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Noah Websterのpatriotismの 変 容 ~ 辞 書 の 編 纂 とナショナル アイデンティティの 創 造 ~ 西 南 学 院 大 学 学 術 研 究 所 英 語 英 文 学 論 集 第 53 巻 第 1 2 号 抜 刷 2 0 1 2 ( 平 成 24 ) 年 11 月

Noah Webster の patriotism の 変 容 辞 書 の 編 纂 とナショナル アイデンティティの 創 造 - 31 - Noah Webster の patriotism の 変 容 辞 書 の 編 纂 とナショナル アイデンティティの 創 造 N. Webster, An American Dictionary of the English Language.1828 DICTIONARY, n.... A book containing the words of a language arranged in alphabetical order, with explanation of their meanings; a lexicon. Johnson LEXICOGRAPHER, n.... The author of a lexicon or dictionary. AMERICANISM: The love which American citizens have to their own country, or the preference of its interests. Analogically, an American idiom. * * * AMERICAN, n. A native of America; originally applied to the aboriginals, or copper-colored races, found here by the Europeans; but now applied to the descendants of Europeans born in America. The name American must always exalt the pride of patriotism. Washington PATRIOT, n. A person who loves his country, zealously supports and defends it and its interests. Such tears as patriots shed for dying laws. Pope. PATRIOTISM, n. Love of one s country; the passion which aims to serve one s country, either in defending it from invasion, or protecting its rights and maintaining its laws and institutions in vigor and purity. Patriotism is the characteristic of a good citizen, the noblest passion that animates a man in the character of a citizen. * * * BIBLE, n. THE BOOK, by way of eminence; the sacred volume, in which are contained the revelations of God, the principles of Christian faith, and the rules of practice. It consists of two parts, called the Old and New Testaments. The Bible should be the standard of language as well as of faith. Anon. * * *

- 32 -( 2 ) N. Webster: American Dictionary of the English Dictionary. Preface 1828 Language is the expression of ideas; and if the people of our country cannot preserve an identity of ideas, they cannot retain an identity of language. N. Webster: Dissertations on the English Language, p.22. 1789 numerous local causes, such as a new country, new associations of people, new combinations of ideas in arts and science, and some intercourse with tribes wholly unknown in Europe, will introduce new words into the American tongue. These causes will produce, in a course of time, a language in America, as different from the future language of England, as the Modern Dutch, Danish and Swedish are from the German, or from one another. * * * 目 次 0 序 節 (3) 1 Noah Webster の 出 発 点 : The American Spelling Book (6) 2 spelling についての 持 論 の 変 容 (15) 3 Webster の patriotism (20) 4 Webster の 自 己 矛 盾 : 個 と 国 の 狭 間 で (31) 5 辞 書 編 集 と Webster : Americanism (34) 6 政 治 と Webster -- その 国 家 観 (39) 7 Webster の 語 彙 選 択 定 義 : アメリカニズムに 焦 点 化 して (42) 7.1 気 候 地 理 風 土 産 物 をめぐる 語 彙 (43) 7.2 先 住 民 の 文 化 と 自 然 をめぐる 語 彙 (45) 7.3 具 象 化 された 愛 国 魂 : 郷 土 愛 と provincialism (47) 7.4 米 国 固 有 の 法 政 治 議 会 制 度 をめぐる 語 彙 (49) 8 ナショナリズムをめぐる 語 彙 と 定 義 (55) 8.1 米 国 と 英 国 をめぐるエスノニム 群 (55) 8.2 Colony, colonize (56)

Noah Webster の patriotism の 変 容 辞 書 の 編 纂 とナショナル アイデンティティの 創 造 ( 3 )- 33-8.3 Patriotism (58) 8.4 Equality, Freedom: 新 国 家 の 基 本 理 念 をめぐる 語 彙 (59) 9 聖 書 に 関 する 語 彙 (62) 9.1 God, good, love (65) 9.2 Heart, house (69) 9.3 Religion, Christianity (71) 9.4 Bible, Scripture (76) 9.5 Profanity (78) 9.6 Ordinary words (80) 10 Webster の 独 創 毒 舌 ユーモア (92) 11 まとめ 終 章 にかえて (97) Noah Webster 年 表 (101) Bibliography (102) Abstract (108) 0 序 節 筆 者 はすでに 近 現 代 (18-20 世 紀 )において 規 模 の 差 はあれ 近 代 国 家 が ひとつの 物 語 を 完 結 する 際 に 特 定 のエスノニム 自 己 を 規 定 する 言 葉 のかた ちを 必 要 としたことを 例 証 した 一 方 で ブリテン 島 と 北 アメリカ 大 陸 に 生 起 した かつては 小 さな 共 同 体 として 誕 生 した 国 が 世 界 の 覇 権 を 争 うまでに 巨 大 化 し 成 長 していく 過 程 で national identity を 含 む 物 語 をどのように 確 立 しよ うとしていったのかを 両 国 を 意 味 する 特 定 のエスノニムの 出 現 に 絞 って 考 察 した また 他 方 で その 巨 大 国 家 のひとつ 英 国 によって 再 発 見 された 南 半 球 の 小 国 NZ が 近 代 国 家 として 民 族 的 政 治 的 に 自 立 していく 過 程 で 現 れ たさまざまな 自 称 的 エスノニム( 国 家 やそこに 棲 む 人 々 民 族 集 団 )を 歴 史 の 流 れに 沿 って 検 証 するという 試 みを 公 にした そこに 共 通 するのは 国 家 と エスノニムが 相 互 に 密 接 な 係 わりをもつ 形 で 歴 史 が 創 られていくという 事 実 で あった どのようなエスノニムが 国 家 自 我 像 の 象 徴 として 機 能 したのか その 意 味 がどのように 変 容 していったのか という 点 に 焦 点 を 合 わせ その 規 模 に

- 34 -( 4 ) かかわりなく 社 会 集 団 としての 国 家 と 国 家 的 アイデンティティの 対 応 関 係 をめぐる 歴 史 的 共 通 性 があることを 突 き 止 めた 次 に 生 ずる 問 題 として 総 体 としてのそのような 歴 史 の 形 成 にかかわりをも つに 至 った 個 人 のありようを 考 えてみたい それを 考 察 するてがかりとして アメリカ 合 衆 国 における 一 人 の 人 物 新 国 家 の 建 設 に 精 神 的 支 え 国 家 アイデ ンティティ 形 成 というソフトウエアを 提 供 したと 見 なされる Noah Webster (1758-1843)( 以 下 NW と 略 称 )の 業 績 を 分 析 してみたい とりわけ 当 時 の ベストセラーに 数 えられる 通 称 The Blue Back Speller こと The American Spelling Book 彼 の 言 語 論 に 関 する 集 大 成 である Dissertations on the English Language さらには 長 期 間 を 経 て 完 成 された 辞 書 An American Dictionary of the English Language に 表 された あるいはそれらから 伺 える 彼 の 思 想 や 内 面 を 分 析 することで 彼 が 構 築 しようとしていたナショナル アイデンティティ をめぐる 彼 のバックボーンとその 成 長 変 容 を 辿 っていく 個 人 を 超 えた 巨 大 な 歴 史 の 流 れの 中 で 新 国 家 のナショナル アイデンティティ 構 築 に 貢 献 する ことになった NW の 一 連 の 著 作 中 でも 辞 書 編 集 が NW にとってどのような 意 味 をもち 役 割 を 果 たしたのかという 点 を 考 察 してみたい NW の 言 動 の 大 局 的 流 れに 愛 国 心 を 組 み 入 れることを 否 定 はしないが 単 な る 愛 国 心 の 発 現 が 彼 のすべてであると 断 定 してしまうと 彼 の 著 作 の 背 景 とな る 思 想 を 見 誤 ることになるのではないか 果 たして NW はどこまでその 政 治 的 主 張 や 愛 国 的 想 いを 辞 書 編 集 に 取 り 入 れたのであろうか これは 筆 者 にとって は 十 分 疑 いの 余 地 のある 興 味 深 い 関 心 事 である もし 一 般 に 信 じられ 多 く の 研 究 者 たちも 指 摘 するような 政 治 的 愛 国 心 の 単 純 な 発 露 でないとすれば そ れを 糾 していくことが 必 要 だと 思 われる その 疑 問 は 1789 年 上 梓 の Dissertations on the English Language における 主 張 と 1828 年 完 成 の American Dictionary の 序 文 の 表 面 的 な 一 致 にもかかわらず 辞 書 の 内 容 が Dissertations のそれを 裏 切 っている あるいは かけ 離 れているという 印 象 から 芽 生 えてくる そこで 言 語 と 言 語 教 育 に 触 れる 以 下 の 著 作 を 通 して 生 涯 を 通 じて NW がめ ざした 思 想 の 根 底 にあるものを 考 えてみようと 思 う (NW の 生 涯 については 巻 末 年 表 を 参 照 ) 以 下 に 対 象 となる 著 作 を 執 筆 年 代 順 に 並 べてみよう

