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第 1 章 :はじめに 本 論 文 は 接 続 語 ( 節 と 節 文 と 文 を 結 ぶもの)について フレーム 意 味 論 に 基 づいた 記 述 手 法 の 有 効 性 を 示 すことを 目 的 としている 接 続 語 が 結 んでいるものはフレームである と 規 定 することで 接 続 語 の 意 味 を フレームとフレームの 組 み 合 わせ(フレーム 結 合 価 )によって 具 体 的 な 形 で 記 述 するこ とが 可 能 となる この 手 法 の 特 徴 として フレーム 意 味 論 による 意 味 の 具 体 化 (cf. 藤 井 小 原 2003) FrameNet( 後 述 )に 基 づいた 体 系 的 な 意 味 記 述 数 量 化 によって 統 計 分 析 が 可 能 であること などが 挙 げられる 特 に 対 照 の 意 味 に 焦 点 をあて 本 手 法 の 有 効 性 を 明 らかにしていく 第 2 章 : 接 続 語 に 関 する 先 行 研 究 2 章 では Rhetorical Structure Theory(Mann and Thompson 1986, 1988 など:2.1 節 ) 関 連 性 理 論 (Blakemore 1987, 1989 など:2.2 節 ) Sweetser (1990)による 接 続 領 域 (domain)に 基 づいた 分 析 (2.3 節 ) など 代 表 的 な 接 続 語 の 先 行 研 究 を 取 り 上 げ これらのアプローチの 利 点 と 問 題 点 について 議 論 する それぞれ 論 理 関 係 の 体 系 化 認 知 的 作 用 を 取 り 入 れた 接 続 語 の 分 析 多 義 性 の 体 系 的 な 記 述 等 の 利 点 が あるが これらの 先 行 研 究 に 共 通 する 問 題 点 は 接 続 語 が 何 を 接 続 しているか という 点 について 具 体 的 な 解 答 を 提 示 していないことである 例 えば 次 の 文 は Rhetorical Structure Theory における Contrast の 関 係 の 定 義 を 述 べたものである No more than two nuclei; the situations in these two nuclei are (a) comprehended as the same in many respects (b) comprehended as differing in a few respects and (c) compared with respect to one or more of these differences (http://www.sfu.ca/rst/01intro/definitions.html) この 定 義 は Contrast の 表 す 関 係 性 を 概 念 的 に 示 したものであり その 記 述 としては 妥 当 なものであると 言 えるだろう しかしながら nucleus( 核 )となるものは 何 か 同 じということはどういうことか(=(a)) 異 なるということはどういうことか(=(b), (c)) といったことが 具 体 的 に 示 されていないという 問 題 点 が ある 第 3 章 :フレーム 意 味 論 と FrameNet 3 章 は 本 論 文 の 基 盤 となるフレーム 意 味 論 (3.1 節 ~3.3 節 )と FrameNet の 導 入 (3.4 節 )である フレーム 意 味 論 は Fillmore(1975, 1982, 1985 など)によって 提 起 されたもので 単 語 や 文 の 理 解 には フレーム を 参 照 する 必 要 があるということを 前 提 とする フレームとは 端 的 に 言 うと 単 語 や 文 の 背 景 にある 世 界 知 識 で 例 えば buy という 単 語 の 背 景 には 買 い 手 が 売 り 手 に お 金 を 払 っ て 商 品 を 得 るという 商 取 引 に 関 するフレームが 存 在 する フレーム 意 味 論 では フレームは 語 句 に よって 喚 起 されると 規 定 される フレームはフレームに 参 与 する 要 素 ( 買 い 手 や 売 り 手 など)や 他 のフレームとの 関 わりなどの 観 点 から 一 定 の 構 造 を 持 っている フレームに 含 まれる 要 素 はフレー ム 要 素 と 呼 ばれ 必 須 的 に 伴 うフレーム 要 素 (コアフレーム 要 素 )の 違 いがフレームの 違 いに 寄 与 する 語 句 が 喚 起 するフレームを 記 述 しているの が オ ン ラ イ ン で 構 築 が 進 め ら れ て い る FrameNet (http://framenet.icsi.berkeley.edu/)である FrameNet は いわばフレームの 辞 書 で 語 句 とフレームの 関 係 を 定 義 し( 例 :argue は Quarreling, Reasoning, Evidence フレームを 喚 起 ) フレーム 要 素 を 中 心 にフレームの 構 造 を 記 述 するものである(cf. Atkins et al. 2003, Ruppenhofer et al. 2010) また

