プロジェクトマネジメント 国 際 標 準 化 フォーラム2012 WG1( 用 語 作 業 部 会 ) 総 括 2012 年 11 月 28 日 冨 永 章
コスタリカ オースト ラリア 南 アフリカ アルゼ ンチン WG1の 検 討 風 景 カメ ルー ン コンビナー ( 米 国 ) フランス セクレタリ 米 国 ノル ウェイ 日 本 最 終 回 のパリ 会 議 2012.2.1@AFNOR 少 人 数 の 部 会 で 活 発 な 討 議 撮 影 者 :Angelo Valle(ブラジル) 右 端 は 筆 者 1
WG1の 作 業 要 約 規 格 内 のPM 用 語 に 一 貫 性 を 確 保 特 定 章 で 定 義 された 用 語 は 他 章 でも 同 じ 意 味 地 域 業 種 特 有 個 別 手 法 向 け 用 語 は 使 わない 定 義 せずに 使 われるPM 用 語 は2 章 で 定 義 一 般 語 と 同 義 ならここには 収 容 しない 用 いるPM 用 語 は 必 要 最 少 限 にする 以 上 がWG1 Operating Principles (2007.10) WG1コンビナー R.A.Winston 結 果 PM 用 語 多 数 を 共 通 化 したかったが 今 回 は 限 定 的 コンパクトで 最 小 限 の 分 り 易 い 規 格 に PMI IPMA および 各 国 が 合 意 できる 内 容 に 2
3 今 回 は 対 象 外 となったPM 用 語 1) 特 定 PM 手 法 に 属 するもの PERT/CPM (Float, FF, TF, DF, ES 等 ), PDM(FS, SS, FF 等 ) ただしCritical pathは 収 容 (4 回 使 用 し 用 語 としても 定 義 ) EVM(PV, EV, AC, SPI, CPI, SV, CV, EAC, TCPI, BAC TV ECD 等 ) 2)プロジェクト 契 約 の 型 を 表 す 呼 称 FP, FFP, FPI, FPAF, Cost reimbursement, CPFF,CPIF, CPAF, T&M, LOE 等 3)PM 分 野 に 限 らない 特 定 手 法 に 用 いる 用 語 コストマネジメント/ 組 織 関 係 でCA, CAPS, OBS 等 4) その 他 で 今 回 使 われなかったPM 用 語 の 例 Work package, Planning package, RACI chart, その 他 に RFQ RFI 等 の 調 達 専 門 用 語 今 後 に 期 待
ISO21500における 専 門 語 等 使 用 頻 度 stakeholder scope deliverable change request project objective lessons learned duration issue project charter baseline competency, quality assurance Strategic goal organizational strategy 0 20 40 60 80 23 18 15 14 13 12 12 9 8 6 6 43 40 63 目 次 を 除 く 4
5 比 較 :ISO21500における 一 般 語 等 使 用 頻 度 process input output activity, activities Quality cost Communication progress budget product 0 50 100 150 200 9 58 52 32 24 21 83 128 127 200 Stakeholder 63 目 次 を 除 く
プロセスの 枠 組 はPMBOK-V4とほぼ 同 じ PMBOK-V4 ISO21500 プロセスグループ プロセスグループ 知 識 エリア 9 行 5 列 サブジェクトグループ 10 行 5 列 ステークホルダー マネジメントを 独 立 6
枠 組 における 微 妙 な 相 違 サブジェクトグループ ( 行 )でのPMBOKの 知 識 エリア との 相 違 ステークホルダーがコミュニケーションから 独 立 HRがResourceとされ 資 源 全 体 をカバー プロセスグループ ( 列 )でのPMBOKとの 相 違 実 行 が Execute ではなく Implement 規 格 内 での 記 述 統 一 executeは ( 死 刑 等 ) 執 行 を 意 味 する 国 が 多 い 監 視 とコントロール は コントロール で 表 現 コントロール には 計 画 との 差 異 を 知 るための 監 視 が 含 まれるから そのため 一 般 語 に 近 い Control が 用 語 (2 章 ) に 敢 えて 定 義 されたもの 7