Noah Webster の patriotism の 変 容 辞 書 の 編 纂 とナショナル アイデンティティの 創 造 ( 5 )- 35-1783 (25 歳 ):A Grammatical Institute of the English Language...Part I. 1784 (26 歳 ):A Grammatical Institute of the English Language...Part II. 1785 (27 歳 ):A Grammatical Institute of the English Language...Part III. [The three parts, renamed later when revised & reissued, as The American Spelling Book.] 1789 (31 歳 ):Dissertations on the English Language 1790 (32 歳 ):A Collection of Essays and Fugitiv Writings. 1806 (48 歳 ):A Compendious Dictionary of the English Language. 1828 (70 歳 ):An American Dictionary of the English Language. これらは NW の 青 年 期 壮 年 期 老 齢 期 を 代 表 する 著 作 になっており 思 想 の 展 開 変 容 をたどることができると 考 えられる 初 期 の 三 部 作 は 20 代 に Dissertations は 30 代 初 めに 中 期 の Compendious Dictionary は 40 代 末 期 そ して 生 涯 をかけた 大 作 は 70 歳 の 時 に 完 成 をみている これらを 渉 猟 していく 中 で NW の 愛 国 魂 にどのような 変 容 があったのか また NW の 思 想 において 他 のどのような 要 素 がより 強 化 されていったのかについて 以 下 管 見 ながら 考 察 を 試 みることにする 1 Noah Webster の 出 発 点 : The American Spelling Book エリザベス 朝 時 代 に 分 岐 の 源 をもつ 英 国 植 民 地 アメリカにおいて 1620 年 に 始 まるプリマスへの 上 陸 少 数 の 集 団 的 移 住 とプランテーションという 小 さな コミュニティーの 建 設 をもってアメリカという 国 家 建 設 の 創 始 と 見 なせば そ の 後 の 独 立 革 命 までの1 世 紀 半 はアメリカ 的 なものの 無 意 識 な 蓄 積 燃 焼 の 時 間 であったと 想 像 される 後 年 その 名 を 冠 した 辞 書 群 で 知 られ 愛 国 者 として 知 られる NW は アメリ カがまずは 13 州 をもって 1776 年 ( 当 時 NW18 歳 ) 独 立 を 宣 言 し 7 年 後 パリ 条 約 締 結 により 名 実 共 に 英 国 からの 独 立 を 遂 げた 時 に まず 教 育 の 用 に 資 す るための 綴 り 字 (1783 年 25 歳 ) 文 法 (1784 年 26 歳 ) そして 読 本 (1785 年 27 歳 )に 関 する 書 物 を 続 けざまに 著 した ちなみに NW が Yale 大 学 を 卒 業

- 36 -( 6 ) するのは 1778 年 であるが その 当 時 は 教 育 制 度 そのものも 貧 しく 教 科 書 も 英 国 から 持 ち 込 まれたものしかなく 教 育 思 想 全 般 に 英 国 の 桎 梏 から 解 放 さ れ 揺 籃 期 にあった 新 国 家 を 安 定 させ 成 長 させるためにも 将 来 の 国 家 を 担 う 一 人 一 人 の 若 者 たちが 備 えるべき 必 要 不 可 欠 な 文 化 的 教 育 的 宗 教 的 素 養 あ るいは 基 盤 に 貢 献 するのに 足 る 基 礎 的 知 識 を いわばゼロから 試 行 錯 誤 しなが ら 教 科 書 として 造 り 上 げていった The American Spelling Book 以 外 にも 地 理 歴 史 書 政 治 制 度 に 関 する 著 作 も 多 いが 多 くは 青 少 年 向 けの 教 科 書 を 念 頭 において 既 述 されている たとえば 1809 年 の Elements of Useful Knowledge や 1832 年 の History of the United States など 後 年 になるにつれ 広 範 囲 の 多 岐 にわたる 領 域 の 執 筆 活 動 が 展 開 されていく なかでも The American Spelling Book は NW がもっとも 早 く 手 をつけた 業 績 であり また 出 版 後 何 度 も 版 を 重 ねる 中 で 幾 度 も 改 訂 され 最 終 的 に 人 々 に 相 程 度 の 影 響 を 与 えたとされる 著 作 であったことはその 後 の NW に 方 向 性 を 与 えたと 推 察 される(cf. Monaghan 1983: 221-228; Mencken 1949: 385) その 書 物 の 目 的 は 英 語 の 識 字 能 力 を 子 どもたちに 学 ばせ それを 基 礎 として 十 分 な 読 み 書 き 理 解 能 力 をつけさせ その 力 をもって 既 成 の 堕 落 した 国 家 とは 異 なる 理 想 のアメリカ 社 会 を 建 設 するのに 貢 献 させることであった それは 表 象 的 にも 元 宗 主 国 英 国 と 決 別 し 幼 い 時 期 からアメリカ 風 の 新 たなるアイデ ンティティを 求 める 道 筋 をつけてアメリカ 式 教 育 の 成 果 をあげることであった と 思 われる 当 時 の 指 導 者 の 中 で 言 語 と 国 家 アイデンティティについて 想 いをめぐらして いたのは たとえば Benjamin Franklin であり John Adams であった Adams は 欧 州 (フランス スペイン イタリー)に 準 じた 国 家 アカデミーの 設 立 を 構 想 していた Mencken(1949)によると : Something of the sort [i.e. cultural independence] was plainly in the mind of John Adams when he wrote to the president of Congress from Amsterdam on September 5, 1780, suggesting that Congress set up an academy for correcting, improving and ascertaining the English language. (Mencken

Noah Webster の patriotism の 変 容 辞 書 の 編 纂 とナショナル アイデンティティの 創 造 ( 7 )- 37-1949:7) Bragg(2003)は John Adam が 選 ばれた 少 数 者 の 英 語 ではなく 民 衆 の 平 易 な 英 語 の 上 に 成 立 するアメリカに 民 主 的 国 家 の 理 想 を 見 ていたと 考 える Adams took the English language into the destiny of America not unlike Henry V and Elizabeth I had done in England itself. He wrote of a future in which no one would be excluded because of the way they spoke. The plain speaking of English would underpin the American democratic ideal. It was no longer the King s English, it was the people s English. (Bragg 2003: 168) B.Franklin はすでに 1768 年 にはスペリングの 改 善 についての 構 想 を 明 らかに していた(Webster 1789:408ff.) Franklin の 構 想 に 触 れた NW は その 十 数 年 後 紆 余 曲 折 を 経 てスペリング 改 革 に 着 手 していくことになる アメリカ 的 であることを 明 確 に 意 識 させる 方 法 として 綴 り 字 のアメリカ 化 というやり 方 は 可 視 化 されることである 種 のインパクトを 与 えるという 成 果 があったと 考 えることができるが NW が 採 ったアメリカ 式 の 統 一 的 書 記 法 と いう 目 標 は 最 初 からあったわけではなく そこに 至 るまでに 紆 余 曲 折 があった ことを 次 の NW 自 身 の 記 述 に 観 ることができる Dissertations の 序 言 によると それが 自 らの 発 案 ではなく 上 述 した Franklin のアイデアであったことが 見 え てくる I once believed that a reformation of our orthography would be unnecessary and impracticable. This opinion was hasty; being the result of a slight examination of the subject. I now believe with Dr. Franklin that such a reformation is practicable and highly necessary. (NW: Preface to Dissertations, xi) そして それに 呼 応 するかのように Dissertations の 末 尾 (p.407-410)には