Inheritance, Using, Subframe など フレームとフレームの 関 係 (フレーム 間 関 係 )も 定 義 されている さらに フレーム 喚 起 語 ごとにフレーム 要 素 の 実 現 形 ( 例 えば Quarreling フレームを 喚 起 する argue は Issue のフレーム 要 素 が about や over によって 表 される など)についても 記 録 している これら の 記 述 を 参 照 することで 独 自 のコーパスデータなどに 対 して 文 に 喚 起 されたフレームを 特 定 するこ とが 可 能 となる 第 4 章 :フレーム 意 味 論 に 基 づいた 接 続 語 の 記 述 方 法 4 章 では フレーム 結 合 価 を 用 いた 接 続 語 の 意 味 記 述 の 手 法 を 述 べる 4.1 節 では 現 行 の FrameNet における 接 続 語 の 扱 いについて 述 べる 接 続 語 については 現 行 の FrameNet では 従 属 節 全 体 をフレー ム 要 素 の 1 つとして 扱 う 場 合 が 多 い 例 えば 次 の 例 では while 節 全 体 を Time 要 素 として 扱 っている (1) [<Interlocutors> They] sat chatting [<Depictive> together] [<Time> while Elizabeth waited for trade to pick up again]. (FrameNet) 従 属 節 を 主 動 詞 の dependent として 扱 うこの 方 針 は フレーム 喚 起 語 を 中 心 とした 記 述 においては 妥 当 なものであると 言 える 一 方 接 続 語 の 意 味 記 述 を 目 的 とする 場 合 上 記 のような 方 法 では 多 義 性 の 弁 別 は 単 純 なラベルの 違 いとして 表 れることになり それ 以 上 踏 み 込 んで 記 述 することはできない この 問 題 点 を 解 決 するために 4.2 節 では 接 続 語 は 主 節 と 従 属 節 に 喚 起 されたフレームを 接 続 する frame connector であると 規 定 し これに 基 づいた 記 述 方 法 を 提 案 する 再 び(1)の 例 を 精 査 すると while の 節 の 中 にもフレーム 喚 起 語 (wait)が 含 まれていることがわかる このことを 踏 まえて 再 度 アノテーション を 試 みると 次 のように 改 めることができる (2) [<Interlocutors> They] sat chatting [<Depictive> together] while [<Protagonist> Elizabeth] waited [<Expected_event> for trade to pick up again]. 主 節 には 動 詞 の chat によって Chatting フレームが 従 属 節 には wait によって Waiting フレームが 喚 起 されている このような 主 節 と 従 属 節 ( 文 と 文 )に 喚 起 されたフレームの 組 み 合 わせを フレーム 結 合 価 として 定 義 すると 次 のように 表 すことができる 図 中 Fm は 主 節 に 喚 起 されたフレームを Fs は 従 属 節 に 喚 起 されたフレームを 表 す 主 節 :Chatting 接 続 語 :while 従 属 節 :Waiting フレーム 結 合 価 :Chatting (Fm) Waiting (Fs) この 手 法 は FrameNet の 記 述 を 基 にしたものであるが 接 続 語 を frame connector として 分 析 するとい う 点 で FrameNet を 独 自 に 応 用 したものであると 位 置 付 けられるだろう フレーム 結 合 価 を 用 いること で 接 続 語 が 結 んでいるものはフレームである という 形 で 意 味 を 具 体 化 することが 可 能 となる また

