はじめに 本 稿 は Web2.0 と 呼 ばれる Web 技 術 の 新 しい 概 念 が 企 業 にどのような 影 響 を 与 えているかを 概 観 し 企 業 のインターネット 活 用 の 未 来 について 考 える 電 子 メールや 社 内 コミュニティの 利 用 現 状 から 概 観 するに 企 業 は インターネットが 起 こし た 変 革 の 波 に もっと 乗 って 行 くべきであり その 変 革 のキーとなるものが エンタープライズ 2.0 である 本 稿 は この 概 念 をもとに 新 しい 企 業 のかたちを 読 み 解 く 本 稿 の 構 成 は 以 下 の 通 りである まず 第 1 章 では エンタープライズ 2.0 についてまとめる 続 く 第 2 章 では エンタープライズ 2.0 の 存 在 意 義 について 考 察 する 第 3 章 では エンタープ ライズ 2.0 が 抱 える 課 題 を 分 析 する 第 4 章 では エンタープライズ 2.0 の 事 例 を 上 げて 説 明 す る 最 終 章 では エンタープライズ 2.0 は 組 織 や 企 業 にどう 影 響 するかをまとめて 今 後 の 展 望 に ついて 述 べたい 1. エンタープライズ 2.0 の 概 念 と 由 来 エンタープライズ 2.0 という 言 葉 が 意 味 するものは 何 だろうか まず エンタープライズ (Enterprise)には 企 業 という 意 味 があり また 最 後 の 2.0 は Web2.0 の 技 術 と 理 解 し て 良 い よって エンタープライズ 2.0 とは Web2.0 を 基 盤 として 企 業 の 運 営 や 管 理 に 役 割 を 果 たすものと 言 える 本 章 では 基 盤 としての Web2.0 を まず 紹 介 していきたい 1.1 Web2.0 (1)Web2.0 とは Web2.0 とは ウェブの 新 しい 利 用 法 を 表 す 言 葉 であり ティム オライリーによって 最 初 に 提 唱 された 2005 年 頃 に 新 しい IT 系 のキーワードとしてよく 使 われるようになり 約 2 年 間 で 一 般 にも 広 がって 行 った (2)Web2.0 と 従 来 の Web(Web1.0)との 相 違 点 Web2.0 と 同 様 に 明 確 な 定 義 はないが 従 来 の Web を Web2.0 の 前 身 として Web1.0 と 呼 ぶ Web1.0 は TV 新 聞 ラジオ そして 雑 誌 に 次 ぐ 第 5 のメディアとして 扱 われており それらと 同 じ ように 一 方 通 行 の 情 報 通 信 手 段 であった Web2.0 では Web 上 のサービスが 双 方 向 性 という 特 徴 を 持 つ 利 用 者 参 加 型 メディアとなり 利 用 者 は より 重 要 な 位 置 づけになっている 代 表 的 なものは ブログとネットコミュニティで ある 2
(3)Web2.0 の 特 徴 Web2.0 を 最 初 に 提 唱 したティム オライリーの 論 文 What is Web2.0 によれば Web2.0 を 特 徴 付 けているのは 以 下 のような 事 項 である a.ユーザ 自 身 の 情 報 発 信 の 進 展 b. 性 善 説 c.ユーザからの 評 価 d.ロングテール e.リッチなユーザ 経 験 f.ユーザの 手 による 情 報 整 理 1.2 クラウドコンピューティング クラウドコンピューティングとは ネットワーク 上 で 利 用 するサーバ 群 を ユーザが 特 別 に 意 識 しないで 使 う 形 態 を 指 している 事 例 を 二 つ 紹 介 する a) マイポケット マイポケットはNTTコミュニケーションズが 個 人 向 けに 作 り 出 しているクラウドサービスで 特 徴 は 低 料 金 ( 月 額 315 円 )で 大 容 量 (64G)のサーバ 保 存 領 域 を 使 えることである b)クラウド 会 計 ソフト freee (フリー) 個 人 事 業 やスタートしたばかりの 中 小 企 業 にとって 会 計 は 非 常 に 重 要 で 不 可 欠 なものであり 直 接 事 業 や 会 社 の 存 続 に 関 わるものである そうした 企 業 の 会 計 上 の 問 題 を 解 決 するクラウド 上 のサービスに freee 株 式 会 社 が 提 供 しているクラウド 会 計 ソフト freee (フリー) がある 1.3 SNS SNS は Web2.0 の 機 能 の 一 番 代 表 的 なもので エンタープライズ 2.0 を 構 成 する 一 つの 要 素 であ る SNS は ソーシャルネットワーキングサービス(Social Networking Service)と 言 い 人 と 人 との 間 で リアルタイムに お 互 いの 現 状 を 伝 えたり 写 真 を 見 せたり コミュニケーション を 取 ったりするツールの 総 称 である 1.4 Wiki Wiki とは 誰 もが 自 由 に Web 上 に 書 き 込 んだり 編 集 したりすることが 可 能 なツールやサイト 3