- 38 -( 8 ) Franklin の 綴 り 字 改 変 のアイデアに 素 朴 に 反 論 する 英 国 女 性 からの Franklin あ ての 短 い 手 紙 と それに 対 する Franklin 自 身 の 返 信 が 掲 載 されている S で 始 まる 女 性 の 訴 える 3 つの 不 便 ( i. 語 源 とのつながりがあいまいになる ; ii. 異 義 語 同 士 と 類 音 語 同 士 の 区 別 ができなくなる ; iii. 古 典 が 読 めなくなる )に 反 論 する 手 紙 の 一 部 を 紹 介 する... The true question then is not, whether there will be no difficulties or inconveniences; but whether the difficulties may not surmounted; and whether the conveniences will not, on the whole, be greater than the inconveniences. In this case, the difficulties are only in the beginning of the practice; when once they are once overcome, the advantages are lasting. (Franklin 1768, in Dissertations,1789, p.408.) 個 別 の 反 論 に 加 えて 一 種 詭 弁 のようにも 見 えなくはなく 便 利 が 不 便 を 結 果 的 に 上 回 るという 長 期 的 視 点 に 着 目 して 綴 り 字 改 革 の 長 所 について 熱 弁 を 振 るっている さて NW がわざわざこの 手 紙 を 論 文 集 の 末 尾 に 加 えることは 自 分 の 恣 意 で はなく 独 立 宣 言 の 起 草 者 のひとりがすでに 21 年 も 前 に 提 唱 し みずからは 果 たすことのなかったアイデアであることを 示 し 権 威 付 けにも 利 用 したのだと 推 察 される Micklethewait(2000:98f)によると Franklin と NW のスペリング 会 改 革 に 関 する 書 簡 が 交 わされたのは 1786 年 である Franklin の 構 想 後 18 年 を 経 ていた 後 年 Compendious Dictionary(1806: p.vi)で Franklin の 提 案 に 対 して 消 極 的 である 理 由 が 詳 らかにされている 体 系 的 であっても 旧 来 の 書 記 法 に 染 まっ ている 人 々の 意 識 を 改 革 するにはよほどの 妙 案 か 公 的 な 議 決 か 政 府 のお 墨 付 き がない 限 りは 実 用 に 至 らないと 考 えていた In the 1786, Dr. Franklin proposed to me to prosecute his scheme of a Reformed Alphabet, and offered me his types for the purpose. I declined

Noah Webster の patriotism の 変 容 辞 書 の 編 纂 とナショナル アイデンティティの 創 造 ( 9 )- 39 - accepting his offer, on a full conviction of the utter impracticability, as well as inutility of the scheme. The orthography of our language might be rendered sufficiently regular, without a single new character, by means of a few trifling alterations of the present characters, and retrenching a few superfluous letters, the most of which are corruptions of the original words. 一 旦 は 否 定 したものの その 後 時 間 をかけて 構 想 した NW は 新 たな 具 体 的 提 案 1 を 1790 年 に A Collection of Essays and Fugitiv Writings の 中 で 行 なった 改 革 に 向 けての 新 たな 熱 意 を 示 した NW に 対 して Franklin は 当 然 のことな がら 自 らの 懸 案 だった 改 革 を 引 き 継 ぐ 意 を 同 じくする 同 志 であると 認 めた 上 で この 企 てに 同 意 と 賛 辞 を 呈 した Our Ideas are so nearly similar, that I make no doubt of our easily agreeing upon the Plan, and you may depend on the best Support I may be able to give it as a Part of your Institute...having as yet seen only part of it: I shall then be better able to recommend it as you desire. (Micklethewait 2000:99) この 記 述 の 背 景 については Scudder(1890)は NW 自 身 のことばも 引 用 して 以 下 のように 説 明 する すなわち NW より 50 歳 以 上 年 上 ながら 印 刷 用 のユ ニークな 文 字 まで 鋳 造 するほど 実 験 的 挑 戦 的 な Franklin が 想 像 以 上 に 保 守 的 な NW に 対 して 綴 り 字 改 革 の 必 要 性 を 説 き 改 革 の 継 承 を 強 く 要 望 したとい うエピソードが 発 端 となってようやく 実 現 したと 推 測 している しかしその 改 革 は Franklin が 構 想 していたものとはかなり 異 なるものとなった It is very likely that Webster's first impulse to reform our spelling was given by Dr. Franklin's writings on the subject. As is well known, that philosopher went so far as to devise new characters for compound letters 1 稲 村 松 雄 (1984: 107f.)

- 40 -(10) such as th, sh, ng, anticipating many of the later experiment in phonic writing. Webster entered with zeal into the notion, and held a correspondence with Franklin, in which the young man showed himself so /[p.191] ardent a disciple of the old as to win for himself a certain place as the doctor's residuary legatee in ideas. "This indefatigable gentleman," says Webster of Franklin, "amidst all his other employments, public and private, has compiled a Dictionary on his scheme of a reform, and procured types to be cast for printing it. He thinks himself too old to pursue the plan; but has honored me with the offer of the manuscript and types, and expressed a strong desire that I should undertake the task. Whether this project, so deeply interesting to this country, will ever be effected, or whether it will be defeated by indolence and prejudice, remains for my countrymen to determine." The last clause, with all its obscurity, may be taken as a threat rather than as a selfreproach. The entire correspondence between Webster and Franklin is interesting as setting forth a certain excess of experimenting ardor in Franklin and an unlooked-for degree of conservatism in Webster. Franklin was the older man, but he was the more daring. One should credit him, however, with a certain /[p.192] amount of humor in his whims. He played with the English language, somewhat as he amused himself with conferring legacies at compound interest, to take effect in two hundred years, and giving away gravely millions of money by the immediate planting of a few hundreds.(scudder 1890: 190-192) また 永 嶋 (1974)によれば 以 下 のように NW が 消 極 的 な 態 度 から 方 向 転 換 するのに 時 間 を 要 したことがわかる はじめウエブスターは 綴 り 字 改 革 には 興 味 を 持 たず かつて 熱 心 な 改 革 主 義 者 フランクリン から 協 力 を 求 められたときにも その 必 要 性 を 認 めず 要 請 に 応 じなかった Spelling Book の 初 期 の 版 にも 綴 り 字 改 革 が 試 みられていない...

Noah Webster の patriotism の 変 容 辞 書 の 編 纂 とナショナル アイデンティティの 創 造 (11)- 41 - しかしその 後 独 立 心 に 目 覚 めたウエブスターは 綴 字 問 題 についてフランクリ ンの 意 見 に 全 く 同 調 するようになり (Nagashima 1974:102) そしてようやく NW は Benjamin Franklin への 献 辞 をその 書 簡 交 換 の 3 年 後 1789 年 完 成 した Dissertations on the English Language の 冒 頭 に 記 すこと になった To his Excellency, Benjamin Franklin, Esq; LL.D. F.R.S. Late President of the Commonwealth of Pennsylvania, The following Dissertations Are most respectfully Inscribed, By His Excellency s Most obliged and most obedient Servant, The Author Dedications are usually designed to flatter the Great, to acknowledge their services, or court their favor and influence. But very different motives have led me to prefix the venerable name of Franklin to his publication./ Respect for his Excellency s talents and exertions, as a great Philosopher and a warm Patriot, I feel in common with all the lovers of science and freedom;... ---Noah Webster, 1789: Dissertations, p.a2 アメリカ 式 綴 りという 点 においては 辞 書 出 版 以 前 の 著 作 ( 例 えば 1800? 頃 の The American Spelling Book)には 後 述 するように( 付 録 a federal catechism p.25 など 参 照 ) candour, neighbour(s), honour などが 一 貫 して 使 用 されている ことに 奇 異 な 感 覚 を 覚 えるかもしれない しかし すでに 遡 って NW の 努 力 あって 初 めての 著 作 権 法 施 行 された 1790 (32 歳 )に 出 版 されたエッセー 集 のタ イトルは Collection of Essays and Fugitiv [sic.] Writings であった その 緒 言 の 冒 頭 には 以 下 のような 綴 り 字 に 関 する 実 験 的 試 みの 文 章 が 見 える The following Collection consists of Essays and Fugitiv Peeces, ritten at various times, and on different occasions, az wil apeer by their dates and