FrameNet の 記 述 に 基 づくことで フレーム 間 関 係 を 利 用 してフレームを 一 般 化 することが 可 能 となる 例 えば Chatting フレームは 上 位 に Reciprocality フレームを 持 つため Reciprocality フレー ムとして 置 き 換 えることができ Discussion, Exchange などの 他 の Reciprocality フレームの 下 位 フレームと 1 つのグループにまとめることができる(4.3 節 ) さらに 接 続 語 (あるいは 接 続 語 のそ れぞれの 意 味 )ごとにフレーム 結 合 価 を 集 計 することで フレームのリストを 作 成 することができ 接 続 語 の 接 続 内 容 を 数 量 化 して 分 析 することが 可 能 となる(4.4 節 ) 第 5 章 : 統 計 手 法 を 用 いた 分 析 5 章 では 多 義 の 接 続 語 である while を 含 む 用 例 について フレーム 結 合 価 の 観 点 から 分 析 し 各 節 に 喚 起 されたフレームをそれぞれの 意 味 ごとに 数 量 化 したものを 多 変 量 解 析 の 手 法 の 1 つである 対 応 分 析 によって 検 証 する 使 用 するデータは 辞 書 から while の 用 例 を 抽 出 した 独 自 のコーパスである 辞 書 の 用 例 は 予 め 意 味 区 分 が 指 定 されているため 意 味 判 定 における 主 観 性 の 問 題 を 小 さくできること また 文 脈 から 独 立 したものが 掲 載 されているため 分 析 が 比 較 的 容 易 であることなどのメリットがある (5.1 節 ) 対 応 分 析 は クロス 集 計 表 の 行 と 列 の 相 関 を 最 大 化 することで 行 ラベルと 列 ラベルの 関 係 を 視 覚 的 にプロットできる 手 法 である(5.2 節 ) 本 研 究 では 行 ラベルに 辞 書 の 区 分 に 従 った while の 意 味 ( 時 間 同 時 期 間 対 照 譲 歩 )を 列 ラベルにフレームを 配 置 し 主 節 従 属 節 それぞれで 分 析 を 行 った その 結 果 主 節 従 属 節 ともに 時 間 の 意 味 ( 同 時 期 間 を 含 む)では 動 作 状 態 を 表 すフ レーム( 内 容 領 域 )が 喚 起 され 譲 歩 の 意 味 では 心 理 感 情 を 表 すフレーム( 認 識 領 域 )が また 対 照 の 意 味 ではそれ 以 外 のフレームが 喚 起 されるという 傾 向 が 明 らかになった このことは 主 節 と 従 属 節 に 喚 起 されるフレームのカテゴリーが while のそれぞれの 意 味 ごとに 並 行 したものになるという 傾 向 を 表 している また 文 法 形 式 と 節 間 の 関 係 を 調 査 したところ 譲 歩 の 意 味 では 主 節 と 従 属 節 の 主 語 が 同 一 となり 従 属 節 が 先 行 する 傾 向 があること 時 間 の 意 味 ( 特 に 期 間 )では 従 属 節 が 進 行 形 になる 傾 向 が あることなどが 明 らかになった さらに 対 照 の 意 味 では 主 節 と 従 属 節 に 喚 起 されるフレームが 同 一 になるという 傾 向 が 観 察 され より 厳 密 な 並 行 性 があることが 示 唆 された(5.3 節 および 5.4 節 ) 第 6 章 : 対 照 の 接 続 語 が 結 ぶフレーム:whereas の 分 析 から 6 章 は 対 照 の 意 味 では 主 節 従 属 節 に 同 一 のフレームが 喚 起 される 傾 向 がある という 結 果 を 接 続 語 の whereas を 分 析 することでその 妥 当 性 を 検 証 する whereas は while とは 異 なり 専 属 的 に 対 照 の 意 味 を 表 すため この 接 続 語 を 含 む 用 例 を 分 析 することは 対 照 の 意 味 を 分 析 することと 同 義 である BNC (The Second Edition of British National Corpus. http://www.natcorp.ox.ac.uk/) から 抜 き 出 した whereas の 用 例 (6.1 節 )を 分 析 した 結 果 多 くの 例 で 主 節 従 属 節 に 同 一 のフレームが 喚 起 されること が 確 認 された また フレーム 喚 起 語 の 省 略 や 代 動 詞 などによるフレーム 喚 起 語 の 置 換 えが 見 られるこ と( 同 一 フレームが 喚 起 されていることの 証 左 ) 異 なるフレームが 喚 起 されている 場 合 であってもフレ ーム 間 関 係 を 見 ることで 上 位 に 共 通 するフレームを 持 つ 場 合 があること 主 節 と 従 属 節 でフレームが 複 層 的 に 喚 起 されていると 分 析 できる 場 合 があることなどが 明 らかになった(6.2 節 ) これらの 結 果 は 対 照 の 意 味 では 主 節 従 属 節 に 同 一 のフレームが 喚 起 される 傾 向 がある という 仮 説 を 強 く 支 持 するもの である(6.3 節 )

