 インテグリンはビトロネクチン 受 容 体 であり ビトロネクチン フィブリ ノーゲン オステオポンチン コラーゲン ラミニンなどに 結 合 するという 報 告 がある 25) 1-3-3 機 械 的 刺 激 に 対 する 応 答 機 械 的 な 刺 激 には 多 くの 種 類 があり その 代 表 的 なものは ずり 応 力 伸 展 静 水 圧 である 11) 運 動 器 系 では 関 節 軟 骨 には 静 水 圧 骨 には 曲 げ 応 力 や 圧 縮 応 力 靭 帯 には 伸 展 刺 激 や ねじれ 刺 激 が 生 じている 11,26) 生 物 を 構 成 する 細 胞 は 地 球 の 重 力 身 体 動 作 などの 機 械 的 な 刺 激 を 絶 えず 受 けている 26) そのため 組 織 工 学 的 に 組 織 を 再 建 するためには 細 胞 足 場 材 料 サイトカインに 加 えて 物 理 的 因 子 としての 機 械 的 刺 激 による 影 響 を 解 明 することが 重 要 となる しかしながら 機 械 的 刺 激 に 対 する 細 胞 応 答 に 至 る 分 子 過 程 はほとんど 解 明 され ていないのが 現 状 である 11,27) 12

1-4 骨 のリモデリング 骨 は 結 合 組 織 が 石 灰 化 したものであり 豊 富 な 細 胞 外 マトリックスと 数 種 の 細 胞 から 成 る その 役 割 としては 支 持 運 動 保 護 貯 蔵 や 造 血 の 場 の 提 供 である 28) 骨 において 細 胞 間 を 埋 める 石 灰 化 組 織 を 骨 組 織 (bone matrix)と 呼 び 無 機 質 有 機 質 水 から 成 る 29) ( 図 1-10) 骨 基 質 の 構 成 成 分 水 15% Ⅰ 型 コラーゲン 糖 蛋 白 有 機 物 質 35% 無 機 物 質 50% カルシウム リン 重 炭 酸 クエン 酸 マグネシウム ナトリウム カリウム 図 1-10 骨 基 質 の 構 成 成 分 また 骨 組 織 には 骨 形 成 細 胞 骨 芽 細 胞 骨 細 胞 破 骨 細 胞 の 四 種 類 が 存 在 する 31) 骨 形 成 細 胞 骨 芽 細 胞 に 分 化 する 間 葉 組 織 に 由 来 した 未 分 化 幹 細 胞 骨 芽 細 胞 骨 形 成 細 胞 から 分 化 した 細 胞 で 骨 表 面 にシート 状 に 配 列 して 骨 基 質 を 合 成 分 泌 する 骨 芽 細 胞 は 自 身 を 分 泌 した 骨 基 質 で 取 り 囲 み 骨 細 胞 となる 骨 細 胞 一 部 の 骨 芽 細 胞 は 自 ら 分 泌 した 骨 基 質 に 取 り 囲 まれ 骨 細 胞 へ と 分 化 する 骨 細 胞 は 骨 組 織 を 維 持 し 骨 に 加 わる 外 力 に 応 答 し て 骨 形 成 を 行 っている 破 骨 細 胞 造 血 幹 細 胞 から 分 化 した 前 駆 細 胞 ( 単 核 )が 多 数 融 合 して 多 核 巨 細 胞 となったもの 破 骨 細 胞 は 遊 走 能 を 有 し 活 性 化 すると 骨 表 面 に 接 着 して 骨 基 質 を 分 解 吸 収 する 13

骨 は 出 生 以 前 から 形 作 られるが 成 人 になってからも 骨 組 織 は 絶 え 間 なく 骨 吸 収 と 骨 形 成 によってリモデリングされている 骨 組 織 のリモデリングの 意 義 としては おもに 二 つの 理 由 が 考 えられ 一 つ 目 はカルシウムの 動 態 機 構 を 維 持 するため 二 つ 目 は 物 理 的 な 刺 激 に 対 する 対 応 のためである 28-31) 骨 のリモデリング 過 程 はおもに 休 止 期 活 性 化 期 骨 吸 収 期 逆 転 期 骨 形 成 期 の 5 段 階 に 分 けられ これらが 繰 り 返 される 28,29) ( 図 1-11) 休 止 期 骨 吸 収 も 骨 形 成 も 起 こらず 休 止 状 態 の 骨 芽 細 胞 が 骨 表 面 を 覆 って いる 活 性 化 期 骨 芽 細 胞 の 発 現 する RANKL(receptor activator of NF κb ligand)が 前 駆 破 骨 細 胞 の RANK(receptor activator of NF κb)に 結 合 して 増 殖 融 合 させ 破 骨 細 胞 への 分 化 を 促 す 骨 吸 収 期 活 性 化 された 破 骨 細 胞 は 骨 表 面 に 接 着 し 骨 吸 収 を 行 う その 結 果 ハウシップ 窩 というくぼみができる 逆 転 期 基 質 中 の 抑 制 因 子 (TGF-β:transforming growth factor β BMP: bone morphogenetic protein)により 破 骨 細 胞 の 機 能 は 抑 制 される 骨 吸 収 された 部 位 に 骨 芽 細 胞 が 移 動 してきて 骨 基 質 成 分 を 分 泌 し 骨 形 成 が 骨 吸 収 を 上 回 る 骨 形 成 期 骨 芽 細 胞 により 新 しい 類 骨 が 形 成 される 一 部 の 細 胞 は 類 骨 の 中 に 埋 め 込 まれて 骨 細 胞 になる 休 止 期 活 性 期 骨 吸 収 期 逆 転 期 骨 形 成 期 図 1-11 骨 のリモデリング 14

1-5 本 研 究 の 目 的 人 工 靭 帯 を 用 いた 靭 帯 再 建 手 術 には 様 々な 問 題 点 が 存 在 する そのうちの 一 つとして 人 工 靭 帯 と 骨 の 結 合 部 分 を 再 現 することができないことが 挙 げられる 現 在 人 工 靭 帯 と 骨 の 接 続 は 金 属 のボルトで 行 われている その 繋 ぎ 目 から 摩 耗 屑 が 発 生 し 炎 症 を 起 こしてしまうことがしばしばある そこで 金 属 を 使 わないで 靭 帯 と 骨 を 接 合 する 必 要 がある 本 研 究 室 では 生 体 組 織 再 生 を 目 的 とした 人 工 組 織 を 開 発 するために 細 胞 と 足 場 ( 細 胞 外 マトリックス)の 関 係 に 着 目 し これらに 動 的 刺 激 を 用 いることによって 機 能 的 な 人 工 組 織 を 作 製 することを 目 指 している 靭 帯 と 骨 の 接 合 部 には 靭 帯 細 胞 や 骨 芽 細 胞 などが 存 在 する 10) そこで 靭 帯 組 織 に 含 まれる 主 な 細 胞 外 マトリックスであるエラスチンとコラーゲンに 注 目 した また 機 能 的 な 人 工 組 織 を 作 製 するにあたり 二 次 元 培 養 ではなく 生 体 組 織 に 近 付 け た 三 次 元 培 養 を 行 う 必 要 があると 考 えられる そのため エラスチンとコラーゲンを 材 料 とした 三 次 元 の 細 胞 培 養 システムにおける 靭 帯 細 胞 の 影 響 を 観 察 する 必 要 が ある 靭 帯 細 胞 は 加 圧 刺 激 ( 遠 心 力 静 水 圧 )を 与 えると 骨 芽 様 の 細 胞 になり 骨 基 質 を 分 泌 したり 32,33) 骨 のリモデリングに 重 要 なサイトカインなどを 産 生 したりする 34-37) という 報 告 がいくつかある 靭 帯 細 胞 を 骨 芽 細 胞 様 の 細 胞 に 分 化 誘 導 し 人 工 靭 帯 と 骨 の 接 合 部 に 使 用 できれば より 正 常 な 結 合 部 を 再 現 できるのではないかと 考 えた 骨 組 織 においても 常 に 圧 縮 力 がかかっていて その 力 を 骨 組 織 に 存 在 する 細 胞 が 感 知 して 骨 のリモデリングが 行 われる これらのことを 考 慮 して 動 的 刺 激 として 圧 力 に 注 目 した 以 上 より 本 研 究 の 目 的 は エラスチンとコラーゲンで 作 製 した 三 次 元 培 養 システ ムが 靭 帯 細 胞 の 骨 分 化 誘 導 に 対 する 影 響 と それらの 基 質 内 における 加 圧 刺 激 の 影 響 を 検 討 することにした 15

2 方 法 この 章 では 水 溶 性 エラスチンの 抽 出 分 類 コーティングシャーレ 及 びペレット の 作 製 加 圧 刺 激 が 靱 帯 細 胞 に 与 える 影 響 における 実 験 方 法 を 述 べる 詳 細 な 実 験 方 法 は 8 章 付 録 に 示 した 2-1 水 溶 性 エラスチンの 抽 出 と 分 類 2-1-1 水 溶 性 エラスチンの 抽 出 三 重 県 松 阪 食 肉 流 通 センターから 頂 いたブタ 大 動 脈 から 中 膜 層 以 外 の 部 分 を 除 去 し 細 かくミンチにした 後 エタノールで 脱 水 を 行 い 乾 燥 させた 精 製 した 不 溶 性 エラスチンに 対 してシュウ 酸 による 熱 処 理 分 解 を 行 い 水 溶 化 処 理 し 上 澄 み 液 を 透 析 チューブに 入 れ 外 液 の ph が 5~6 程 度 になるまで 透 析 を 行 った チューブから 取 り 出 した 液 を 遠 心 し 上 澄 み 液 を 凍 結 乾 燥 させることで 水 溶 性 エラスチンを 得 た 2-1-2 水 溶 性 エラスチンの 分 類 抽 出 した 水 溶 性 エラスチンを 数 平 均 分 子 量 凝 集 温 度 ゲル 弾 性 率 によって 各 分 画 に 分 類 した 本 実 験 では 各 分 画 Elastin A-E の 5 種 類 に 分 画 を 行 った 2-2 コーティングシャーレ 上 において 加 圧 刺 激 が 細 胞 に 与 える 影 響 2-2-1 細 胞 の 採 取 と 継 代 培 養 Lonza 社 から 購 入 した 正 常 ヒト 歯 周 靭 帯 線 維 芽 細 胞 (Normal Human Periodontal Ligament Fibroblast:HPdLF CC-7049/Lonza)を 37 /5%CO 2 インキュベーター ( 池 本 理 化 工 業 ) 内 で 培 養 した 培 地 には SCBM( 添 加 因 子 セット(hFGF-B インス リン GA-1000)を 添 加 した)を 用 いて 3 日 に 1 度 培 地 交 換 を 行 った sub-confluent (70%~80%)ほどに 細 胞 が 増 殖 した 時 点 でトリプシン 処 理 を 行 って HPdLF を 剥 離 させ 細 胞 懸 濁 液 を 調 整 し 継 代 培 養 を 行 った 16

2-2-2 ECM コーティングシャーレの 作 製 φ35 浮 遊 細 胞 用 シャーレに 対 してコロナ 放 電 処 理 を 行 った 後 シャーレにコーティ ング 溶 液 ( 本 実 験 ではフィルター 滅 菌 した 0.1 mg/ml または 1.0 mg/ml の Elastin A 滅 菌 水 を 使 用 )を 1.5 ml ( 滅 菌 水 は 3ml ) 添 加 し 4 で 5 時 間 静 置 した コ ーティング 溶 液 を 回 収 し これをコーティングシャーレとして 以 下 の 実 験 を 行 った 2-2-3 遠 心 型 加 圧 培 養 装 置 本 実 験 では 以 下 のような 装 置 を 用 いて 加 圧 (933r.p.m)を 行 った( 図 2-1) 図 2-1 遠 心 型 細 胞 培 養 装 置 2-2-4 靭 帯 細 胞 の 遠 心 培 養 コーティングシャーレに 靭 帯 細 胞 をコンフルエントになるまでインキュベーター 内 で 静 置 培 養 を 行 った コンフルエントになったら 培 地 交 換 を 行 い 遠 心 培 養 するも のと 静 置 培 養 するものに 分 け 12 時 間 遠 心 培 養 を 行 った 培 地 はコンフルエントになるまでは 5% FBS/ SCBM を 使 用 し 加 圧 培 養 中 は 0.1% FBS/ SCBM 使 用 した 17