- 42 -(12) subjects. Many of them were dictated at the moment, by the impulse of impressions made by important political events, and abound with a correspondent warmth of expression. This freedom of language wil be excused by the frends of the revolution and of good guvernment, who wil recollect the sensations they have experienced, amidst the anarky and distraction which succeeded the cloze of the war. On such occasions a riter wil naturally giv himself up to hiz feelings, and hiz manner of riting wil flow from hiz manner of thinking....the reeder wil obzerv that the orthography of the volume iz not uniform. The reezon iz, that many of the essays hav been published before, in the common orthography, and it would hav been a laborious task to copy the whole, for the sake of changing the spelling. In the essays, ritten within the last yeer 2, a considerable changes of spelling iz introduced by way of experiment. This liberty waz taken by the writers before the age of queen Elizabeth, and to this we are indeted for the preference of modern spelling over that of Gower and Chaucer. The man who admits that the change of housebonde, mynde, ygone, moneth into husband, mind, gone, month, iz an improovment, must acknowledge also the riting of helth, breth, rong, tung, munth, to be an improovment. There iz no alternativ. Every possible reezon that could ever be offered for altering the spelling of wurds, stil exists in full force; and if a gradual reform should not be made in our language, it wil proov that we are less under the influence of reezon than our ancestors. (Webster 1790: preface)[ 太 字 と 下 線 は 解 説 のた めの 久 屋 による 変 更 ] 2 Preface の 日 付 が June,1790 であるので 前 年 は 1789 年 を 指 す. p.249 のエッセイ (Boston, March, 1789) 以 降 のものには preface で 試 みられている 実 験 的 綴 りが 用 いら れている それはこの 著 作 のおよそ 2/5 を 占 める

Noah Webster の patriotism の 変 容 辞 書 の 編 纂 とナショナル アイデンティティの 創 造 (13)- 43 - Ritten, riting, rite がある 一 方 で writers も 残 っているのはご 愛 嬌 であろうか observ, hav, proov, improov(ment) の final -e は made,were, are では 残 され will, still を wil, stil へと 変 更 しながら full はダブルでそのまま 使 用 されてお り indeted で 黙 字 b を 省 きながら would, should の 黙 字 l についてはそのま ま 残 している 体 系 性 が 十 分 に 考 慮 されていたとは 言 い 難 い 面 も 多 々 指 摘 でき よう 若 き NW の 意 気 込 みに 反 して 熱 情 絡 みの 一 貫 性 のなさが 全 体 的 を 通 し て 感 じられるのはいたしかたないであろうか さて ここに 見 られる 綴 り 字 改 革 に 関 する 提 案 に 対 する 世 間 の 否 定 的 評 価 圧 力 について Micklethwait(2000)はこう 述 べる: It might be said, indeed, that the very title of his book reflected the tentative nature of his reform: he chopped the e off Fugitiv, but left the W on Writing. / The experimental phonetic spelling in the Fugitiv Writings excited almost universal ridicule, and Webster didn t persist in any wholesale attempt to convert America. (Micklethwait 2000:103) Mencken(1949)も G. P. Krapp の 指 摘 に 関 連 して NW の 編 集 上 の 揺 らぎ について 以 下 のように 示 唆 している But, as Dr. George Philip Krapp points out in The English Language in America, Webster was above all practical, not a theoretical reformer, and in consequence he was slow himself to adopt the reforms he advocated. When in 1783, he published the first part of his Grammatical Institute 3 as the first edition of his famous The American Spelling Book, he used the orthodox English spelling of the time, and not only gave the our words their 3 *Institute は principle 原 則, 規 則, 慣 習 の 意 味. Webster による 定 義 : s.v. Institute 3. A book of elements or principles; particularly, a work containing the principles of the Roman Laws.

- 44 -(14) English ending, but even commended it. And so late as 1806, in the preface to his first dictionary, he tried somewhat disingenuously to dissociate himself from Franklin s scheme to reform the alphabet. Indeed, in all the editions of the Spelling Book printed before 1806 he avoided noticeable novelties in spelling, though after 1798 he noted, in his preface, his conviction that common sense and convenience would soon or late substitute public...for publick... But in his Dictionary of 1806, despite his coolness to Franklin s alphabet, he used Franklin s saying that those people spell best who do not know how to spell i.e., who spell phonetically as a springboard for a wholesale assault upon the authority of Johnson....Many of his innovations, of course, failed to take root, and in the course of time he abandoned some of them himself....in 1838, revising the American Dictionary, he abandoned a good many spellings that had appeared even in his 1828 edition...and they did not begin to disappear until the edition of 1854, issued by other hands and eleven years after his death. (Mencken 1949:382-84) 以 上 の 彼 の 一 連 の 著 作 活 動 を 観 察 する 限 り 上 述 したように 予 想 されるこ とではあったが 読 み 書 きにかかわる 保 守 性 に 由 来 する 世 の 中 の 批 判 思 想 的 に 敵 対 する 側 の 人 々からの 激 しい 反 論 4 などにより NW の 思 想 に 生 じた 揺 ら ぎ 変 容 に 想 いを 致 せば 自 然 に 理 解 できるところである 今 日 そうであるよ 4 Cf. Monaghan(1983:119): Yet even these attack were not as vicious as the one that appeared in the Aurora of Philadelphia (a violently anti-federalist publication)in 1800, which declared of Noah Webster that his spelling-book has done more injury in the common schools of the country than the genius of ignorance herself could have conceived a hope of, by his ridiculous attempts to alter the syllable division of words and to new model the spelling, by a capricious but utterly incompetent attempt of his own weak conception. The reasons Webster gave were preposterous, the editorial went on. The plain truth is...that he means to make money by the scheme.

Noah Webster の patriotism の 変 容 辞 書 の 編 纂 とナショナル アイデンティティの 創 造 (15)- 45 - うに あまたある 語 彙 の 中 のほんのわずかな 語 群 だけでも 米 国 風 として 受 け 入 れられれば 一 つの 目 標 を 実 現 したことになり それ 以 上 の 摩 擦 を 引 き 受 けて まで 抜 本 改 革 に 固 執 することがらではないと 思 われた NW にとって spelling の 改 変 はあくまでアメリカ 的 であることを 明 示 するひとつの 選 択 肢 にすぎない という 状 況 は 変 わらなかったように 思 われる 2 spelling についての 持 論 の 変 容 とその 背 景 Edwards(2012)は The American Spelling Book 出 版 の 背 景 に 関 連 して NW の 規 範 主 義 について 以 下 のように 述 べる Another facet of his [i.e. NW s] prescriptivism was driven by nationalist sentiments. Webster was a believer in the linkage between language and group identity... It [i.e. his task] was, rather, to take a shared language and provide it with American clothing, and his dictionary was meant as a contribution to the linguistic independence of the country.... His twin goals were for an American simplicity and directness (in opposition to the pedantic irregularities and corruptions found in Britain), and the establishment of indigenous linguistic foundations. (Edwards 2012:23) これは 一 般 に 受 け 入 れられている 考 えを 代 弁 したものであって NW のある 時 期 の 実 態 を 指 しているものではあるが 綴 り 字 に 注 目 すれば 1828 年 に 編 纂 さ れた 辞 書 は その 序 言 の 著 者 の( 英 国 離 脱 ) 宣 言 にもかかわらず 規 範 主 義 か ら 遠 ざかり 1790 年 に 提 案 した 抜 本 的 改 革 からはもとより 22 年 前 自 ら Compendious(1806)で 提 案 した 革 新 的 綴 り 字 (altho, determin, ile, ieland, fashon など)からさえ 後 退 させ 少 なくともスペリングにおいてアメリカニズ ムを 強 調 しなくなった 事 実 を 四 十 年 近 い 時 間 経 過 における 記 述 の 変 化 にみる ことができる もともとスペリング 改 良 に 関 心 をもたなかった NW は B. Franklin の 過 激 と も 思 われた スペリングを 現 用 発 音 に 合 わせる 5 べきだとの 持 論 (Dissertations,