第 7 章 :フレームの 同 一 性 と 接 続 語 の 意 味 :while の 分 析 から 7 章 では 主 節 と 従 属 節 のフレームの 同 一 性 を 出 発 点 に この 条 件 がどの 程 度 対 照 の 意 味 と 関 連 性 があるかということを 検 証 する 言 い 換 えると 主 節 従 属 節 に 同 一 のフレームが 喚 起 されたとき 対 照 の 意 味 を 表 す という 逆 の 条 件 を 検 証 することになる 使 用 したデータは BNC から 抽 出 した while を 含 む 文 で 同 一 のフレームが 喚 起 されていると 考 えられる 用 例 を 半 自 動 で 抽 出 し その 用 例 の while の 意 味 が 対 照 と 判 断 できるかどうかを 質 的 に 検 証 した(7.1 節 ) その 結 果 90% 以 上 の 例 で 対 照 の 意 味 と 分 類 できることがわかった それ 以 外 の 例 では 特 に 動 作 性 が 強 いフレームが 喚 起 された 場 合 同 時 と 対 照 の 両 方 の 意 味 で 解 釈 することができる 場 合 などがあることが 明 らかになった また 主 節 と 従 属 節 の 主 語 が 同 一 従 属 節 が 主 節 より 先 行 する などの 特 徴 が 見 られた 場 合 譲 歩 の 意 味 として 解 釈 されるものがあることもわかった この 結 果 は フレームの 同 一 性 が 対 照 の 意 味 と 密 接 に 関 わっている ということ またフレームによる 意 味 分 析 と 形 式 的 な 構 文 分 析 が 多 義 性 の 意 味 弁 別 に 有 効 に 機 能 してい ることを 示 している(7.2 節 ) また 典 型 的 なフレームを 数 量 化 することにより 学 習 者 向 け 辞 書 記 述 などへの 応 用 可 能 性 が 示 された(7.3 節 ) 第 8 章 :フレーム 意 味 論 からみた 対 照 の 意 味 8 章 は 対 照 を 表 す 接 続 語 について フレーム 意 味 論 に 基 づいた 具 体 的 な 記 述 方 法 を 示 したものである これまでの 分 析 対 象 である while と whereas は 本 質 的 に 同 種 の 対 照 を 表 すが(cf. Izutsu 2008, Rudolph 1996; 8.1 節 ) これらの 意 味 は フレーム 意 味 論 に 足 場 を 置 くことで 対 照 の 関 係 にある 節 (あるいは 文 )には 同 一 のフレームが 喚 起 される ( 前 述 の Rhetorical Structure Theory の(a)の 点 ) フレーム 喚 起 語 フレーム 要 素 ( 複 数 可 ) 時 制 のうち 2 つ 以 上 が 相 違 点 を 形 成 する ( 前 述 の (b), (c)の 点 ) という 形 で 対 照 の 意 味 の 構 造 を 具 体 化 することができる (3) He had nothing to offer her, whereas a fellow like Dunbar obviously had everything. (BNC) Possession (Fm) Possession (Fs) 共 通 点 :Possession フレーム 相 違 点 (1): FE_Owner [ Sub He / Sub a fellow like Dunbar] 相 違 点 (2): FE_Possession [ Obj nothing / Obj everything] 上 記 の 例 では 主 節 と 従 属 節 で 共 通 しているもの( 対 照 のバックグラウンドとなるもの)は Possession フレームであり Owner 要 素 と Possession 要 素 という 2 つのフレーム 要 素 が 相 違 点 を 形 成 している さ らに while や whereas が 表 す 対 照 の 意 味 では (3)のように 複 数 のフレーム 要 素 (FE)が 相 違 点 となる パターンに 加 えて フレーム 喚 起 語 とフレーム 要 素 が 相 違 点 となる 場 合 やフレーム 要 素 と 時 制 が 相 違 点 となる 場 合 などがあることが 明 らかになった(8.2 節 ) 第 9 章 : 結 語 以 上 の 議 論 から フレーム 結 合 価 による 接 続 語 の 意 味 記 述 の 有 効 性 が 明 確 に 示 される 特 に この 手 法 はフレーム 意 味 論 に 基 づいた 体 系 的 な 記 述 方 式 であること 接 続 内 容 をフレームという 形 で 具 体 化 で きること フレーム 間 関 係 からフレームの 性 質 を 一 般 化 できること また 数 量 化 することで 統 計 分 析 が 可 能 となること などがメリットとして 挙 げられる