プロセス 定 義 の 対 比 例 (ひとつの 見 方 ) PMBOK-V4の42プロセス ISO21500の39プロセス 大 体 そのまま:31プロセス 統 合 :6プロセス 3(=-3) 10.3/5 情 報 配 布 実 績 報 告 11.3-4 定 性 定 量 Risk Analysis 12.3-4 Admin/Close Procurement 他 サブジェクトへ 併 合 :(-2) 6.1 Define Activities (Scope) 6.3 Estimate Activity Resources ほぼ 継 承 している35 のプロセス 39 Distribute information 29 Assess risks 37 Administer contracts 他 サブジェクトへ 移 動 :(±0) 10.1 Identify Stakeholders 不 使 用 :2プロセス(-2) 5.1-Verify Scope 9.1-Develop HR Plan 追 加 された4プロセス: 8. Collect lessons learned 17.Define project organization 19.Control resources, 40.Manage communications 8
用 語 統 一 の 例 成 果 物 はすべてDeliverableに 統 一 0 10 20 30 40 50 articraft *deliverable outcome product 0 0 9 40 タスク PM 特 有 作 業 はすべてActivityに 統 一 0 20 40 60 80 100 task work *activity, activities activity activities 0 28 55 66 83 Workは 一 般 語 として 使 わ れている 9
用 語 における 調 整 結 果 の 例 から (1)GoalとObjective ( 目 的 か 目 標 か) PMBOK-V4: GoalsとObjectivesは 大 体 同 じ 概 念 として 常 に 一 纏 めで 使 用 (PMBOK プログラムマネジメント 標 準 その 他 ) ICB-V3: プログラムの 目 的 を Strategic Goals とし プロジェクトの 目 標 を Objectives として 使 い 分 けるのが 原 則 (ICB と 各 国 のNCB) ISO21500: 基 本 的 に プログラムでは strategic goals プロジェクトで は project objectives ( 一 部 project goals )として 使 い 分 け 参 考 :マネジメント 一 般 GoalsとObjectivesを 使 い 分 ける 場 合 が 殆 どである 例 1: http://edweb.sdsu.edu/courses/edtec540/objectives/difference.html 例 2: http://www.differencebetween.net/business/difference-between-goals-and-objectives/ 例 3: http://wiki.answers.com/q/difference_between_goals_and_objectives_in_business_policy (いずれも2012 年 9 月 10 日 参 照 ) 10
結 果 としての 使 用 状 況 0 5 10 15 20 *benefit Goal *Strategic goal organizational strategy strategic objective *project objective Project goal Objective 1 3 5 6 6 8 16 18 適 切 な 個 所 については プログラムはStrategic goal プロ ジェクトのProject objectivesとなった 11
参 考 :Strategic goalとproject objectives 12
(2)プロジェクトチャーター プロマネに 権 限 を 与 える 重 要 文 書 PMBOK-V4: プロジェクトかフェーズを 正 式 認 可 する 文 書 関 係 者 のニー ズと 期 待 の 要 件 を 示 す (3.3.1) ICB-V3: オーナーが 作 り スコープ 目 標 成 果 物 予 算 期 間 レ ビューポイント メンバーを 記 述 (1.03) ISO21500: プロジェクトの 認 可 PM 責 任 権 限 の 識 別 ビジネスニーズ 目 標 期 待 成 果 財 務 面 の 文 書 化 (4.3.2) 参 考 : 日 本 での 状 況 プロジェクト 設 置 許 可 権 限 委 譲 書 だが 翻 訳 で 憲 章 と 訳 されてきており 誤 解 が 見 られ 出 したのが 実 情 (ご 参 考 : 企 業 内 ビジネスチャーター= 事 業 設 置 許 可 ) 13
14 どこがへんですか? プロジェクト 憲 章 1. このプロジェクトの 目 標 は~~の 達 成 である 2. このプロジェクトのオーナーは である 3. 達 成 期 限 をxx 年 xx 月 とする 4. 予 算 y,yyy 万 円 以 内 で 達 成 する 5. プロジェクトの 遂 行 を 通 じたメンバーの 成 長 も 図 る 6. 社 内 他 組 織 の 協 力 を 得 るため 最 大 限 の 努 力 をする Xx 年 xx 月 xx 日 プロジェクトマネジャー 南 野 誰 其
15 プロジェクトチャーターに 改 善 するには 1) ニーズと 設 置 目 的 があるとベターでしょう 2) オーナーがプロジェクトマネジャーを 任 命 3) プロジェクト 内 部 の 目 標 等 はこれには 書 かない 4) 設 置 の 妥 当 性 主 要 関 係 者 の 記 述 があるとベターでしょう 5) 経 営 側 から 出 す 形 をとり プロマネが 発 行 するのではない