- 46 -(16) pp.408-410 既 述 参 照 )に 対 して 否 定 的 であった NW のスペリング 改 革 への 態 度 が 変 容 していったのは イギリス 英 語 とは 異 なるアメリカ 英 語 のあり 方 が どうあるべきかを 模 索 していく 中 で ひとつの 手 段 として 徐 々に 彼 の 思 考 と 研 究 の 領 域 内 に 組 み 入 れられていったのだろう 一 端 決 意 をすると 彼 はより 体 系 的 に 結 果 として 実 用 に 耐 えるリストを 作 成 しようとするに 至 った (Dissertations I, appendix p.391ff.;also on orthography p.70ff.) それは Franklin が 提 案 したような 抜 本 的 な 改 革 ではなかったが 彼 なりの 改 革 を 提 案 したつもりであった NW が 1790 年 に 試 みた 綴 り 文 改 革 以 降 に 編 集 す ることになる 二 つの 辞 書 にその 痕 跡 がどのように 残 っているかを 確 認 してみよ う す な わ ち 1806 年 の Compendious Dictionary と 1828 年 の American Dictionary における 見 出 し 語 をいくつか 比 較 してみれば 以 下 のようである [ 見 出 し 語 比 較 に お い て は 語 頭 の み 大 文 字 が 1806 年 の Compendious Dictionary; すべて 大 文 字 の 見 出 しが 1828 年 American Dictionary] 1806 Altho or Although, a verb in the imperative mode undeclined, grant, allow, admit 1828 ALTHOUGH, altho, obs. verb, or used only in the Imperative.[all and though; from Sax. thah, or theah; ]Grant all this; be it so; allow all; suppose that; admit all that; 1806 Tho or Though, n. grant, admit, be it so 18028 THO, a contraction of though. [See Though] 1828 THOUGH, v.i. tho...[sax. theah; ]1. Grant; admit; allow. ----- 5 Mencken(1921:46)...eight years before the Declaration Franklin himself had invented a new American alphabet and drawn up a characteristically American scheme of spelling reform,,,this new alphabet included e s turned upside down and i s with their dots underneath. Di Amərikən languids, he argued, uil dəs bi az distinct az də gəvərnmənt, fri from aul foliz or ənfilosofikəl fasɔn. See also: http:// www.omniglot.com/writing/franklin.htm(for Benjamin Franklin's Phonetic Alphabet)

Noah Webster の patriotism の 変 容 辞 書 の 編 纂 とナショナル アイデンティティの 創 造 (17)- 47-1806 Determin, v.t. to resolve, decide, settle, conclude 1828 DETERMINE, v.t.[ ]1. To end.. ----- 1806 Medicin, n. physic, a remedy; v.t. to physic. 1828 MEDICINE, n.... ----- 1806 Doctrin, n. a precept, principle, act of teaching 1828 DOCTRINE, n.... ----- 1806 Ake, v.i. to be in continued pain. 1828 AKE, v.i. less properly written ache. AKE, n.... 1828 ACHE, v.i. ake.... ACHE, n. ake.... ----- 1806 Acre or Aker, n. 1828 ACRE, n. 1828 AKER, n. The most correct orthography is aker. ----- 1806 Neighbor, n. 1828 NEIGHBOR, NEHBOOR, n. ----- 1806 Feather or Fether 1828 FEATHER, FETHER 1806 Leather or Lether 1828 LEATHER, LETHER 1806 Lettice or Lettuce 1828 LETTUCE ----- 1806 Basin or Bason 1828 BASIN 1806 Build 1828 BUILD, BILD 1806 Bridegroom 1828 BRIDEGOOM; BRIDEGROOM ----- 1806 Ile, n. a walk or alley in a church, an ear of corn 1828 ILE, so written by Pope for aile, a walk or alley in a church or public building. [Not in use.] 1828 ISLE, ILE, n. [Fr. isle or ile, from It. isola, L. insula.]1. A tract of land surrounded by water 2. A passage in a church.[see Aisle.]

- 48 -(18) cf. 1828 AISLE or AILE, n. Pronounced Ile.[Fr. aile, a wing; L. ala.]the wing of a quire; a walk in a church. ----- 1806 Island, more correctly Ieland or iland, n. land surrounded by water, a large mass of floating ice. 1828 ISLAND, n....[this is an absurd compound of isle and land, that is, land-in-water land, or ieland-land. There is no such legitimate word in English, and it is found only in books. The genuine word always used in discourse is our native word, Sax. ealand, D.G. eiland] ----- 1806 Fashion, more correctly fashon, n. form, custom, mode, taste, sort, rank 1828 FASHION, n. [Fr. façon: from faire, to make; L. facio, facies.] ----- 1806 Tongue, or more correctly tung n. an organ of speech, language, point, what projects out. 1828 TONGUE, TUNG n. ---- 1806 Moveable, a. capable of being, moved, changeable 1828 MOVABLE, a.... 1806 Tameable, a. that may be tamed or brought under. 1828 TAMABLE, a.... altho/although のペアでは 1806 年 版 で 第 一 の 見 出 しであった 前 者 altho が 1828 年 版 では 削 除 され although が 残 り tho/though のペアでは 第 2 の 選 択 肢 が 1828 年 版 で 見 出 し 語 に 格 上 げされてはいるが あくまで 短 縮 形 として 挙 げて あるだけであり though を 中 心 とする 記 述 に 変 化 はない Ake(1806)に Ache (1828)が 追 加 された determin(e) などにおける final e については 黙 字 ゆえ に 省 かれた 改 革 案 が 1828 年 版 では 従 来 通 り 復 活 した island, fashion について は 1806 年 版 の 見 出 しのあとに 置 かれていた 選 択 肢 が 1828 年 版 では 削 除 され ている ile に 関 しては 1806 年 版 では 単 独 であったものが 1828 年 版 では isle

Noah Webster の patriotism の 変 容 辞 書 の 編 纂 とナショナル アイデンティティの 創 造 (19)- 49 - を 先 に ile を 後 に 添 えている 改 革 提 案 が 変 わらない 語 は tongue, tung だが それでも 改 革 案 tung は 後 におかれている fether, lether は feather, leather の 見 出 し 語 の 後 に 変 異 形 として 置 かれたが weather に wether の 変 異 形 は 提 案 さ れなかった 1806 年 の lettice, bason は 葬 られ 現 行 の lettuce, basin が 残 った 逆 行 する 数 少 ない 例 を 挙 げると まず 接 尾 辞 -able を 含 む 動 詞 派 形 容 詞 であ る 1806 年 の 改 革 案 (moveable, tameable)が 1828 年 の(movable, tamable) より 保 守 的 である 1806 年 にはない bild が 1828 年 には build の 変 異 形 として 付 け 加 えられた また bridegoom は 1806 年 には 提 案 されず 1828 年 に 初 めて 出 現 し より 重 要 な 見 出 しとして 定 義 などの 情 報 が 置 かれている bridegroom が 変 異 形 とみなされ bridegoom を 参 照 せよとある neighbor(1806)に 加 えて 新 たな 語 形 nehboor(1828)の 提 案 がある 旧 宗 主 国 の 社 会 体 制 を 批 判 する 信 条 からは 明 らかに 新 国 家 アメリカ 擁 護 の 理 念 的 立 場 をとるものの 英 国 スペリング 派 Worcester との 辞 書 論 争 6 という 試 練 を 経 て 辞 書 編 集 においては 英 米 の 先 鋭 的 な 差 異 化 にこだわらず ある 種 の 現 実 的 でアンビバレントな 態 度 に 路 線 変 更 したことが 窺 われる 結 果 として Algeo の 以 下 のようなコメントに 帰 着 することになる The titles of Webster s book reveal his ambivalence about the relations between the British and American languages. (Algeo 2001:62) いずれも 現 実 的 妥 協 の 産 物 のように 思 われるが 実 質 的 な 改 革 と 言 うには 微 々たる 変 化 でしかなかったと 結 論 付 けられよう そこでスペリングにおける 妥 協 の 代 わりに 使 命 のどのような 方 向 への 転 換 が 行 なわれたかを 考 えてみた い 6 MacArthur 1992:1102 参 照 : Public criticism of the innovations eventually led to the dictionary wars in which Joseph Emerson Worcester, who favoured BrE norms, led the opposition. Webster modified his stance in An American Dictionary of the English Language(1828, 1840)