2-2-5 アルカリフォスファターゼ(ALP) 活 性 の 定 量 本 実 験 では 骨 形 成 の 代 表 的 なマーカーである ALP を 骨 分 化 の 指 標 のうちの1 つとして 用 いた 加 圧 培 養 静 置 培 養 後 にタンパク 抽 出 を 行 い ラボアッセイ TM ALP (p-ニトロフェニルりん 酸 基 質 法 による ALP 活 性 測 定 キット)を 用 いてアルカリフォス ファターゼ 活 性 を 測 定 した 方 法 として まず 加 圧 培 養 終 了 後 コーティングシャーレ 上 の 靭 帯 細 胞 を 細 胞 溶 解 液 を 用 いて 溶 解 した その 後 15,000 r.p.m 4 で 30 分 間 遠 心 分 離 を 行 い 回 収 した 上 澄 み 液 をタンパク 溶 液 とした 次 に ラボアッセイ TM ALPを 用 いて p-ニトロフェニルりん 酸 を 含 む 炭 酸 塩 緩 衝 液 (ph 9.8) 中 で 細 胞 から 抽 出 したタンパク 溶 液 を 検 体 として 作 用 させることで 分 解 産 物 として 生 成 した p-ニトロフェノールを 405 nm の 吸 光 度 ( 黄 色 )で 測 定 することに より 検 体 中 の ALP 活 性 値 を 求 めた 2-2-6 色 素 結 合 法 を 用 いた 産 生 コラーゲン 測 定 (Collagen Assay) 本 実 験 では 骨 形 成 の 代 表 的 なマーカーであるコラーゲンを 骨 分 化 の 指 標 のう ちの1つとして 用 いた 加 圧 培 養 静 置 培 養 後 の 培 地 中 のコラーゲン 量 を 色 素 結 合 法 によって 測 定 した コラーゲンと 特 異 的 に 結 合 する 色 素 には Direct Red 80( 別 名 :Sirius Red)を 用 いた 方 法 として 染 色 液 (Direct Red 80/ピクリン 酸,1:1)1 ml に 対 して 培 地 を 100 μl 加 え ローテーターで 室 温 で 30 分 間 撹 拌 した 12,000 r.p.m で 10 分 間 遠 心 分 離 を 行 い 上 澄 み 液 を 除 去 した 後 0.5M 水 酸 化 ナトリウムを 1 ml 加 えて 沈 殿 物 を 溶 解 した 96 穴 プレートに 200 μl ずつ 移 してからマイクロプレートリーダーを 用 いて 吸 光 度 を 測 定 した( 波 長 :550 nm) 2-2-7 フローサイトメトリー 解 析 による 靭 帯 細 胞 の 分 化 割 合 本 実 験 では 骨 形 成 の 代 表 的 なマーカーであるアルカリフォスファターゼ(ALP) と 破 骨 細 胞 活 性 化 因 子 である receptor activator of NFκB ligand(rankl)を 骨 形 成 マーカーとして 用 いた 方 法 として まず 加 圧 培 養 終 了 後 コーティングシャーレ 上 の 靭 帯 細 胞 にトリプ シン 処 理 を 行 って 細 胞 を 剥 がし 1000 rpm で 遠 心 分 離 して 細 胞 を 回 収 した 次 に 細 胞 を 2% FBS/ PBS で 二 回 洗 浄 した ALP RANKL の 抗 体 を 加 え 4 で 30 分 間 インキュベートし 2% FBS/ PBS で 二 回 洗 浄 した その 後 BD FACSCanto TM Ⅱ フローサイトメーターで 靭 帯 細 胞 の 分 化 割 合 を 測 定 した 18

2-3 ECM ペレット 内 において 加 圧 刺 激 が 細 胞 に 与 える 影 響 2-3-1 ECM ペレットの 作 製 分 画 エラスチン A Ⅰ 型 コラーゲンをエレクトロスピニング 法 により 繊 維 状 にして その 後 凍 結 乾 燥 を 行 い ペレットを 作 製 した( 図 2-2 2-3 2-4) 直 径 :5mm 厚 さ:3mm 図 2-2 エラスチンペレット 図 2-3 コラーゲンペレット 図 2-4 培 養 容 器 2-3-2 水 圧 による 加 圧 培 養 装 置 本 実 験 では 以 下 のような 装 置 を 使 用 して 加 圧 (0.8MPa)を 行 った( 図 2-5) 図 2-5 水 圧 による 加 圧 培 養 装 置 19

2-3-3 ECM ペレット 内 における 加 圧 培 養 ECM ペレットに 靭 帯 細 胞 を 播 種 するために まず ペレットを SCBM と FBS に 浸 して 前 準 備 を 行 った ECM ペレットを 培 養 容 器 に 入 れ そこに 靭 帯 細 胞 を 播 種 した 静 置 培 養 期 間 を 変 化 させた 実 験 では 靭 帯 細 胞 を 3,7,10,14,21 日 間 培 養 して から 水 圧 による 加 圧 培 養 を 12 時 間 行 った 加 圧 培 養 時 間 を 変 化 させた 実 験 では 靭 帯 細 胞 を 14 日 間 培 養 してから 加 圧 培 養 を 3,6,12,24 時 間 行 った 培 地 は 静 置 培 養 時 は 5% FBS/ SCBM で 培 養 し 加 圧 培 養 中 は 0.1% FBS/ SCBM で 培 養 した 2-3-4 ECM ペレットへの 細 胞 接 着 の 確 認 ( 免 疫 蛍 光 染 色 走 査 型 電 子 顕 微 鏡 ) ECM ペレットへの 細 胞 接 着 を 確 認 するために 免 疫 蛍 光 染 色 と 走 査 型 電 子 顕 微 鏡 (SEM)による 観 察 を 行 った 免 疫 蛍 光 染 色 は 以 下 のように 行 った ECM ペレットに 1.0 10 6 個 の 靭 帯 細 胞 を 播 種 し 5 % FBS/ SCBM で 7 日 間 培 養 した 7 日 後 に 培 地 を 取 り 除 き PBS でペ レットごと 細 胞 を 洗 浄 し -20 aceton/methanol (1:1)にて 室 温 で 5 分 間 固 定 した 後 固 定 液 を 除 いて 10 分 間 風 乾 した 核 染 色 のヨウ 化 プロピジウム(PI)を 終 濃 度 (50 μg/ml)になるように 添 加 して 90 分 暗 所 室 温 で 静 置 した その 後 十 分 に 洗 浄 を 行 い 共 焦 点 レーザー 顕 微 鏡 (FV1000, Olympus)を 用 いて 観 察 した SEM による 観 察 は 以 下 のように 行 った ECM ペレットに 1.0 10 5 個 の 靭 帯 細 胞 を 播 種 し 5 % FBS/ SCBM で 7 日 間 培 養 した 7 日 後 に 培 地 を 除 き りん 酸 緩 衝 液 (PB)でファイバーごと 細 胞 を 洗 浄 した 洗 浄 後 前 固 定 として 2.5 %グルタルアル デヒド/PB で 2 時 間 固 定 した 固 定 後 PB にて 4 回 のつけおき 洗 浄 を 4 で 15 分 毎 に 行 った 洗 浄 後 に 後 固 定 として 1 % 四 酸 化 オスミウム/ PB により 室 温 で 1.5 時 間 固 定 した その 後 PB による 洗 浄 エタノールによる 段 階 的 脱 水 t-ブチルアル コールによる 置 換 を 行 い 凍 結 乾 燥 機 を 用 いて 試 料 を 乾 燥 した 乾 燥 させた 試 料 は 真 空 イオン 蒸 着 装 置 を 用 いて 金 イオンコーティングを 行 い SEM で 観 察 した 2-3-5 アルカリフォスファターゼ(ALP) 活 性 の 定 量 本 実 験 では 骨 形 成 の 代 表 的 なマーカーである ALP 活 性 を 骨 分 化 の 指 標 のうち の1つとして 用 いた 加 圧 培 養 静 置 培 養 後 にタンパク 抽 出 を 行 い ラボアッセイ TM ALP(p-ニトロフェニルりん 酸 基 質 法 による ALP 活 性 測 定 キット)を 用 いて ALP 活 性 を 測 定 した 実 験 操 作 は 2-2-5 に 示 した 通 りに 行 った 20

2-3-6 フローサイトメトリー 解 析 による 靭 帯 細 胞 の 分 化 割 合 本 実 験 では 骨 形 成 の 代 表 的 なマーカーである ALP と 破 骨 細 胞 活 性 化 因 子 で ある RANKL を 骨 形 成 マーカーとして 用 いた 実 験 操 作 は 2-2-7 に 示 した 通 りに 行 った 2-4 ラクトース 添 加 によるエラスチン 結 合 タンパクの 阻 害 靭 帯 細 胞 にはエラスチンレセプターという 複 合 体 が 存 在 する この 中 にある 実 際 にエラスチンと 結 合 する 部 位 であるエラスチン 結 合 タンパク 質 (EBP:elastin-binding protein)はガラクトース ラクトースまたは N-アセチルガラクトサミンを 含 有 するグリ コサミノグリカン(コンドロイチン 硫 酸 デルマタン 硫 酸 )と 結 合 することにより エラス チンとの 親 和 性 を 失 う 22) また 靭 帯 細 胞 とエラスチンの 結 合 部 位 は 他 にもあると 考 えられているが その 詳 細 はまだ 不 明 である そこで 本 実 験 では 靭 帯 細 胞 とエラスチンの 結 合 にエラスチンレセプターが 関 与 しているのかどうか 調 べるために 結 合 阻 害 剤 としてラクトースを 靭 帯 細 胞 の 培 養 培 地 に 添 加 して 実 験 を 行 った 方 法 としては 靭 帯 細 胞 を 培 養 するときに 通 常 の 5% FBS/SCBM にラクトースを 1mg/ml になるように 添 加 し 同 様 に 培 養 した 評 価 法 としては ALP 活 性 の 定 量 を 行 った 実 験 操 作 は 2-2-5 に 示 した 通 りに 行 った 21

ALP 活 性 (units/μg protein) 3 結 果 3-1 ECM コーティングシャーレ 上 における 遠 心 培 養 3-3-1 加 圧 刺 激 ( 遠 心 力 )が 靭 帯 細 胞 に 与 える 影 響 ECM シャーレ(ElastinA 0.1mg/ml ElastinA 1.0mg/ml Non-coat) 上 に 靭 帯 細 胞 を 播 種 してサブコンフルエントになるまで(7 日 間 ) 静 置 培 養 を 行 い 12 時 間 遠 心 培 養 を 行 った その 後 ALP 活 性 を 測 定 し それぞれを 比 較 した( 図 3-1) ALP 活 性 の 測 定 にはラボアッセイ TM ALP キットを 使 用 した 7 6 5 4 3 2 1 静 置 加 圧 n=3 有 意 差 * :P<0.05 ** :P<0.01 0 Non-coat ElastinA 0.1mg/ml ElastinA 1.0mg/ml 図 3-1 ECM シャーレ 上 における 遠 心 培 養 後 の ALP 活 性 ElastinA 1.0mg/ml をコーティングしたシャーレ 上 で 静 置 遠 心 培 養 で 行 うことによ り ALP 活 性 が 上 昇 する 傾 向 にあった Non-coat と ElastinA 0.1mg/ml のシャーレではほとんど 同 様 の 結 果 になった 22

3-3-2 加 圧 刺 激 による 靭 帯 細 胞 の 分 化 割 合 本 実 験 では 骨 形 成 の 代 表 的 なマーカーである ALP と 破 骨 細 胞 活 性 化 因 子 で ある RANKL(receptor activator of NFκB ligand)を 骨 分 化 マーカーとして 用 いてフ ローサイトメトリー 分 析 を 行 った ECM シャーレ(ElastinA 0.1mg/ml ElastinA 1.0mg/ml Non-coat) 上 に 靭 帯 細 胞 を 播 種 してサブコンフルエントになるまで(7 日 間 ) 静 置 培 養 を 行 い 12 時 間 遠 心 培 養 を 行 った 後 にフローサイトメトリーを 行 った ( 図 3-2~3-4) 図 3-2~3-4 では 図 を 4 つの 領 域 に 分 けた Q1(ピンク)は RANKL のみを 発 現 し ている 細 胞 Q2( 青 )は RANKL と ALP を 両 方 発 現 している 細 胞 Q3( 黒 )は RANKL と ALP を 両 方 発 現 していない 細 胞 Q4( 緑 )は ALP のみを 発 現 している 細 胞 である 図 3-2 Non-coat シャーレ 上 での 静 置 培 養 ( 左 ) 加 圧 培 養 ( 右 ) 後 の 各 マーカーの 発 現 図 3-3 ElastinA 0.1mg/ml シャーレ 上 での 静 置 培 養 ( 左 ) 加 圧 培 養 ( 右 ) 後 の 各 マーカーの 発 現 23

図 3-4 ElastinA 1.0mg/ml シャーレ 上 での 静 置 培 養 ( 左 ) 加 圧 培 養 ( 右 ) 後 の 各 マーカーの 発 現 Non-coat シャーレ 上 では 静 置 と 加 圧 の 間 に 変 化 は 見 られなかった( 図 3-2) ElastinA 0.1mg/ml シャーレ 上 では 静 置 は Non-coat と 同 じような 細 胞 集 団 が 得 られ たが 加 圧 することにより 細 胞 集 団 は Q1 の 領 域 に 引 き 上 げられる 様 な 形 へと 変 化 した( 図 3-3) ElastinA 1.0mg/ml シャーレ 上 でも 同 じような 現 象 が 起 こり それはさら に 顕 著 となった( 図 3-4) また ElastinA をコーティングしたシャーレを 加 圧 培 養 す ると ALP 発 現 よりも RANKL 発 現 への 影 響 の 方 が 大 きくなった 24