のことで 有 名 なものに Wikipedia がある グローバル 的 な 集 合 知 を 作 るだけではなく 企 業 や 組 織 内 部 も Wiki ツールを 用 いて 知 識 の 共 有 や 共 同 で 話 題 を 取 り 上 げて 解 決 することができる 1.5 エンタープライズ 2.0 ここまで エンタープライズ 2.0 の 基 盤 となる 構 成 要 素 について 説 明 した 次 に エンタープ ライズ 2.0 自 体 について 説 明 する エンタープライズ 2.0 とは 企 業 における 知 識 の 創 造 共 有 活 用 洗 練 などを 支 援 すること を 目 的 として Web 2.0 の 概 念 や 技 術 を 取 り 入 れて 作 られた 情 報 系 アプリケーション あるいは ソフトウェア プラットフォームのことである また 中 小 規 模 の 企 業 においては SNS やクラ ウドサービスなどの Web2.0 を 基 盤 にした 個 人 向 けサービスを ビジネス 用 途 に 使 ったりもする 2. エンタープライズ 2.0 の 存 在 価 値 内 閣 府 調 査 によって ソーシャルメディアや その 技 術 の 根 幹 となる Web2.0 の 普 及 は インタ ーネットやスマートフォンの 普 及 を 促 進 し その 普 及 率 高 いほどエンタープライズ 2.0 の 存 在 価 値 が 高 くなるのを 説 明 する 2.1 インターネットと 端 末 の 普 及 内 閣 府 ( 旧 経 企 庁 )の 調 査 と 単 身 者 を 含 む 総 務 省 ( 旧 郵 政 省 )の 調 査 とがある 前 者 の 内 閣 府 調 査 によってインターネットと 端 末 の 普 及 率 を 説 明 する 2.2 SNS とクラウドコンピューティング 利 用 者 の 増 加 SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)は 通 常 無 料 のコミュニケーションツールとし て 普 及 しており Facebook を 筆 頭 として その 利 用 者 が 急 増 している 日 経 BPコンサルティン グのデータを 使 って 説 明 する 3. エンタープライズ 2.0 のメリットと 抱 える 問 題 本 章 では まずエンタープライズ 2.0 のメリットについて 述 べる 次 に それが 抱 える 問 題 点 についてまとめる 4
3.1 エンタープライズ 2.0 のメリット (1)コミュニティ 構 成 ( 集 合 知 ) (2)グローバルギャップの 乗 り 越 え (3)ERP による 一 元 管 理 (4)Saas Paas ASP によるソフトウェアコストの 削 減 通 信 コストの 削 減 3.2 抱 えている 問 題 点 (1)セキュリティ 社 内 機 密 情 報 の 流 失 (2)インターネットの 基 盤 が 崩 れることによるリスク 4. エンタープライズ 2.0 の 事 例 紹 介 最 近 エンタープライズ 2.0 サービスを 提 供 する 企 業 はたくさん 出 て 来 ているが ここでは Google 社 の Google Apps(グーグルアップス) サービスを 代 表 的 な 例 として 紹 介 したい 4.1 Google Apps の 内 容 Gmail Google カレンダー(Google Calendar) Google ドライブ(Google Drive) Google ドキュメント(Google Docs) Google グループ(Google Groups) Google サイト(Google Sites) Google トーク(Google Talk) 管 理 コンソール 4.2 Google Apps を 利 用 した 場 合 のコスト 削 減 例 Google Apps を 使 わないと 使 う 場 合 の 費 用 の 比 較 でクラウドコンピューティングの 最 大 のメリ ットを 説 明 する 5. まとめにかえて 5
この 最 終 章 では 企 業 が その 運 営 に Enterprise 2.0 を 成 功 裏 に 適 用 させるに 際 して 必 要 な 課 題 を 述 べて 全 体 のまとめと 今 後 の 展 望 としたい 5.1 自 己 変 革 型 組 織 に 向 けた 企 業 革 新 IT の 力 を 活 用 して 人 と 人 人 と 情 報 を 最 適 につなぎ 現 場 が 環 境 に 合 わせて 自 律 的 に 変 革 を 進 めていく 組 織 を 自 己 変 革 型 組 織 と 呼 ぼう この 自 己 変 革 型 組 織 への 革 新 こそが エンタープライ ズ 2.0 を 用 いる 企 業 が 目 指 す 方 向 性 に 他 ならない 環 境 が 瞬 時 に 変 化 する 今 日 の 企 業 競 争 環 境 で は そのスピードについていける 企 業 だけが 生 き 残 る 5.2 個 人 から 企 業 へ コンシューマライゼーション より 便 利 に 効 率 的 な 生 活 を 送 るには ICT の 力 を 十 分 発 揮 させないといけないだろうし そ れに 応 じて 企 業 組 織 も 変 革 しなければならない 個 人 のソーシャルメディアの 利 用 が 企 業 内 での 活 用 に 結 びつく 流 れをコンシューマライゼーションと 呼 ぶ このコンシューマライゼーションの 力 を 利 用 することは Enterprise2.0 を 活 用 する 企 業 の 大 きな 課 題 である 5.3 大 手 企 業 から 中 小 企 業 へ 日 本 の 大 手 企 業 は 約 1.2 万 社 で 中 小 企 業 は 420 万 社 ほどある 情 報 化 がまだ 進 んでいない 中 小 企 業 はたくさん 存 在 するだろう したがって エンタープライズ 2.0 の 潜 在 市 場 は 大 きく イン ターネット 基 盤 の 完 熟 や ICT 技 術 の 発 達 によって まだまだ 企 業 の 情 報 化 は 進 んでいくであろう 6