- 50 -(20) 3 Webster の patriotism 7 綴 り 字 教 本 という 観 点 から 離 れて The American Spelling Book (1783)を 見 ると あらたな 発 見 がある Rollins(1980)によれば : The blue-backed speller was not just a dry series of school lessons: it was also a revolutionary broadside. Its rhetoric reflected Webster s personal life and revolutionary ideology. All of the themes of Webster s work---youth versus age, asceticism, cultural nationalism, enlightened reason and the perfectibility of man, and antiauthoritarianism---can be found amidst spelling instructions. (Rollins 1980: 35) 青 い 綴 字 本 は 単 なる 無 味 乾 燥 な 教 課 を 並 べてあるのではない それは 革 命 の 一 斉 射 撃 とも 言 える 説 得 力 ある 文 体 はウェブスターの 個 人 的 生 活 と 革 命 イデ オロギーを 反 映 していた ウェブスターの 著 作 のあらゆるテーマ --- 青 年 対 老 人 禁 欲 主 義 文 化 的 ナショナリズム 啓 蒙 化 された 理 性 人 間 の 完 全 性 そ れに 反 権 威 主 義 --- が 綴 り 字 の 指 導 の 中 に 見 出 せるのである ( 瀧 田 佳 子 訳 p.70) 以 下 に 原 文 の 一 部 を 引 用 して その 内 容 について 分 析 する 先 走 って 述 べる と そこでは 子 どもたちにスペリングを 語 彙 を 学 ばせると 同 時 に 生 きる ための 指 針 を 規 範 道 徳 聖 書 の 教 えに 重 ねて わかりやすく 説 いていること が 印 象 的 である 7 nation, national, nationality, nationalize は 誕 生 しており NW 自 身 もその 辞 書 に 取 り 上 げ た が nationalism は 登 場 せ ず patriotism が 普 通 で あ っ た OED に よ る と patriotism の 初 出 例 は 1726 である(patriot は 1605) 1726 Bailey(ed. 3), Patriotism, the acting like a Father to his Country, public Spiritedness. 一 方 nationalism の 出 現 は 19 世 紀 中 葉 である (2.2 Devotion to one's nation; national aspiration; a policy of national independence. 1844 Fraser's Mag. XXX. 418/1 Nationalism is another word for egotism. 1853 J. H. Newman Hist. Sk.(1873)II. i. iv. 203 Mahometanism is essentially a consecration of the principle of nationalism. 1880 F. G. Lee Ch. under Q. Eliz. I. 164 It was only by persecution that the new system of nationalism in religion could be maintained.

Noah Webster の patriotism の 変 容 辞 書 の 編 纂 とナショナル アイデンティティの 創 造 (21)- 51 - TABLE XIII. Lessons of easy Words, to teach Children to read, and to know their Duty. LESSON I. No man may put off the law of God. My joy is in his law all the day. O may I not go in the way of sin. Let me not go in the way of ill men. [p. 53] II. A bad man is a foe to the law. It is his joy to do ill. All men go out of the way. Who can say he has no sin? III. The way of man is ill. My son, do as you are bid. But if you are bid, do no ill. See not my sin, and let me not go to the pit. IV. Rest in the Lord, and mind his word. My son, hold fast the law that is good. You must not tell a lie, nor do hurt. We must let no man hurt us. V. Do as well as you can, and do no harm. Mark the man that doth well, and do so too. Help such as want help, and be kind. Let your sins past, put you in mind to mend. VI. I will not walk with bad men; that I may not be cast off with them. I will love the law and keep it. I will walk with the just and do good. VII. This life is not long, but the life to come has no end. We must pray for them that hate us. We must love them that love not us. We must do as we like to be done to. VIII. A bad life will make a bad end. He must live well that would die well. He doth live ill that doth not mend. [p. 54]In time to come we must do no ill. IX. No man can say that he has done no ill. For all men have gone out of the way. There is none that doth good: no, not one. If I have done harm, I must do it no more. X. Sin will lead us to pain and woe. Love that which is good and shun vice. Hate no man, but love both friends and foes. A bad man can take no rest day nor night. XI. He that came to save us will wash us from all sin; I will be glad in his name. A good boy will do all that is just; he will flee from vice; he will do good, and walk in the way of life. Love not the world, nor the things that are in the world; for they are sin. I will not fear what flesh can do to me; for my trust is in him who made the world. He is nigh to them that pray to him, and praise his name. XII. Be a good child: mind your book; love your school, and strive to learn. Tell no tales; call no ill names; you must not lie, nor swear, nor cheat, nor steal. Play not with bad boys; use no ill words at play; spend your time well; live in peace; and shun all strife.

- 52 -(22) This is the way to make good men love you, and save your soul from pai[n] and woe. XIII. [p. 55]A good child will not lie, swear nor steal. He will be good at home, and ask to read his book, when he gets up, he will wash his hands and face clean; he will comb his hair, and make haste to school; he will not play by the way, as bad boys do. XIV. When good boys and girls are at school, they will mind their books, and try to learn to spell and read well, and not play in time of school. When they are at church, they will sit, kneel or stand still; and when they are at home, will read some good book, that God may bless them. XV. As for those boys and girls that mind not their books, and love not church and school, but play with such as tell tales, tell lies, curse, swear and steal they will come to some bad end, and must be whipt till they mend their ways. (The American Spelling Book, orig.1783 [Wilmington: Bonsal & Niles, 1800?: pp.52-55]) 冒 頭 の( 教 師 用 ) 指 示 to teach Children to read, and to know their Duty を はじめとして Lord, God, the law of God, sin, vice が 頻 繁 に 登 場 する 内 容 への こだわりはこれがただの 言 語 教 授 の 教 科 書 でないことを 明 確 に 物 語 る スペリ ングブックは 綴 り 字 を 教 えるだけでなく 発 音 語 彙 そして 新 出 語 彙 を 駆 使 したリーダー( 読 本 )によって Webster の 想 い 描 く 教 育 内 容 をじわじわと 着 実 に 子 どもたちの 心 に 刷 り 込 むように 構 成 されている それゆえに 教 育 の 場 で アメリカ 社 会 の 礎 となる 次 世 代 の 若 者 未 だ 生 まれない 新 たな 世 界 実 現 の 旗 ふり 役 となる 次 世 代 の 人 々に 愛 国 的 資 質 を 育 成 する 直 接 的 で 有 効 な 手 段 と なるであろうと NW が 考 えたことは 想 像 に 難 くない NW の 愛 国 心 が 本 格 的 に 理 論 的 装 いをして 明 示 的 に 姿 を 現 すと 実 感 される のは 後 に 改 題 されてそう 呼 ばれることになる The American Spelling Book 発 行 の 6 年 後 1789 年 NW31 歳 の 時 に 公 表 された 論 文 (Dissertations on the English Language)においてである 綴 りにおいても 英 国 式 からアメリカ 式 へ の 変 化 を 見 ることができる この 辺 りのことを Moss は 以 下 のように 伝 えてい る As a young man in the 1780s, Webster was excited about the American