[ 参 照 文 献 ] Atkins, Sue, Charles J. Fillmore & Christopher R. Johnson (2003). Lexicographic relevance: Selecting information from corpus evidence. International Journal of Lexicography, 16 (3). 251-280. Blakemore, Diane (1987). Semantic constraints on relevance. Oxford: Blackwell. Blakemore, Diane (1989). Denial and contrast: A relevance theoretic analysis of BUT. Linguistics and Philosophy, 12. 15-37. Fillmore, Charles J. (1975). An alternative to checklist theories of meaning. Proceedings of the first annual meeting of the Berkeley Linguistics Society. 123-131. Fillmore, Charles J. (1982). Frame semantics. In I. Yang (Ed.), Linguistics in the morning calm: Selected papers from SICOL-1981. Seoul: Hanshin. 111-137. Fillmore, Charles J. (1985). Frames and the semantics of understanding. Quaderni di Semantica, 6(2). 222-254. 藤 井 聖 子 小 原 京 子 (2003). フレーム 意 味 論 とフレームネット 英 語 青 年 149 (6). 373-376, 378. Izutsu, Mitsuko N. (2008). Contrast, concessive, and corrective: Toward a comprehensive study of opposition relations. Journal of Pragmatics, 40. 646-675. Mann, William C. & Sandra A. Thompson (1986). Rhetorical propositions in discourse. Discourse Processes, 9. 57-90. Mann, William C. & Sandra A. Thompson (1988). Rhetorical structure theory: Toward a functional theory of text organization. Text, 8 (3). 243-281. Rudolph, Elisabeth (1996). Contrast: Adversative and concessive expressions on sentence and text level. Berlin/New York: Walter de Gruyter. Ruppenhofer, Josef, Michael Ellsworth, Miriam R. L. Petruck, Christopher R. Johnson & Jan Scheffczyk (2010). FrameNet II: Extended Theory and Practice. Available online https://framenet. icsi.berkeley.edu/fndrupal/the_book (7/20, 2012) Sweetser, Eve (1990). From etymology to pragmatics: Metaphorical and cultural aspects of semantic structure. Cambridge: Cambridge University Press.