割 合 (%) 割 合 (%) 図 3-2~ 図 3-3 をもとにして 各 マーカーの 発 現 の 割 合 をグラフにした( 図 3-4~ 図 3-7) 割 合 の 算 出 方 法 は ALP を 発 現 した 細 胞 の 割 合 =Q2+Q4 RANKL を 発 現 した 細 胞 の 割 合 =Q1+Q2 両 方 発 現 した 細 胞 の 割 合 =Q2 とした 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 n=2 n=2 Non-coat ElastinA 0.1mg/ml ElastinA 1.0mg/ml n=2,3 静 置 加 圧 有 意 差 * :P<0.05 ** :P<0.01 図 3-5 ECM シャーレ 上 における 加 圧 培 養 後 の ALP 発 現 細 胞 の 割 合 n=2,3 20 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 n=2 n=2 Non-coat ElastinA 0.1mg/ml ElastinA 1.0mg/ml 静 置 加 圧 有 意 差 * :P<0.05 ** :P<0.01 図 3-6 ECM シャーレ 上 における 加 圧 培 養 後 の RANKL 発 現 細 胞 の 割 合 25

割 合 (%) * 3.5 3 2.5 n=2 n=2,3 2 1.5 1 0.5 0 n=2 Non-coat ElastinA 0.1mg/ml ElastinA 1.0mg/ml 静 置 加 圧 有 意 差 * :P<0.05 ** :P<0.01 図 3-7 ECM シャーレ 上 における 加 圧 培 養 後 の ALP と RANKL を 発 現 する 細 胞 の 割 合 全 ての 条 件 において ALP 発 現 細 胞 の 割 合 はほとんど 同 じであった( 図 3-5) RANKL 発 現 細 胞 は エラスチンコーティングシャーレ 上 で 培 養 し 加 圧 培 養 するこ とで 発 現 細 胞 の 割 合 が 増 えた 一 方 Non-coat シャーレ 上 で 培 養 した 細 胞 を 加 圧 培 養 しても RANKL 発 現 細 胞 の 割 合 は 増 えなかった( 図 3-6) ALP と RANKL を 共 に 発 現 する 細 胞 はエラスチンコーティングシャーレ 上 で 多 く 見 られ さらに 加 圧 することで 発 現 細 胞 が 増 加 した Non-coat シャーレ 上 では 両 方 発 現 している 細 胞 はほとんど 存 在 しなかった( 図 3-7) 26

吸 光 度 3-3-3 色 素 結 合 法 を 用 いた 産 生 マトリックス 測 定 細 胞 が 産 生 したマトリックスと 特 異 的 に 結 合 する 色 素 を 用 いることで 培 地 中 に 存 在 するコラーゲン 量 を 測 定 した まず 絶 対 量 が 0, 5, 10, 20, 30, 40, 50, 60, 70, 80, 90,100 μg のサンプルを 測 定 し 検 量 線 を 作 製 した( 図 3-8) 本 実 験 では 図 3-5 を 利 用 して コラーゲンの 量 を 算 出 した 1.4 y = 0.0108x 1.2 1 0.8 0.6 0.4 0.2 0 0 20 40 60 80 100 120 コラーゲンの 絶 対 量 (μg) 図 3-8 Collagen Assay の 検 量 線 27

コラーゲン 量 (μg/100μl) ECM シャーレ(ElastinA 0.1mg/ml ElastinA 1.0mg/ml Non-coat) 上 に 靭 帯 細 胞 を 播 種 してサブコンフルエントになるまで(7 日 間 ) 静 置 培 養 を 行 い 12 時 間 遠 心 培 養 を 行 った その 後 培 地 を 回 収 して 産 生 マトリックスの 測 定 を Collagen Assay 法 により 行 った( 図 3-9) 60 50 40 30 20 n=3 有 意 差 * :P<0.05 ** :P<0.01 静 置 遠 心 10 0 Non-coat Elastin A 0.1mg/ml Elastin A 1.0mg/ml 図 3-9 培 地 中 のⅠ 型 コラーゲン 量 培 地 中 へのⅠ 型 コラーゲンの 産 生 量 は どの 条 件 でもほとんど 同 じであった 28

3-2 作 製 した ECM ペレットの 評 価 走 査 型 電 子 顕 微 鏡 (SEM)により 作 製 した ECM ペレットの 観 察 を 行 った( 図 3-10 3-11;Scale Bar = 45 µm) 繊 維 径 の 平 均 は エラスチンが 2.2±0.55μm コラーゲン が 0.76±0.36μm であった 図 3-10 エラスチンペレット 断 面 ( 撮 影 倍 率 400 倍 ) 図 3-11 コラーゲンペレット 断 面 ( 撮 影 倍 率 400 倍 ) 29

3-3 ECM ペレットヘの 細 胞 接 着 確 認 作 製 した ECM ペレットへの 細 胞 接 着 を 確 認 するために 免 疫 化 学 染 色 を 行 い 共 焦 点 顕 微 鏡 で 観 察 した( 図 3-12,3-13) 緑 色 の 部 分 はエラスチンの 自 家 蛍 光 で 赤 色 は 細 胞 核 である 図 3-12 は ECM ペレットを 底 面 約 1.2mm 高 さ 約 0.13mm を 切 り 取 って 立 体 的 に 写 真 撮 影 をしたものであり 図 3-13 は 図 3-12 を 側 面 から 撮 影 した ものである 共 焦 点 顕 微 鏡 で 観 察 した 画 像 をもとに ペレットの 内 部 の 細 胞 分 布 を 調 べた( 図 3-14) また 走 査 型 電 子 顕 微 鏡 (SEM)を 使 用 して ECM ペレット 内 の 靭 帯 細 胞 の 観 察 を 行 った( 図 3-15,16) 図 3-12 ECM ペレット 内 の 靭 帯 細 胞 の 様 子 図 3-13 ECM ペレット 内 の 靭 帯 細 胞 の 様 子 ( 側 面 ) 30

細 胞 の 個 数 35 30 25 20 15 10 5 0 0 20 40 60 80 100 120 ペレットの 表 面 からの 距 離 (μm) 図 3-14 ECM ペレット 内 の 靭 帯 細 胞 の 分 布 図 3-12~ 図 3-14 より 靭 帯 細 胞 が 作 成 した ECM ペレット 内 に 細 胞 が 存 在 すること がわかった また ペレットの 表 面 から 40μm までに 細 胞 が 多 く 存 在 し その 後 100μm まではまんべんなく 存 在 していた 31

18.0μl 図 3-15 ECM ペレット 内 の 靭 帯 細 胞 ( 撮 影 倍 率 :1000 倍 ) 9.0μl 図 3-16 ECM ペレット 内 の 靭 帯 細 胞 ( 撮 影 倍 率 :2000 倍 ) 図 3-15~3-16 より 作 製 した ECM ペレットに 靭 帯 細 胞 が 接 着 していることがわか った 32

ALP 活 性 (units/μg protein) 3-4 ECM ペレット 内 における 水 圧 による 加 圧 培 養 ECM ペレット 内 に 細 胞 が 接 着 していることが 確 認 できたので ペレット 内 培 養 によ る 靭 帯 細 胞 の ALP 活 性 と 分 化 の 割 合 を 測 定 した 3-3-1 加 圧 刺 激 が 靭 帯 細 胞 の ALP 活 性 に 与 える 影 響 実 験 は 三 種 類 行 った 一 つ 目 は エラスチンペレット 内 における 培 養 期 間 ( 静 置 期 間 )を 3 7 10 14 21 日 間 と 変 化 させ その 後 12 時 間 の 加 圧 培 養 を 行 った( 図 3-17) 二 つ 目 は 加 圧 時 間 を 3 6 12 24 時 間 と 変 化 させた( 図 3-18) 三 つ 目 は 静 置 期 間 14 日 間 加 圧 時 間 12 時 間 の 条 件 でエラスチンペレットとコラーゲンペレ ット 内 培 養 における 両 者 の ALP 活 性 を 比 較 した( 図 3-19) ALP 活 性 の 測 定 にはラ ボアッセイ TM ALP キットを 使 用 した 70 60 50 40 30 20 * n=3,4 静 置 加 圧 有 意 差 * :P<0.05 ** :P<0.01 10 0 0 5 10 15 20 25 静 置 培 養 期 間 ( 日 間 ) 図 3-17 エラスチンペレット 内 培 養 における ALP 活 性 ( 静 置 培 養 期 間 の 変 化 ) 加 圧 前 の 静 置 培 養 期 間 が 長 いほど ALP 活 性 が 高 くなった また 静 置 培 養 期 間 が 7 日 間 から 加 圧 培 養 をした 時 の ALP 活 性 が 大 きく 上 昇 した その 後 は 緩 やかに 21 日 まで 上 昇 した 一 方 静 置 培 養 は 10 日 まではほとんど ALP 活 性 は 変 化 せず その 後 14 日 目 にかけて 急 に 増 加 し 21 日 まで 緩 やかに 上 昇 していった 次 に 加 圧 時 間 を 変 化 させて 同 様 に ALP 活 性 を 測 定 した 加 圧 までの 静 置 培 養 期 間 は 静 置 加 圧 とも ALP 活 性 の 上 昇 が 安 定 しはじめた 14 日 間 で 行 った 33

ALP 活 性 (units/μg protein) ALP 活 性 (units/μg protein) 140 120 100 80 60 40 20 n=3,4 静 置 加 圧 有 意 差 * :P<0.05 ** :P<0.01 0 0 5 10 15 20 25 30 加 圧 培 養 時 間 ( 時 間 ) 図 3-18 エラスチンペレット 内 培 養 における ALP 活 性 ( 加 圧 培 養 期 間 の 変 化 ) 加 圧 時 間 が 12 時 間 までは あまり 変 化 が 見 られなかったが 24 時 間 加 圧 すると ALP 活 性 が 大 きく 上 昇 した エラスチンペレットとコラーゲンペレットの 二 種 類 を 用 いて 加 圧 培 養 を 行 った 加 圧 前 の 静 置 期 間 は 14 日 間 で 加 圧 時 間 は 12 時 間 の 条 件 で 行 った 70 60 50 40 30 20 n=3 静 置 加 圧 有 意 差 * :P<0.05 ** :P<0.01 10 0 エラスチン コラーゲン 図 3-16 エラスチンペレットとコラーゲンペレットの 比 較 エラスチンペレットの 方 がコラーゲンペレットよりも 静 置 加 圧 培 養 の 両 方 において ALP 活 性 が 高 くなった 34

3-4-2 加 圧 刺 激 による 靭 帯 細 胞 の 分 化 割 合 本 実 験 では 骨 形 成 の 代 表 的 なマーカーである ALP と 破 骨 細 胞 活 性 化 因 子 で ある RANKL を 骨 分 化 マーカーとして 用 いてフローサイトメトリー 分 析 を 行 った エラ スチンペレット 内 で 加 圧 前 に 14 21 日 間 培 養 し 12 時 間 加 圧 培 養 を 行 った 後 にフ ローサイトメトリーを 行 った( 図 3-17 3-18) 図 3-17~3-18 では 図 を 4 つの 領 域 に 分 けた Q1(ピンク)は RANKL のみを 発 現 している 細 胞 Q2( 青 )は RANKL と ALP を 両 方 発 現 している 細 胞 Q3( 黒 )は RANKL と ALP を 両 方 発 現 していない 細 胞 Q4( 緑 )は ALP のみを 発 現 している 細 胞 である 図 3-17 静 置 培 養 ( 左 ) 加 圧 培 養 ( 右 ) 後 の ALP RANKL 発 現 細 胞 (ペレット 内 で 静 置 培 養 期 間 14 日 間 加 圧 時 間 12 時 間 ) 図 3-18 静 置 培 養 ( 左 ) 加 圧 培 養 ( 右 ) 後 の ALP RANKL 発 現 細 胞 (ペレット 内 で 静 置 培 養 期 間 21 日 間 加 圧 時 間 12 時 間 ) 35

割 合 (%) 割 合 (%) 図 3-17 3-18 をもとにして 各 マーカーの 発 現 の 割 合 をグラフにした( 図 3-19~ 図 3-21) 割 合 の 算 出 方 法 は ALP を 発 現 した 細 胞 の 割 合 =Q2+Q4 RANKL を 発 現 した 細 胞 の 割 合 =Q1+Q2 両 方 発 現 した 細 胞 の 割 合 =Q2 とした 50 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 14 日 間 21 日 間 図 3-19 ALP 発 現 細 胞 の 割 合 静 置 加 圧 n=3 有 意 差 * :P<0.05 ** :P<0.01 80 70 60 50 40 30 20 10 0 14 日 間 21 日 間 静 置 加 圧 n=3 有 意 差 * :P<0.05 ** :P<0.01 図 3-20 RANKL 発 現 細 胞 の 割 合 36

割 合 (%) 45 40 35 30 25 20 15 10 5 静 置 加 圧 n=3 有 意 差 * :P<0.05 ** :P<0.01 0 14 日 間 21 日 間 図 3-21 ALP と RANKL を 共 に 発 現 する 細 胞 の 割 合 ALP RNKL 発 現 ともに 14 日 間 21 日 間 静 置 加 圧 の 条 件 において 有 意 な 差 はみられなかった 37