Noah Webster の patriotism の 変 容 辞 書 の 編 纂 とナショナル アイデンティティの 創 造 (23)- 53 - Revolution and the possibility that changes in politics would lead to changes in cultural affairs. He also desperately wanted to make a place for himself in the new republic as a man of authority and influence. He wrote on politics and education, seeking a voice for himself in the public debate over what America should do with her newly won freedom. He also quite naturally began to think about language and its role in revolutionary America. His schoolbooks called for an American language as free from European control as possible. Soon he began lecturing on language to groups in various American cities, propounding on fundamental principle: reject English authorities, speak and write American English. (Moss 1984: 92f.) 20 世 紀 後 半 (1961 年 )に NW の 辞 書 を 改 訂 し その 編 集 方 針 に 対 して 未 曾 有 の 毀 誉 褒 貶 を 被 ることになった 第 三 版 (Webster's Third New International Dictionary of the English Language, Unabridged.)の 編 集 長 Gove の 手 になる と 思 われる NW の 生 涯 を 簡 潔 にまとめたものが この 辞 書 の 最 終 ページ( 数 字 印 刷 なし)に 載 っている Gove が 立 ち 返 り その 遺 志 を 受 け 継 ぐことを 引 き 継 ぐ 決 意 をさりげなくも 決 然 と 示 しているように 推 測 されるものこそ NW の 初 心 民 族 文 化 的 使 命 を 帯 びたアメリカの 政 治 的 実 験 の 擁 護 者 であり 解 釈 者 で あるという 姿 勢 であると 解 される Out of patriotism and nationalism inspired by this sweep of events came the conviction that lusty young America needed its own school books, its own uniform language, and its own intellectual life. Into the attainment of these ends Webster flung himself with insatiable curiosity and indomitable energy His dictionaries(compendious 1806; American, 1828) were suggested partly by his resentment against this ignorance concerning American institutions shown in contemporary British dictionaries. All his life he was a defender and interpreter of the American political experiment, with all its cultural implications. [ 下 線 部 筆 者 ]

- 54 -(24) NW の 考 え 方 を cultural nationalism という 表 現 で Rollins(1980) 同 様 に 記 述 しているのは Yazawa(2004)である Not surprisingly, especially in view of his patriotic programme of education, Webster was an ardent supporter of the proposed constitution in 1787 8. Cultural nationalism and constitutional unionism were two sides of the same coin for Webster. [ ]A more perfect union bolstered by a common American language was the surest basis for national greatness[ 下 線 部 筆 者 ] それは NW の 中 で 成 立 したばかりの 憲 法 の 趣 旨 に 賛 同 するアメリカ 統 一 ( 連 邦 ) 主 義 (constitutional unionism) 8 が 文 化 的 国 家 主 義 と 表 裏 一 体 不 即 不 離 なものと 意 識 されていたことを 示 していると 述 べ さらに Yazawa (2004)は 続 けてこうも 述 べる : Convinced now more than ever that the bonds of national affection were contingent upon a uniformity of language (N. Webster, Dissertations on the English Language, 1789), he redoubled his efforts at eliminating regional variations of spelling and pronunciation.[ ] New circumstances, new modes of life, new laws, new ideas give rise to new words, Webster announced in an advance advertisement of his work;[ ]By differentiating between American and English usages, including colloquial and idiomatic expressions that were peculiarly American, and incorporating lessons on morality and patriotism into its definitions, the dictionary also advanced Webster's idea of weaning Americans away from British authorities.[ 下 線 部 とイタリックは 筆 者 ] 8 合 衆 国 憲 法 を 容 認 する 連 邦 派 (federalists, nationalists)の 主 張 する 連 邦 主 義 に 対 して 反 連 邦 派 (anti-federalists)の 州 立 主 義 を 基 本 とする 立 場 も 当 時 併 存 してい た

Noah Webster の patriotism の 変 容 辞 書 の 編 纂 とナショナル アイデンティティの 創 造 (25)- 55 - 国 民 としての 一 体 感 言 い 換 えれば 国 家 愛 による 結 びつき (bonds of national affection)は ( 地 域 的 変 異 形 を 捨 象 した) 統 一 的 言 語 に 負 うところが 大 きく それゆえに 英 国 の 権 威 から 米 国 人 をいち 早 く 乳 離 れさせる( weaning Americans away )ことの 重 要 性 に 鑑 み 辞 書 編 纂 をめざしたと 考 えている 一 方 McArthur(1992:1102)のような 冷 めた 捉 え 方 もある 彼 は NW につい て 以 下 のように 述 べている Webster also wrote essays on educational reform. His Letters to a Young Gentleman Commencing His Education(1802)shows his desire to delight and allure students by emphasizing science and reason rather than philosophy and religion Webster modified his stance in An American Dictionary of the English Language(1828, 1840), and considered its etymologies to be the most important aspect of his work. He adhered to the Biblical account of the origin of languages, claiming that all languages derived from Chaldee. The inclusion of technical terms and attempt at precision in definitions distinguished this dictionary, but few Americanisms were included. [ ] He was most concerned about superfluous letters and indeterminate sounds and characters. 教 育 に 関 して 科 学 理 性 に 基 づくべきであると 言 う 一 方 で 自 らは 言 語 の 聖 書 起 源 を 信 じて 語 のルーツを 科 学 的 根 拠 のない 世 界 共 通 語 Chaldee (カ ルディア)に 求 めようとし 国 家 のちがいを 言 語 の 皮 相 的 な 側 面 すなわち 綴 り 字 など 字 面 へのこだわりに 矮 小 化 し 象 徴 化 している 点 が 見 える と 言 う てっとりばやく 外 形 的 に 差 別 化 を 計 る 手 段 として 綴 り 字 に 変 更 を 加 えるこ とで イギリス 英 語 との 違 いを 浮 き 彫 りにし それらを 梃 子 にして 将 来 国 家 を 支 えることになる 子 どもに 国 家 アイデンティティ 思 想 を 注 入 し その 価 値 を 内 面 化 させようと 企 てたと 推 測 する しかし そのように 単 純 に 結 論 づけるこ とは 的 を 射 ていない

- 56 -(26) Romaine(1998:9-10)は Webster(1789)の 誇 張 的 表 現 を 引 用 して こう 記 述 する :...it was not long after political separation that Noah Webster(1758-1843) declared linguistic independence (1789:20): As an independent nation our honour[sic.] 9 requires us to have a system of our own, in language as well as government. Great Britain, whose children we are, and whose language we speak, should no longer be our standard. For the taste of her writers is already corrupted, and her language is on the decline. But if it were not so, she is at too great a distance to be our model and to instruct us in the principles of our language. While nothing in this text is indexical of a variety which was already on its way to becoming distinct from British English, it was Webster who did much to alter spelling and propel the American variety on a different course... [...]Webster sought no less than to validate linguistically the creation of a new nation and national identity in his belief that a national language is a band of national union. Over time, America s linguistic independence made itself felt on the development of the English language as a whole. すでに 腐 食 し( corrupted ), 衰 弱 しつつある( on the decline ) 存 在 として の 母 なる 英 語 という 隠 喩 と 誇 張 に 政 治 的 独 立 に 伴 う 言 語 的 独 立 あるいは 政 治 的 独 立 を 支 える 言 語 的 独 立 を 説 く NW の 特 質 を 見 ている 愛 国 魂 の 持 ち 主 として NW を 高 く 評 価 するのはアメリカ 英 語 の 研 究 者 で ジャーナリスト 批 評 家 の Henry Louis Mencken(1880-1956)である 彼 は 自 らの 著 作 (Mencken 1919/1949)の 第 1 章 の The Two Streams of English 9 NW 自 身 もこの 時 期 にはアメリカ 式 に honor と 記 しているにもかかわらず Romaine がなぜか honour と 誤 って 英 国 綴 りを 引 用 したものに 関 するコメントは ちぐはぐである