(3)プロジェクト 計 画 プロジェクト 計 画 か プロジェクトマネジメント 計 画 か PMBOK-V4: プロジェクトマネジメント 計 画 としている どう 実 行 監 視 コントロール 終 結 するかを 定 義 (4.2) ICB-V3: PM 計 画 と プロジェクト 計 画 を 区 別 主 にプロ ジェクト 計 画 として 扱 っている (1.01 他 随 所 ) ISO21500: プロジェクト 計 画 (project plans)で 開 始 理 由 誰 が 何 を 提 供 コスト 実 行 コントロール 終 結 の 方 法 等 を 文 書 化 (4.3.3) PM 計 画 もこれに 含 む 参 考 : 経 緯 と 結 果 プロジェクトとしての 計 画 なので プロジェクトマ ネジメント 計 画 は 屋 上 屋 との 意 見 があったが 結 局 PMPを 併 記 し これに 含 むことになった 16
(4)ステークホルダー マネジメント プロジェクト 成 功 のためにますます 重 視 される 知 恵 PMBOK-V4: ニーズと 課 題 に 対 処 するよう 期 待 のマネ ジメント に 照 準 があてられている (3.5.7) ICB-V3: Interested party, Result orientationとして 随 所 に 言 及 されている (1.08 2.08など) ISO21500: 識 別 ( 特 定 )し 相 手 を 知 り 適 切 な 理 解 と 注 目 を 与 え 重 要 者 についての 計 画 は 文 書 化 するよう 定 義 (4.3.10 他 ) 参 考 :Identifyは 特 定 か 識 別 か このManagementはIdentifyとペア Identifyはリスクにおいても 特 定 と 訳 されているが 発 見 的 要 素 が 見 逃 されないよう 注 意 すべきでしょう 図 出 典 :Michael Atkinson, Too many cooks spoil the brothより, http://wp.fohboh.biz/, 2011.2. 17
(5) 教 訓 の 収 集 終 りで 結 果 を 収 集 することを 言 うか 常 時 行 うか PMBOK-V4: WBSやリスクを 含 むナレッジ 資 産 更 新 で 扱 う イン テグレーション マネジメントとして 随 所 に (4.3.8 他 ) ICB-V3: 随 所 で 言 及 し(1.01 1.08 1.20 2.05 2.13 3.06 3.09) Lessons learntと 記 されている 個 所 もある ISO21500: 現 在 将 来 のプロジェクトのために 期 間 中 にわたり 技 術 マネジメント プロセスの 観 点 で 収 集 (4.3.8) 参 考 : 実 践 では 常 にとはいえ フェーズの 節 目 が 妥 当 でしょう 挙 がった 項 目 のスクリーニング 方 法 も 大 事 でしょう 図 出 典 : 大 相 撲 協 会 共 同 プロジェクト sumo.goo.ne.jp/ という 具 合 のしつこい 議 論 で 規 格 内 の 用 語 が 段 々に 洗 練 統 一 されました (この 教 訓 : 用 語 定 義 を 先 行 させれば 良 かったのに?) 18
まとめに 代 えて Strategic Goalへの ISO21500 活 用 案 の 例 日 本 の 産 業 市 場 への 刺 激 とし PMの 本 格 的 浸 透 への 足 掛 かりに 組 織 や 人 による 認 識 の 相 違 を 改 善 し 協 業 プロ ジェクトをしやすくする PMを 日 本 の 得 意 技 にす るためのトリガーとして 活 用 を 促 進 ISO Focus, 2012 年 9 月 号, P.27 19
ご 清 聴 ありがとうございました 冨 永 章 (tominaga@pml-jp.com) 現 在 の 役 割 PMラボラトリー 代 表 三 菱 総 合 研 究 所 上 席 理 事 法 政 大 学 イノベーションマネジメント 研 究 科 客 員 教 授 東 京 大 学 工 学 系 研 究 科 技 術 経 営 戦 略 学 専 攻 非 常 勤 講 師 東 京 工 業 大 学 社 会 理 工 学 研 究 科 非 常 勤 講 師 東 京 大 学 情 報 理 工 学 系 研 究 科 非 常 勤 講 師 他 20
21 質 疑 時 間 に 使 用 予 定 ISO21500 活 用 策 例 えば 1 このISO 規 格 を 用 いた 自 社 PM 標 準 見 直 し 2 これをトリガーにお 客 様 のPM 標 準 策 定 支 援 3 今 後 PMBOK5 版 等 との 比 較 対 象 材 料 に 4 PMBOKに 加 えICB 等 も 活 用 する 糸 口 に 5 IPMA 加 盟 団 体 を 日 本 にも 作 るきっかけに 6 P2M 等 の 更 新 の 一 助 国 際 化 の 促 進 7 用 語 邦 訳 に 再 度 メスをいれるきっかけに 8 個 人 のスタディに: 他 との 比 較 が 効 果 的 9 PM 教 育 材 料 作 成 に 活 用 10 国 際 プロジェクトでのとりきめの 基 礎 として 活 用 なんといっても 日 本 でのPMの 一 層 浸 透 の 基 礎 に