ALP 活 性 (units/μg protein) 3-5 ラクトース 添 加 によるエラスチン 結 合 タンパク 質 の 阻 害 靭 帯 細 胞 が 持 っているエラスチンレセプターがエラスチンとの 結 合 に 関 わってい るのかを 検 討 するために 通 常 培 地 である 5% FBS/SCBM にラクトースを 1mg/ml になるように 添 加 して ALP 活 性 を 比 較 した ALP 活 性 の 測 定 にはラボアッセイ TM ALP キットを 使 用 した 3-5-1 ECM コーティングシャーレ 上 における 遠 心 培 養 実 験 ECM シャーレ(ElastinA 1.0mg/ml Non-coat) 上 に 靭 帯 細 胞 を 播 種 してサブコン フルエントになるまで(7 日 間 ) 静 置 培 養 を 行 い 12 時 間 遠 心 培 養 を 行 った その 後 ALP 活 性 を 測 定 し それぞれを 比 較 した( 図 3-22) ALP 活 性 の 測 定 にはラボアッ セイ TM ALP キットを 使 用 した 7 Non-coat ElastinA 1.0mg/ml 6 5 n=3 4 3 2 静 置 加 圧 有 意 差 * :P<0.05 ** :P<0.01 1 0 ラクトース 無 し ラクトースあり ラクトース 無 し ラクトースあり 図 3-22 ラクトース 添 加 時 の Non-coat シャーレ 上 における 遠 心 培 養 後 の ALP 活 性 Non-coat ECM シャーレ 上 において 静 置 遠 心 培 養 ともに ラクトース 添 加 によ る EBP 阻 害 の 効 果 は 見 られなかった 38

ALP 活 性 (units/μg protein) 3-5-2 ECM ペレット 内 における 水 圧 による 加 圧 培 養 エラスチンペレット 内 に 靭 帯 細 胞 を 播 種 して 14 日 間 静 置 培 養 を 行 い 12 時 間 加 圧 培 養 を 行 った その 後 ALP 活 性 を 測 定 し それぞれを 比 較 した( 図 3-23) ALP 活 性 の 測 定 にはラボアッセイ TM ALP キットを 使 用 した 70 60 n=3 50 40 30 20 10 静 置 加 圧 有 意 差 * :P<0.05 ** :P<0.01 0 通 常 培 地 ラクトース 添 加 培 地 図 3-23 ラクトース 添 加 時 のエラスチンペレット 内 における 加 圧 培 養 後 の ALP 活 性 ペレット 内 培 養 においては 静 置 で 変 化 は 無 かったが 加 圧 培 養 をすることによっ て ALP 活 性 がラクトース 添 加 によって 若 干 の 減 尐 が 見 られた 39

4 考 察 4-1 ECM シャーレ 上 における 遠 心 培 養 が 靭 帯 細 胞 に 与 える 影 響 本 研 究 では 0.1mg/ml と 1.0mg/ml の 二 種 類 の 濃 度 の ElastinA を 用 いて ECM シ ャーレを 作 製 した これらのシャーレ Non-coat のシャーレ 上 に 靭 帯 細 胞 をコンフル エントなるまで(7 日 間 ) 静 置 培 養 し その 後 12 時 間 の 遠 心 培 養 を 行 った 遠 心 後 骨 分 化 の 指 標 としてアルカリフォスファターゼ(ALP) 活 性 の 測 定 を 行 った ALP は 本 実 験 で 靭 帯 細 胞 として 用 いたヒト 歯 周 靭 帯 線 維 芽 細 胞 (HPdLF)が 骨 芽 細 胞 様 に 分 化 する 時 に 初 期 の 段 階 で 高 い 発 現 が 確 認 されるため 骨 分 化 の 指 標 として 用 いた 32) ほかの 骨 分 化 の 指 標 としてⅠ 型 コラーゲンを 用 いた 骨 芽 細 胞 が 骨 を 形 成 する 時 に 大 量 に 分 泌 するのがⅠ 型 コラーゲンであり 骨 芽 細 胞 は 自 身 の 分 泌 した 基 質 に 埋 もれて 骨 細 胞 となり 骨 を 形 成 する そのため 骨 分 化 の 程 度 を 測 るために 靭 帯 細 胞 の 産 生 したⅠ 型 コラーゲンを 測 定 した また HPdLF に 機 械 的 な 刺 激 を 加 えると 破 骨 細 胞 活 性 化 因 子 である RANKL (receptor activator of NFκB ligand)が 発 現 し 骨 吸 収 を 助 けて 骨 のリモデリングを 促 進 するという 報 告 がある 34-37) 生 体 内 では 骨 のリモデリングは 骨 が 破 骨 細 胞 に よって 吸 収 した 後 に 骨 芽 細 胞 が 骨 形 成 を 行 う 骨 形 成 と 骨 吸 収 の 詳 細 なメカニズ ムはいまだ 不 明 だが 骨 のリモデリングを 再 現 するためには RANKL の 発 現 も 必 要 であると 考 え 靭 帯 細 胞 の 骨 分 化 の 指 標 として 用 いた 以 上 より 本 実 験 は ALP 活 性 とⅠ 型 コラーゲン 産 生 RANKL の 発 現 により 靭 帯 細 胞 の 骨 分 化 の 程 度 を 判 断 する まずは ALP 活 性 定 量 の 結 果 の 考 察 を 行 う コーティングしたエラスチンの 濃 度 に 注 目 すると 図 3-1 の ALP 活 性 の 結 果 はコーティングしたエラスチンの 濃 度 が 高 い ほど 活 性 が 高 くなった Non-coat と ElastinA 0.1mg/ml の 間 で ALP 活 性 がほぼ 同 じであったのは この 二 種 のシャーレの 表 面 特 性 がほぼ 同 じであったことが 考 えら れる 以 下 に ECM シャーレの 表 面 を 評 価 する 時 に 行 った 接 触 角 測 定 の 結 果 を 示 す( 図 4-1) 40

接 触 角 接 触 角 ( ) 70 60 50 40 30 20 10 0 Non-coat 水 ElastinA ela A 0.1mg/ml ElastinA ela A 1.0mg/ml 図 4-1 接 触 角 測 定 の 結 果 接 触 角 測 定 の 結 果 Non-coat のシャーレと Elastin 0.1mg/ml のシャーレの 接 触 角 はほぼ 同 じになり 二 枚 のシャーレ の 表 面 特 性 に 違 い が 無 いことがわ かる ElastinA 1.0mg/ml についても 他 の 二 種 のシャーレに 比 べて 著 しく 活 性 が 高 いわ けではない エラスチンには 細 胞 と 結 合 する 特 異 的 な 領 域 が 存 在 する 本 実 験 で 使 用 した 二 種 類 のエラスチン 溶 液 は 濃 度 が 低 いため この 特 異 的 な 領 域 があまり 含 まれておらず エラスチンの 効 果 を 十 分 に 得 ることができなかったと 考 えられる 静 置 培 養 よりも 加 圧 培 養 の 方 が 活 性 が 高 くなったことについて 考 察 する 静 置 に 比 べると 加 圧 を 行 うと 活 性 が 高 くなる 傾 向 が 得 られた この 結 果 は 多 くの 論 文 で 示 された 結 果 と 同 じになった 32,33) しかし 静 置 と 加 圧 培 養 に 顕 著 な 差 は 無 い 本 研 究 で 用 いた 遠 心 培 養 機 の 回 転 数 は 933r.p.m.であり 回 転 数 や 回 転 半 径 からシャー レにかかる 力 は 21.3 g pressure/cm 2 of cells であり 圧 力 換 算 すると 0.2MPa であっ た ヒト 歯 周 靭 帯 細 胞 を 機 械 的 刺 激 によって 骨 分 化 誘 導 を 行 う 時 には 歯 列 矯 正 運 動 の 時 にかかる 力 に 近 い 33.5 g pressure/cm 2 of cells( 約 0.3MPa)が 使 われること が 多 い 31) このことを 考 慮 すると 骨 分 化 誘 導 を 行 うにはかける 圧 力 が 足 らなかった のではないかと 考 えられる 以 上 の 二 点 は 図 3-2~3-7 についてもあてはまることである しかし 図 3-7 の RANKL を 持 つ 細 胞 の 割 合 では ElastinA をコーティングして 加 圧 培 養 を 行 ったも のが 発 現 が 高 くなった これについては エラスチン 機 械 的 刺 激 RANKL の 三 つ 41

の 影 響 を 同 時 に 観 察 している 論 文 は 無 く それぞれの 関 係 性 は 不 明 である しかし ながら 機 械 的 刺 激 と RANKL 発 現 には 以 下 の 様 な 関 係 がある( 図 4-2) 図 4-2 圧 縮 力 と RANKL の 関 係 36) 圧 縮 力 を 歯 周 靭 帯 細 胞 に 加 えると IL-1β が 発 現 し オートクリン 作 用 により 分 泌 された IL-1β が IL-1β レセプターを 通 り RANKL の 発 現 に 関 与 する また 直 接 は 関 係 ないが IL-1β は 生 体 内 でエラスチンの 合 成 に 関 与 するという 報 告 もある 38) エラ スチンと IL-1β との 間 にはまだ 別 の 相 互 作 用 があるかもしれない 本 実 験 では 調 査 していないが IL-1β に 注 目 すれば エラスチン 機 械 的 刺 激 RANKL の 関 係 性 が 見 えてくる 可 能 性 がある 次 に 加 圧 培 養 が 靭 帯 細 胞 のⅠ 型 コラーゲンの 産 生 に 与 える 影 響 について 考 察 する 三 種 類 のコーティング 条 件 で 静 置 加 圧 培 養 を 行 ったが 加 圧 培 養 の 方 が 若 干 活 性 が 高 い 傾 向 がでたが 差 はほとんど 出 なかった 骨 芽 細 胞 の 分 化 はⅠ 型 コ ラーゲンや ALP が 先 行 して 発 現 するという 報 告 がある 28,32) そのため 差 があまり 無 かったのは 靭 帯 細 胞 が 十 分 にⅠ 型 コラーゲンを 産 生 できる 状 態 ではなかったと 考 えられる 原 因 として 考 えられる 事 は 先 に 考 察 した 力 の 大 きさと 細 胞 の 培 養 状 態 が 関 係 しているのではないかと 考 えられる 生 体 内 で 細 胞 は ECM に 包 まれた 状 態 で 存 在 し 本 実 験 のように 組 織 に 固 有 の ECM をコーティングしたシャーレ 上 に 存 42

在 しているわけではない 最 近 ECM が 硬 いシャーレ 上 に 固 定 化 されている 状 態 で 培 養 していたことで 生 体 中 に 無 かった 細 胞 の 性 質 が 誘 起 されたり 逆 に 生 体 中 で 発 揮 していた 能 力 の 低 下 が 生 じるということが 明 らかにされつつある 26) そのため 靭 帯 細 胞 を 分 化 の 方 向 に 向 かわせるためには 二 次 元 培 養 ではなく 三 次 元 培 養 を 行 う 必 要 性 がある 4-2 ECM ペレット 内 における 加 圧 培 養 が 靭 帯 細 胞 に 与 える 影 響 本 実 験 では エラスチンとコラーゲンで 作 製 した ECM ペレットの 中 で 靭 帯 細 胞 を 様 々な 期 間 を 培 養 し その 後 水 圧 による 加 圧 培 養 を 行 った 実 験 は 1 加 圧 前 の 静 置 期 間 を 変 化 させたもの2 加 圧 時 間 を 変 化 させたもの3エラスチンペレットとコラ ーゲンペレットの 比 較 の 三 種 類 を 行 った 骨 分 化 の 指 標 としては ECM シャーレの 時 と 同 様 に ALP 活 性 と RANKL の 発 現 を 観 察 した まずは1 加 圧 前 の 静 置 培 養 期 間 を 変 化 させた 実 験 について 考 察 する エラスチ ンペレットにおいて 静 置 培 養 期 間 を 3,7,10,14,21 日 間 と 変 化 させた ALP 活 性 の 結 果 は 図 3-17 に 示 した 通 りである 3,7 日 間 の 静 置 培 養 では 加 圧 を 行 っても 行 わなくても ALP 活 性 に 差 はほとんど 出 なかった その 後 時 間 が 経 過 するにつれて 加 圧 培 養 と 静 置 培 養 の 差 が 開 き また 加 圧 を 行 わなくても ALP 活 性 が 上 昇 した この 現 象 の 理 由 の 一 つとして ElastinA は 細 胞 の 接 着 率 が 悪 い 事 が 考 えられる 以 前 の 研 究 で ElastinA は 細 胞 の 接 着 率 が 悪 く 増 殖 しにくいという 報 告 がある 17) ペレットはすべて ElastinA で 作 製 しているため 3,7 日 間 では 細 胞 が 十 分 に 接 着 増 殖 できていなく エラスチン 加 圧 の 影 響 が 受 けにくかったと 考 えられる その 後 は ペレット 内 で 細 胞 が 十 分 に 接 着 増 殖 して エラスチンと 加 圧 の 効 果 が 十 分 に 出 る 結 果 となった 2 加 圧 時 間 を 変 化 させた 実 験 について 考 察 する エラスチンペレットにおいて 静 置 期 間 14 日 間 で 加 圧 時 間 を 3,6,12,24 時 間 と 変 化 させた ALP 活 性 の 結 果 は 図 3-18 に 示 した 通 りである 時 間 に 依 存 して ALP 活 性 が 高 くなった これは エラ スチンの 効 果 よりも 加 圧 の 効 果 が 強 いと 考 えられる 加 圧 時 間 については 色 々な 報 告 がある 靭 帯 細 胞 を 最 大 12 時 間 で 様 々な 時 間 遠 心 培 養 すると ALP やⅠ 型 コラーゲンなどの 骨 形 成 マーカーの mrna が 遠 心 12 時 間 で 最 大 になるという 報 告 32) 30 分 間 遠 心 して 24 時 間 インキュベートすると ALP 活 性 が 上 昇 するという 報 告 33) そして 60 分 間 遠 心 した 後 インキュベートして 4 時 間 後 にⅠ 型 コラーゲンの mrna が 最 大 になり その 後 は 減 尐 していくという 報 告 39) 43