Noah Webster の patriotism の 変 容 辞 書 の 編 纂 とナショナル アイデンティティの 創 造 (27)- 57 - 第 2 章 第 2 節 What Is an Americanism において(1919: p.6ff./103) John Witherspoon(1723-1794) と NW に 度 々 言 及 し て い る Witherspoon は Americanism 10 という 語 (1781 に 出 現 )を 創 作 した 18 世 紀 アメリカ 独 立 前 後 に 10 OED の 記 述 に 拠 ってもそのことが 確 かめられる 3. アメリカ 語 法 の 初 出 例 (1781 年 Witherspoon 参 照 )に 続 いて 1. アメリカへの 愛 着 2 アメリカ 的 特 質 の 用 法 が 広 がったことに 注 目 したい s.v. Americanism(ə'mɛrIkə, niz(ə)m)[f. American a. and n. + -ism.] 1. Attachment to, or political sympathy with, the United States. 1797 Jefferson Let. 24 June in Wks.(1854)IV. 190 The dictates of reason and pure Americanism.1808 Writ.(1830)IV. 114, I knew your Americanism too well. 1853 M. Howitt tr. Bremer's Homes N. World I. 160 What constitutes noble republicanism and Americanism. 1861 H. Kingsley Ravenshoe xlii, The leaven of Americanism and European Radicalism. 2. Any thing peculiar to, or characteristic of, the United States. 1833 Edin. Rev. LVII. 451 The existence of some peculiar Americanism of character, and even language. 1870 Emerson Soc. & Sol. ii. 232, I hate this shallow Americanism which hopes to get rich by credit. 1893 Nation(N.Y.)2 Feb. 75/1 The spread of American influence and domination abroad, known as Americanism. 1926 D. H. Lawrence Plumed Serp. ii. 46 Americanism is the worst of the two, because Bolshevism only smashes your house or your business or your skull, but Americanism smashes your soul. 1966 Listener 3 Nov. 644/2 There is already a generation of Englishmen who think of tinned beer as a normal part of life, and not any longer as a hideous Americanism. 3. esp. A word or phrase peculiar to, or extending from, the United States; (the common, and app. earliest, use of the word in Great Britain.) 1781 Witherspoon in Pennsylvania Jrnl. No. 1391. 1/2 The first class I call Americanisms, by which I understand an use of phrases or terms, or a construction of sentences, even among persons of rank and education, different from the use of the same terms or phrases, or the construction of similar sentences, in Great Britain. The word Americanism, which I have coined for the purpose, is exactly similar in its formation and signification to the word Scotticism. 1826 Miss Mitford Our Village Ser. ii.(1863) 352 Society has been progressing (if I may borrow that expressive Americanism)at a very rapid rate. 1833 Gen. P. Thompson Exerc. (1842)III. 470 There are many Americanisms which in the course of time will work their way into the language of England. 1891 Daily News 26 June 5/2 Americanisms are modes of expression which vary from the standard of good English, and which are either peculiar to America, or chiefly prevalent there. 1936 Mencken Amer. Lang. (ed. 4)i. i. 12 The period from the gathering of the Revolution to the turn of the century was one

- 58 -(28) 広 く 活 躍 したスコットランド 出 身 の 牧 師 で 独 立 前 1768 年 に 招 かれアメリカに 移 住 した 教 育 者 ( 後 世 プリンストン 大 学 となる NJ 大 学 の 教 授 および 第 6 代 学 長 職 に 就 き また 大 陸 会 議 NJ 代 表 としてアメリカ 独 立 宣 言 に 署 名 した)として 知 られる 人 物 で もうひとりが 縷 々 論 じてきた 愛 国 的 教 育 者 NW である NW が 1828 年 に 出 版 した An American Dictionary of the English Language の 序 文 には よく 知 られた 以 下 の 文 章 が 綴 られている (その 一 部 下 線 部 参 照 は Mencken(1919 :103)によっても 引 用 されている ) It is not only important, but, in a degree necessary, that the people of this country, should have an American Dictionary of the English Language; for, although the body of the language is the same as in England, and it is desirable to perpetuate that sameness, yet some differences must exist. Language is the expression of ideas; and if the people of one country cannot preserve an identity of ideas they cannot retain an identity of language. Now, an identity of ideas depends materially upon the sameness of things or objects with which the people of the two countries are conversant. But in no two portions of the earth, remote from each other, can such identity be found. Even physical objects must be different. But the principal differences between the people of this country and of all others, arise from different forms of government, different laws, institutions and customs.[1828: American Dictionary 序 文 ( 下 線 およびイタリックスは 筆 者 )] of immense activity in the concoction and launching of new Americanisms, and more of them came into the language than at any time between the earliest colonial days and the rush to the West. 1955 Times 6 June 7/4, I suspect that Mr. Mayor is an Americanism and as applied to females it is obviously incorrect. 11 OED による 初 出 例 は 1638 年 であり, personal identity という 形 では 1690 年 に 出 現 する. Identity 2.a The sameness of a person or thing at all times or in all circumstances; the condition or fact that a person or thing is itself and not something else; individuality, personality.

Noah Webster の patriotism の 変 容 辞 書 の 編 纂 とナショナル アイデンティティの 創 造 (29)- 59 - ここでは 言 語 との 関 連 で identity 11 という 語 が 使 用 され 各 民 族 と 言 語 的 identity の 深 いかかわりがすでに 認 識 されている 民 族 の 独 立 とは 言 語 を 含 む 文 化 的 自 立 を 意 味 するものであると 控 えめながら 宣 言 している NW はさらにこうも 述 べる I may go farther, and affirm, with truth, that our country has produced some of the best models of composition. The United States commenced their existence under circumstances wholly novel and unexampled in the history of nation. They commenced with civilization, with learning, with science, with constitutions of free government, and with that best gift of God to man, the Christian religion. Their population is now equal to that of England; in arts and sciences, our citizens are very little behind the most enlightened people on earth; in some respects, they have no superiors; and our language, within two centuries, will be spoken by more people in this country, than any other language on earth, except the Chinese, in Asia, and even that may not be an exception. [1828: American Dictionary 下 線 およびイタリックスは 筆 者 ] personal identity(in Psychology), the condition or fact of remaining the same person throughout the various phases of existence; continuity of the personality. 1638 Rawley tr. Bacon's Life & Death 5 The Duration of Bodies is Twofold; One in Identity, or the selfe-same Substance; the other by a Renovation or Reparation. 1690 Locke Hum. Und. ii. xxvii. 6 The Identity of the same Man consists in nothing but a participation of the same continued Life, by constantly fleeting Particles of Matter, in succession vitally united to the same organized Body. Ibid. 9 Consciousness always accompanies thinking, in this alone consists personal Identity, i.e. the Sameness of a rational Being. 1739 Hume Hum. Nat. i. v. (1874)I. 323 Of all relations the most universal is that of identity, being common to every being whose existence has any duration. 1820 W. Irving Sketch Bk. I. 85 He doubted his own identity, and whether he was himself or another man. 1832 G. Downes Lett. Cont. Countries I. 469 The fair city almost forfeits its identity, when disguised in a misty and murky atmosphere. 1885 E. Garrett At Any Cost v. 89 Tom had such a curious feeling of having lost his identity, that he wanted to reassure himself by the sight of his little belongings.

- 60 -(30) 序 文 の 前 半 の 抑 制 された 学 術 的 な 部 分 に 比 べて 交 響 曲 の 第 4 楽 章 のごとく 昂 揚 した 調 子 で 語 られていく 後 半 部 にはキリスト 教 を 底 流 にした NW の 揺 るぎ ない 思 想 的 バックボーンが 明 確 に 姿 を 表 してくるようすが 読 み 取 れる アメリ カという 国 の 成 立 事 情 にも 触 れて 文 明 科 学 政 府 宗 教 において アメリ カ 国 民 が 英 国 民 にひけをとらないどころか 英 国 民 よりすでに 卓 越 した 部 分 さ え 持 ち 始 めており 将 来 的 に 二 世 紀 以 内 には 自 分 たちの 英 語 こそ 人 口 的 にも 中 国 についで 頂 点 に 立 つ 可 能 性 を 予 言 あるいは 宣 言 している とはいえ その 表 明 は 総 論 的 であり かつ 希 望 的 観 測 が 含 まれ 現 実 との 乖 離 を 感 じずにはいら れない 理 念 に 突 き 動 かされていることがわかる この 伏 線 は 実 はすでに 1789 年 に 遡 って 発 見 することができる As an independent nation, our honor requires us to have a system of our own, in language as well as in government. Great Britain, whose children we are, and whose language we speak, should no longer be our standard; for the taste of her writers is already corrupted, and her language on the decline. But if it were not so, she is at too great a distance to be our model, and to instruct us in the principles of our own tongue. (Webster 1789: Dissertations, 20-21; also partly quoted in Algeo 2001: 62 & Boulton 1971: 25; Nagashima 1974:101; Romaine1998:9-10)[ 下 線 筆 者 ] ここでは our own という 前 置 形 容 語 句 によって アメリカの 言 語 の 独 自 性 が 力 説 される 地 理 的 にも 遠 すぎて 政 治 的 コントロールも 及 ばないことにも 言 及 さ れる あるいは 以 下 の 説 明 : there are more important reasons, why the language of this country should be reduced to such fixed principles, as may give its pronunciation and construction all the certainty and uniformity which any living tongue is capable of receiving. A sameness of pronunciation is of considerable consequence in a political