などである これらの 実 験 で 用 いられた 力 の 大 きさはそれぞれ 異 なる 骨 形 成 マー カーの 発 現 には 加 圧 時 間 と 大 きさの 関 係 が 大 切 であり 力 の 大 きさを 変 えて 実 験 していく 必 要 がある 本 実 験 では 24 時 間 0.8MPa の 大 きさで 加 圧 することが 一 番 良 い 条 件 となった ここで エラスチンと 加 圧 の 関 係 性 について 考 察 する エラスチンは 靭 帯 細 胞 の 骨 分 化 に 関 与 するという 報 告 11) があるが その 詳 細 は 不 明 のままである 機 械 的 な 刺 激 を 細 胞 内 に 伝 える 機 械 受 容 体 には インテグリン 40,41) stretch activated channel(sa チャネル) 27) などが 代 表 的 である インテグリンについては 歯 周 靭 帯 細 胞 に 圧 縮 力 を 加 えるとインテグリンを 介 してオステオポンチン 42) の 発 現 が 上 昇 し たり 遠 心 力 を 加 えるとⅠ 型 コラーゲン 39) の 発 現 が 上 昇 するのではないかという 報 告 がある また 骨 芽 細 胞 では 遠 心 力 を 加 えるとインテグリンが 機 械 受 容 体 として 働 き フィブロネクチンやオステオポンチン Ⅰ 型 コラーゲンの mrnm 発 現 を 増 加 さ せるという 報 告 もある 40) これらの 報 告 から エラスチンと 加 圧 にはインテグリンが 関 与 しているのではないかと 考 えられる エラスチンレセプターについては 未 知 な 事 が 多 い しかし エラスチンレセプター を 通 って 動 脈 の 平 滑 筋 細 胞 の 増 殖 を 促 進 するという 報 告 43) もあり 靭 帯 細 胞 にも 何 らかの 影 響 を 与 えているのではないかと 考 えられる( 図 4-3) 図 4-3 エラスチンと 加 圧 刺 激 41) 44

3エラスチンペレットとコラーゲンペレットの 比 較 について 考 察 する 静 置 培 養 期 間 は 14 日 間 で 加 圧 時 間 は 12 時 間 で 行 った ALP 活 性 の 結 果 は 図 3-19 に 示 した 通 りである エラスチンペレット 内 で 培 養 した 時 と 比 較 して コラーゲンペレット 内 で 培 養 した 時 は 明 らかに ALP 活 性 が 静 置 加 圧 ともに 減 尐 した コラーゲンペレット 内 で 培 養 したものは 静 置 培 養 と 加 圧 培 養 の 間 にも 変 化 はなかった コラーゲンペレ ットは 加 圧 の 影 響 を 受 けにくいと 考 えられる コラーゲンには RGD というアミノ 酸 配 列 が 存 在 し その 部 位 に α v β3 インテグリンが 接 着 し 細 胞 内 に 情 報 を 伝 達 する 13) また インテグリンには RGD 配 列 に 結 合 する 他 に コラーゲン 結 合 型 インテグリン が 存 在 する 13) この 種 類 のインテグリンのうち 本 実 験 で 用 いたヒト 歯 周 靭 帯 細 胞 は α1β1 α2β1 α11β1 を 発 現 する 43) 一 方 エラスチンは VGVAPG 配 列 に EBP が 結 合 または GRKRK に α v β3 インテグリンが 結 合 して 細 胞 内 に 情 報 が 伝 達 される 11,16,24) そのため 加 圧 を 感 じ 取 ったインテグリンの 種 類 の 違 いか あるいは 結 合 するアミノ 酸 配 列 の 違 いによって 伝 わる 情 報 が 違 ったため エラスチンでは 骨 分 化 が 促 進 されて コラーゲンではされなかったと 考 えられる( 図 4-4) 図 4-4 エラスチンとコラーゲンの 違 い 45

次 に 靭 帯 細 胞 とエラスチンの 結 合 について 考 察 する 靭 帯 細 胞 にはエラスチン と 結 合 するためのエラスチンレセプターという 複 合 体 を 持 つことが 知 られている こ のエラスチンレセプターのうちのエラスチン 結 合 タンパク 質 (EBP:elastin-binding protein)が 実 際 にエラスチンと 結 合 すると 考 えられている 22,23) しかし この EBP は ラクトースやガラクトースなどと 結 合 し エラスチンとの 親 和 性 を 失 ってしまう そこで 靭 帯 細 胞 を 培 養 する 際 の 培 地 にラクトースを 添 加 し EBP を 阻 害 すること によって 靭 帯 細 胞 のエラスチンとの 関 係 にどのような 影 響 があるかということを 調 べた 図 3-22 の ECM シャーレ 上 でラクトース 入 りの 培 地 で 靭 帯 細 胞 を 静 置 培 養 遠 心 培 養 後 の ALP 活 性 に 変 化 は 見 られなかった これは 考 察 4-1 で 示 したように エ ラスチンの 濃 度 が 薄 いため もともとエラスチンの 影 響 が 無 かったため EBPを 阻 害 し てもほとんど 影 響 が 無 かったものだと 考 えられる 図 3-23 の ECM ペレット 内 でラクトース 入 りの 培 地 で 靭 帯 細 胞 を 静 置 培 養 加 圧 培 養 後 の ALP 活 性 は ラクトースを 添 加 して 培 養 したものを 加 圧 すると 活 性 が 尐 し 下 がるという 結 果 になった しかし 誤 差 を 考 慮 すると ほとんど 減 尐 していないと 考 えられる これらの 結 果 から エラスチンと 靭 帯 細 胞 の 結 合 部 位 が EBP だけでは 無 い 事 が 考 えられる( 図 4-5) 別 の 候 補 としてはトロポエラスチンの 末 端 部 にある GRKRK 配 列 であり ビトロネクチン 受 容 体 である α v β3 インテグリンを 介 して 認 識 し 細 胞 接 着 する 今 後 GRKRK 配 列 と α v β3 インテグリンにも 注 目 していく 必 要 がある 図 4-5 EBP とインテグリンの 違 い 46

フローサイトメトリー 解 析 を 用 いた 靭 帯 細 胞 の 分 化 割 合 測 定 の 考 察 を 行 う 本 実 験 は 加 圧 刺 激 とエラスチンによってどのくらいの 細 胞 が 骨 芽 様 の 細 胞 にな っているかを 算 出 するために 行 った 図 3-17~ 図 3-19 で 示 した 細 胞 の 分 布 図 では 静 置 培 養 に 比 べて 加 圧 培 養 の 方 が 各 マーカーの 発 現 分 布 が 広 がっていたが 図 3-19~ 図 3-21 では 加 圧 したものよりも 静 置 培 養 したものの 方 が ALP RANKL の 発 現 が 高 くなってしまった しかし ALP 活 性 の 結 果 と 図 3-17~ 図 3-19 の 細 胞 分 布 の 結 果 を 合 わせて 考 えると ペレット 内 での 静 置 培 養 では ALP の 発 現 細 胞 を 発 現 する 細 胞 を 増 やすが 加 圧 培 養 は ALP 発 現 細 胞 を 活 性 化 させる 役 割 があると 考 えられる ALP は 細 胞 の 細 胞 膜 に 存 在 している その ALP 分 子 は 細 胞 膜 への 結 合 様 式 が 特 徴 的 で GPI アンカーを 持 ち 脂 質 二 重 層 の 外 側 のホスファチジルイノシ トール(PI)に 共 有 結 合 している( 図 4-6) 28,45) 骨 形 成 が 進 むと 骨 芽 細 胞 は 細 胞 外 に ALP 活 性 を 示 す 基 質 小 胞 を 放 出 する 45) ( 図 4-7) 培 養 系 の 骨 芽 細 胞 の 石 灰 化 においてもこの 小 胞 が 出 現 する 45) この 基 質 小 胞 内 で 石 灰 化 が 進 行 すると 考 えら れている ALP の 石 灰 化 への 関 与 については 不 明 な 点 が 多 い 可 能 性 としては ALP はカルシウムとリン 酸 塩 の 沈 着 を 強 く 阻 害 するピロリン 酸 を 分 解 する 役 割 がある ため 石 灰 化 にとって 重 要 であるという 考 えである 47) また ALP は PI 特 異 的 ホスホ リパーゼ C の 活 性 によって 膜 結 合 部 が 切 断 されて 可 溶 化 し 血 中 に 流 れていき 28,30) 骨 形 成 期 には 血 中 の ALP 濃 度 は 高 くなる マウス 由 来 の 骨 芽 細 胞 を 培 養 す ると 培 地 中 に ALP が 放 出 され その 放 出 量 の 増 加 は 石 灰 化 過 程 と 一 致 していた という 報 告 もある 46,47) このことから エラスチンは ALP 活 性 を 上 昇 させ さらに 加 圧 を 行 うと ALP は 細 胞 膜 から 離 れてしまい その 結 果 静 置 培 養 よりも 発 現 細 胞 が 尐 な くなってしまったのかもしれない 図 4-6 ALP の 細 胞 膜 への 結 合 様 式 47 45)

図 4-7 ALP の 基 質 小 胞 への 集 積 仮 説 28) RANKL についても 図 3-6 に 示 した ECM シャーレ 上 と 比 較 すると 図 3-20 で 示 したペレット 内 培 養 の 方 が 約 3 倍 に 発 現 量 が 増 えた エラスチンに RANKL 発 現 を 促 進 させる 何 らかの 効 果 があることは 示 唆 されたが 加 圧 の 影 響 が 見 られなかった 考 察 4-1 でも 述 べたが 靭 帯 細 胞 に 圧 縮 力 などの 機 械 的 な 刺 激 を 加 えると RANKL の 発 現 が 増 加 する これは 機 械 的 な 刺 激 によって 炎 症 時 に 炎 症 組 織 か ら 誘 導 される 酵 素 であるシクロオキシゲナーゼ 2(cyclooxygenase-2: COX2)の 発 現 を 経 てプロスタグランジン E 2 (prostaglandin E 2 : PGE 2 )を 発 現 する 35) PGE 2 は 生 理 活 性 物 質 であるプロスタグランジンの 一 種 であり PGE 受 容 体 を 介 して 発 熱 や 破 骨 細 胞 による 骨 吸 収 に 関 与 している 物 質 である この PGE 2 は RNAKL の 発 現 を 誘 導 することによって 骨 吸 収 を 促 進 している 35) また PGE 2 産 生 には 機 械 的 刺 激 によっ て 産 生 した IL-1β が 関 係 しているという 報 告 もある 36) これらをまとめると 以 下 の 様 な 図 になる( 図 4-8) 48

図 4-8 RANKL 発 現 の 流 れ 35,36,48) 上 記 の 報 告 で 使 われた 圧 縮 力 や 時 間 に 共 通 することは 弱 い 力 を 長 期 的 にかけ ることである 適 用 されている 力 は 1.5g/cm 2 から 2.0g/cm 2 で RANKL の 発 現 が 促 進 された 時 間 は 24 時 間 であった 34,35) また 2.0g/cm 2 の 力 を 1 日 8 時 間 かけそれ を 4 日 間 続 けると RANKL の 発 現 を 促 進 したという 報 告 もある 35) これより 本 実 験 で RANKL の 発 現 が 静 置 とペレット 内 培 養 で 有 意 な 差 が 見 られなかったのは 力 の 大 きさが 強 すぎたことと 加 圧 の 時 間 が 12 時 間 と 短 かったことが 考 えられる 加 圧 の 時 間 が 大 きすぎたことについては 靭 帯 細 胞 の 骨 芽 細 胞 様 細 胞 への 分 化 促 進 に は 比 較 的 大 きな 力 が 必 要 となり 破 骨 細 胞 形 成 の 促 進 には 弱 い 力 が 必 要 であるこ と 関 係 があるかもしれない 今 回 ペレット 内 培 養 においては 骨 芽 細 胞 様 細 胞 への 分 化 が 優 先 され ECM シャーレ 上 では 破 骨 細 胞 の 形 成 促 進 の 効 果 があるような 実 験 結 果 であった 力 の 大 きさ 時 間 適 用 の 仕 方 を 変 えていくことによって 骨 形 成 と 骨 吸 収 のバランスの 再 現 が 可 能 であることが 示 唆 された 49

本 研 究 において 5 結 論 1ECM ペレット 内 における 三 次 元 培 養 システムの 確 立 ができた 2ECM ペレット 内 で 培 養 した 靭 帯 細 胞 に 対 する 加 圧 培 養 法 により 水 圧 を 用 いた 加 圧 刺 激 による 靭 帯 細 胞 の 骨 芽 細 胞 分 化 促 進 が 示 唆 された 3 骨 のリモデリングを 考 慮 にいれ 骨 形 成 と 骨 吸 収 の 両 面 から 靭 帯 細 胞 の 可 能 性 を 検 討 できた 以 上 のことから 生 体 内 で 起 こっている 骨 のリモデリングを 三 次 元 的 に ECM ペレ ットで 再 現 することが 可 能 となった これにより より 生 体 に 近 い 状 態 の 組 織 工 学 的 な 人 工 靭 帯 材 料 の 開 発 が 可 能 になることが 示 唆 された 50

6 参 考 文 献 1) 阿 形 清 和 ほか: 再 生 医 療 生 物 学 / 岩 波 書 店 (2009) 2) 赤 池 敏 宏 : 生 体 機 能 材 料 学 /コロナ 社 (2005) 3) 古 山 義 紘 :エラスチン 基 質 と 伸 展 刺 激 による 血 管 平 滑 筋 細 胞 の 分 化 誘 導. 平 成 19 年 度 修 士 論 文, 2008 4) 日 本 エム イー 学 会 編 : 生 体 細 胞 組 織 のリモデリングのバイオメカニクス/コロ ナ 社 (2003) 5) 富 士 川 恭 輔 編 : 図 解 膝 の 臨 床 /メジカルビュー 社 (2002) 6) Duthon V.B.,et al :Anatomy of the anterior cruciate ligament. Knee Surg Sports Traumatol Arthrose 2006;14:204-13 7) Rainer S,et al:tibial Insertions of the Anteromedial and Posterolateral Bundles of the Anterior Cruciate Ligament.: Morphometry, Arthroscopic Landmarks, and Orientation Model for Bone Tunnel Placement. Arthroscopy 2008;24:154-61 8) 日 野 原 重 信 ほか: 看 護 のための 最 新 医 学 講 座 Ⅱ 運 動 器 疾 患 / 中 山 書 店 (2005) 9) 堀 内 孝 ほか: 医 用 材 料 工 学 /コロナ 社 (2006) 10) Ning E.W, et al:age-dependent Changes in Matrix Composition and Organization at the Ligament to Bone Insertion. J Orthop Res 2006;24:1745-1755 11) 水 谷 直 紀 : 細 胞 外 基 質 と 動 的 培 養 による 人 工 靭 帯 再 生 技 術 の 開 発, 平 成 21 年 度 修 士 論 文, 2010 12) 林 典 夫 :シンプル 生 化 学 / 南 江 堂 (2007) 13) 関 口 清 俊 編 : 再 生 医 療 のための 細 胞 生 物 学 /コロナ 社 (2005) 14) 尾 張 部 克 志 編 : 細 胞 生 物 学 /オーム 社 (2008) 15) 新 真 樹 : 血 管 系 細 胞 の 細 胞 外 基 質 認 識 性 に 関 する 研 究. 平 成 17 年 度 修 士 論 文, 2006 16) Daamen W. F.,et al: Elastin as a biomaterial for tissue engineering. Biomaterials 2007;28:4378-98 17) 河 戸 仁 志 :エラスチンを 用 いた 靭 帯 組 織 再 生 誘 導 に 関 する 基 礎 的 研 究. 平 成 19 年 度 修 士 論 文, 2008 18) Nagatomo K, et al:stem cell properties of human periodontal ligament cells. Journal of Periodontal Research:2006;303-310 19) 林 正 男 : 細 胞 接 着 分 子 の 世 界 / 羊 土 社 (1995) 20) 多 賀 谷 光 男 : 分 子 細 胞 生 物 学 / 朝 倉 書 店 (2002) 21) 中 村 桂 子 ほか: THE CELL 細 胞 の 分 子 生 物 学 /Newton Press(1995) 22) Salvatore P, et al:the 67-kDa Enzymatically Inactive Alternatively Spliced 51

Variant of β-galactosidase Is Identical to the Elastin/Laminin-binding Protein. The Journal of Biological Chemistry:1998;6319-6326 23) Duca L.,et al: The elastin receptor complex transduces signals through the catalytic activity of its Neu-1 subunit. J Biol Chem 2007;17:12484-91 24) Daniel V.B.,et al: Cell adhesion to tropoelastin is mediated via the C-terminal GRKRK motif and integrin α v β3. J Biol Chem 2009;284:28616-28623 25) 宮 坂 昌 之 監 修 : 接 着 分 子 ハンドブック/ 秀 潤 社 (1994) 26) 赤 池 敏 宏 編 : 再 生 医 療 のためのバイオエンジニアリング/コロナ 社 (2007) 27) 三 品 昌 美 ほか: 実 験 医 学 増 刊 イオンチャネルレセプターと 細 胞 情 報 1994;12 No.11:151-158 28) 野 田 政 樹 : 骨 のバイオロジー/ 羊 土 社 (1998) 29) 坂 井 建 雄 ほか: 人 体 の 正 常 構 造 と 機 能 / 日 本 医 事 新 報 社 (2008) 30) L.P Gartner,et al: 組 織 学 / 西 村 書 店 (2003) 31) G.J.Totora:トートラ 人 体 の 構 造 と 機 能 第 2 版 / 丸 善 株 式 会 社 (2007) 32) Zhao Y.H, et al: Expression of Osterix in mechanical stress-induced osteogenic differentiation of periodontal ligament cells in vitro. European Journal of Oral Sciences.2008; 116: 199-206 33) Wei F, et al: The effect of centrifugal force on the mrna and protein livels of ATF4 in cultured human periodontal ligament fibroblasts. Oral Biology 2008: 53; 35-43 34) S.Wongkhantee, et al: Mechanical Stress Induces Osteopontin via ATP/P2Y1 in Periodontal Cells. J Dent Res 2008: 87; 564-568 35) H. Kanzaki, et al: Periodontal Ligament Cells Under Mechanical Stress Induce Osteoclastogenesis by Receptor Activator of Nuclear Factor κb Ligand Up-Regulation via Prostaglandin E 2 Synthesis. Journal of Bone and Mineral Research 2002: 17; 210-220 36) K. Nakano, et al: Intermittent Force Induces High RANKL Expression in Human Periodontal Ligament Cells. J Dent Res 2007: 86; 623-628 37) T. Yamamoto et al: Mechanical stress induces expression of cytokines in human periodontal ligament cells. Oral Diseases 2006: 12; 171-175 38) 岡 元 孝 二 :エラスチンの 新 たな 展 開 を 求 めて: 構 造 機 能 素 材 としての 特 性 / 和 光 純 薬 時 報 Vol.74 (2006) 39) Kook, S.H. et al:mechanical Force Induces Type 1 Collagen Expression in Human Periodontal Ligament Fibroblasts Through Activation of ERK/JNK and AP-1. Journal of Cellular Biochemistry 2009: 106; 1060-1067 40) Li,J.et al:the role of extracellular matrix, integrins, and cytoskeleton in 52

mechanotransduction of centrifugal loading. Mol Cell Biochem 2008: 309; 41-48 41) Wang,J. H. et al:an introductory review of cell mechanobiology. Biomech Model Mechanobiol 2006: 5; 1-16 42) Hong,S.Y. et al:activation of RhoA and FAK induces ERK-mediated osteopontin expression in mechanical force-subjected periodontal ligament fibroblasts. Mol Cell Biochem 2010: 335; 263-272 43) Mochizuki,S. et al:signaling Pathways Transduced through the Elastin Receptor Facilitate Proliferation of Arterial Smooth Muscle Cells. The Journal of Biological Chemistry 2002: 277: 44854-63 44) M.M.Barczyk. et al:a Role for α11β1 Integrin in the Human Periodontal Ligament. J Dent Res 2009: 89; 621-626 45) 須 田 立 雄 : 骨 形 成 と 骨 吸 収 及 びそれらの 調 節 因 子 1/ 廣 川 書 店 (1995) 46) Yoshikawa M. et al:quantitative analysis of alkaline phospatase activity and Mineralization of a clonal osteoblast-like cell MC3T3. J Hard Tissue Biol 1999 : 8; 37-42 47) Sugawara Y et al:necessity of Enzymatic Activity of Alkaline Phosphatase for Mineralization of Osteoblastic Cells. Jpn. J. Pharmacol. 2002: 88; 262-269 48) Luckprom P et al:adenosine triphoshate stimulates RANKL expression though P2Y 1 receptor-cyclo-oxygenase-dependent pathway in human periodontal ligament cell. Journal of periodontal research 2010: 45; 404-411 53

7 謝 辞 本 研 究 及 び 修 士 論 文 作 製 にあたり ご 指 導 ご 鞭 撻 のほどいただきました 三 重 大 学 工 学 部 堀 内 孝 教 授 宮 本 啓 一 准 教 授 に 対 し 深 く 御 礼 申 し 上 げます 特 に 宮 本 先 生 には 実 験 に 関 して 多 くの 助 言 を 頂 くなど 様 々な 面 で 助 けて 頂 きまし た 本 当 にありがとうございました また 修 士 論 文 を 発 表 するにあたり 副 査 を 担 当 して 頂 いた 分 子 生 物 研 究 室 の 冨 田 昌 弘 先 生 には 深 く 感 謝 しております 本 研 究 を 進 めるにあたり エラスチン をテーマとする 水 谷 直 紀 さん 石 田 尚 志 君 石 原 千 明 さん 羽 多 野 由 季 子 さん 熊 澤 雄 基 君 佐 々 木 剛 君 神 谷 歩 君 境 淳 志 君 中 村 雅 広 君 本 当 にありがとうございました 特 に 同 じ 靭 帯 再 生 に 関 するテーマを 持 つ 水 谷 直 紀 さんには 実 験 で 悩 んでいる 時 などに 的 確 なアドバイスを 頂 きました 本 当 に 感 謝 しております 毎 日 ともに 過 ごした M2 の 伊 藤 寛 之 君 篠 原 紀 子 さん 永 田 裕 子 さん 山 崎 慎 也 君 M1 四 年 生 のみなさん 研 究 室 生 活 において 様 々な 形 でサポートし て 頂 いた 村 上 節 子 さん 遺 伝 子 実 験 施 設 でお 世 話 になった 近 田 登 美 子 さん 登 川 美 奈 さん 高 速 遠 心 分 離 機 を 貸 してくださった 分 子 生 物 研 究 室 の 皆 様 方 に 深 く 御 礼 申 し 上 げます 平 成 23 年 3 月 前 田 裕 子 54

8 付 録 8-1 培 地 試 薬 の 調 整 試 薬 器 具 機 器 Stromal Cell Basal Medium(SCBM TM ) (Lonza/CC-3205) ストローマ 細 胞 添 加 因 子 セット (Lonza/CC-3205) (hfgf-b インシュリン GA-1000) Fetal bovine serum(fbs) (EQUITCH-BIO) Trypsin-EDTA solution(10x) (T-4174/SIGMA) 各 種 アシストチューブ (アシスト) 各 種 シリンジ (テルモ) 孔 径 0.22 µm フィルター(Millex-GV) (SLGV025LS/MILLIPORE) Stericup フィルターユニット (SCGVU05RE/MILLIPORE) 恒 温 槽 (BT 15/Yamato) 培 地 の 調 整 1 凍 結 保 存 してある hfgf-b インシュリン GA-1000 の 各 バイアルを 高 温 槽 で 解 凍 した 2バイアルの 周 囲 をアルコールで 拭 いた 3ピペットを 用 いて 各 バイアル 中 の 全 量 を 培 地 に 入 れ 培 地 で 共 洗 いした 4 培 地 を 4 ( 冷 蔵 庫 )で 保 存 した 各 溶 液 の 調 製 FBS( 牛 胎 児 血 清 )の 不 活 性 化 分 注 保 存 操 作 137 の 温 水 で 解 凍 した 後 数 回 振 り 55~56 の 温 水 で 時 折 振 り 混 ぜながら 30 分 間 加 温 した( 不 活 性 化 ) 2Stericup フィルターユニットでフィルター 滅 菌 を 行 い 30 ml アシストチューブに 25 ml ずつ 分 注 した 作 業 はクリーンベンチ 内 滅 菌 状 態 で 行 った 3 分 注 後 の 溶 液 は 冷 凍 庫 (-20 )で 保 存 した 55

Trypsin-EDTA solution(10x) 操 作 37 の 温 水 で 解 凍 した 後 5 ml アシストチューブに 4 ml ずつ 分 注 し 冷 凍 庫 (- 20 )で 保 存 した 滅 菌 水 の 作 成 操 作 1 脱 イオン 水 を 密 閉 できるガラスビン( 赤 蓋 の 1L メディウムビン)に 入 れる 2 蓋 をきっちり 締 めた 後 滅 菌 テープで 封 印 し 121 /40 分 にて 高 圧 蒸 気 滅 菌 を 行 う 8-2 細 胞 培 養 試 薬 器 具 機 器 Stromal Cell Basal Medium(SCBM TM ) (Lonza/CC-3205) Phosphate Buffered Saline(PBS) (D-8537/SIGMA) Fetal bovine serum(fbs) (EQUITCH-BIO) トリプシン (T-4174/SIGMA) セルバンカー ( 日 本 全 薬 工 業 ) バンバンカー ( 日 本 ジェネティクス) 75 cm 2 培 養 フラスコ (MS-21250/ 住 友 ベークライト) φ35 シャーレ ( 住 友 ベークライト) 各 種 遠 沈 管 ( 住 友 ベークライト,Nunc) エルマ 血 球 計 算 盤 (Erma) CO 2 インキュベータ ( 池 本 理 化 工 業 ) 遠 心 機 (2010/KUBOTA) ボルテックス (S-100/TAITEC) 恒 温 槽 (BT 15/Yamato) 継 代 培 養 正 常 ヒト 歯 周 靭 帯 線 維 芽 細 胞 (HPdLF) Ⅰ 細 胞 の 洗 浄 1 培 養 フラスコの 蓋 を 開 け 口 元 を 加 熱 殺 菌 する 2 滅 菌 済 みパスツールを 加 熱 滅 菌 し 培 養 フラスコ 内 に 挿 入 し 培 養 液 を 吸 引 する 56

3 4 PBS 溶 液 5 ml/25 cm 2 フラスコ 又 は 10 ml/75 cm 2 フラスコを 添 加 し 前 後 左 右 に 振 り 洗 浄 する 滅 菌 済 みパスツールを 加 熱 滅 菌 し 培 養 フラスコ 内 に 挿 入 し 洗 浄 液 を 吸 引 する Ⅱ 培 養 細 胞 の 剥 離 方 法 1 冷 凍 保 存 してあるトリプシン 1.0 ml に PBS 溶 液 9.0 ml を 加 え 10 倍 希 釈 する ( 以 下 トリプシン 溶 液 ) 2 トリプシン 溶 液 5 ml/25 cm 2 フラスコ 又 は 6 ml/75 cm 2 フラスコを 加 え 1 分 間 放 置 する 3 顕 微 鏡 で 細 胞 がはがれたことを 確 認 後 FBS を 1 ml/25 cm 2 フラスコ 又 は 2 ml/75 cm 2 フラスコを 加 える 4 細 胞 をピペッティング 又 はフラスコをたたくことで 培 養 フラスコから 剥 離 させ る 5 滅 菌 済 み 10 ml のピペットで 培 養 フラスコ 内 の 細 胞 懸 濁 液 を 吸 引 し 15 ml 遠 沈 管 に 入 れる 6 100 G(800 rpm)5 分 間 遠 心 分 離 する 7 培 養 フラスコに 10% FBS/SCBM 培 地 を 入 れ 37 の 5%CO 2 インキュベー ト 内 にてプレインキュベートしておく 8 6で 遠 心 分 離 した 上 澄 みをピペットで 吸 引 する 9 SCBM 培 地 を 1 ml 又 は 3 ml を 遠 沈 管 に 沈 殿 している 細 胞 に 加 え 細 胞 懸 濁 液 を 作 成 し 10 回 程 度 ピペッティングを 行 う 10 細 胞 懸 濁 液 を 取 り 7で 用 意 しておいた 培 養 フラスコに 播 種 し 37 の 5%CO 2 インキュベート 内 にて 培 養 する 細 胞 懸 濁 液 濃 度 は 血 球 計 算 版 にカバーガラスをのせ その 隙 間 に 培 養 フラス コに 播 種 する 直 前 の 細 胞 懸 濁 液 を 約 7μl 注 入 して 顕 微 鏡 で 細 胞 数 を 測 定 し 算 出 した 1 mm 2 の 面 積 の 細 胞 を 数 えて 液 の 厚 みを 0.1 mm としたときの 細 胞 懸 濁 液 濃 度 は 細 胞 測 定 数 10 4 cells/ml とした HPdLF の 推 奨 播 種 密 度 は 3500 cells/cm 2 である 培 地 交 換 操 作 1 あらかじめ 交 換 する 培 養 培 地 を 37 の 温 水 で 温 めたものを 使 用 した 2 滅 菌 済 みパスツールで 細 胞 培 養 培 地 を 吸 引 した 57

3 細 胞 培 養 に 使 用 する 各 容 器 に 対 してそれぞれ 適 量 の 培 養 培 地 を 加 えた 細 胞 の 凍 結 正 常 ヒト 歯 周 靭 帯 細 胞 (HPdLF)の 凍 結 はセルバンカーの 凍 結 液 を 用 いた ( 参 考 : 内 皮 細 胞 -セルバンカー バンバンカー 線 維 芽 細 胞 -セルバンカー) 操 作 1 継 代 培 養 の 手 順 に 従 い Ⅱ 培 養 細 胞 の 剥 離 方 法 の6まで 行 った 2 上 澄 み 液 を 除 去 し 凍 結 液 1 ml を 加 えてピペッティングすることで 凍 結 用 細 胞 懸 濁 液 を 作 成 した 3 2 ml アシストチューブに 細 胞 懸 濁 液 を 加 え -80 の 冷 凍 庫 内 で 凍 結 し た 冷 凍 庫 の 温 度 変 化 は 細 胞 へ 大 きく 影 響 を 与 えるため 発 泡 スチロールの 入 れ 物 などに 入 れ 凍 結 後 の 温 度 変 化 を 防 いだ 細 胞 の 解 凍 操 作 1 75 cm 2 フラスコに SCBM を 15 ml 入 れ 37 5%CO 2 インキュベート 内 で プレインキュベートした 2-80 で 凍 結 してあった 歯 周 靭 帯 線 維 芽 細 胞 の 2ml アシストチューブを 37 の 温 水 で 解 凍 した 僅 かに 氷 が 残 る 程 度 に 加 温 を 抑 えた 3 解 凍 した 細 胞 懸 濁 液 を あらかじめ 用 意 しておいた 15 ml 遠 沈 管 中 の 6 ml の SCBM に 加 えた 4 ボルテックス 後 800 rpm で 5 分 間 遠 心 分 離 を 行 った 5 上 澄 み 液 をとり 1 ml の SCBM を 加 えてピペッティング 後 75 cm 2 フラスコ に 播 種 した 58

8-3 エラスチンの 調 整 8-3-1 不 溶 性 エラスチンの 抽 出 使 用 装 置 器 具 試 薬 豚 大 動 脈 ( 三 重 県 松 坂 食 肉 流 通 センター) 塩 化 ナトリウム (WAKO) 99.5%エタノール (WAKO) アルミ 圧 力 鍋 ミキサー メッシュ 500 ml ビーカー 操 作 1 血 管 を 水 道 水 で 洗 浄 した 2 血 管 表 面 に 付 着 している 組 織 や 血 塊 をはさみで 切 り 取 り 水 道 水 で 洗 浄 し た 3 塩 水 (10 %)に 漬 けて 冷 蔵 庫 の 中 で 一 日 保 存 した 4 透 明 になったコラーゲンをはさみで 切 り 取 った 5 塩 水 (10 %)に 漬 けて 冷 蔵 庫 の 中 で 一 日 保 存 した 6 新 しい 塩 水 (10 %)と 交 換 し さらに 冷 蔵 庫 の 中 で 一 日 保 存 した 7 水 道 水 で 洗 浄 後 圧 力 鍋 に 入 れ 一 時 間 煮 た 8 圧 力 鍋 から 取 り 出 して 水 道 水 でよく 洗 浄 した 後 ミキサーにかけた 9 圧 力 鍋 に 移 して 灰 汁 を 取 り 除 いた 後 さらに 一 時 間 煮 た 10 メッシュに 移 して 水 道 水 でよく 洗 浄 した 後 一 日 流 し 洗 いを 行 った 11 よく 水 をきってから 洗 濯 機 に 移 し 入 れ 蒸 留 水 で 10 分 間 洗 浄 した ( 4 回 ) 12 洗 浄 後 よく 水 をきってからビーカーに 移 し 50%エタノールを 加 え 30 分 間 放 置 した 13 50 %エタノールを 取 り 除 いて 70 %エタノールを 加 え 90 分 間 放 置 した 14 70 %エタノールを 取 り 除 いて 90 %エタノールを 加 え 一 日 放 置 した 15 乾 燥 機 に 入 れ 乾 燥 させた(2 時 間 ) 59

8-3-2 水 溶 性 エラスチンの 調 整 使 用 装 置 器 具 試 薬 不 溶 性 エラスチン(ECM Lab) シュウ 酸 (wako) 50ml 遠 沈 管 (IWAKI) 50ml 遠 沈 管 (nunc) 吸 引 瓶 (VIDREX) ガラスフィルター(ADVANTEC) 凍 結 乾 燥 瓶 (APPROX) 透 析 用 セルロースチューブ( 三 光 純 薬 株 式 会 社 ) オイルバス OSB-200(EYELA) 遠 心 分 離 機 CT-6D(HITACHI) 凍 結 乾 燥 機 FZ-4.5(LABCONCO) ph メーター D-50(HORIBA) 操 作 Ⅰ. 前 処 理 1 不 溶 性 エラスチンを 10 g ずつ 取 ってガラス 製 遠 沈 管 に 入 れた 2 0.25 M のシュウ 酸 を 45 ml ずつ 加 え 冷 蔵 庫 に 一 晩 保 存 した Ⅱ.シュウ 酸 処 理 1 前 処 理 したものを 100 の 油 槽 で 一 時 間 加 熱 した 2 氷 水 で 十 分 に 冷 やしてから 遠 心 分 離 (3000 rpm 6 min)した 3 上 澄 み 液 を 除 去 分 子 量 10000~14000 のセロハン 透 析 チューブに 入 れた 4 上 澄 み 液 回 収 後 新 たに 同 濃 度 のシュウ 酸 20 mlを 加 え 再 度 100 で 一 時 間 加 熱 した 5 エラスチンが 全 て 溶 けるまで1~4の 操 作 を 繰 り 返 した 上 澄 み 液 を 入 れた 透 析 チューブを 水 道 水 で 2~3 日 流 し 洗 いしてから 脱 イオン 水 で 透 析 し 外 液 のpHが 5~6 程 度 になるまで 透 析 を 行 った Ⅲ. 水 溶 性 エラスチンの 取 り 出 し 1 チューブから 上 澄 み 液 を 取 り 出 して 遠 心 分 離 (3000 rpm 6 min)した 2 上 澄 み 液 をガラスフィルターで 吸 引 ろ 過 し ろ 液 を 2~3 日 凍 結 乾 燥 することで 水 溶 性 エラスチンを 得 た 60

8-3-3 エラスチンの 分 画 上 述 で 得 られた 水 溶 性 エラスチンを 凝 集 温 度 ゲル 弾 性 率 によって 各 分 画 に 分 類 した また 分 画 したエラスチンの 数 平 均 分 子 量 を 求 めた 本 実 験 では Elastin A-E までの 各 分 画 の 名 称 を 使 用 した 表 8-1 エラスチンの 各 分 画 における 性 質 数 平 均 分 子 量 (kda) 凝 集 温 度 ( ) ゲル 弾 性 率 (Pa) Elastin A 25.2 20-22.5-50000 Elastin B 21.4 22.5-25 25000-50000 Elastin C 18.7 25-30 5000-25000 Elastin D 10.3 30-35 5000 - 測 定 不 能 Elastin E 10.1 35 - ゲル 化 不 可 8-3-4 エラスチン 水 溶 液 の 調 整 試 薬 器 具 機 器 Elastin PES-(A) (Lot.011-FEI20-A/ECM Lab) 滅 菌 水 各 種 シリンジ (テルモ) 孔 径 0.22 µm フィルター(Millex-GV) (SLGV025LS/MILLIPORE) 方 法 1 分 画 水 溶 性 エラスチンを 50 mg 秤 量 し 50 ml の 滅 菌 水 に 溶 解 させた 2 エラスチン 水 溶 液 をシリンジで 吸 引 し 0.22 µm フィルター 滅 菌 を 行 い 1.0mg/ml のエラスチン 溶 液 とした 3 2で 作 成 した 1mg/ml の 各 エラスチン 水 溶 液 を 5ml 取 り 10 倍 希 釈 をして 0.1mg/ml のエラスチン 水 溶 液 とした 4 これらのエラスチン 溶 液 は 冷 蔵 庫 に 保 存 し コーティング 溶 液 として 用 いた 61

8-4 ECM コーティングシャーレの 作 成 と 評 価 8-4-1 ECM コーティングシャーレの 作 製 生 体 細 胞 は 接 着 するための 足 場 を 必 要 とする 接 着 細 胞 と 接 着 なしに 浮 遊 し たまま 培 養 可 能 な 浮 遊 細 胞 に 分 類 される 接 着 細 胞 は 細 胞 外 マトリックス(ECM)に 接 着 することではじめて 接 着 分 化 増 殖 といった 機 能 を 果 たすため 接 着 細 胞 の ECM 上 での 詳 しい 解 析 を 行 う 必 要 がある そこで 細 胞 接 着 もタンパクの 吸 着 もで きない 浮 遊 細 胞 培 養 用 のシャーレ 表 面 をコロナ 放 電 処 理 した 後 に ECM をコーテ ィングすることで ECM のみの 表 面 を 持 つシャーレを 作 製 した コロナ 放 電 処 理 の 原 理 シリコン ポリプロピレン ポリエチレン 等 は その 表 面 層 に 極 性 基 を 持 たない 為 に 接 着 性 コーティング 性 親 水 性 が 悪 い 等 の 問 題 があり その 表 面 を 改 質 する 必 要 がある コロナ 放 電 表 面 処 理 装 置 は 高 周 波 高 電 圧 を 利 用 し 大 気 中 にコロナ 放 電 を 発 生 させ それによって 生 成 される 官 能 基 と 共 に その 電 子 を 物 質 表 面 に 照 射 することにより 物 質 の 表 面 改 質 を 行 うもので 高 周 波 高 電 圧 の 気 中 で 電 解 内 にて 起 きる 原 子 分 子 電 子 イオン 間 での 衝 突 により 電 子 エネルギーの 励 起 光 子 の 放 出 が 起 こる このコロナ 放 電 のエネルギーを 物 質 の 表 面 で 作 用 させたとき そ の 表 面 がエネルギーを 受 け 表 面 エネルギーが 高 くなり 活 性 化 された 状 態 (ラジカ ル 生 成 )になる そこに 空 気 中 の 酸 素 や 水 分 などが 反 応 し 極 性 をもったさまざまな 官 能 基 が 表 面 の 濡 れ 性 が 向 上 する 図 8-1 コロナ 放 電 処 理 前 後 のシャーレ 表 面 の 様 子 62

使 用 機 器 器 具 浮 遊 培 養 用 φ35 シャーレ(MS-80240/ 住 友 ベークライト) 各 種 シリンジ(テルモ) Corona Fit(CFG-500/ 信 光 電 気 計 装 株 式 会 社 ) 0.22 μm フィルター(SVGSB1010/ステリベックス) 50 ml 遠 沈 管 (MS 56500/SUMILON) 使 用 試 薬 Elastin PES-(A)(ECM Lab) 滅 菌 水 準 備 エラスチン 溶 液 の 調 整 1 分 画 水 溶 性 エラスチンを 50 mg 秤 量 し 50 ml の 滅 菌 水 に 溶 解 させた 2 エラスチン 水 溶 液 をシリンジで 吸 引 し 0.22 µm フィルター 滅 菌 を 行 い 1.0mg/ml のエラスチン 溶 液 とした 3 2で 作 成 した 1mg/ml の 各 エラスチン 水 溶 液 を 5ml 取 り 10 倍 希 釈 をして 0.1mg/ml のエラスチン 水 溶 液 とした 4 これらのエラスチン 溶 液 は 冷 蔵 庫 に 保 存 し コーティング 溶 液 として 用 いた 操 作 1 浮 遊 培 養 用 φ35 シャーレの 表 面 を 1 分 間 コロナ 放 電 した 2 作 成 しておいたエラスチン 水 溶 液 コラーゲン 水 溶 液 をそれぞれ 1.5 ml//φ35 シャーレに 添 加 し 4 で 5 時 間 静 置 した 3 コーティング 溶 液 を 吸 引 後 細 胞 培 養 液 を 2 ml 添 加 し 37 /5%CO 2 条 件 で 15 分 間 以 上 プレインキュベートした 4 細 胞 懸 濁 液 を 播 種 し 37 /5%CO 2 条 件 で 培 養 した 8-4-2 ECM コーティングシャーレ 表 面 の 接 触 角 測 定 接 触 角 の 原 理 接 触 角 とは 固 相 表 面 に 液 滴 をたらしたときの 接 触 部 分 がつくる 角 度 ( )と 定 義 でき 固 相 表 面 のぬれ を 表 す 指 標 としてはとても 直 感 的 でわかりやすく あらゆる 産 業 分 野 において 表 面 評 価 手 法 として 採 用 されている 接 触 角 が 大 きい 場 合 は 濡 れ 性 が 悪 く 疎 水 性 表 面 になり 逆 に 接 触 角 が 小 さければ 濡 れ 性 が 良 く 親 水 性 表 面 といえる 63

図 8-2 固 体 表 面 の 接 触 角 濡 れ 性 は 図 で 示 されるように 固 体 と 気 体 の 表 面 張 力 (γ S ) 気 体 と 液 体 の 表 面 張 力 (γ L ) 固 体 と 液 体 の 界 面 張 力 (γ SL )の 3 つの 張 力 がつり 合 ったときの 接 触 角 (θ) で 表 すことができる 3 つの 力 を 水 平 方 向 のベクトルのバランスとして 考 えると 以 下 の Young の 式 が 成 り 立 つ γ S =γ L cosθ+γ SL Young の 式 また もともとこの 系 が 持 っている 界 面 自 由 エネルギーを γ SL とし 引 き 離 してでき る 各 々の 新 しい 表 面 の 自 由 エネルギーをそれぞれ γ L γ S とすると このエネルギ ー 収 支 から 固 体 と 液 体 を 引 き 離 すのに 必 要 なエネルギーWa( 接 着 の 仕 事 )は 次 の Dupre の 式 で 表 すことができる Wa=γ S +γ L -γ SL Dupre の 式 つまり この Wa の 値 が 大 きいものほど 強 く 接 着 していることになる ここで Young の 式 と Dupre の 式 を 組 み 合 わせると Dupre-Young の 式 となる Wa=γ L (1+cosθ) Dupre-Young の 式 固 体 の 表 面 あるいは 界 面 自 由 エネルギーは 直 接 測 定 する 手 段 がないが 液 体 の 表 面 自 由 エネルギーと 接 触 角 が 分 かれば Dupre-Young の 式 を 用 いて 界 面 におけ る 相 互 作 用 エネルギーを 決 定 できる 使 用 機 器 器 具 試 薬 接 触 角 測 定 器 φ35 シャーレ(ECM コーティングシャーレ 等 ) 20 μl ピペット 脱 イオン 水 64

操 作 1ECMコーティングシャーレのコーティング 溶 液 を 捨 て 脱 イオン 水 で 3 回 すすぎ 20 時 間 乾 燥 させた 2シャーレを 接 触 角 測 定 器 に 載 せ 20 μl ピペットを 用 いて 5 μl の 脱 イオン 水 をシャ ーレ 表 面 に 静 かに 載 せるように 置 いた 3 液 滴 の 接 触 角 を 測 定 した 4シャーレ 1 個 に 対 し 2 3の 操 作 を 無 作 為 に 8 回 繰 り 返 した 8-5 細 胞 からのタンパク 質 抽 出 と 定 量 8-5-1 ECM シャーレ 培 養 細 胞 からのタンパク 抽 出 使 用 器 具 試 薬 φ35 シャーレ(ECM コーティングシャーレ 等 ) 高 速 冷 却 遠 心 機 (HIMAC CR15B, BIO-RAD) FBS, HEPES, NaOH, protease inhibitor, phosphatase inhibitor 操 作 1 confluent の φ35 シャーレの 培 地 を 吸 い 取 り 氷 上 で 冷 やした PBS 2ml で 十 分 に 洗 浄 する * 氷 上 で 行 う 2 細 胞 溶 解 液 (0.1% TritonX-100 を 含 む 20mM HEPES-NaOH, ph7.2)を シャーレに 300μl 加 える 3 protease inhibitor, phosphatase inhibitor をそれぞれ 1μl 加 える 4 25~37 で 5 分 間 軽 く 振 とうし 細 胞 膜 を 溶 解 させる 5 セルスクレーパーで 細 胞 を 剥 離 した 後 強 くピペッティングを 行 い 1.5 tube に 移 す 6 冷 却 遠 心 機 で 15,000 r.p.m 30 分 間 遠 心 する 7 上 澄 み 液 をアシストチューブに 移 す 8 タンパクの 定 量 を BCA 法 にて 行 う * 抽 出 したタンパク 質 は 冷 凍 保 存 (-80 ) 65

8-5-2 タンパク 質 の 定 量 (BCA 法 ) 原 理 蛋 白 はアルカリ 溶 液 中 で2 価 の 銅 イオンに 作 用 し 1 価 の 銅 を 生 成 させる この 1 価 の 銅 イオンが 2 分 子 の BCA(Bicinchoninic Acid) 分 子 と 錯 体 を 形 成 し 紫 紅 色 を 発 する その 際 の 吸 光 度 を 測 定 することでタンパク 質 濃 度 求 める 使 用 器 具 試 薬 Spectrophotometer(SmaetSpec TM Plus, BIO-RAD) ビシンコニン 酸 酒 石 酸 ナトリウム Na 2 CO 3 NaOH NaHCO 3 硫 酸 銅 (Ⅱ)5 水 和 物 操 作 1 A 溶 液 B 溶 液 をそれぞれ 作 製 する A 溶 液 ( 数 か 月 保 存 可 ) ビシンコニン 酸 1g 酒 石 酸 ナトリウム 0.16g Na 2 CO 3 2g NaOH 0.4g NaHCO 3 0.95g DW 適 量 100ml にメスアップ 後 NaOH を 加 え ph 11.25 にする B 溶 液 ( 室 温 保 存 ) CuSO 4 5H 2 O 4g DW 100ml 2 スタンダード(1mg/mA BSA)を 作 製 し 下 表 のように 加 える 1mg/ml BSA (μl) DW (μl) 試 験 管 1 本 当 たり の BSA 量 (μg) 0 10 0 2 8 2 4 6 4 6 4 6 8 2 8 10 0 10 66

3 A 溶 液 と B 溶 液 を 50 : 1 で 混 合 する 4 サンプルとスタンダードをそれぞれ 10μ ずつアシストチューブにとり( 各 サン プル 2 本 ずつ) 3で 作 製 した 溶 液 を 100μl 加 える 5 ボルテックスで 攪 拌 する 6 37 30 分 で 静 置 する 7 OD 562 を 測 定 する 8 タンパク 質 濃 度 を 横 軸 吸 光 度 を 縦 軸 にとり 検 量 線 を 作 り 総 タンパク 質 濃 度 を 測 定 する *Spectrophotometer ( SmartSpec TM Plus, BIO-RAD ) 操 作 方 法 (1) 電 源 を 入 れる (2) λ を 押 す (3) enter を 押 す( 波 長 の 読 み 取 り 1) (4) 波 長 を 562 nm に 設 定 する (5) enter を 押 す(バックグラウンド 読 み 取 りを 引 きますか No) (6) select enter を 押 す( 繰 り 返 して 読 むサンプルはありますか YES) (7) enter を 押 す( 試 料 の 反 復 番 号 3) (8) セルに Blank (A 溶 液 +B 溶 液 )をいれ Read Blank を 押 す (9) を 押 す (10) 試 料 を 戻 して セルを 脱 イオン 水 で 洗 浄 し 脱 イオン 水 を 取 り 除 く (11) セルに 試 料 を 入 れ Read Sample を3 回 押 す (12) 試 料 を 戻 して セルを 脱 イオン 水 で 洗 浄 し 脱 イオン 水 を 取 り 除 く (13) (10)~(13) を 繰 り 返 す 67

8-6 アルカリフォスファターゼ 活 性 の 定 量 測 定 原 理 p-ニトロフェニルりん 酸 を 含 む 炭 酸 塩 緩 衝 液 (ph 9.8) 中 で 検 体 を 作 用 させる と 検 体 中 のアルカリフォスファターゼにより p-ニトロフェニルりん 酸 は p-ニトロ フェノールとりん 酸 に 分 解 され 生 成 された p-ニトロフェノールはアルカリ 性 側 で 黄 色 を 呈 します この 405 nm の 吸 光 度 を 測 定 することにより 検 体 中 のアル カリフォスファターゼ 活 性 値 を 求 める 試 薬 (キットの 中 身 ) 基 質 錠 ( 溶 解 時 p-ニトロフェニルりん 酸 二 ナトリウム) 基 質 溶 解 液 (2.0mmol/L 塩 化 マグネシウム 含 有 0.1mol/L 炭 酸 塩 緩 衝 液 ph9.8) 反 応 停 止 液 (0.2mol/L 水 酸 化 ナトリウム 溶 液 ) 標 準 液 (0.5mmpl/L p-ニトロフェノール 溶 液 ) 使 用 器 具 (キット 以 外 に 必 要 なもの) 96 ウェルの 透 明 マイクロプレート アシストチューブ ピペット マイクロプレートリーダー(405mm 吸 光 フィルター) 試 薬 の 調 整 法 1 基 質 緩 衝 液 : 基 質 錠 1 錠 を 基 質 溶 解 液 5mL で 溶 解 する 調 整 後 は 2~10 遮 光 で 2 週 間 使 用 可 2 反 応 停 止 液 :そのまま 使 用 3 標 準 液 希 釈 系 : 標 準 液 を 蒸 留 水 で 順 次 倍 々 希 釈 し 0.5 0.25 0.125 0.0625 mmol/ L の 2 倍 希 釈 系 列 を 調 整 する 68

標 準 操 作 法 テスト ブランク スタンダード 基 質 緩 衝 液 100μL 100μL 100μL 試 料 ( 検 体 ) ( 蒸 留 水 ) ( 標 準 液 希 釈 系 ) 20μL 20μL 20μL プレートミキサーで 1 分 間 攪 拌 後 37 で 15 分 間 インキュべ ート 反 応 停 止 液 80μL 80μL 80μL プレートミキサーで 1 分 間 攪 拌 後 405nm の 吸 光 度 を マイクロプレートリーダーで 測 定 する 8-7 色 素 結 合 法 を 用 いたコラーゲン 産 生 量 の 測 定 原 理 培 養 細 胞 によって 培 地 中 に 産 生 されたコラーゲン 量 を 定 量 化 するために それら と 特 異 的 に 結 合 する 色 素 と 反 応 させ 反 応 した 色 素 -マトリックス 複 合 体 のみを 回 収 し その 吸 光 度 を 測 定 することで 検 量 線 から 産 生 量 を 求 める コラーゲンと 特 異 的 に 結 合 する 色 素 には Direct Red 80( 別 名 :Sirius Red)を 用 い る 構 造 式 を 図 に 示 す 図 8-3 Direct Red 80 の 構 造 式 69